JP5755976B2 - 医療用織物 - Google Patents

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本発明は、各種医療用資材に好適な織物に関するものである。
従来から、医師、看護師が着用する手術衣としてサージカルガウンが知られている。サージカルガウンは、バクテリアバリア性や血液バリア性などに優れる他、防塵性にも優れるが、通気性に乏しいため、着用時、蒸れ感を強く感じるという欠点がある。そのため、サージカルガウンの下にスクラブスーツと呼ばれる手術下着を着用することにより、かかる蒸れ感の軽減が図られている。
スクラブスーツの多くは綿糸から構成されており、吸汗・吸湿性の点で優れている。しかし、洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返すと、耐久性や風合いが損なわれるという欠点がある。そこで、綿とポリエステルとの混紡糸を使用したものが提案されているが、チクチクした肌触りが災いし普及には至っていない。
サージカルガウンは、このように着用時に蒸れ感を感じるものであるから、医師・看護師は、普段、待機のときはスクラブスーツを着用し、必要時にサージカルガウンを着用するようにしている。
このように、待機時はスクラブスーツを着用し、手術などにあたる際はその上からサージカルガウンを着用するが一般的である。しかし、一刻を争う救急医療の現場などでは、ガウンを着用する時間の確保が難しく、時にはサージカルガウンを着用せずそのまま手術にあたらねばならないことがある。そのため、このような現場から、スクラブスーツ、サージカルガウン両者の特性を併せ持つ医療用織物の要望がある。
そこで、芯層に配されたポリエステル短繊維の周囲を綿で覆った複重層糸を用いて所定の医療用織編物を得る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−78464号公報
特許文献1記載の織編物は、吸汗性、吸水性、肌触りの良さを実現できるもので、医療用織編物として一応完成に近い形にある。しかし、同織編物には、菌やウイルスの透過を抑止するために耐熱性フィルムが積層接着されている。そのため、軽量性や柔軟性に欠け、さらにフィルムにより空気の流れが大きく遮られてしまうために、蒸れ感を十分には軽減できない点でなお問題が残されている。
本発明は、上記のような問題を解消するものであり、バクテリアバリア性、血液バリア性などに優れるといった特性、洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返えしても耐久性や風合いが損なわれず、さらに蒸れ感を大きく軽減することのできる、着衣快適性に優れる新規な医療用織物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)ポリエステル短繊維よりなる芯層をセルロース繊維よりなる鞘層で被覆し、前記芯層および前記鞘層の質量比(芯:鞘)が20:80〜60:40である複重層糸を構成糸としたコーティング層およびラミネート層を備えていない織物であって、該織物のカバーファクターが33.5〜38.0であり、該織物の洗濯・耐熱滅菌処理100回後の物性値が下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする医療用織物。
(i)通気度が10cm/cm・sec以下。
(ii)透湿度が300g/cm・hr以上。
(iii)RMAが1.5%以上。
(iv)RMDが1.5%以上。
(2)洗濯・耐熱滅菌処理100回後の寸法変化率が15%以下であることを特徴とする(1)記載の医療用織物。
(3)洗濯・耐熱滅菌処理100回後の撥水度が2級以上及び該耐水圧が50mmHO以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の医療用織物。
(4)帯電電荷密度の絶対値が7.0μC/m未満であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の医療用織物。
本発明の織物は、スクラブスーツ、サージカルガウン両者の特性を併せ持つものである。すなわち、優れたバクテリアバリア性、血液バリア性の他、洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返しても耐久性と良好な風合いを維持でき、さらに蒸れ感をも大きく軽減することができるものである。
本発明の織物は、ポリエステル短繊維よりなる芯層をセルロース繊維よりなる鞘層で被覆してなる複重層糸を構成糸とする。本発明では、可紡性、抱合性の観点から複重層糸は芯鞘層共に短繊維から構成される。そして、複重層糸の鞘層にセルロース繊維を配することで、織物の風合いを良好なものとでき、さらに水分を糸外側へ容易に移動させることができるので織物の乾燥効率を大幅に向上させることができる。また、複重層糸の芯層にポリエステル短繊維を配することで、織編物を繰り返し洗濯・耐熱滅菌処理しても一定以上の耐久性を維持できる。
複重層糸の芯層に配されるポリエステル短繊維としては、従来公知のものが使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどからなる短繊維が使用できる。中でも、織物を洗濯・耐熱滅菌処理しても耐熱性や色相を維持し易いポリエチレンテレフタレートからなる短繊維が好適である。また、これらのポリエステル短繊維は、末端封鎖剤などによって分子の末端が封鎖されていてもよく、これにより織物の耐アルカリ加水分解性を向上させることができる。
一方、鞘層に配されるセルロース繊維としては、例えば、綿、キュプラ、リヨセルなどからなる繊維が使用でき、中でも洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返すことによる織物の耐久性低下を抑制する観点から綿が好ましい。
複重層糸における芯鞘質量比(芯:鞘)としては、20:80〜60:40が必要であり、30:70〜40:60がより好ましい。芯層の比率が20を下回ると、織物の速乾性が低下する傾向にあるばかりか、洗濯を繰り返す度に織物の風合いが低下する傾向にあり、好ましくない。一方、芯層の比率が60を上回ると、複重層糸表面にポリエステル短繊維が露出することがあり、結果、織物に染色斑が発生し易くなるばかりか、チクチクした肌触りが強まって着衣快適性を低減させる傾向にあり、好ましくない。
本発明の織物においては、該織組織は特に限定されないが、組織点の多いものを採用すると洗濯・耐熱滅菌処理後の耐久性が向上するため、平組織、綾組織、石目平、ヘリンボンが好ましく、特に1/1平織組織,2/1綾織組織がより好ましい。
さらに、本発明の織物は、コーティング層並びにラミネート層を備えていないことを必須の要件とする。コーティング層やラミネート層を備えていると、菌、ウイルスの他、血液、体液の透過・浸透を抑止する点、すなわち、良好なバクテリアバリア性や血液バリア性を向上できる点で好ましいが、反面、風合いが大きく低下すると同時に蒸れ感を強く感じるため、着衣快適性が低下する。
これに対し、本発明の織物は、バクテリアバリア性、血液バリア性を備えているだけでなく、風合いに優れ、蒸れ感を効果的に抑えることができる。これは、本発明の織物が特定の物性を満足するからである。
本発明の織物においては、カバーファクター(CF)が33.5〜38.0であることが必要であり、34.0〜36.0が好ましい。ここで、カバーファクターとは、織物を構成する糸条の太さと織物密度とによって定められる織物構造の粗密を表わす係数であり、下記式によって算出される。
CF=A+B
ただし、A、Bは下記式により算出される数値である。
A={(織物の経糸の密度(本/インチ)÷√経糸の番手)+(織物の緯糸の密度(本/インチ)÷√緯糸の番手)}÷2
B={(織物の経糸の密度(本/インチ)÷√経糸の番手)+(織物の緯糸の密度(本/インチ)÷√緯糸の番手)}×(1÷1完全組織数)
なお、上記式中の「1完全組織数」とは、一完全組織、すなわち織物を形成する周期的な織り柄の最小単位における経糸もしくは緯糸の本数の内、多い方の本数を示す。また、「1÷1完全組織数」とは、組織毎での織物の緻密さを示す数値であり、例えば、平織では1/2、2/1綾織では1/3、2/2綾織及び3/1綾織では1/4、サテン(5枚朱子)では1/5を示す。
前述のカバーファクターが33.5未満の場合には、緻密さが不足して通気度が抑えられない懸念があり、逆にカバーファクターが38.0を超える場合は密度が高過ぎて製織が困難になり、また引裂強力の低下を起こす懸念もある。
ここで、織物の通常のカバーファクターは27〜32程度であるが、本発明の医療用織物においては、複重層糸の構成を特定し、さらに該織物のカバーファクターを通常使用しないような範囲とすることで、製織性、引裂強力、洗濯・滅菌耐久性、着用感を保持しつつ、該織物の通気性やバクテリ浸透性を抑える一方で、透湿性、RMA、RMDを向上させるなど、相反する特性を両立させることが可能になる。
前述のカバーファクターとするためには、例えば、経糸・緯糸共に30番手の平織物の場合、経糸の密度としては、117本/インチ〜130本/インチが好ましく、121本/インチ〜125本/インチがより好ましい。緯糸の密度としては、64本/インチ〜78本/インチが好ましく、65本/インチ〜72本/インチがより好ましい。また、例えば、経糸・緯糸共に30番手の2/1綾織物の場合、経糸の密度としては、130本/インチ〜145本/インチが好ましく、132本/インチ〜139本/インチがより好ましい。緯糸の密度としては、90本/インチ〜105本/インチが好ましく、92本/インチ〜98本/インチがより好ましい。
次に、本発明の織物の物性について説明する。
本発明の織物においては、通気度は10cm/cm・sec以下であることが必要であり、7.5cm/cm・sec以下であることが好ましい。通気度が10cm/cm・secを超えると、該織物に隙間ができる結果、バクテリアバリア性、血液バリア性が低下し、中でも固形・微粒子状の乾燥状態のバクテリアの透過の抑制力が低下する。なお、通気度を所望の範囲となすには、前述の織組織、カバーファクターなどを選択すればよく、さらにカレンダー加工等の目潰し加工も好ましく選択される。
本発明の織物は、血液やバクテリアからの防護を目的とする医療用織物として使用される為、通気度を抑える必要がある一方で、衣服内の蒸れにより発生した湿気を吸収して衣服外へ放出する必要がある。そのため、本発明の織物においては、透湿度が300g/cm・hr以上、吸湿能力(Real Moisture Absorption、RMAと略する場合がある。)及び放湿能力(Real Moisture Disabsorption、RMDと略する場合がある。)がそれぞれ1.5%以上を満足する必要がある。これにより、着用時の蒸れ感を大きく軽減することができる。
ここで、RMAは、後述するように、25℃、60%RHの常温常湿条件下から34℃、90%RHの高温高湿条件下に移した際の生地の吸湿量で表わされ、RMAが高いほど衣服内の蒸れにより発生した湿気を吸収する能力が高いことを示す。RMDは、34℃、90%RHの高温高湿条件下から25℃、60%RHの常温常湿条件下に移した際の生地の放湿量で表され、RMDが高いほど生地が吸収した湿気を外気へ放出する能力が高いことを示す。これらの値が1.5%未満である場合には、衣服内の蒸れ感を十分に軽減することができない。
上記RMA、RMDは、衣服着用時の衣服と肌との間の通常の雰囲気環境(運動前)が25℃、60%RHであるのに対し、運動により同雰囲気環境が、34℃、90%RHと高温高湿条件になるといわれていることから採用される指標である。すなわち、RMA、RMDを特定の範囲とすることは、発汗により不快となった該雰囲気環境を、衣服等への吸湿及び衣服等からの放湿することによる良好な着用感を維持させる能力を示すものである。
さらに、本発明の織物においては、上記RMA、RMDに加え、衣服の内側から外気へ湿度を移行する能力、すなわち透湿度も同時に要求される。RMA、RMDの両方が高くても、コーティングやラミネート等の透湿性を妨げる皮膜が存在する場合、衣服内の蒸れた湿気を外気へ放出する能力が不足し、衣服内の蒸れ感を軽減することができなくなるためである。
そこで、本発明の織物においては、コーティング層およびラミネート層等の透湿性を阻害する皮膜を付与しないことを必須とし、セルロース等の吸湿性・放湿性に優れた繊維の混用率及び織物のカバーファクターなどを前記の範囲に調整することによって、透湿度及びRMA,RMDを所望の範囲にすることが出来る。
また、本発明の織物は、医療用途を対象とするものである。医療用織物は、通常、洗濯・耐熱滅菌処理をして使用される。この点を鑑みると、上記通気度、透湿度は、洗濯・耐熱滅菌処理した後においても満足することが好ましい。さらに、実際の医療現場では、織物の使用、洗濯・耐熱滅菌処理というサイクルが繰り返されるから、洗濯・耐熱滅菌処理を相当回数繰り返した後でも通気度、透湿度、RMA、RMDが、上記範囲を満たすことが必要である。すなわち、通気度10cm/cm・sec以下、透湿度300g/cm・hr以上、RMA(吸湿能力)及びRMD(放湿能力)が1.5%以上という要件は、洗濯・耐熱滅菌処理を複数回行った後、具体的には、通常医療用織物として反復使用される回数として、100回該処理を行った後でも満足することが必要である。
本発明における洗濯・耐熱滅菌処理とは、織物を洗濯した後、耐熱滅菌処理を行なうことをいい、以下に具体的に説明する。
洗濯には、一般にワッシャー型洗濯機が用いられる。条件としては、温度70℃前後、pH9前後、浴比1:30前後、洗剤濃度1g/L前後で20分間程度とするのが一般的である。洗濯後は、織物をすすぎ、脱水、タンブル乾燥し、次なる耐熱滅菌処理に導入する。
耐熱滅菌処理には、一般にオートクレープが用いられる。条件としては、温度120℃前後で15分間程度とするのが一般的である。
織物の汚れを落とすには、洗濯、耐熱滅菌処理の一方だけでは足りず、このように、織物を洗濯した後、これを耐熱滅菌処理するのが一般的である。なせなら、医療現場において織物に付着する汚れには、通常の汚れの中に菌・ウイルスなどが含まれているからである。
洗濯・耐熱滅菌処理の条件は、上記のように一般家庭洗濯とは比べものにならない程厳しいものである。このような厳しい洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返し行なうため、繰り返しの滅菌処理後であっても着心地よく着用するには、該織物は、相応の寸法安定性を有することが好ましい。すなわち、本発明の織物においては、洗濯・耐熱滅菌処理100回後に、タテ・ヨコいずれの方向においても、寸法変化率が15%以下であることが好ましい。
該寸法変化率を15%以下とするためには、該織物のカバーファクターを前述の範囲とすることに加え、後述する染色加工前後の熱セット条件を180〜210℃とすることが好ましく、185〜200℃とすることがより好ましい。さらには、染色前及び染色後の熱セット段階において、例えば、生地幅を1.2倍以上とするような、無理な引張加工等を行わないことなどが好ましい。
前述のように、厳しい洗濯・耐熱滅菌処理を繰り返し行なうため、繰り返しの滅菌処理後であっても着心地よく着用するには、該織物は、洗濯・耐熱滅菌処理100回後においてもなお、相当程度の引張強力及び引裂強力を保持していることが好ましく、具体的には、タテ・ヨコいずれの方向においても、引張強力300N以上及び引裂強力5N以上を維持していることが好ましい。
本発明の織物は、前述のように医療用途を対象とするものである。しかるに、織物が、バクテリアバリア性、血液バリア性により優れているのが好ましい。バクテリアバリア性、血液バリア性を効率よく向上させるには、織物に撥水加工を付与し織物の耐水圧を所定範囲に設定することが好ましく、具体的には、撥水度2級以上及び耐水圧50mmHO以上を満足することが好ましい。この場合の撥水度、耐水圧も、洗濯・耐熱滅菌処理100回後のものであることが好ましい。
撥水加工に用いる撥水剤としては、フッ素系撥水剤やシリコーン系撥水剤が好適に用いられる。また、織物の耐水圧を上げるには、カレンダー加工が効果的である。
さらに、医療現場では、多くの電子医療機器が用いられることから、該織物は、静電気を溜め込み難いものであることが好ましい。具体的には、本発明の織物の帯電電荷密度は、タテ・ヨコいずれの方向においても、摩擦布として、アクリル摩擦布、ナイロン摩擦布のいずれを用いても、絶対値で7.0μC/m未満であることが好ましく、同4.0μC/m未満であることがより好ましい。帯電電荷密度を上記範囲とするためには、織物内に導電性繊維を1〜2本/インチ程度の割合で含有させることにより可能となる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の評価は下記の方法で行った。
(1)通気度
JIS L1096フラジール法に基づき、織編物の通気度を測定し、単位:cm3/cm2・secで評価した。
(2)透湿度
JIS L−1099A−1法(塩化カルシウム法)に基づき、織編物の透湿度を測定し、単位:g/cm2・hrで評価した。
(3)洗濯・耐熱滅菌処理による耐久性
ワッシャー型洗濯機を用い、40cm×40cmの織物を温度70℃、pH9、浴比1:30、洗剤1g/Lで20分洗濯処理した後、常温の水で4分間のすすぎを5回行った後、遠心脱水、タンブル乾燥した。次いで、オートクレーブを用いて、織物を温度121℃で15分滅菌処理を行った。この一連の操作を洗濯・耐熱滅菌処理1回とし、これを100回繰り返した後に、生地の寸法変化率、通気性、透湿性、RMA、RMD、撥水度、耐水圧を測定した。
(4)帯電電荷量
JIS−L−1094(生地評価)に基づき帯電電荷量を測定し、単位:μC/m2で評価した。
(5)着衣快適性
織物を用いて半袖上衣とパンツからなるスクラブスーツを作成し、これを着用して術時と同様の作業をした際の着用感を、快適性及び疲労度の観点から判断し、3段階評価(○:快適性良好である、△:快適性に気になる点がある、×:快適性不良である)を行った。
(6)撥水度
JIS L−1018スプレー法に基づき、織編物の撥水度を測定し、単位:級で評価した。
(7)耐水圧
JIS L−1092低水圧法に基づき、織編物の耐水圧を測定し、単位:mmHOで評価した。
(8)RMA、RMD
タテ・ヨコ25cmの正方形にカットした織物を105℃で2時間乾燥して絶乾状態での質量W(g)を測定した後、温度25℃、相対湿度60%RHの恒温恒湿槽内で2時間放置した後、質量W(g)を測定した。その後、温度34℃、相対湿度90%RHの恒温恒湿槽内で24時間放置した後、質量W(g)を測定した。その後、再度温度25℃、相対湿度60%RHの恒温恒湿槽内で24時間放置した後、質量W(g)を測定した。測定した質量W、W、W、Wから吸湿能力RMA,放湿能力RMDを下記式で算出した。
RMA(%)={(W−W)/W} − {(W−W)/W}×100
RMD(%)={(W−W)/W} − {(W−W)/W}×100
(9)バクテリア浸透性
ISO 22612:2005 (感染症物質に対する防護服−生物学的に汚染されたダストに対する防護服材料の耐浸透性試験方法)にて測定を行い、結果をコロニー形成数の対数値で示した。
(10)寸法変化率
前述の(3)洗濯・耐熱滅菌処理による耐久性記載の方法にて得られた生地の寸法変化を下記式にて測定した。
寸法変化率(%)=(洗濯・耐熱滅菌処理前後の生地のタテ方向又はヨコ方向で変化した長さ/洗濯・耐熱滅菌処理前の生地のタテ又はヨコ方向長さ)×100
なお、表2、3において、該寸法が該処理後に伸びた場合は該寸法変化率はプラス表示とし、縮んだ場合はマイナス表示とした。
(11)引張強力
JIS L1096ストリップ法に基づき、織物の引張強力を測定した。
(12)引裂強力
JIS L1096ペンジュラム法に基づき、織物の引裂強力を測定した。
<実施例1>
ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度:1.45dtex×繊維長:32mm)よりなる芯層30質量%、綿繊維よりなる鞘層70質量%からなる複重層糸30番手(商品名:「パルパー」、ユニチカトレーディング株式会社製)と、該複重層糸30番手にポリエチレンテレフタレート導電糸(商品名:「メガーナE」、ユニチカトレーディング株式会社製、表面漏洩抵抗10Ω)28dtex2fを撚り合わせた合撚糸を作成した。続いて、該複重層糸と該合燃糸を61:1の割合で配列して経糸ビームを準備し、これをエアージェットルームに仕掛けた後、緯糸に該複重層糸を用いて製織し、平組織の生機を得た。得られた生機の経方向には、上記合撚糸が2本/インチの割合で均等に配列されていた。
次に、得られた生機をシルケット,精錬・漂白した後、テンターを用いて190℃で熱セットを行った後、連続染色機を用いて分散染料及びスレン染料で染色加工を行った後、テンターを用いて160℃で熱セットを行い、経糸密度124本/インチ、緯糸密度70本/インチの医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは35.4であった。
<実施例2>
実施例1で得られた平組織の織物生機を用い、シルケット、精錬・漂白を行った後に温度150℃×線圧90kg/cmで熱カレンダー加工し、その後、テンターにて190℃で熱セットを行い、実施例1と同様にして染色加工を実施後、さらにフッ素系撥水剤6重量%及びブロックイソシアネート化合物0.5重量%の混合水溶液に浸漬した後、テンターで150℃の温度下で120秒間のキュアリング処理を施して撥水加工し、経密度124本/インチ、緯密度70本/インチの医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは35.4であった。また、該原布の撥水度5級、耐水圧256mmHOであり、該洗濯・耐熱滅菌処理100回後の撥水度は2級、耐水圧は69mmHOであった。
<実施例3>
該複重層糸と該合燃糸を59:1の割合で配列して経糸ビームを準備し、経糸密度120本/インチ、緯糸密度65本/インチとした以外は、実施例1と同様に行い、医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは33.8であった。
<比較例1>
ポリエチレンテレフタレート短繊維よりなる芯層30質量%、綿繊維よりなる鞘層70質量%からなる複重層糸30番手の代わりに、ポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸140dtex460fを用い、経糸密度136本/インチ、緯糸密度90/インチとした以外は、実施例1と同様にして医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは34.8であった。なお、実施例1に比べ、フィラメント100%使いの高密度織物のため、エアージェットルームに代えて、ウォータージェットルーム織機を用い、また、経糸がフィラメント100%使いのため、連続染色機による分散染料及びスレン染料での染色加工に代えて、液流染色機による分散染料での染色加工を行った。
<比較例2>
ポリエチレンテレフタレート短繊維よりなる芯層30質量%、綿繊維よりなる鞘層70質量%からなる複重層糸30番手の代わりに、綿100%紡績糸30番手を用いた以外は実施例1と同様に行い、医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは35.4であった。
<比較例3>
押出ラミネート離型紙を用いて作成した膜厚20μmのポリカーボネートポリウレタンフィルム上に、ポリカーボネートポリオール樹脂に芳香族系ポリイソシアネート架橋剤とアミン系促進剤を加えた接着樹脂を、フィルム100質量部に対して接着樹脂が50質量部になるように全面に均一に積層した後、実施例1で得られた医療用織物原布を重ね、温度100℃×線圧1.5kg/cmの条件で加圧接着し、常温下で48時間放置・熟成して医療用織物原布(ラミネート品)を得た。該原布の織物部分のカバーファクターは35.4であった。
<比較例4>
ポリエチレンテレフタレート短繊維よりなる芯層30質量%、綿繊維よりなる鞘層70質量%からなる複重層糸30番手の代わりに、ポリエチレンテレフタレート短繊維が30重量%、綿繊維が70重量%の混紡糸30番単糸を用い、複重層糸と導電糸の合撚糸のところに複重層糸30番手単体を用いた以外は実施例1と同様に行い、医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは35.4であった。
<比較例5>
該複重層糸と該合燃糸を55:1の割合で配列して経糸ビームを準備し、経糸密度115本/インチ、緯糸密度60本/インチとした以外は、実施例1と同様に行い、医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは32.0であった。
<比較例6>
ポリエチレンテレフタレート短繊維よりなる芯層30質量%、綿繊維よりなる鞘層70質量%からなる複重層糸30番手の代わりに、ポリエチレンテレフタレート短繊維よりなる芯層を70質量%、綿繊維よりなる鞘層を30質量%とした以外は実施例1と同様に行い、医療用織物原布を得た。該原布のカバーファクターは35.4であった。
実施例1〜3及び比較例1〜6の織物生地について、前述した諸性能を評価した。織物生地の構成を表1に、得られた結果を表2、表3、表4に示す。
表2に示すように、実施例1〜3については、寸法変化率、通気性、透湿性、RMA、RMD、帯電電荷量、着用感の何れにおいても優秀な成績を示し、また洗濯・滅菌耐久性、バクテリア浸透性についても問題のないものであった。着用試験においても蒸れが少なく快適性に優れ、疲労も少ないと高評価が出ており、医療用被服・資材用生地として好適であることが実証された。加えて、カレンダー加工及び撥水加工を行なった実施例2においては、表4に示すように撥水性及び耐水圧についても良好で、これらの洗濯・滅菌耐久性も問題なく、感染防護性をより向上できるものであった。
一方、表3に示すように、比較例1においては、綿繊維を含まない糸を経糸・緯糸に用いたため、RMA、RMDが不十分であり、比較例6においては、複重層糸に含まれる綿繊維の量が少なすぎたため、RMA、RMDが不十分で、結果として着用感としての快適性が劣っていた。加えて、比較例1では発汗時に生地が肌に貼り付いて不快感が高いものであった。比較例2においては、綿100%の紡績糸を経糸・緯糸にて用いたため、快適性には優れていたものの、洗濯・滅菌処理100回後の寸法安定性が劣り、繰り返しの使用に懸念のあるものであることが判明した。比較例3においては実施例1の生地にラミネート加工をしたため、バクテリア浸透性(感染防護性)の点では良好ではあったが、透湿性が大きく低下した為、衣服内の蒸れの軽減効果が低く着用感に劣るものであった。さらに、生地重量が重く風合も硬くなった。比較例4においては、複重層糸に代えて混紡糸を用いた為、生地の肌触りが実施例1、2に比べて硬くなってしまい、肌への低刺激性の点で劣るものであった。これは、生地表面にPETが多く析出し、結果として毛羽数が少なくなり、風合いを硬化させたものと推測される。また、導電性繊維を繊維中に使用していない為に帯電電荷量が大きく、医療用の精密機器に影響を及ぼす懸念があることがわかった。比較例5においては、生地密度が不十分で通気度が高すぎた為、バクテリア浸透性が高くバリア性に劣るものであった。加えて洗濯・滅菌による寸法変化率が大きく、製品の収縮が大きく使用上問題を来たすものであった。

Claims (4)

  1. ポリエステル短繊維よりなる芯層をセルロース繊維よりなる鞘層で被覆し、前記芯層および前記鞘層の質量比(芯:鞘)が20:80〜60:40である複重層糸を構成糸としたコーティング層およびラミネート層を備えていない織物であって、該織物のカバーファクターが33.5〜38.0であり、該織物の洗濯・耐熱滅菌処理100回後の物性値が下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする医療用織物。
    (1)通気度が10cm/cm・sec以下。
    (2)透湿度が300g/cm・hr以上。
    (3)RMAが1.5%以上。
    (4)RMDが1.5%以上。
  2. 洗濯・耐熱滅菌処理100回後の寸法変化率が15%以下であることを特徴とする請求項1記載の医療用織物。
  3. 洗濯・耐熱滅菌処理100回後の撥水度が2級以上及び該耐水圧が50mmHO以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用織物。
  4. 帯電電荷密度の絶対値が7.0μC/m未満であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の医療用織物。
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