JP5534180B2 - セラミックス、およびその原料液、並びにその製造方法 - Google Patents
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上記セラミックスは、化学組成がx[BiFeO3]−(1−x)[(BiaK1-a)T
iO3]−y[BiMnO3](但し、0.4≦x≦0.7、0<y≦0.045、0.4<a<0.6)で表されてもよい。
で表されるセラミックスを、以下、[BiMnO3]をBMと略称し、BF−BKT−B
M系セラミックスと略称する。
金属元素としてビスマス、カリウム、鉄、チタン、及びマンガンを含む原料液であって、
複数の前記金属元素のモル比は、[Bi:K:Fe:Ti:Mn=x+(1−x)×a+y+β:(1−x)×(1−a)+α:x:1−x:y](但し、0.4≦x≦0.7、0<y≦0.045、0.4<a<0.6、0≦α≦0.1、0≦β≦0.1)である。
上記されるセラミックスの製造方法であって、
上記の原料液を準備する工程と、
前記原料液を用いて、第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜を熱処理し第2の膜を形成する工程と、
を含む。
複数の前記第2の膜が積層された積層体を形成する工程と、
前記第2の膜の前記積層体を焼成する工程と、
を更に含んでいてもよい。
前記積層体を焼成する工程は、前記積層体をRTA処理する工程を含んでいてもよい。
前記成形体をRTA処理する工程は、600℃以上かつ700℃以下の温度にて行われてもよい。
以下、図面を参照して、本実施形態に係るセラミックスの原料液及びセラミックスの製造方法について説明する。
まず、図1(A)に示すように、本実施形態に係るセラミックスの製造方法の出発原料であるセラミックスの原料液を準備する(S1)。本実施形態におけるセラミックスの原料液は、金属化合物を含む。原料液に含まれる金属化合物は、BF−BKT−BM系セラミックスの原料となる金属元素を含んでいればよい。BF−BKT−BM系セラミックスは、ペロブスカイト結晶構造の一般式ABO3で示されるBF系セラミックス、BKT系セラミックス、およびBM系セラミックスから構成される3相系の混晶セラミックスである。BF系セラミックスである[BiFeO3]は、A元素がBiからなり、B元素がF
eからなる。BKT系セラミックスである[(BiaK1-a)TiO3]は、A元素がBi
およびKからなり、B元素がTiからなる。BM系セラミックスである[BiMnO3]
は、A元素がBiからなり、B元素がMnからなる。すなわち、本実施形態に係るBF−BKT−BM系セラミックスの原料液は、Bi、Fe、Ti、K、Mnの金属元素を所定のモル比で含んでいればよい。なお、本実施形態に係るBF−BKT−BM系セラミックスの原料液のBi、Fe、Ti、Kの金属元素のモル比の詳細は後述される。
次に、図1(A)に示すように、成膜工程(S2)において、原料液の準備工程(S1)で得られた原料液を用いて、第1の膜を形成することができる。本実施形態に係る成膜工程(S2)に用いられる成膜方法は、所定の膜厚を有する膜を形成することができ得る限り特に限定されるものではなく、公知の成膜技術を用いてもよい。本実施形態に係る原料液を用いて、例えばスピンコート法により第1の膜を形成してもよい。
次に、図1(A)に示すように、乾燥/脱脂工程(S3)において、成膜工程(S2)で得られた第1の膜を熱処理することによって、第1の膜を乾燥および脱脂した第2の膜を得ることができる。本実施形態に係る乾燥工程(S3)に用いられる熱処理方法は、第1の膜を所定の条件で乾燥し得る限り特に限定されるものではなく、公知の加熱機器を用いてもよい。例えば、第1の膜を100℃〜200℃で乾燥した後、350℃〜450℃に設定された乾燥炉において、乾燥処理された第1の膜を脱脂処理することにより、第2の膜を得てもよい。
次に、図1(A)に示すように、積層工程(S4)において、乾燥工程(S3)で得られた第2の膜の上に、本実施形態に係る原料液を用いて、さらに第1の膜を形成し(S2)、該第1の膜を乾燥および脱脂させることによって第2の膜の積層体を得てもよい。また、本工程は、該積層体が所望の膜厚となるまで、成膜工程(S2)と乾燥/脱脂工程(S3)とを複数回繰り返してもよい(S4)。
次に、図1(A)に示すように、焼成工程(S5)において、積層工程(S4)で得られた複数の第2の膜からなる積層体を焼成することによって、BF−BKT−BM系セラミックスを得ることができる。第2の膜からなる積層体を焼成する工程は、積層体を結晶化させることができ得る限り特に限定されるものではない。本実施形態に係る焼成工程は、加熱機器として、例えば公知の電気炉、赤外炉、RTA(Rapid Thermal Annealing)炉等を用いて行うことができる。積層体の加熱器機として、好ましくはRTA炉を用いてもよい。例えば、本実施形態に係る積層体を、600℃以上かつ700℃以下の温度のRTA炉にて熱処理を行い、該積層体を焼成し、BF−BKT−BM系セラミックスを得てもよい。得られるBF−BKT−BM系セラミックスは、所定の膜厚を有したセラミックス薄膜であってもよい。
以下、本実施形態に係るセラミックス、およびその原料液並びに製造方法の実施例および比較例を、図面を参照しながら説明する。
実施例1においては、BF−BKT−BMの組成比が、BF:BKT:BM=60:40:3の組成比となるBF−BKT−BM系セラミックスを本実施形態に係るセラミックスの製造方法を用いて作製し、その特性を評価した。具体的には、x=0.6、y=0.03、a=0.5である場合であって、実施例1に係る原料液に含まれる金属元素のモル比は、Bi:K:Fe:Ti:Mn=0.83:0.2+α:0.6:0.4:0.03(但し、α=0.04)であった。比較例1に係るセラミックスは、BFとBKTのみから成る2相系混晶セラミックスであって、BMを含まないセラミックスであった。本比較例に係る原料液に含まれる金属元素のモル比は、Bi:Fe:K:Ti=0.8:0.6:0.2+α:0.4(但し、α=0.04)となるように調整された。
図2(A)において、比較例1に係るBF−BKT系セラミックスのP−Eヒステリシスを示す。図2(B)において、実施例1に係るBF−BKT−BM系セラミックスのP−Eヒステリシスを示す。
実施例2においては、実施例1に係る原料液に対して更にBiを添加し、Biがその他の金属元素に対し相対的に過剰となるように原料液を調整した。具体的には、x=0.6、y=0.03、α=0.04である場合であって、実施例2に係る原料液に含まれる金属元素のモル比は、[Bi:Fe:K:Ti:Mn=0.83+β:0.24:0.6:0.03](但し、0≦β≦0.08)である。
図3において、実施例2に係るP−Eヒステリシス(β=0.02、0.04、0.08の場合)と実施例1に係るP−Eヒステリシス(β=0の場合)を示す。図3に示すように、実施例1に係るP−Eヒステリシスに比べて、Biを2mol%過剰に添加した場合(β=0.02の場合)の方がヒステリシスの角型性が向上していることが分かる。また、Biを4mol%過剰に添加した場合(β=0.04の場合)およびBiを8mol%過剰に添加した場合(β=0.08の場合)から、よりBiを添加した方がP−Eヒステリシスの角型性が向上していることが分かる。これによれば、原料液に含まれる金属元素のモル比は、[Bi:K:Fe:Ti:Mn=x+(1−x)×a+y+β:1−a+α:x:1−x:y](但し、0.4≦x≦0.7、0<y≦0.045、0.4<a<0.6、0≦α≦0.1、0≦β≦0.1)であって、Biの過剰添加量を示すβの値は、0≦β≦0.1であればよいことが確認された。
実施例3においては、実施例2に係る原料液に対してBMが少なくなるように原料液を調整した。具体的には、x=0.6、y=0.02である場合であって、実施例2に係る原料液に含まれる金属元素のモル比は、[Bi:Fe:K:Ti:Mn=0.82+β:0.2+α:0.6:0.02](但し、α=0.04、β=0.02)である。
図4において、実施例3に係るP−Eヒステリシスを示す。図4に示すように、本実施例においても、Pmの値が低いものの、実施例2と同様のP−Eヒステリシスが得られた。これによれば、少なくともy≧0.02であればよいことが確認された。
実施例4においては、実施例2に係る原料液に対してBMが多くなるように原料液を調整した。具体的には、x=0.6、y=0.045である場合であって、実施例4に係る原料液に含まれる金属元素のモル比は、[Bi:K:Fe:Ti:Mn=0.845+β:0.2+α:0.6:0.4:0.045(但し、α=0.04、β=0.04)]である。
図5において、実施例4に係るP−Eヒステリシスを示す。図5に示すように、本実施例においても、Pmが大きいものの、実施例2と同様のP−Eヒステリシスが得られた。これによれば、少なくともy≦0.045であればよいことが確認された。
実施例5においては、BF−BKT−BMの組成比が、(1)BF:BKT:BM=60:40:1.8、(2)BF:BKT:BM=50:50:1.5、となる場合のBF−BKT−BM系セラミックスであって、原料液にBiおよびKの過剰添加を行わないセラミックスを、本実施形態に係るセラミックスの製造方法を用いて作製し、その特性を評価した。
図4において、実施例5に係るP−Eヒステリシスおよび電界誘起歪−電界特性(x=0.6、0.5の場合)を示す。尚、各グラフにおいて左側の軸が分極量を示し、右側の軸が歪量を示す。図6に示すように、いずれの場合も良好な圧電特性を示していることが分かる。特に、x=0.5の場合、歪率は0.18%であり、良好な歪率が得られた。これによれば、α=0、β=0において、少なくとも0.18%の歪率を示すセラミックスを作製可能であることが確認された。それに加え、y≧0.015で良好な特性を示すことが確認された。
実施例3においては、BF−BKT−BMの組成比が、(1)BF:BKT:BM=70:30:3.5、(2)BF:BKT:BM=60:40:3、(3)BF:BKT:BM=50:50:2.5、(4)BF:BKT:BM=40:60:2となる場合のBF−BKT−BM系セラミックスを本実施形態に係るセラミックスの製造方法を用いて作製し、その特性を評価した。
図7において、実施例6に係るP−Eヒステリシスおよび電界誘起歪−電界特性(x=0.7、0.6、0.5、0.4の場合)を示す。尚、各グラフにおいて左側の軸が分極量を示し、右側の軸が歪量を示す。図7に示すように、いずれの場合も良好な圧電特性を示していることが分かる。特に、x=0.5の場合、歪率は0.27%であり、大きな歪率が得られた。これによれば、原料液に含まれる金属元素のモル比は、[Bi:K:Fe:Ti:Mn=0.5×(x+1)+y+0.04:0.5×(1−x)+α:x:1−x:y](但し、0.4≦x≦0.7、0.03≦α≦0.06)であって、xの値は、0.4≦x≦0.7であればよいことが確認された。それに加え、実施例4と比較して歪率が向上しており、BiおよびKの添加により圧電特性を向上させることができることが確認された。
Claims (6)
- ビスマス及び鉄を含み、酸化物である第1の材料と、
ビスマス、カリウム、及びチタンを含み、酸化物である第2の材料と、
ビスマス及びマンガンを含み、酸化物である第3の材料と、
を含み、
前記第1の材料、前記第2の材料、及び前記第3の材料は固溶し、
化学組成がx[BiFeO 3 ]−(1−x)[(Bi a K 1-a )TiO 3 ]−y[BiMnO 3 ](但し、0.4≦x≦0.7、0<y≦0.045、0.4<a<0.6)で表される、セラミックス。 - 金属元素としてビスマス、カリウム、鉄、チタン、及びマンガンを含む原料液であって、
前記金属元素のモル比は、[Bi:K:Fe:Ti:Mn=x+(1−x)×a+y+β:(1−x)×(1−a)+α:x:1−x:y](但し、0.4≦x≦0.7、0<y≦0.045、0.4<a<0.6、0≦α≦0.1、0≦β≦0.1)である、原料液。 - 請求項2に記載の原料液を準備する工程と、
前記原料液を用いて、第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜を熱処理し第2の膜を形成する工程と、
を含む、セラミックスの製造方法。 - 請求項3において、
複数の前記第2の膜が積層された積層体を形成する工程と、
前記前記積層体を焼成する工程と、
を更に含む、セラミックスの製造方法。 - 請求項4において、
前記積層体を焼成する工程は、前記積層体をRTA処理する工程を含む、セラミックス
の製造方法。 - 請求項5において、
前記積層体をRTA処理する工程は、600℃以上かつ700℃以下の温度にて行われる、セラミックスの製造方法。
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