次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1と図2において、以下の各実施例に共通するトラクタ1の全体構成について説明する。尚、前後上下左右方向については、図中に示したものをもとに説明を行う。
トラクタ1は、エンジン2の後部にミッションケース3を連接し、エンジン2の前部にフロントフレーム4を突設し、該フロントフレーム4の上方にボンネット5を配置し、該エンジン2の周囲をボンネット5により被覆している。該フロントフレーム4により前輪6・6を支持し、該ミッションケース3により後輪7・7を支持している。
図3から図5を用いて、本発明の第一実施例にかかるボンネット5の開閉機構と、その解除方法を含む操作方法について説明する。尚、説明を容易とするため、図3の開閉機構は部分断面図とし、開放側付勢バネ39L、取付板40Lを取り除いた状態で図示している。図4および図5は、接当板部53を取り除き、その後方がわかるように図示している。実際は、それら各部材は取付けられた状態でボンネット5の開閉機構を構成している。
図3と図4における第一実施例においては、ボンネット5は後部の回動支点51を中心として、ボンネット5を開放可能な構成としている。ボンネット5は、エンジン2とともに、該エンジン2に付設されるマフラー21やラジエータ22やバッテリ23などを被覆している。
図3において、ボンネット5を開放した(ボンネット5を開いた)状態を維持するストッパー杆8がボンネット5内に収納された状態が図示されている。
ボンネット5の開閉機構は、ボンネット5側に取付けられるものと、機体(フロントフレーム4)側に取付けられるもので構成される。
フロントフレーム4側に取付けられるボンネット5の開閉機構は、主として、底板31、支持ステー32、固定側金具33、ロックアーム34、解除杆36、掛止側付勢バネ37、ガイド筒38、開放側付勢バネ39L・39R等によって構成される。
底板31は、ボンネット5の前部の下方で、左右のフロントフレーム4・4の上端に固設されている。底板31は、ラジエータ22やバッテリ23等を載置したり、フロントフレーム4側に取付けられる開閉機構を支持したりするためのものである。
支持ステー32は、ボンネット5の開閉機構全体を支持するためのものであって、梁部32a及び柱部32b・32bを有し、パイプ等の棒材を折り曲げることにより逆U字状に形成される。梁部32aは、左右方向を長手方向とし、底板31の面に対して略水平に配置される。柱部32b・32bは、梁部32aの左右両端を変化点として下方に折り曲げられることによって延設される部分である。柱部32b・32bの下端は、それぞれ足板32dに固設され、支持ステー32全体は、ラジエータ22とバッテリ23の間の底板31に立設されている。
支持ステー32の上部である梁部32aの左右中央部には、その前面に板状の固定側金具33が固設される。固定側金具33は板材を適宜の箇所で折り曲げることで構成され、固定側金具33の左右両端部には、上部のみ後方へと延設された支持部33a・33aが形成されている。支持部33a・33aは、支持ステー32の梁部32aの上面に掛けた状態で固定されている。さらに、固定側金具33の左右中央において、その上端から上下中央にかけて溝33bが設けられている。溝33bは、その下部から中途部にかけて後述するロックピン52よりも若干広い溝幅が形成され、中途部から上端に向うにつれてその溝幅が広くなっている。さらに、固定側金具33には、溝33bの右方に保持突起33cが前方に突出するように設けられている。
ロックアーム34は、ロックピン52を掛止するためのものであって、固定側金具33の前方に設けられる。ロックアーム34は、その上部に正面視において鈎針状の掛止ラッチ部34aが形成されている。掛止ラッチ部34aの上右端には、左高右低に傾斜する斜辺34bが形成されている、斜辺34bの下端から左方向に延びる底辺34cが形成されている。ロックアーム34は、上部の掛止ラッチ部34aから右斜下方に向けて延設される。ロックアーム34の上下中途部は、固定側金具33から突出した枢支ピン35によって枢支されている。
解除杆36は、上下方向を長手方向とする棒材であって、作業者がロックアーム34を間接的に操作するためのものである。解除杆36の上端部は、前方へと屈曲された挿入部36aが設けられている。挿入部36aは、ロックアーム34の下端に形成された穴に挿入されて、さらに挿入部36aに掛止ピン36bを挿入することで、ロックアーム34から抜け落ちぬように構成される。
支持ステー32の柱部32b・32bの上下方向中途部には、その前面に左右方向を長手方向とする横設部32cが横設されている。横設部32cは、板状の部材を折り曲げることで形成され、底板31と略水平に配置される水平面と、水平面の右端より下方に延設される垂直面を有している。垂直面は、支持ステー32に固設されており、水平面には、左右方向を長手方向とする開口が設けられている。当該開口には、解除杆36が挿入されて、解除杆36の前後方向の移動を規制するように構成される。
横設部32cの下方における解除杆36には、掛止側付勢バネ37が外嵌されている。当該掛止側付勢バネ37は、その上端が当接部材37aを介して常に横設部32cと接するように、解除杆36には、掛止側付勢バネ37の下端あたりに解除杆36の軸心方向に対して直角に挿入口が開口されている。当該挿入口に挿入されたピン36cによって掛止側付勢バネ37は、その上下方向の位置を保持されるとともに、解除杆36が、掛止側付勢バネ37によって、常に下方に付勢されることとなる。
さらに、解除杆36は、その下端部をガイド筒38によって外嵌されている。ガイド筒38は、開口部が上下方向に開口されており、足板32dに立設されている。当該足板32dには、ガイド筒38の開口と平面視において同位置に該開口よりも若干大きな開口32eが設けられている。また、底板31にも、ガイド筒38の開口と平面視において同位置に該開口よりも若干大きな開口31aが設けられている。
支持ステー32の梁部32aには、固定側金具33とロックアーム34により構成された部分を挟んで、左右一対の開放側付勢バネ39L・39Rが取付板40R・40Lを介して取付けられている。取付板40R・40Lは、その上方にあるボンネット5の内面に対して略平行な面である固定面40aと、正面視において固定面40aの外端を変化辺として下方に延設された支持面40bとを有する。取付板40R・40Lは、支持面40bの下端を梁部32aに固設することで、支持ステー32に取付けられている。さらに、開放側付勢バネ39L・39Rは、その下端部を取付板40R・40Lの固定面40aとボルト等とで、挟み込むことで、起立した状態で固定されている。
ボンネット5側に取付けられる開閉機構は、主として、ロックピン52、接当板部53、ボンネット取付板54によって構成されている。
ロックピン52は、掛止ラッチ部34aに掛止されものであって、棒材の適宜の箇所を折り曲げることで構成されている。ロックピン52は、側面視において、前後中途部を略水平に、前後両端部を上方に突出させるように形成されている。
接当板部53は、開放側付勢バネ39L・39Rの上端と接触して、その付勢力を受けるためのものである。接当板部53は、適宜の箇所で折り曲げられており、その前端部と前後中途部とがロックピン52の前端部と後端部にそれぞれ固設されている。ボンネット取付板54は、開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力を接当板部53を介して、ボンネット5へと伝えるためのものである。ボンネット取付板54は、その前後中途部を側面視において略V字状となるように下方に突出するように折り曲げられ、さらに突出した箇所の後面が接当板部53にボルト等で固定されている。ボンネット取付板54の前後部は、それぞれボンネット5の内面に取付けられている。
次に、本発明の第一実施例にかかるボンネット5の開閉機構の作動について説明する。
先ずは、ボンネット5が閉じられた状態でのボンネット5の開閉機構について説明する。
ロックピン52は、ロックアーム34の掛止ラッチ部34aの底辺34cに掛止されている。この際、掛止側付勢バネ37は、上部の当接部材37aを介して横設部32cと接触しているため上方へ移動ができない。そのため、下部の当接部材37aおよびピン36cを介して解除杆36は常に掛止側付勢バネ37の下方への付勢力を受けている。そして、解除杆36の挿入部36aがロックアーム34の下端に挿入されているため、ロックアーム34には、枢支ピン35を中心に正面視において常に反時計回りの回転力が与えられている。この回転力を与えられているロックアーム34は、掛止ラッチ部34aの近傍のロックアーム34の右端が、固定側金具33の保持突起33cに接触することで図4に示す位置に停止する。掛止ラッチ部34aは、その右側部分が正面視において、固定側金具33の溝33bに重なる位置で停止している。
この状態において、接当板部53を介して開放側付勢バネ39L・39Rの上方への付勢力を受けるロックピン52は、掛止ラッチ部34aの底辺34cの下方から当接することで、上方への移動を規制(ロック)されている。このため、ロックピン52に取付けられた接当板部53と、ボンネット取付板54と、ボンネット5とは、回動支点51を中心とする上方への移動が阻止された状態となり、ボンネット5は閉じられた状態が保持されている。
ボンネット5が閉じられた状態からボンネット5が開いた状態(ボンネット5が開放された状態)とする作動について以下に説明を行う。
先ず、図4の状態から図5の(a)に示すように、作業者は、底板31の下方から開口31aへとドライバ10a等の解除部材の先端を挿入する。そして、作業者が、ガイド筒38内の解除杆36の下端を押圧することで、掛止側付勢バネ37の付勢力に抗して、解除杆36は上方へと移動する。この際、解除杆36は、横設部32cによって、前後方向の移動が規制されているため、スムーズに上方へと移動できる。この解除杆36の上方への移動によって、解除杆36と回動可能に連設されたロックアーム34は、枢支ピン35を中心として、正面視において、時計回りに回動する。正面視において溝33bに重なっていた状態であった掛止ラッチ部34aの右部が外方(左下方)へと移動することで、掛止ラッチ部34aによるロックピン52の掛止された状態が解除される。
ロックピン52の掛止された状態が解除されることで、開放側付勢バネ39L・39Rの上方への付勢力が接当板部53を介してロックピン52及びボンネット取付板54を上方へと押し上げる。このとき、ボンネット5を回動支点51を中心として上方へと回動させ、ボンネット5が開放される(ボンネットが開かれる)。
このボンネット5が開いた状態から再びボンネット5を閉じた状態とするには、作業者がボンネット5の前部上面を押圧することでおこなわれる。
作業者がボンネット5を下方へと押圧することで、ボンネット5側の開閉機構が下方へと移動してくる。この際、ロックピン52が掛止ラッチ部34aの斜辺34bと当接しながら下方へと移動する。この移動によって、ロックピン52は、掛止ラッチ部34aの斜辺34bを押圧し、掛止側付勢バネ37の付勢力に抗して、枢支ピン35を中心として、ロックアーム34を正面視において時計回りに回動させる。
さらに、ロックピン52が掛止ラッチ部34aの斜辺34bの下端まで達し、さらに下方へと移動することで、ロックアーム34は、掛止側付勢バネ37の上方への付勢力によって、枢支ピン35を中心として、正面視において反時計回りに回動する。このとき、ロックアーム34は、その右端が固定側金具33の保持突起33cに接触することで、その反時計回りの回動を停止させ、図4に示す状態とする。
尚、解除部材は、第一実施例において、ドライバ10aとしたが、限定するのもではなく、第二実施例にも記載する棒10bや、開口31aに挿入でき解除杆36を下方より押圧できるものであればよい。また、以下の実施例においても各解除操作が行うことができれば解除部材は、ドライバ10aや棒10bに限定するものではない。
以上のように、第一実施例のトラクタ1のボンネットの開閉機構は、トラクタ1のエンジン2部分を被覆するボンネット5において、該ボンネット5を開放する操作において、該ボンネット5内へ解除部材10a・10bで押し操作をすることにより、掛止ラッチ部34aとロックピン52との間の掛止状態を解除して、該ボンネット5の開放操作を可能とし、前記解除部材10a・10bは、前記ボンネット5の下方から挿入することにより、開閉機構を解除可能に構成したものである。
このように構成することにより、オペレータやトラクタの周囲にいる作業者が、無意識の間に、ボンネットを開放する解除レバーや操作レバーを操作して、ボンネットを開放してしまうという不具合を解消することが出来たものである。
また、ドライバ10aや棒10b等の解除部材を、ボンネット5の側方や下方から挿入するので、作業者等が無意識の内に、ボンネット5の開閉機構の解除操作を行うということがなくなるのである。
以上のように、第一実施例のトラクタ1のボンネットの開閉機構は、前記掛止ラッチ部34aをロックアーム34に設け、前記ボンネット5内へ前記解除部材10a・10bで押し操作をすることにより、前記ロックアーム34を回動操作することにより前記ロックピン52から解除し、前記開閉機構を解除可能に構成したものである。
このように構成することにより、ロックピン52と掛止ラッチ部34aとの間の一つのみで掛止状態となっているので、解除杆36を操作するという一重の操作で、ボンネット5の開閉機構の解除を行うことか出来るのである。
次に、図6から図10に図示す本発明の第二実施例にかかるボンネット5の開閉機構について説明する。尚、以下の実施例において、第一実施例で用いた同じ部材については、同じ符号を付して説明を行う。また、説明を容易とするため、図6および図8においては、掛止側付勢バネ66・67の図示を省略することで、他の構成部材の配置が分かるようにしている。また、図7から図9に示す接当板部73は、ロックピン72が取付けられている箇所およびその周辺を切り欠き、その後方が分かるように図示している。
第二実施例におけるボンネット5の開閉機構も、ボンネット5側に取付けられるものと、機体(フロントフレーム4)側に取付けられるものとで構成されている。
フロントフレーム4側に取付けられる開閉機構は、主として、底板31、固定側金具63、第一ラッチ62、第二ラッチ64、枢支ピン65、第一掛止側付勢バネ66、第二掛止側付勢バネ67、開放側付勢バネ39L・39R、取付板68等によって構成される。
固定側金具63は、ボンネット5の開閉機構全体を支持するものであって、バッテリ23の前方の底板31に立設される板状の部材である。固定側金具63の起立した面は、側面視において前高後低となるように傾斜している。固定側金具63の下部は、後方へと延設するように折り曲げられて、底板31に固設されている。さらに、固定側金具63の左右中央部において、その上端から上下中央にかけて溝63aが設けられている。溝63aは、その下部から中途部にかけて後述するロックピン72よりも若干広い溝幅が形成され、中途部から上端に向うにつれてその溝幅が広くなっている。さらに、固定側金具63には、左端から前方に突出するように保持突起63bが設けられている。
取付板68は、固定側金具63とともに、ボンネット5の開閉機構全体を支持するものであって、固定側金具63の後方の底板31に立設されている。取付板68は、正面視において上部が左右に枝分かれするように形成され、さらにその上端部が前記固定側金具63の起立面に対して直角となるように前方へ延設するように折り曲げられている。取付板68の前端は、固定側金具63の後面に取付けられる。つまり、取付板68は、固定側金具63と一体的となるように構成されている。取付板68の上面には、それぞれ開放側付勢バネ39L・39Rが立設されている。
図9の(a)に示すように、第一ラッチ62は、第二ラッチ64と同様に後述するロックピン72を掛止するためのものである。第一ラッチ62は、固定側金具63の前方に設けられ、さらに第二ラッチ64は、第一ラッチ62の前方に設けられている。第一ラッチ62および第二ラッチ64は、その前後中途部を固定側金具63から突出した枢支ピン65によって枢支されている。
第一ラッチ62と第二ラッチ64は、それぞれの上部に鈎針状の掛止ラッチ部62a・64aを有する。掛止ラッチ部62aは、ロックピン72を掛止している状態において、左方に突出するように、掛止ラッチ部64aは右方に突出するように形成される。
第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aは、その上左端に、右高左低に傾斜する斜辺62bが形成され、さらに斜辺62bの下の頂点から右方向に延長された底辺62cが形成されている。
第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aは、その上右端に、左高右低に傾斜する斜辺64bが形成され、さらに斜辺64bの下の頂点から左方向に延長された辺である底辺64cが形成されている。
掛止ラッチ部64aの底辺64cは、正面視において、掛止ラッチ部62aの底辺62cよりも、間隔tだけ上方に位置するように第一ラッチ62と第二ラッチ64は配置されている。
第一ラッチ62は、上部の掛止ラッチ部62aから下方へと延設されており、その下端部には、作業者が手動で操作するための解除レバー62dが設けられている。解除レバー62dは、底板31に設けられた開口61aより下方に突出するように配置される。つまり、解除レバー62dは、底板31の下方に配置されている。さらに、第一ラッチ62の前後中途部から左方へと突出するように保持部62eが設けられている。保持部62eは、保持突起63bと当接可能な位置に配置されている。
枢支ピン65の下方であって、第一ラッチ62の前後中途部には、係止穴が形成されており、該係止穴には、第一掛止側付勢バネ66の一端が係止されている。第一掛止側付勢バネ66の他端は、底板31を右側のフロントフレーム4に取付けるための取付部材4aに係止されている。したがって、第一掛止側付勢バネ66によって、第一ラッチ62は、正面視において枢支ピン65を中心として常に時計回りに付勢されている。但し、前述の保持部62eが保持突起63bに当接することで、この第一ラッチ62は所定の位置で停止する。
他方の第二ラッチ64は、その上部の掛止ラッチ部64aから底板31の上面付近まで突出するように形成されている。第二ラッチ64の下部には、作業者がドライバ10a又は棒10b等の解除部材を挿入可能とする被挿入パイプ部64dが設けられている。
第二ラッチ64には、被挿入パイプ部64dの左側に、係止穴が形成されており、該係止穴に第二掛止側付勢バネ67の一端が係止されている。さらに、第二掛止側付勢バネ67の他端は、底板31を左側のフロントフレーム4に取付けるための取付部材4aに係止されている。つまり、第二掛止側付勢バネ67の付勢力によって、第二ラッチ64は、正面視において枢支ピン65を中心として反時計回りの回転力を常に受けている。但し、第二ラッチ64の左端が保持突起63bに接触することで、第二ラッチ64の回動は図7および図9の(a)に示す所定の位置で停止する。
ボンネット5側に取付けられている開閉機構は、主として、ロックピン72、接当板部73、取付杆74等によって構成される。
接当板部73は、開放側付勢バネ39L・39Rの上端と接触することで、その付勢力を受けるためのものである。接当板部73は、側面視において逆L字状に折り曲げられた板材である。接当板部73の前側面は、ボンネット5が閉じられた状態にある場合、固定側金具63、第一ラッチ62、第二ラッチ64、に対して平行となるように設けられ、その前側面の上端から後方に延設された接当面が形成されている。
接当板部73の前側面の左右中央には、掛止ラッチ部34aに掛止される棒状のロックピン72の前端が固設されている。ロックピン72は接当板部73から後方へと延設されている。
取付杆74・74は、接当板部73をボンネット5側に取付けるためのものである。取付杆74・74は、左右方向に所定の間隔をとって左右一対となるように構成されている。取付杆74・74の下端は、接当板部73の接当面の上部に取付けられている。取付杆74・74の上端は、前照灯58・58をボンネット5に取付けるための前照灯支持ステー58aに取付板74aを介してそれぞれ固設される。つまり、取付杆74・74の上端は、前照灯支持ステー58aを介してボンネット5に取付けられている。
このように構成することで、ロックピン72は、接当板部73及び取付杆74とともに、ボンネット5に取付けられている。
以上のように、第二実施例のトラクタ1のボンネットの開閉機構は、前記ロックピン72に掛止するラッチ部を、左右両側から回動する第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aと、第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aとにより構成し、一方の前記第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aは、手動により解除レバー62dを操作することにより解除し、他方の前記第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aは、前記ボンネット5の下方から前記解除部材10a・10bを挿入して、前記第二ラッチ64を押し操作又は回動操作することにより、前記ロックピン72から解除して、前記開閉機構を解除可能としたものである。
このように構成することにより、ドライバ10a又は棒10b等の解除部材は、一方の掛止ラッチ部64aの解除操作のみをし、他方は、既に具備されている解除レバー62dにより解除操作を行うのであるから、二重に解除部材を使用するという不具合を解消することが出来るのである。また、ボンネット5の開閉機構を構成する第一ラッチ62と第二ラッチ64とを、二段階で操作しなければ、ボンネット5の開閉機構の解除操作が出来ないので、更に、作業者等が無意識の内に、解除動作をすることが無くなったのである。
次に、本発明の第二実施例にかかるボンネット5の開閉機構の作動について説明する。
先ずは、ボンネット5が閉じられた状態におけるボンネット5の開閉機構の状態について説明する。
ロックピン72は、上方への移動ができないように掛止ラッチ部62aの底辺62cによって掛止されている。この際、第一ラッチ62には、常に第一掛止側付勢バネ66の付勢力によって、正面視で枢支ピン65を中心として常に時計回りの回転力が与えられている。ここで、第一ラッチ62の保持部62eが固定側金具63の保持突起63bに当接することで図9の(a)に示す位置を保持することとができている。
第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aの底辺64cは、掛止ラッチ部62aの底辺62cよりも間隔tだけ上方に位置しており、ロックピン72を直接掛止することはない。この際、第二ラッチ64には、常に第二掛止側付勢バネ67の付勢力によって、正面視で枢支ピン65を中心として常に反時計回りの回転力が与えられている。ここで、第二ラッチ64の左端が保持突起63bに接触することで、図9の(a)に示す位置を保持することとができている。
一方、ロックピン72が取付けられている接当板部73は、開放側付勢バネ39L・39Rの上端と接触しているが、ロックピン72が掛止ラッチ部62aによって掛止されているため、開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力に抗して、ロックピン72の上方への移動が阻止(規制)されている。つまり、ロックピン72が掛止ラッチ部62aに掛止されている状態では、ボンネット5は内部を開放する(開く)ことができない。
次に、ボンネット5が閉じた状態から開いた状態にするためのボンネット5の開閉機構の作動について説明する。
先ず、作業者は、第一ラッチ62の解除レバー62dを握り、枢支ピン65を中心として、第一ラッチ62を正面視で反時計周りに回動させる。すると、ロックピン72を掛止していた第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aが右下方へと移動することとなり、ロックピン72は、接当板部73を介して開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力によって、上方へと移動する。しかし、第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aがロックピン72の上方にあるため、ロックピン72は、掛止ラッチ部64aの底辺64cと当接してそれよりも上方へと移動できなくなる。この状態で、作業者は、第一ラッチ62の解除レバー62dを離すことで、第一ラッチ62は、第一掛止側付勢バネ66の付勢力によって、枢支ピン65中心として、正面視で時計周りに回動し、掛止ラッチ部62aの先端(斜辺62bの下部)付近とロックピン72が当接して、図9の(b)に示す状態となる。
この状態で、さらに作業者は、該被挿入パイプ部64dへとドライバ10a又は棒10b等の解除部材を挿入して、第二ラッチ64を枢支ピン65を中心として、正面視で時計回りに回動させる。すると、ロックピン72を掛止していた第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aが左下方へと移動することとなり、ロックピン72は、接当板部73を介して開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力によって、上方へと移動する。このとき、ボンネット5は、側面視において回動支点51を中心として上方へと回動する。
その際、第一ラッチ62は、第一掛止側付勢バネ66の付勢力によって枢支ピン65を中心として正面視において時計回りに回動し、保持部62eと保持突起63bが接触することで、図10の(a)に示す位置でその回動を停止させる。さらに、作業者が該被挿入パイプ部64dからドライバ10a又は棒10b等の解除部材を抜き去ると、第二ラッチ64は、第二掛止側付勢バネ67の付勢力によって枢支ピン65を中心として反時計回りに回動し、第二ラッチ64の左端と保持突起63bが接触することで、図10の(b)に示す位置でその回動を停止させる。
このボンネット5が開いた状態から閉じた状態とするには、作業者がボンネット5の前部上面を下方へと押圧することでおこなわれる。
作業者がボンネット5を下方へと押圧することで、ボンネット5側に取付けられた開閉機構は下方へと移動してくる。この際、ロックピン72が掛止ラッチ部62a・64aの斜辺62b・64bと当接しながら下方へと移動する。そうすることで、ロックピン72が、掛止ラッチ部62a・64aの斜辺62b・64bをそれぞれ押圧し、第一掛止側付勢バネ66および第二掛止側付勢バネ67の付勢力に抗して、枢支ピン35を中心として、正面視において、第一ラッチ62を反時計回りに、第二ラッチ64を時計回りに回動させる。このとき、第一ラッチ62及び第二ラッチ64は、固定側金具63の溝63aよりも外方に掛止ラッチ部62a・64aが移動される。さらに、掛止ラッチ部62a・64aよりもロックピン72が下方へ移動することで、ロックピン72の掛止ラッチ部62a・64aに対する押圧が終了し、第一掛止側付勢バネ66および第二掛止側付勢バネ67の付勢力によって、枢支ピン35を中心に、正面視において第一ラッチ62を時計回りに、第二ラッチ64を反時計回りに回動させる。そして、ロックピン72は、図9の(a)に示すように、第一ラッチ62の掛止ラッチ部62aによって掛止される。つまり、再び、ボンネット5は、開閉機構によって閉じられた状態となる。
以下に、図11から図15を用いて、本発明の第三実施例にかかるボンネット5の開閉機構について、第二実施例と異なる部分を中心に説明をする。尚、第一実施例および第二実施例と同じの形状、同じ部材については、それぞれ同じ符号を付している。また、説明を容易とするために、図12、図14、および図15に示す正面図においては、取付板94を取り外した状態で図示している。図11および図13においては、掛止側付勢バネ66・67を省略した状態を図示し、他の部材の位置を特定しやすくしている。
第三実施例においては、左側に突出する掛止ラッチ部62aを有した第二実施例の第一ラッチ62に対応する第一ラッチ82と、その前方に、右側に突出する掛止ラッチ部64aを有した第二実施例の第二ラッチ64に対応する第二ラッチ84が配置されている。
また、第二ラッチ84を第二掛止側付勢バネ67により閉鎖方向に付勢し、第一ラッチ82を第一掛止側付勢バネ66により、閉鎖方向に付勢している点では同じである。そして、フロントフレーム4の側である固定側に、開放側付勢バネ39L・39Rが設けられており、ボンネット5が回動支点51により枢支されて、前端が開放回動可能に構成されている点では同じである。
第三実施例においては、第二ラッチ84は手動で操作し、第一ラッチ82はドライバ10aや棒10b等の解除部材の先端をボンネット5の内部に挿入して、解除方向に回動操作するように構成されているのである。
第三実施例にかかるボンネット5の開閉機構は、掛止部分(掛止ラッチ部62aがロックピン72を掛止している部分)が第二実施例にかかるボンネット5の開閉機構よりも上方に位置している。そのため、第二実施例の固定側金具63に対応する固定側金具83の下部は、支持板89の上部前面にボルト等によって固設されている。
取付板88は、支持板89の上方の固定側金具83の下部に固設されている。
つまり、固定側金具83と取付板88と支持板89は、一体的となるように構成されている。
第一ラッチ62に対応する第一ラッチ82は、上部の掛止ラッチ部62aから下方へと底板31の上面付近まで延設されており、その下端部には、第二実施例の第一ラッチ62の被挿入パイプ部64dの代わりに、作業者がドライバ10a又は棒10bによって押圧可能とする解除突起82dが設けられている。第一ラッチ82の掛止ラッチ部62aの延長された面よりも前方となるように、その右側部分が折り曲げられることで構成されている。解除突起82dの右下方の底板31には、ドライバ10aや棒10b等の解除部材を挿入可能な程度の開口81aが設けられている。
枢支ピン65の下方であって、第一ラッチ62の前後中途部には、係止穴が形成されており、該係止穴には、第一掛止側付勢バネ66の一端が係止されている。第一掛止側付勢バネ66の他端は、一端よりも右下方に位置し、底板31に掛止されている。ここで第一掛止側付勢バネ66は、底板31の上方に位置する。第一掛止側付勢バネ66によって、第一ラッチ82は、正面視において枢支ピン65を中心として時計回りに常に付勢されている。
第二実施例の第二ラッチ64に対応する第二ラッチ84は、被挿入パイプ部64dの代わりに、作業者が手で押圧可能とする解除レバー84dが設けられている。解除レバー84dは、第二ラッチ84の上部よりも右外方へと延設された下部をさらに前方へと折り曲げることで構成されている。解除レバー84dは、第一掛止側付勢バネ66よりも上方に設けられている。
第二ラッチ84は、第二掛止側付勢バネ67の一端が掛止される掛止穴は、第二実施例よりも下方に設けられている。第二掛止側付勢バネ67の他端は、一端よりも左下方に位置し、底板31に掛止されている。第二掛止側付勢バネ67によって、第二ラッチ84は、正面視において枢支ピン65を中心として反時計回りに常に付勢されている。
ボンネット5側に取付けられている開閉機構は、主として、ロックピン72、接当板部93、取付板94によって構成される。
取付板94は上下方向を長手方向とする板状の部材であって、ボンネット内部の部材と接触しないように適宜の箇所を折り曲げることによって構成される。取付板94は、前照灯59をボンネット5に取付けるための前照灯取付部材59a・59b・59cに固設されている。取付板94の下端部には、ロックピン72の前端が固設されている。ロックピン72の上方における取付板94には、接当板部93の前端が固設される。接当板部93は、ボンネット5を閉じた状態で、開放側付勢バネ39L・39Rの上端と接触可能となるように設けられる。
このように構成することで、ロックピン72は、接当板部93と取付板94とともに、ボンネット5に取付けられている。
次に、本発明の第三実施例にかかるボンネット5の開閉機構の作動について説明する。先ずは、ボンネット5が閉じられた状態から開いた状態へと移行するボンネット5の開閉機構の作動について説明する。
作業者は、先ず、棒10b等の解除部材を底板31の開口81aへと下方から挿入して、該開口31aに接触した棒10bの部分を回動の支点として、棒10bを正面視において時計回りに回動させることで、棒10bの先端を解除突起82dに接触させながら、枢支ピン65を中心として第一ラッチ82を反時計回りに回動させる。したがって、図14の(b)に示すように、第一ラッチ82の上部の掛止ラッチ部62aは、右下方へと移動し、第二実施例と同様にロックピン72は掛止ラッチ部62aによる掛止状態が解除され、開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力によって掛止ラッチ部64aの底辺64cに至るまで上方する。つまり、ロックピン72は、間隔tだけ上昇する。
一旦、解除方向(正面視において反時計回り)に回動された第一ラッチ62は、ロックピン72が第二ラッチ64の掛止ラッチ部64aに掛止されている状態では、掛止ラッチ部62aの左先端と当接しているため、すぐにもとのロックピン72との掛止状態(図15の(b)に示す状態)には戻らない。
そして、図14の(b)に示すの状態から図15の(a)のに示す状態のように、作業者は、第二ラッチ84の解除レバー84dを手で押し上げる動作を行う。そうすることで、第二ラッチ84が枢支ピン65を中心として、時計回りに回動し、第二ラッチ84の上部である掛止ラッチ部64aが左下方へと移動する。そうすることで、ロックピン72は、第一ラッチ82と第二ラッチ84の両方の掛止ラッチ部62a・64aとの掛止状態を解除することができるのである。
そして、ロックピン72は、接当板部73を介して開放側付勢バネ39L・39Rの付勢力によって、上方へと移動する。このとき、ボンネット5は、側面視において回動支点51を中心として上方へと回動する。
第一ラッチ82は、第一掛止側付勢バネ66の付勢力によって枢支ピン65を中心として時計回りに回動し、保持部62eと保持突起63bが接触することで、図15の(b)に示す位置でその回動を停止させる。さらに、作業者が解除レバー84dから手を離すと、第二ラッチ84は、第二掛止側付勢バネ67の付勢力によって枢支ピン65を中心として反時計回りに回動し、第二ラッチ84の左端と保持突起63bが接触することで、図15の(b)に示す位置でその回動を停止させる。
ボンネット5が開いた状態から、ボンネット5を閉めるには、作業者がボンネット5の前部上面を押圧することでおこなわれる。
以上のように、第二実施例と、第三実施例においては、ボンネット5を開放する(開く)為に、掛止ラッチ部62a・64aとロックピン72との掛止状態の解除操作において、二重操作が必要な構成としているのである。つまり、まずは、第一ラッチ62(82)の掛止ラッチ部62aを解除する操作を行い、次に第二ラッチ64(84)の掛止ラッチ部64aの解除操作を行うように、二重の解除操作を必要とするのである。
そして、第二実施例と第三実施例においては、2つの掛止ラッチ部62a・64aは、ロックピン72との掛止部分において、上下方向に間隔tを設けているので最初に第一ラッチ62・82の掛止ラッチ部5aを解除し、次に第二ラッチ64・84の掛止ラッチ部3aを解除するという手順が求められているのである。
この手順を間違えて、上記と逆の手順で解除操作を行った場合には、ボンネット5を開放することが出来ないように構成しているのである。これによっても、確実なボンネット5の開放操作を求めるように構成しているのである。