JP2004283690A - 自動車ボディの表面処理方法とそれに使用する台車 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車ボディを表面処理槽に入槽させる際にボディ内部にエア溜りが生じず、表面処理槽から出槽させる際にボディ表面に付着した処理液の液切れが良く、更に、自動車ボディが処理液の慣性力で歪みを生ずるおそれがなく、また、表面処理槽を小型化してその設置スペースを小さくし、処理液の使用量も低減できる表面処理方法を提供する。
【解決手段】表面処理槽1の上方に到来した自動車ボディ4を降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽1内の処理液2中に半没させると共に、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させ、その全没状態で表面処理した自動車ボディ4を上昇させながら前記と逆方向に90°傾動させて半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて表面処理槽1から出槽させる。
【選択図】図3
【解決手段】表面処理槽1の上方に到来した自動車ボディ4を降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽1内の処理液2中に半没させると共に、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させ、その全没状態で表面処理した自動車ボディ4を上昇させながら前記と逆方向に90°傾動させて半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて表面処理槽1から出槽させる。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディを塗装の前処理槽や電着槽等の表面処理槽に入出槽させて表面処理する方法と、自動車ボディを表面処理槽に入出槽させるために使用する台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の塗装ラインは、生産性を高めるために、自動車ボディをオーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて前処理槽や電着槽等の表面処理槽内を入槽側から出槽側へ搬送しながら表面処理を施すのが一般的である。
【0003】オーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて搬送される自動車ボディは、表面処理槽に入槽させる際にそのボディ内部に処理欠陥の原因となるエア溜り(エアポケット)が生ずるおそれがあるので、表面処理槽内には、自動車ボディの内部に表面処理液の噴流を噴き付けてエア溜りを払拭する噴流発生装置等が設置されている。また、電着槽には、均一な電着塗膜を形成するために、塗料液の成分を均一に分散させると同時に自動車ボディの表面にゴミなどが付着することを防止する塗料液攪拌装置等が設置されている。
【0004】しかし、自動車ボディの内部に生ずるエア溜りを払拭する装置や、表面処理液の攪拌装置等を設置すると、その設備費や保守点検費用が嵩むという問題があり、また、オーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて搬送する自動車ボディは、前上がりに傾斜した状態で表面処理槽から出槽させるが、その出槽の際における処理液の液切れが良くないため、ボディ表面に付着して次工程へ持ち込まれる処理液の量が多いという問題があった。
【0005】このような問題に鑑み、台車に搭載して連続搬送する自動車ボディを台車ごと裏返すように前方に180°回転させながら表面処理槽内に入槽させ、その裏返し状態で表面処理槽内の処理液中に一定時間浸漬させて表面処理を施した後、同一方向に更に180°回転させて表面処理槽内から出槽させる表面処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3339585号公報
【0007】この方法は、自動車ボディを裏返すように反転させながら表面処理槽内に入槽させるので、そのボディ内にエア溜りが生ずることがないと同時に、ボディを裏返した状態で表面処理するのでそのボディの外表面にゴミなどが付着することも少ない。また、自動車ボディを表面処理槽内で回転させることによって処理液が攪拌されるので、電着槽にあっては、別途攪拌装置を設けなくても塗料液の成分を均一に分散させることができる。更に、自動車ボディを回転させながら出槽させるので、そのボディ表面に付着した処理液の液切れが非常に良くなり、次工程への処理液の持ち込み量が著しく低減されるという数々の利点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、台車に搭載して連続搬送される自動車ボディを表面処理槽内の処理液中で回転させると、そのボディに処理液の慣性力が強く作用して歪みや凹みを生ずるおそれがある。また、表面処理槽は、連続搬送される自動車ボディを前方に1回転させるために必要な距離と、半回転して裏返し状態となった自動車ボディを処理液中に一定時間浸漬して搬送するために必要な距離とを和した長さを有するものでなければならないので、その全長が著しく長くなって設置スペースが大きくなると同時に、処理液の使用量も多くなってランニングコストが嵩むという問題がある。
【0009】そこで本発明は、自動車ボディをボディ内部にエア溜りが生じない姿勢で表面処理槽に入槽させることができると同時に、ボディ表面に付着した処理液の液切れが良い姿勢で表面処理槽から出槽させることができ、しかも、自動車ボディが処理液の慣性力によって歪みや凹みを生ずるおそれがなく、また、表面処理槽を小型化してその設置スペースを小さくすることができ、処理液の使用量も大幅に低減できる表面処理方法を提供することを技術的課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、自動車ボディを昇降させて表面処理槽に入出槽させるバッチ式の表面処理方法であって、表面処理槽の上方に到来した自動車ボディを降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽内の処理液中に半没させると共に、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させ、その全没状態で表面処理した自動車ボディを上昇させながら前記と逆方向に90°傾動させて半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて表面処理槽から出槽させることを特徴とする。
【0011】本発明の表面処理方法は、自動車ボディを昇降させて表面処理槽に入出槽させるバッチ式であるから、表面処理槽の長さは、自動車ボディの全長よりも若干長い程度で足り、その容量も小さくて足りるので、表面処理槽の設置スペースが低減されると同時に、処理液の使用量も低減される。
【0012】また、自動車ボディを降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽の処理液中に半没させ、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させるので、入槽の際にボディ内部にエア溜りが生じないのみならず、表面処理槽の深さを最小限に抑えることができる。すなわち、自動車ボディを前後方向に90°傾動させて垂直に立てたときに、そのボディを処理液中に全没させずに、半没状態とし、その半没状態で裏返して処理液中に全没させれば、全没させてから裏返す場合に比べて表面処理槽の深さを浅くすることができるので、表面処理槽の容量を小さくして処理液の使用量も著しく低減することができる。
【0013】また、自動車ボディは、表面処理槽内で搬送されずに、その槽内で前後方向に可逆的に180°回転せられるだけであるから、処理液の慣性力で歪みや凹みを生ずるおそれもない。
【0014】次に、請求項2に係る発明は、自動車ボディを表面処理槽に入出槽させる台車であって、自動車ボディを搭載するデッキ部が、該デッキ部を囲繞するデッキフレームの前後に設けられた上下方向にチルト可能なフロント・シリンダとリア・シリンダで支持されて、それらデッキ部、デッキフレーム、フロント・シリンダ及びリア・シリンダとで成る四節リンク機構が形成されると共に、フロント・シリンダとリア・シリンダが、互いに接近及び離反する方向に相対移動せられるように構成されていることを特徴とする。
【0015】本発明の台車は、デッキフレームの前後に設けられたフロント・シリンダとリア・シリンダの双方を下方にチルトさせながら、片方のシリンダのピストンロッドを伸長させると同時に、他方のシリンダを片方のシリンダと接近する方向に移動させることにより、双方のシリンダで支持されたデッキ部を降下させながら前後方向に90°傾動させて、水平状態から垂直状態とすることができる。
【0016】そして、片方のシリンダのピストンロッドを更に伸長させると同時に、その片方のシリンダに他方のシリンダを更に接近させて、他方のシリンダのピストンロッドを伸長させることにより、垂直状態のデッキ部を更に90°傾動させて、該デッキ部に搭載した自動車ボディを裏返した状態とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1〜図5は本発明に係る表面処理方法の一連の手順とその方法に用いる台車の基本構造を示す側面図、図6はその台車の平面図である。
【0018】図中、1は処理液2を貯留した表面処理槽、3はその表面処理槽1に自動車ボディ4を入出槽させる台車であり、該台車3は、自動車ボディ4を搭載するデッキ部5が、該デッキ部5を囲繞するデッキフレーム6の前後に設けられた上下方向にチルト可能なフロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R,8Lで支持されて、それらデッキ部5、デッキフレーム6、フロント・シリンダ7R、7L及びリア・シリンダ8R,8Lとで成る四節リンク機構が形成されると共に、フロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R,8Lが、デッキフレーム6の前後方向に沿って互いに接近及び離反する方向に相対移動せられるように構成されている。
【0019】デッキフレーム6は、自動車ボディ4を搭載するデッキ部5の周囲を囲う方形枠を成し、その前枠部9と後枠部10の内側に沿って夫々平行に、左右一対のフロント・シリンダ7R、7Lを取り付けて上下方向にチルトさせる第一チルト軸11と、左右一対のリア・シリンダ8R,8Lを取り付けて上下方向にチルトさせる第二チルト軸12とが設けられている。
【0020】そして、第一チルト軸11には、その回転角度を可変調節するサーボモータ等で成るチルト駆動機構13と、該チルト軸11をデッキフレーム6の側枠14R、14Lに沿って水平方向に移動させるスライド駆動機構15が設けられ、また、第二チルト軸12には、その回転角度を可変調節するチルト駆動機構16が設けられている。
【0021】第一チルト軸11に取り付けたフロント・シリンダ7R、7Lは、そのピストンロッド17の先端が、デッキ部5の前部側の左右側端に対して夫々回り対偶に連結され、第二チルト軸12に取り付けたリア・シリンダ8R,8Lは、そのピストンロッド18の先端が、デッキ部5の後部側の左右側端に対して夫々回り対偶に連結されている。
【0022】以上が、表面処理槽1に自動車ボディ4を入出槽させる台車3の構成であり、次に、該台車3を使用した自動車ボディ4の表面処理方法について説明する。
【0023】図1の如く、自動車ボディ4が台車3のデッキ部5に搭載されて表面処理槽1の上方に到来すると、図2の如く、デッキフレーム6の前後に設けられたフロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R、8Lの双方を下方にチルトさせながら、リア・シリンダ8R、8Lのピストンロッド18を伸長させると同時に、フロント・シリンダ7R、7Lをリア・シリンダ8R、8Lと接近する方向に移動させて、両シリンダ7R、7L及び8R、8Lで支持されたデッキ部5を降下させながら前後方向に90°傾動させ、そのデッキ部5を図1の水平状態から図3の如き垂直状態とする。
【0024】次いで、図3の状態から、図4の如く、リア・シリンダ8R、8Lのピストンロッド18を更に伸長させると同時に、そのリア・シリンダ8R、8Lに対してフロント・シリンダ7R、7Lを更に接近させて、フロント・シリンダ7R、7Lのピストンロッド17を伸長させることにより、デッキ部5を図3の垂直状態からに更に90°傾動させて、図5の如く水平に裏返した状態とする。
【0025】上記のような台車3の一連の動作により、表面処理槽1の上方に到来した自動車ボディ4を降下させながら前後方向に90°傾動させて図3の如く表面処理槽1内の処理液2中に半没させ、その半没状態から更に90°傾動させて図5の如く裏返した状態で全没するように入槽させる。これによって、自動車ボディ4は、そのボディ内部にエア溜りを生ずることなく入槽させることができ、また、ボディの表面にゴミなどが付着し難いので、処理品質が高まる。
【0026】そして、台車3を上記とは逆に図5から図1に至る手順で動作させることにより、図5の如き全没状態で表面処理した自動車ボディ4を上昇させながら上記とは逆方向に90°傾動させて図3の如き半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて図1の如く表面処理槽1から出槽させる。
【0027】以上の如くすれば、表面処理槽1に入槽する自動車ボディ4の内部にエア溜りが生ずることがなく、そのボディの外表面にゴミなどが付着する量も少なく、また、出槽の際に処理液の液切れが良いばかりか、表面処理槽1を著しく小型化してその設置スペースを低減できると同時に処理液2の使用量も著しく低減することができ、更に、自動車ボディ4が処理液2の慣性力で歪みや凹みを生ずるおそれもない。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車ボディを表面処理槽に入槽させる際にそのボディ内部にエア溜りが生ずることがなく、表面処理槽から出槽させる際にボディ表面に付着した処理液の液切れが良いと同時に、自動車ボディが処理液の慣性力によって歪みや凹みを生ずるおそれがなく、また、表面処理槽を小型化してその設置スペースを小さくすることができ、処理液の使用量も大幅に低減できるという種々の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面処理方法の手順1を示す側面図
【図2】本発明に係る表面処理方法の手順2を示す側面図
【図3】本発明に係る表面処理方法の手順3を示す側面図
【図4】本発明に係る表面処理方法の手順4を示す側面図
【図5】本発明に係る表面処理方法の手順5を示す側面図
【図6】本発明に係る表面処理方法に用いる台車の平面図
【符号の説明】
1………………表面処理槽
2………………処理液
3………………台車
4………………自動車ボディ
5………………デッキ部
6………………デッキフレーム
7R、7L……フロント・シリンダ
8R、8L……リア・シリンダ
11………………第一チルト軸
12………………第二チルト軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディを塗装の前処理槽や電着槽等の表面処理槽に入出槽させて表面処理する方法と、自動車ボディを表面処理槽に入出槽させるために使用する台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の塗装ラインは、生産性を高めるために、自動車ボディをオーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて前処理槽や電着槽等の表面処理槽内を入槽側から出槽側へ搬送しながら表面処理を施すのが一般的である。
【0003】オーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて搬送される自動車ボディは、表面処理槽に入槽させる際にそのボディ内部に処理欠陥の原因となるエア溜り(エアポケット)が生ずるおそれがあるので、表面処理槽内には、自動車ボディの内部に表面処理液の噴流を噴き付けてエア溜りを払拭する噴流発生装置等が設置されている。また、電着槽には、均一な電着塗膜を形成するために、塗料液の成分を均一に分散させると同時に自動車ボディの表面にゴミなどが付着することを防止する塗料液攪拌装置等が設置されている。
【0004】しかし、自動車ボディの内部に生ずるエア溜りを払拭する装置や、表面処理液の攪拌装置等を設置すると、その設備費や保守点検費用が嵩むという問題があり、また、オーバーヘッドコンベアのハンガーに載せて搬送する自動車ボディは、前上がりに傾斜した状態で表面処理槽から出槽させるが、その出槽の際における処理液の液切れが良くないため、ボディ表面に付着して次工程へ持ち込まれる処理液の量が多いという問題があった。
【0005】このような問題に鑑み、台車に搭載して連続搬送する自動車ボディを台車ごと裏返すように前方に180°回転させながら表面処理槽内に入槽させ、その裏返し状態で表面処理槽内の処理液中に一定時間浸漬させて表面処理を施した後、同一方向に更に180°回転させて表面処理槽内から出槽させる表面処理方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3339585号公報
【0007】この方法は、自動車ボディを裏返すように反転させながら表面処理槽内に入槽させるので、そのボディ内にエア溜りが生ずることがないと同時に、ボディを裏返した状態で表面処理するのでそのボディの外表面にゴミなどが付着することも少ない。また、自動車ボディを表面処理槽内で回転させることによって処理液が攪拌されるので、電着槽にあっては、別途攪拌装置を設けなくても塗料液の成分を均一に分散させることができる。更に、自動車ボディを回転させながら出槽させるので、そのボディ表面に付着した処理液の液切れが非常に良くなり、次工程への処理液の持ち込み量が著しく低減されるという数々の利点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、台車に搭載して連続搬送される自動車ボディを表面処理槽内の処理液中で回転させると、そのボディに処理液の慣性力が強く作用して歪みや凹みを生ずるおそれがある。また、表面処理槽は、連続搬送される自動車ボディを前方に1回転させるために必要な距離と、半回転して裏返し状態となった自動車ボディを処理液中に一定時間浸漬して搬送するために必要な距離とを和した長さを有するものでなければならないので、その全長が著しく長くなって設置スペースが大きくなると同時に、処理液の使用量も多くなってランニングコストが嵩むという問題がある。
【0009】そこで本発明は、自動車ボディをボディ内部にエア溜りが生じない姿勢で表面処理槽に入槽させることができると同時に、ボディ表面に付着した処理液の液切れが良い姿勢で表面処理槽から出槽させることができ、しかも、自動車ボディが処理液の慣性力によって歪みや凹みを生ずるおそれがなく、また、表面処理槽を小型化してその設置スペースを小さくすることができ、処理液の使用量も大幅に低減できる表面処理方法を提供することを技術的課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、自動車ボディを昇降させて表面処理槽に入出槽させるバッチ式の表面処理方法であって、表面処理槽の上方に到来した自動車ボディを降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽内の処理液中に半没させると共に、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させ、その全没状態で表面処理した自動車ボディを上昇させながら前記と逆方向に90°傾動させて半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて表面処理槽から出槽させることを特徴とする。
【0011】本発明の表面処理方法は、自動車ボディを昇降させて表面処理槽に入出槽させるバッチ式であるから、表面処理槽の長さは、自動車ボディの全長よりも若干長い程度で足り、その容量も小さくて足りるので、表面処理槽の設置スペースが低減されると同時に、処理液の使用量も低減される。
【0012】また、自動車ボディを降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽の処理液中に半没させ、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させるので、入槽の際にボディ内部にエア溜りが生じないのみならず、表面処理槽の深さを最小限に抑えることができる。すなわち、自動車ボディを前後方向に90°傾動させて垂直に立てたときに、そのボディを処理液中に全没させずに、半没状態とし、その半没状態で裏返して処理液中に全没させれば、全没させてから裏返す場合に比べて表面処理槽の深さを浅くすることができるので、表面処理槽の容量を小さくして処理液の使用量も著しく低減することができる。
【0013】また、自動車ボディは、表面処理槽内で搬送されずに、その槽内で前後方向に可逆的に180°回転せられるだけであるから、処理液の慣性力で歪みや凹みを生ずるおそれもない。
【0014】次に、請求項2に係る発明は、自動車ボディを表面処理槽に入出槽させる台車であって、自動車ボディを搭載するデッキ部が、該デッキ部を囲繞するデッキフレームの前後に設けられた上下方向にチルト可能なフロント・シリンダとリア・シリンダで支持されて、それらデッキ部、デッキフレーム、フロント・シリンダ及びリア・シリンダとで成る四節リンク機構が形成されると共に、フロント・シリンダとリア・シリンダが、互いに接近及び離反する方向に相対移動せられるように構成されていることを特徴とする。
【0015】本発明の台車は、デッキフレームの前後に設けられたフロント・シリンダとリア・シリンダの双方を下方にチルトさせながら、片方のシリンダのピストンロッドを伸長させると同時に、他方のシリンダを片方のシリンダと接近する方向に移動させることにより、双方のシリンダで支持されたデッキ部を降下させながら前後方向に90°傾動させて、水平状態から垂直状態とすることができる。
【0016】そして、片方のシリンダのピストンロッドを更に伸長させると同時に、その片方のシリンダに他方のシリンダを更に接近させて、他方のシリンダのピストンロッドを伸長させることにより、垂直状態のデッキ部を更に90°傾動させて、該デッキ部に搭載した自動車ボディを裏返した状態とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1〜図5は本発明に係る表面処理方法の一連の手順とその方法に用いる台車の基本構造を示す側面図、図6はその台車の平面図である。
【0018】図中、1は処理液2を貯留した表面処理槽、3はその表面処理槽1に自動車ボディ4を入出槽させる台車であり、該台車3は、自動車ボディ4を搭載するデッキ部5が、該デッキ部5を囲繞するデッキフレーム6の前後に設けられた上下方向にチルト可能なフロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R,8Lで支持されて、それらデッキ部5、デッキフレーム6、フロント・シリンダ7R、7L及びリア・シリンダ8R,8Lとで成る四節リンク機構が形成されると共に、フロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R,8Lが、デッキフレーム6の前後方向に沿って互いに接近及び離反する方向に相対移動せられるように構成されている。
【0019】デッキフレーム6は、自動車ボディ4を搭載するデッキ部5の周囲を囲う方形枠を成し、その前枠部9と後枠部10の内側に沿って夫々平行に、左右一対のフロント・シリンダ7R、7Lを取り付けて上下方向にチルトさせる第一チルト軸11と、左右一対のリア・シリンダ8R,8Lを取り付けて上下方向にチルトさせる第二チルト軸12とが設けられている。
【0020】そして、第一チルト軸11には、その回転角度を可変調節するサーボモータ等で成るチルト駆動機構13と、該チルト軸11をデッキフレーム6の側枠14R、14Lに沿って水平方向に移動させるスライド駆動機構15が設けられ、また、第二チルト軸12には、その回転角度を可変調節するチルト駆動機構16が設けられている。
【0021】第一チルト軸11に取り付けたフロント・シリンダ7R、7Lは、そのピストンロッド17の先端が、デッキ部5の前部側の左右側端に対して夫々回り対偶に連結され、第二チルト軸12に取り付けたリア・シリンダ8R,8Lは、そのピストンロッド18の先端が、デッキ部5の後部側の左右側端に対して夫々回り対偶に連結されている。
【0022】以上が、表面処理槽1に自動車ボディ4を入出槽させる台車3の構成であり、次に、該台車3を使用した自動車ボディ4の表面処理方法について説明する。
【0023】図1の如く、自動車ボディ4が台車3のデッキ部5に搭載されて表面処理槽1の上方に到来すると、図2の如く、デッキフレーム6の前後に設けられたフロント・シリンダ7R、7Lとリア・シリンダ8R、8Lの双方を下方にチルトさせながら、リア・シリンダ8R、8Lのピストンロッド18を伸長させると同時に、フロント・シリンダ7R、7Lをリア・シリンダ8R、8Lと接近する方向に移動させて、両シリンダ7R、7L及び8R、8Lで支持されたデッキ部5を降下させながら前後方向に90°傾動させ、そのデッキ部5を図1の水平状態から図3の如き垂直状態とする。
【0024】次いで、図3の状態から、図4の如く、リア・シリンダ8R、8Lのピストンロッド18を更に伸長させると同時に、そのリア・シリンダ8R、8Lに対してフロント・シリンダ7R、7Lを更に接近させて、フロント・シリンダ7R、7Lのピストンロッド17を伸長させることにより、デッキ部5を図3の垂直状態からに更に90°傾動させて、図5の如く水平に裏返した状態とする。
【0025】上記のような台車3の一連の動作により、表面処理槽1の上方に到来した自動車ボディ4を降下させながら前後方向に90°傾動させて図3の如く表面処理槽1内の処理液2中に半没させ、その半没状態から更に90°傾動させて図5の如く裏返した状態で全没するように入槽させる。これによって、自動車ボディ4は、そのボディ内部にエア溜りを生ずることなく入槽させることができ、また、ボディの表面にゴミなどが付着し難いので、処理品質が高まる。
【0026】そして、台車3を上記とは逆に図5から図1に至る手順で動作させることにより、図5の如き全没状態で表面処理した自動車ボディ4を上昇させながら上記とは逆方向に90°傾動させて図3の如き半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて図1の如く表面処理槽1から出槽させる。
【0027】以上の如くすれば、表面処理槽1に入槽する自動車ボディ4の内部にエア溜りが生ずることがなく、そのボディの外表面にゴミなどが付着する量も少なく、また、出槽の際に処理液の液切れが良いばかりか、表面処理槽1を著しく小型化してその設置スペースを低減できると同時に処理液2の使用量も著しく低減することができ、更に、自動車ボディ4が処理液2の慣性力で歪みや凹みを生ずるおそれもない。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車ボディを表面処理槽に入槽させる際にそのボディ内部にエア溜りが生ずることがなく、表面処理槽から出槽させる際にボディ表面に付着した処理液の液切れが良いと同時に、自動車ボディが処理液の慣性力によって歪みや凹みを生ずるおそれがなく、また、表面処理槽を小型化してその設置スペースを小さくすることができ、処理液の使用量も大幅に低減できるという種々の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面処理方法の手順1を示す側面図
【図2】本発明に係る表面処理方法の手順2を示す側面図
【図3】本発明に係る表面処理方法の手順3を示す側面図
【図4】本発明に係る表面処理方法の手順4を示す側面図
【図5】本発明に係る表面処理方法の手順5を示す側面図
【図6】本発明に係る表面処理方法に用いる台車の平面図
【符号の説明】
1………………表面処理槽
2………………処理液
3………………台車
4………………自動車ボディ
5………………デッキ部
6………………デッキフレーム
7R、7L……フロント・シリンダ
8R、8L……リア・シリンダ
11………………第一チルト軸
12………………第二チルト軸
Claims (2)
- 自動車ボディを昇降させて表面処理槽に入出槽させるバッチ式の表面処理方法であって、表面処理槽(1)の上方に到来した自動車ボディ(4)を降下させながら前後方向に90°傾動させて表面処理槽(1)内の処理液(2)中に半没させると共に、その半没状態から更に90°傾動させて裏返した状態で全没するように入槽させ、その全没状態で表面処理した自動車ボディ(4)を上昇させながら前記と逆方向に90°傾動させて半没状態とし、その半没状態から更に90°傾動させて表面処理槽(1)から出槽させることを特徴とする表面処理方法。
- 自動車ボディを表面処理槽に入出槽させる台車であって、自動車ボディを搭載するデッキ部(5)が、該デッキ部を囲繞するデッキフレーム(6)の前後に設けられた上下方向にチルト可能なフロント・シリンダ(7R、7L)とリア・シリンダ(8R、8L)で支持されて、それらデッキ部(5)、デッキフレーム(6)、フロント・シリンダ(7R、7L)及びリア・シリンダ(8R、8L)とで成る四節リンク機構が形成されると共に、フロント・シリンダ(7R、7L)とリア・シリンダ(8R、8L)が、互いに接近及び離反する方向に相対移動せられるように構成されていることを特徴とする台車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
WO2007077056A1 (de) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Siemens Aktiengesellschaft | Fördersystem |
WO2008126108A1 (en) * | 2007-03-02 | 2008-10-23 | Geico S.P.A. | Handling device for driving, dipping and turning motorvehicle and van bodyworks, truck cabins and metal articles vessels into procession basins |
JP2010037638A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Nippon Parkerizing Co Ltd | 金属構成体の表面処理方法 |
JP2010194447A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Nakanishi Metal Works Co Ltd | 搬送装置 |
-
2003
- 2003-03-20 JP JP2003077557A patent/JP2004283690A/ja active Pending
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