JP4220401B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

内燃機関の動弁装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4220401B2
JP4220401B2 JP2004014981A JP2004014981A JP4220401B2 JP 4220401 B2 JP4220401 B2 JP 4220401B2 JP 2004014981 A JP2004014981 A JP 2004014981A JP 2004014981 A JP2004014981 A JP 2004014981A JP 4220401 B2 JP4220401 B2 JP 4220401B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
cam lobe
amount
cam
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004014981A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005201226A (ja
Inventor
浩行 高村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2004014981A priority Critical patent/JP4220401B2/ja
Publication of JP2005201226A publication Critical patent/JP2005201226A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4220401B2 publication Critical patent/JP4220401B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、ローラタイプのカムフォロア(ローラフォロア)を備える内燃機関用動弁装置に関し、特に、ローラフォロアのローラと回転接触するカムロブの耐摩耗性、耐スカッフィング性及び、耐ピッチング性に優れる動弁装置に関する。
内燃機関において、カムシャフトやロッカーアーム等の部品は運転中、高速で摺動、回転接触をすることから、耐摩耗性、耐スカッフィング性、耐ピッチング性等の摺動特性が要求される。このため、従来からこれらの摺動特性を向上させることを目的として、様々な方法が提案されている。例えば、鋳造時にカムノーズの部分を冷やし金を用いて急速凝固させ、カムノーズ表面に硬い白鋳鉄組織を形成したチルカムシャフトが用いられている。しかしながら、チルカムシャフトは外周表面に硬いチル組織を有するため、優れた耐摩耗性を示すが、耐ピッチング性に劣り、高負荷のエンジンには使用が難しい。
特許文献1には、カムシャフトのカム面にロッカーアームのローラが転動摺接するローラタイプの動弁装置において、基地組織が残留オーステナイト組織35〜50容量%とベントナイト組織との混在組織からなる球状黒鉛鋳鉄であるカムを用いることが記載されている。このカムは、ローラの接触圧力により残留オーステナイト組織から加工誘起マルテンサイトが生成し、転動疲労強度が向上する。
特許文献1には、残留オーステナイトを適度な割合で含む球状黒鉛鋳鉄のカムを作製するために、重量比で、2.0〜4.0%C、1.5〜3.5%Si、0.1〜1.0%Mn、0.005〜0.08%Mg、0.15%以下P、0.15%以下S、0.3〜1.0%Cu、0.03〜0.09%Mo、及び残部Feからなる鉄系材料を鋳造後、いずれも加熱を伴うフェライト化焼鈍、非酸化性雰囲気下での加熱、及びオーステンパー処理の各工程を順次行うことが記載されている。
また、特許文献2には、基地組織がマルテンサイト、ベーナイト及び残留オーステナイトの混在組織からなる、耐スカッフィング性及び耐ピッチング性に優れた焼結カムシャフト用カムロブが記載されている。
特許文献2には、滑りタイプの焼結カムロブを考慮し、スカッフの発生要因となる残留オーステナイト量を調節するために、C:1.5〜3.0重量%、Cr:2.0〜12.0重量%、Mo:0.5〜3.0重量%、Ni:1.4重量%以下、Si:0.2〜1.0重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成となるように焼結用粉末を調製し、焼結を行うことが記載されている。
特公平5−79742号公報 特開2000−144341号公報
本発明は、内燃機関に使用されるローラタイプの動弁装置において、ローラフォロアと
組み合わされる鉄系焼結カムロブの耐ピッチング性を向上させることを目的とする。
本発明により提供される内燃機関の動弁装置は、カムシャフトに固定されたカムロブ及び当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備え、前記カムロブが、Ni:0.3〜5.0重量%、Mo:0.1〜2.5重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有し、基地が、残留オーステナイト組織21〜30容量%と焼入れマルテンサイト組織との混在組織のみからなり、密度7.3g/cm以上、及び、カム外周硬さHRC50〜55の鉄系焼結材であることを特徴とする。
本発明の動弁装置に使用される鉄系焼結カムロブは、ローラフォロアのローラとカムロブの接触面圧によって、基地組織中の残留オーステナイトが加工誘起マルテンサイト変態を起こすことで、優れた繰り返し接触疲労強度を有するものであり、耐摩耗性、耐スカッフィング性と共に、特に耐ピッチング性に優れている。
本発明の動弁装置は、エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフトに固定されたカムロブと、当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備える。ローラフォロアは、カムロブとの当接部に、カムロブと回転接触するローラを設け、カムシャフトの回転運動をバルブの往復運動に変換する部材であり、動弁装置の構造に応じて適した形態とすることができる。ローラフォロアとしては、例えば、カムロブとの当接部にローラを設けたタペット(ローラタペット)又はロッカーアーム(ローラロッカーアーム)、バルブの基部側先端にカムロブと回転接触するローラを直接設けたものなどがある。
図1に、本発明に係る動弁装置に用いるカムフォロア装置の一態様を示す。カムフォロア装置101は、カムシャフト1に固定されたカムロブ2と、このカムロブと回転接触するローラ4を設けたローラタペット3とで構成される。図2はカムロブ2の形状の一例を示す正面図(2A)及び側面図(2B)である。また図3は、ローラタペット3のカムロブ2に対する当接部の一例を拡大して示す正面図(3A)及び側面図(3B)である。
ローラタペット3は、ローラタペット本体5のカムロブ2と当接する側の端部に、軸受孔5bを各々有する一対の支持壁部5aを間隔を開けて形成し、一対の支持壁部の間に軸受孔4aを有するローラ4を配置し、軸6を支持壁部の一方の軸受孔5b、ローラ4の軸受孔4a、及び支持壁部のもう一方の軸受孔5bに貫通させることにより、ローラ4を回転自在に支持する。また、軸6と軸受孔4aとの間には、フリクションロスを軽減するためにベアリングを介在させることが好ましい。ローラ4の材質は特に限定されず、例えば、軸受鋼等が好ましい。
本発明においては、カムシャフトのカムロブ2は、Ni:0.3〜5.0重量%、Mo :0.1〜2.5重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有し、基地が、残留オーステナイト組織15〜30容量%と焼入れマルテンサイト組織との混在組織からなり、密度7.3g/cm3以上、及び、カム外周硬さHRC45以上の鉄系焼結材で形成されている。
この鉄系焼結カムロブは、ローラフォロアのローラと回転接触する時の耐摩耗性、耐スカッフィング性及び耐ピッチング性に優れているので、ローラタイプの動弁装置に適している。
ローラタペットやローラロッカーアームのようなローラフォロアとカムロブの回転接触においては、耐ピッチング特性に代表される繰返し接触疲労強度が重要であり、特に耐ピッチング特性が重要である。カムロブの回転接触部を構成する組織に、残留オーステナイト組織が存在すると、カムロブとローラの接触圧力によって、残留オーステナイトは加工誘起マルテンサイト変態を起こし、マルテンサイトが生成する。マルテンサイト変態は体積膨張を伴うため、表面に圧縮残留応力が生じ、その結果、耐ピッチング性等の繰返し接触疲労強度が向上するとともに、マルテンサイト状態による硬さ上昇のために耐摩耗性が向上する。
基地組織中の残留オーステナイト量は、優れた耐ピッチング性を得るために15〜30容量%とし、好ましくは15〜25容量%とする。残留オーステナイト量が15容量%以上の場合、加工誘起マルテンサイト変態による耐ピッチング性向上の十分な効果を得ることができる。一方、加工誘起マルテンサイト変態を起こさない安定なオーステナイトの量を制限し、優れた耐ピッチング性を得るために、残留オーステナイト量は、30容量%以下とする。
ローラフォロアのローラと回転接触をするカムロブの強度を上げて耐ピッチング性を向上させるために、カムロブの密度は7.3g/cm3以上とし、好ましくは7.4〜7.6g/cm3とする。
また、優れた耐摩耗性を得るために、カム外周硬さを、HRC45以上とし、好ましくは50〜55とする。
本発明においては、鉄系焼結カムロブの成分組成を上記範囲とすることによって、ローラタイプに適した耐摩耗性、耐スカッフィング性及び耐ピッチング性を有し、特に、加工誘起マルテンサイト変態により耐ピッチング性を向上させるのに適した量の残留オーステナイトを含有する鉄系焼結カムが得られる。以下に、Ni、C及びMoの配合目的を説明する。
Niは、強度及び靭性を高める効果がある。さらに、焼入れ焼き戻し処理後に加工誘起変態が可能な残留オーステナイトを生じさせるため、耐ピッチング性を向上させる効果がある。カムロブ材のNi含有量は、0.3〜5.0重量%とし、好ましくは2〜3重量%とする。Niが0.3重量%未満では、十分な強度及び靭性を得ることができず、残留オーステナイト量も少ない。一方、Niが5.0重量%を超える場合、オーステナイトが安定化し、加工誘起変態を起こさないため、逆に耐ピッチング性が低下してしまう。
Cは、耐摩耗性が得られる外周硬さを得るために必要である。カムロブ材のC含有量は、0.5〜1.2重量%とし、好ましくは0.8〜1.0重量%とする。Cの含有量が0.5重量%未満の場合、焼入れ焼き戻し後に所望のカム外周硬さが得られにくく、耐摩耗性に劣ってしまう。一方、1.2重量%を超える場合、圧縮性が著しく低下し、密度が上がらない。
また、Moは、焼入れ性を高めると同時に、基地に固溶して硬度を高め、耐摩耗性を向上させる効果がある。カムロブ材のMo含有量は、0.1〜2.5重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%とする。Moが0.1重量%未満では、十分に硬化せず、一方、Moが2.5重量%を超えるとCと同様に圧縮性が著しく低下し、密度が上がらない。
本発明で使用されるカムロブ材は、焼結用粉末を焼結後に上記組成となるように調製し、プレス成形及び焼結することにより得られる。焼結用粉末には、成形時の型抜け性をよくするために、例えば、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加してもよい。プレス成形及び焼結のいずれか又は両方を、2回プレス・2回焼結(2P2S)のように2回以上行ってもよい。焼結後に、通常は焼入れ焼戻し処理を行うことで、基地組織を調節する。焼入れ焼戻し処理の後に、さらに研削研磨、ショットブラスト等の後加工を行っても良い。
以下、実施例、比較例、及び参考例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例4〜11、比較例2〜7、及び参考例1〜3
二次焼結後に表1に示す成分組成となるように、焼結用粉末を調製し、さらに、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を加えて混合した。
次に、調製した焼結用粉末を用いて面圧5〜7ton/cmで1回目のプレス成形(1次成形)を行い、圧粉体を形成した後、真空焼結炉内で、600〜900℃で仮焼結(1次焼結)をし、仮焼結体を得た。次いで、この仮焼結体を面圧7〜12ton/cmで2回目のプレス成形(2次成形)を行い、その2次成形体を真空焼結炉中、1100〜1200℃で本焼結(2次焼結)を行い、2次焼結体を得た。この2次焼結体に焼入れ焼戻し処理(温度等の条件:900℃×100分加熱、その後油冷、150℃×60分加熱、その後空冷)を行い、実施例4〜11、比較例2〜7、及び参考例1〜3の焼結カムロブ材を得た。
(比較例1)
最終の成分組成が、表1に示す成分組成(T.C:3.4重量%、Si:2.0重量%、Mn:0.7重量%、Cr:0.8重量%、Mo:2.0重量%、Ni+Cu:2.0重量%)となるように各元素を溶かして、冷やし金を有する鋳型に流し込み、急冷凝固してチル鋳鉄を得た。得られたチル鋳鉄を研磨し、比較例1のカムロブ材を得た。
Figure 0004220401
<試験条件>
(1)密度
各実施例、比較例、及び参考例で得られたカムロブ材の試験片をパラフィンで封孔処理し、アルキメデス法によって密度を測定した。測定結果を表2に示す。
(2)カム外周硬さ
ロックウエル硬度計により、Cスケールにて、各実施例、比較例、及び参考例で得られた試験片のカムノーズの外周を5点計測し、その平均値を算出した。測定結果を表2に示す。
(3)耐ピッチング試験及び摩耗試験
図4に示す二円筒接触試験機により、各試験片のピッチング発生に至る回数を測定した。一定速度に回転するカムロブ材の各試験片7と相手材円筒試験片8の回転面を接触させ、両試験片の接触面に潤滑油9を滴下しながら所定の荷重10をかけて回転させ、ピッチングが発生するまでの回転数を計測した。また、同様に各試験片7を回転させ、一定回転数(1×10回)当りの摩耗沈み量(μm)を計測し摩耗量とした。
(測定条件)
測定装置:二円筒接触試験機
回転数:1500rpm
潤滑油:エンジンオイル 10W30
油温:100℃
油量:2×10−4/min
荷重:2000N(耐ピッチング試験)、2500N(耐ピッチング試験)、3000N(耐ピッチング試験・摩耗試験)
スベリ率:0%
相手材:SUJ2
判定方法:AE(アコースティックエミッション)にて、ピッチング発生の亀裂を検知し、そのときの接触回数をピッチング発生に至る回数としてS−N曲線を作成し、各試験片と比較した。
耐ピッチング試験結果を図5に示す。また、摩耗量を表2に示す。
(4)オーステナイト量の測定
各試験片の基地中のオーステナイト量を耐ピッチング試験の前後で測定した。
(測定条件)
試験装置:X線応力測定装置((株)リガク製)
試験箇所:試験片外周部
測定結果を表2及び図6(耐ピッチング試験前)、図7(試験後)に示す。
Figure 0004220401
(試験結果)
耐ピッチング性については、実施例4〜11でのピッチング発生に至る回数が、9.6 0×10 〜3.70×10回であり、比較例1〜7でのピッチング発生に至る回数が、1.05×10〜3.80×10回であり、参考例1〜3(旧実施例1〜3)での ピッチング発生に至る回数が、6.50×10 〜1.70×10 回である。本発明の実施例4〜11は、比較例の中でピッチング発生に至る回数が最も多い比較例4(3.80×10回)より約2.5〜9.7倍も耐ピッチング性が優れている。
摩耗量については、実施例4〜11での摩耗量が0.18〜0.28μmであり、比較例1〜7での摩耗量が0.33〜1.01μmであり、参考例1〜3(旧実施例1〜3) での摩耗量が0.22〜0.30μmである。本発明の実施例4〜11、及び参考例1〜 は、比較例1〜7より耐摩耗性が優れている。
実施例4〜11は、焼結後の残量オーステナイト量が21.0〜28.0体積%であり、比較例1〜7の残量オーステナイト量が1.2〜35.0体積%であり、参考例1〜3 (旧実施例1〜3)の残量オーステナイト量が8.5〜30.0体積%である。耐ピッチング性試験前後のオーステナイト量変化としては、チル鋳鉄である比較例1、及び、鉄系焼結材であるがNiを含有しない比較例2並びにNiを含有するが少量すぎる比較例3は、Niを含有する実施例4〜11に比べて、焼結後の残留オーステナイト量が少ない。また、比較例1〜3は、耐ピッチング性試験前後でオーステナイト量がほぼ変化しないのに対し、実施例4〜11はオーステナイト量が減少した。
よって、本発明の実施例4〜11は、比較例1〜7より耐ピッチング性及び耐摩耗性が優れていることがわかる。試験結果を、以下に詳細に説明する。
チル鋳鉄である比較例1、鉄系焼結材であるがNiを含有しない比較例2、及び鉄系焼結材であるがNiの含有量が少量過ぎる比較例3は、試験前の残留オーステナイト量が少なく、カムロブとローラの接触圧力によって生じる残留オーステナイトの加工誘起マルテンサイト変態による硬さの上昇、耐ピッチング性の向上が期待できない。その結果、比較例1、2及び3でのピッチング発生に至る回数は、参考例1(旧実施例1)の約1/3〜及び1/4と低めである。また、比較例1及び比較例2での耐摩耗性は、参考例1(旧実 施例1)の約3.2〜3.3倍も摩耗量が多く、比較例3での耐摩耗性は、参考例1(旧 実施例1)の約1.7倍も摩耗量が多い。
また、Niが過量である比較例4は、試験前の残留オーステナイト量が35%と多すぎるため、試験後も残留オーステナイト量が18.9%と多く存在し、カムロブとローラの接触圧力によって生じる残留オーステナイトの加工誘起マルテンサイト変態による硬さの上昇、耐ピッチング性及び耐摩耗性の向上が期待できない。その結果、比較例4でのピッチング発生に至る回数は、Niが適量である参考例3(旧実施例3)の約1/5と低めである。また、比較例4での耐摩耗性は、Niが適量である参考例3(旧実施例3)の約1.9倍も摩耗量が多い。
Cが少量すぎる比較例5は、耐ピッチング試験前後のオーステナイト量の変化量が少なく、Cが適量である実施例8に対し、オーステナイト量の変化量が約1/2であり、ピッチング発生に至る回数は、実施例8の約1/10と極めて低い。また、Cが少量すぎる比較例5は、焼入れ焼き戻し後にカム外周硬さが得られにくく、耐摩耗性に劣り、Cが適量である実施例8に対し、約2.1倍も摩耗量が多い。
Cが過量である比較例6は、圧縮性が著しく低下し、密度が上がらない為、耐ピッチング性及び耐摩耗性は向上しない。その結果、比較例5より更に耐ピッチング試験前後のオーステナイト量の変化量が少なく、Cが適量である参考例2(旧実施例2)に対し、オーステナイト量の変化量が約1/5と極めて少ない。ピッチング発生に至る回数は、参考例 2(旧実施例2)の約1/13と極めて低く、さらにCが少量すぎる比較例5よりも低い。また、比較例6は、Cが適量である参考例2(旧実施例2)に対し、約2.1倍も摩耗量が多い。
Moが過量である比較例7は、圧縮性が著しく低下し、密度が上がらない為、耐ピッチング性及び耐摩耗性は向上しない。その結果、耐ピッチング試験前後のオーステナイト量の変化量が少なく、Moが適量である実施例8に対し、オーステナイト量の変化量が約1/2であり、ピッチング発生に至る回数は、実施例8の約1/4と低めである。また、Moが適量である実施例8に対し、約1.4倍も摩耗量が多い。
以上より、本発明の動弁装置に使用するカムロブ材は、優れた耐ピッチング性及び耐摩耗性を有することが確認された。
本発明の動弁装置に使用される鉄系焼結カムロブは、ローラフォロアのローラとカムロブの接触面圧によって、基地組織中の残留オーステナイトが加工誘起マルテンサイト変態を起こすことで、優れた繰り返し接触疲労強度を有するものであり、耐摩耗性、耐スカッフィング性と共に、特に耐ピッチング性に優れている。
従って、本発明の動弁装置は、運転開始後の一定期間中にカムロブとローラフォロアの回転接触により、加工誘起マルテンサイト変態により耐久性が向上するので、ローラタイプの動弁装置として内燃機関に好適に使用される。
本発明に係る動弁装置に用いるカムフォロア装置の一構成例を示す図である。 カムロブの一例を示す図である。 ローラフォロアの一例を示す図である。 実施例に用いた二円筒接触試験機の概略図である。 耐ピッチング試験の結果をまとめたグラフである。 耐ピッチング試験前のオーステナイト量の測定結果をまとめたグラフである。 耐ピッチング試験後のオーステナイト量の測定結果をまとめたグラフである。
符号の説明
101 カムフォロア装置
1 カムシャフト
2 カムロブ
3 ローラタペット
4 ローラ
5 ローラタペット本体
6 軸
7 試験片
8 相手材
9 潤滑油
10 荷重

Claims (1)

  1. カムシャフトに固定されたカムロブ及び当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備える内燃機関の動弁装置であって、前記カムロブが、Ni:0.3〜5.0重量%、Mo:0.1〜2.5重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有し、基地が、残留オーステナイト組織21〜30容量%と焼入れマルテンサイト組織との混在組織のみからなり、密度7.3g/cm以上、及び、カム外周硬さHRC50〜55の鉄系焼結材である、動弁装置。
JP2004014981A 2003-01-31 2004-01-22 内燃機関の動弁装置 Expired - Lifetime JP4220401B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004014981A JP4220401B2 (ja) 2003-01-31 2004-01-22 内燃機関の動弁装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003024863 2003-01-31
JP2003421671 2003-12-18
JP2004014981A JP4220401B2 (ja) 2003-01-31 2004-01-22 内燃機関の動弁装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005201226A JP2005201226A (ja) 2005-07-28
JP4220401B2 true JP4220401B2 (ja) 2009-02-04

Family

ID=34830922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004014981A Expired - Lifetime JP4220401B2 (ja) 2003-01-31 2004-01-22 内燃機関の動弁装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4220401B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5532872B2 (ja) * 2009-12-01 2014-06-25 株式会社ジェイテクト カムシャフト装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005201226A (ja) 2005-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101245069B1 (ko) 분말 금속 기관 조성물
JP4789837B2 (ja) 鉄系焼結体及びその製造方法
US20130084203A1 (en) Iron-based sintered sliding member and production method therefor
JP6194613B2 (ja) 摺動部材用鉄基焼結合金およびその製造方法
JP5823697B2 (ja) 鉄基焼結合金製バルブシート
US6802883B2 (en) Iron-based sintered alloy for use as valve seat and its production method
WO2004031429A1 (ja) 高精度焼結カムロブ材
JP4137122B2 (ja) カムシャフトの製造方法、カムシャフト及びこれに用いるカムロブ材
JP4220401B2 (ja) 内燃機関の動弁装置
JP6929313B2 (ja) 高温耐摩耗用鐵系焼結合金
JP2006283576A (ja) 内燃機関の動弁装置
KR100632883B1 (ko) 내연기관의 밸브 장치
CN101068641B (zh) 用于凸轮凸角和其它高磨损制品的烧结合金
JP2003314212A (ja) タペットローラ支持軸受
JP2001234305A (ja) 焼結部材
JP4188970B2 (ja) カムロブ材、これを用いたカムシャフト及びカムロブ材の製造方法
GB2318126A (en) Powder mixture and component made therefrom
JP3942136B2 (ja) 鉄基焼結合金
JP2023152727A (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
JP6827683B2 (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
JP3988972B2 (ja) カムシャフト
JP2023152728A (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
JP2004124137A (ja) 高精度焼結カムロブ材
JP2013173961A (ja) 鉄基焼結合金製バルブシート
JPH066780B2 (ja) カムノーズとロッカーパッドの組合せ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080421

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080617

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080813

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081111

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4220401

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131121

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term