JP5531961B2 - キシリレンジアミンの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、不均一系触媒のニッケル−銅−モリブデン系触媒により、フタロニトリル類を気液固三相下で水素により接触水素化反応により還元することが開示されており、固定床方式による連続接触水素化反応が開示されている(特許文献1参照)。
不均一系触媒を用いた固定床方式により、フタロニトリル類を水素化してキシリレンジアミンを製造する方法においては、不均一系触媒である水素化触媒の活性の低下が速いという欠点がある。このため、固定床方式によるフタロニトリル類の水素化反応を長期間実施するには、触媒を再生・賦活させることが必要となる。
工業的に触媒を使用する場合、通常少なくとも1年以上の触媒寿命が必要である。触媒活性等の性能が低下する原因としては、多くの要因が複雑に関係しあっていると考えられる。フタロニトリル類の水素化によりキシリレンジアミンを製造する際に使用する水素化触媒の場合も、使用中の触媒活性の低下は複数の要因が関係していると考えられるが、その主要因は、重合や縮合で生じた高沸副生物の炭素含有の有機物が触媒表面上に蓄積することなどが考えられる。なお、ここでいう触媒寿命とは、触媒活性が全く無くなるまでの時間ということではなく、工業的に連続使用可能かどうかという尺度で判断される触媒寿命の時間のことである。
そこで、本発明の課題は、フタロニトリル類を水素化させてキシリレンジアミンを製造する水素化反応において、触媒活性の低下又は触媒層差圧が増加した水素化触媒の再生・賦活及び触媒層差圧を改善しながら触媒を継続使用するキシリレンジアミンの製造方法を提供することにある。
[A]フタロニトリル類を溶媒に溶解した溶液を、触媒を充填した反応器に供給し、水素化反応によりキシリレンジアミンを得る製造方法であって、
(1)前記溶液の供給を中断し、
(2)フタロニトリル類の含有量が3質量%以下であり、且つキシリレンジアミン含有量が1質量%以上である洗浄液を前記触媒に接触させ、
(3)接触後に前記溶液の供給を再開し、前記触媒を継続して水素化反応に使用する
ことを特徴とするキシリレンジアミンの製造方法。
[B]前記(2)において、洗浄液を20〜180℃で前記触媒に接触させる、上記[A]に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
[C]前記(2)において使用する洗浄液が、フタロニトリル類の水素化反応によって得られた水素化反応液である、上記[A]又は[B]に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
[E]前記(2)において、洗浄液を、水素及び/又は窒素雰囲気下で触媒に接触させる、上記[A]〜[D]のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
[F]前記フタロニトリル類がイソフタロニトリルである、上記[A]〜[E]のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
[G]前記溶媒が液体アンモニアである、上記[A]〜[F]のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
[H]前記溶媒が液体アンモニアであり、前記(2)において、該液体アンモニアの一部又は全部を除いた水素化反応液を洗浄液として用いる、上記[C]〜[F]のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
また、水素化反応により触媒活性の低下した水素化触媒を、循環流通方式又はワンパス流通方式により、フタロニトリル類の含有量が3質量%以下であり、かつ、キシリレンジアミン含有量が1質量%以上である洗浄液(以下、単に洗浄液と略すこともある)を通液し、触媒に接触させて洗浄する操作は極めて簡単な操作であり、反応器に触媒を充填したまま容易に行うこともでき、工業的に有用である。
さらに、特許文献2等に記載の水素化分解に比べて、より低温で触媒の再生処理をすることができ、触媒温度の急上昇による装置制御不能や触媒劣化(触媒のシンタリングや粉化等)を回避し、安全かつ有効で効果的な再生が可能である。従って、触媒を長期間継続使用することが可能となり、触媒費用の大幅な削減が可能となる。
本発明の原料に用いられるフタロニトリル類(以下、原料フタロニトリル類と称することもある)としては、オルトフタロニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリルが挙げられる。本発明では、フタロニトリル類として、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の製造方法においては、イソフタロニトリルを原料として好ましく用いることができる。該イソフタロニトリルは、オルトフタロニトリルやテレフタロニトリルが全フタロニトリル類の好ましくは10質量%以下(より好ましくは6質量%以下)の割合で混入した混合物であっても好ましく用いることができる。
例えば、キシレンのアンモ酸化は、特公昭49−45860号公報、特開昭49−13141号公報、特開昭63−190646号公報、特開平5−170724号公報、特開平1−275551号公報、特開平5−170724号公報、特開平9−71561号公報等に記載の、公知触媒及び公知方法で実施することができる。
本発明では、フタロニトリル類を溶媒に溶解した溶液を、触媒を充填した反応器に供給し、水素化反応に付すことによりキシリレンジアミンを得る。
本発明の製造方法により得られるキシリレンジアミンとしては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンの3つの異性体が挙げられる。原料としてイソフタロニトリルを用いた場合には、メタキシリレンジアミンが主生成物となる。
本発明では、フタロニトリル類の水素化の反応形式は、固定床のみならず、懸濁床でもよいが、固定床が好ましい。なお、水素化反応は、連続流通式の反応器を使用して行う。
同一触媒を用いてフタロニトリル類の水素化反応を長期間連続的に実施していると、触媒の活性が低下し、且つ触媒層差圧が増加してくるため、キシリレンジアミンの製造の継続が困難となる。
そこで、本発明では、以下の操作(1)〜(3)を実施することにより、触媒のシンタリングや粉化を抑制しつつ、効果的に触媒を再生・賦活し、且つ触媒層差圧を低減することを可能にした。
(1)前記原料フタロニトリル類溶液の供給を中断する。
(2)次いで、フタロニトリル類の含有量が3質量%以下であり、且つキシリレンジアミン含有量が1質量%以上である洗浄液を前記触媒に接触させる。
(3)接触後に前記溶液の供給を再開し、前記触媒を継続して水素化反応に使用する。
なお、「失活」とは、目的の水素化反応に対して触媒としての機能を完全に失うということではなく、生産性、ユーティリティー及びコスト等の実用面からみて工業的に使用できない状態である。
触媒活性が低下するに伴って反応液中の反応中間体である3−シアノベンジルアミン(以下、反応中間体CBAと称する)の濃度が高まり、水素化反応を継続するに従って水素化触媒層差圧が上昇してくるため、前記(1)において、原料フタロニトリル類溶液の供給の中断は、反応中間体CBAの濃度や触媒層差圧を指標として判断することができる。
具体的には、反応中間体CBAの濃度が好ましくは13質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上となった時点で、原料フタロニトリル類溶液の供給を中断すればよい。また、触媒層差圧の上昇がみられた時点で適時原料フタロニトリル類溶液の供給を中断すればよく、安定してキシリレンジアミンを製造する観点から、原料フタロニトリル類溶液の供給不能となる前に原料フタロニトリル類溶液の供給を中断することが好ましい。なお、触媒層差圧は、実施例に記載の方法により求めた値である。
また、反応中間体CBAの濃度や触媒層差圧を指標とせずに、触媒活性が低下し過ぎず、且つ触媒層差圧が増大し過ぎない程度の一定時間間隔により供給を中断する方法も有効である。
原料フタロニトリル類溶液の供給を中断した後、触媒が充填された反応器へ洗浄液を通液して、洗浄液を触媒と接触させる。この操作(2)により、触媒の再生・賦活効果及び触媒層差圧の改善効果がある。これは、既に重合あるいは縮合反応等で高沸副生物に変化しつつある有機物(以下、高沸副生物前駆体と称する)を触媒表面から脱離させることができたためと考えられる。
すなわち、前記操作(1)においては、反応中間体CBAの濃度の上昇がほとんどなく、触媒層差圧もみられない時点で原料フタロニトリル類溶液の供給を止めることが、操作(2)による効果発現の観点から好ましい。触媒表面上への上記高沸副生物前駆体の吸着による活性点(水素化反応が起きるスポット)の減少が失活の主原因たるものである場合には、上記のように、吸着した高沸副生物前駆体を触媒表面上から脱離させ除去することができれば触媒活性が再生される。
該洗浄液中のキシリレンジアミン濃度は、触媒の再生・賦活及び触媒層差圧低減の観点から、1〜100質量%であることが重要であり、3〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がより好ましく、95〜100質量%がより好ましく、99〜100質量%がさらに好ましい。
なお、反応目的物がメタキシリレンジアミンである場合、反応目的物のメタキシレンジアミンの他に、異性体であるオルトキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンを混合して洗浄液として使用できる。但し、異性体を混合して使用する場合は、別途、混合液から異性体を蒸留により分離回収する操作や装置が必要になる。
なお、上記の様に、洗浄液として水素化反応液を利用する場合、洗浄液中の反応中間体CBA濃度および高沸副生物(高沸副生物前駆体を含む。)の濃度は、触媒洗浄効果の観点から、それぞれ、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
洗浄(接触)時間は、触媒の再生・賦活及び触媒層差圧低減の観点から、30分以上が好ましく、1〜20時間がより好ましい。
反応停止前の反応器内圧力を保持したまま、触媒と洗浄液の接触温度を前記温度範囲に保持、又は洗浄液を前記温度範囲に保持した状態で洗浄操作を実施することにより、高沸副生物前駆体の洗浄液への溶解量が多くなり、効果的となる。
洗浄液を触媒に接触させる操作については特に制限は無いが、例えば原料フタロニトリル類溶液の供給停止後、反応器内を洗浄液で満たすことにより触媒に接触させる方法や、洗浄液の少なくとも一部を、循環流通方式又はワンパス流通方式により反応器へ流通させることにより触媒に接触させる方法等が挙げられる。
ここで、循環流通方式とは、連続流通式の反応器の出口からの洗浄液の少なくとも一部を反応器の入口に循環使用する流通方式であり、ワンパス流通方式とは、連続流通方式の反応器の出口からの洗浄液を再使用しない流通方式を意味する。
同様に、トリクル流れを形成するために洗浄操作時に使用する水素のガス流量、窒素のガス流量、及び水素濃度等の値も固定化されたものではなく、操作を通してこれらの値の少なくとも1つ以上を変化させ、状況に応じてこれらの値の少なくとも1つ以上を変更できる。
操作(2)の後に、原料フタロニトリル類溶液の供給を再開し、洗浄操作に付された触媒により、フタロニトリル類の水素化反応を再開する。
その後、前記操作(1)〜(3)を必要に応じて繰り返すことにより、フタロニトリル類の水素化反応を長期間連続的に実施することも可能である。
フタロニトリル類の水素化反応によって得られるキシリレンジアミンの取得方法に特に制限は無く、公知の方法を採用すればよい。
例えば、触媒を充填した反応器を流通してきた水素化反応液から、高沸副生物、高沸副生物前駆体及び低沸物等を蒸留によって除去することにより、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと称する)純度99質量%以上のキシリレンジアミンを得ることができる。例えばイソフタロニトリルの水素化反応であれば、通常、GC純度99.95質量%程度のメタキシリレンジアミンを得ることもできる。洗浄操作で使用した洗浄液からも、メタキシリレンジアミンを蒸留により得ることができる。
以下の各例においては、メタキシリレンジアミンをMXDAと称することがある。
また、各例において行った水素化反応液のガスクロマトグラフィー(GC)分析方法及び触媒層差圧の測定方法は、以下の通りである。なお、各例において、水素化反応液をサンプリングしてガスクロマトグラフィー(GC)分析を行うタイミングが異なることもある。
装置:Agilent 6890(Agilent Technologies社製)
注入口温度:230℃
カラム:Agilent J&W GCカラム「DB−1」(Agilent Technologies社製)
カラム温度:100℃〜280℃
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
注入:原料あるいはサンプリング液を、溶媒以外の成分が1〜5質量%になる様にメタノールあるいはテトラヒドロフランで希釈したものを注入した。
デジタル式圧力測定器(VALCOM製圧力センサー)を反応器の入口及び出口に設置し、各値の差を触媒層差圧とした。数値が高い程、通液状況が悪化していることを示す。
(水素化反応)
内径25mmφのSUS製の反応器に、ニッケル含量50質量%であるニッケル/珪藻土担体の触媒(円柱状、直径3mmφ、高さ3mm)を120mL充填し、水素気流下200℃で還元して触媒を活性化させた。冷却後、反応器及びそれらをつなぐ配管内に水素ガスを圧入して一定圧力8MPaに保ち、外部加熱により反応器内を70℃に維持した。
反応器の入口より13L/hで水素ガスの供給を開始した。水素ガスの流通状態を保ちながら、原料イソフタロニトリル(三菱瓦斯化学株式会社製、メタキシレンのアンモ酸化反応により得られた製品、純度94質量%以上)を1質量部、液体アンモニア(三菱化学株式会社製、純度99.9質量%)を9質量部の割合で混合した原料液を139g/hで反応器の入口より供給し、反応器内の温度70℃にて、トリクルベッド方式の連続的な水素化反応を行い、反応器の出口からは、水素化反応によって得られた水素化反応液を抜出した。反応開始後、適時、反応器の出口より抜出した水素化反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。
(水素化反応停止:操作(1))
水素化反応を開始してから300時間後、原料液の供給のみを停止した。
(触媒洗浄:操作(2))
反応器内の温度を70℃に維持し、反応器の入口から洗浄液として三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA[GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10質量ppm以下(GC検出限界以下)]800gを139g/hで反応器へ供給した(洗浄時間約6時間、ワンパス流通方式)。
洗浄操作を行なった後の洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
(水素化反応再開:操作(3))
洗浄終了後、水素ガスの流通状態を保ちながら、原料イソフタロニトリル1質量部及び液体アンモニア9質量部の割合で混合した原料液を139g/hで反応器の入口より供給し、反応器内の温度70℃にて連続的な水素化反応を再開した。
水素化反応再開後、適時、反応器の出口より抜出した水素化反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表1に示す。
実施例1において、水素化反応停止[操作(1)]及び触媒洗浄[操作(2)]を行わず、そのまま水素化反応を継続したこと以外は実施例1と同様にして、連続的な水素化反応を行った。反応開始後、適時、反応器の出口より抜出した水素化反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。
反応開始から600時間経過した時点で原料イソフタロニトリルの転化率100質量%、反応目的物であるMXDAの選択率78.1質量%、反応中間体CBAの選択率18.1質量%となり水素化触媒活性の低下が認められ、触媒層差圧も0.14MPaとなり増大した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表1に示す。
実施例1において、水素化反応温度を70℃から80℃に変更し、反応停止[操作(1)]及び触媒洗浄[操作(2)]を行わず、そのまま水素化反応を継続したこと以外は実施例1と同様にして、連続的な水素化反応を行った。反応開始後、適時、反応器の出口より抜き出した水素化反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。
水素化反応開始から800時間経過した時点で触媒層差圧は0.29MPaに増大し、更に水素化反応開始から850時間経過した時点で原料液の供給の継続が難しくなり水素化反応を停止した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表1に示す。
実施例1において、洗浄液を、三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA(GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10質量ppm以下(GC検出限界以下))768gとイソフタロニトリル32gを混合した液800g(イソフタロニトリル濃度:4質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
水素化反応再開から300時間経過した時点で原料イソフタロニトリルの転化率100質量%、反応目的物MXDAの選択率77.3質量%、反応中間体CBAの選択率16.7質量%となり、水素化触媒活性の低下が認められ、触媒層差圧も0.13MPaとなり増大した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表1に示す。
実施例1において、洗浄液を液体アンモニアに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
水素化反応再開から300時間経過した時点で原料イソフタロニトリルの転化率100質量%、反応目的物MXDAの選択率78.8質量%、反応中間体CBAの選択率17.3質量%となり、水素化触媒活性の低下が認められ、触媒層差圧も0.12MPaとなり増大した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表1に示す。
実施例1において、洗浄液を、液体アンモニアを除去した水素化反応液[MXDAのGC純度94質量%、イソフタロニトリル約10質量ppm以下(GC検出限界以下)]に変更したこと以外は、実施例1と同様に実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
実施例1において、洗浄液を、三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA[GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10ppm以下(GC検出限界以下)]128gと液体アンモニアを672g混合した液800g(MXDA濃度:16質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様に実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
実施例1において、洗浄液を、三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA[GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10ppm以下(GC検出限界以下)]40gと液体アンモニアを760g混合した液800g(MXDA濃度:5質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様に実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
実施例1において、初めの水素化反応温度及び水素化反応再開[操作(3)]における水素化反応温度を70℃から80℃に変更し、操作(1)において、反応開始から800時間後に原料液の供給のみを停止し、触媒洗浄[操作(2)]の温度を70℃から110℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
実施例1において、触媒洗浄[操作(2)]の温度を70℃から20℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に実験及び分析を行った。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体が液体クロマトグラフィーで確認された。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
(水素化反応)
実施例1において、水素化反応温度を70℃から80℃に変更したこと以外は同様にして水素化反応を行った。
(水素化反応停止−1:操作(1))
水素化反応開始から100時間後、原料液の供給のみを停止した。
(触媒洗浄−1:操作(2))
反応器内の温度を80℃から90℃に昇温し、反応器の入口から洗浄液として三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA[GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10ppm以下(GC検出限界以下)]800gを139g/hで供給した。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体がわずかながら液体クロマトグラフィーで確認された。
(水素化反応再開−1:操作(3))
洗浄後、水素ガスの流通状態を保ちながら、原料イソフタロニトリル1質量部及び液体アンモニア9質量部の割合で混合した原料液を139g/hで反応器の入口より供給し、反応器内温度80℃にて連続的な水素化反応を再開した。
前記水素化反応の再開から100時間後、原料液の供給のみを再び停止した。
(触媒洗浄−2:操作(2))
反応器内の温度を80℃から90℃に昇温し、反応器の入口から洗浄液として三菱瓦斯化学株式会社製のMXDA[GC純度99.9質量%、イソフタロニトリル約10ppm以下(GC検出限界以下)]800gを139g/hで供給した。洗浄操作で使用した洗浄液からは、MXDA由来と考えられる高沸副生物前駆体がわずかながら液体クロマトグラフィーで確認された。
(水素化反応再開−2:操作(3))
洗浄後、水素ガスの流通状態を保ちながら、原料イソフタロニトリル1質量部及び液体アンモニア9質量部の割合で混合した原料液を139g/hで反応器の入口より供給し、反応器内温度80℃にて連続的な水素化反応を再開した。
MXDA及び反応中間体CBAの選択率並びに反応器内の触媒層差圧の推移を表2に示す。
一方、触媒の洗浄操作を行わなかった比較例1及び比較例2では、反応中間体CBAの濃度及び触媒層差圧が増加し続け、特に比較例2のように長時間反応を実施すると、原料の供給不能に陥り、水素化反応の継続が不可能となり、工業的に長期間実施するには耐えない方法であることがわかった。
また、触媒の洗浄操作を行ったとしても、洗浄液中のイソフタロニトリルの濃度が3質量%を超えている場合(比較例3)や、MXDAの濃度が1質量%に満たない場合(比較例4)では、十分な触媒再生・賦活効果を得られず、また触媒層差圧改善効果も不十分であり、工業的に実施するのは困難であった。なお、比較例3の結果は、水素化反応により得られる水素化反応液を洗浄液として用いる場合にも、水素化反応液中のイソフタロニトリルの濃度を3質量%以下に低減してから使用する必要があることを示している。
実施例1の水素化反応再開後300時間の結果と、比較例1〜4の水素化反応開始後600時間の結果とを比較すると、本発明の効果が顕著に現れていることがわかる。
Claims (8)
- オルトフタロニトリル、イソフタロニトリル及びテレフタロニトリルからなる群から選ばれる1種以上を溶媒に溶解した溶液を、触媒を充填した反応器に供給し、水素化反応によりキシリレンジアミンを得る製造方法であって、
(1)前記溶液の供給を中断し、
(2)オルトフタロニトリル、イソフタロニトリル及びテレフタロニトリルからなる群から選ばれる1種以上の含有量が3質量%以下であり、且つキシリレンジアミン含有量が1質量%以上である洗浄液を前記触媒に接触させ、
(3)接触後に前記溶液の供給を再開し、前記触媒を継続して水素化反応に使用する
ことを特徴とするキシリレンジアミンの製造方法。 - 前記(2)において、洗浄液を20〜180℃で前記触媒に接触させる、請求項1に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記(2)において使用する洗浄液が、オルトフタロニトリル、イソフタロニトリル及びテレフタロニトリルからなる群から選ばれる1種以上の水素化反応によって得られた水素化反応液である、請求項1又は2に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記(2)において、洗浄液の少なくとも一部を、循環流通方式又はワンパス流通方式により触媒に接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記(2)において、洗浄液を、水素及び/又は窒素雰囲気下で触媒に接触させる、請求項1〜4のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記フタロニトリル類がイソフタロニトリルである、請求項1〜5のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記溶媒が液体アンモニアである、請求項1〜6のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
- 前記溶媒が液体アンモニアであり、前記(2)において、該液体アンモニアの一部又は全部を除いた水素化反応液を洗浄液として用いる、請求項3〜6のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
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