JP5535488B2 - 耐摩耗性に優れる織物 - Google Patents
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Description
摩耗という観点ではポリエステル繊維に比べ、ナイロン66などのポリアミド繊維が強いことが一般に知られているが、ポリアミド繊維は光劣化や黄変を起こしやすく、屋外で過酷に使用される用途には不向きである。
(1)主としてポリエステル系繊維からなる織物であって、下記(i)〜(iv)を同時に満足することを特徴とする耐摩耗性に優れた織物。
(i)織物を構成するポリエステル系繊維の総繊度が8〜100dtexである。
(ii)織物を構成するポリエステル系繊維の極限粘度が0.65〜1.30である。
(iii)マーチンデール摩耗試験による重量減少率が3万回で5%以下である。
(iv)織物を構成するポリエステル系繊維の結晶化度が65%〜80%、かつ配向度が0.70〜0.88である。
(2)織物を構成するポリエステル系繊維の単糸繊度が1〜4dtexである(1)に記載の耐摩耗性に優れた織物。
(3)織物の組織がリップストップタフタであることを特徴とする(1)または(2)に記載の耐摩耗性に優れた織物。
本発明の耐摩耗性に優れる織物は主としてポリエステル系繊維からなる織物である。本発明に用いられるポリエステル系繊維は主としてエステル構造からなる繊維であり、例えば、95モル%以上がエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として、5モル%以下がその他のエステルの繰り返し単位からなる共重合成分である繊維が挙げられる。
共重合成分の代表例は、以下のものが挙げられる。酸性分としては、イソフタル酸や5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やイタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸などである。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどである。また、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸もその例である。これらの複数が共重合されていてもよい。
本発明の織物を構成するポリエステル系繊維の極限粘度は0.65〜1.30であることを特徴としている。好ましくは0.70〜1.20である。本発明でいう極限粘度はオルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)に試料ポリマーを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて複数点の相対粘度ηrを求め、それを無限希釈度に外挿して求める。極限粘度が0.65未満であると、分子量が低く、十分な耐摩耗性が得られない。また極限粘度が1.30を越えると、耐摩耗性は良好となるものの、風合いが硬く、衣料用織物としては好ましくない。
本発明では、このような細い繊度のポリエステル系繊維からなる織物であっても優れた耐摩耗性を有することを特徴としており、特に10〜34dtexの細番手ポリエステル系繊維からなる織物においても、優れた耐摩耗性を有する。その結果、これらの糸を用いた、軽量、薄地の織物、例えば目付け50g/m2以下の織物においても優れた耐摩耗性を有することができる。
本発明の織物を構成するポリエステル系繊維の破断強度は、4cN/dtex以上が好ましい。破断強度が4cN/dtex未満では摩耗における強度も不足し、織物にした際の耐摩耗性が低下する。
本発明の織物を構成するポリエステル繊維の単糸断面形状は、丸、Y、W字状の異型断面や中空断面など、特に限定されない。また、本発明の織物を構成するポリエステル繊維は無撚のままでもよく、または収束性を高める目的で、交絡もしくは撚りを付与しても良い。
B/(A+B)×100 (1)
f=1−△/360 (2)
△:I(φ)に見られるピークの半価全幅(FWHM)の合計(deg)
配向度は0.7〜0.88であることが好ましく、特に好ましくは0.75〜0.85である。配向度が0.7以上であれば優れた耐摩耗性を発現できるが、配向度が0.88を超えると配向が強いため、繊維軸方向には強く、繊維の強度アップには有効であるが繊維軸以外の方向は逆に弱くなり、本発明でいう耐摩耗性に対しては好ましくない。本発明における耐摩耗性とは、衣類着用時などに起こる、あらゆる方向からの摩擦への耐性に優れることであるから、あらゆる方向での耐摩耗性が求められる。弱い方向があればそこから摩耗が始まってしまい好ましくない。また、0.88を超えると風合いが硬くなり好ましくない。
弛緩熱処理の際のリラックス率は、5%〜15%で行うのが好ましく、特に好ましくは7%〜12%である。リラックス率が5%未満であると、繊維中のポリエステル分子の配向緩和効果が十分でなく、良好な耐摩耗性が得られない。リラックス率が15%を越えると、弛緩熱処理の際の工程張力が低下し、紡糸性が良好でない。
本発明の織物の織組織としては、平織組織、綾織組織、朱子織組織をはじめ、それらから誘導された各種の変化組織を適用することができるが、タフタ組織、特にリップストップタフタ組織はリップ部による摩耗耐久効果によって耐摩耗性が特に優れるため好ましい。
本発明の織物は常法によって精錬、染色、仕上げ加工を行うことができ、仕上剤の種類においては、使用される用途によって適宜選択される。さらにカレンダー加工をすることは結晶化度を高める効果もあり、非常に好ましい。
なお、実施例において行った物性の測定方法及び測定条件を説明する。
(1)極限粘度
オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)に試料ポリマーを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて複数点の相対粘度ηrを求め、それを無限希釈度に外挿して求めた。
(2)耐摩耗性
マーチンデール摩耗試験機を用いて、JIS−L−1096に基づいて耐摩耗性を評価した。摩耗の相手布は毛芯を用いた。摩擦回数を30000回として、摩擦後の重量減少率を求めた。
(3)風合い
熟練した検査人10人のうち、8人以上が良好と判断した場合を「○」、それ以外を「×」として評価した。10人全員が、特に柔らかく優れた風合いであると判断したものに関しては「◎」で評価した。
極限粘度が0.79で34デシテックス12フィラメントのポリエステルフィラメントを経糸および緯糸に用いた、経緯2mmのリップストップ組織の織物を、ウォータージェットルーム織機にて製織した。得られた織物を、精練のあと、190℃で60秒間、幅を3%入れ、5%追い込んでプレセットした後、液流染色機にて染色、乾燥した後、170℃で20秒間、しわを伸ばす程度に伸ばしてファイナルセットを行い、さらに160℃でカレンダー加工をおこなった。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性に優れており、風合いも良好であった。
経糸、緯糸に極限粘度が1.20で11デシテックス10フィラメントのW型断面のポリエステルフィラメントを用いた他は、実施例1と同様の方法で製織、加工を行った。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性に優れており、風合いも良好であった。
経糸に極限粘度が0.83で56デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメントを用い、緯糸に極限粘度が0.68で84デシテックス24フィラメントのポリエステルフィラメントを用い織組織をタフタとした以外は実施例1と同様の方法で製織、加工を行った。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性に優れており、風合いも良好であった。
極限粘度が0.85で丸断面の34デシテックス12フィラメントのポリエステルフィラメントを紡糸し、一旦巻き取った後、加熱延伸機を用い、ホットプレート温度160℃でリラックス率10%となるように熱弛緩処理を行った。この糸を経糸、緯糸に用いた他は、実施例1と同様の方法で製織した。得られた織物を、精練のあと、巾入れ、追い込みを行わずにプレセットした後、液流染色機にて染色、乾燥した後、170℃で20秒間、通常のファイナルセットを行い、さらに160℃でカレンダー加工をおこなった。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性に優れており、風合いも良好であった。
極限粘度0.62のポリエステル系繊維を用いた以外は実施例1と同様の織物を製織し、加工を行った。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性が劣っていた。
極限粘度0.71で、7デシテックス5フィラメントのポリエステルフィラメントを用いた他は実施例1と同様の織物を製織し、加工を行った。得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性が劣っていた。
糸の熱弛緩処理の代わりに180℃で20%の延伸処理を行った他は実施例4と同様の織物を製織し、加工を行った。
得られた織物の特性は表1に示す通り、耐摩耗性に劣り、風合いが非常に硬かった。
Claims (3)
- 主としてポリエステル系繊維からなる織物であって、下記(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする耐摩耗性に優れた織物。
(1)織物を構成するポリエステル系繊維の総繊度が8〜100dtexである。
(2)織物を構成するポリエステル系繊維の極限粘度が0.65〜1.30である。
(3)マーチンデール摩耗試験による重量減少率が3万回で5%以下である。
(4)織物を構成するポリエステル系繊維の結晶化度が65%〜80%、かつ配向度が0.70〜0.88である。 - 織物を構成するポリエステル系繊維の単糸繊度が1〜4dtexである請求項1に記載の耐摩耗性に優れた織物。
- 織物の組織がリップストップタフタであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐摩耗性に優れた織物。
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