JP5532476B2 - 塗装システム - Google Patents

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Description

本発明は塗装システムに関し、詳しくは、被塗物である自動車ボディを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、この搬送機移動手段による搬送機の移動により自動車ボディを搬送するのに伴い、搬送自動車ボディが通過過程にある処理部において、その通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムに関する。
従来、この種の塗装システムでは、複数のハンガ式搬送機や台車式搬送機を前処理工程部や塗装工程部における複数の処理部にわたって所定の一定間隔で移動させるコンベア装置を設け、このコンベア装置により移動させるハンガ式搬送機や台車式搬送機に被塗物である自動車ボディを吊り下げ保持又は載置保持することで、それら自動車ボディを各処理部に順次搬送して、それら処理部で通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施すようにしていた(特許文献1参照、特に段落0008〜段落0010及び図1〜図3)。
特開平6−228794号公報
しかし、上記の如き従来の塗装システムでは、各処理部において搬送自動車ボディの夫々をそれらの移動経路や移動速度が一定の同一の移動形態(換言すれば、同一の移動パターン)でしか移動させることができない為、多品種少量生産などのためにボディ種の異なる自動車ボディを混在させた状態でそれら自動車ボディを各処理部に順次搬送して処理する場合、各処理部において各ボディ種に応じた適切な処理を行なうことができず、これが原因で、自動車ボディの処理品質や処理能率(ひいては最終製品としての塗装自動車ボディの塗装品質や生産能率)が低く制限される、あるいはまた、種々の搬送トラブルや処理トラブルを招き易い問題があった。
また、この問題に対し各処理部の処理区間長さを大きくして処理能力を高めることで処理品質や処理能率を高く確保する、あるいはまた、各処理部における処理装置側の動作によりボディ種の異なりに対応するなどのことも考えられるが、各処理部の処理区間長さを大きくすると塗装システムおける塗装設備構成が大型化する問題が生じ、一方、処理装置側の動作によりボディ種の異なりに対応するようにすると各処理部に装備する種々の処理装置が複雑化することで塗装システム全体が複雑化する問題が生じる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、自動車ボディを各処理部に搬送して処理するのに合理的な搬送形態及び処理形態を採ることで、塗装システムの運転管理を容易にしながら上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
本発明の第1特徴構成は塗装システムに係り、その特徴は、
被塗物である自動車ボディを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、
この搬送機移動手段による前記搬送機の移動により自動車ボディを搬送するのに伴い、搬送自動車ボディが通過過程にある前記処理部において、その通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムであって、
前記搬送機移動手段を前記搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な構成にするとともに、
前記搬送機が保持する自動車ボディをその搬送機に対して移動動作させるボディ動作手段を前記搬送機の夫々に装備し、
複数の前記搬送機を統括する制御手段として、
複数の前記処理部にわたらせて順次に移動させる前記搬送機夫々の移動位置の情報と、各搬送機が保持する搬送自動車ボディのボディ種の情報とに基づき、前記搬送機移動手段と各搬送機に装備した前記ボディ動作手段とを制御することで、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記処理部ごと及び前記ボディ種ごとに設定されている合成移動パターンで移動動作させる統括制御手段を設け
複数の前記処理部のうち少なくとも1つの処理部が、前記搬送機に保持された搬送自動車ボディを処理槽内の処理液に浸漬させる浸漬式の処理部であり、
この浸漬式処理部に前記搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを下降させて前記処理槽内の処理液に浸漬させる入槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記処理槽内の処理液中で進行移動させる槽内進行工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを上昇させて前記処理槽内の処理液から引き上げる出槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを浸漬式処理部から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送自動車ボディのボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある点にある。
つまり、この構成によれば、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを各処理部において処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンで移動動作させるから、その処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターン(即ち、搬送機の移動と搬送自動車ボディの搬送機に対する移動動作との合成によりなる移動パターン)の設定により、各処理部において、搬送機が保持する搬送自動車ボディを基本的には各処理部での処理に適した移動形態(即ち、処理部ごとの基本的な移動形態)で移動させながら、個別的にボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態(略言すれば、上記処理部ごとの基本的な移動形態をボディ種に応じて微調整した移動形態)を採って、各搬送機が保持する搬送自動車ボディをボディ種に応じ適切に処理することができる。
従って、先述した従来の塗装システムに比べ、ボディ種の混在にかかわらず各処理部での処理品質や処理能率を効果的に向上させることができ、また、ボディ種の混在に原因する搬送トラブルや処理トラブルなども効果的に回避することができる。
また、このように処理品質や処理能率を効果的に向上し得ることで各処理部の処理区間長さを短くして塗装システムにおける塗装設備構成を小型化することも可能になり、さらに、各搬送機が保持する搬送自動車ボディの方をボディ種に応じた移動形態で移動動作させるから、各処理部における処理装置側の動作によりボディ種の異なりに対応するのに比べ塗装システムの複雑化も効果的に回避することができる。
そしてまた、この構成によれば、複数の搬送機を制御上で統括する統括制御手段に対して処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンを設定するだけでよいから、例えば、各搬送機に搭載した個別制御手段の各々に対して処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンを直接に設定する方式に比べ、塗装システムの運転管理を容易にすることができる。
また、処理部ごと及びボディ種ごとに設定された合成移動パターンをチェックして、先行搬送自動車ボディと後続搬送自動車ボディとの干渉などの搬送トラブルを予測する機能や、その予測結果に基づき搬送トラブルを自動的に回避する機能などを統括制御手段に備えさせて、塗装システムの運転管理を一層容易化することも簡単に行うことができる。
なお、この構成の実施において各搬送機の移動位置情報を取得するには、搬送機の移動経路に沿って並置した搬送機検出センサの検出情報に基づき得る方式や、各搬送機の移動距離を計測する計測手段の計測情報に基づき得る方式、あるいは、監視カメラの撮像情報に基づき得る方式など、種々の方式を採用することができる。
また、ボディ種情報の取得についても、搬送機に自動車ボディを保持させる段階ないしはその近傍段階でのボディ形状の検出や各自動車ボディに付けたタグの読み取りなどにより得る方式、あるいは、塗装システムの生産管理装置から生産計画情報の一部として得る方式など、種々の方式を採用することができる。
搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な状態で各搬送機を複数の処理部にわたらせて移動させる搬送機移動手段については、自走速度の調整が可能な自走手段を搬送機移動手段としてボディ動作手段とともに各搬送機に装備する方式、あるいは、搬送機送り速度の調整が可能な搬送機送り出し手段を搬送機移動手段として搬送機の移動経路に沿って並置する方式など、種々の方式や構造の搬送機移動手段を採用することができる。
合成移動パターンのパターン構成要素のうち搬送機移動手段が関与するパターン構成要素としては、搬送機の移動速度の変更、前後進切り換え、一時停止、あるいは、反復的な前後進切り換えなど、搬送機移動手段が実行可能なものであれば種々のパターン構成要素を採用することができる。
また、合成移動パターンのパターン構成要素のうち各搬送機のボディ動作手段が関与するパターン構成要素としては、自動車ボディの昇降、傾動、揺動、横移動など、これもボディ動作手段が実行可能なものであれば種々のパターン構成要素を採用することができる。
そしてまた、各搬送機に装備するボディ動作手段も種々の方式や構造のものを採用することができる。
処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンを統括制御手段に設定するには、実験や演算あるいは各処理部の試験運転やシミュレート手段による各処理部での処理のシミュレートなどにより、処理部ごと及びボディ種ごとの最適な合成移動パターンを選択して、それら選択した最適合成移動パターンを統括制御手段に設定するようにすればよい。
また、この際、所定の選択基準で最適合成移動パターンを自動的に選択する機能を上記シミュレート手段に備えさせたり、選択した最適合成移動パターンを統括制御手段に対して自動的に設定する機能を上記シミュレート手段又は統括制御手段自身に備えさせるようにすれば、塗装システムの運転管理を更に容易にすることができる。
統括制御手段と各搬送機との間での通信については、搬送機の移動経路に沿って延設ないし並設した通信端子を通じて統括制御手段からの制御指令信号を各搬送機が受信する方式や各種の無線通信方式など、種々の通信方式を採用することができる。
自動車ボディはボディ前部(フロント部)を搬送方向の下手側に向けて搬送する搬送形態、あるいは、ボディ後部(リア部)を搬送方向の下手側に向けて搬送する搬送形態を採ることができる。
あるいは、それらを取り混ぜた形態など、種々の搬送形態を採ることができる。
また、本書において後述する「前下がり(=後上がり)」とは自動車ボディにおける搬送方向の下手側が低位となる傾斜状態を言い、「後下がり(=前上がり)」とは自動車ボディにおける搬送方向の上手側が低位となる傾斜状態を言う。
さらに、第1特徴構成で、複数の前記処理部のうち少なくとも1つの処理部が、前記搬送機に保持された搬送自動車ボディを処理槽内の処理液に浸漬させる浸漬式の処理部であり、この浸漬式処理部に前記搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを下降させて前記処理槽内の処理液に浸漬させる入槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記処理槽内の処理液中で進行移動させる槽内進行工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを上昇させて前記処理槽内の処理液から引き上げる出槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを浸漬式処理部から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送自動車ボディのボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してあるから、次の作用効果も奏する。
つまり、この構成では、浸漬式処理部に搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンとして統括制御手段に設定したボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度パターンと移動姿勢変化パターンで、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを上記の入槽工程と槽内進行工程と出槽工程と搬出工程とにわたって移動動作させる。
ここで、設定移動経路変化パターンは、基本的には搬送機が保持する搬送自動車ボディを前下がりの移動経路で処理槽に入槽させ、また、前上がりの移動経路で処理槽から出槽させるものである。
そして、設定移動速度変化パターンは、基本的には搬送機が保持する自動車ボディを入出槽や液中進行に適した速度で移動させるものである。
た、設定移動姿勢変化パターンは、基本的には搬送機が保持する搬送自動車ボディを適当な前下がり傾斜姿勢で処理槽に入槽させ、また、適当な前上がり傾斜姿勢で処理槽から出槽させるものである。
従って、これらボディ種ごとの3つの変化パターンの設定により、浸漬式処理部において、搬送機が保持する搬送自動車ボディを基本的には処理液への浸漬処理に適した移動形態で移動させながら、個別的にボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態(例えば、入出槽時におけるボディ移動経路の傾斜角度やボディ移動姿勢の傾斜角度あるいは入出槽時や液中進行時におけるボディ移動速度などをボディ種に応じて異ならせた移動形態)を採って、各搬送機が保持する搬送自動車ボディにボディ種に応じた適切な浸漬処理を施すことができる。
その結果、例えば、ボディ種によっては入槽時に搬送自動車ボディに大きな浮力が生じて搬送自動車ボディが搬送機から離脱してしまうことや、入槽時に搬送自動車ボディの局部に噛み込んだ気泡が抜け出ないことに原因して処理不良を生じること、あるいは、入槽時や液中進行時の移動速度が不適切となって処理ムラが生じることや、出槽時に大量の処理液が搬送自動車ボディとともに持ち出されること、さらに、その持ち出し処理液が搬送自動車ボディの袋構造部などからその後も容易に排除されないことなど、浸漬処理においてボディ種により生じる種々の不都合を効果的に回避することができる。
また、ボディ種に応じた合理的な入出槽形態を採り得ることで浸漬式処理部での処理品質及び処理能率を高く維持しながら処理槽を小型化することもできる。
なお、この構成の実施においては、入槽工程と槽内進行工程と出槽工程と搬出工程との各工程における搬送自動車ボディの移動経路を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定経路に保つ移動経路変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動経路を変更する移動経路変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動経路を各工程途中でも変化させる移動経路変化パターンを設定してもよい。
また、入槽工程と槽内進行工程と出槽工程と搬出工程の各工程における搬送自動車ボディの移動速度を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定速度に保つ移動速度変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動速度を変更する移動速度変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動速度を各工程途中でも変化させる移動速度変化パターンを設定してもよい。
また同様に、入槽工程と槽内進行工程と出槽工程と搬出工程の各工程における搬送自動車ボディの移動姿勢を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定姿勢に保つ移動姿勢変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動姿勢を変更する移動姿勢変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動姿勢を各工程途中でも変化(場合によっては反復変化)させる移動姿勢変化パターンを設定してもよい。
本発明の第特徴構成は、第特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記浸漬式処理部について設定するボディ種ごとの前記移動経路変化パターンと前記移動姿勢変化パターンとして、
前記槽内進行工程において前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを水平移動経路で、かつ、ボディ種ごとの前下がり傾斜姿勢又は前上がり傾斜姿勢で液中進行させる移動経路変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある点にある。
つまり、搬送自動車ボディを処理槽内の処理液に浸漬させた状態で進行移動させることにおいて、搬送自動車ボディの移動姿勢を調整すれば、処理槽内における搬送自動車ボディ周りの処理液の通過断面積を調整することができ、この通過断面積の調整により搬送自動車ボディ周りでの搬送自動車ボディに対する処理液の相対速度を調整することができる。
従って、上記の如く、搬送自動車ボディを水平移動経路で、かつ、ボディ種ごとの前下がり傾斜姿勢又は前上がり傾斜姿勢で液中進行させるように、槽内進行工程における移動経路変化パターン及び移動姿勢変化パターンを設定すれば、搬送自動車ボディを単に水平移動経路でかつ水平移動姿勢で液中進行させる(換言すれば、移動経路に沿う移動姿勢で液中進行させる)のに比べ、搬送自動車ボディに対する処理液の相対速度をボディ種の異なりにかかわらず効果的に高めることができる。
そして、このように搬送自動車ボディに対する処理液の相対速度を高め得ることで、搬送自動車ボディの表面への異物付着を効果的に防止する、あるいはまた、搬送自動車ボディの表面近傍から気泡や発生熱を効果的に排除するなどのことが可能になり、これにより、浸漬式処理部での浸漬処理において一層高い処理品質をボディ種によらず得ることができ、また、そのことで浸漬式処理部の処理区間長さを一層短くすることもできる。
なお、この構成の実施において処理槽は、処理液を搬送自動車ボディの進行方向と逆向きに流動させる槽に限られるものではなく、処理液を処理槽内で循環流動させる槽、あるいは、処理液を滞留状態で貯留する槽など、どのような形式のものであってもよい。
本発明の第特徴構成は塗装システムに係り、その特徴は、
被塗物である自動車ボディを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、
この搬送機移動手段による前記搬送機の移動により自動車ボディを搬送するのに伴い、搬送自動車ボディが通過過程にある前記処理部において、その通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムであって、
前記搬送機移動手段を前記搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な構成にするとともに、
前記搬送機が保持する自動車ボディをその搬送機に対して移動動作させるボディ動作手段を前記搬送機の夫々に装備し、
複数の前記搬送機を統括する制御手段として、
複数の前記処理部にわたらせて順次に移動させる前記搬送機夫々の移動位置の情報と、各搬送機が保持する搬送自動車ボディのボディ種の情報とに基づき、前記搬送機移動手段と各搬送機に装備した前記ボディ動作手段とを制御することで、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記処理部ごと及び前記ボディ種ごとに設定されている合成移動パターンで移動動作させる統括制御手段を設け、
複数の前記処理部のうち少なくとも1つの処理部が、前記搬送機に保持された搬送自動車ボディに対して噴出手段による噴出流体を吹き付ける吹付式の処理部であり、
この吹付式処理部に前記搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記噴出手段による噴出流体の吹付処理域に搬入する搬入工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記吹付処理域内で進行移動させる域内進行工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記吹付処理域から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送自動車ボディのボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある点にある。
つまり、この構成では、吹付式処理部に搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンとして統括制御手段に設定したボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度パターンと移動姿勢変化パターンで、搬送機が保持する搬送自動車ボディを上記の搬入工程と域内進行工程と搬出工程とにわたって移動動作させる。
従って、これらボディ種ごとの3つの変化パターンの設定により、吹付式処理部において、搬送機が保持する搬送自動車ボディを基本的には噴出手段による噴出流体の吹き付け処理に適した移動形態で移動させながら、個別的にボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態(例えば、吹き付け処理時のボディ移動経路の高さやボディ移動姿勢の傾斜角度あるいはボディ移動速度をボディ種に応じて異ならせた移動形態)を採って、各搬送機が保持する搬送自動車ボディにボディ種に応じた適切な吹き付け処理を施すことができる。
その結果、例えば、ボディ種によっては噴出流体の吹き付け形態が不適切になって処理ムラや処理不足が生じること、あるいは、吹き付け液が搬送自動車ボディの袋構造部などに大量に残留した状態で搬送自動車ボディが吹付処理域から搬出されることや、その残留液が搬送自動車ボディの袋構造部などからその後も容易に排除されないことなど、吹き付け処理においてボディ種により生じる種々の不都合を効果的に回避することができる。
また、ボディ種の異なりに対して処理装置側である噴出手段の側の動作で対応するのに比べ噴出手段を簡略化することもでき、さらに、ボディ種に応じた合理的な吹き付け処理形態を採り得ることで、吹付式処理部での処理品質及び処理能率を高く維持しながら吹付式処理部の処理区間長さを短くすることもできる。
なお、この構成の実施においては、搬入工程と域内進行工程と搬出工程との各工程における搬送自動車ボディの移動経路を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定移動経路に保つ移動経路変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動経路を変更する移動経路変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動経路を各工程途中でも高さ変化や角度変化させる移動経路変化パターンを設定してもよい。
また、搬入工程と域内進行工程と搬出工程との各工程における搬送自動車ボディの移動速度を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定速度に保つ移動速度変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動速度を変更する移動速度変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動速度を各工程途中でも変化させる移動速度変化パターンを設定してもよい。
また同様に、搬入工程と域内進行工程と搬送工程との各工程における搬送自動車ボディの移動姿勢を各工程中においてボディ種ごと及び工程ごとの一定姿勢に保つ移動姿勢変化パターン(逆言すれば、工程間でのみ移動姿勢を変更する移動姿勢変化パターン)を設定するのに限らず、各工程におけるボディ種ごとの自動車ボディ移動姿勢を各工程途中でも変化(場合によっては反復変化)させる移動姿勢変化パターンを設定にしてもよい。
本発明の第特徴構成は、第特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記吹付式処理部について設定するボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとして、
前記吹付処理域における搬送自動車ボディの進行移動に対して前記噴出手段とその噴出手段による噴出流体が吹き付けられる搬送自動車ボディ上の被吹付部との距離を一定に保つ、又は、前記噴出手段による噴出流体が搬送自動車ボディ上の特定の被吹付部に対して他部よりも時間的に長く吹き付けられる移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある点にある。
つまり、先述した従来の塗装システムでは、噴出流体を搬送自動車ボディに吹き付ける吹付式処理部(例えば、洗浄水を吹き付ける水洗部、水切用や予乾燥用の空気を吹き付ける水切り部や予乾燥部など)において、自動車ボディの形状により、吹付処理域における搬送自動車ボディの域内進行に伴い、噴出手段とその噴出手段による噴出流体が吹き付けられる搬送自動車ボディ上の被吹付部との距離(吹付距離)が逐次変化し、また、噴出手段からの流体噴出向きに対する搬送自動車ボディ上の被吹付部の向き(吹付向き)も逐次変化する。
そしてまた、ボディ種ごとの自動車ボディ形状の異なりにより、それら吹付距離や吹付向きの変化の形態もさらに異なるものになる
これに対し、上記構成によれば、上記3つの変化パターンの設定により、搬送機が保持する搬送自動車ボディの吹付処理域での域内進行に対して、噴出手段とその噴出手段による噴出流体が吹き付けられる搬送自動車ボディ上の被吹付部との距離(吹付距離)を一定に保つ、又は、噴出手段による噴出流体が搬送自動車ボディ上の特定の被吹付部に対して他部よりも時間的に長く吹き付けられるようにするから、ボディ種にかかわらず噴出流体を、搬送自動車ボディ上の被吹付部に対して均一に吹き付け作用させる、又は、搬送自動車ボディ上の特定の被吹付部に対して他部よりも時間的に長く吹き付け作用させることができ、これにより、吹付式処理部での吹き付け処理において一層高い処理品質をボディ種によらず得ることができ、また、そのことで吹付式処理部の処理区間長さを一層短くすることもできる。
なお、この構成の実施において、噴出手段と搬送自動車ボディ上の被吹付部との距離である吹付距離を一定に保ち、かつ、噴出手段からの流体噴出向きに対して搬送自動車ボディ上の被吹付部が垂直姿勢となる吹付向き状態を保つように、上記3つの変化パターンを設定すれば、吹付式処理部における処理品質や処理能率を一層効果的に高めることができる。
また、噴出手段による噴出流体が搬送自動車ボディ上の特定の被吹付部に対して他部よりも時間的に長く吹き付けられ、かつ、その際に搬送自動車ボディ上の特定被吹付部が噴出手段に近付くように、上記3つの変化パターンを設定することでも、吹付式処理部における処理品質や処理能率を一層効果的に高めることができる。
噴出手段による噴出流体を吹き付ける搬送自動車ボディ上の被吹付部や特定被吹付部は、吹付処理域における搬送自動車ボディの進行移動に伴い搬送自動車ボディ上で相対的に逆方向へ位置変化する部位、あるいは、搬送自動車ボディ上において固定的な部位(例えば、袋構造部分や隙間構造部など)のいずれであってもよい。
本発明の第特徴構成は、第1〜第特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
複数の前記処理部のうち特定処理部において先行搬送機が保持する先行搬送自動車ボディと後続搬送機が保持する後続搬送自動車ボディとの間隔を拡大又は縮小した状態で、それら搬送自動車ボディを移動動作させる合成移動パターンを前記統括制御手段に設定してある点にある。
つまり、先述した従来の塗装システムでは、先行搬送自動車ボディと後続搬送自動車ボディとの間隔を拡大又は縮小しようとする場合、主コンベア装置により第1の所定間隔で移動する第1のハンガ式ないし台車式の搬送機から副コンベア装置により第2の所定間隔で移動する第2のハンガ式ないし台車式の搬送機に搬送自動車ボディを移し換える必要がある。
これに対し、上記構成によれば、処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンの設定により、特定処理部において先行搬送機が保持する先行搬送自動車ボディと後続搬送機が保持する後続搬送自動車ボディとの間隔を拡大又は縮小させることができ、また、その間隔変更を先行搬送自動車ボディのボディ種と後続搬送自動車ボディのボディ種とに応じたボディ種ごとの変更形態で実行させることもできるから、上記の如き副コンベア装置を用いてボディ間隔を変更するのに比べ、塗装システムの構成を簡略化することができ、また、塗装システムの運転管理も一層容易にすることができる。
そして、特定処理部においてボディ間隔を縮小すれば、その縮小分だけ特定処理部の処理区間長さを短くすることができ、一方、特定処理部においてボディ間隔を拡大すれば、その拡大分だけ先行搬送自動車ボディに対する処理と後続搬送自動車ボディに対する処理との相互干渉を抑止して特定処理部における処理品質を高めることができる。
なお、この構成の実施においては、特定処理部においてボディ間隔を拡大する場合、その拡大分だけ他の処理部においてボディ間隔を縮小させるようにして、塗装システムにおける塗装設備構成の大型化を回避するのが望ましい。
本発明の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記搬送機の各々に、その搬送機に装備した前記ボディ動作手段を制御する中継制御手段を装備し、
前記統括制御手段は、処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンで各搬送機が保持する搬送自動車ボディを移動動作させるための制御指令を各搬送機の前記中継制御手段に付与する構成にし、
各搬送機の前記中継制御手段は、前記統括制御手段から付与された前記制御指令に従って各搬送機の前記ボディ動作手段を制御する構成にしてある点にある。
つまり、この構成によれば、処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンで各搬送機が保持する搬送自動車ボディを移動動作させるのに、統括制御手段から付与される制御指令に従って各搬送機の中継制御手段が各搬送機のボディ動作手段を制御するから、換言すれば、各搬送機の中継制御手段により統括制御手段を補助する制御形態を採り得るから、このような中継制御手段を設けず、搬送機移動手段と各搬送機のボディ動作手段とを統括制御手段により直接に制御する方式を採るのに比べ、統括制御手段の負担を軽減して統括制御手段による塗装システムの運転制御性を高めることができ、また、統括制御手段と各搬送機との間の通信手段も簡略化することができる。
なお、搬送機移動手段として自走速度の調整が可能な自走手段をボディ動作手段とともに各搬送機に装備する場合は、各搬送機の中継制御手段が統括制御手段からの制御指令に従って各搬送機の自走手段及びボディ動作手段を制御するようにしてもよい。
また、上記構成の実施においては、処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンを統括制御手段にのみ記憶させる方式に限らず、統括制御手段からの通信による入力により処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンを各搬送機の中継制御手段に記憶させ、そして、統括制御手段からの制御指令に従って各搬送機のボディ動作手段(及び上記自走手段)を各搬送機の中継制御手段により制御する際に、それら中継制御手段自身が記憶する処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンに基づいて中継制御手段を制御動作させる方式を採用してもよく、この場合、統括制御手段の負担を一層軽減し得るとともに、統括制御手段と各搬送機との間の通信手段も一層簡略化することができる。
本発明の第特徴構成は、第1〜第特徴構成のいずれかの実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
ボディ種の異なる複数の自動車ボディの夫々について複数種の前記合成移動パターンの夫々を採用したときの前記処理部における処理の処理過程又は処理結果をシミュレートするシミュレート手段を設けてある点にある。
つまり、この構成によれば、上記シミュレート手段によるシミュレート結果に基づき、シミュレート対象の処理部におけるボディ種ごとの最適な合成移動パターンを容易に選択することができ、この点で、塗装システムの運転管理を一層容易にすることができる。
そして、このように選択したボディ種ごとの最適合成移動パターンをシミュレート対象とした該当処理部の設定合成移動パターンとして統括制御手段に設定することにより、塗装システムの実際運転で該当処理部において、搬送機が保持する搬送自動車ボディを基本的には該当処理部での処理に適した移動形態で移動させながら、個別的にボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態を採って搬送自動車ボディをボディ種に応じ適切に処理することを一層確実に達成することができる。
なお、この構成の実施においてシミュレート手段は塗装システムにおける全ての処理部をシミュレート対象とし得るものであることが望ましいが、場合によっては、主要な処理部あるいは特定の処理部のみをシミュレート対象とし得るものであってもよい。
また、所定の選択基準に従って処理部ごと及びボディ種ごとの最適合成移動パターンを自動的に選択する機能を上記シミュレート手段に備えさせる、あるいはまた、それら選択した処理部ごと及びボディ種ごとの最適合成移動パターンを統括制御手段に対して自動的に設定する機能を上記シミュレート手段や統括制御手段自身に備えさせるようにすれば、塗装システムの運転管理を更に容易にすることができる。
塗装システム(特に前処理工程部)の全体構成図 塗装システム(特に塗装工程部)の全体構成図 搬送機の正面部 搬送機の斜視図 搬送機の拡大正面図 搬送機の要部の拡大側面図 浸漬式処理部での処理形態を示す側面図 集中吹付式処理部での処理形態を示す側面図 同じく集中吹付式処理部での処理形態を示す側面図 他の吹付式処理部での処理形態を示す側面図
図1及び図2は自動車ボディの電着塗装設備に係る塗装システムを示し、この電着塗装設備では、前処理工程部における複数の処理部として、湯洗部1、予備脱脂部2、脱脂処理部3、第1脱脂水洗部4、第2脱脂水洗部5、表面調整部6、化成処理部7、第1化成水洗部8、第2化成水洗部9、前処理純水水洗部10を、その順に被塗物である自動車ボディWの搬送方向に並べて装備してある。
また、この前処理工程部に続く塗装工程部における複数の処理部として、電着処理部11、第1UF水洗部12、第2UF水洗部13、第3UF水洗部14、第1RO水洗部15、第2RO水洗部16、電着純水水洗部17、エアブロー部18を、その順に自動車ボディW(以下、ボディと略称することがある)の搬送方向に並べて装備してある。
各処理部のうち、前処理工程部における脱脂処理部3と化成処理部7並びに塗装工程部における電着処理部11と第2UF水洗部13と第1RO水洗部15は、主なる処理形態として処理槽T内の処理液Lに搬送ボディWを浸漬させる浸漬式の処理部であり、脱脂処理部3や化成処理部7では、搬送ボディWを脱脂槽T内の脱脂処理液Lや化成槽T内の化成処理液Lに浸漬させることで搬送ボディWの表面に脱脂処理や化成処理を施す。
また、電着処理部11では、搬送ボディWを電着槽T内の電着塗料液Lに浸漬させることで搬送ボディWの表面に塗膜を形成する電着処理を施し、第2UF水洗部13や第1RO水洗部15では、搬送ボディWを水洗槽T内の洗浄水Lに浸漬させることで電着処理後の搬送ボディWに水洗処理を施す。
なお、各UF水洗部12〜14は、限外ろ過膜(UF)による浄化水Lを用いて搬送ボディWを水洗する水洗部であり、各RO水洗部15,16は、逆浸透膜(RO)による浄化水Lを用いて搬送ボディWを水洗する水洗部である。
一方、これらの浸漬式処理部以外の処理部は、主なる処理形態としてノズルなどの噴出手段Nによる噴出流体F(噴出液や噴出気体)を搬送ボディWに吹き付ける吹付式の処理部であり、湯洗部1、予備脱脂部2、表面処理部6では、噴出流体Fとして湯洗用温水や予備脱脂用の処理液あるいは表面調整用の処理液を搬送ボディWに吹き付けることで搬送ボディWに湯洗処理や予備脱脂処理あるいは表面調整処理を施す。
また、吹付式の各水洗部では、噴出流体Fとして洗浄水を搬送ボディWに吹き付けることで搬送ボディWに水洗処理を施し、エアブロー部18では、噴出流体Fとして空気を搬送ボディWに吹き付けることで水洗処理後の搬送ボディWに水切り処理や予乾燥処理を施す。
なお、塗装工程部にはエアブロー部18に続き、予熱炉、焼付け乾燥炉、冷却処理部などをその順に搬送ボディWの搬送方向に並べて装備し、また、この塗装工程部(下塗り工程部)に続いては中塗り工程部及び上塗り工程部が装備されているが、本例では、これらの説明は省略する。
被塗物である自動車ボディWを各処理部1〜18に対して順次に搬送する搬送装置Uは、図3〜図6に示す如く、ガイド架構20上に各処理部1〜18にわたる一対のレール21を敷設するとともに、このレール21に沿って各処理部1〜18に順次移動させる複数の搬送機22を設けて構成してあり、これら搬送機22に搬送ボディWを一台ずつ保持させた状態で各搬送機22を各処理部1〜18にわたらせて順次に移動させることで、各自動車ボディWを各処理部1〜18に順次搬送する。
搬送機22には、レール21上を転動する走行車輪23と、レール21に対し両側から当接して搬送機22を振れ止めする振止車輪24と、レール21の下面に当接して搬送機22の浮き上がりを防止する浮止車輪25とを設けるとともに、一方のレール21の側面にレール21に沿わせて延設した給電レール26から搭載装置の駆動電力を受電する集電器27を設けてある。
また、搬送機22の下部には走行用摩擦板28を設け、レール21に沿う搬送機22の移動経路上には、走行用摩擦板28を挟圧する遊転ローラ29と駆動ローラ30との挟圧ローラ対、及び、その挟圧ローラ対における駆動ローラ30を駆動回転させる移送用モータ31を搬送機送り出し手段として所定間隔でレール延設方向に並置してあり、これら遊転ローラ29と駆動ローラ30との挟圧ローラ対により挟圧した摩擦板28を移送用モータ31による駆動ローラ30の駆動回転により挟圧ローラ対29,30による挟圧部から送り出すことで搬送機22をレール21に沿って走行移動させる。
つまり、搬送機送り出し手段を構成する挟圧ローラ対29,30と移送用モータ31との組の並置群は、各搬送機22を各処理部1〜18にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を構成し、各移送用モータ31の回転速度をインバータ制御等により調整することで、各移動位置にある各搬送機22の移動速度(即ち、送り速度)を随時、個別に調整することができる。
また、搬送機22には、昇降アーム32Aと駆動アーム32Bとを備える昇降装置32を搭載してあり、昇降アーム32Aの先端部には搬送ボディWを吊り下げ保持する吊下機構33を装備してある。
昇降装置32は、駆動アーム32Bの基端を連結固定した第1支持軸34を搬送機22上の固定軸受35により回転自在に支持し、一方、ガイド36により案内される前後方向(搬送機22の移動方向)に移動自在な移動架台37を搬送機22に設けて、この移動架台37に設けた移動軸受38により第2支持軸39を回転自在に支持し、この第2支持軸39に昇降アーム32Aの基端を回転自在に連結するとともに、その昇降アーム32Aの中央部に駆動アーム32Bの先端を枢支連結してある。
また、スライダ40をネジ軸41の駆動回転により前後移動させる昇降用駆動装置42を搬送機22に設け、この昇降用駆動装置42のスライダ40と第1支持軸34に連結固定した操作アーム43とを連結ロッド44により連結してある。
即ち、この昇降装置32は、駆動モータMaによるネジ軸41の駆動回転により昇降用駆動装置42のスライダ40を前後移動させて連結ロッド44を介し第1支持軸34の操作アーム43を揺動操作することで、第1支持軸34を回転させて駆動アーム32Bを駆動揺動させ、この駆動アーム32Bの揺動により移動架台37,移動軸受38、及び、第2支持軸39の前後移動(換言すれば、第1支持軸34に対する第2支持軸39の接近離間)を伴う形態で昇降アーム32Aを第2支持軸39周りにおいて揺動させることで、吊下機構33により保持した搬送ボディWを搬送機22に対して昇降させる構造にしてある。
45は連結ロッド44を介して第1支持軸34の操作アーム43を自動車ボディWの上昇操作側に付勢する空気圧シリンダであり、この付勢により昇降用モータである駆動モータMaの負荷を軽減する。
吊下機構33は、昇降アーム32Aの先端に吊下支持軸46を回転自在に取り付けて、この吊下支持軸46に連結した吊下部材47を上部フレーム48の長手方向中央部に連結するとともに、上部フレーム48の前後両端部夫々に縦フレーム49の上端を枢支連結し、そして、各縦フレーム49の下端から搬送機22とは反対側に横フレーム50を延設して、これら前後の横フレーム50に対し2本の下部フレーム51夫々の前後端部を回転自在に連結して構成してあり、この構造をもって搬送ボディWを横フレーム50と下部フレ
ーム51とからなるフレーム枠に載置した状態で、そのフレーム枠における四隅部の保持具52により搬送ボディWを保持する。
そして、上部フレーム48と前後の縦フレーム49と下部フレーム51とで平行リンク機構を構成し、これに対し、吊下支持軸46に取り付けた従動スプロケット53と第2支持軸39に取り付けた駆動スプロケット54とに伝動チェーン55を巻回するとともに、スライダ56をネジ軸57の駆動回転により前後移動させる姿勢変更用駆動装置58を搬送機22上に設け、この姿勢変更用駆動装置58のスライダ56と第2支持軸39に連結固定した操作アーム59とを連結ロッド60により連結してボディ姿勢変更装置61を構成してある。
即ち、このボディ姿勢変更装置61は、駆動モータMbによるネジ軸57の駆動回転により姿勢変更用駆動装置58のスライダ56を前後移動させて連結ロッド60を介し第2支持軸39の操作アーム59を揺動操作することで、第2支持軸39を回転させて駆動スプロケット54を駆動回転させ、この駆動スプロケット54の回転により伝動チェーン55を介し従動スプロケット53とともに吊下支持軸46を回転させて吊下部材47を揺動させることで、上部フレーム48と前後の縦フレーム49と下部フレーム51とからなる平行リンク機構の変形を伴い上部フレーム48及び下部フレーム51を姿勢変化させて、保持具52により保持した搬送ボディWを搬送機22に対して前下がり傾斜姿勢や後下がり傾斜姿勢に姿勢変化させる構造にしてある。
つまり、これら昇降装置32及びボディ姿勢変更装置61は、搬送機22により搬送する自動車ボディWをその搬送機22に対して移動動作(昇降及び傾動)させるボディ動作手段を構成する。
一方、この電着塗装システムには、各処理部1〜18にわたらせて順次に移動させる複数の搬送機22を制御上で統括する統括制御器CC(統括制御手段の一例)を設けてあり、この統括制御器CCは、位置検出手段Isにより得る搬送機22夫々の移動位置の情報iと、ボディ種検出手段Bsにより得る各搬送機22に載置保持された自動車ボディW夫々のボディ種の情報bとに基づき、レール21の延設方向に並置した各移送用モータ31と各搬送機22に装備した昇降装置32及びボディ姿勢変更装置61とを制御することで、搬送機22の移動による自動車ボディWの搬送において、その搬送ボディWを処理部ごと及びボディ種ごとに設定されている合成移動パターンP(即ち、搬送機22の移動と搬送ボディWの搬送機22に対する移動動作との合成によりなる移動パターン)で移動動作させるものにしてある。
なお、この合成移動パターンPは、後述の如く、搬送機22が保持する搬送ボディWの移動経路rと移動速度vと移動姿勢θとについての移動パターンP(r,v,θ)としてある。
また、本例において特に断りのない限り、搬送ボディWの移動速度vとは搬送経路rに沿う方向の移動速度を言い、搬送ボディWの移動姿勢θとは水平に対する移動姿勢を言う。
各移送用モータ31の制御については、レール21の延設方向に並置した移送用モータ31夫々の回転速度(即ち、搬送機送り速度)をインバータ制御等により調整する走行用の中継制御器Caを設け、この走行用の中継制御器Caを統括制御器CCからの制御指令により制御動作させることで、移送用モータ31夫々の回転速度を随時調整して各移動位置にある各搬送機22の移動速度を、処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンPに従って個別に調整する構成にしてある。
また、各搬送機22に装備した昇降装置32及びボディ姿勢変更装置61の制御については、昇降装置32におけるネジ軸42の駆動モータMa及びボディ姿勢変更装置61におけるネジ軸57の駆動モータMbを制御するボディ動作用の中継制御器Cb(中継制御手段の一例)を各搬送機22に搭載し、これら各搬送機22に搭載したボディ動作用の中継制御器Cbの夫々を統括制御器CCから制御指令により制御動作させることで、各搬送機22の搬送ボディWを処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンPに従って各搬送機22に対し移動動作させる構成にしてある。
以上の構成により、各処理部1〜18では搬送ボディWを処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンPで移動動作させて搬送ボディWに所定の処理を施すが、それについて次に説明する。
・浸漬式処理部(特に電着処理部11)での移動動作について
浸漬式処理部ついては、処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンPとして、具体的には(図7参照)、
搬送機22が保持する搬送ボディWを下降させて処理槽T内の処理液Lに浸漬させる入槽工程と、それに続き、その搬送ボディWを処理槽T内の処理液L中で進行移動させる槽内進行工程と、それに続き、その搬送ボディWを上昇させて処理槽T内の処理液Lから引き上げる出槽工程と、それに続き、その搬送ボディWを浸漬式処理部から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送ボディWの移動経路rと移動速度vと移動姿勢θとについて、
ボディ種ごとの移動経路変化パターンPr(r)と移動速度変化パターンPv(v)と移動姿勢変化パターンPθ(θ)とを統括制御器CCに設定してある。(即ち、P(r,v,θ)=Pr(r)+Pv(v)+Pθ(θ))
そして、これら3つの変化パターンPr,Pv,Pθの設定により、図7に示す如く、浸漬式処理部では基本的に例えば次のa.〜d.の如き移動形態(即ち、ボディ種ごとの個別移動形態の基礎となる基本移動形態)で各搬送機22の搬送ボディWを移動動作させる。
a.入槽工程において各搬送機22が保持する搬送ボディWを急角度の前下がり移動経路r及びその前下がり移動経路rに沿う急角度の前下がり移動姿勢θで、かつ、大きな移動速度vで処理槽Tに入槽させて処理槽T内の処理液Lに浸漬させる。
b.出槽工程において各搬送機22が保持する搬送ボディWを急角度の前上がり移動経路r及びその前上がり移動経路rに沿う急角度の前上がり移動姿勢θで、かつ、大きな移動速度vで処理槽T内の処理液Lから引き上げて処理槽Tから出槽させる。
即ち、このような入出槽移動形態を採ることで、搬送ボディWの処理液Lへの浸漬(入液)及び処理液Lからの引き出しを速やかにして処理槽Tの短尺化を可能にし、また、入槽工程で搬送ボディWを処理液Lに入液させる際の入液速度の不足が原因となる処理ムラ(例えば、電着処理でのいわゆる段付き)が生じるのを防止する。
c.槽内進行工程において各搬送機22が保持する搬送ボディWを水平移動経路rで、かつ、処理液Lによる搬送ボディWへの処理を良好に行なえる適当な移動速度vで液中進行させる。
d.搬出工程において各搬送機22が保持する搬送ボディWを水平移動経路rで、かつ、傾斜移動姿勢θで搬出移動させ、搬送ボディWの袋構造部等に残存する処理液Lの排出
を促す。
また、これらの基本移動形態を採りながら個別的には各搬送機22が保持する搬送ボディWのボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態(略言すれば、上記の基本移動形態をボディ種に応じて微調整した移動形態)として、例えば次のe.〜i.の如き移動形態で各搬送機22の搬送ボディWを移動動作させる。
e.各搬送機22が保持する搬送ボディWを処理液Lに浸漬させる入液時に生じる浮力が搬送ボディWのボディ種によって異なることに対し、また、入液時におけるボディ局部への気泡の噛む込みの程度や箇所がボディ種によって異なることに対し、入槽工程における前下がり移動経路rや前下がり移動姿勢θを上記の如き浮力発生や気泡の噛み込みが抑止されるボディ種ごとの最適傾斜角度の前下がり移動経路rや最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにした状態で搬送ボディWを処理槽T内の処理液Lに入液させる。
f.上記浮力発生の主な原因部位が搬送ボディWのボディ種によって異なることに対し、入槽工程のうち搬送ボディWにおける浮力発生の主な原因部位が処理液Lへの入液過程にある期間だけ移動速度v(即ち、入液速度)を小さくし、入槽工程における他の期間については移動速度vを大きくするボディ種ごとの最適な移動速度変化形態で搬送ボディWを処理槽Tに入槽させる。
即ち、このようなボディ種に応じたボディ種ごとの入槽移動形態を採ることで、搬送機22が保持する搬送ボディWが処理液Lへの入液の際に生じる大きな浮力のために搬送機22から離脱するなどの搬送トラブルや、ボディ局部に噛み込んだ気泡に原因する処理不良などを防止する。
g.搬送ボディWを処理槽T内の処理液Lに浸漬させた状態で進行移動させることにおいて、搬送ボディWの移動姿勢θを調整すれば、処理槽T内における搬送ボディW周りの処理液Lの通過断面積を調整することができ、この通過断面積の調整により搬送ボディWに対する処理液Lの相対速度を調整することができる。
このことから、槽内進行工程では搬送ボディWをそれに対する処理液Lの相対速度を最適化し得るボディ種ごとの最適移動姿勢θ(例えば、最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θや最適傾斜角度の前上がり移動姿勢θ、また場合によっては垂直移動姿勢)で液中進行させる。
即ち、このことにより、処理品質の低下原因となる搬送ボディWへの異物付着や搬送ボディWの近傍における気泡や発生熱の滞留などを防止する。
h.出槽工程において搬送ボディWを処理液Lから引き上げる際、搬送ボディWにおける袋構造部等からの処理液Lの抜け出しの良否がボディ種によって異なることに対し、出槽工程における前上がり移動経路rや前上がり移動姿勢θを処理液Lの抜け出しが良くなるボディ種ごとの最適傾斜角度の前上がり移動経路rや最適傾斜角度の前上がり移動姿勢θにした状態で搬送ボディWを処理槽Tから出槽させる。
i.搬出工程において搬送ボディWを傾斜移動姿勢θで搬出移動させる際、搬送ボディWにおける袋構造部等からの残存処理液Lの排出の良否がボディ種によって異なることに対し、搬出工程において搬送ボディWを傾斜移動姿勢θにする傾動動作として、搬送ボディWをボディ種ごとの最適傾斜角度の後下がり移動姿勢θにする、又は、最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにする、又は、最適な傾斜角度範囲で前後揺動させるなど、搬送ボディWからの残存処理液Lの排出を良くするボディ種ごとの最適な傾動動作形態で搬送ボディWを搬出移動させる。
・吹付式処理部での移動動作について
吹付式処理部については、処理部ごと及びボディ種ごとの設定合成移動パターンPとして、具体的には(図8〜図9及び図10参照)、
搬送機22が保持する搬送ボディWを噴出手段Nによる噴出流体Fの吹付処理域Sに搬入する搬入工程と、それに続き、その搬送ボディWを吹付処理域S内で進行移動させる域内進行工程と、それに続き、その搬送ボディWを吹付処理域Sから搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送ボディWの移動経路rと移動速度vと移動姿勢θとについて、
浸漬式処理部と同様、ボディ種ごとの移動経路変化パターンPr(r)と移動速度変化パターンPv(v)と移動姿勢変化パターンPθ(θ)とを統括制御器CCに設定してある。
そして、吹付式処理部のうち、ノズル等の噴出手段Nを横一列状態や横二列状態で吹付処理域Sの上部や側部に配置する吹付式処理部(例えば、電着純水水洗部17、前処理純水水洗部10の後半部、エアブロー部18など一般に高圧の噴出流体Fを集中的に吹き付ける吹付式処理部)については、上記3つの変化パターンPr,Pv,Pθの設定により、図8〜図9に示す如く、各搬送機22が保持する搬送ボディWのボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態として、例えば次のj.〜m.の如き移動形態で、各搬送機22の搬送ボディWを移動動作させる。
j.前の処理部において各搬送機22が保持する搬送ボディWの袋構造部等に入り込んだ残存処理液L(又はF)の吹付処理域S側への排出(即ち、吹付処理域Sに装備した排液部への排出)を促すため、基本的には搬入工程において搬送ボディWを前下がり移動姿勢θで吹付処理域Sに搬入移動させるが、この際の残存処理液L,Fの排出の良否がボディ種によって異なる。
このことに対し、搬入工程において上記残存処理液L,Fの吹付処理域S側への排出を良くするボディ種ごとの最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにした状態で搬送ボディWを吹付処理域Sに搬入移動させる。
k.域内進行工程において搬送ボディWを吹付処理域Sにおいて単に水平移動経路でかつ水平移動姿勢で域内進行させた場合、噴出手段Nとそれら噴出手段Nによる噴出流体Fが吹き付けられる搬送ボディW上の被吹付部(ここでは、搬送ボディWの域内進行に対する噴出手段Nの相対移動で搬送ボディW上をボディ進行方向とは逆向きに移動する各時点の被吹付部)との位置関係について、特に側面視で、搬送ボディWの域内進行に伴い、噴出手段Nと被吹付部との距離d(吹付距離)がボディ形状によって逐次変化し、また、噴出手段Nからの流体噴出向きに対する搬送ボディW上の被吹付部の向きα(吹付向き)もボディ形状によって逐次変化し、その上、搬送ボディWのボディ種の異なりによるボディ形状の相違によって上記吹付距離dや吹付向きαの変化の形態がさらに異なるものなる。
このことに対し、域内進行工程において、側面視で、噴出手段Nと搬送ボディW上の被吹付部との距離d(吹付距離)を一定に保ち、かつ、噴出手段Nからの流体噴出向きに対して搬送ボディW上の被吹付部が垂直姿勢となる吹付向き状態(α=90°)を保つボディ種ごとの最適な進行移動形態で搬送ボディWを域内進行させる。
l.また、噴出手段Nによる噴出流体Fの吹き付け処理を特に重点的に行なうべき特定被吹付部x(例えば、隙間構造部など搬送ボディW上の固定部位である特定の被吹付部)について、その有無や存在位置がボディ種によって異なることに対し、域内進行工程において噴出手段Nによる噴出流体Fが搬送ボディW上の特定被吹付部xに吹き付けられるとき(即ち、図8の(b)に示す如き状態のとき)、その特定被吹付部xを噴出手段Nに近付けて吹付距離dを短くするとともに、搬送ボディWの域内進行を一時停止状態や一時徐行状態あるいは一時的に前後進切り換えを反復する状態にするなどして、特定被吹付部xに対し他部よりも時間的に長く噴出流体Fを吹き付けさせるボディ種ごとの最適な進行移動形態で、搬送ボディWを域内進行させる。
なお、上記の如く特定被吹付部xを噴出手段Nに近付けたとき、噴出手段Nからの流体噴出向きに対して特定被吹付部xを垂直姿勢や所定の斜交姿勢する吹付向き調整も併せて行なうのが望ましい。
m.搬送ボディWの袋構造部等に入り込んだ吹き付け流体F(洗浄水)の排出を促すため基本的には搬出工程において各搬送機22の搬送ボディWを傾斜移動姿勢θにして搬出移動させるが、この際の入り込み流体F(入り込み洗浄水)の排出の良否がボディ種によって異なる。
このことに対し、搬出工程において各搬送機22の搬送ボディWを傾斜移動姿勢θにする傾動動作として、搬送ボディWをボディ種ごとの最適傾斜角度の後下がり移動姿勢θにする、又は、最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにする、又は、最適な傾斜角度範囲で前後揺動させるなど、入り込み流体F(洗浄水)の排出を良くするボディ種ごとの最適な傾動動作形態で搬送ボディWを搬出移動させる。(エアブロー部18については一般に、この搬出工程における傾動動作は不要である。)
なお、上記J.〜m.の移動形態は夫々、電着純水水洗部17、前処理純水水洗部10の後半部、エアブロー部18以外の吹付式処理部に適用することもできる。
また一方、吹付式処理部のうち、ノズル等の噴出手段Nを搬送ボディWに対する群状の囲み配置形態で吹付処理域Sに多数配置した吹付式水洗部(即ち、比較的低圧の洗浄水Fを搬送ボディWに対し広く群がり状に吹き付ける吹付式水洗部)については、上記3つの変化パターンPr,Pv,Pθの設定により、図10に示す如く、各搬送機22が保持する搬送ボディWのボディ種に応じたボディ種ごとの移動形態として、例えば次のn.〜p.の如き移動形態で、各搬送機22の搬送ボディWを移動動作させる。
n.前記の集中吹付式処理部と同様、基本的には搬入工程において各搬送機22の搬送ボディWを前下がり移動姿勢θで吹付処理域Sに搬入移動させるが、前の処理部において搬送ボディWの袋構造部等に入り込んだ残存処理液L(又はF)の排出の良否がボディ種によって異なることに対し、搬入工程において上記残存処理液L,Fの吹付処理域S側への排出を良くするボディ種ごとの最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにした状態で搬送ボディWを吹付処理域Sに搬入移動させる。
o.また基本的には域内進行工程において各搬送機22が保持する搬送ボディWを前後揺動させながら域内進行させて吹き付け処理の処理効果(即ち、洗浄水の吹き付けによる洗浄効果)を高めるが、噴出手段Nによる噴出流体Fの吹き付け処理を特に重点的に行なうべき特定被吹付部x(例えば、隙間構造部など)について、その有無や存在位置がボディ種によって異なることに対し、域内進行工程において噴出手段Nによる噴出流体Fが搬送ボディW上の特定被吹付部xに吹き付けられるとき搬送ボディWの域内進行を一時停止状態や一時徐行状態あるいは一時的に前後進切り換えを反復する状態にするなどして、搬送ボディW上の特定被吹付部xに対し他部よりも時間的に長く噴出流体F(洗浄水)を吹き付けさせるボディ種ごとの最適な進行移動形態で、搬送ボディWを域内進行させる。
p.前記の集中吹付式処理部と同様、基本的には搬出工程において各搬送機22の搬送ボディWを傾斜移動姿勢θにして搬出移動させるが、搬送ボディWの袋構造部等に入り込んだ吹き付け流体F(洗浄水)の排出の良否がボディ種によって異なることに対し、搬出工程において各搬送機22の搬送ボディWを傾斜移動姿勢θにする傾動動作として、搬送ボディWをボディ種ごとの最適傾斜角度の後下がり移動姿勢θにする、又は、最適傾斜角度の前下がり移動姿勢θにする、又は、最適な傾斜角度範囲で前後揺動させるなど、入り込み流体F(洗浄水)の排出を良くするボディ種ごとの最適な傾動動作形態で搬送ボディWを搬出移動させる。
・処理部どうしの間での移動動作関係について
浸漬式処理部のうち電着処理部11では、処理槽T(電着槽)内の処理液L中における先行搬送ボディWと後続搬送ボディWとの間隔が小さいと、それら搬送ボディWに対する電着処理の相互干渉に原因する処理品質の低下(いわゆるバイポーラ不良)が生じ易くなる。
このことに対し、電着処理部11についての処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)の設定と、他の浸漬式処理部である脱脂処理部3や化成処理部7についての処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)の設定とにより、脱脂処理部3、化成処理部7、電着処理部11の夫々における入出槽工程については、先行搬送ボディWと後続搬送ボディWとをそれらの接触干渉を確実に防止できる移動間隔eで移動させる。
そして、電着塗装部11では、槽内進行工程11において移動間隔eを拡大した移動形態で先行搬送ボディWと後続搬送ボディW22とを液中進行させ、逆に、脱脂処理部3や化成処理部7では、先行搬送ボディWと後続搬送ボディWとの接触干渉が生じない範囲において移動間隔eを縮小した状態で先行搬送ボディWと後続搬送ボディWとを液中進行させる。
つまり、このような移動間隔関係の移動形態を採ることにより、先行搬送ボディWと後続搬送ボディWとの接触干渉を確実に防止しながら、また、電着処理部11でのいわゆるバイポーラ不良も一層確実に防止しながら、塗装設備全体の小型化を可能にする。
・その他の制御について
エアブロー部18で水切り処理や予乾燥処理した搬送ボディWは、炉内搬送用の搬送装置における搬送台車に移載して後続の予乾燥炉及び焼付け乾燥炉に順次搬送するが、この搬送ボディWの移載処理、その移載処理に続き搬送ボディWが無い空状態の搬送機22をボディ受取部へ戻す還送処理、及び、ボディ受取部で次の搬送ボディWを受け取るボディ受取処理の夫々についても、統括制御器CCにより搬送機22夫々の移動位置情報iに基づき移送用モータ31と各搬送機22に装備した昇降装置32及びボディ姿勢変更装置61とを制御することで自動的に行なうようにしてある。
なお、位置検出手段Isについては、搬送機22の移動経路に沿って並置した搬送機検出センサの検出情報に基づき各搬送機22の移動位置情報iを得る方式や、各搬送機22の移動距離を計測する計測手段の計測情報に基づき各搬送機22の移動位置情報iを得る方式、あるいは、監視カメラの撮像情報に基づき各搬送機22の移動位置情報iを得る方式など、種々の方式のものを採用することができる。
また、ボディ種検出手段Bsについても、搬送機22に自動車ボディWを保持させる段階ないしはその近傍段階でのボディ形状の検出や各自動車ボディWに付けたタグの読み取りなどによりボディ種情報bを得る方式や、塗装システムの生産管理装置から生産計画情報の一部としてボディ種情報bを得る方式など、種々の方式のものを採用することができる。
他方、この塗装システムには、統括制御器CCともに、シミュレート装置SMを設けてあり、このシミュレート装置SMは、各処理部1〜18の構造に関するデータや処理内容に関するデータ、搬送機22の移動特性に関するデータ、昇降装置32及び姿勢変更装置61の動作特性に関するデータ、並びに、塗装対象である自動車ボディWのボディ種ごとの形状や構造に関するデータなどに基づき、塗装対象である各ボディ種の自動車ボディWの夫々について、前記処理部ごと及びボディ種ごとの合成移動パターンP(具体的には処理部ごと及びボディ種ごとの前記3つの変化パターンPr,Pv,Pθ)を種々変更したときの各処理部1〜18での処理の処理過程及び処理結果(例えば、浸漬処理における槽内進行工程での搬送ボディWに対する処理液Lの相対速度の大小関係など)をモニタ表示しながらシミュレートするものである。
そして、このシミュレート装置SMは、処理品質の重み度合や処理能率の重み度合あるいは省エネルギ化の重み度合や運転コストの重み度合など、種々の基準要素も含めて設定される選択基準に従って、処理部相互の関係も考慮しながら、ボディ種ごとの最適な合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)を各処理部1〜18について自動的に選択する自動選択機能を備えるものにしてある。
また、このように自動選択した各処理部1〜18についてのボディ種ごとの最適な合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)をオペレータの承認操作を受けた上で統括制御器CCに対し自動的に設定する自動設定機能も備えるものにしてある。
つまり、新設した塗装システムの運転に先立ち、あるいは、新しいボディ種の自動車ボディWが塗装対象として加わるときや、いずれかの処理部を改造するときなど、オペレータは適時、このシミュレート装置SMを用いて処理部ごと及びボディ種ごとの最適な合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)を選択し、そして、選択した処理部ごと及びボディ種ごとの最適な合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)を統括制御器CCに設定することにより、各処理部1〜18において、その最適な設定合成移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)で、各搬送機22の搬送ボディWを移動動作させる。
〔別実施形態〕
各処理部において、搬送機22が保持する搬送自動車ボディWに処理部ごと及びボディ種ごとの移動形態として具体的にどのような移動形態を採らせるか、換言すれば、処理部ごと及びボディ種ごとの設定移動パターンP(Pr,Pv,Pθ)として具体的にどのような移動パターンを設定するかについては、各処理部の処理内容や各処理部の運転条件等々に応じて適宜決定すればよい
搬送機22の具体的構造は、前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の構造を採用でき、また、搬送機22夫々の移動速度の個別調整が可能な状態でそれら搬送機22を複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段も、前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の構造のものを採用でき、個別の移動速度調整が可能な自走式の搬送機移動手段を各搬送機22に装備するようにしてもよい。
搬送機22に保持されている搬送自動車ボディWをその搬送機22に対して移動動作させるボディ動作手段も、前述の実施形態で示した昇降装置32やボディ姿勢変更装置61に限らず、種々の構造のものを採用でき、また、そのボディ動作手段により搬送自動車ボディWに実行させる動作も、搬送機22に対する昇降や傾動に限らず、搬送機22に対する横移動や回転移動などを行なえるようにしてもよい。
また、搬送機22により自動車ボディWを搬送するのに、自動車ボディWのフロント部を搬送下手側に向ける搬送形態、あるいは、自動車ボディWのリア部を搬送下手側に向ける搬送形態に限らず、場合によっては、自動車ボディWのサイド部やルーフ部あるいはボトム部を搬送下手側へ向ける搬送形態を採用してもよい。
本発明による塗装システムは、電着塗装に限らず、自動車ボディWに対する塗装であれば種々の塗装に適用でき、また、そのボディ塗装における前処理工程部と塗装工程部とのいずれか一方にのみ適用してもよい。
さらに、本発明による塗装システムは自動車ボディW以外の被塗物(例えば自動車部品や鋼板類あるいは電化製品のケシーングや部品など)にも応用することができ、この場合は、基本的に次の如き塗装システムとすればよい。
被塗物Wを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、
この搬送機移動手段による前記搬送機の移動により被塗物Wを搬送するのに伴い、搬送被塗物Wが通過過程にある前記処理部において、その通過過程の搬送被塗物Wに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムとして、
前記搬送機移動手段を前記搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な構成にするとともに、
前記搬送機が保持する搬送被塗物Wをその搬送機に対して移動動作させる被塗物動作手段を前記搬送機の夫々に装備し、
複数の前記搬送機を統括する制御手段として、
複数の前記処理部にわたらせて順次に移動させる前記搬送機夫々の移動位置の情報と、各搬送機が保持する搬送被塗物Wの被塗物種の情報とに基づき、前記搬送機移動手段と各搬送機に装備した前記被塗物動作手段とを制御することで、各搬送機が保持する搬送被塗物Wを前記処理部ごと及び前記被塗物種ごとに設定されている合成移動パターンで移動動作させる統括制御手段を設けてある塗装システム。
即ち、前述した本発明の第1〜第特徴構成において、前処理や塗装処理の対象を各ボディ種の自動車ボディとするのに代え、各被塗物種の被塗物とすればよい。
本発明は、被塗物である自動車ボディを複数の処理部にわたり順次搬送して処理する処理形態を採る各種の自動車ボディ塗装に適用することができる。
W 自動車ボディ
22 搬送機
1〜18 処理部
29,30,31 搬送機移動手段
32,61 ボディ動作手段
CC 統括制御手段
i 移動位置情報
b ボディ種情報
Cb 中継制御手段
P 合成移動パターン
T 処理槽
L 処理液
Pr 移動経路変化パターン
Pv 移動速度変化パターン
Pθ 移動姿勢変化パターン
N 噴出手段
F 噴出流体
S 吹付処理域
d 距離
x 特定被吹付部
e 移動間隔
SM シミュレート手段

Claims (7)

  1. 被塗物である自動車ボディを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、
    この搬送機移動手段による前記搬送機の移動により自動車ボディを搬送するのに伴い、搬送自動車ボディが通過過程にある前記処理部において、その通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムであって、
    前記搬送機移動手段を前記搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な構成にするとともに、
    前記搬送機が保持する自動車ボディをその搬送機に対して移動動作させるボディ動作手段を前記搬送機の夫々に装備し、
    複数の前記搬送機を統括する制御手段として、
    複数の前記処理部にわたらせて順次に移動させる前記搬送機夫々の移動位置の情報と、各搬送機が保持する搬送自動車ボディのボディ種の情報とに基づき、前記搬送機移動手段と各搬送機に装備した前記ボディ動作手段とを制御することで、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記処理部ごと及び前記ボディ種ごとに設定されている合成移動パターンで移動動作させる統括制御手段を設け
    複数の前記処理部のうち少なくとも1つの処理部が、前記搬送機に保持された搬送自動車ボディを処理槽内の処理液に浸漬させる浸漬式の処理部であり、
    この浸漬式処理部に前記搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
    前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを下降させて前記処理槽内の処理液に浸漬させる入槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記処理槽内の処理液中で進行移動させる槽内進行工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを上昇させて前記処理槽内の処理液から引き上げる出槽工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを浸漬式処理部から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送自動車ボディのボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある塗装システム。
  2. 前記浸漬式処理部について設定するボディ種ごとの前記移動経路変化パターンと前記移動姿勢変化パターンとして、
    前記槽内進行工程において前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを水平移動経路で、かつ、ボディ種ごとの前下がり傾斜姿勢又は前上がり傾斜姿勢で液中進行させる移動経路変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある請求項1記載の塗装システム。
  3. 被塗物である自動車ボディを保持する搬送機を、先行搬送機と後続搬送機との間に間隔のある状態で前処理工程部における複数の処理部又はそれに続く塗装工程部における複数の処理部にわたらせて順次に移動させる搬送機移動手段を設け、
    この搬送機移動手段による前記搬送機の移動により自動車ボディを搬送するのに伴い、搬送自動車ボディが通過過程にある前記処理部において、その通過過程の搬送自動車ボディに所定の処理を施す構成にしてある塗装システムであって、
    前記搬送機移動手段を前記搬送機の夫々について移動速度の個別調整が可能な構成にするとともに、
    前記搬送機が保持する自動車ボディをその搬送機に対して移動動作させるボディ動作手段を前記搬送機の夫々に装備し、
    複数の前記搬送機を統括する制御手段として、
    複数の前記処理部にわたらせて順次に移動させる前記搬送機夫々の移動位置の情報と、各搬送機が保持する搬送自動車ボディのボディ種の情報とに基づき、前記搬送機移動手段と各搬送機に装備した前記ボディ動作手段とを制御することで、各搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記処理部ごと及び前記ボディ種ごとに設定されている合成移動パターンで移動動作させる統括制御手段を設け、
    複数の前記処理部のうち少なくとも1つの処理部が、前記搬送機に保持された搬送自動車ボディに対して噴出手段による噴出流体を吹き付ける吹付式の処理部であり、
    この吹付式処理部に前記搬送機が位置するときの処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
    前記搬送機が保持する搬送自動車ボディを前記噴出手段による噴出流体の吹付処理域に搬入する搬入工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記吹付処理域内で進行移動させる域内進行工程と、それに続き、その搬送自動車ボディを前記吹付処理域から搬出する搬出工程との各工程の工程中及び工程間における搬送自動車ボディのボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある塗装システム。
  4. 前記吹付式処理部について設定するボディ種ごとの移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとして、
    前記吹付処理域における搬送自動車ボディの進行移動に対して前記噴出手段とその噴出手段による噴出流体が吹き付けられる搬送自動車ボディ上の被吹付部との距離を一定に保つ、又は、前記噴出手段による噴出流体が搬送自動車ボディ上の特定の被吹付部に対して他部よりも時間的に長く吹き付けられる移動経路変化パターンと移動速度変化パターンと移動姿勢変化パターンとを前記統括制御手段に設定してある請求項3記載の塗装システム。
  5. 処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンとして、
    複数の前記処理部のうち特定処理部において先行搬送機が保持する先行搬送自動車ボディと後続搬送機が保持する後続搬送自動車ボディとの間隔を拡大又は縮小した状態で、それら搬送自動車ボディを移動動作させる合成移動パターンを前記統括制御手段に設定してある請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装システム。
  6. 前記搬送機の各々に、その搬送機に装備した前記ボディ動作手段を制御する中継制御手段を装備し、
    前記統括制御手段は、処理部ごと及びボディ種ごとの前記設定合成移動パターンで各搬送機が保持する搬送自動車ボディを移動動作させるための制御指令を各搬送機の前記中継制御手段に付与する構成にし、
    各搬送機の前記中継制御手段は、前記統括制御手段から付与された前記制御指令に従って各搬送機の前記ボディ動作手段を制御する構成にしてある請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装システム。
  7. ボディ種の異なる複数の自動車ボディの夫々について複数種の前記合成移動パターンの夫々を採用したときの前記処理部における処理の処理過程又は処理結果をシミュレートするシミュレート手段を設けてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗装システム。
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