JP5532872B2 - カムシャフト装置 - Google Patents
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Description
これにおいては、シャフトの回転時に、シャフトと滑り軸受との間で滑り摩擦が生じ、この滑り摩擦力によるトルク損失が発生する。
シャフトの回転時のトルク損失を軽減するために、滑り軸受に換えて転がり軸受を用いてシャフトを支持するように構成したカムシャフト装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1に開示された構造をもつカムシャフト装置においては、シャフトの軸端から複数のカムロブと複数の転がり軸受とが所定の順に嵌込まれてシャフトの軸上に組み付けられる。この際、カムロブはシャフトの軸上に焼嵌め固定される。
カムロブのカム面の研磨加工の際、研磨カス等の異物が転がり軸受内に侵入することが想定される。このため、予め、転がり軸受をマスキング部材によって気密にマスキングした後、カムロブのカム面の研磨加工を行う必要がある。
シャフトの軸上に組み付けられた状態にある複数の転がり軸受に対し、マスキング部材によってマスキングする作業や、研磨加工後のマスキング部材を取り外す作業は多くの手間や時間を必要としコスト高となる。ときには、マスキング不良によって転がり軸受内に研磨カス等の異物が不測に浸入することも想定される。
前記複数のカムロブは、前記シャフトの軸上に組み付けられる前の状態で研磨加工され、焼嵌めによって前記シャフトの軸上に固定され、
前記シャフトと、前記カムロブとは、炭素を含む鉄系材料で形成され、
前記カムロブの残留オーステナイト量は、前記シャフトの残留オーステナイト量よりも少なく設定されていることを特徴とする。
このようにして、研磨加工済みのカムロブをシャフトの軸上に焼嵌め固定することで、研磨カス等の異物が転がり軸受内に侵入する不具合を解消することができると共に、転がり軸受に対するマスキング部材が不要となり、コスト低減に効果が大きい。
また、シャフトと、カムロブとは、炭素を含む鉄系材料で形成され、カムロブの残留オーステナイト量は、シャフトの残留オーステナイト量よりも少なく設定されている。
これによって、カムロブとシャフトとの相互の残留オーステナイトがマルテンサイトに変化(変態)したときのカムロブの膨張量がシャフトの膨張量よりも残留オーステナイト量の差に相当する分だけ小さく抑制される。このため、シャフトに対するカムロブの嵌合部の固定力が向上し、カムロブのスリップ防止に効果が大きい。
カムロブは、シャフトに対する焼嵌め固定による膨張を考慮したカム面形状に研磨加工されていることを特徴とする。
カムロブは、シャフトに対するカム位相の基準となる基準位置決め部を有していることを特徴とする。
また、シャフトの軸上に基準位置決め部を基準としてカムロブを焼嵌め固定することで、所要とするカム位相で正確に組み付けることができる。
また、複数のカムロブの各基準位置決め部の位置を合致させて研磨加工することで、複数のカムロブの外周面に所要するカム形状をもつカム面を同時かつ正確に研磨加工することもできる。
カムロブは、軸方向端面にシャフトの一部と係合して周方向への滑りを阻止する係合部が形成されていることを特徴とする。
カムロブの中心孔の内周面の硬度は、シャフトの外周面の硬度よりも大きく設定され、
前記カムロブの中心孔の内周面の粗さは、前記シャフトの外周面の粗さよりも粗く設定されていることを特徴とする。
カムロブは、その外周カム面に熱処理された表面硬化層を有し、
前記表面硬化層は、前記カムロブのノーズ部分よりも同カムロブのベース円部分が薄く形成されていることを特徴とする。
すなわち、カムロブは、ノーズ部分の径方向の肉厚寸法よりもベース円部分の径方向の肉厚寸法が小さい。このため、シャフトの軸上にカムロブを焼嵌め固定したときの嵌合応力はノーズ部分よりもベース円部分が大きくなる。
また、シャフトと一体にカムロブが回転するバルブの開閉動作時に作用する荷重はは、ノーズ部分が大きくベース円部分が小さい。
このため、カムロブの耐久性を考慮してカムロブの外周カム面全体に均一の厚さで表面硬化層を設けると、ベース円部分が脆くなり、嵌め合い応力に対する疲労強度が低下して亀裂やひび割れが発生することが想定される。
これに対し、表面硬化層をカムロブのノーズ部分よりもベース円部分が薄く形成されることで、嵌め合い応力に対する疲労強度を維持することができ耐久性に優れる。
また、カムロブのベース円部分の軸方向の幅寸法を小さくして軽量化を図ることも可能なる。
シャフトの軸上に焼嵌め固定される複数のカムロブのうち、シャフトの駆動側から遠い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法は、近い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法よりも小さいものが選別されて前記シャフトの軸上に焼嵌め固定されることを特徴とする。
すなわち、シャフトと一体にカムロブが回転するバルブの開閉動作時に、駆動側の荷重のモーメントは、シャフトの駆動側に近い側のカムロブに対しては小さく、シャフトの駆動側から遠くなるにしたがって大きくなる。
このため、シャフトの駆動側から遠い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法は、近い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法よりも小さいものが選別されてシャフトの軸上に焼嵌め固定されることによって、シャフトの駆動側から遠い位置に配置されるカムロブのシャフトに対する締め代を大きくしてスリップを防止することが可能となる。
また、シャフトの駆動側から近い位置に配置されるカムロブは、遠い位置に配置されるカムロブよりもスリップトルクが小さいため、シャフトに対する締め代が遠い位置に配置されるカムロブに比べて小さいカムロブを配置してもスリップを防止することができる。このため、カムロブの中心孔の内径公差を拡大して、カムロブの製作コストを低減することが可能となる。
シャフトの駆動側端部には、駆動部材が位置決めされて組み付けられるノックピンを有するアダプター部材が圧入固定され、
前記アダプター部材には、エンジンのシリンダヘッドにシャフトを組み付けた後のシャフトの位相を調整するための工具用回動部が設けられていることを特徴とする。
また、シャフトの軸上に工具用回動部を形成したものにおいては、そのシャフトの工具用回動部においてシャフトを回動する際に、工具側からシャフトの工具用回動部に過大なトルクが作用してアダプター部材とシャフトとが相対的に回動する場合があるが、アダプター部材に工具用回動部を形成することによって、アダプター部材とシャフトとの不測の回動を防止することができる。
シャフトの軸上に設定される1番ジャーナル部の転がり軸受と前記シャフトとの間の隙間をS1とし、2番ジャーナル部の転がり軸受と前記シャフトとの間の隙間をS2としたときに、「S1>S2」の関係になるように設定されていることを特徴とする。
このため、モーメント荷重が1番ジャーナル部の転がり軸受に集中して作用することを防止することができ、1番ジャーナル部の転がり軸受を保護することができる。
図1と図2に示すように、この実施例1に係るカムシャフト装置は、シャフト10と、アダプター部材20と、1番ジャーナル部30に対応する転がり軸受31と、2番ジャーナル部40に対応する転がり軸受41と、その他のジャーナル部50に対応する転がり軸受51と、複数のカムロブ60とを備えている。
また、図3に示すように、シャフト10の外周面には、転がり軸受41、51が配置される各部分に内輪軌道面を構成するために、高周波焼き入れ等によって熱処理された複数の熱処理部11が軸方向に所定間隔を隔てて形成されている。
また、シャフト10は、軸受鋼、例えば、SUJ2のパイプ材によって形成することが望ましく、さらに、シャフト10の複数の熱処理部11は、転がり軸受41、51の転動体45、55との硬度と同等又はそれ以上の硬度(例えば、ロックウエル硬さでHRC58以上)に熱処理されることが望ましい。
また、アダプター部材20の一端面には、可変バルブタイミングユニット、タイミングスプロケット、タイミングギヤ、プーリ等の駆動部材27を位置決めして取り付けるためのノックピン25が打ち込まれている。
そして、転がり軸受31は、その内輪32において、アダプター部材20の軸受組付部21まで圧入され、環状溝23にCリング等の止め輪24が嵌込まれることによって、フランジ22と止め輪24との間に軸方向へ移動不能に止着される。
また、その他のジャーナル部50に対応する転がり軸受51においても、2番ジャーナル部40の転がり軸受41と同様にして、外輪52と、転動体55と、保持器56とを備えて構成され、シャフト10の外周面の各熱処理部11を内輪軌道面として組み付けられる。
さらに、カムロブ60は、シャフト10の軸上に組み付けられる前の状態において、その外周面のカム面65が所要とするカム形状(カムプロフィール)に研磨加工されている。
そして、研磨済みの各カムロブ60は、その中心孔61においてシャフト10の軸上の所定位置にそれぞれに焼嵌めによって固定されている。
また、この実施例1において、カムロブ60は、シャフト10に対する焼嵌め固定による膨張を考慮したカム面形状に研磨加工されている。
そして、先ず、シャフト10の一端部に1番ジャーナル部30に対応する転がり軸受31を有するアダプター部材20が圧入固定される。
この際、複数のカムロブ60のカム位相はアダプター部材20のノックピン25を基準として調整される。
そして、複数のカムロブ60が常温に冷却され収縮することで、シャフト10の軸上に固定され、これをもってカムシャフト装置が製造(構成)される。
したがって、シャフト10の軸端から2番ジャーナル部40に対応する転がり軸受41と、その他のジャーナル部50に対応する転がり軸受51と、設定された温度に加熱膨張された複数の研磨済みカムロブ60とが所定順に嵌込まれると共に、シャフト10の軸上に複数のカムロブ60が焼嵌めによって固定されることでカムシャフト装置を容易に構成(製造)することができる。
このため、カムロブ60の研磨カス等の異物が、各転がり軸受31、41、51の内部に侵入する不具合を解消することができると共に、各転がり軸受31、41、51に対するマスキング部材が不要となり、コスト低減に効果が大きい。
この発明の実施例2においては、カムロブ160に、研磨加工やシャフト10に対するカム位相の基準となる基準位置決め部170を形成したものである。
例えば、図4に示すように、カムロブ160には、その中心孔161の中心と、カムロブ160のノーズ部分163の頂点とを結ぶ線L上に中心をもつ基準位置決め部170としての基準位置決め孔171が形成されている。
また、カムロブ160の軸方向両端面の向きを表示するために、カムロブ160の片側端面に表示部としての孔175や凹み等が形成されることが好ましい。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、その説明は省略する。
また、図8に示すように、シャフト10の軸上に基準位置決め孔171を基準としてカムロブ160を焼嵌め固定することで、所要とするカム位相で正確に組み付けることができる。
その後、研磨装置において、図6に示すように、直列に連結された複数のカムロブ160の中心孔161に弾性拡径可能な筒軸部材185が嵌挿される。筒軸部材185は、弾性拡径可能に、例えば軸方向に長い単数又は複数のスリット状に割り溝185aが形成されている。
この状態において、複数のカムロブ160の外周面を研磨加工することで、外周面に所要とするカム形状のカム面165を有する複数のカムロブ160が同時に得られる。
例えば、図9に示すように、カムロブ160の中心孔161の中心と、カムロブ160のノーズ部分163の頂点とを結ぶ線L上に中心をもつ基準位置決め部170がカムロブ160の中心孔161の内周面に凹円弧状に形成された基準位置決め切欠部171aであってもよい。また、カムロブ160の軸方向両端面の向きを表示するために、カムロブ160の片側端面(例えば、基準位置決め切欠部171aの片側)に表示部としての凹み175aが形成されることが好ましい。
また、図11に示すように、カムロブ160の中心孔161の中心と、カムロブ160のノーズ部分163の頂点とを結ぶ線L上に中心をもつ基準位置決め部170が、カムロブ160のノーズ部分163に円弧状に形成された基準位置決め凹部171cであってもよい。
この発明の実施例3においては、カムロブ260の軸方向両端面のうち、少なくとも片側面にシャフト10の一部と係合して周方向への滑りを阻止する係合部290が形成されている。
例えば、図12に示すように、カムロブ260の軸方向両端面において、ベース円部分262が厚く、ノーズ部分263が薄い段差状に形成され、その段差部(段差面)291を係合部としている。
そして、段差部291に向けてシャフト10の外周面の一部がポンチによってかしめられ、これによって形成されたかしめ部292が段差部291に係合することでカムロブ260の周方向への滑りが阻止される。
この実施例1のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
例えば、図15〜図17に示すように、カムロブ260の軸方向両端面のうち、少なくとも片側の端面に係合部としての係合溝291aが形成される一方、係合溝291aに係合するシャフト10の一部としての係合ピン292aをシャフト10の外周面に突出して打ち込むことで、シャフト10に対するカムロブ260の周方向への滑りを阻止するようにしてもよい。
図18に示すように、この実施例4においても、実施例1と同様にしてシャフト10の軸上にカムロブ360が焼嵌め固定されている。さらに、シャフト10及びカムロブ360は、炭素鋼(炭素を含む鉄系材料)で形成されている。
特に、この実施例4において、カムロブ360の残留オーステナイト量は、シャフト10の残留オーステナイト量よりも少なく設定されている。
この実施例4のその他の構成は、実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
これによって、シャフト10に対するカムロブ360の焼嵌め嵌合部の固定力が向上するため、カムロブ360のスリップ防止に効果が大きい。
この実施例5においては、カムロブ460の中心孔461の内周面の硬度は、シャフト10の外周面の硬度よりも大きく設定され、カムロブ460の中心孔461の内周面の粗さは、シャフト10の外周面の粗さよりも粗く設定されている。
例えば、カムロブ460の中心孔461の内周面の硬度は、HV0.1で700〜900、カムロブ460の中心孔の内周面(軸方向)の粗さは、Ra0.2以上に設定されている。
また、シャフト10の外周面の硬度は、HV0.1で700未満、シャフト10の外周面(軸方向)の粗さは、Ra0.2未満に設定されている。
この実施例5のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
この実施例6においては、カムロブ560は、その外周面のカム面565が浸炭焼き入れによって熱処理された表面硬化層567を有している。この表面硬化層567は、カムロブ560のノーズ部分563よりもベース円部分562が薄く形成されている。
例えば、研磨加工前のカムロブ560の形状を、カムロブ560のベース円部分562の研磨代が大きくなるように設定する(図22の二点鎖線参照)。
そして、カムロブ560の全表面にほぼ均一厚さの表面硬化層567を形成した後、カムロブ560のノーズ部分563及びベース円部分562を研磨する際に、ノーズ部分563よりもベース円部分562を大きい研磨代で研磨する。これによって、表面硬化層567が、カムロブ560のノーズ部分563の表面硬化層567の厚さt1よりもベース円部分62の表面硬化層567の厚さt2が薄く形成される。
この実施例6のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
すなわち、カムロブ560は、ノーズ部分563の径方向の肉厚寸法よりもベース円部分562の径方向の肉厚寸法が小さいため、シャフト10の軸上にカムロブ560を焼嵌め固定したときの嵌合応力はベース円部分562が大きい。
このため、カムロブ560の耐久性を考慮してカムロブ560の外周面のカム面65の全体を均一の厚さで表面硬化層67を設けると、ベース円部分562が脆くなり、嵌め合い応力に対する疲労強度が低下して亀裂やひび割れが発生することが想定される。
これに対し、カムロブ60のノーズ部分63の表面硬化層567の厚さt1よりもベース円部分62の表面硬化層567の厚さt2が薄く形成されることで嵌め合い応力に対する疲労強度を維持することができ耐久性に優れる。
例えば、カムロブ660の中心孔661回りのボス部660aの軸方向長さは、所要とするスリップトルクが得られる長さに設定し、ノーズ部分663の軸方向寸法をボス部660aよりも小さくすると共に、ベース円部分662の軸方向寸法をノーズ部分663よりもさらに小さくすることが可能であり、この場合においては軽量化を効率よく図ることができる。
この実施例7においては、図25に示すように、シャフト10の軸上に焼嵌め固定される複数のカムロブ760のうち、シャフト10の駆動側(アダプター部材20に接続される駆動部材27)に近い側から遠い側に向かって1番カムロブ760a、2番カムロブ760b、3番カムロブ760c、4番カムロブ760d、5番カムロブ760e、6番カムロブ760f、7番カムロブ760g、8番カムロブ760hとする。
そして、1番〜8番カムロブ760a〜hの中心孔761a〜hの内径寸法をD1〜8としたときに、「D1≧D2」、「D2≧D3」、「D3≧D4」、「D4≧D5」、「D5≧D6」、「D6≧D7」、「D7≧D8」の関係となるように1番〜8番カムロブ60a〜hが選別されてシャフト10の軸上に焼嵌め固定される。
この実施例7のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
すなわち、シャフト10と一体にカムロブ760が回転するバルブの開閉動作時に、駆動側の荷重(タイミングチェーンによるタイミングスプロケット等の駆動部材27の駆動時の荷重)によるモーメントは、シャフト10の駆動側に近い1番カムロブ760aに対しては小さく、シャフト10の駆動側から遠くなるにしたがって大きくなる。
このため、シャフト10の駆動側から遠い位置に配置される8番カムロブ760hの中心孔761hの内径寸法D8は、最小のものが選択され、シャフト10の駆動側に近い1番カムロブ760aの中心孔761aの内径寸法D1は、最大のものが選択されてシャフト10の軸上に焼嵌め固定される。
これによって、シャフト10の駆動側から遠い位置に配置されるカムロブ760の締め代(シャフト10に対する締め代)を大きくしてスリップを防止することができる。
この実施例8においては、シャフト10の駆動側端部に圧入固定されるアダプター部材820に六角(二面幅であってもよい)の工具用回動部826が設けられ、エンジンのシリンダヘッドにシャフト10を組み付けた後のシャフト10の位相を調整するようになっている。
この実施例8のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
このため、シャフト10の軸上に工具用回動部を形成する必要がなくなる。
また、シャフトの軸上に工具用回動部を形成したもの(図示しない)においては、そのシャフトの工具用回動部においてシャフトを回動する際に、工具側からシャフトの工具用回動部に過大なトルクが作用してアダプター部材とシャフトとが相対的に回動する場合があるが、この実施例8においては、アダプター部材820に工具用回動部826を形成することによって、アダプター部材820とシャフト10との不測の回動を防止することができる。
この実施例9においては、図28に示すように、シャフト10の軸端のアダプター部材920に配置される1番ジャーナル部930の転がり軸受931とシャフト10の間の隙間をS1とし、2番ジャーナル部940の転がり軸受941とシャフト10との間の隙間をS2としたときに、「S1>S2」の関係となるように設定されている。
この実施例9のその他の構成は実施例1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
このため、モーメント荷重Fが1番ジャーナル部930の転がり軸受931に集中して作用することを防止することができ、1番ジャーナル部930の転がり軸受931を保護することができる。
例えば、実施例1で述べたカムシャフト装置に実施例2〜9で述べた各種の構造のうち、一つ、又は複数又は全てを組み合わせてカムシャフト装置を構成することも可能である。
20 アダプター部材
27 駆動部材
30 1番ジャーナル部
31 転がり軸受
40 2番ジャーナル部
41 転がり軸受
60 カムロブ
61 中心孔
62 ベース円部分
63 ノーズ部分
65 カム面
Claims (9)
- シャフトと、このシャフトの軸端から嵌込まれて同シャフトの軸上に組み付けられる複数のカムロブ及び転がり軸受を備えたカムシャフト装置であって、
前記複数のカムロブは、前記シャフトの軸上に組み付けられる前の状態で研磨加工され、焼嵌めによって前記シャフトの軸上に固定され、
前記シャフトと、前記カムロブとは、炭素を含む鉄系材料で形成され、
前記カムロブの残留オーステナイト量は、前記シャフトの残留オーステナイト量よりも少なく設定されていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1に記載のカムシャフト装置であって、
カムロブは、シャフトに対する焼嵌め固定による膨張を考慮したカム面形状に研磨加工されていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1又は2に記載のカムシャフト装置であって、
カムロブは、シャフトに対するカム位相の基準となる基準位置決め部を有していることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
カムロブは、軸方向端面にシャフトの一部と係合して周方向への滑りを阻止する係合部が形成されていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
カムロブの中心孔の内周面の硬度は、シャフトの外周面の硬度よりも大きく設定され、
前記カムロブの中心孔の内周面の粗さは、前記シャフトの外周面の粗さよりも粗く設定されていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
カムロブは、その外周カム面に熱処理された表面硬化層を有し、
前記表面硬化層は、前記カムロブのノーズ部分よりも同カムロブのベース円部分が薄く形成されていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
シャフトの軸上に焼嵌め固定される複数のカムロブのうち、シャフトの駆動側から遠い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法は、近い位置に配置されるカムロブの中心孔の内径寸法よりも小さいものが選別されて前記シャフトの軸上に焼嵌め固定されることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
シャフトの駆動側端部には、駆動部材が位置決めされて組み付けられるノックピンを有するアダプター部材が圧入固定され、
前記アダプター部材には、エンジンのシリンダヘッドにシャフトを組み付けた後のシャフトの位相を調整するための工具用回動部が設けられていることを特徴とするカムシャフト装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載のカムシャフト装置であって、
シャフトの軸上に設定される1番ジャーナル部の転がり軸受と前記シャフトとの間の隙間をS1とし、2番ジャーナル部の転がり軸受と前記シャフトとの間の隙間をS2としたときに、「S1>S2」の関係になるように設定されていることを特徴とするカムシャフト装置。
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