JP5533186B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
ビードコアの崩れは、加硫時にカーカス層によりビードコアが引っ張られることによって、ビードコアを構成する複数のビードワイヤの並びが崩れることで生じるものである。
各ビードワイヤの並びを崩れにくくするためには、ビードワイヤの回転運動を拘束すればよく、そのためには、ビードワイヤの断面形状を一般的な円形形状に比較して回転運動がより強く拘束される形状とすることが有利であると考えられる。
一方、ビード部の耐久性の向上あるいはビードワイヤの使用量の削減を図る目的で、ビードワイヤの断面形状を平行四辺形あるいは長方形とした空気タイヤが提案されている(特許文献1、2参照)。
したがって、これら従来技術は、加硫時におけるビードコアの崩れの抑制を図りユニフォミティの向上を図る上では改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユニフォミティの向上を図る上で有利な空気入りタイヤを提供することを目的とする。
また、本発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアの周りに折り返されたカーカス層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、断面が正三角形を呈し、前記正三角形の全ての頂点が、前記正三角形の1辺の長さの10%〜20%の半径の円弧によって面取りされトッピングゴムで被覆された複数のビードワイヤを設け、隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の頂点が互いに逆向きなりかつ隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の頂点に対向する1辺を互いに平行する直線上に位置させかつ隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の前記1辺以外の辺同士を前記トッピングゴムを挟んで対向させ複数のビードワイヤの断面と前記トッピングゴムとにより平行四辺形が形成されるようにそれらビードワイヤを並べた帯状の帯状部材を設け、前記平行四辺形の上辺と下辺をタイヤ軸心と平行する方向に延在させかつタイヤ半径方向において隣り合う前記帯状部材の前記ビードワイヤの前記頂点に対向する一辺を前記トッピングゴムを挟んで対向させて前記帯状部材をタイヤ軸心の周りに複数回巻回させ、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する断面が平行四辺形の前記ビードコアを形成することを特徴とする。
その結果、加硫時にカーカス層でビードコアが引っ張られることによってビードコアに力が作用しても、ビードワイヤの回転運動が効果的に抑制されることによってビードコアの型崩れが抑制されるため、ユニフォミティを確保する上で有利となる。
図1に示すように、本実施の形態に係る空気入りタイヤ10は、トレッド部12と、トレッド部12の両側部からからタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部14と、各サイドウォール部14の内周側に連続する一対のビード部16とを備えている。
ビード部16は、ビードコア18と、ビードコア18からタイヤ半径方向外方に向かって延びるビード補強用のビードフィラー20とを備えている。
カーカス層22は、一対のビード部16にわたって設けられ、カーカス層22の両端はビードコア18、ビードフィラー20で折り返されて固定されている。
帯状部材26は、複数のビードワイヤ24と、それらを覆うトッピングゴム28とにより構成されている。
ビードワイヤ24は、断面が正三角形を呈している。
帯状部材26は、正三角形の1つの頂点(角部)がタイヤ半径方向外方に向けて配置されたビードワイヤ24と、正三角形の1つの頂点(角部)がタイヤ半径方向内方に向けて配置されたビードワイヤ24とがタイヤ幅方向に交互に並べられて構成されている。
本実施の形態では、複数のビードワイヤ24は、それらの断面により平行四辺形が形成されるように並べられている。
また、それらビードワイヤ24を被覆する両端のトッピングゴム28の厚さを変えることで、帯状部材26の断面は長方形にも平行四辺形にも形成することができる。本実施の形態では、帯状部材26の断面は、上辺と下辺がタイヤ軸心と平行する方向に沿って延在し、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する平行四辺形に形成されている。
そして、このような断面が平行四辺形の帯状部材26を本実施の形態では3回巻装し、上辺と下辺がタイヤ軸心と平行する方向に沿って延在し、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する断面が平行四辺形をなすビードコア18を構成している。
しかしながら、ビードワイヤ24はその断面が正三角形を呈しているため、ビードワイヤ24は、その断面が平行四辺形あるいは長方形である場合に比較して頂点の数が1つ少ない分だけ、回転運動がより強く抑制される。
さらに、隣接するビードワイヤ24は、トッピングゴム28を挟んで正三角形の辺同士が対向しているため、ビードワイヤ24同士が相互の回転運動を拘束し、これによりビードワイヤ24の回転運動がより効果的に抑制される。
面取りの半径Rを長さLの10%〜20%の範囲内とすると、ビードワイヤ24によるカーカス層22への損傷を抑制して空気入りタイヤ10の耐久性の向上を図りつつ、ビードワイヤ24の回転運動の抑制を図る上で有利となる。
すなわち、面取りの半径Rが長さLの10%を下回ると、ビードワイヤ24によるカーカス層22への損傷を抑制する上で不利となる。
したがって、面取りの半径Rは正三角形の1辺の長さLの10%以上が好ましい。
面取りの半径Rが長さLの20%を上回ると、ビードワイヤ24の回転運動の抑制を図る上で不利となる。
したがって、面取りの半径Rは正三角形の1辺の長さLの20%以下が好ましい。
ビードコア18の断面を平行四辺形にすることで、以下の理由によりビードコア18の形状を安定化させることができ、したがって、加硫時のビードコア18の型崩れを効果的に防ぐ上でより有利となる。
すなわち、ビードコアの成形時、ビードコアの断面形状が長方形になるようにビードワイヤーを並べても、加硫時にカーカスがビードコアを締め付けることでビードコアが型崩れを生じビードコアの断面形状は平行四辺形となる。
したがって、あらかじめビードコアの断面形状が平行四辺形となるようにビードコアを成形しておけば、加硫時にビードコアの型崩れを抑制する上で有利となる。
図5は本発明に係る空気入りタイヤ10の従来例、比較例、実施例の実験結果を示す図である。
以下のタイヤを用いた。
タイヤサイズ:195/55R16 87V
(1)ユニフォミティ
ユニフォミティ試験機を用いて測定したRFV(ラジアルフォースバリエーション)を測定し、従来例の空気入りタイヤのRFVを100とした場合の指数で評価した。
数値が高いほど、ユニフォミティが優れている。
予め定められたリムに空気入りタイヤをリム組みし、両側のビード部がリムに完全に嵌合するまでタイヤ内圧を上昇させ、ビード部がリムに完全に嵌合した時の空気圧を空気圧ゲージで測定し、従来例の空気入りタイヤの嵌合圧を100とした場合の指数で評価した。
数値が高いほど嵌合圧が低くしたがって嵌合性に優れている。
リム嵌合力試験機にて、タイヤのビード部をリム径JIS中心値にする力を嵌合力として測定し、従来例の空気入りタイヤの嵌合力を100とする指数値で評価した。
数値が70〜120が適切な嵌合力であり、この範囲内であれば嵌合性に優れている。
空気入りタイヤをリムに装着し、ドラム耐久試験機上を走行させ、タイヤの破損(カーカス層の破損)が発生するまでの走行距離を耐久性として測定し、従来例の空気入りタイヤの耐久性を100とした場合の指数で評価した。
数値が高いほど耐久性に優れている。
比較例は、ビードワイヤの断面形状が平行四辺形であり、ビードコアの断面形状が平行四辺形である。
実施例1は、図2に示すように、ビードワイヤ24の断面形状が正三角形であり、ビードワイヤ24の面取りが無く、ビードコア18の断面形状が平行四辺形である。
実施例2は、ビードワイヤ24の断面形状が正三角形であり、ビードワイヤ24の面取りの半径Rが正三角形の1辺の長さLの10%であり、ビードコア18の断面形状が平行四辺形である。
実施例3は、ビードワイヤ24の断面形状が正三角形であり、ビードワイヤ24の面取りの半径Rが正三角形の1辺の長さLの20%であり、ビードコア18の断面形状が平行四辺形である。
実施例4は、ビードワイヤ24の断面形状が正三角形であり、ビードワイヤ24の面取りの半径Rが正三角形の1辺の長さLの25%であり、ビードコア18の断面形状が平行四辺形である。
実施例5は、ビードワイヤ24の断面形状が正三角形であり、ビードワイヤ24の面取りの半径Rが正三角形の1辺の長さLの15%であり、ビードコア18の断面形状が長方形である。
嵌合性(嵌合圧)の低下は、ビードワイヤ24の断面の正三角形の頂点の面取りが無いことから、ビードワイヤ24の回転運動を拘束する度合いが適切な範囲よりも高いためであると考えられる。
実施例4は従来例に比較してユニフォミティに優れるが、実施例2、3に比較してユニフォミティが低くなっている。これは、ビードワイヤ24の正三角形の頂点の面取りの半径Rが長さLの25%と大きいことから、ビードワイヤ24の回転運動を拘束する度合いが適切な範囲よりも低いためであると考えられる。
実施例5が実施例2、3に比較してユニフォミティが低いのは、ビードコア18の断面形状が長方形であるため、ビードコア18の形状の安定化を図る上でビードコア18の断面形状が平行四辺形である場合よりも若干不利であるためと考えられる。
また、嵌合性(嵌合圧)の低下は、加硫時にビードワイヤーの並びが崩れて、トッピングゴム28を押しのけてビードワイヤーが移動または回転し、互いを拘束してしまったためであると考えられる。
耐久性の低下は、ビードワイヤの断面形状が平行四辺形であり、長方形の角部に比べ鋭角である平行四辺形の角部に面取りがなされていないためであると考えられる。
Claims (2)
- トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアの周りに折り返されたカーカス層を有する空気入りタイヤであって、
前記ビードコアは複数のビードワイヤが並べられた帯状部材がタイヤ軸心の周りに複数回巻回して構成され、
前記各ビードワイヤの断面は正三角形を呈し、それぞれがトッピングゴムで被覆され、
前記ビードワイヤの断面をなす正三角形の全ての頂点は、前記正三角形の1辺の長さの10%〜20%の半径の円弧によって面取りされ、
前記帯状部材は、前記正三角形の1つの頂点がタイヤ半径方向外方に向けて配置されかつ前記頂点に対向する前記正三角形の一辺がタイヤ軸心と平行する方向に沿って延在するビードワイヤと、前記正三角形の1つの頂点がタイヤ半径方向内方に向けて配置されかつ前記頂点に対向する前記正三角形の一辺がタイヤ軸心と平行する方向に沿って延在する前記ビードワイヤとが、それら正三角形の前記一辺以外の辺同士を前記トッピングゴムを挟んで対向させてタイヤ幅方向に交互に並べられて構成され、
前記帯状部材の断面は、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する平行四辺形を呈し、
前記ビードコアは、タイヤ半径方向において隣り合う前記帯状部材の前記ビードワイヤの前記頂点に対向する一辺が前記トッピングゴムを挟んで対向しており、
前記ビードコアの断面も、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する平行四辺形を呈している、
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアの周りに折り返されたカーカス層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
断面が正三角形を呈し、前記正三角形の全ての頂点が、前記正三角形の1辺の長さの10%〜20%の半径の円弧によって面取りされトッピングゴムで被覆された複数のビードワイヤを設け、
隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の頂点が互いに逆向きなりかつ隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の頂点に対向する1辺を互いに平行する直線上に位置させかつ隣り合う前記ビードワイヤの前記正三角形の前記1辺以外の辺同士を前記トッピングゴムを挟んで対向させ複数のビードワイヤの断面と前記トッピングゴムとにより平行四辺形が形成されるようにそれらビードワイヤを並べた帯状の帯状部材を設け、
前記平行四辺形の上辺と下辺をタイヤ軸心と平行する方向に延在させかつタイヤ半径方向において隣り合う前記帯状部材の前記ビードワイヤの前記頂点に対向する一辺を前記トッピングゴムを挟んで対向させて前記帯状部材をタイヤ軸心の周りに複数回巻回させ、両側の斜辺がタイヤ半径方向外側に至るほどタイヤ幅方向の外側に変位する断面が平行四辺形の前記ビードコアを形成する、
ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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