JP3216682U - 繊維予備酸化設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化繊維の酸化時間を有効に短縮すると同時に、該酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減し、ないし、ないし酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たないようにすることが可能なため、より積極的かつ信頼性のある手段として、炭素繊維の性能を向上することができる繊維予備酸化設備を提供する。【解決手段】伝送ユニット30とマイクロ波処理ユニット40を備えてなり、マイクロ波処理ユニット40は、伝送ユニット30の加熱炉33に少なくともの一つのマグネトロン41、及び加熱炉33に接続する送気装置42が設けられており、集束マイクロ波で、加熱炉33を連続的に通過する繊維束20に対して、超高速予備酸化の製造工程を行い、繊維束20を酸化繊維束20Aに加工するように設けられる。【選択図】図2
Description
本考案は、炭素繊維の予備酸化技術に関わり、主に炭素繊維の性能を向上するための繊維予備酸化設備に関する。
炭素繊維は、有機繊維に対する一連の熱処理を経て得られた炭素含有量90%以上の新しい炭素材料であり、高比強度、高弾性率、高導電性と高熱伝導性、低熱膨張係数、低密度、耐高温性、耐疲労性、耐クリープ性、自己潤滑性などに一連の優れた性能を有する、理想的な機能材料と構造材料であるため、航空宇宙、民間航空や運輸などの分野で広く応用され、応用範囲の広い将来性がある。
ポリアクリロニトリル (polyacrylonitrile、 PAN)を原糸とした炭素繊維の製造は、重合、紡糸、予備酸化と炭化工程が含まれ、その中、予備酸化工程は、炭素繊維の製造工程における構造変化の重要な段階で、熱処理過程に最も時間が関わる段階でもあり、ポリアクリロニトリルの線状高分子鎖を耐炎繊維・酸化繊維に転換して、後続する炭化工程で不融化・不燃性繊維のままを維持することを目的とする工程である。
予備酸化工程では、原糸の構造変化において、炭素繊維の構造と性能が大きく左右され、工業化製造では大よそ、温度勾配法による予備酸化で行なわれ、該工程に適した温度勾配範囲が必要となり、開始温度が低すぎると、予備酸化工程によくならず、時間やコストが大きくかかること、開始温度が高過ぎると、激しい発熱反応が生じて、耐熱性のないPAN高分子鎖が溶断してしまうこと、終了温度が高過ぎると、集中的発熱で、予備酸化された繊維構造を破壊し、過度に予備酸化され、高強度炭素繊維の製造に不利なこと、終了温度が低すぎると、予備酸化が不十分な恐れがあること。
加熱による予備酸化反応は、予備酸化反応の進行に伴い、熱伝導が原糸の外層から内層まで行なわれるため、原糸の外層に精密なラダー構造の酸化層(皮膜)が形成され、それが、酸素が原糸の内層芯部へ拡散することを阻害するが、図1に示すように、酸化繊維10の単繊維11における、酸化された酸化層111(皮膜)及び酸化されない芯部112には、顕著に異なるスキン・コア構造が生成され、該酸化層111と該芯部112の間にスキン・コア界面113があること、スキン・コア構造の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM、 Scanning Electron Microscope)で実体画像を撮り、該酸化繊維の断面を観察、該酸化層の断面積、該芯部の断面積及び該酸化繊維の断面積をそれぞれ計算して行なわれるが、該スキン・コア構造出来具合の観察による芯部比率(%)は、該芯部断面積を該酸化層断面積と該芯部断面積の和で割り、即ち、芯部比率(%)は、該芯部断面積を該酸化繊維断面積で割ったものとし、また、該酸化繊維10及び製造された炭素繊維の物理的性質、例えば、引張強度や引張弾性率はまた、該酸化繊維10または酸化層111の酸化程度や環化度により決められ、該酸化繊維10または酸化層111の酸化程度や環化度が高いほど、該酸化繊維10で製造された炭素繊維の引張強度や引張弾性率が高くなる。該酸化層111は酸化状態であるため、精密な構造かつ、製造された炭素繊維の高引張強度と高引張弾性率を有し、該芯部112は酸化不完全または酸化されない状態にあるため、ルーズな構造かつ製造された炭素繊維の低引張強度と低引張弾性率を有するものであることから、該酸化層111と該芯部112の酸化程度の不一致によって生じられた、このような該スキン・コア構造が、炭素繊維の引張強度を低下させてしまう要因の一つであり、それで、予備酸化反応過程にて、どうやって、予備酸化時間を短縮し、予備酸化程度の向上を行ない、更にスキン・コア構造を取り除くのが、炭素繊維の製造コスト低減及びその性能(引張強度と引張弾性率)向上に十分かつ重要な意義を有するのである。
それに鑑みて、本考案は、酸化繊維の酸化時間を有効に短縮、酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減し、ないし酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たせないようにする繊維予備酸化設備を提供することを目的とする。
本考案は、繊維束を酸化繊維束に予備酸化するのに適用し、該繊維束は、単繊維または複数の該繊維を集め、束ねてなり、該酸化繊維束は、単一の酸化繊維または複数の該酸化繊維を集め、束ねてなり、繊維束を供給すための供給装置、通過する該繊維束を該酸化繊維束に予備酸化する加熱炉、該繊維束を引き、連続で送り、及び該酸化繊維束を巻き取るための巻取装置を備えてなる伝送ユニット、及び、該加熱炉に設けられ、加熱炉内にマイクロ波を発生するためのマイクロ波処理ユニットを備えてなるものであることを特徴とする繊維予備酸化設備。
該マイクロ波処理ユニットは、該加熱炉に該マイクロ波を発生するためのマグネトロンが設けられていることを特徴とする。
該マイクロ波処理ユニットには更に、該加熱炉に酸素含有エアを供給するための送気装置が設けられていることを特徴とする。
該加熱炉は更に、送気口と排気口を備えてなり、該送気口は、該送気装置に接続するように設けられていることを特徴とする。
該加熱炉は更に、保温ユニットを備えてなることを特徴とする。
該加熱炉内部には、該繊維束が送られる経路に対応する上下位置にそれぞれ、保温ユニットが設けられることを特徴とする。
該加熱炉内部には、該繊維束が送られる経路を囲む保温ユニットが設けられていることを特徴とする。
該巻取装置、該マグネトロンと該送気装置は、制御ユニットと電気的に接続していることを特徴とする。
該マイクロ波処理ユニットは、該加熱炉に該マイクロ波を発生するための複数のマグネトロンが設けられることを特徴とする。
複数の該マグネトロンは、該加熱炉の片側に設けられることを特徴とする。
複数の該マグネトロンは、該加熱炉の上下両側に対向して配置されていることを特徴とする。
複数の該マグネトロンは、該加熱炉の上下両側に相対位置をずらして配置されることを特徴とする。
複数の該マグネトロンは、該加熱炉の上下両側と左右両側に配置されていることを特徴とする。
該繊維束は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維、瀝青繊維またはその他の有機繊維の何れか一つであることを特徴とする。
本考案に掲示された繊維予備酸化設備は、マイクロ波処理ユニットのマイクロ波で、繊維束への超高速予備酸化処理を行い、繊維束を酸化繊維に加工して、酸化繊維の酸化時間を有効に短縮すると同時に、酸化繊維内の酸化層が少なくとも、該酸化繊維の断面積50%以上を占めるようにし、酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減するのが可能であること、酸化繊維内の酸化層が該酸化繊維の断面積80%以上を占めたとき、ないし酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たないようにすることが可能なため、本考案では比較的に、より積極的かつ信頼性のある手段として、炭素繊維の性能を向上することができるのである。
本考案は図2と図3に示すように、酸化繊維の酸化時間を有効に短縮、酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減し、ないし酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たせないようにすることを提供する繊維予備酸化設備であり、図2に示すように、本考案の繊維予備酸化設備は、繊維束20を酸化繊維束20Aに予備酸化するのに適用し、該繊維束20は、単繊維(未図示)または複数の該繊維を集め、束ねてなり、該酸化繊維束20Aは単一の酸化繊維21または複数の該酸化繊維21を集め、束ねてなり、該繊維予備酸化設備は次のようなものが備わっている。
繊維束20を供給すための供給装置31、通過する該繊維束20を該酸化繊維束20Aに予備酸化する加熱炉33、該繊維束20を引き、連続で送り、及び該酸化繊維束20Aを巻き取るための巻取装置32を備えてなる伝送ユニット30が備わっている。
そして、該加熱炉33に設けられ、加熱炉33内にマイクロ波を発生するためのマイクロ波処理ユニット40を備えてなり、該マイクロ波処理ユニット40は、該加熱炉33に該マイクロ波を発生するために少なくともの一つのマグネトロン41、及び該加熱炉33に酸素含有エアを供給すための送気装置42が設けられており、該送気装置42は該加熱炉33の該送気口331に接続し、該酸素含有エアは、該送気口331から該加熱炉33へ送入され、該加熱炉33の該排気口332から排出されることになっている。
該巻取装置32、該マグネトロン41と該送気装置42は、制御ユニット50と電気的に接続しており、該制御ユニット50で、該巻取装置32、該マグネトロン41と該送気装置42が運転するかどうかを制御し、そして、加工される該繊維束20の特性または製品規格により、該巻取装置32の回転数、該マグネトロン41の出力及び該送気装置42の流量などの運転パラメーターを設定することができる。
好適な該マイクロ波処理ユニット40は、該加熱炉33に複数の該マグネトロン41が設けられ、複数の該マグネトロン41は、該加熱炉33の上下両側に対向して配置され、または相対位置をずらして配置され、または該加熱炉33の片側(上側または下側)に設けられており、図2に示すように、複数の該マグネトロン41は、該加熱炉33の上下両側に上下対向配置され、最適には図3に示すように、複数の該マグネトロン41が上下対向の配列方式になる。このように、該加熱炉33を通過する該繊維束20の上半部と下半部に対して、同時かつ均等的にマイクロ波照射処理を行い、該加熱炉33の長さが短縮可能なため、製造時間が減少され、製造速度も速まるのである。
本考案における該伝送ユニット30は更に、該加熱炉33内部に保温ユニット34が設けられ、図2に示すように、該保温ユニット34の蓄熱効果を利用して、該加熱炉33内のプリセットされた作業温度を維持し、省エネという目的を果たすことができる。
本考案は実施の時、図2に示すように、該伝送ユニット30にあっては、加熱炉33内部に、該繊維束20が送られる経路の上下位置に、それぞれ該保温ユニット34が配置、または図3に示すように、該加熱炉33内部に、該繊維束20が送られる経路を囲む該保温ユニット34が配置され、それによって、該繊維束20が均一に熱を受けるように設けられることになっており、上記の各実施可能な形態で、該保温ユニット34は、金属酸化物、炭化物、マイクロ波の高反応性材料のいずれかの一つ、またはその組み合わせでもよいが、図3に示すように、該供給装置31より、複数の該繊維束20が互いに平行に配列され、該加熱炉33へと供給されることになっている。
本考案は実施の時、図2に示すように、該マイクロ波処理ユニット40は、該繊維束20が送られる経路の上下位置にそれぞれ該マグネトロン41が配置、または該繊維束20が送られる経路を囲む複数の該マグネトロン41が配置され、それによって、該繊維束20への集束マイクロ波処理を均一に行い、即ち、複数の該マグネトロン41は、該加熱炉33の上下両側及び左右両側に配置される。
実施の時、前述した該繊維予備酸化設備で、酸化繊維の製造を行い、酸化繊維の酸化時間を有効に短縮、酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減し、ないし、酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たせないようにするが、該酸化繊維の製造は図4に示すように、次のような手順が含まれる。
a.該伝送ユニット30と該マイクロ波処理ユニット40が配置されること。
b.該繊維束20が供給され、該繊維束20を該伝送ユニット30にセッティングし、該伝送ユニット30で、該繊維束20を該マイクロ波処理ユニット40に通過させるように設けられ、例えば、巻かれている該繊維束20を、該伝送ユニット30で、該マイクロ波処理ユニット40の作業エリアに連続で通過させるように送るための該伝送ユニット30にセッティングし、実施例では、巻かれている該繊維束20を該供給装置31にセッティングし、該繊維束20の先端を、該加熱炉33を通過させるよう通し、該巻取装置32に固定するように設けられるが、該繊維束20は、ポリアクリロニトリル(PAN)、瀝青またはその他の有機繊維の何れか一つであること。
c.該マイクロ波処理ユニット40を立ち上げること、該マイクロ波処理ユニット40によるマイクロ波の条件を制御するが、該マイクロ波の条件は、該マイクロ波の周波数300〜300、000MHz、マイクロ波出力1〜1000kW/m2、作業温度100〜600℃及び酸素、空気、オゾンの何れか一つまたはそれらの混合である雰囲気ガスが含まれ、該雰囲気ガスは前述した該酸素含有エアであり、本実施例では、それと同時に、該送気装置42から該酸素含有エアを該加熱炉33内に送入されること。
d.該伝送ユニット30を立ち上げること、該伝送ユニット30で該繊維束20を送り、該マイクロ波条件により、連続的時間に処理し、該繊維束20を該酸化繊維束20Aにするように設けられるが、例えば、該伝送ユニット30で、該繊維束20を、該マイクロ波処理ユニット40の作業エリアを通過させ、集束マイクロ波処理を連続的に1〜40分間施して、酸化繊維束20Aにするように設けられ、該処理時間は1〜40分にするが、本実施例では、該伝送ユニット30で、該繊維束20を該加熱炉33を通過させ、該マイクロ波処理ユニット40による集束マイクロ波処理を連続的に1〜40分間施して、該酸化繊維束20Aにするように設けられるが、また、該繊維束20を重ね巻きで、該加熱炉33を通過させ、該加熱炉33内にて、該マイクロ波処理ユニット40による集束マイクロ波処理を連続的に1〜40分間施し、該酸化繊維束20Aにするように設けられるが、例えば、該繊維束20が加熱炉33の前部から入り、該加熱炉33内を経て、該加熱炉33の後部に送られ、更に、該加熱炉33の後部から該加熱炉33の前部へと送られ、また再度に、從該加熱炉33の前部から、該加熱炉33へと送られることになっており、そのような重ね巻きの繰り返しにより、要求を満たす該酸化繊維束20Aが該加熱炉33の後部から供給されるようになっており、該重ね巻き方法では、該加熱炉33の必要な長さを有効に短縮することができる。
該伝送ユニット30の稼動により、 該繊維束20をプリセットされた速度で、該マイクロ波処理ユニット40の作業エリアに通過させるように送り、該繊維束20が該マイクロ波処理ユニット40の作業エリアを通過しているとき、集束マイクロ波を利用して、該加熱炉33を連続的に通過する該繊維束20に対して、超高速予備酸化処理を施し、該繊維束20を該酸化繊維束20Aに加工するように設けられ、該繊維束20は、該繊維または複数の該繊維を集め、束ねてなり、該酸化繊維束20Aは、該酸化繊維21または複数の該酸化繊維21を集め、束ねてなり、本考案の繊維予備酸化設備は、該繊維束20の該繊維を該酸化繊維21に予備酸化するものである。
図5に示すように、該繊維束20に対して、それぞれマイクロ波なし、マイクロ波出力12kW/m2、マイクロ波出力16kW/m2、マイクロ波出力20kW/m2、マイクロ波出力24kW/m2の集束マイクロ波処理を施されており、その中、該繊維束20に対してマイクロ波出力24kW/m2の集束マイクロ波処理を10分間施すと、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の酸化程度が100%に達すること、該繊維束20に対して、該酸化繊維束20Aは、単一の該酸化繊維21または複数の該酸化繊維21を集め、束ねてなるものであり、該繊維束20に対して、マイクロ波出力20kW/m2の集束マイクロ波処理を15分間施すと、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の酸化程度が100%に達し、該繊維束20に対して、マイクロ波出力16kW/m2の集束マイクロ波処理を25分間施すと、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の酸化程度が100%に達し、該繊維束20に対して、マイクロ波出力12kW/m2だけの集束マイクロ波処理を40分間施して、該酸化繊維束20Aにおける該酸化繊維21の酸化程度が100%に達さないが、該酸化繊維21の酸化程度が89%に達することになり、従来のような加熱工程ではマイクロ波なしで、該繊維束20を270℃で加熱してから40分後、該酸化繊維21の酸化程度がせいぜい70%に達することから、本考案によるマイクロ波の製造工程及び従来の加熱の製造工程を比べると、本考案では、該酸化繊維21の酸化程度を有効に高め、製造時間を有効に短縮することが可能、特に、該繊維束20に対して、マイクロ波出力24kW/m2の集束マイクロ波処理を10分間施すと、酸化程度が100%に達する、という該酸化繊維21に対する酸化段階に対する最適な製造条件だと思われる。
図6に示すように、該繊維束20に対して、それぞれマイクロ波出力24kW/m2の集束マイクロ波処理を2分間、4分間、5分間、10分間と15分間施して、測定された該酸化繊維21の環化度が見られるが、その中、該酸化繊維21の環化度が5分間になると、100%に達することから、環化度100%に達する所要時間が5分、それが酸化程度に所要時間10分より少ない。図7〜9に示すように、該繊維束20に対して、それぞれ24kW/m2の集束マイクロ波処理を5分間、10分間と15分間施して、得られた該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の断面を走査型電子顕微鏡(SEM、 Scanning Electron Microscope)で撮影した実体画像であり、そこで、該酸化層211が該酸化繊維21の99.0%以上、または該酸化層211の断面積が該酸化繊維21の断面積の99.0%以上を占め、それに、顕著なスキン・コア構造がないことが分かった。
表1と表2に示すように、表1は従来の電熱管加熱による製造工程、及び本考案の繊維予備酸化設備を用いたマイクロ波による繊維酸化の製造工程で行なわれ、測定された該繊維束20、該酸化繊維束20A及び、それに続く炭素化して得られた炭素繊維束の引張強度比較表であり、表2は従来の電熱管加熱による製造工程、及び本考案の繊維予備酸化設備を用いたマイクロ波による繊維酸化の製造工程で行なわれ、測定された該繊維束20、該酸化繊維束20A及びそれに続く炭素化して得られた炭素繊維束の引張弾性率比較表。前述した従来の電熱管加熱は製造条件として、加熱炉の温度270℃、処理時間40分で行なわれ、それによって得られた物理的性質は比較例1に示し、前述した本考案のマイクロ波による製造工程は製造条件として、該加熱炉の温度220℃、マイクロ波の周波数2450MHz、マイクロ波出力24kW/m2、処理時間10分で行われ、それによって得られた物理的性質は実施例1に示されており、比較例1と実施例1の該繊維束20は、ポリアクリロニトリルで製造されたものである。
本考案及び従来の加熱工程による該繊維束の該酸化繊維束を比較すると、本考案では従来の加熱工程の所要時間40分より、10分間短縮可能なため、製造効率が3倍向上、製造時間が短縮されること、本考案では従来の加熱工程に対して、炭素繊維束の引張強度が30%、引張弾性率が17%向上すること、本考案では従来の加熱工程に対して、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21における該酸化層211の断面積が該酸化繊維21の断面積99.0%以上を占めているから、顕著なスキン・コア構造がなく、該酸化繊維束20Aの断面が均一に近づいているので、炭素繊維束の引張強度と引張弾性率が向上するということで、本考案では比較的に、より積極的かつ信頼性のある手段として、炭素繊維の性能を向上することができる。
本考案は実施の時、該繊維束に対して、24kW/m2の集束マイクロ波処理を5〜10分間施すのが、好適な実施形態であるため、該繊維束20が該加熱炉33を通過後、該巻取装置32の巻取りによらず、それに続く炭素化して炭素繊維束を作るという連続的な製造方法に、または巻かれている該繊維束20が該供給装置31による巻出し、該巻取装置32による巻き取るという製造方法に適するものである。
図5に示すのは、上述したように、該繊維束20に対して、マイクロ波出力12kW/m2の集束マイクロ波処理を220℃で、40分間施すと、該酸化繊維21の酸化程度が89%に達し、従来の加熱工程ではマイクロ波なしで、該繊維束20を270℃で加熱してから40分間後、該酸化繊維21の酸化程度が70%に達すること。それゆえ、本考案では従来の加熱工程に対して、比較的に低い温度で、酸化程度を高めることができることから、熱エネルギー消費削減が可能になる。
表3に示すように、表3は電熱管加熱による従来の製造工程及び、本考案を用いたマイクロ波の製造工程で行なわれ、測定された該繊維束20、該酸化繊維束20A及びそれに続く炭素化して得られた炭素繊維束の引張強度比較表であり、前述した従来の電熱管加熱は製造条件として、該加熱炉の温度270℃、処理時間40分で行われ、それによって得られた物理的性質は比較例1に示し、前述した本考案のマイクロ波による製造工程は製造条件として、該加熱炉の温度220℃、マイクロ波の周波数2450MHz、マイクロ波出力12kW/m2、処理時間40分で行われ、マイクロ波出力22kW/m2で得られた物理的性質は実施例2、マイクロ波出力20kW/m2で得られた物理的性質は実施例3、マイクロ波出力16kW/m2で得られた物理的性質は実施例4、マイクロ波出力15kW/m2で得られた物理的性質は実施例5に示され、比較例1及び全ての実施例の該繊維束20は、ポリアクリロニトリルで製造されたものであり、また、比較例1及び各実施例における該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の断面を走査型電子顕微鏡(SEM、 Scanning Electron Microscope)で実体画像を撮って算出されることだが、該酸化層211の断面積を該酸化繊維21の断面積で割り、即ち該酸化層211が該酸化繊維21を占める割合が表3に示される。
本考案で製造される該酸化繊維21は、該酸化層211と芯部212を備えてなり、該酸化層211は該芯部212の外側を被覆するように設けられ、該酸化層211が少なくとも、酸化繊維21の50%以上を、または該酸化層211断面積が少なくとも、該酸化繊維21断面積の50%以上を占めており、図10に示すように、該酸化層211が少なくとも該酸化繊維21の80%以上を、 または該酸化層211断面積が少なくとも該酸化繊維21断面積の80%以上を占めている。
もちろん、本考案に掲示された該酸化繊維21にあっては、該酸化層211が該マイクロ波の条件で形成されているから、該酸化層211はマイクロ波酸化層であり、また、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の該酸化層211は少なくとも、該酸化繊維21の50%以上を占めている。
実施の時、該繊維束20は、ポリアクリロニトリル(PAN)、瀝青またはその他の有機繊維の何れか一つでもよい。もちろん、該酸化繊維にマイクロ波24kW/m2を照射し、該繊維束20への集束マイクロ波処理を10分間施したあと、該酸化繊維束20Aの該酸化繊維21の該酸化層211が該酸化繊維21の99.0%を、または該酸化層211の断面積が該酸化繊維21の断面積の99.0%を占めている。
本考案の繊維予備酸化設備では従来の技術に対して、マイクロ波処理ユニットによる集束マイクロ波で、繊維束への超高速予備酸化処理を施し、繊維束を酸化繊維束に加工することにより、酸化繊維束の酸化時間を有効に短縮すると同時に、酸化繊維束の酸化繊維に対して、集束マイクロ波による酸化処理を施したあとの酸化層が少なくとも、該酸化繊維の断面積50%以上を占めるから、酸化繊維のスキン・コア構造を有効に低減し、ないし、酸化繊維に顕著なスキン・コア構造を持たせないように設けられ、比較的により積極的かつ信頼性のある手段として、炭素繊維の性能を向上することができる。
上述した実施例は、本考案の技術コンセプトや特徴を説明するのに用いられるのみで、該技術分野が分かる者が本考案の内容を理解して、それに基づいて実施できるようにすることを目的とし、それを以って本考案の実用新案登録範囲を制限してはならないとし、本考案に掲示されたコンセプトに基づき、それらの変更や改造を行なっても、全て本考案の実用新案登録請求範囲に含まれるものとする。
10 酸化繊維
11 繊維
111 酸化層
112 芯部
113 スキン・コア界面
20 繊維束
20A 酸化繊維束
21 酸化繊維
211 酸化層
212 芯部
30 伝送ユニット
31 供給装置
32 巻取装置
33 加熱炉
331 送気口
332 排気口
34 保温ユニット
40 マイクロ波処理ユニット
41 マグネトロン
42 送気装置
50 制御ユニット
11 繊維
111 酸化層
112 芯部
113 スキン・コア界面
20 繊維束
20A 酸化繊維束
21 酸化繊維
211 酸化層
212 芯部
30 伝送ユニット
31 供給装置
32 巻取装置
33 加熱炉
331 送気口
332 排気口
34 保温ユニット
40 マイクロ波処理ユニット
41 マグネトロン
42 送気装置
50 制御ユニット
Claims (14)
- 繊維束(20)を酸化繊維束(20A)に予備酸化するために用いられる繊維予備酸化設備であって、
前記繊維束(20)は、単繊維または複数の繊維を集め、束ねてなり、
前記酸化繊維束(20A)は、単一の酸化繊維(21)または複数の前記酸化繊維(21)を集め、束ねてなり、
前記繊維予備酸化設備は、
前記繊維束(20)を供給すための供給装置(31)、通過する前記繊維束(20)を前記酸化繊維束(20A)に予備酸化する加熱炉(33)、及び、前記繊維束(20)を引き、連続で送り、前記酸化繊維束(20A)を巻き取るための巻取装置(32)を備えている伝送ユニット(30)と、
加熱炉(33)に設けられ、前記加熱炉(33)内にマイクロ波を発生するためのマイクロ波処理ユニット(40)と、
を備えていることを特徴とする、
繊維予備酸化設備。 - 前記マイクロ波処理ユニット(40)は、前記加熱炉(33)に前記マイクロ波を発生するためのマグネトロン(41)が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記マイクロ波処理ユニット(40)は、更に、前記加熱炉(33)に酸素含有エアを供給すための送気装置(42)が設けられていることを特徴とする、
請求項2に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記加熱炉(33)は、更に、送気口(331)と排気口(332)とを備えており、前記送気口(331)は、前記送気装置(42)に接続するように設けられていることを特徴とする、
請求項3に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記加熱炉(33)は、更に、保温ユニット(34)を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記加熱炉(33)内部には、前記繊維束(20)が送られる経路の上下位置に、それぞれ、保温ユニット(34)が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記加熱炉(33)内部には、前記繊維束(20)が送られる経路を囲む保温ユニット(34)が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記巻取装置(32)、前記マグネトロン(41)及び前記送気装置(42)は、制御ユニット(50)と電気的に接続していることを特徴とする、
請求項3に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記マイクロ波処理ユニット(40)は、前記加熱炉(33)に前記マイクロ波を発生するための複数のマグネトロン(41)が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。 - 複数の前記マグネトロン(41)は、前記加熱炉(33)の片側に設けられていることを特徴とする、
請求項9に記載の繊維予備酸化設備。 - 複数の前記マグネトロン(41)は、前記加熱炉(33)の上下両側に対向して配置されていることを特徴とする、
請求項9に記載の繊維予備酸化設備。 - 複数の前記マグネトロン(41)は、前記加熱炉(33)の上下両側に、相対位置をずらして配置されていることを特徴とする、
請求項9に記載の繊維予備酸化設備。 - 複数の前記マグネトロン(41)は、前記加熱炉(33)の上下両側と左右両側に配置されていることを特徴とする、
請求項9に記載の繊維予備酸化設備。 - 前記繊維束(20)は、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維、瀝青繊維またはその他の有機繊維の何れか一つであることを特徴とする、
請求項1に記載の繊維予備酸化設備。
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