JP2006283576A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

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【課題】 内燃機関に使用されるローラタイプの動弁装置において、ローラフォロアと組み合わされる鉄系焼結カムロブの耐ピッチング性を向上させる。
【解決手段】 本発明により提供される内燃機関のローラタイプの動弁装置は、
カムシャフトに固定されたカムロブ及び当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備え、前記カムロブが鉄系焼結材からなり、密度7.4g/cm以上、及びカム外周硬さHRC45以上であり、基地が、ベイナイト組織5〜35容量%、残留オーステナイト組織5〜30容量%、及びマルテンサイト組織50〜90容量%の混在組織からなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ローラタイプのカムフォロア(ローラフォロア)を備える内燃機関用動弁装置に関し、特に、ローラフォロアのローラと回転接触するカムロブの耐摩耗性、耐ピッチング性、及び、耐スカッフィング性に優れる動弁装置に関する。
内燃機関において、カムシャフトやロッカーアーム等の部品は運転中、高速で摺動接触、回転接触をすることから、耐摩耗性、耐スカッフィング性、耐ピッチング性等の摺動特性が要求される。特に、ローラタイプのカムフォロアを備える動弁装置において、ローラフォロアのローラとカムロブの接触圧が大きい場合には、より優れた耐ピッチング性が求められる。このため、従来からこれらの接触特性を向上させることを目的として、様々な方法が提案されている。
例えば、鋳造時にカムノーズの部分を冷やし金を用いて急速凝固させ、カムノーズ表面に硬い白鋳鉄組織を形成したチルカムシャフトが用いられている。しかしながら、チルカムシャフトは外周表面に硬いチル組織を有するため、優れた耐摩耗性を示すが、耐ピッチング性に劣り、高負荷のエンジンには使用が難しい。
特許文献1には、カムシャフトのカム面にロッカーアームのローラが転動摺接するローラタイプの動弁装置において、重量比で、2.0〜4.0%C、1.5〜3.5%Si、0.1〜1.0%Mn、0.005〜0.08%Mg、0.15%以下P、0.15%以下S、0.3〜1.0%Cu、0.03〜0.09%Mo、及び残部Feからなる組成を有し、基地が残留オーステナイト組織35〜50容量%とベイナイト組織との混在組織からなる球状黒鉛鋳鉄であるカムを用いることが記載されている。このカムは、ローラの接触圧力により残留オーステナイト組織から加工誘起マルテンサイトが生成することによって、転動疲労強度が向上するものであり、基地中の残留オーステナイト組織の割合を35〜50容量%とするために、上記組成の材料を鋳造後、フェライト化焼鈍、非酸化性雰囲気下での加熱、及びオーステンパー処理の各工程が順次行われている。
また、特許文献2には、滑りタイプの焼結カムロブを考慮し、スカッフの発生要因となる残留オーステナイト量を調節するために、C:1.5〜3.0重量%、Cr:2.0〜12.0重量%、Mo:0.5〜3.0重量%、Ni:1.4重量%以下、Si:0.2〜1.0重量%、P:0.2〜1.0重量%、残部Fe及び不可避不純物からなり、基地組織がマルテンサイト、ベイナイト及び残留オーステナイトの混在組織からなる、耐スカッフィング性及び耐ピッチング性に優れた焼結カムシャフト用カムロブが記載されている。
特公平5−79742号公報 特開2000−144341号公報
本発明は、内燃機関に使用されるローラタイプの動弁装置において、ローラフォロアと組み合わされる鉄系焼結カムロブの耐ピッチング性を向上させることを目的とする。
本発明により提供される内燃機関の動弁装置は、
カムシャフトに固定されたカムロブ及び当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備え、前記カムロブが鉄系焼結材からなり、密度7.4g/cm以上、及びカム外周硬さHRC45以上であり、基地が、ベイナイト組織5〜35容量%、残留オーステナイト組織5〜30容量%、及びマルテンサイト組織50〜90容量%の混在組織からなることを特徴とする。
本発明の動弁装置に使用される鉄系焼結カムロブは、基地がベイナイト組織、残留オーステナイト組織、及びマルテンサイト組織の混在組織であるため、高い靭性及び硬度を有し、耐ピッチング性、耐摩耗性、耐スカッフィング性に優れ、特に耐ピッチング性に優れるものである。
本発明の動弁装置に使用される鉄系焼結カムロブは、基地がベイナイト、残留オーステナイト及びマルテンサイトの混在組織であるため、高い靭性及び硬度を示し、優れた繰り返し接触疲労強度を有するものであり、耐ピッチング性、耐摩耗性、耐スカッフィング性に優れ、特に耐ピッチング性に優れている。
本発明の動弁装置は、エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフトに固定されたカムロブと、当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備える。ローラフォロアは、カムロブとの当接部に、カムロブと回転接触するローラを設け、カムシャフトの回転運動をバルブの往復運動に変換する部材であり、動弁装置の構造に応じて適した形態とすることができる。ローラフォロアとしては、例えば、カムロブとの当接部にローラを設けたタペット(ローラタペット)又はロッカーアーム(ローラロッカーアーム)、バルブの基部側先端にカムロブと回転接触するローラを直接設けたものなどがある。
図1に、本発明に係る動弁装置の一態様を示す。動弁装置は、カムシャフト1に固定されたカムロブ2と、このカムロブと回転接触するローラ4を設けたロッカーアーム3とで構成される。ロッカーアーム3は、ロッカーアーム本体5の一端部にローラ4をピン6により回転自在に支持し、その本体中間部においてロッカーシャフト7により揺動自在に支持され、さらに、その他端部に螺着したアジャストねじ8の先端部を弁体9の基端面に突き当てている。なお、この弁体9には圧縮ばね10により吸気口又は排気口を閉鎖する方向の弾力を付与している。
図2は、カムロブ2の形状の一例を示す正面図(2A)及び側面図(2B)である。図3は、ロッカーアーム3のカムロブ2に対する当接部の一例を拡大して示す正面図である。
ロッカーアーム3は、ロッカーアーム本体5のカムロブ2と当接する側の端部に、軸受孔5bを各々有する一対の支持壁部5aを間隔を開けて形成し、一対の支持壁部の間に軸受孔4aを有するローラ4を配置し、ピン6を支持壁部の一方の軸受孔5b、ローラ4の軸受孔4a、及び支持壁部のもう一方の軸受孔5bに貫通させることにより、ローラ4を回転自在に支持する。また、ピン6と軸受孔4a及び/又は軸受孔5bとの間には、フリクションロスを軽減するためにベアリングを介在させることが好ましい。ローラ4の材質は特に限定されず、例えば、軸受鋼SUJ2等が好ましい。
本発明においては、カムシャフトのカムロブ2は、鉄系焼結材で形成されており、密度7.4g/cm以上、及びカム外周硬さHRC45以上であり、基地が、ベイナイト組織5〜35容量%、残留オーステナイト組織5〜30容量%、及びマルテンサイト組織50〜90容量%の混在組織からなる。
本発明においては、鉄系焼結カムロブの基地をベイナイト、残留オーステナイト、及びマルテンサイトの混在組織とすることで、靭性及び硬度を向上させて、耐ピッチング性に優れた鉄系焼結カムが得られる。
基地組織中のベイナイト量は、高い靭性を得るため5〜35容量%とし、好ましくは10〜30容量%とする。ベイナイト量が5容量%以上の場合、カムロブの靭性が向上し耐ピッチング性が良好となる。一方、ベイナイト量を多くすると強度が低下し、耐摩耗性に影響するために、ベイナイト量は35容量%以下とする。
基地組織中の残留オーステナイト量は、優れた耐ピッチング性を得るために5〜30容量%とし、好ましくは15〜25容量%とする。残留オーステナイト量が5容量%以上の場合、加工誘起マルテンサイト変態による耐ピッチング性向上の効果が十分に得られる。一方、加工誘起マルテンサイト変態を起さない安定なオーステナイトの量を制御し優れた耐ピッチング性を得るために、残留オーステナイト量は30容量%以下とする。
基地組織中のマルテンサイト量は、カムロブの耐摩耗性確保のために50〜90容量%とする。マルテンサイト量が50容量%以上の場合、十分な硬度を得られ、耐摩耗性の確保が可能となる。一方、カムロブの強度靭性の最適化のために、マルテンサイト量は、90容量%以下とする。
上記の所望の混在組織からなる基地を得る方法は、特に限定されるものではなく、オーステンパー処理によりベイナイトを生成させることが好ましい。
この鉄系焼結カムロブは、ローラフォロアのローラと回転接触する時の耐摩耗性、耐ピッチング性及び耐スカッフィング性に優れているので、ローラタイプの動弁装置に適している。
ローラタペットやローラロッカーアームのようなローラフォロアとカムロブの回転接触においては、耐ピッチング特性に代表される繰返し接触疲労強度が重要であり、特に耐ピッチング特性が重要である。カムロブの回転接触部を構成する組織にベイナイト組織が存在し、ベイナイト組織、残留オーステナイト組織、及びマルテンサイト組織の混在組織であると、高い靭性及び硬度が得られるため、耐ピッチング性を高めることができる。
ローラフォロアのローラと回転接触をするカムロブの強度を上げて耐ピッチング性を向上させるために、カムロブの密度は7.4g/cm以上とし、好ましくは7.5〜7.6g/cmとする。
また、優れた耐摩耗性を得るために、カム外周硬さを、HRC45以上とし、好ましくは50〜55とする。
本発明においては、鉄系焼結カムロブの成分組成を、Ni:0.3〜5.0重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成、又は、Ni:0.3〜5.0重量%、Mo:0.1〜2.5重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成とすることが好ましい。
鉄系焼結カムロブの成分組成を上記範囲とすることによって、ローラタイプに適した耐ピッチング性、耐摩耗性、及び耐スカッフィング性を有し、特に、基地をベイナイト、残留オーステナイト、及びマルテンサイトの混在組織とすることで、靭性及び硬度を向上させて、耐ピッチング性に優れた鉄系焼結カムが得られる。
以下に、Ni、C及びMoの配合目的を説明する。
Niは、強度及び靭性を高める効果がある。カムロブ材のNi含有量は、0.3〜5.0重量%とし、好ましくは2〜3重量%とする。Niが0.3重量%未満では、十分な強度及び靭性を得ることができず、5.0重量%を超える場合では、焼結時の寸法変化量が大きくなるため、精度が悪くなってしまう。
Cは、耐摩耗性が得られる外周硬さを得るために必要である。カムロブ材のC含有量は、0.5〜1.2重量%とし、好ましくは0.8〜1.0重量%とする。Cの含有量が0.5重量%未満の場合、所望のカム外周硬さが得られにくく、耐摩耗性に劣ってしまう。一方、1.2重量%を超える場合、圧縮性が著しく低下し、密度が上がらない。
また、Moは、焼入れ性を高めると同時に、基地に固溶して硬度を高め、耐摩耗性を向上させる効果がある。カムロブ材のMo含有量は、0.1〜2.5重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%とする。Moが0.1重量%未満では、十分に硬化せず、一方、Moが2.5重量%を超えると圧縮性が著しく低下する。
本発明で使用されるカムロブ材は、焼結用粉末を焼結後に上記組成となるように調製し、プレス成形及び焼結を行った後、オーステンパー処理により基地組織を調質することにより得られる。焼結用粉末には、成形時の型抜け性をよくするために、例えば、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加してもよい。プレス成形及び焼結のいずれか又は両方を、2回プレス・2回焼結(2P2S)のように2回以上行ってもよい。2回プレス・2回焼結(2P2S)によって製造されたカムロブ材は高精度であるため、さらに研削加工を施す必要がない、或いはほとんど施さなくてよい。そのため、切削加工に掛かる経費の削減、及び作業時間の短縮が可能な点から、本発明で使用されるカムロブ材は、2回プレス・2回焼結(2P2S)によって製造することが好ましい。
オーステンパー処理は、通常、上記の焼結工程の後に、オーステナイト化温度820〜950℃の温度範囲で、0.5〜2.5時間、熱処理を行い、基地組織を調質する。特に、基地組織を前記割合に調整することができるため、オーステンパー処理は、ベイナイト化温度350〜420℃で、1.0〜4.0時間行うことが好ましい。また、処理時間が1.0時間未満ではベイナイト量が十分でなく、4.0時間以上ではベイナイト量が多すぎて硬度低下となる。
本発明で使用されるカムロブ材は、必要に応じてさらにショットブラスト等の後加工を行っても良い。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜23及び比較例1〜15)
二次焼結後に第1表(1/2、2/2)に示す成分組成となるように、焼結用粉末を調製し、さらに、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を加えて混合した。
Figure 2006283576
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Figure 2006283576
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次に、調製した焼結用粉末を用いて面圧5〜7ton/cmで1回目のプレス成形(1次成形)を行い、圧粉体を形成した後、真空焼結炉内で、600〜900℃で仮焼結(1次焼結)をし、仮焼結体を得た。次いで、この仮焼結体を面圧7〜12ton/cmで2回目のプレス成形(2次成形)を行い、その2次成形体を真空焼結炉中、1100〜1200℃で本焼結(2次焼結)を行い、2次焼結体を得た。この2次焼結体に第1表(1/2、2/2)に示すオーステンパー処理を行い、実施例1〜23及び比較例2〜15の焼結カムロブ材を得た。
また、最終の成分組成が、第1表(1/2)に示す成分組成(トータルカーボン(T.C):3.4重量%、Si:2.0重量%、Mn:0.7重量%、Cr:0.8重量%、Mo:2.0重量%、Ni+Cu:2.0重量%)となるように各元素を溶かして、冷やし金を有する鋳型に流し込み、急冷凝固してチル鋳鉄を得た。得られたチル鋳鉄を研磨し、比較例1のカムロブ材を得た。
<試験>
(1)密度
各実施例・比較例で得られたカムロブ材の試験片をパラフィンで封孔処理し、アルキメデス法によって密度を測定した。測定結果を第2表(1/2、2/2)に示す。
(2)カム外周硬さ
ロックウエル硬度計により、Cスケールにて、各実施例・比較例で得られた試験片のカムノーズの外周を5点計測し、その平均値を算出した。測定結果を第2表(1/2、2/2)に示す。
(3)オーステナイト量の測定
各試験片の基地中のオーステナイト量をX線により測定した。結果を第1表(1/2、2/2)及び図6に示す。
(測定条件)
試験装置:X線応力測定装置((株)リガク製)
試験箇所:試験片外周部
(4)マルテンサイト量の測定
各試験片をナイタル3%液を用いて腐食させ、金属顕微鏡により腐食されていない部分の面積割合(%)を、オーステナイトとマルテンサイトの合計量とした。この、組織検査による(オーステナイト+マルテンサイト)の測定値(v/v%)から、X線によるオーステナイト量の測定値(v/v%)を差し引いた値をマルテンサイト量(v/v%)として決定した。結果を、第1表(1/2、2/2)及び図5に示す。
(測定条件)
試験装置:金属顕微鏡(オリンパス(株))
試験箇所:試験片組織
腐食液:ナイタル3%
(5)ベイナイト量の測定
基地組織の全体量から、上記試験(3)のX線によるオーステナイト量の測定値(v/v%)を差し引き、更に上記試験(4)の組織検査により決定されたマルテンサイト量(v/v%)の決定値(測定値)を差し引いた値をベイナイト量(v/v%)と決定した。結果を第1表(1/2、2/2)に示す。
(計算式)
100− オーステナイト量(v/v%)− マルテンサイト量(v/v%)=ベイナイト量(v/v%)
(測定条件)
試験箇所:試験片外周部
(6)耐ピッチング試験及び耐摩耗性試験
図4に示す二円筒接触試験機により、一定速度に回転する各試験片11と相手材円筒試験片12の回転面を接触させ、両試験片の接触面に潤滑油13を滴下しながら所定の荷重14をかけて回転させ、一定回転回数(1×10回)に到達した時点でピッチング発生の有無を判定した。また、一定回転回数(1×10回)に到達した時点での摩耗沈み量(μm)も測定した。測定結果を第2表(1/2、2/2)に示す。
(測定条件)
測定装置:二円筒接触試験機
回転回数:1500rpm
潤滑油:エンジンオイル 10W30
油温:100℃
油量:2×10−4/min
荷重:3000N
スベリ率:0%
相手材:SUJ2
判定方法:一定回転回数(1×10回)に到達した時点で亀裂の有無について試験片外周部を観察し、亀裂があった場合を「ピッチング発生有り」とし、亀裂が無かった場合を「ピッチング発生無し」とした。
<試験結果>
実施例1〜23のうち、実施例1〜14はMoを含まない元素組成、一方、実施例15〜23はMoを含まむ元素組成に大別される。また、比較例1〜15のうち、比較例1は、鋳鉄材料であり、比較例2〜8はMoを含まない元素組成を有する鉄系焼結材料であり、比較例9〜15はMoを含む元素組成を有する鉄系焼結材料である。
耐ピッチング性に関しては、試験結果によると、各実施例はピッチング発生が「無し」、各比較例のほとんどが、ピッチング発生が「有り」となっており、各実施例は、各比較例よりも耐ピッチング性に優れていること明らかとなった。
マルテンサイト量、残留オーステナイト量は範囲内であるが、ベイナイト量が下限値より少量で範囲外の比較例2、9は、靭性向上効果が得られず、ピッチング発生「有り」で、実施例より劣るものである。
ベイナイト量、残留オーステナイト量は範囲内であるが、マルテンサイト量が下限値より少量で範囲外の比較例3、10については、耐ピッチング性は実施例と同程度であるが、硬さが低いために耐摩耗効果が得られず、実施例より劣るものであり、実施例の摩耗量約0.10μm〜0.25μmに対して比較例3、10の摩耗量は約1.22μm〜1.35μmであり、約5倍〜13倍の摩耗量である。
ベイナイト量、マルテンサイト量は範囲内であるが、残留オーステナイト量が上限値より多量で範囲外の比較例4、11は、残留オーステナイトが多量であり、加工誘起マルテンサイトに変態するのに時間がかかるため、耐摩耗性が劣る。また、ピッチング発生「有り」であり、実施例より劣るものである。
ベイナイト量が下限値より少量で範囲外であり、かつマルテンサイト量が上限値より多量で範囲外の比較例5、12は、靭性に関して安定して維持出来ず、耐摩耗性は実施例と同程度であるが、ピッチング発生「有り」で、実施例より劣るものである。
マルテンサイト量が下限値より少量で範囲外であり、かつ残留オーステナイト量が上限値より多量で範囲外の比較例6、13は、マルテサイト量が少量のため強度不足でり、また、残留オーステナイトが多量であり、加工誘起マルテンサイトに変態するのに時間がかかるため、耐摩耗効果が得られず、今回の試験では最も悪い摩耗量となった。実施例の摩耗量約0.10μm〜0.25μmに対して比較例6,13の摩耗量は約1.34μm〜1.43μmであり、約5.4倍〜14倍の摩耗量である。また、ピッチング発生「有り」で、実施例より劣るものである。
ベイナイト量が下限値より少量で範囲外であり、かつ残留オーステナイト量が多量で範囲外の比較例7、14は、靭性向上効果が得られず、耐ピッチング性が劣るものである。更に耐摩耗性については、比較例4、6、11、13に比較して良好ではあるが結果的には、実施例より劣るものである。
ベイナイト量が下限値より少量で範囲外であり、マルテンサイト量が上限値より多量で範囲外であり、更に残留オーステナイト量が下限値より少量で範囲外の比較例8、15は、やはり靭性に関して安定して維持出来ず、耐摩耗性は実施例と同程度であるが、耐ピッチング性向上効果が得られないので、実施例より劣るものである。
本発明に係る動弁装置の一構成例を示す図である。 カムロブの一例を示す図である。 ロッカーアームの一例を拡大して示す部分拡大図である。 実施例に用いた二円筒接触試験機の概略図である。 実施例でのピッチング試験前後のマルテンサイト量をまとめたグラフである。 実施例でのピッチング試験前後の残留オーステナイト量をまとめたグラフである。
符号の説明
1…カムシャフト
2…カムロブ
3…ローラロッカーアーム
4…ローラ
5…ロッカーアーム本体
6…ピン
7…ロッカーシャフト
8…アジャストねじ
9…弁体
10…圧縮ばね
11…試験片
12…相手材
13…潤滑油
14…荷重

Claims (5)

  1. カムシャフトに固定されたカムロブ及び当該カムロブと回転接触するローラを設けたローラフォロアを備える内燃機関の動弁装置であって、前記カムロブが鉄系焼結材からなり、密度7.4g/cm以上、及びカム外周硬さHRC45以上であり、基地が、ベイナイト組織5〜35容量%、残留オーステナイト組織5〜30容量%、及びマルテンサイト組織50〜90容量%の混在組織からなる、動弁装置。
  2. 前記鉄系焼結材が、Ni:0.3〜5.0重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有する、請求項1に記載の動弁装置。
  3. 前記鉄系焼結材が、Ni:0.3〜5.0重量%、Mo:0.1〜2.5重量%、C:0.5〜1.2重量%、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有する、請求項1に記載の動弁装置。
  4. 前記鉄系焼結材が、2回圧縮・2回焼結によって製造された、請求項1乃至3いずれかに記載の動弁装置
  5. 前記混在組織が、オーステンパー処理によって形成されたものである、請求項1乃至4いずれかに記載の動弁装置。
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