JP2013173961A - 鉄基焼結合金製バルブシート - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費、低エミッション、高出力に対応した内燃機関の排気バルブシートに使用することが可能な、優れた耐摩耗性及び切削性を有する鉄基焼結合金製バルブシートを提供する。
【解決手段】高合金プレアロイ粉末を用いることなく高圧縮及び高焼結性を有する低合金プレアロイ粉末を使用し、さらに硬質粒子を分散して、焼結時に硬質粒子から低合金プレアロイ粉末からなる基地組織への合金拡散層を形成することによって、耐摩耗性と切削性の両方を改善する。
【選択図】なし
【解決手段】高合金プレアロイ粉末を用いることなく高圧縮及び高焼結性を有する低合金プレアロイ粉末を使用し、さらに硬質粒子を分散して、焼結時に硬質粒子から低合金プレアロイ粉末からなる基地組織への合金拡散層を形成することによって、耐摩耗性と切削性の両方を改善する。
【選択図】なし
Description
本発明は、内燃機関のバルブシート、特に排気用バルブシートとして用いられ、優れた耐摩耗性及び切削性を有する鉄基焼結合金製バルブシートに関する。
内燃機関のバルブシートは、高温で高圧の燃焼ガスに曝され、さらにバルブの動作による高い衝撃を繰り返し受けるため、耐熱性及び耐摩耗性が必要とされる。近年の自動車エンジンでは、低燃費、低エミッション、高出力を指向し、高度な燃焼制御が行われるようになって、バルブシートは高温且つ無潤滑の厳しい摺動条件で使用されるようになってきた。このため、バルブシートには、無潤滑摺動によるバルブとの金属同士の接触が引き起こす凝着摩耗に対する耐摩耗性も要求されている。
従来、バルブシートには、耐摩耗性を向上するため、基地組織の合金化と、高硬度の硬質粒子を分散させる手法が用いられている。基地組織には希少金属を添加したプレアロイ粉末を使用し、さらにはそのプレアロイ粉末自体を高合金化し、硬質粒子には炭化物や窒化物のような基地組織と反応しにくい材料を選択して、凝着摩耗の抑制を図った鉄基焼結合金や、特許文献1のような、金属間化合物であるCr-Mo-Co系、Cr-W-Co系、Fe-Mo系の数十ミクロンオーダーのマクロな硬質粒子の分散に加え、数ミクロンオーダーのミクロな炭化物又は金属間化合物等が基地組織から析出分散したマクロ及びミクロな硬質粒子の分散した鉄基焼結合金が提案されている。また特許文献2のように、フッ化カルシウムなどの固体潤滑材を分散させ、自己潤滑性を高めることによって耐摩耗性を改善した鉄基焼結合金も提案されている。
高合金プレアロイ粉末を用いた技術では、基地組織の高強度化のため高温での焼結や焼入・焼戻などの熱処理が必要不可欠であり、また希少金属を使用するため高コストになりやすい問題も抱えていた。マクロな硬質粒子を分散する技術でも当然に希少金属を多量に使用することになるが、さらに、上述したミクロな硬質相を基地組織中に分散する場合は、熱処理が必要であることに加え、硬質相の析出による基地自体の低硬度化を防ぐためプレアロイのさらなる高合金化が必要になる。このような高合金プレアロイ粉末は、粉末の圧縮性が悪く、例えば、600 MPaの面圧での成形密度が6.8 Mg/m3以下であり、焼結密度も比較的低い密度しか得られない。また、基地の合金含有量が多いため、マクロな硬質粒子から基地(マトリックス)への焼結拡散も進みにくく、密着性低下や焼結素材の強度低下に繋がりやすい。
一方、バルブと接触するバルブシートの当たり面は、エンジンヘッドの組み付け時に切削加工されるため、切削性(被削性)が良好であることも必須であり、より一層の切削性向上も求められている。しかし、一般にバルブシートに要求される耐摩耗性と切削性は相反する性能であるため、これまでは耐摩耗性を向上させると切削性が悪化する問題があった。
上記問題に鑑み、本発明は、低燃費、低エミッション、高出力に対応した内燃機関の排気バルブシートに使用することが可能な、優れた耐摩耗性及び切削性を有する鉄基焼結合金製バルブシートを提供することを課題とする。
また、焼結合金は少なからずボイドを有しており、ボイドの存在により切削が断続切削になって工具に衝撃を与え工具摩耗を促進させてしまう。従って、被削性を改善するには、焼結合金の緻密化も重要な課題となる。
さらに、バルブシートは希少金属を使用し、焼結、熱処理して製造されるため、省資源、省エネルギーも重要な課題となる。この課題は、当然にバルブシートのコスト低減に貢献する。
本発明者達は、鋭意研究の結果、高合金プレアロイ粉末を用いることなく高圧縮及び高焼結性を有する低合金プレアロイ粉末を使用し、さらに硬質粒子を分散して、焼結時に硬質粒子から低合金プレアロイ粉末からなる基地組織への合金拡散層を形成することによって、耐摩耗性と切削性の両方に優れた鉄基焼結合金製バルブシートが得られることに想到した。
すなわち、本発明の鉄基焼結合金製バルブシートは、基地中に、硬質粒子を質量%で5〜20%分散させた鉄基焼結合金製バルブシートであって、前記基地と前記硬質粒子を含むバルブシート全体が、質量%でC:0.40〜1.15%、Si:0.04〜0.8%、Mo:2.28〜17.60%、Ni:0.8〜3.8%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなり、前記基地がFe及び/又はMoの炭化物若しくは複合炭化物の1種又は2種以上を有するマルテンサイト相及びパーライト相を含むことを特徴とする。
前記基地の組成は、質量%で、C:0.5〜1.2%、Si:0.5%以下、Mo:0.3〜2.0%、Ni:1.0〜4.0%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなることが好ましい。また、前記硬質粒子は、質量%で、Mo:40.0〜80.0%、Si:0.4〜2.0%、C:0.1%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなるFe-Mo-Si合金粒子、又は、質量%で、Mo:60.0〜70.0%、C:0.04%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなるFe-Mo合金粒子であることが好ましい。さらに、前記基地と前記硬質粒子の間に前記硬質粒子に含有されるMoが前記基地側に拡散した合金拡散相を有することが好ましく、前記合金拡散相のビッカース硬さがHv 350〜800であることがより好ましい。
本発明の鉄基焼結合金製バルブシートでは、高圧縮性、高焼結性の低合金プレアロイ粉末を使用することによって高密度焼結体を得ることが可能となり、ボイドの少ない組織を得ることができる。希少金属の使用量も少ないため省資源化に繋がり、比較的低温での焼結が可能となるため省エネルギー化にも繋がり、これらは当然にコスト低減に貢献する。また最適な硬質粒子の添加によって、硬質粒子から基地組織への拡散によるビッカース硬さHv 350〜800の合金拡散相が生成されて基地も強化され、最終的には耐摩耗性及び切削性の両方を兼ね備えた、高温かつ無潤滑条件での過酷な運転にも優れた耐久性を示す排気用バルブシートとして使用することが可能となる。
本発明の鉄基焼結合金製バルブシートは、基地と、基地中に分散した硬質粒子とから構成されている。この基地は、600 MPaでの面圧による成形密度が7.0 Mg/m3以上の高い圧縮性と高い焼結拡散性(自己拡散係数の大きいα-Feが含まれる)を有するプレアロイ粉末から構成され、組織的には、硬質粒子から拡散した合金元素を含む合金拡散相、炭化物が析出分散したマルテンサイト相とパーライト相を有する。析出炭化物はFe及び/又はMoの炭化物若しくは複合炭化物の1種又は2種以上からなる。これらの炭化物や合金拡散相の存在により、耐熱性や耐摩耗性を向上する。
また、基地中に分散する硬質粒子は、質量%で5〜20%分散させる。5%未満では、硬質粒子及び焼結により形成される合金拡散相が少ないため凝着領域が拡大し耐摩耗性が低下する。一方、20%を超えると切削性が悪くなり、また相手材のバルブへの攻撃性も高まり好ましくない。硬質粒子の硬さは、ビッカース硬さでHv 700〜1400であることが好ましく、硬質粒子の粒径は、50μm以下の粒子が質量%で50%以上、且つ100μm以上の粒子が質量%で3%以下の粒度分布をもつことが好ましい。硬質粒子としては、質量%でMo:40.0〜80.0%、Si:0.4〜2.0%、C:0.1%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなる金属間化合物のFe-Mo-Si合金粒子、又は、質量%でMo:60.0〜70.0%、C:0.04%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなる金属間化合物のFe-Mo合金粒子を使用することが好ましく、基地中に分散した場合、基地への異常(過剰)な拡散がなく、カーケンダルボイドの生成を抑えることができる。
硬質粒子と基地を含むバルブシート全体としては、質量%でC:0.40〜1.15%、Si:0.04〜0.8%、Mo:2.28〜17.60%、Ni:0.8〜3.8%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する。
基地としては、質量%でC:0.5〜1.2%、Si:0.5%以下、Mo:0.3〜2.0%、Ni:1.0〜4.0%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
Cは、一般に、基地に固溶して基地を強化するとともに、他の合金元素と結合して炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させ、Siは基地部の耐酸化性を向上させる。本発明では、基地のC含有量は0.5〜1.2%、またSi含有量は0.5%以下とすることが好ましい。
Mo、Niは、ともに基地を強化して耐摩耗性を向上する。特にMoは高温での強度及び硬さを向上する。本発明では、基地のMo含有量は0.3〜2.0%、またNi含有量は1.0〜4.0%とすることが好ましい。
図2は、本発明の鉄基焼結合金製バルブシートの顕微鏡組織を示した光学顕微鏡写真である。不規則な形状のFe-Mo-Si合金粒子(明るく見える)8が基地中に分散しており、その廻りにやや明度の低い合金拡散相9が存在する。この合金拡散相9は拡散の程度にもよるがビッカース硬さがHv 350〜800となるのが好ましく、その場合、基地の耐摩耗性を著しく向上させる。他に、パーライト相10、マルテンサイト相11、比較的少ないボイド12が観察される。
本発明の鉄基焼結合金製バルブシートの製造において、基地の原料としては、高い圧縮性と焼結拡散性を有するプレアロイ合金粉末(例えば、Moを0.6%含有する鉄粉や、Niを2.0%とMoを1.0%含有する鉄粉)を使用する。このようなプレアロイ合金粉末に、各合金元素の金属粉末又はフェロアロイ粉末、黒鉛粉末等を加える。基地を構成するプレアロイ合金粉末及び合金元素粉末に、金属間化合物からなる硬質粒子粉末を配合し、混合した混合粉を原料粉とする。原料粉、すなわち、プレアロイ合金粉末、合金元素粉末、硬質粒子の混合粉末の合計量に対して、ステアリン酸塩等を0.5〜2%、離型材として配合しても良い。混合粉末は成形プレス等により圧縮・成形して圧粉体に成形され、前記圧粉体は真空又は非酸化性(又は還元性)雰囲気中で1100〜1150℃の比較的低い温度範囲で好ましく焼結される。よって、メッシュベルト炉のような連続焼結可能な焼成炉を使用することが可能となる。
焼結温度は1100℃未満では、焼結拡散結合が不足し、所定の強度が得られない。一方、1150℃を超える温度ではメッシュベルト炉に損傷を与え、1200℃を超える温度で焼結すると、硬質粒子と基地との間で異常拡散が生じ、耐摩耗性の劣化や素材形状の変形等が起こり、好ましくない。もちろん、1200℃を超える温度まで使用できる真空炉やプッシャー炉のようなバッチ式の焼成炉を使用すれば、1150〜1200℃で焼結することが可能である。非酸化性(又は還元性)雰囲気としては、具体的にはNH3ガスやN2とH2の混合ガス等を用いた雰囲気とすることが望ましい。
本発明の鉄基焼結合金製バルブシートは、メッシュベルト炉を使用して適切な降温条件とすれば、焼結後の熱処理を必要としない。
実施例1〜5及び比較例1〜4
粒度分布が150〜200メッシュにピークを有する、Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末に、Ni及びCが表1に示す基地組成となるような所定量のカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加え、さらに、平均粒径29μmのFe-Mo-Si合金からなる硬質粒子を表1に示す質量%配合し、混合機で混練して混合粉を作製した。表1には、各実施例及び比較例の基地組成(但し、NiとCはカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末の添加量)とFe-Mo-Si硬質粒子の混合比率を示す。なお、原料粉末には、成形工程の型抜き性をよくするためにステアリン酸亜鉛を原料粉末の量に対して0.5%加えている。また、使用したFe-Mo-Si合金は、Mo:60.87%、Si:1.20%、C:0.05%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなる組成を有していた。
粒度分布が150〜200メッシュにピークを有する、Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末に、Ni及びCが表1に示す基地組成となるような所定量のカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加え、さらに、平均粒径29μmのFe-Mo-Si合金からなる硬質粒子を表1に示す質量%配合し、混合機で混練して混合粉を作製した。表1には、各実施例及び比較例の基地組成(但し、NiとCはカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末の添加量)とFe-Mo-Si硬質粒子の混合比率を示す。なお、原料粉末には、成形工程の型抜き性をよくするためにステアリン酸亜鉛を原料粉末の量に対して0.5%加えている。また、使用したFe-Mo-Si合金は、Mo:60.87%、Si:1.20%、C:0.05%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなる組成を有していた。
これらの混合粉を成形金型に充填し、成形プレスにより面圧600 MPaで圧縮・成形した後、最高温度1120℃、N2+H2ガス雰囲気のメッシュベルト式連続炉にて焼結し、外径37.6 mmφ、内径26 mmφ、厚さ8 mmのリング状焼結体を作製した。成形体の密度は全て7.1 Mg/m3であった。また、得られた焼結体の密度を表1に示すが、本発明の鉄基焼結合金製バルブシートは7.08〜7.25 Mg/m3の範囲にあった。また、合金拡散相の硬さはビッカース硬さでHv 401〜620の範囲にあった。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4について、バルブシート全体の組成の化学分析を行った。その結果を表2に示す。
[1] 摩耗試験
得られたリング状焼結体をバルブシートに加工し、図1に示した単体摩耗試験機を用いて耐摩耗性を評価した。バルブシート4はシリンダヘッド相当材のバルブシートホルダ2に圧入して試験機にセットされ、摩耗試験は、バーナー1によりバルブ3及びバルブシート4を加熱しながら、カム7の回転に連動してバルブ3を上下させることによって行われる。なお、バルブシート4には熱電対5, 6を埋め込み、バルブシートの当たり面が所定の温度になるようにバーナー1の火力を調節する。バルブシート4はバルブ3よって繰り返し叩かれることにより摩耗し、その摩耗量は試験前後のバルブシート及びバルブの形状を測定することにより、当たり面の後退量として算出した。ここで、バルブは上記バルブシートに適合するサイズのSUH合金(JIS規格:JIS G 4311)製のものを使用した。試験条件としては、温度300℃及び350℃(バルブシート当たり面)、カム回転数2500 rpm、試験時間5時間とした。試験結果を、比較例1の値を1とした相対比率で、図3(a)(温度300℃)及び図3(b)(温度350℃)に示す。
得られたリング状焼結体をバルブシートに加工し、図1に示した単体摩耗試験機を用いて耐摩耗性を評価した。バルブシート4はシリンダヘッド相当材のバルブシートホルダ2に圧入して試験機にセットされ、摩耗試験は、バーナー1によりバルブ3及びバルブシート4を加熱しながら、カム7の回転に連動してバルブ3を上下させることによって行われる。なお、バルブシート4には熱電対5, 6を埋め込み、バルブシートの当たり面が所定の温度になるようにバーナー1の火力を調節する。バルブシート4はバルブ3よって繰り返し叩かれることにより摩耗し、その摩耗量は試験前後のバルブシート及びバルブの形状を測定することにより、当たり面の後退量として算出した。ここで、バルブは上記バルブシートに適合するサイズのSUH合金(JIS規格:JIS G 4311)製のものを使用した。試験条件としては、温度300℃及び350℃(バルブシート当たり面)、カム回転数2500 rpm、試験時間5時間とした。試験結果を、比較例1の値を1とした相対比率で、図3(a)(温度300℃)及び図3(b)(温度350℃)に示す。
実施例1〜5では、300℃と350℃の両方の温度で、比較例1と比較して、バルブ摩耗量はほとんど変わらなかったが、バルブシート摩耗量は0.4程度まで低減し優れた耐摩耗性を示した。一方、Cが0.4%未満の比較例3のバルブシート摩耗量は、実施例1〜5の約2倍程度まで増加した。また、Niが3.8%を超えた比較例2、及びCが1.15%を超えた比較例4では、バルブシートの摩耗量はそれほど増加しなかったものの、バルブの摩耗が著しく増加した。
比較例5
Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末の代わりにCr:1.0%、Mo:2.0%、V:3.0%、Nb:0.5%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末を使い、基地組成のCが0.8%、Niが2.5%となるようにカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加え、焼成をバッチ炉で1180℃とした以外は実施例5と同様にリング状焼結体を作製した。成形体及び焼結体の密度測定、摩耗試験も実施例5と同様に行った。密度は、成形体の段階で6.3 Mg/m3であり、焼結体では6.75 Mg/m3であった。摩耗試験結果は、実施例1〜5及び比較例1〜4とともに図3(a)及び図3(b)に示すが、350℃よりも300℃におけるバルブシートの摩耗量が多かった。
Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末の代わりにCr:1.0%、Mo:2.0%、V:3.0%、Nb:0.5%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末を使い、基地組成のCが0.8%、Niが2.5%となるようにカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加え、焼成をバッチ炉で1180℃とした以外は実施例5と同様にリング状焼結体を作製した。成形体及び焼結体の密度測定、摩耗試験も実施例5と同様に行った。密度は、成形体の段階で6.3 Mg/m3であり、焼結体では6.75 Mg/m3であった。摩耗試験結果は、実施例1〜5及び比較例1〜4とともに図3(a)及び図3(b)に示すが、350℃よりも300℃におけるバルブシートの摩耗量が多かった。
比較例6
Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末の代わりにMo:5.0%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末を使い、基地組成のCが1.3%、Niが2.5%となるようにカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加えた以外は実施例1と同様にリング状焼結体を作製した。成形体及び焼結体の密度測定、摩耗試験も実施例1と同様に行った。密度は、成形体の段階で6.8 Mg/m3であったが、焼結体では6.96 Mg/m3までしか上がらなかった。摩耗試験結果を図3(a)及び図3(b)に示すが、300℃及び350℃の両方で著しいバルブシートの摩耗が観察された。
Mo:0.6%、Si:0.03%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末の代わりにMo:5.0%、残部:Fe(及び不可避的不純物)からなるプレアロイ合金粉末を使い、基地組成のCが1.3%、Niが2.5%となるようにカルボニルニッケル粉末と黒鉛粉末を加えた以外は実施例1と同様にリング状焼結体を作製した。成形体及び焼結体の密度測定、摩耗試験も実施例1と同様に行った。密度は、成形体の段階で6.8 Mg/m3であったが、焼結体では6.96 Mg/m3までしか上がらなかった。摩耗試験結果を図3(a)及び図3(b)に示すが、300℃及び350℃の両方で著しいバルブシートの摩耗が観察された。
[2] 切削性試験
続いて、前述の実施例1〜5及び比較例1〜6の焼結体について切削性試験を行った。試験条件は汎用旋盤を用いた切削速度100 m/min、切り込み量0.1 mm、送り速度0.1 mm/revの乾式(切削液を使用しない)で、所謂トラバース方式の切削試験を行った。切削工具としてはCBNチップを使用し、切削性は所定の数量のバルブシートを加工したときの刃具最大摩耗量により評価した。結果を、比較例1の値を1とした相対比率で、図4に示す。
続いて、前述の実施例1〜5及び比較例1〜6の焼結体について切削性試験を行った。試験条件は汎用旋盤を用いた切削速度100 m/min、切り込み量0.1 mm、送り速度0.1 mm/revの乾式(切削液を使用しない)で、所謂トラバース方式の切削試験を行った。切削工具としてはCBNチップを使用し、切削性は所定の数量のバルブシートを加工したときの刃具最大摩耗量により評価した。結果を、比較例1の値を1とした相対比率で、図4に示す。
硬質粒子が添加されていない比較例1が最も切削性が良かったが、実施例1〜5は、比較例1に遜色ない切削性を示した。Cが0.4%未満及び1.15%を超えた場合(比較例3及び4)は、いずれも切削性を悪化させた。
1 バーナー
2 バルブシートホルダ
3 バルブ
4 バルブシート
5 熱電対(高温側)
6 熱電対(低温側)
7 カム
8 Fe-Mo-Si合金粒子
9 拡散合金相
10 パーライト相
11 マルテンサイト相
12 ボイド
2 バルブシートホルダ
3 バルブ
4 バルブシート
5 熱電対(高温側)
6 熱電対(低温側)
7 カム
8 Fe-Mo-Si合金粒子
9 拡散合金相
10 パーライト相
11 マルテンサイト相
12 ボイド
Claims (5)
- 基地中に、硬質粒子を質量%で5〜20%分散させた鉄基焼結合金製バルブシートであって、前記基地と前記硬質粒子を含むバルブシート全体が、質量%でC:0.40〜1.15%、Si:0.04〜0.8%、Mo:2.28〜17.60%、Ni:0.8〜3.8%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなり、前記基地がFe及び/又はMoの炭化物若しくは複合炭化物の1種又は2種以上を有するマルテンサイト相及びパーライト相を含むことを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
- 請求項1に記載の鉄基焼結合金製バルブシートであって、前記基地の組成が質量%で、C:0.5〜1.2%、Si:0.5%以下、Mo:0.3〜2.0%、Ni:1.0〜4.0%、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
- 請求項1又は2に記載の鉄基焼結合金製バルブシートにおいて、前記硬質粒子が、質量%でMo:40.0〜80.0%、Si:0.4〜2.0%、C:0.1%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなるFe-Mo-Si合金粒子、又は質量%でMo:60.0〜70.0%、C:0.04%以下、並びに残部:Fe及び不可避的不純物からなるFe-Mo合金粒子であることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
- 請求項3に記載の鉄基焼結合金製バルブシートにおいて、前記基地と前記硬質粒子との間に、前記硬質粒子に含有されるMoが前記基地側に拡散した合金拡散相を有することを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
- 請求項4に記載の鉄基焼結合金製バルブシートにおいて、前記合金拡散相のビッカース硬さがHv 350〜800であることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
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