JP5538545B2 - ポリアクリロニトリルプリカーサ糸の安定化 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアクリロニトリルから成る糸を安定化させるための方法に関する。
ポリアクリロニトリルから成る安定化されたマルチフィラメント糸は、炭素繊維を製造する際に必要とされる。現在の炭素繊維は大部分がポリアクリロニトリル繊維、すなわちポリアクリロニトリルプリカーサ糸(ポリアクリロニトリル前駆体糸)から製造される。この場合、ポリアクリロニトリルプリカーサ糸には、まず酸化処理による安定化が施され、その後に、安定化されたプリカーサ糸は引き続き窒素雰囲気中で少なくとも1200℃の温度で炭化され、かつ場合によっては別のステップにおいて約2800℃までの温度で黒鉛化され、こうして炭素繊維が得られる。
ポリアクリロニトリルプリカーサ糸の安定化とは、一般に化学的な安定化反応、特に環化反応および脱水素反応により糸を、熱可塑性の状態から、酸化されかつ不溶融性であると同時に耐火性である状態へ変換することを意味する。安定化は現在、一般にコンベンショナルな対流炉内で200〜300℃の温度でかつ酸素含有雰囲気下に行われる(たとえばF. Fourne著:「Synthetische Fasern」、出版社Carl Hanser Verlag、Muenchen Wien 1995年、第5.7章参照)。この場合、発熱反応を介して、熱可塑性の繊維から、酸化された不溶融性の繊維へのプリカーサ糸のステップバイステップ式の変換が行われる(J.-B. Donnel, R.C.Bansal著:「Carbon Fibers」、Marcel Dekker、Inc.、New York and Basel 1984年、第14〜23頁)。視覚的には、この変換は、最初は白色であった糸が黄色を経て茶色となり、そして最終的には黒色となる糸の特徴的な変色につき認識され得る。安定化は複数のステップもしくは複数の段階においても行うことができる。これらのステップもしくは段階においては、安定化度の増大が達成される。安定化が増大するにつれて、糸の密度も増大し、たとえば1.19g/cmから1.40g/cmへ増大する。この場合、密度の変化は、安定化が増大するにつれてますます顕著となる。
ポリアクリロニトリルプリカーサを変換もしくは安定化させるための発熱化学反応の際には、極めて多くの熱が発生するので、糸の溶融または熱分解が生じる恐れがある。したがって、コンベンショナルな安定化プロセスでは、糸が、種々様々に調温された炉段を通過し、これらの炉段を介して、糸のゆっくりとした加熱が調節されるので、発熱による熱の糸材料からの十分な排出を達成することができる。すなわち、安定化は、たとえば3つの炉段を備えたコンベンショナルな対流炉内で行うことができる。この場合、第1の段では、プリカーサ糸の密度が約0.03g/cmだけ高められるまで安定化を実施するためには、200〜300℃の範囲の温度で一般に少なくとも20分間の滞留時間が必要となる。同様の滞留時間はその他の炉段においても必要とされるので、コンベンショナルなプロセスでは全体的に少なくとも約1時間の滞留時間が安定化のために必要となる。安定化はそれと同時に比較的ゆっくりとしたプロセス速度を必要とし、これにより炭素繊維を連続的に製造する際には、安定化が、速度を決定するプロセスステップとなる。それと同時に、低いプロセス速度およびプロセス実施に応じて最大約2.5時間にも及ぶ恐れがある長い所要滞留時間に基づき、大型の安定化炉が必要となる。したがって、従来よりも短い滞留時間および/または従来よりも高いプロセス速度を可能にする、ポリアクリロニトリルプリカーサ糸を安定化させる方法を求める要望が生じている。
したがって、本発明の課題は、公知先行技術の方法の不都合が少なくとも減じられて、かつ炭素繊維を製造するためのポリアクリロニトリルプリカーサ糸の安定化を、従来よりも高いプロセス速度でかつ/または短い滞留時間で可能にするような、ポリアクリロニトリルから成る糸を安定化させるための方法を提供することである。
本発明に課せられた上記課題は、以下のステップ:
− ポリアクリロニトリル重合体を主体としたプリカーサ糸を用意し、
− アプリケーション室を備えたアプリケータと、高周波数の電磁波を発生させるための手段と、高周波数の電磁波をアプリケーション室内に供給するための手段とを有する、高周波数の電磁波によってプリカーサ糸を処理するためのアプリケーション装置を準備し、
− アプリケーション室内に高周波数の電磁波の、最小電界強さを有する範囲と最大電界強さを有する範囲とを備えた電界を発生させ、かつアプリケーション室内の最大電界強さを、3〜150kV/mの範囲に調節し、
− アプリケーション室および高周波数の電磁波の電界の中へプリカーサ糸を連続的に導入し、かつアプリケーション室および高周波数の電磁波の電界にプリカーサ糸を連続的に通して案内し、
− このときにアプリケーション室内にプロセスガスを導入し、かつ該プロセスガスを、少なくとも0.1m/秒の、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸に対して相対的な流速でアプリケーション室に通し、この場合、プロセスガスの温度を、該温度が臨界的な最低温度Tkritよりも上でかつ最大温度Tmaxよりも下となるように150〜300℃の範囲に調節し、ただし臨界的な最低温度Tkritとは、この温度よりも上で高周波数の電磁波が、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸内に浸透(einkoppeln)して、化学的な安定化反応が進行する温度であり、最大温度Tmaxとは、アプリケーション装置内に導入されたプリカーサ糸の分解温度よりも20℃だけ低い温度である、
より成るステップを包含することを特徴とする、化学的な安定化反応によってポリアクリロニトリルから成る糸を安定化させる方法により解決される。
本発明の枠内で、ポリアクリロニトリル重合体を主体とする、本発明による方法において用意されたプリカーサ糸は、少なくとも85%の重合されたアクリロニトリルを含有する糸である。ポリアクリロニトリル重合体は、たとえばビニルアセテート、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチロールまたはイタコン酸(−エステル)のようなコモノマーの成分を含有していてもよい。
用意された熱可塑性のポリアクリロニトリルプリカーサ糸は、まだ安定化を施されていない糸であってよい。しかし、用意されたプリカーサ糸は、既に部分的な安定化を施されているポリアクリロニトリル糸であってもよい。その場合、本発明による方法では、引き続き安定化が進行する。他方において、本発明による方法は、用意されたプリカーサ糸が本発明による方法によって完全に安定化されることに限定されるものではなく、糸が規定の度合いにまでしか安定化されないように方法を実施することもできる。すなわち、本発明による方法は、ポリアクリロニトリルから成る未処理のプリカーサ糸を部分的に、あるいはまた完全に安定化させるために適しているわけである。また、本発明による方法は、既に部分的に安定化されたプリカーサ糸をさらに部分的にまたは完全に安定化させることをも包含する。この場合、予め行われる部分安定化および/またはあとから行われる安定化の完全化を、同じく本発明による方法を使用して行うか、あるいはまた公知の方法でコンベンショナルな対流炉内で行うこともできる。
本発明による方法を実施する場合、たとえばマグネトロンにおいて高周波数の電磁波が発生させられる。この高周波数の電磁波は適当な手段、有利には導波管または同軸導体を介してアプリケーション室内に案内される。アプリケータは、一般に通路形のアプリケーション室を有している。このアプリケーション室は導電性の材料から成る壁を備えている。アプリケーション室は安定化させたいプリカーサ糸によって通過される。アプリケーション室内には、電磁波が供給される。アプリケーション室を取り囲む壁は、たとえば一貫して延びる金属壁であってよい。しかし、導電性の格子状の材料から壁を形成することも可能である。アプリケーション室はプリカーサ糸の貫通案内方向に対して直交する横方向に、ひいては電磁波の伝播方向に対して直交する横方向に、円形、楕円形または方形の輪郭を有していると有利である。特に有利な実施態様では、アプリケータが方形導波管である。
同じく有利な実施態様では、アプリケーション室がさらに、その壁により取り囲まれた内室に、導電性のエレメントを有している。この導電性のエレメントは有利には金属ロッドである。この場合、この導電性のエレメントがアプリケーション室の長手方向軸線に対して同軸的に延びていると、つまり電磁波の伝播方向に延びていると有利である。これにより、同軸導体が形成される。導電性のエレメントが、アプリケーション室の中央部に配置されていると特に有利である。このような同軸導体では、アプリケーション室が電磁波の伝播方向に対して直交する横方向に、円形の輪郭を有していると有利である。
アプリケーション室は、プリカーサ糸をアプリケータ内に進入させる入口端部および/またはプリカーサ糸をアプリケータから進出させる出口端部に、オリフィスを有していてよい。このオリフィスを通じてプリカーサ糸が貫通案内される。これらのオリフィスにより、高周波数の電磁波はアプリケーション室内に保持される。
たとえばマグネトロンからアプリケータ内に高周波数の電磁波を案内する導波路は、たとえば管であってよい。この管は屈曲管もしくはエルボを介してアプリケーション室に接続されている。この場合、安定化させたいプリカーサ糸はエルボの範囲でエルボの壁を貫いてアプリケーション室内に案内される。
アプリケータ内、すなわちアプリケーション室内では、供給された高周波数の電磁波が、アプリケーション室の幾何学的形状により規定された、波極大点と波極小点とを有する電界構造、つまり最大電界強さの範囲と、最小電界強さの範囲とを有する電界構造を形成する。本発明によれば、アプリケーション室内では、高周波数の電磁波の最大電界強さが、3〜150kV/mの範囲のレベルに調節される。電界強さのこのレベルはアプリケータの未供給状態、つまり安定化させたいプリカーサ糸がアプリケータを通過しない状態に関するものである。実験において、安定化の際にプリカーサ糸において進行する変換反応に関しては、アプリケーション室内で5〜50kV/mの範囲の高周波数の電磁波の最大電界強さが形成されると好都合であることが判った。この場合、それと同時に、既に部分的に安定化されているプリカーサ糸の場合には、電界強さが上側の範囲に調節され得るのに対して、まだ(部分−)安定化を施されていない糸の場合には、プリカーサ糸の破壊を招く恐れのある激しい発熱変換反応を回避するために、むしろ低い電界強さが調節されることが望ましいことも判った。
本発明による方法を実施するためには、一般にマイクロ波と呼ばれる300MHz〜300GHzの周波数の高周波数の電磁波が有利である。300MHz〜45GHzの範囲のマイクロ波および特別な実施態様では900MHz〜5.8GHzの範囲のマイクロ波が特に有利である。標準的には、本発明による方法を実施するために最良に適している、915MHzおよび2.45GHzの周波数を有するマイクロ波が使用される。
本発明による方法を実施する際に重要となるのは、プロセスガスがアプリケーション室内に導入されて、このアプリケーション室を通流し、そして、アプリケーション室内のプロセスガスの温度が、臨界的な最低温度Tkritよりも上でかつ最大温度Tmaxよりも下となるように150〜300℃の範囲に調節されることである。プロセスガスは本発明による方法の1実施態様では、不活性ガス、たとえば窒素、アルゴンまたはヘリウムであってよい。不活性ガスとして窒素が使用されると有利である。別の有利な実施態様では、本発明による方法において使用されるプロセスガスが酸素含有のガスである。酸素含有のガスを用いた安定化の場合には、より高い炭素収率が得られることが判った。「酸素含有のガス」とは、分子の酸素を含有するガスを意味する。この場合、酸素含有のガス中の分子の酸素の濃度は80容量%よりも少ないと有利である。酸素含有のガスが空気であると特に有利である。
本発明との関連において、「臨界的な最低温度Tkrit」とは、この温度よりも上で高周波数の電磁波が、アプリケーション装置を通過するプリカーサ糸内に十分に浸透し、すなわちこの温度よりも上で高周波数の電磁波が十分に糸によって吸収され、かつ変換反応が行われる温度を意味する。すなわち、プリカーサ糸を安定化させるための変換反応もしくは化学的な安定化反応、すなわち特に環化反応、脱水素反応および酸化反応が進行し得るように高周波数の電磁波がプリカーサ糸内に強力に浸透するようにするためには、アプリケーション室内でプリカーサ糸を取り囲む雰囲気、ひいてはアプリケーション室を通過するプリカーサ糸自体が、特定の閾値温度、つまり臨界的な最低温度を超過しなければならないことが判った。臨界的な最低温度よりも下では、たしかに既に糸内への高周波数の電磁波の浸透が生じ得るが、しかし浸透した電磁波はまだ糸内に、変換反応を開始させるために十分な温度増大を生ぜしめない。なぜならば、それと同時に、糸に対して相対的に流れるプロセスガスによって糸の冷却が行われるからである。
臨界的な最低温度Tkritはこの場合、それぞれアプリケーション装置を通って案内されたプリカーサ糸に関して簡単に求めることができる。既に説明したように、臨界的な最低温度よりも上では、電磁波がプリカーサ糸によって十分に吸収され、そしてこれによって生ぜしめられる糸内での温度増大に基づき、糸の安定化をもたらす変換反応が開始される。これにより、とりわけHCNガスが遊離される。HCNガスは汎用の分析方法を用いて、たとえばガスクロマトグラフィ、質量分析法により、またはアプリケータ内に導入されたプロセスガスがアプリケータから導出するガス出口に設けられた電気化学的なHCNセンサによって測定され得る。すなわち、「最低温度」とは、本発明の枠内では、この温度よりも上で、糸内の変換反応、すなわち特に環化反応が行われ、その結果、HCNガスが遊離されるような強さで電磁波が糸内に浸透するか、もしくはそのような強さで糸によって吸収される温度を意味する。択一的に、変換反応の実施を、HCN分解に伴う環化につき、IR分光分析により検出することもできる。
「最大温度Tmax」とは、本発明の枠内では、アプリケーション装置内に導入されたプリカーサ糸の分解温度よりも20℃だけ低い温度を意味する。確実な連続的なプロセス実施のためには、アプリケーション室内に最大に生ぜしめられる温度が、アプリケーション装置内に導入されたガスの分解温度よりも十分な間隔だけ下回っていることが必要である。それよりも高い温度は糸の分解の危険および糸裂断の危険を高め、ひいてはプロセスの中断を招いてしまう。本発明による方法の有利な実施態様では、アプリケーション室内のプロセスガスが、(Tkrit+20℃)と(Tmax−20℃)との間の範囲の温度を有している。分解温度は、熱重量測定により簡単に求めることができる。この場合、分解温度とは、本発明による方法において用意されたプリカーサ糸の試料が、5分間よりも短い時間内でその質量の5%を失う際の温度である。
それぞれの臨界的な最低温度Tkritならびに最大温度Tmaxは、プリカーサ材料に関連しており、すなわちたとえば具体的なポリアクリロニトリル重合体に関連している。この場合、本発明による方法では、炭素繊維製造の目的で汎用的に使用されているポリアクリロニトリルプリカーサ糸を使用することができる。臨界的な最低温度ならびに最大温度にはさらに、場合によってはポリアクリロニトリルに添加された添加剤により影響を与えることができる。こうして、プリカーサ糸は有利な実施態様では、高周波数の電磁波に対するプリカーサ糸の吸収能力の改善をもたらす添加剤を含有することができる。特に有利には、この添加剤はポリエチレングリコール、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである。
臨界的な最低温度ならびに最大温度はさらに、本発明による方法において用意されたプリカーサ糸の安定化度にも関連している。すなわち、安定化度が増大するにつれて、臨界的な最低温度は、より高い値へ向かってシフトすることが判っている。また、安定化増大は熱安定性の増大方向に作用し、このことから分解温度の増大をもたらし、これによって本発明における最大温度の上昇をもたらすことも判っている。
アプリケーション室を通流するプロセスガスの温度の調節は、たとえば所要温度にまで加熱されたガスを、断熱されたアプリケーション室内に供給することにより行われ得る。また、さしあたり低い温度レベルに調温されているプロセスガスを、アプリケーション室内でまたはアプリケーション室に前置された熱交換器内で、たとえば適当な加熱エレメントまたはIR放射線によって所要の温度にまで加熱することもできる。もちろん、アプリケーション室内のプロセスガスの所要の温度を調節するために、種々の方法を組み合わせることも可能である。
ポリアクリロニトリルから成るプリカーサ糸を安定化させる場合、変換反応、たとえば環化反応または脱水素反応が行われるが、これらの反応時では、熱可塑性の糸から熱架橋された糸への糸の変換、ひいては不溶融性であると同時に耐火性の状態への変換が行われる。このときに、既に前で説明した特徴的な糸変色が行われる。進行する変換反応は強力な発熱性の熱量変化(Waermetoenung)を示し、そして安定化の結果、糸の収縮ならびに糸の重量損失が生じ、このことは揮発性の分解生成物、たとえばHCN、NHまたはHOの形成を伴う。それと同時に、プリカーサ糸の密度の増大が行われる。こうして、たとえばポリアクリロニトリル重合体を主体としたプリカーサに関しては、たとえば最初に約1.19g/cmであった密度が安定化によって最終的に最大約1.40g/cmの値にまで増大することを確認することができる。したがって、安定化の度合い、つまり安定化度はプリカーサ材料の密度によっても測定され得る。
本発明による方法では、アプリケーション室内に装入されたプロセスガスが第1に、糸において、糸内への高周波数の電磁波の十分な浸透(Einkopplung)が行われる温度レベルを保証するという役割を持っている。さらにプロセスガスには、一方では変換反応の際に遊離した揮発性の分解生成物、たとえばHCN、NHまたはHOを搬出し、他方では発生した反応熱をも搬出し、かつ特にプリカーサ糸が位置する範囲において、最大温度Tmaxよりも下にある温度レベルを配慮するという役割も加えられる。プロセスガスとして酸素含有のガスが使用される有利な事例では、このガスはさらに、プリカーサ糸内での安定化をもたらす変換反応もしくは酸化反応のために所要量の酸素を提供するという役割をも有している。したがって、本発明による方法では、プロセスガスが、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸に対して相対的に少なくとも0.1m/s(秒)の流速を有するようにプロセスガスがアプリケーション室を通って案内される。流速はプリカーサ糸に対して相対的に0.1m/sよりも上では、前で挙げた要求が満たされるように調節され得る。他方において、流速に関してはこの場合、上限も設定されている。なぜならば、ガスの過度に高い流速はプリカーサ糸の糸走行に不安定性を生ぜしめ、ひいては糸切れもしくは糸の裂断の危険が生じるからである。
本発明による方法の有利な実施形態では、プロセスガスがプリカーサ糸に対して直角にアプリケーション室を通流するようにプロセスガスがアプリケーション室内に導入されかつアプリケーション室から導出される。この場合、プリカーサ糸に対して直角の流速は0.1〜2m/sの範囲にある。本発明による方法の別の有利な実施形態では、プロセスガスが、プリカーサ糸に対して平行にプリカーサ糸の搬送方向に対して並流または向流の形で、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸に対して相対的に0.1〜20m/sの、アプリケーション室の自由横断面に関する平均流速でアプリケーション室を通流するようにプロセスガスがアプリケーション室内に導入されかつアプリケーション室から導出される。流速が0.5〜5m/sの範囲にあると特に有利である。
安定化の際に生じる収縮を阻止し、かつポリアクリロニトリル分子の所定の配向を得るか、もしくは達成するためには、プリカーサ糸がアプリケータ内で規定のテンション下に保持されることが必要である。プリカーサ糸が、0.125〜5cN/texの範囲の糸テンション下にアプリケータを通って案内されると有利である。0.5〜3.5cN/texの範囲内の糸テンションが特に有利である。
一方では十分な安定化もしくは部分安定化を達成し、他方では、安定した糸走行および安定したプロセスを可能にするプロセス条件、たとえばアプリケーション室内での電界強さ、プロセスガスの温度またはその流速に関するプロセス条件を調節し得るようにするためには、アプリケーション室内でのプリカーサ糸の滞留時間が少なくとも20秒間である。滞留時間の所定の上限は、たとえば、糸がアプリケータを通過した後に達成したい所望の安定化度または装置技術的な境界条件、たとえばアプリケータの実現可能な長さに関する境界条件からも得られる。
高い安定化度を達成するための十分に長い滞留時間を実現するためには、第1に、個々のアプリケータを適宜な長さに形成することが可能である。本発明による方法の有利な実施態様では、プリカーサ糸が、相前後して配置された複数のアプリケーション装置、すなわち少なくとも2つのアプリケーション装置を順次に通って連続的に案内される。この場合、これらのアプリケーション装置はそれぞれ高周波数の電磁波の電界を発生させるための固有の手段を備えていてよい。しかし、全てのアプリケーション装置が、たとえば1つの共通のマイクロ波発生器を有していることも可能である。一般に、複数のアプリケーション装置を直列接続することは次のような利点を提供する。すなわち、各アプリケーション装置において、たとえば各アプリケーション装置を通過するプリカーサ糸の目下の安定化度を考慮して、最適のプロセスパラメータ、たとえば電界強さ、プロセスガスの温度、流速、場合によっては使用される酸素含有のガスの酸素含量、滞留時間、糸テンション等に関して、独立した調整を行うことができる。
使用時において、たとえばマイクロ波の周波数は技術的には、好都合な高出力源が入手可能であることに基づき、特定の範囲に規定されている。それと同時に、アプリケーション室内の電界分布はアプリケーション室のジオメトリ、つまり幾何学的形状および供給された電磁波の周波数および出力により決定される。この場合、アプリケーション室内では、電界極大(Feldmaxima)が形成される。電界極大の間隔は特にアプリケーション室のジオメトリ(幾何学的形状)により決定されている。
アプリケーション室内での十分な滞留時間を有する連続的なプロセスでは、安定化させたいプリカーサ糸が、アプリケーション室内において、糸速度により規定されたタイミングで、定在する電界極大を通過する。このときに、平均電界強さおよびプロセスガスの温度に応じて、電界極大の範囲では糸の著しい加熱が行われ、電界極小の範囲では繊維を流過するプロセスガスにより冷却が行われる。このことは、比較的低い繊維速度において、かつ特にまだ安定化が行われていないプリカーサ糸または小規模にしか安定化が行われていないプリカーサ糸においては、安定化プロセスが不安定領域に陥ることを招く恐れがある。一方では、電界極大の範囲において、プリカーサ糸内に導入された電磁波の高い強さにより、発熱により進行する前記変換反応が強力に生じ得る。この変換反応自体は糸材料における温度増大をもたらす。このことから、やはりプリカーサ糸内への電磁波の改善された浸透が得られ、ひいては発熱反応が強化され、その結果、糸内の温度が一層高められる。他方において、発生する熱は、流過するプロセスガスにより、制限された規模でしか排出され得ないので、安定化プロセスは不安定となる。このような場合、プロセスの安定化は、たとえば電界強さを時間的に変化させることにより達成され得る。
したがって、本発明による方法の有利な実施態様では、アプリケーション室内の電界強さが、時間との関係で周期的に変化する強度を有している。すなわち、周期時間は糸速度と、定在する電界極大の間隔とによって規定されている。強度が正弦状にまたはパルスの形で変化すると特に有利であり、この場合、パルス状の強度変化の場合には、電界強さが、たとえばゼロとは異なる2つのレベルの間、またはゼロと、ゼロとは異なるレベルとの間で変化し得る。
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
本発明による方法を実施するために適したアプリケーション装置を示す概略図である。
図1には、本発明による方法を実施するために適したアプリケーション装置1が図示されている。アプリケーション装置1はアプリケータ2を有している。アプリケータ2はアプリケーション室3を備えている。アプリケーション室3は加熱ジャケット4を介して所要の温度に調温され得る。アプリケータ2の入口端部5はエルボまたは曲管6に結合されている。この曲管6を介して、マグネトロン7内で発生された高周波数の電磁波がアプリケーション室3内へ導入される。
安定化させたいポリアクリロニトリルプリカーサ糸8はボビン9から引き出されて、変向ローラ10に巻き掛かった後に、曲管6に設けられたオリフィス開口11を介してアプリケータ2内に導入され、そしてアプリケーション室3を通って案内される。アプリケーション室3を通過した後に、アプリケータ2内で処理されたプリカーサ糸8は、アプリケータ2の出口端部12に結合されたエルボもしくは曲管13を介してオリフィス開口14を通ってアプリケーション装置1から進出する。処理された糸16、つまり少なくとも部分的に安定化された糸16は、別の変向ローラ15に巻き掛かった後にボビン17へ巻き取られる。プリカーサ糸8の糸テンションは、変向ローラ10,15の駆動速度により調節され得る。
本発明による方法において必要とされるプロセスガスは流入管片18を介してアプリケーション室3内に導入され、そして図示の実施形態ではプリカーサ糸8に対して並流でアプリケーション室3を通過する。曲管もしくはエルボ13に取り付けられた流出管片19を介して、プロセスガスは、アプリケーション室3内で糸8において進行した変換反応に基づいて発生した揮発性の分解生成物と共に、アプリケータ2から導出される。
アプリケータ2の出口端部12に設けられたエルボ13は図示の実施形態では、管片20に接続されており、この管片20の自由端部は金属プレート21によって閉じられている。これにより、電磁波が反射されてアプリケーション室3内へ戻されることが達成される。
例1:
炭素繊維を製造するために適しているようなポリアクリロニトリルから成る未処理のプリカーサ糸を用意した。この場合、プリカーサ糸は、約8μmのフィラメント直径を有する12000本のフィラメントを有していた。プリカーサ糸の密度は1.18g/cmであった。
マイクロ波処理のために使用されたアプリケーション装置の構造は、図1に示した装置の構造に相当していた。マイクロ波発生器において、2.45GHzの周波数を有するマイクロ波を発生させ、このマイクロ波を、マイクロ波発生器に接続された方形導波管を経由してエルボを介して、120cmの長さを有するアプリケーション室(タイプR26の方形導波管)内に導入した。方形導波管内には、側方に取り付けられた管片を介して190℃の温度を有する熱空気を供給して、プリカーサ糸に対して並流の形でアプリケーション室に通して案内した。この場合、容積流は、アプリケーション室内に2m/sの平均流速が生ぜしめられるように設定されていた。壁に配置された加熱エレメントにより、アプリケーション室を170℃の温度に調温したので、アプリケーション室内には、170℃の空気温度が生ぜしめられた。アプリケーション室内で、30kV/mの最大電界強さを調節した。
エルボの範囲において、ポリアクリロニトリルプリカーサ糸をアプリケーション装置に導入し、30m/hの速度でかつ0.9cN/texの糸テンション下にアプリケータを連続的に通過させた。アプリケータの出口に接続されたエルボの範囲において、アプリケーション装置から糸を導出した。
既に2.4分間の滞留時間後に、糸の明瞭に認識可能な黄色着色につき、糸安定化に関して進行を確認することができた。糸の密度は1.19g/cmにまで増大していた。
例2:
例1で使用したアプリケーション装置と同一のアプリケーション装置を使用した。方法パラメータも例1の場合と同じであった。しかし、未処理のプリカーサ糸の代わりに、既にコンベンショナルなプロセスにおいて対流炉内で部分的な安定化を施されたポリアクリロニトリルプリカーサ糸を用意した。この例で用意された糸は1.19g/cmの密度を有していて、黄色の着色を有していた。
アプリケーション装置通過後に、この糸の密度は1.20g/cmにまで増大していた。糸はダークブラウン色もしくは暗褐色をとっていた。
例3:
例1の場合と同じアプリケーション装置を使用したが、しかし例1とは異なり、アプリケータは1.0mの長さを有していた。プリカーサ糸としては、部分安定化に基づき1.21g/cmの密度および暗褐色ないし黒色を有する、部分安定化された糸を用意した。例1の方法条件とは異なり、供給された熱空気の温度と、アプリケータの壁に配置された加熱エレメントの温度とを170℃に調節したので、アプリケーション室内の熱空気は同じく170℃の温度を有していた。糸速度は10m/h、糸テンションは1.25cN/texであった。
アプリケーション室内に、マグネトロンの接続・遮断により、最大電界強さが25kV/m(15s)とゼロkV/m(6s)との間で脈動するパルス状のマイクロ波電界を調節した。
既に1回の通過後に、つまり約6分間の滞留時間後に、アプリケーション装置から進出した糸の色は黒色の着色方向へ変化した。密度は1.24g/cmにまで増大した。
例4:
例1で使用したアプリケーション装置と同様のアプリケーション装置を使用した。方法パラメータに関しても例1の場合と同じ方法パラメータを調節した。プリカーサ糸としては、例1においても使用された糸を使用した。しかし、例1とは異なり、糸を相前後して複数回アプリケーション装置内で処理し、この場合、合計3回糸をアプリケーション装置に通して案内した。このとき、先行してアプリケーション装置を通過した、部分的に安定化されたプリカーサ糸を、次にアプリケーション装置を通過させるための供給糸として使用した。
アプリケーション装置内での全滞留時間は約7.5分間であった。こうして3回処理されたプリカーサ糸は1.22g/cmの密度を有していた。最初に白色だったプリカーサ糸は処理後に暗褐色ないし黒色の色を有していた。
例5:
例3の場合と同様の過程を実施したが、しかし最大電界強さを30kV/mの値に一定に調節した。この例で用意された糸は、1.26g/cmの密度を有する部分的に安定化されたポリアクリロニトリルプリカーサ糸であった。アプリケーション装置通過後に、つまり10m/hの糸速度で6分間の滞留時間後に、処理された糸は1.40g/cmの密度を有していた。
比較例1:
炭素繊維を製造するためのポリアクリロニトリルプリカーサ糸を安定化させるためのコンベンショナルな多段式の対流炉において、例1において用意したものと同様の、安定化されていないプリカーサ糸につき安定化を行った。対流炉には空気を導通させた。炉の第1の段において、約230℃の温度を調節した。
23分間の滞留時間後に、部分的に安定化されたプリカーサ糸が第1の炉段から進出した。部分的に安定化されたプリカーサ糸は暗褐色ないし黒色の色と、1.21g/cmの密度を有していた。

Claims (14)

  1. 化学的な安定化反応によってポリアクリロニトリルから成る糸を安定化させる方法において、以下のステップ:
    − ポリアクリロニトリル重合体を主体としたプリカーサ糸を用意し、
    − アプリケーション室を備えたアプリケータと、高周波数の電磁波を発生させるための手段と、高周波数の電磁波をアプリケーション室内に供給するための手段とを有する、高周波数の電磁波によってプリカーサ糸を処理するためのアプリケーション装置を準備し、
    − アプリケーション室内に高周波数の電磁波の、最小電界強さを有する範囲と最大電界強さを有する範囲とを備えた電界を発生させ、かつアプリケーション室内の最大電界強さを、3〜150kV/mの範囲に調節し、
    − アプリケーション室および高周波数の電磁波の電界の中へプリカーサ糸を連続的に導入し、かつアプリケーション室および高周波数の電磁波の電界にプリカーサ糸を連続的に通して案内し、
    − このときにアプリケーション室内にプロセスガスを導入し、かつ該プロセスガスを、少なくとも0.1m/sの、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸に対して相対的な流速でアプリケーション室に通し、この場合、プロセスガスの温度を、該温度が臨界的な最低温度Tkritよりも上でかつ最大温度Tmaxよりも下となるように150〜300℃の範囲に調節し、ただし臨界的な最低温度Tkritとは、この温度よりも上で高周波数の電磁波が、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸内に浸透して、化学的な安定化反応が進行する温度であり、最大温度Tmaxとは、アプリケーション装置内に導入されたプリカーサ糸の分解温度よりも20℃だけ低い温度である、
    より成るステップを包含することを特徴とする、化学的な安定化反応によってポリアクリロニトリルから成る糸を安定化させる方法。
  2. アプリケーション室内に、5〜50kV/mの高周波数の電磁波の最大電界強さを発生させる、請求項1記載の方法。
  3. プリカーサ糸を、0.125〜5cN/texの範囲の糸テンション下にアプリケータに通して案内する、請求項1または2記載の方法。
  4. プロセスガスが、プリカーサ糸に対して直角に0.1〜2m/sの流速でアプリケーション室を通流する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. プロセスガスが、プリカーサ糸に対して平行に、アプリケーション室を通過するプリカーサ糸に対して相対的に0.1〜20m/sの、アプリケーション室の自由横断面における平均流速でアプリケーション室を通流する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  6. プロセスガスが、酸素含有のガスである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 酸素含有のガスが空気である、請求項6記載の方法。
  8. プリカーサ糸が、高周波数の電磁波に対するプリカーサ糸の吸収能力を改善するための添加剤を含有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記添加剤がポリエチレングリコール、カーボンブラックまたはカーボンナノチューブである、請求項8記載の方法。
  10. 高周波数の電磁波が、0.3〜45GHzの範囲の周波数を有するマイクロ波である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. アプリケーション室内でのプリカーサ糸の滞留時間が少なくとも20秒間である、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. プロセスガスが、アプリケーション室内で(Tkrit+20℃)と(Tmax−20℃)との間の範囲の温度を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. アプリケーション室内の電界強さが、時間と共に周期的に変化する強さを有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. プリカーサ糸を、相前後して配置された少なくとも2つのアプリケーション装置に通して案内する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
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