JP5536685B2 - 熱硬化性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂および揮発性を有する硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を注型して成形する熱硬化性樹脂成形品の製造方法に関する。
エポキシ樹脂硬化物は一般に、安価で、透明性、電気絶縁性、耐薬品性、耐湿性、接着性等に優れ、経済性と性能のバランスに優れていることから、電気絶縁材料、半導体装置材料、接着材料、塗料材料等の様々な分野に用いられている。
中でも酸無水物硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化物は、透明性に優れ、硬化時の高温や硬化後の環境から受ける高温により着色しにくいことから成形等に広く用いられている。
例えば、酸無水物硬化剤を用いたエポキシ樹脂成形品としては、発光ダイオード(LED)の発光素子のような光半導体を保護するための光半導体封止材料を挙げることができる(特許文献1参照)。
特許文献1には、酸無水物硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤として第4級アンモニウム塩を用いると、150℃以下の硬化温度においてほとんど変色のない透明性に優れる硬化物を与えることが記載されている。
また、100〜120℃の低温領域でも硬化促進剤の配合量を増やすことにより30〜60分程度の短時間で金型からの離型が可能であり、硬化物も変色のない透明品が得られることが記載されている。
特許第2534642号公報
しかしながら、酸無水物硬化剤を用いたエポキシ樹脂成形品は、エポキシ樹脂成形品の寸法が比較的大きくなると、気泡が発生しやすくなる。
すなわち、特許文献1はLED等の光半導体の封止に関するものであり、エポキシ樹脂成形品の寸法が小さく形状も比較的単純である。具体的には、特許文献1のような寸法の小さいエポキシ樹脂成形品では硬化温度が100℃以上で成形しても問題ないとされている。ところが、住宅設備部材等のように寸法が大きくなると、硬化の初期段階においては酸無水物硬化剤の揮発による気泡の発生が問題となる。また、加熱による酸無水物硬化剤の揮発だけではなく、硬化反応が発熱反応であり、硬化中に多量の発熱を生じるため樹脂の反応熱による揮発をも抑制する必要がある。
特に、住宅設備部材等の製品は寸法が大きく形状も複雑なものが多いため、一旦気泡が発生すると抜けにくく、また硬化反応の反応熱も篭りやすいので、気泡の問題が発生しやすくなる。
そのため、酸無水物硬化剤の揮発による気泡の発生を抑制するためには、できる限り低温で穏和な条件で成形する必要がある。
しかしながら、低温成形では、脱型が可能で耐熱性も高いエポキシ樹脂成形品を得ることが困難になり、あるいは成形に非常に長時間を要することになる。そのため、生産性が低下してしまう。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、気泡の発生を抑制し、生産性も確保することができる熱硬化性樹脂成形品の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、熱硬化性樹脂および揮発性を有する硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を注型して成形する熱硬化性樹脂成形品の製造方法において、金型に前記熱硬化性樹脂組成物を注入し、硬化剤の蒸気圧が0.05〜0.5mmHgとなる第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、第1の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が1.0〜3.0mmHgとなる第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、第2の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が5.0mmHg以上となる第3の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程とを含むことを特徴としている。
この熱硬化性樹脂成形品の製造方法においては、第1の温度領域に加熱保持する時間が5.0〜15分、第2の温度領域に加熱保持する時間が2.5〜15分であることが好ましい。
この熱硬化性樹脂成形品の製造方法においては、硬化剤は、酸無水物硬化剤であり、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法によれば、気泡の発生を抑制し、生産性も確保することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、住宅設備部材等の比較的大きく形状も比較的複雑になることが多い熱硬化性樹脂成形品を注型により成形する際に、気泡を発生させず、かつ生産性を落とさないようにすることを考慮して完成したものである。これを実現するために、注型による成形の初期段階において2段階の低温加熱(第1の温度領域、第2の温度領域)を行うことを特徴としている。
具体的には、ある程度まで反応が進行して3次元架橋が形成されるまでは比較的低温にて加熱し、気泡の発生および残留を抑制するようにしている。そして気泡がない状態である程度まで反応が進行した後は、十分な硬化を短時間で行うために高温での加熱を行う(第3の温度領域)。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、以上のような観点に基づいて、第1の温度領域および第2の温度領域での2段階の低温加熱を経て最終的に第3の温度領域において成形を完了するようにしたことを特徴としている。
なお、本発明において硬化剤の蒸気圧は、次のようにして測定することができる。蒸気圧は、その物質の温度における液相と平衡状態にある蒸気相の圧力であり、静止法、気体流通法、沸点法、気体分子運動に基づく方法等の公知の蒸気圧測定方法により測定できる。
静止法は、密閉容器中からサンプリングし、試料温度を一定にしておき、その温度における平衡蒸気圧を、圧力計を用いて直接測定する方法である。
気体流通法は、一定温度の液体試料と接触するようにキャリアーガスを流して試料の蒸気を飽和させて蒸気密度(蒸発量/体積)を測定し、蒸気が理想気体の法則に従うと仮定して蒸気圧を求める方法である。
沸点法は、種々の圧力における沸点を測定することにより蒸気圧曲線を得る方法である。
これらの測定方法は、併用することもできる。また、蒸気圧が測定限界を超えて低い場合は、測定可能領域の結果をグラフ化して、外挿した値を採用することができる。さらに、測定結果をClapeyron−Clausiusの式に当てはめて補外数値を求める等の手段を取ることは、正確な蒸気圧を知るために有効である。
以下に、本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法を具体的に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、熱硬化性樹脂および揮発性を有する硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を注型して成形するものである。
熱硬化性樹脂組成物としては、液状の熱硬化性樹脂と揮発性を有する硬化剤とを含有し、これらを加熱して硬化するものを好適に用いることができる。すなわち、成形時の加熱温度により硬化剤が揮発し、気泡を発生しやすくなるものに好適に用いることができる。
なお、「揮発性を有する」硬化剤とは、成形時の加熱温度において揮発性を有する意味であり、本発明では常温(25℃)では固形であるが成形時の加熱温度において液状になり揮発性を有するようになる硬化剤を用いることもできる。
熱硬化性樹脂/硬化剤の組み合わせとして、具体的には、例えば、エポキシ樹脂/酸無水物硬化剤、エポキシ樹脂/脂肪族アミン硬化剤、エポキシ樹脂/芳香族アミン硬化剤、エポキシ樹脂/脂環族アミン硬化剤等を挙げることができる。
これらの中でも、硬化剤は酸無水物硬化剤であり、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であることが好ましい。このような熱硬化性樹脂組成物を用いると、気泡発生の抑制と生産性確保の両立に、後述する第1〜第3の温度領域による3段階の加熱が特に有効になる。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、常温(25℃)で液状のエポキシ樹脂を用いることができる。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの常温で液状のエポキシ樹脂に、常温で固形のエポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂等を溶解したエポキシ樹脂を用いることもできる。
これらの中でも、酸無水物硬化剤との併用や熱硬化性樹脂成形品の物性等を考慮すると、常温で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。例えば、エポキシ当量150〜500g/eq、粘度1000〜50000mPa・s(25℃)のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。
酸無水物硬化剤としては、例えば、脂環式酸無水物、脂肪族酸無水物等を用いることができる。
脂環式酸無水物としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等のメチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族酸無水物としては、例えば、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性および機械的強度等を考慮すると、脂環式酸無水物が好ましい。脂環式酸無水物としては、例えば、酸無水物当量が150〜400g/eqのものを用いることができる。
酸無水物硬化剤の配合量は、好ましくは、無水物基とエポキシ基との当量比(酸無水物当量/エポキシ基当量)が0.5〜1.5となる量であり、より好ましくは当量比が0.7〜1.2となる量である。当量比がこのような範囲内であると、硬化不足を抑制し、熱硬化性樹脂成形品の耐熱性や強度を高めることができる。
熱硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との反応を促進する硬化促進剤を配合することができる。硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第4級アンモニウム塩等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との合計量に対して0.3〜5.0質量%が好ましい。硬化促進剤の配合量をこのような範囲内にすると、硬化反応を促進しつつ硬化反応の過剰な進行も抑制することができる。
熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらに他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、無機充填剤、着色剤等を用いることができる。
熱硬化性樹脂組成物は、次のようにして調製することができる。例えば、熱硬化性樹脂、硬化剤、および必要に応じて他の成分を配合し、これらを混合する。混合する方法は特に限定されないが、例えば、適当な容器中にて攪拌棒、へら等により手で混練する方法、プラネタリーミキサー、ビーズミル、3本ロール等の混練機により混練する方法等を適宜に用いることができる。
これらを混合後、真空脱泡して熱硬化性樹脂組成物を調製することができる。なお、これらの混合物は、保管時における硬化反応を抑制するために必要ならば、熱硬化性樹脂と硬化剤とを分けた2液以上の状態で保管し、使用時に混合して用いる。
このようにして調製される熱硬化性樹脂組成物は、粘度が1000〜100000mPa・s(25℃)であることが好ましく、1000〜50000mPa・s(25℃)がより好ましい。このような粘度範囲にすると、注型成形における作業性等を良好なものとすることができる。
熱硬化性樹脂組成物の成形は、注型用の金型を用いて行うことができる。例えば、金型の上型と下型との間にキャビティを形成し、キャビティに注入ノズル等により熱硬化性樹脂組成物を注入する。そして金型に設けた加熱装置によりキャビティ内の熱硬化性樹脂組成物を加熱し、成形後は脱型して成形品を取り出すことにより成形を行うことができる。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法は、気泡が発生しやすく生産性も要求される、寸法が比較的大きく形状も複雑な用途に好適である。
具体的には、1回の注型量が数百グラムから数十キログラムの比較的大型の熱硬化性樹脂成形品に好適であり、例えば、住宅設備部材に好適である。
住宅設備部材としては、例えば、キッチンカウンター、キッチンシンク、洗面カウンター、洗面ボウル、洗面キャビネット、浴槽、浴槽蓋、浴槽パン、浴室床、浴室壁、浴室天井、浴室カウンター、便器、手洗いボウル等を挙げることができる。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法では、以上に説明したような熱硬化性樹脂組成物を金型に注入し、硬化剤の蒸気圧が0.05〜0.5mmHg、好ましくは0.1〜0.3mmHgとなる第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する。このような第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持することで、気泡の発生を抑制することができる。
すなわち、この第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持することで、急激な昇温による硬化剤の蒸気圧の急激な上昇や反応熱による気泡の発生を抑制する。そして熱硬化性樹脂組成物の3次元架橋をある程度まで進行させることによっても気泡の発生を抑制する。
この第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持せずに直接に後述の第2の温度領域以上の温度まで上昇させると、急激な昇温等に起因して気泡が発生しやすくなる。
また、第1の温度領域に加熱保持したまま成形を試みても、硬化が十分に進行せず熱硬化性樹脂成形品を得ることができないか、あるいはガラス転移温度が非常に低いものとなってしまう。
硬化剤として酸無水物硬化剤、特にテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物を用いた場合には、第1の温度領域は、例えば、50〜70℃程度である。
第1の温度領域に加熱保持する時間は、5.0〜15分が好ましく、5.0〜10分がより好ましい。第1の温度領域に加熱保持する時間をこのような範囲内にすることで、気泡の発生を抑制し、生産性も確保することができる。
なお、第1の温度領域に加熱保持する際に、第1の温度領域の範囲内において2段階以上の加熱温度を設定し、全体として上記のような時間の範囲内にて加熱保持するようにしてもよい。
次に、本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法では、第1の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が1.0〜3.0mmHgとなる第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する。このような第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持することで、気泡の発生を抑制することができる。
すなわち、この第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持することで、第1の温度領域から後述する第3の温度領域への急激な昇温による硬化剤の蒸気圧の急激な上昇や反応熱による気泡の発生を抑制する。そして加熱保持することにより熱硬化性樹脂組成物の3次元架橋をさらに進行させて、後述する第3の温度領域への昇温による気泡の発生を抑制する。
この第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持せずに直接に第1の温度領域から後述の第3の温度領域以上の温度まで上昇させると、急激な昇温により気泡が発生する。
また、第2の温度領域に加熱保持したままそれ以上昇温せずに成形を試みても、硬化が十分に進行せず熱硬化性樹脂成形品を得ることができないか、あるいはガラス転移温度が非常に低いものとなってしまう。例えば、熱硬化性樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としてテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物を用いた熱硬化性樹脂組成物では、ガラス転移温度が100℃以上の熱硬化性樹脂成形品を得ることが困難になる場合が多い。
硬化剤として酸無水物硬化剤、特にテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物を用いた場合には、第2の温度領域は、例えば、85〜90℃程度である。
第2の温度領域に加熱保持する時間は、2.5〜15分が好ましく、3.0〜8.0分がより好ましい。第2の温度領域に加熱保持する時間をこのような範囲内にすることで、気泡の発生を抑制し、生産性も確保することができる。
なお、第2の温度領域に加熱保持する際に、第2の温度領域の範囲内において2段階以上の加熱温度を設定し、全体として上記のような時間の範囲内にて加熱保持するようにしてもよい。
次に、本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法では、第2の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が5.0mmHg以上、好ましくは8.0mmHg以上となる第3の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する。このような第3の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持することで、熱硬化性樹脂組成物の硬化を短時間で十分に進行させることができる。
すなわち、第1および第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程を経ることで、気泡が発生しない状態で3次元架橋が相当程度まで進行しているため、第2の温度領域から第3の温度領域に昇温しても、硬化剤の蒸気圧の上昇や反応熱による気泡の発生を抑制することができる。
この第3の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持して硬化することで、硬化が十分に進行し、十分に高いガラス転移温度を持つ熱硬化性樹脂成形品を得ることができる。例えば、熱硬化性樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としてテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物を用いた熱硬化性樹脂組成物では、ガラス転移温度が100℃以上、好ましくは110℃以上の熱硬化性樹脂成形品を得ることができる。
硬化剤として酸無水物硬化剤、特にテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物を用いた場合には、第3の温度領域は、例えば100℃以上、好ましくは110〜125℃程度である。
第3の温度領域に加熱保持する時間は、20〜100分が好ましく、30〜60分がより好ましい。第3の温度領域に加熱保持する時間をこのような範囲内にすることで、十分に高いガラス転移温度が得られる程度まで硬化を進行させ、かつ生産性も確保することができる。
なお、第3の温度領域に加熱保持する際に、第3の温度領域の範囲内において2段階以上の加熱温度を設定して、全体として上記のような時間の範囲内にて加熱保持するようにしてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法における第1の温度領域から第3の温度領域までの多段階の加熱による全体の硬化時間は、45〜120分が好ましく、45〜90分がより好ましい。全体の硬化時間をこのような範囲内にすることで、生産性を確保することができる。
なお、金型のキャビティ内にて第1の温度領域から第3の温度領域までの多段階の加熱による硬化、成形を行い、脱型した後に、さらに所定の温度に加熱保持して後硬化を行うようにしてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂成形品の製造方法によれば、気泡がなく外観が良好で、耐熱性も有する熱硬化性樹脂成形品を得ることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
エポキシ樹脂として液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON(登録商標)840S」、エポキシ当量180〜190g/eq、粘度9000 〜11000mPa(25℃))を用いた。
酸無水物硬化剤としてテトラヒドロ無水フタル酸(DIC株式会社製「EPICLON(登録商標)B−570H」、酸無水物当量166g/eq、粘度40mPa・s(25℃))を用いた。
硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製「キュアゾール(登録商標)2E4MZ」)を用いた。
エポキシ樹脂100質量部、酸無水物硬化剤100質量部、硬化促進剤2質量部を配合し、これらを混合後、真空脱泡してエポキシ樹脂組成物を調製した。
注型用の金型として、サイズが30cm×20cm×深さ15cmの楕円形のシンクのミニチュアが形成される上型および下型により構成されるキャビティを有する金型を用いた。この金型にエポキシ樹脂組成物を注型し、表2、3に示す条件にて加熱し成形を行った。
なお、酸無水物硬化剤について、静止法により蒸気圧を測定した。25℃〜120℃の蒸気圧を表1に示す。
Figure 0005536685
以上のようにして成形したエポキシ樹脂成形品について次の評価を行った。
[気泡の評価]
エポキシ樹脂成形品ついて気泡の有無を目視で確認し、次の基準により評価した。
○:成形品に気泡は全く見られず、あるいは数個のみでほとんど観察されなかった。
△:成形品に目視で観察できる気泡が若干見られた。
×:成形品に目視で観察できる気泡が多数見られた。
[ガラス転移温度]
エポキシ樹脂成形品の硬化のレベルを評価するため、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会杜製「EXSTAR DSC6000」)を用いて示差走査熱量測定によりガラス転移温度を測定した。
評価結果を表2、表3に示す。
Figure 0005536685
Figure 0005536685
表3より、比較例1、2に示されるように、1段階目の加熱で90℃以上(硬化剤蒸気圧0.5mmHg以上)とすると、エポキシ樹脂成形品に気泡が発生してしまう。
そこで、気泡の発生を避けるため、比較例3に示されるように1段階目の加熱を70℃(硬化剤蒸気圧0.5mmHg以下)とし、昇温せずにそのまま70℃とすると、気泡の発生は避けられるが、反応が穏やかに進行するためにエポキシ樹脂組成物の硬化が不十分となり、ガラス転移点の測定ができなかった。
そこで、気泡の発生を避けつつ硬化を十分にするため、比較例4に示されるように1段階目の加熱を70℃/20分(硬化剤蒸気圧0.5mmHg以下)、2段階目の加熱を120℃/26分(硬化剤蒸気圧13mmHg)とすると、エポキシ樹脂成形品に気泡が発生してしまう。これは、1段階目での反応の進行が僅かであり3次元架橋がほとんど形成されていないにも関わらず、2段階目で120℃まで昇温したためと考えられる。
そこで、確実に気泡の発生を避けつつ硬化を十分にするため、比較例5に示されるように1段階目の加熱を70℃/20分(硬化剤蒸気圧0.5mmHg以下)、2段階目の加熱を85℃/26分(硬化剤蒸気圧1.5mmHg)とすると、気泡の発生は避けられたもののガラス転移点が75℃と低く、所定の時間内では要求される硬化レベルを満たさなかった。比較例6に示されるように1段階目の加熱を70℃/20分(硬化剤蒸気圧0.5mmHg)、2段階目の加熱を90℃/26分(硬化剤蒸気圧2.5mmHg)としても同様であった。
以上の点を前提として、気泡の発生を避けつつ硬化を十分にするために、3段階以上の加熱を試みた。表2より、実施例1に示されるように、1段階目の加熱を70℃/7分(硬化剤蒸気圧0.5mmHg以下)、2段階目の加熱を90℃/3.5分(硬化剤蒸気圧2.5mmHg)とすることで、徐々に反応を進行させつつある程度まで3次元架橋を形成し、さらに3段階目の加熱を110℃/3.5分、4段階目の加熱を120℃/32分(硬化剤蒸気圧13mmHg)とすることで、エポキシ樹脂を十分に硬化させることができた。
実施例2に示されるように、実施例1よりも低温からの加熱としたが、90℃での加熱時間を実施例1よりも長くすることで、110℃での加熱を省略して120℃とし、実施例1と同様に気泡がなく十分に硬化したエポキシ樹脂成形品を得ることができた。
実施例3に示されるように、初期の加熱は実施例1と同様にしつつ、最高加熱温度を110℃として成形条件を簡素化しても、実施例1と同様に気泡がなく十分に硬化したエポキシ樹脂成形品を得ることができた。
実施例4に示されるように、実施例3から2段階目の加熱を85℃(硬化剤蒸気圧1.5mmHg)に変更しても気泡の発生は抑制された。
実施例5に示されるように、実施例3から最高加熱温度を100℃に変更しても、ガラス転移温度に低下が見られたものの硬化したエポキシ樹脂成形品が得られ、気泡の発生も抑制された。
なお、表2、表3における気泡の評価では、実施例1〜5においては気泡は全くもしくは殆ど発生せず全て○の評価であり、比較例1、2、4においては気泡が多数発生して全て×の評価であり、前記の△に相当する結果はなかった。
以上より、硬化剤の蒸気圧が0.05〜0.5mmHgとなる第1の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、第1の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が1.0〜3.0mmHgとなる第2の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、第2の温度領域から昇温して硬化剤の蒸気圧が5.0mmHg以上となる第3の温度領域に熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程とを含むことにより、気泡の発生を抑制し、生産性も確保することができた。

Claims (2)

  1. 熱硬化性樹脂および揮発性を有する硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を注型して成形する熱硬化性樹脂成形品の製造方法において、金型に前記熱硬化性樹脂組成物を注入し、前記硬化剤の蒸気圧が0.05〜0.5mmHgとなる第1の温度領域に前記熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、前記第1の温度領域から昇温して前記硬化剤の蒸気圧が1.0〜3.0mmHgとなる第2の温度領域に前記熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程と、前記第2の温度領域から昇温して前記硬化剤の蒸気圧が5.0mmHg以上となる第3の温度領域に前記熱硬化性樹脂組成物を加熱保持する工程とを含み、前記硬化剤は酸無水物硬化剤であり、前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であることを特徴とする熱硬化性樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記第1の温度領域に加熱保持する時間が5.0〜15分、前記第2の温度領域に加熱保持する時間が2.5〜15分であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂成形品の製造方法。
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