図1は、本発明の実施例による演奏補助システムを構成する各装置のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
演奏補助システム1は、1台のマスター無線通信端末(和音情報発生装置)100に無線通信で接続される1又は複数のスレーブ無線通信端末(演奏補助装置)101と該1又は複数のスレーブ無線通信端末101のそれぞれに有線通信で接続される電子楽器102で構成される。
マスター無線通信端末100は、専用の装置で構成しても良いし、パーソナルコンピュータに本実施例を実現するためのソフトウェアをインストールして構成しても良い。
マスター無線通信端末100のバス6には、RAM7、ROM8、CPU9、検出回路11、表示回路13、記憶装置15、音源・効果回路18、無線通信インターフェイス(I/F)21aが接続される。
RAM7は、再生バッファ等のバッファ領域、フラグ、レジスタ、各種パラメータ等を記憶するCPU9のワーキングエリアを有する。
ROM8には、各種データファイル、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。この場合、プログラム等を重ねて、記憶装置15に記憶する必要は無い。
CPU9は、ROM8又は、記憶装置15に記憶されている制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等に従い、演算又は装置の制御を行う。タイマが、CPU9に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等がCPU9に供給される。
ユーザは、検出回路11に接続されるパネル操作子12を用いて、各種入力及び設定、選択をすることができる。パネル操作子12は、例えば、スイッチ、パッド、フェーダ、スライダ、ロータリーエンコーダ、ジョイスティック、ジョグシャトル、文字入力用キーボード、マウス等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、パネル操作子12は、カーソルスイッチ等の他の操作子を用いて操作する表示装置14上に表示されるソフトスイッチ等でもよい。
表示回路13は、ディスプレイ14に接続され、各種情報をディスプレイ14に表示することができる。ディスプレイ14は、演奏補助システム1の設定のための各種情報等を表示することができる。
記憶装置15は、ハードディスク、FD(フレキシブルディスク又はフロッピーディスク(登録商標))、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多目的ディスク)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等の記憶媒体とその駆動装置の組み合わせの少なくとも1つで構成される。記憶媒体は、着脱可能であってもよいし、内蔵されていてもよい。記憶装置15及び(または)ROM8には、コード進行情報(和音情報)を含む自動演奏データ、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の制御プログラムを記憶することができる。なお、本発明の各実施例を実現するためのプログラムや、その他の制御プログラムを記憶装置15に記憶する場合は、これらをROM8に合わせて記憶する必要はない。また、一部のプログラムのみを記憶装置15に記憶し、その他のプログラムをROM8に記憶するようにしてもよい。
音源・効果回路18は、記憶装置15、ROM8又はRAM7等に記録された自動演奏データ又は無線通信インターフェイス21aに接続された外部機器等から供給される演奏信号、MIDI信号等に応じて楽音信号を生成し、各種音楽的効果を付与して、サウンドシステム19に供給する。サウンドシステム19は、D/A変換器及びスピーカを含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、発音する。
無線通信インターフェイス21aは、無線LANやBluetooth(登録商標)等の汎用近距離無線I/F等の通信インターフェイス及び音楽専用無線通信インターフェイスのうち少なくとも1つで構成され、複数の機器と同時に通信が可能である。
スレーブ無線通信端末101は、専用のハードウェアで構成され、好ましくは演奏者が電子楽器102とあわせて携帯可能なサイズで提供される。例えば、ギターやベース型の電子楽器102のストラップ等に装着可能なサイズとする。スレーブ無線通信端末101のハードウェア構成は上述したマスター無線通信端末100と同様であり、実質的に同一の構成には同一の参照番号を付した。以下、マスター無線通信端末100と異なる点のみを説明する。
マスター無線通信端末100との違いは、スレーブ無線通信端末101では、マスター無線通信端末100との通信に用いられる無線通信インターフェイス21aに加えて電子楽器102との通信に用いられる有線通信インターフェイス21bを有している点にある。
有線通信インターフェイス21bは、USBやIEEE1394等の汎用近距離有線I/F、Ethernet(登録商標)等の汎用ネットワークI/F等の通信インターフェイスのうち少なくとも1つで構成される。
電子楽器102は、例えば、キーボード等の演奏操作子を備えた電子楽器で構成される。電子楽器102のハードウェア構成は上述したマスター無線通信端末100及びスレーブ無線通信端末101と同様であり、実質的に同一の構成には同一の参照番号を付した。以下、マスター無線通信端末100及びスレーブ無線通信端末101と異なる点のみを説明する。
マスター無線通信端末100及びスレーブ無線通信端末101との違いは、電子楽器102では、無線通信インターフェイス21aが省略され、スレーブ無線通信端末101との通信に用いられる有線通信インターフェイス21bのみを有している点にある。また、演奏操作子22を有している。
演奏操作子22は、検出回路11に接続され、ユーザの演奏動作に従い、演奏情報を供給する。演奏操作子22として、弦とピックアップ及びピックアップで発生する電気信号を演奏信号(例えば、MIDI信号)に変換可能な回路の組み合わせとうにより弦楽器型の演奏操作子、鍵盤楽器型の演奏操作子、パッド等の打楽器型の演奏操作子、管楽器型の演奏操作子、その他演奏信号を発生可能な操作子等を用いることができる。なお、演奏操作子22はこれらに限らず、ユーザが演奏情報を入力できるものであればどのようなものでもよい。演奏操作子(鍵盤、パッド等)22は、ユーザの演奏を入力するための操作子であり、ユーザが操作した操作子に対応する音高や打楽器種類で、該ユーザの操作子に対する操作開始タイミング及び終了タイミングをそれぞれキーオン及びキーオフ信号として入力する(ただし、打楽器型の場合はキーオフ信号は入力しない)。さらに、操作強度情報も入力できるようにしても良い。
なお、本実施例では、スレーブ無線通信端末101と電子楽器102とが別体で構成された例を中心に説明するが、スレーブ無線通信端末101と電子楽器102とは一体に構成されていても良い。例えば、電子楽器102がスレーブ無線通信端末を内蔵するように構成しても良い。また、スレーブ無線通信端末101と電子楽器102とが別体で構成されたものと、電子楽器102がスレーブ無線通信端末を内蔵するように構成したものとを混在させて演奏補助システム1を構築するようにしても良い。
図2は、本発明の実施例による演奏補助システム1の機能を表すブロック図である。
マスター無線通信端末100は、和音進行データ記憶部115、和音進行再生部109及び無線送受信部121aを含んで構成される。
スレーブ無線通信端末101は、無線送受信部121a、有線送受信部121b、ノート変換部110、変換特性設定部112を含んで構成され、無線送受信部121aを介してマスター無線通信端末100と接続され、有線送受信部121bを介して電子楽器102と接続される。
電子楽器102は、有線送受信部121b、演奏操作子22、演奏情報発生部111、楽音生成部118を含んで構成される。なお、後に図4を参照して説明するように、演奏補助機能がONとなっている時は、演奏情報発生部111で発生したノート情報が直接、楽音生成部118に供給されないように自動的にローカルオフされる。また、ユーザが予め手動でローカルオフしてもよい。
和音進行データ記憶部115は、例えば、図1の記憶装置15で構成され、複数の楽曲分の和音進行データを記憶し、ユーザの選択した和音進行データを和音進行再生部109に供給する。和音進行データは、楽曲の進行に沿って和音進行のみを記憶した自動演奏データであっても良いし、メロディやその他のパートの自動演奏データやオーディオデータなどをあわせて記憶した自動演奏データであっても良い。
自動演奏データが、メロディやその他のパートの自動演奏データやオーディオデータなどを含む場合は、当該メロディやその他のパートの自動演奏データやオーディオデータは、マスター無線通信端末100において再生しても良いし、各電子楽器102にスレーブ無線通信端末101を介して送信し、当該各電子楽器102にて再生するようにしても良い。
なお、和音進行は、タイミングデータと、当該タイミングにおける和音を表す和音情報とで構成される。タイミングデータは、例えば、所定音符長を所定数(分解能)で割ったTick(Clockともいう)で表されるデータであり、一例として、四分音符を1920で割ったものとする。なお、この場合は、「分解能=1920」といい、1920Tickで四分音符1つ分の長さに相当する。なお、Tickは、四分音符を分解能で割ったものなので、Tickの時間的長さは、テンポによって変化する。タイミングデータは、曲(和音進行データ)の先頭等の所定位置からの絶対タイミング(Tick数)で表してもよいし、1つ前のタイミングからの相対タイミング(Tick数)で表してもよい。
なお、コード進行データは、予め記憶されているものに限らず、通信ネットワークを介して、取得されるものであってもよい。例えば、インターネット等のネットワークにおける演奏データ配信サービスから擬似ストリーミング(MIDIデータ等を一度にダウンロードして再生終了後自動的に消去するダウンロード手法)等によって、ダウンロードしてもよい。この場合、コード進行データは、図1の記憶装置15に記憶されるとともに、再生時には、RAM7等の再生バッファに記憶される。擬似ストリーミング等により一時的にダウンロードされたコード進行データは、RAM7等の再生バッファに記憶され、再生終了後に、消去される。
和音進行再生部109は、和音進行データ記憶部115から供給される和音進行データをクロックに従い再生し、現在タイミングにおける和音情報を無線送信部121aに供給する。なお、和音進行データがメロディ等の自動演奏データやオーディオデータを含む場合は、当該自動演奏データやオーディオデータをあわせて供給するようにしても良い。
マスター無線通信端末100の無線送信部121aは、スレーブ無線通信端末101の無線送信部121aと、無線通信で接続される。ここで用いられる無線通信は、例えば、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャスト通信のいずれかである。
ノート変換部110は、マスター無線通信端末100から供給される和音情報に基づき、電子楽器102から供給されるノート情報を変換する。なお、ノート変換処理の詳細は、特開2004−206073号公報の「発明を実施するための最良の形態」の項(特に、段落[0052]〜[0086])、特開2006−243102号公報の「発明を実施するための最良の形態」の項を参照する。例えば、和音情報として供給される和音のそれぞれにつき、入力されるノート情報の音高と当該音高のノート情報が変換されるべき和音構成音とを関連付けて記録した変換テーブルを予め用意し、当該変換テーブルに基づきノート情報を和音情報に適合する音高のノート情報に変換する。この変換モードを本明細書では、パフォーマンスアシスト(PAT)モードと呼ぶ。ここで、和音情報に適合する音高とは、音楽的に適合する音高であり、例えば、和音の構成音と同一音高等である。なお、ノート変換は演奏パート(又は音色)ごとに異なるアルゴリズム又は変換テーブルにより変換される。
また、和音進行データがメロディ等の自動演奏データを含み、当該自動演奏データがあわせて供給された場合は、演奏者が演奏操作子22を用いて入力する音高を全てメロディ等の自動演奏データの音高に変換するメロディアシスト(MAT)モードを選択できるようにしても良い。
変換特性設定部112は、ノート変換部112の変換特性を設定する。ここでノート変換部112の変換特性とは、上述したような、ノート変換モード(PAT、MAT)の選択、ノート変換(又は無線通信)のON・OFF、演奏パート(又は音色)の変更(すなわち、ノート変換アルゴリズムや変換テーブルの変更に相当する)等である。電子楽器102側に有線接続されるスレーブ無線通信端末101が変換特性設定部112を有することにより、演奏者は、マスター無線通信端末100に近づかなくても、手元で変換特性を設定することができる。また、選曲操作、楽曲の再生開始及び停止指示を行えるようにしても良い。
スレーブ無線通信端末101の有線送受信部121bは、電子楽器102の有線送受信部121bとケーブル等を介して有線接続され、電子楽器102から演奏操作に基づくノート情報を受信するとともに、ノート変換部110により変換されたノート情報を送信する。なお、ノート変換機能がOFFとなっている場合は、送信されるノート情報は電子楽器102から受信したものと同じものである。また、後述するように電子楽器102に対してローカルオフコマンド/ローカルオンコマンドを送信する。
なお、図中一点鎖線の矢印で示すように、変換特性設定部112で演奏パート(又は音色)の設定変更を行った場合には、選択された演奏パートで使用すべき音色又は選択された音色に変更するためのコマンド(例えば、MIDI規格におけるプログラムチェンジ)を有線送受信部121bを介して電子楽器102に送信するようにしてもよい。
演奏情報発生部111は、演奏操作子22から入力される演奏信号に基づきノート情報(ノートナンバ(音高)情報、ベロシティ情報を含むノートンイベント又はノートオフイベント)を生成し、生成したノート情報を有線送受信部121bを介してスレーブ無線通信端末101に送信する。なお、ローカルオンに設定されている場合は、生成したノート情報は楽音生成部118に供給され、ローカルオフに設定されている場合は、生成したノート情報は楽音生成部118には供給されない。
楽音生成部118は、例えば、図1の音源・効果回路18で構成され、有線送受信部121bが受信したノート情報又は演奏情報発生部111で生成したノート情報に基づき楽音情報を生成する。
図3は、本発明の実施例によるマスター無線通信端末100のCPU9で実行される和音進行再生処理を表すフローチャートである。この処理は、ユーザの指示により起動する。なお、スレーブ無線通信端末101との無線通信は別の処理(図示しない)により、予め確立されているものとする。
ステップSA1で和音進行再生処理を開始し、ステップSA2では、ユーザによる選曲操作を受け付けて、選択されたコード進行データ(自動演奏データ)を例えば、和音進行データ記憶部115(記憶装置15)から、RAM7内の再生バッファに読み出す。なお、ユーザによる選曲操作は、例えば、図1のマスター無線通信端末100又はスレーブ無線通信端末101の設定操作子12を用いて行う。
ステップSA3では、ステップSA2で選択されたコード進行データ(自動演奏データ)について、ユーザによる再生開始指示を検出したか否かを判断する。ユーザによる再生開始操作は、例えば、図1のマスター無線通信端末100又はスレーブ無線通信端末101の設定操作子12を用いて行う。再生開始指示を検出した場合は、YESの矢印で示すステップSA4に進み、検出しない場合は、NOの矢印で示すステップSA8に進む。
ステップSA4では、楽曲の進行にしたがって、コード進行データ(自動演奏データ)の和音情報(イベント)を再生バッファから読み出す。すなわち、現在のタイミングで再生すべき和音情報等のイベントがあれば、当該イベントを再生バッファから読み出す。
ステップSA5では、ステップSA4で読み出した和音情報(イベント)を、無線送信部121a(無線通信I/F21a)に供給し、和音情報パケットとして、スレーブ無線通信端末101に送信する。和音情報パケットは、スレーブ無線通信端末101が受け取ったか否かに関わらず、随時送信される。
スレーブ無線通信端末101側では、無線配信された和音情報パケットを受信した時、マルチキャストパケットの場合は、予めスレーブ無線通信端末101に設定されているマルチキャストアドレスと一致していたらそのパケットを取り込み、不一致であればそのパケットを捨てる。ブロードキャストパケットの場合は、常にパケットを取り込む。いずれの場合も、正常に取り込めた旨のマスター無線通信端末100への通知は行わない。これに対して、ユニキャストパケットの場合は、自身宛のパケットのみを取り込み、正常に取り込めた旨のマスター無線通信端末100への通知を行う。
ステップSA6では、ユーザによる再生終了指示を検出したか又は楽曲末尾に到達したか否かを判断する。ユーザによる再生終了操作は、例えば、図1のマスター無線通信端末100又はスレーブ無線通信端末101の設定操作子12を用いて行う。再生終了指示を検出した場合は、YESの矢印で示すステップSA7に進み、検出しない場合は、NOの矢印で示すステップSA4に戻る。
ステップSA7では、無線送信部121a(無線通信I/F21a)を介して、コードキャンセルをスレーブ無線通信端末101に送信する。その後、ステップSA8に進み、和音進行再生処理を終了する。
図4は、本発明の実施例によるスレーブ無線通信端末101のCPU9で実行される演奏補助処理を表すフローチャートである。
ステップSB1で、演奏補助処理を開始して、ステップSB2で初期化処理を行う。この初期化処理では、現在の和音情報を初期化(コードキャンセル)する。
ステップSB3では、現在無線通信中か否かを判断する。この判断は、マスター無線通信端末100と無線送受信部121a(無線通信I/F21a)を介した無線通信が確立しているか否かで行う。無線通信中の場合は、YESの矢印で示すステップSB5に進み、無線通信中でない場合は、NOの矢印で示すステップSB4に進む。
ステップSB4では、ユーザの指示に応じてマスター無線通信端末100と無線送受信部121a(無線通信I/F21a)を介した無線通信を確立する。この際、マスター無線通信端末100における接続認証が必要であれば、パスワード等の入力を受け付ける。無線通信の確立は周知の例による。無線通信の確立後、ステップSB5に進む。
ステップSB5では、ユーザの指示に応じて、ノート変換部112(図2)の変換特性を設定する。ここでノート変換部112の変換特性とは、上述したような、ノート変換モード(PAT、MAT)の選択、ノート変換(又は無線通信)のON・OFF、演奏パート(又は音色)の変更等である。また、選曲操作、楽曲の再生開始及び停止指示を行えるようにしても良い。
ステップSB6では、演奏補助機能がオフの状態であり、マスター無線通信端末100から無線送信された和音情報を受信開始したか否かを判断する。演奏補助機能がオフであり、和音情報を受信開始した場合は、YESの矢印で示すステップSB7に進み、それ以外の場合は、NOの矢印で示すステップSB9に進む。
ステップSB7では、ノート変換部112(図2)の演奏補助機能をオンにし、ステップSB8では、有線送受信部121b(有線通信I/F21b)を介して、電子楽器102にローカルオフコマンドを送信する。電子楽器102では、ローカルオフコマンドを受信すると、演奏情報発生部111で生成したノート情報を楽音生成部118に直接供給しなくなる。
このように、和音情報の受信開始とともに、電子楽器102にローカルオフコマンドを自動的に送信することにより、変換前の(演奏操作子22の演奏に基づく)ノート情報と、ノート変換部110により変換されたノート情報とが、混ざって出力されることを防止することができる。
ステップSB9では、マスター無線通信端末100から無線送信された和音情報(又はその他のイベント)を受信したか否かを判断する。受信した場合は、YESの矢印で示すステップSB10に進み、当該受信した和音情報(又はその他のイベント)をノート変換部112へ供給し、ステップSB11に進む。受信しない場合は、NOの矢印で示すステップSB11に進む。なお、図3のステップSA7でマスター無線通信端末100から無線送信されたコードキャンセルを受信した場合も、ノート変換部112へ供給する。コードキャンセルをノート変換部112へ供給すると、ノート変換部112では、電子楽器102から受信したノート情報を変換せず、そのまま返送するようになる。
ステップSB11では、電子楽器102から有線送信されたノート情報を受信したか否かを判断する。受信した場合は、YESの矢印で示すステップSB12に進む。受信しない場合は、NOの矢印で示すステップSB13に進む。
ステップSB12では、ステップSB5でユーザの操作により設定された変換特性に基づき、ノート変換処理を行う。ノート変換処理は、例えば、図2のノート変換部110で行われ、主に、マスター無線通信端末100から供給される和音情報に基づき、電子楽器102から供給されるノート情報を変換する。なお、和音情報以外にメロディ等の自動演奏データが供給されている場合には、当該メロディ等の自動演奏データに基づき、ノート情報を変換することもできる。
ステップSB13では、マスター無線通信端末100との無線通信が途絶したか否かを判断する。ここでは、ユーザの操作による無線通信の途絶及びユーザの操作以外の何らかのトラブルによる無線通信の途絶の双方を含むものとする。無線通信が途絶した場合は、YESの矢印で示すステップSB14に進む。途絶していない場合は、NO矢印で示すステップSB17に進む。なお、和音情報の受信が一定期間(例えば、1分)以上途絶えた場合も、無線通信が遮断されたものと扱うようにしてもよい。
ステップSB14で、無線通信を解除し、ステップSB15では電子楽器102にローカルオンコマンドを送信する。ここで、ローカルオンコマンドを送信することにより、電子楽器102では、演奏情報発生部111で生成したノート情報を楽音生成部118に直接供給するようになる。その後、ステップSB16で、ノート変換部112の演奏補助機能をオフにする。
ステップSB17では、ユーザによる演奏補助処理の終了指示を検出する。終了指示の検出があった場合は、YESの矢印で示すステップSB18に進み、演奏補助処理を終了する。それ以外の場合はNOの矢印で示すステップSB3に戻り、以降の処理を繰り返す。
図5は、図4のステップSB12で実行されるノート変換処理を表すフローチャートである。
ステップSC1で、ノート変換処理を開始し、ステップSC2では、演奏補助機能がオンになっているか否かを判断する。オンになっている場合は、YESの矢印で示すステップSC3に進み、オフになっている場合は、NOの矢印で示すステップSC5に進む。なお、演奏補助機能は、基本的には、図4のステップSB7で自動的にオンに設定され、ステップSB16でオフに設定されるが、ステップSB5でユーザが手動でオンオフの設定が可能である。
ステップSC3では、ステップSB11で受信したノート情報の音高を図2のノート変換部110で変換する。ただし、コードキャンセルが供給された時は、音高変換は行わない。また、ドラムパートについては、音高変換以外の所定の演奏補助処理を行う。
ステップSC4では、ステップSC3で変換した(あるいは変換されなかった)ノート情報を電子楽器102に有線通信で送信する。その後、ステップSC6に進みノート変換処理を終了して図3のステップSB13に進む。
ステップSC5では、ステップSB11で受信したノート情報をノート変換せずに電子楽器102に有線通信で送信する。その後、ステップSC6に進みノート変換処理を終了して図3のステップSB13に進む。
以上、本発明の実施例によれば、マスター無線通信端末(和音情報発生装置)100とスレーブ無線通信端末(演奏補助装置)101とを無線通信で接続し、スレーブ無線通信端末(演奏補助装置)101と電子楽器102とを有線通信で接続するので、マスター無線通信端末100へのケーブルの抜き差しの必要が無く、これに伴う作業の手間隙を無くすことができるとともに、他のスレーブ無線通信端末101のケーブルを間違って抜くことを防止できる。また、無線通信が可能な距離の範囲内では、演奏者が自由に動き回ることができる。
さらに、電子楽器102(に有線接続された)スレーブ無線通信端末101側で変換特性を設定できるので、演奏途中であっても、手元で変換特性を設定することができる。
また、マスター無線通信端末(和音情報発生装置)100とスレーブ無線通信端末(演奏補助装置)101とを無線通信で接続すると、自動的に演奏補助機能が有効となる。したがって、演奏者は、演奏補助機能のオンオフを自分で確認する必要がない。
また、マスター無線通信端末(和音情報発生装置)100とスレーブ無線通信端末(演奏補助装置)101とを無線通信で接続後、和音情報の供給が始まると、自動的に演奏補助機能が有効となるとともに、ローカルオフコマンドを電子楽器102に自動的に送信するので、演奏操作子22からの演奏情報は直接には楽音生成部118に供給されなくなるので、元々の音高と変換後の音高が混ざり合うことを防止できる。また、無線通信の切断時や演奏補助機能がオフの時には、ローカルオンコマンドが電子楽器102に自動的に送信されるので、自由に演奏を楽しむことができる。なお、演奏補助機能のオンとローカルオフコマンドの送信は無線通信を確立した時点で行っても良い。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。以下に、本発明の実施例に変形例を示す。
図6は、本発明の実施例の第1の変形例による演奏補助システムの機能を表すブロック図である。図中、図2と同一の参照番号を付した部材は同一の構成を有しているので、その説明は省略する。
第1の変形例では、和音進行データ記憶部115が記憶する和音進行データが電子楽器102を操作すべきタイミングを示す操作タイミング情報を含んでいる。操作タイミング情報には、どの楽器パート用の操作タイミング情報かを示す識別情報が付与されている。
この第1の変形例では、スレーブ無線通信端末103は、上述の実施例のスレーブ無線通信端末101の構成に加えて操作タイミングフィルタ部116及び操作タイミング表示部114を有している。なお、図に示すように、それぞれ1又は複数のスレーブ無線通信端末101とスレーブ無線通信端末103とを混在させることが可能である。
操作タイミング情報は、和音情報とともに無線送受信部121aにより同報(ブロードキャスト又はマルチキャスト)送信され、各スレーブ無線通信端末103では、接続されている電子楽器102に対応した(電子楽器102で演奏される演奏パートを示す識別子が付与された)操作タイミング情報のみを操作タイミングフィルタ部116でフィルタリングして、操作タイミング表示部114に表示する。なお、この場合、スレーブ無線通信端末103は、有線接続されている電子楽器102の種類を自動判別するようにしてもよいし、変換特性設定部112で演奏パートや音色を指定することにより、接続されている電子楽器102の演奏パートを特定するようにしてもよい。
操作タイミング表示部114は、操作タイミングにおいてあるいは所定時間先行して表示器等を点灯させることにより、操作タイミングを表示する。なお、これ以外にも、例えば、所定区間(例えば、2小節)分の操作タイミングを一度に表示し、その上で現在タイミングを移動させていく、又はタイミング表示をスクロールするなどの表示手法を用いても良い。
なお、操作タイミングは、ブロードキャストに限らず、各スレーブ無線通信端末103に個別にユニキャストで送信するようにしても良い。
図7は、本発明の実施例の第2の変形例による演奏補助システムの機能を表すブロック図である。図中、図2と同一の参照番号を付した部材は同一の構成を有しているので、その説明は省略する。
第2の変形例では、スレーブ無線通信端末104は、上述の実施例のスレーブ無線通信端末101の構成におけるノート変換部110に代えてノート変換部110bを有している。なお、図に示すように、それぞれ1又は複数のスレーブ無線通信端末101、103、104を混在させることが可能である。
ノート変換部110bは、変換したノート情報を無線送受信部121aに対しても供給する。無線送受信部121aは、変換後のノート情報をマスター無線通信端末100に送信する。マスター無線通信端末100は、受信した変換後のノート情報を、例えば、ロボット106に送信する。
ロボット106は、例えば、人型やペット型のロボットであり、受信した変換後のノート情報にあわせて踊りを踊るなどの運動をする。音楽に合わせてロボットを躍らせる技術は、例えば、特開2002−307350に開示されているような、周知技術を利用する。
なお、変換後のノート情報は、マスター無線通信端末100を介さずに、スレーブ無線通信端末104からロボット106に直接無線送信するようにしても良い。