JP5539143B2 - 積層生地、それを用いてなる医療用被服および医療用資材 - Google Patents

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本発明は、積層生地に関するものである。さらに、それを用いてなる衣料用被服および医療用資材に関するものである。
従来から、手術衣、感染防護衣などの医療用被服や、手術ドレープ、シーツ、手術道具をパッケージする袋などの医療用資材などの生地として、バクテリアバリア性および耐湿熱性を有するフィルムに、ポリエステルフィラメントからなるトリコット基布を積層加工した生地が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
これらの生地は、過酷な洗濯・滅菌処理への優れた耐久性と、手術中の血液や体液を媒介とする二次感染を抑制する効果を有するものである。加えて、高い伸縮性や吸水・保水能力等、快適性にも優れており、医療用テキスタイル全般に好適に使用されている。
特開2008−6664号公報 特開2009−240448号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2の場合は、軽量性の観点から、目付を低く抑えるために、トリコット基布を非常に薄くする必要がある。そのため、このトリコット基布は、編立・染色・積層などの加工時に、伝線したり、斜行や湾曲したりする場合がある。伝線、斜行、湾曲などが発現する場合は、バクテリアバリア性を有するフィルムを保護する性能が低下したり、洗濯・滅菌時にトリコット基布が剥離したりするという問題がある。
また、トリコット基布が薄い為に、洗濯・滅菌による変色や退色が目立ちやすくなる場合がある。さらに、フィルムを透過した片面のトリコット基布の組織柄が、反対面のトリコット基布と重なることで、外観欠点であるモアレ(つまり、トリコット基布が重なった際の編組織のズレによって発生する波型の干渉縞)が発生するという問題があった。その結果として、このような積層生地を医療用途に用いた場合には、モアレを見た直後に患部を見ると、目の疲れが誘発されたり、モアレの補色残像が患部と重なったりすることに起因する誤診が発現したりする懸念がある。
さらに、使用するフィルムの厚みが厚すぎたり、基布の貼り合せ条件に起因して硬すぎたりした場合には、トリコット基布の柔軟性を十分に発揮できない場合がある。一方、使用するフィルムの厚みが薄すぎたり、基布の貼り合せ条件に起因して軟らか過ぎたりした場合には、このような積層加工生地から被服や資材を得た場合に、着用時や、洗濯・滅菌時において、積層生地が破れや剥離を引き起こす場合がある。
そこで、本発明は、トリコット基布の柔軟性を維持しつつ、トリコット基布の伝線や剥離、およびモアレを抑制または防止しうる積層生地を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意研究の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の趣旨は下記の通りである。
(1)トリコット基布がフィルムの両面に接着樹脂を介して積層された三層構造を有し、該トリコット基布がポリエステルフィラメントを含み、且つ生地中の閉じ目の編目が全編目の55%以上であり、該フィルムがポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とし、且つトリコット基布と同系色の光散乱性を有するものであり、接着樹脂がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする積層生地。
(2)フィルムの一方の面にトリコット基布が全面接着され、フィルムの全面接着された面の反対側の面にトリコット基布がドット接着され、且つドット接着における接着面積がフィルム全面中10〜90%であることを特徴とする(1)の積層生地。
(3)フィルムの厚みが5〜50μmであることを特徴とする(1)または(2)の積層生地。
(4)接着樹脂の厚みが片面につき10〜100μmであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかの積層生地。
(5)トリコット基布に導電性繊維が含有されることを特徴とする(1)から(4)のいずれかの積層生地。
(6)帯電電荷密度が7μC/m以下であることを特徴とする(1)から(5)のいずれかの積層生地。
(7)(1)から(6)のいずれかの積層生地を用いてなる医療用被服。
(8)(1)から(6)のいずれかの積層生地を用いてなる医療用資材。
本発明の積層生地は、トリコット基布の柔軟性を維持しつつ、トリコット基布の伝線・斜行・湾曲や剥離、またはモアレの発現を防止することができる。そのため、着用及び洗濯・滅菌時の破損や、モアレによる目の疲れ等を防止し、さらに着用者の防護性や快適性を守ることが出来る。
マンセル色相環を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層生地は、トリコット基布がフィルムの両面に接着樹脂を介して積層された三層構造を有するものである。
本発明において、トリコット基布はフィルムを保護するために用いられるものであり、表面の空隙が少なく、適度な伸縮性と寸法安定性を有するという利点がある。このトリコット基布は、ポリエステルフィラメントを含むものである。ポリエステルを用いることで、強度、寸法安定性、耐久性、染色堅牢度に優れ、また製編性にも良好であるという利点がある。
トリコット基布中のポリエステルフィラメントの割合は、強度や寸法安定性の観点から、80〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。
ポリエステルフィラメントの原料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。なかでも、強度や寸法安定性、染色堅牢度の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。さらに、ポリエステルフィラメントを構成するポリマーの重合度を増加したり、該ポリマーの末端基を封鎖したりすることなどによって、アルカリや湿熱滅菌に対する耐加水分解性を向上させることが可能となる。
トリコット基布は、フィラメントから構成されることが必要である。フィラメントから構成されることにより、紡績糸から構成される場合と比較して、毛羽が脱落することを抑制し、低発塵性の観点において優れるという効果を奏することができる。
このフィラメントの形態は、特に限定されるものではないが、柔軟性やストレッチ性の観点から、加工糸が好ましく、特に捲縮加工糸が好適である。捲縮加工糸は、嵩高である為にフィルムに積層した場合のフィルムに対する防護性が高いものとなる。さらに、伸縮性や寸法安定性に優れる。加えて接着樹脂が良好に浸透するため、トリコット基布とフィルムとの間の剥離強力が向上するという利点がある。なお、トリコット基布を構成するポリエステルフィラメントを得る方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を用いればよい。特に、仮撚加工であれば、適度な捲縮を有する加工糸を容易に安定して採取することができるため、好ましい。
トリコット基布を構成するポリエステルフィラメントの繊度は、特に制限されないが、三層に積層した際の生地重量の観点から、15〜110デシテックスであることが好ましく、30〜85デシテックスであることがより好ましい。
トリコット基布は、軽量性の観点から、なるべく薄いほうが好ましく、例えば、目付120g/m以下であることが好ましく、特に手術衣等の医療用被服に使用する際には70g/m以下であることが好ましい。しかしながら、薄すぎる場合には、基布編立、染色、または積層などの工程の間おいて張力がかかる際に、伝線や斜行、湾曲などを起こすという問題がある。これらの問題を防止する為に、トリコット基布には生地中の閉じ目の編目が全編目の55%以上である編組織を用いることが必要であり、好ましくは、生地中の閉じ目の編目が全編目の80%以上である。さらに、閉じ目の編目の割合が55%以上であることにより、トリコット基布の寸法安定性が向上するという効果がある。
トリコット基布においては、伝線や斜行、湾曲などを防止し、寸法安定性を向上させる観点から、タテ・ヨコ・ナナメ方向に開き目の編目が、2つ以上連続しないことが好ましい。
トリコット基布には、静電気を防止することを目的として、導電性繊維が含まれていてもよい。導電性フィラメントをトリコット基布に含有させる方法としては、特に制限されないが、例えば、トリコット基布を構成するポリエステルフィラメントと導電性繊維を合撚して合撚糸を得、この合撚糸からトリコット基布を得る方法などが挙げられる。なお、導電性繊維としては、特に制限されず、金属繊維や、導電性材料を練り込んだ繊維などが挙げられる。
生地の制電性能としては、帯電電荷密度が7μC/m以下であることが好ましく、0.1〜4μC/mであることがより好ましい。この性能を満たす為には、トリコット基布中に導電性繊維を1〜2本/cm程度の割合で配列させればよい。
本発明に用いられるフィルムは、バクテリアバリア性を有するものである。バクテリアバリア性を有することにより、本発明の積層生地が手術衣などの医療用被服や、手術ドレープなどの医療用資材に用いられる際に、手術中における血液や体液を媒介とする感染を防止することができる。
また、近年、医療用に用いられる生地は、130〜135℃程度の高温で湿熱滅菌処理が行われる場合が多い。そのため、該フィルムには、高い耐湿熱耐久性および耐熱性が要求される。そのため、該フィルムは、耐湿熱耐久性および耐熱性に優れるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とすることが必須である。なお、「主成分とする」とは、フィルム全量に対して90重量%以上のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含有することを言う。
本発明においては、フィルムの両面にトリコット基布を積層することが必要である。フィルムの片面のみにトリコット基布を積層する場合や、トリコット基布をフィルム表面にまったく積層していない場合は、本発明の積層生地から製造された衣料用被服や衣料用資材を着用する際や洗濯・滅菌したりする際に、トリコット基布を積層していない側のフィルムが損傷する。そのため、手術中における血液や体液を媒介とした感染に対する防護性が低下したり、滅菌時にフィルム面同士が貼り付いて、破れや剥離を起こしたりするという問題が発生する。
フィルムの厚みは5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは9〜30μmである。このような厚みの範囲とすることで、耐久性と柔軟性を兼ね備えた積層生地とすることができる。フィルムの厚みが5μm未満の場合は、フィルムの強力に劣り、着用や洗濯・滅菌の際に破れたりする場合がある。一方、フィルム厚みが50μmを超える場合、積層生地が硬くなって柔軟性や風合を損ねたり、フィルムの形成時にピンホール等の欠点を発生したりする場合がある。
本発明に使用されるフィルムは、トリコット基布と同系色に着色されている必要がある。その理由は、以下の通りである。すなわち、近年の湿熱滅菌処理温度の上昇により、トリコット基布の変色や退色がより多く発現するようになってきている。そのため、トリコット基布と貼り合わされているフィルムが着色されていれば、トリコット基布が退色しても、フィルムの色目がトリコット基布の間から透けて見えることで、変色や退色を目立ちにくくすることが可能になるからである。
本発明において、フィルムの色相をトリコット基布と同系色にするとは、実際には、図1に示すマンセル色相環における連続する3グループの色相であることをいう。
本発明においては、トリコット基布とフィルムの色相は、青系及び緑系であることが好ましい。青系及び緑系の色相は、血液の色目である赤系色の補色であるため、補色による残像を抑制する効果に優れる。その結果、本発明の積層生地を医療用途に用いた場合に、目の疲れが誘発されたり、生地欠点部の補色残像が患部と重なったりすることに起因する誤診が発現したりすることを防止できる。より具体的には、トリコット基布とフィルムの色相は、マンセル色相環における黄緑(GY)、緑(G)、青緑(BG)、青(B)、青紫(PB)の範囲内の色相が好ましく、緑(G)、青緑(BG),青(B)の範囲内の色相であることがより好ましい。
フィルムの色相をトリコット基布と同系色に着色するための方法は、特に制限されるものではないが、洗濯・滅菌への耐久性の観点から、フィルムに使用する樹脂に、各種の顔料を適量添加する方法が好ましい。
本発明に使用されるフィルムは、光を散乱させる効果を有するフィルムであることが必要である。本発明においては、光を散乱させる性質(光散乱性)を「不透過性」と称し、光を散乱させずにそのまま透過させる性質を「透過性」と称する。つまり、本発明に使用されるフィルムは不透過性を有するフィルムであることが必要である。フィルムが透き通った透過性タイプである場合は、フィルムを透過した片面のトリコット基布の組織柄が、反対面のトリコット基布と重なることによりモアレを発生する。このモアレにより、目の疲れを誘発し、医療行為中の事故に繋がる懸念がある。
なお、本発明において、フィルムが透過性タイプか不透過性タイプかを判断する基準は、以下の通りである。すなわち、三層の積層生地にした際に、肉眼でモアレを確認できないものを不透過性タイプと判断し、肉眼でモアレを確認できるものを透過性タイプであると判断する。
不透過性を有するフィルムを得る方法としては、例えば、フィルムに使用する樹脂に、二酸化チタン等の防透性を有するセラミックや、不透過性の顔料等を配合することが挙げられる。
フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲内で、抗菌剤や難燃剤などの添加剤が配合されていてもよい。
トリコット基布とフィルムとは、接着樹脂を介して積層される。この接着樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする必要がある。ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、処理温度が130〜135℃程度の高温で行われる近年の湿熱滅菌処理においても、十分な耐湿熱耐久性および耐熱性を有するという利点がある。
接着樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、架橋剤、触媒などの添加剤が含有されていてもよい。
接着樹脂の厚みは、フィルムの片面につき10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜50μmである。接着樹脂の厚みを上述の範囲とすることで、着用時や洗濯・滅菌時におけるトリコット基布とフィルムとの剥離を抑制し、かつ積層生地の柔軟性を兼ね備えることが可能になる。接着樹脂の厚みが10μm未満の場合は、剥離強力の低下や着用時や洗濯・滅菌により剥離が発生する場合がある。一方、接着樹脂の厚みが100μmを超える場合には、接着強度にはほとんど影響しないうえに、過剰な接着樹脂がトリコット基布の接着樹脂が施されていない側にまで浸み出す場合がある。
トリコット基布とフィルムの積層加工は、特に制限されないが、例えば、離型紙を用いた公知の方法で行うことが出来る。すなわち、まず、離型紙にフィルム材料(つまり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする材料)をコーティングしてフィルムを形成する。そして、フィルム表面に接着樹脂(つまり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とする接着樹脂)をコーティングする。次いで、トリコット基布を貼り合せて、熱プレスなどを施すことにより、積層生地を得ることが出来る。フィルムの両面に対してトリコット基布を貼り合せることで、三層構造を有する積層生地を得ることが出来る。
トリコット基布とフィルムを積層する際に、フィルムの一方の面においては、トリコット基布とフィルムとを全面接着することが好ましい。全面接着することで接着強度を向上させることができ、着用時や洗濯・滅菌時における、トリコット基布とフィルムとの剥離を抑えることが可能になる。加えて、生地に程よい硬さを付与することができ、強度面においても優れるものとなる。
一方、フィルムの全面接着側の反対側の面においては、トリコット基布とフィルムとをドット接着により積層することが好ましい。ドット接着することにより、トリコット基布の風合を低下させることなく、積層生地の柔軟性を維持することができる。すなわち、本発明においては、全面接着とドット接着を組み合わせることにより、耐久性、強度、風合い、柔軟性を兼ね備えた積層生地を得ることができる。
ドット接着における接着面積は、フィルム全面中、10〜90%であることが好ましく、40〜70%であることがより好ましい。ドット接着の接着面積が10%未満の場合、剥離強力が低下したり、着用や洗濯・滅菌により剥離が発生したりする場合がある。一方、90%を超える場合には、十分な柔軟性を維持することが困難となる場合がある。また、モアレが発現する現象において、接着樹脂のドット状の形状とトリコット基布の組織柄とが重なることで外観欠点が発現しやすくなるという問題がある。
トリコット基布をフィルムに全面接着する方法は、特に制限されず、公知慣用の方法でフィルム表面に接着樹脂をコーティング・積層し、トリコット基布を貼り合せて、プレスすることなどが挙げられる。一方、トリコット基布をフィルムにドット接着する方法は、特に制限されないが、例えば、接着樹脂を積層するためのローラーとして、グラビアロールを使用する方法が挙げられる。グラビアロールの形状を調整することによって、接着面積や接着樹脂の厚みを制御することが容易となる。一般的に、ドット接着を施した場合は、グラビアロールの凹凸などによって、トリコット基布が部分的に異なった力を受けることに起因して、伝線などが発生しやすくなるという問題がある。しかしながら、本発明においては、トリコット基布の開き目の編組織を55%以上とすることによって生地を安定化させえることが可能となるため、伝線などの問題を抑制することが可能になる。
なお、本発明において、トリコット基布とフィルムとをドット接着した側の剥離強力は、洗濯・滅菌を100回行った際においても、7N/2.54cm以上を維持していることが望ましい。
トリコット基布において、積層加工が行われる面(つまり、接着樹脂が施される面)は限定されるものではなく、アンダーラップ側、ループ側のどちらを貼り合せてもよい。生地の耐摩耗性や剥離強度の観点からは、アンダーラップ側を積層加工が行われる面とし、ループ側を表層面として用いることが好ましい。
本発明の積層生地は、耐久性に優れるため、洗濯・滅菌による繰り返しの使用が可能である。洗濯・滅菌処理の条件の一例としては、ワッシャー型洗濯機を用い、温度70℃、pH9、浴比1:30、洗剤1g/Lの条件で、20分処理した後、すすぎ、脱水、乾燥を行い、オートクレーブを用いて、135℃で8分湿熱滅菌処理を行う工程を1回の処理とすることが例示される。
本発明においては、この洗濯・滅菌処理を100回繰り返し行った後の収縮率が、タテ方向、ヨコ方向において、ともに20%以内であることが好ましく、15%以内であることがより好ましい。加えて、本発明においては、繰り返し使用の観点から、この洗濯・滅菌処理を100回行っても、積層生地の剥離や破れが少ないことが好ましい。
本発明の積層生地において、帯電電荷密度は7.0μC/m以下であることが好ましく、0.1〜4.0μC/mであることがより好ましい。帯電電化密度をこの範囲とすることにより、本発明の積層生地を実使用に付した場合に、医療用の精密機器に対する静電気の悪影響を低減させることが可能になる。
本発明の積層生地を用いて、手術衣などの医療用被服や、手術資材などの医療用資材を作製することが出来る。この際、積層生地を全面に用いてもよいし、患部に近接する箇所のみに部分的に使用してもよい。
例えば、本発明の積層生地を医療用被服用途に使用する場合には、身体の前面部及び腕部に本発明の積層生地を使用し、他の部分には通常の耐久撥水加工が施された高密度織物を用いてもよい。同様に、本発明の積層生地を医療用資材用途に使用する場合には、患部の周辺に本発明の積層生地を用い、患部から離れた場所には通常の耐久撥水加工された高密度織物を用いてもよい。
本発明の積層生地を医療用被服用途や医療用資材用途に使用する際には、必要に応じて、公知慣用の吸水加工や撥水加工が施されていてもよい。例えば、積層生地において、肌に接する面に吸水加工を行い、その反対側の面に撥水加工を行うことで、肌側の吸汗性を向上させ、同時に表層側において血液や体液による感染防護性を向上させることができる。
また、本発明の積層生地を医療用資材用途に使用する際には、積層生地の肌に接する面に吸水加工を行い、その反対側の面に撥水加工を行うことで、血液や体液を医療用資材に吸水し保持することができ、同時に表層側においては防水性を向上させることができる。
なお、本発明の医療用被服や医療用資材において、肌に接する面は、全面接着面、ドット接着面のいずれであってもよいが、外側の方が血液や体液等へのバリア性を高くする必要があることから、ドット接着面であることが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における各種性能評価は、下記の方法で行った。
〔洗濯・滅菌耐久性〕
ワッシャー型洗濯機を用い、積層生地を温度70℃、pH9、浴比1:30、1g/Lの洗剤で20分間洗濯処理した後、常温の水で4分×5回すすぎを行い、脱水・乾燥した。次いで、オートクレーブを用いて、135℃で8分間湿熱滅菌処理を行う工程を1回の処理とした。上記の処理を100回繰り返した後の、積層生地のタテ方向、ヨコ方向における寸法変化率を以下の式により求めた。
(寸法変化率)(%)=[(洗濯・滅菌処理後の寸法)/(洗濯・滅菌処理前の寸法)]×100
さらに、剥離・破れ等の破損有無、生地の退色状況を目視で確認した。
〔基布欠点発生数〕
実施例及び比較例で得られた積層生地において、検反において両面のトリコット基布の欠点箇所数を計測し、該積層生地における単位長さあたりの個数(個/100m)に換算して求めた。
〔生地風合評価〕
JIS L−1096(剛軟度測定、ハンドルオメーター法)に従って剛軟性の評価を行った。単位をNで示した。
〔耐水圧〕
実施例及び比較例で得られた積層生地において、積層加工生地の初期(加工上がり)、洗濯・滅菌処理を50回繰り返した後、および100回繰り返した後に、JIS L−1092(耐水度、低水圧法、10cm/min)に従って測定を行った。単位をcmで示した。
〔剥離強力〕
実施例及び比較例で得られた積層生地において、積層生地の初期(加工上がり)、および洗濯・滅菌処理を100回繰り返した後について、JIS L−1089(剥離強さ)に従って測定を行った。単位をN/2.5cmで示した。
〔生地外観測定〕
実施例および比較例で得られた積層生地において、全面接着側の面、およびドット接着側の面から見た外観状態を目視で確認した。以下の基準で評価した。
○:モアレや編欠点等の外観欠点がなく全く無い。
△:モアレや編欠点等の外観欠点が、多少見受けられる。
×:モアレや編欠点等が、多く見受けられる。
〔帯電電荷量〕
実施例および比較例で得られた積層生地において、JIS L−1094(帯電電荷量測定、生地評価)に従って測定を行った。摩擦布として、アクリル製布およびナイロン製布を用いた。単位をμC/mで示した。
(実施例1)
日本マイヤー社製28ゲージトリコット編機を用い、以下の手順でトリコット基布Aを作製した。ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)に、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)とポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント原糸28デシテックス/2フィラメント(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有、ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)とをZ撚300T/Mで合撚した糸を、2本/吋のピッチで配列させた。そして、組織が、1−0/2−1/2−3/1−2である閉じ目のシングルアトラストリコット編地を編立した。次いで、分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目に、公知の条件で染色加工を実施し、トリコット基布A(生地密度:44ウェール/2.54cm×65コース/2.54cm)を作製した。
そして、ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリカーボネートポリウレタン樹脂に不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚14μmのフィルムを調製した。このフィルムに、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、ポリカーボネート系ポリオール樹脂に芳香族系ポリイソシアネート架橋剤とアミン系促進剤を加えた接着樹脂を用いて、接着面積を全面接着の50%、接着樹脂の厚みが24μmとなるように調整したグラビアロールで、温度100℃×線圧1.5kg/cmの条件で加圧してドット接着し、常温下で48時間放置・熟成して、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、ドット接着に用いた接着樹脂と同様の接着樹脂を用い、ドットのないフラットなロールを用いて接着樹脂の厚みが37μmとなる様に、ドット接着と同様の条件で加圧接着を行い、常温下で48時間放置・熟成して、三層積層生地を作製した。
この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付152.5g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例2)
上述の28ゲージトリコット編機を用い、フロントの筬にポリエチレンテレフタレートフィラメント原糸60デシテックス/180フィラメント(ユニチカトレーディング社製)を配し、バックの筬にポリエチレンテレフタレートフィラメント33デシテックス/12フィラメント(ユニチカトレーディング社製)において、ポリエチレンテレフタレート製の導電性フィラメント28デシテックス/2フィラメント(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有、ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)を2本/吋のピッチで配列した。そしてフロントの筬組織が2−3/1−0であり、バックの筬組織が1−0/1−2である閉じ目のハーフトリコット編地を編立した。この編地に(分散染料)を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を実施し、次いで、液流染色浴中処理の条件で吸水加工を施して、生地密度が、35ウェール/2.54cm×52コース/2.54cmであるトリコット基布Bを作製した。
トリコット基布Aに代えてトリコット基布Bを用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、トリコット基布B側にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付210.2g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例3)
上述の28ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)に、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)とポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント原糸28デシテックス/2フィラメント(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有、ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)とをZ撚(300T/M)で合撚した糸を、2本/吋のピッチで配列した。そして、組織が、1−0/2−1/2−3/2−1の開き目を25%含んだシングルアトラストリコット編地を編立した。この編地に、分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を実施し、生地密度が、44ウェール/2.54cm×65コース/2.54cmのトリコット基布Cを作製した。
このトリコット基布Cを両面に用い、ドット接着の条件を、接着面積が全面接着の70%、接着樹脂の厚みが24μmとなるように調整した以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付153.8g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例4)
上述の28ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)のみを用い、組織が、1−0/2−1/2−3/1−2の閉じ目のシングルアトラストリコット編地を編立した。この編地に分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を施し、生地密度が44ウェール/2.54cm×65コース/2.54cmのトリコット基布Dを作製した。
このトリコット基布Dをフィルムの両面に用いた以外は、実施例1と同様に三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付151.0g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例5)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリカーボネートポリウレタン樹脂に、不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚70μmのフィルムを調製した。このフィルムの両面に、実施例1で得られたトリコット基布Aを、実施例1における全面接着およびドット接着と同様の条件で積層加工し、三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付162.4g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例6)
ポリカーボネートポリウレタン樹脂に、不透過の顔料を添加して得られたマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚12μmのフィルムに、接着面積が全面接着の5%、接着樹脂の厚みが24μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は、実施例1の全面接着と同様の条件で積層加工を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aを、ドットのないフラットなロールを用いて実施例1と同様の積層加工を行い、三層積層生地を作製した。この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付148.8g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例7)
実施例1と同様に調整したポリカーボネートポリウレタンに、不透過の顔料を添加したマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚12μmのフィルムに、接着面積が全面接着の50%、接着樹脂の厚みが5μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は実施例1と同様のドット接着と同様の条件でドット接着を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aを、ドットのないフラットなロールを用いて実施例1における全面接着の条件と同様の条件で全面接着を行い、三層積層生地を作製した。この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付148.8g/mの積層生地を得た。
(実施例8)
ポリカーボネートポリウレタン樹脂に不透過の顔料を添加して得られたマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚14μmのフィルムの両面に、実施例1のトリコット基布Aのアンダーラップ側を、ドットのないフラットなロールを用いて実施例1における全面接着と同様の条件で積層し、三層積層生地を作製した。この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付173.4g/mの積層生地を得た。
(実施例9)
フィルムの両面にトリコット基布Aのループ側を接着した以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付152.5g/mの積層生地を得た。
(実施例10)
上述の28ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)に、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)とポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント原糸28デシテックス/2フィラメント(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有、ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)とをZ撚(300T/M)で合撚した糸を、2本/吋のピッチで配列した。そして、組織が、1−0/2−1/2−3/1−2/1−0/2−1/2−3/2−1/1−0/2−1/2−3/2−1/1−0/2−1/2−3/2−1の開き目を45%含んだシングルアトラストリコット編地を編立した。この編地に、分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を実施し、生地密度が、44ウェール/2.54cm×65コース/2.54cmのトリコット基布Fを作製した。
このトリコット基布Fを両面に用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付152.4g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例11)
実施例1と同様に調整したポリカーボネートポリウレタンに、不透過の顔料を添加したマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚10μmのフィルムに、接着面積が全面接着の10%、接着樹脂の厚みが10μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は実施例1と同様のドット接着と同様の条件でドット接着を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、ドット接着に用いた接着樹脂と同様の接着樹脂を用い、ドットのないフラットなロールを用いて接着樹脂の厚みが10μmとなる様に、ドット接着と同様の条件で加圧接着を行い、常温下で48時間放置・熟成して、三層積層生地を作製した。
この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付148.5g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例12)
実施例1と同様に調整したポリカーボネートポリウレタンに、不透過の顔料を添加したマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚50μmのフィルムに、接着面積が全面接着の90%、接着樹脂の厚みが100μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は実施例1と同様のドット接着と同様の条件でドット接着を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、ドット接着に用いた接着樹脂と同様の接着樹脂を用い、ドットのないフラットなロールを用いて接着樹脂の厚みが100μmとなる様に、ドット接着と同様の条件で加圧接着を行い、常温下で48時間放置・熟成して、三層積層生地を作製した。
この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付170.2g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例13)
ポリカーボネートポリウレタン樹脂に、不透過の顔料を添加して得られたマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚12μmのフィルムに、接着面積が全面接着の95%、接着樹脂の厚みが24μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は、実施例1の全面接着と同様の条件で積層加工を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aを、ドットのないフラットなロールを用いて実施例1と同様の積層加工を行い、三層積層生地を作製した。この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付158.4g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例14)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリカーボネートポリウレタン樹脂に、不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚5μmのフィルムを調製した。このフィルムの両面に、実施例1で得られたトリコット基布Aを、実施例1における全面接着およびドット接着と同様の条件で積層加工し、三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付146.8g/mの本発明の積層生地を得た。
(実施例15)
実施例1と同様に調整したポリカーボネートポリウレタンに、不透過の顔料を添加したマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚12μmのフィルムに、接着面積が全面接着の50%、接着樹脂の厚みが130μmとなるように調整したグラビアロールを用いた以外は実施例1と同様のドット接着と同様の条件でドット接着を行い、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aを、ドットのないフラットなロールを用いて実施例1における全面接着の条件と同様の条件で全面接着を行い、三層積層生地を作製した。この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付174.9g/mの本発明の積層生地を得た。
(比較例1)
上述の28ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)に、ポリエチレンテレフタレートフィラメントの仮撚加工糸56デシテックス/36フィラメント(ユニチカトレーディング社製)とポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント原糸28デシテックス/2フィラメント(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有、ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)とをZ撚(300T/M)で合撚した糸を、2本/吋のピッチで配列した。そして、組織が1−0/1−2/2−3/2−1である開き目を50%含んだシングルアトラストリコット編地を編立した。この編地にこの編地に分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を施し、生地密度が、44ウェール/2.54cm×65コース/2.54cmのトリコット基布Eを作製した。
トリコット基布Aに代えて、得られたトリコット基布Eを用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付151.5g/mの積層生地を得た。
(比較例2)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリエステル系ポリウレタン樹脂に、不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚14μmのフィルムを作製した。
実施例1で得られたフィルムに代えて、上記のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付154.0g/mの積層生地を得た。
(比較例3)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、顔料を含まないポリカーボネートポリウレタン樹脂を用いて、膜厚14μmのフィルムを調製した。
実施例1で得られたフィルムに代えて、上記のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付151.8g/mの積層生地を得た。
(比較例4)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリカーボネートポリウレタン樹脂に不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で膜厚14μmのフィルムを調製した。このフィルムに、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、耐熱性の無いポリウレタン樹脂に芳香族系ポリイソシアネート架橋剤とアミン系促進剤を加えた接着樹脂を用いて、接着面積を全面接着の50%、接着樹脂の厚みが24μmとなるように調整したグラビアロールで、温度100℃×線圧1.5kg/cmの条件で加圧してドット接着し、常温下で48時間放置・熟成して、二層積層生地を作製した。
次に、この二層積層生地の離型紙を剥離したフィルム面に、トリコット基布Aのアンダーラップ側を、ドット接着に用いた接着樹脂と同様の接着樹脂を用い、ドットのないフラットなロールを用いて接着樹脂の厚みが37μmとなる様に、ドット接着と同様の条件で加圧接着を行い、常温下で48時間放置・熟成して、三層積層生地を作製した。
この三層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付154.3g/mの積層生地を得た。
(比較例5)
実施例1と同様に調整した二層積層生地の両耳端をカットして巾を揃えた後、トリコット基布面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付90.8g/mの積層生地を得た。
(比較例6)
日本マイヤー社製24ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレート100%紡績糸40番手単糸(ユニチカトレーディング社製)に、ポリエチレンテレフタレート100%紡績糸40番手単糸(ユニチカトレーディング社製)とポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント原糸(28デシテックス/2フィラメント)(組成:ポリエチレンテレフタレート、導電性セラミック微粒子含有)(ユニチカトレーディング社製、商品名「メガーナ(登録商標)E」)とをZ撚(300T/M)で合撚した糸を、2本/吋のピッチで配列した。そして、組織が、1−0/2−1/2−3/1−2の閉じ目のシングルアトラストリコット編地を編立した。この編地に、分散染料を用いて、マンセル色相環で5Bに相当する青系の色目で公知の条件で染色加工を実施し、生地密度が、35ウェール/2.54cm×40コース/2.54cmのトリコット基布Gを作製した。
このトリコット基布Gを両面に用いた以外は、実施例1と同様にして三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付280g/mの本発明の積層生地を得た。
(比較例7)
ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用い、ポリカーボネートポリウレタン樹脂に不透過の顔料を添加した樹脂を用いて、マンセル色相環で5Pに相当する紫系の色目で膜厚12μmのフィルムを調製した。このフィルムの両面に、実施例1で得られたマンセル色相環で5Bに相当する青系の色目のトリコット基布Aを、実施例1における全面接着およびドット接着と同様の条件で積層加工し、三層積層生地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、表裏両面にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施し、目付152.5g/mの積層生地を得た。
実施例1〜15および比較例1〜7で得られた積層生地についての評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3及び実施例9〜12の積層生地は、洗濯・滅菌耐久による寸法安定性や耐水圧等の強力保持性に優れ、風合や生地外観も良好で帯電電荷量も優秀な数値を示し、医療用被服や医療用資材に用いる生地として好適であった。
実施例4は、導電性繊維をトリコット基布に使用していなかった為、帯電電荷量が大きいものであったが、十分に実使用に耐えうるものであった。
実施例5は、フィルムの厚みが好ましい範囲より過大であったため、柔軟性に改善の余地を残すものであった。
実施例6は、ドット接着の接着面積が過少であったため、洗濯・滅菌処理後の耐水圧及び剥離強力に改善の余地を残すものであった。また、トリコット基布とフィルムが部分的に剥離を起こしていた。
実施例7は、接着樹脂の厚みが過小であったため、洗濯・滅菌処理後の耐水圧及び剥離強力に改善の余地を残すものであった。また、トリコット基布とフィルムが部分的に剥離を起こしていた。
実施例8は、フィルムの両面にトリコット基布を全面接着したため、トリコット基布の柔軟性を損ねてしまい、風合的にソフトさに欠けるものとなった。
実施例13は、ドット接着における接着面積の割合が高すぎた為、トリコット基布を全面接着したものとほとんど差がなくなり、柔軟性に改善の余地を残すものであった。
実施例14は、フィルムの厚みが好ましい範囲より過小であったため、耐水圧及び剥離強力に改善の余地を残すものであった。
実施例15は、接着樹脂の厚みが過大であったため、接着時に余剰の接着樹脂がトリコット基布の表面まで浸透して、外観的に劣るものであった。
比較例1は、トリコット基布の閉じ目の編目が55%未満であったため、編立及び染色・積層加工において伝線等の欠点を多く発生してしまい、外観的にも劣るものであった。
比較例2は、フィルムにポリエステル系ポリウレタン樹脂を使用した為、洗濯・滅菌処理を50回繰り返した後にフィルムの劣化を起こし、洗濯・滅菌処理によりフィルムが劣化し、80回の時点でフィルム破れ・剥離が発生した。すなわち、耐久性に劣るものであった。
比較例3は、フィルムが透過タイプであった為、ドット接着側のトリコット基布の組織柄と、ドット接着した接着樹脂部分が全面接着側からも透けて見え、これが全面接着側のトリコット基布と重なり合ってモアレを引き起こした。加えて、フィルムにトリコット基布と同系色の色がついていなかった為、実施例と比較して洗濯・滅菌100回後の変色・退色が非常に大きいものであった。
比較例4は、接着樹脂にポリカーボネート系ではないポリウレタン樹脂を使用した為、洗濯・滅菌による剥離が発生した。
比較例5は、トリコット基布の片面にしかトリコット基布を積層していなかった為、洗濯でのピンホール発生や滅菌時のフィルム同士の貼り付き・破れ等が発生した。
比較例6は、トリコット基布がフィラメントではなく紡績糸から構成されていた為、生地表面の毛羽立ちが多く、また洗濯回数を増す毎に毛羽立ちの程度が大きくなり、外観上劣るものであった。また、生地から脱落する毛羽・ホコリ等も多く、これらの患部・術部への付着が懸念されるものであった。
比較例7は、フィルムの色目がトリコット基布と同系色でなかった為、生地全体としての一見色がシャンブレー調になり、外観として目への負担が大きいものとなった。

Claims (8)

  1. トリコット基布がフィルムの両面に接着樹脂を介して積層された三層構造を有し、該トリコット基布がポリエステルフィラメントを含み、且つ生地中の閉じ目の編目が全編目の55%以上であり、該フィルムがポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とし、且つトリコット基布と同系色の光散乱性を有するものであり、接着樹脂がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分とすることを特徴とする積層生地。
  2. フィルムの一方の面にトリコット基布が全面接着され、フィルムの全面接着された面の反対側の面にトリコット基布がドット接着され、且つドット接着における接着面積がフィルム全面中10〜90%であることを特徴とする請求項1記載の積層生地。
  3. フィルムの厚みが5〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層生地。
  4. 接着樹脂の厚みが片面につき10〜100μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層生地。
  5. トリコット基布に導電性繊維が含有されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の積層生地。
  6. 帯電電荷密度が7μC/m以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層生地。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の積層生地を用いてなる医療用被服。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の積層生地を用いてなる医療用資材。
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