JP5531950B2 - 架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クリーム、ローション、歯磨き粉、シャンプーなどの化粧品、水性塗料、水性接着剤およびシーリング材などの増粘剤、顔料および骨材などの沈降防止剤、ならびに乾電池の金属粉の分散安定剤などに利用される架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法に関する。本発明の製造方法は、工業的に極めて優れた製造方法である。
架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体は、単量体は溶解するが重合体は溶解しない性質の溶媒中で、ラジカル重合開始剤により、カルボキシル基含有単量体を含む単量体と架橋剤を沈殿重合させて製造することが知られている。
しかしながら、沈殿重合においては、重合開始直後から生成する重合体が溶媒に不溶なため、重合反応が進むにつれて、重合体が溶媒から沈殿析出してくる。この沈殿析出した重合体は一般的に凝集し易く、凝集した重合体は反応容器の壁面や攪拌翼に付着し、また、反応混合物の懸濁液粘度が非常に高いものとなる。その結果、最終製品である重合体粉末の粒度が大きくなり、場合によっては、塊状となって粉末化できないという問題を発生させる。
また、付着物の生成は、熱伝導の低下による未反応単量体の増加、付着領域での過熱による重合体品質のバラツキ、生産収量の低下などの問題を発生させ、さらに、不均化された熱伝導による溶媒の突沸なども起こりえる。
上記のとおり、沈殿重合では反応中に重合体が析出してくるため、反応器容量に対する単量体の仕込み量が少ない状態で反応を行なう必要があり、そのため、工業的生産性が悪くなるという問題がある。
これに対して、例えば、特許文献1(特開昭59−80411号公報)には、特定な界面活性剤を分散剤に使用する方法が開示され、特許文献2(特開平2−22312号公報)には、非極性溶媒と極性溶媒の混合溶媒中で、α、β−不飽和カルボン酸およびこれと共重合し得る架橋剤を重合させる方法が開示されている。
しかしながら、上記特定な界面活性剤は重合体に残留するため、水溶液の濁りや諸物性への影響が懸念される。
さらに、特定な界面活性剤や特定な溶媒を使用しても、析出重合に関する上記問題点の根本的な解決策にはなっていない。
さらに、特許文献3(特開2005−97630号公報)には、エチレン性不飽和低級カルボン酸又はその塩と架橋性単量体を、分割添加しながら重合を行なう架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法が開示されている。
しかしながら、単量体を分割添加するだけでは、析出重合に関する上記問題点の根本的な解決策にはなっていない。
また、特許文献4(特開2008−222931号公報)には、重合体溶液を攪拌しながら重合体を沈殿させる工程を含む重合体の製造方法で、該沈殿工程は、軸流型の攪拌翼を用いて攪拌することが開示されている。
しかしながら、軸流型の攪拌翼とは極めて広い範囲を含んでおり、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造における攪拌翼について、具体的に開示されていない。
上記のとおり、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体を工業的に効率的に製造する技術開発は十分ではなく、特に、重合の進行に伴う反応液の状態変化に対応した反応液の攪拌条件などについて、実用上十分に満足できるものではない。
特開昭59−80411号公報 特開平2−22312号公報 特開2005−97630号公報 特開2008−222931号公報
本発明は、上記現状を鑑みてなされたものであり、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法に関して、反応途中に析出する重合体の影響を極力少なくした状態で反応が継続できる製造方法を提供することを目的とする。その結果、最終製品である重合体粉末の粒度や水溶性粘度などの物性が安定した製品が提供される。また、本発明の製造方法によれば、反応器容量単位あたりの生産性を向上させることも可能である。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、反応中の反応液の攪拌を、特定の構造の攪拌翼を備えた攪拌機で行なうことにより、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の品質向上および生産性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の製造方法は、カルボキシル基含有単量体と架橋性単量体を、単量体は溶解するが、重合体は溶解しない有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤により沈殿重合させて、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体を製造する方法において、縦型円筒状の攪拌槽内の中心部に垂設される回転軸上の下端側に設置される、翼数が2〜6枚であるアンカー翼と、その上側に設置される翼数が2〜8枚であるパドル翼を備えた撹拌槽を反応器とすることを特徴とする架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
請求項2に記載の製造方法は、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の0.2質量%の中和水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が、3,000〜50,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
請求項3に記載の製造方法はカルボキシル基含有単量体がアクリル酸またはそのアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
請求項4に記載の製造方法は、複数のパドル翼を備えた撹拌槽であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
請求項5に記載の製造方法は、パドル翼の角度が水平面に対して30〜60度であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
請求項6に記載の製造方法は、反応器の容量に対する原料の総仕込み容量の割合が50%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
本発明の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法は、反応液の状態変化に対応した攪拌効果が期待できるものであり、低粘度液から高粘度液まで広い範囲で良好な混合を行なうことができる攪拌翼を用いた攪拌を行なうことで、反応途中で突沸が起こることなく、安定した品質の重合体を得ることができる。さらに、高粘度液での攪拌効果に特に優れているので、高粘度反応液の液量を増やすことができるため、反応器容量あたりの生産性を向上させることが可能となる。
翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が4枚で翼の角度が水平面に対して45度であるパドル翼の第2攪拌翼を2段備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が2枚で翼の角度が水平面に対して45度であるパドル翼の第2攪拌翼を2段備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が4枚で翼の角度が水平面に対して45度であるパドル翼を第2攪拌翼として備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が4枚で翼の角度が水平面に対して45度である小型のパドル翼を第2攪拌翼として備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が4枚で翼の角度が水平面に対して60度であるパドル翼を第2攪拌翼として備えた攪拌翼の概略図である。 翼数が2枚のアンカー翼を第1攪拌翼として備え、翼数が4枚で翼の角度が水平面に対して30度であるパドル翼を第2攪拌翼として備えた攪拌翼の概略図である。 佐竹化学機械工業(株)製の超高粘度域(撹拌Re数が1以下)での混合特性に優れた攪拌翼(商品名:スーパーミックス MR524)の概略図である。
本発明は、特定の構造の攪拌翼を備えた攪拌機を用いて反応液を十分に混合攪拌しながら、重合反応を行うことを特徴とする架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法である。
本発明における架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体には、水に完全に溶解するか、架橋しているために水には完全に溶解せずにマイクロゲル状に膨潤するものがあり、目視ではマイクロゲル状の粒子の存在が観察できないものを含む。
本発明における架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体を構成する必須の単量体は、エチレン性不飽和カルボン酸またはその塩と、架橋性単量体であり、他の重合性単量体を併用することも可能であるが、共重合体を構成する単量体全体の70質量%以上が、エチレン性不飽和カルボン酸またはその塩であることが好ましい。
前記エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、およびそれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸またはそのナトリウム塩が好ましく、市場からの入手が安価でかつ容易であることも好ましい理由である。
本発明で用いられる架橋性単量体としては、ポリアルケニルポリエーテル単量体、多価ビニル単量体などが挙げられ、具体的には、テトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、アリルサッカロース、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジアリルフタレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートおよびポリエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、テトラアリルオキシエタンおよびペンタエリスリトールトリアリルエーテルが好ましく用いることができる。
その他の単量体としては、例えば、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類の具体例としては、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、オクチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートなどのエーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
また、アクリルアミド類およびメタアクリルアミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
さらに、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメチルメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリルスチレン共重合体などのマクロモノマー類なども使用可能である。
同様に、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのエステル類なども使用でき、また、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなども挙げられる。
前記架橋性単量体の使用量は、架橋性単量体以外の単量体の合計量100質量部に対して2.0質量部以下で使用することが好ましく、さらに好ましくは1.0質量部以下である。架橋性単量体が2.0質量部を超えると、得られる重合体が水溶性でなく、場合によっては、水に溶解しても水溶液が増粘しなくなること恐れがある。
本発明における架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体は、一般的なラジカル重合開始剤により、前記単量体を重合させて製造する。ラジカル重合開始剤としては過酸化物、アゾ系開始剤などから選ばれた化合物またはそれらの混合物が使用できる。
過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などが挙げられ、これらを単独あるいは2種類以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましく用いることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は全単量体100質量部に対して、0.001〜2.0質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.02〜1.0質量部である。ラジカル重合開始剤が、0.001重量部より少ないと、重合反応が進まなく、大量の未反応単量体が残存する恐れがある。
逆に、ラジカル重合開始剤を2.0質量部より多く使用すると、重合が急激に進むため、重合反応の制御が難しくなり、場合によっては制御が出来ない恐れもある。仮に重合反応が制御できたとしても、ポリマー鎖が短くなるため、増粘水溶液の粘度が低くなってしまう結果となる傾向が強い。
これらのラジカル重合開始剤は、重合反応の進行に伴って分割して添加することもできる。
本発明における架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体は、単量体は溶解するが重合体は溶解しない有機溶剤中での沈殿重合によって製造される。沈殿重合の場合は、重合の制御などは複雑になるが、重合工程の終了後、ろ過および乾燥などによって容易に粉末状の重合体を得ることができるなどの利点がある。
有機溶剤中での沈殿重合では、単量体は溶解するが、重合体は溶解しない有機溶剤が用いられる。このような有機溶剤として公知の有機溶剤を用いられ、例えば、炭素数4〜12個の脂肪族炭化水素類、ケトン類、エステル類、アルコール類などが例示され、これらの混合溶剤を使用することも可能である。
これらの中でも、炭素数4〜12個の脂肪族炭化水素類が好ましく、n−ヘキサンおよびシクロヘキサンが特に好ましい。また、エステル類である酢酸エチルも好ましく用いられる。
本発明の製造方法における重合温度は、40〜100℃で行なうことが好ましく、特に好ましくは50〜80℃であり、使用する有機溶剤の大気圧下の沸点温度以下で行なうことが好ましい。なお、40℃未満ではラジカル重合開始剤の分解が進み難く好ましくない。
本発明の製造方法において、単量体およびラジカル重合開始剤の添加方法に関する限定はなく、反応初期に全てを反応器に仕込む方法、単量体およびラジカル重合開始剤の全部または一部を分割して反応器に添加する方法など、単量体およびラジカル重合開始剤の種類に応じて適切な条件が設定可能である。
架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体は、重合終了後、反応時に使用した有機溶剤をろ過または遠心分離などで除去した後に、さらに加熱により有機溶剤を除去して粉末状の形状で得ることもできる。
本発明の製造方法の特徴は、上記重合反応において、重合反応中の反応液を、第1攪拌翼とその上側に設置される第2攪拌翼を供えた攪拌翼を用いて攪拌することである。
前記のとおり、析出重合では、重合反応が進行するにつれて、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体が有機溶剤中に析出する。この沈殿物を出来る限り均一に攪拌しないと有機溶剤に溶解している単量体との成長反応が阻害され、重合度の低い重合体が生成するため、最終製品である重合体粉末の水溶液粘度が低くなる恐れがある。
本発明の製造方法における反応器は、縦型円筒状の攪拌槽内の中心部に垂設される回転軸上の下端側に設置される、翼数が2〜6枚である第1攪拌翼と、その上側に設置される翼数が2〜8枚である第2攪拌翼を備えた攪拌槽である。
上記第1攪拌翼は、回転軸付近の液を外側に押し出す役割がある、その翼の形状は特に問わず、パドル翼、アンカー翼、後退翼等が挙げられるが、これらの中でもアンカー翼が好ましく用いられる。また、この第1攪拌翼の翼数は2〜6枚であり、好ましくは2〜4枚であり、さらに好ましくは2枚である。5枚以上では翼重量の増加のわりには攪拌効率の増大が小さくなり、1枚では回転した際の過重バランスをとることが困難となり、かつ攪拌効率も不十分となって、いずれも好ましくない。
上記第2攪拌翼は、上記第1攪拌翼と同様、回転軸付近の液を外側に押し出す役割がある。その翼の形状は特に問わず、パドル翼、タービン翼、アンカー翼等が挙げられるが、これらの中でもパドル翼が好ましく用いられる。また、パドル翼には傾斜があってもよく、傾斜をつける場合には傾斜角が水平面に対して、30度〜60度であることが好ましい。
この第2攪拌翼の翼数は2〜8枚であり、好ましくは3〜6枚である。9枚以上では翼重量の増加のわりには攪拌効率の増大が小さくなり、1枚では回転した際の過重バランスをとることが困難となり、かつ攪拌効率も不十分なものとなり、いずれも好ましくない。なお、第2攪拌翼は前記第1攪拌翼の上側に設置されるものである。
さらに、上記第2攪拌翼は2〜4段で複数配設することが好ましく、特に第2攪拌翼を2段配設したものが好ましい。第2攪拌翼を2段配設した場合、その上側に配設されたものは、反応液面近傍に配設されることにより、回転軸付近の液を回転軸に沿って下向きに押し出す役割が期待できるため、反応液の攪拌効率が向上する。
複数配設する場合の第2攪拌翼のいずれもが、その翼の形状は特に問わず、パドル翼、タービン翼、アンカー翼等が挙げられるが、いずれもがパドル翼であるものが好ましく用いられる。
上記第1および第2攪拌翼の材質は特に問わないが、通常ステンレス製である。また、パドル翼の場合の形状は、四角形、三角形および五角形等の様々な形状が適用できる。外端部が直線状、曲線状および鋸刃状のいずれでもよい。いずれの場合も、パドル翼の形状は回転軸を中心に左右線対称であることが好ましい。
上記第1攪拌翼および第2攪拌翼の大きさは特に限定されないが、攪拌効率および動力効率を考慮して、第1攪拌翼は第2攪拌翼よりも大きいことが好ましい。
縦型円筒状である反応器の材質は特に限定されないが、ステンレス製であることが好ましい。
本発明の製造方法における反応液は、反応初期の溶液状から反応終期のスラリー状態まで変化する。
また、反応液は重合反応の進行に伴って粘度が高くなるので、その反応液粘度の上昇に応じて攪拌翼の回転数を上昇させることにより、撹拌効果を高めることができる。
本発明の製造方法で得られる架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の0.2質量%の中和水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が、3,000〜50,000mPa・sの範囲にあるものが好ましく、さらに好ましくは、10,000〜40,000mPa・sである。
本発明の製造方法で得られる架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の湿式粒度分布測定での粒子径は、0.001〜800μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.03〜300μmであり、さらに好ましくは0.1〜100μmである。粒子径が0.001μmより小さい場合は、重合スラリーの粘度が高くなり撹拌が困難となる。一方、粒子径が800μmを超える場合は、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の水に対する溶解時間が遅くなる傾向にあり、生産性が悪くなる恐れがある。
また、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体のメジアン径は、0.5〜50μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜20μmの範囲である。
メジアン径が0.5μmより小さいと重合スラリーの粘度が高くなり撹拌が困難となる。一方、メジアン径が50μmを超えると、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の水に対する溶解時間が遅くなる傾向にあり好ましくない。また、中和水溶液の表面の滑らかさが悪くなる恐れがある。
本発明の製造方法は、使用する有機溶剤を還流した状態で重合すること、さらに系内を減圧にすることで有機溶剤の還流温度を下げて、重合体の凝集物の発生による有機溶剤の突沸を抑えながら重合することもできる。
さらに、未反応の単量体を減少させ、得られる重合体中の残存単量体を減少させるために、主たる重合反応が終了しスラリー状の反応生成が得られた後、ラジカル重合開始剤を添加して、さらに加熱することにより、未反応の単量体を重合させることが望ましい。
本発明の製造方法で得られる架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の残存単量体の量は、5,000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは2,000ppm以下であり、さらに好ましくは1,000ppm以下である。
残存単量体の量が5,000ppmを超える場合は、最終製品の安全性の面で好ましくない。
本発明における製造方法では、反応液の撹拌効果に優れるため、1回あたりの生産量を増加させることが可能となり、反応器の容量に対する単量体などの原料総仕込み量の割合が50%以上とすることができる。
重合開始直後から形成される重合体は、媒体として使用している有機溶剤に不溶になり、有機溶剤中に重合体が析出してスラリー状になる。このスラリー状の重合反応生成物から有機溶剤を取り除くことにより、粉末状の重合体を得ることができる。
有機溶剤除去前のスラリー状の段階で、単量体の転化率は92質量%以上であることが有機溶剤除去後の重合体粉末に残存する単量体が少なくなるため好ましい。さらに好ましくは95質量%以上の転化率で重合を終了することである。
有機溶剤の除去方法は、通常の乾燥機、例えば通風乾燥機などにより行なうことができるが、一般的には減圧乾燥機で行なうことが好ましい。
減圧乾燥機は、内部に攪拌ペラを持ったものが好ましく、横型あるいはナウター型などが使用される。
加圧ろ過型の減圧乾燥機も使用可能であるが、ろ布などのろ材への詰まりが発生しやすいため、ろ材の交換が煩雑である。さらに、ろ材の交換時には残留する溶剤による火災の危険もあるため、好ましい方法とは言えない。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例1〜8および比較例3により得られた反応生成物である重合体粉末について、以下に示す試験方法により物性評価を行った。
<0.2%中和水溶液粘度>
1000mlビーカーに、イオン交換水200gを計量し、マグネチックスターラーで攪拌しながら、0.4gの重合体粉末を徐々に添加する。全量添加後、ゆっくりと攪拌を継続し、重合体粉末の全量が溶解したのを確認した後、10N−NaOH水溶液を0.4ml添加しよく攪拌する。pHが6.5〜8.5の範囲であることを確認したら、温度25℃における粘度を、BH型粘度計(ローター番号;No.6、回転数;20rpm、測定時間;30秒後)にて測定する。
<残存モノマー含有量>
50mlメスフラスコに重合体粉末を1.2g秤量した後、メチルイソブチルケトンを約30ml添加する。つぎに、内部標準液(酢酸ブチル1.0gにメチルイソブチルケトンを加え、全量を100mlにした液)を2ml加えた後、さらに、メタノールを4mlを添加する。その後、メチルイソブチルケトンで全量が50mlとなるように添加し、よく振った後15分間以上静置する。静置後、孔径0.50μmのメンブランフィルターで濾過し、濾液を1μl採取して、ガスクロマトグラフにて測定する。
(ガスクロ測定条件)
測定機器:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフ「GC−2014」
キャリアガス:純窒素(純度99.9995%以上)
カラム:信和化工(株)製キャピラリーカラム「ULBON HR−20M」(内径=0.25mm、長さ=30m、液相の膜厚=0.5μm)
INJ温度:160℃
検出器温度:250℃
カラム初期温度:70℃×5.5min
カラム昇温速度:20℃/min
カラム最終温度:200℃×12.0min
キャリアガス流量:27.0ml/min
<乾式粒度分布>
レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、重合体粉末を0.5g程度採取し、測定装置のターンテーブル上の溝にセットする。ブランク測定を行った後、バキュームにより重合体粉末を測定装置内部へ送り込み、粒度分布測定を行う。
(測定装置)
(株)島津製作所製 レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2100
粒度測定範囲:0.03〜1000μm
光源:半導体レーザ(波長680nm,出力3mV)
<実施例1>
図1に示す45度の4枚パドル翼を2段有する攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、119kgのn−ヘキサン、21kgの酢酸エチル、34kgのアクリル酸および170gのテトラアリルオキシエタンを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
外温を78℃に設定して昇温させ、約2時間還流状態を保持した後に、温度40℃まで冷却した。還流前の混合液体をカールフィッシャー水分計で測定したところ、500ppmの水分が含まれていたが、還流2時間後は、水分値は170ppmまで低減していた。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が60〜61℃となるように外温を調節し、内温が安定した後に、4.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、その白濁確認から12時間は、内温を60〜63℃にコントロールした。
白濁から3時間後、6時間後、9時間後に各2.3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をそれぞれ1kgの酢酸エチルに溶解して投入して反応を継続した。さらに白濁から12時間後に23gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入(追触)し、外温を75℃で5時間密閉加圧状態を保持した後に、冷却してスラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の割合は、98%であった。
なお、攪拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
このスラリー状反応生成物の全量を、容量が300Lの横型乾燥機に投入し、外温80℃、常圧で溶剤および残存単量体の除去を行った。
溶剤の留出量が少なくなったら、内部の圧力を徐々に下げていった。
内圧が0.02MPa以下を示して溶剤の留出が見られなくなったら、外温を90℃以上125℃以下に昇温して溶剤の留出が完全になくなるのを確認し、目的の反応生成物である重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<比較例1>
図2に示す攪拌翼を用いた以外は実施例1と同様にして、4.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、内温を60〜63℃にコントロールしていたが、時間の経過とともに、反応器内のスラリーの混合状態が悪くなった。
白濁から3時間後に2.3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。そのおよそ1時間後に、突然、反応器の底部から突き上げるような強い振動とともにスラリーが激しく突沸したため、緊急冷却および重合禁止剤を投入して重合を中止した。
<実施例2>
図3に示す45度の2枚パドル翼を交互に2段有する攪拌翼とした以外は実施例1と同様にして、重合工程および乾燥工程を行い、目的の反応生成物である重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、実施例1と同様に良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<実施例3>
図4に示す45度の4枚パドル翼を有する攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、105kgのn−ヘキサン、18.5kgの酢酸エチル、30kgのアクリル酸および150gのテトラアリルオキシエタンを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
外温を78℃に設定して昇温させ、約2時間還流状態を保持した後に温度40℃まで冷却した。還流前の混合液体をカールフィッシャー水分計で測定したところ、500ppmの水分が含まれていたが、還流2時間後は、水分値は160ppmまで低減していた。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が60〜61℃となるように外温を調節し、内温が安定した後に4gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、その白濁確認から12時間は、内温を60〜63℃にコントロールした。
白濁から3時間後、6時間後および9時間後に、各2gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をそれぞれ1kgの酢酸エチルに溶解して投入して反応を継続した。さらに白濁から12時間後に、20gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入(追触)し、外温を75℃で5時間密閉加圧状態を保持した後に、冷却してスラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の割合は86%であった。
なお、攪拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
このスラリー状反応生成物の全量を、容量が300Lの横型乾燥機に投入し、実施例1と同様にして乾燥工程を行い、目的の重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、実施例1と同様に良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<実施例4>
図5に示す45度の小型4枚パドル翼を有する攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、93kgのn−ヘキサン、22.5kgのアクリル酸および113gのテトラアリルオキシエタンを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
外温を78℃に設定して昇温させ、約2時間還流状態を保持した後に温度40℃まで冷却した。還流前の混合液体をカールフィッシャー水分計で測定したところ、300ppmの水分が含まれていたが、還流2時間後は、水分値は120ppmまで低減していた。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が60〜61℃となるように外温を調節し、内温が安定した後に3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、その白濁確認から12時間は、内温を60〜63℃にコントロールした。
白濁から3時間後、6時間後、9時間後に各1.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をそれぞれ1kgの酢酸エチルに溶解して投入して反応を継続した。さらに白濁から12時間後に15gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入(追触)し、外温を75℃で5時間密閉加圧状態を保持した後に、冷却してスラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の比率は、およそ68%であった。
なお、攪拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
このスラリー状反応生成物の全量を、容量が300Lの横型乾燥機に投入し、実施例1と同様にして乾燥工程を行い、目的の反応生成物である重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、実施例1と同様に良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<比較例2>
図2に示す攪拌翼を用いた以外は実施例4と同様にして、3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、内温を60〜63℃にコントロールしていたが、時間の経過とともに、反応器内のスラリーの混合状態が悪くなった。
白濁から3時間後に1.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。そのおよそ1.5時間後に、反応器の底部付近で軽い振動を伴い、スラリーが突沸したため、緊急冷却および重合禁止剤を投入して重合を中止した。
<比較例3>
図2に示す攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、52.5kgのn−ヘキサン、9.3kgの酢酸エチル、15kgのアクリル酸および75gのテトラアリルオキシエタンを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
外温を78℃に設定して昇温させ、約2時間還流状態を保持した後に温度40℃まで冷却した。還流前の混合液体をカールフィッシャー水分計で測定したところ、500ppmの水分が含まれていたが、還流2時間後は、水分値は150ppmまで低減していた。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が60〜61℃となるように外温を調節し、内温が安定した後に2gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、その白濁確認から12時間は、内温を60〜63℃にコントロールした。
白濁から3時間後、6時間後、9時間後に各1gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をそれぞれ1kgの酢酸エチルに溶解して投入して反応を継続した。さらに白濁から12時間後に10gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入(追触)し、外温を75℃で5時間密閉加圧状態を保持した後に、冷却してスラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の比率は、およそ44%であった。
なお、攪拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
このスラリー状反応生成物の全量を、容量が300Lの横型乾燥機に投入し、実施例1と同様にして乾燥工程を行い、目的の重合体粉末を得た。重合工程において突沸はなかったものの、反応器内のスラリーの混合状態は悪い状態であった。
<実施例5>
図6に示す60度の4枚パドル翼を有する攪拌翼を用いた以外は実施例3と同様にして、重合工程および乾燥工程を行い、目的の重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、実施例3と同様に良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<実施例6>
図7に示す30度の4枚パドル翼を有する攪拌翼を用いた以外は実施例3と同様にして、重合工程および乾燥工程を行い、目的の重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、実施例3と同様に良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<実施例7>
図4に示す45度の4枚パドル翼を有する攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、92kgのトルエン、39kgの酢酸エチルを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が70〜71℃となるように外温を調節した後、下記表1に示した数量の単量体、架橋剤及び開始剤の混合物を3回分割で投入した。また、1回目投入より45分後、内温を78℃に昇温した。
2回目の投入は、1回目投入から1.5時間後に行い、3回目の投入は、2回目投入から3.5時間後に行った。
3回目の投入から4時間後に、2.2gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを1kgのトルエンに溶解して投入(追触)し、4時間熟成した後に冷却して、スラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の割合は、86%であった。
なお、撹拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
このスラリー状反応生成物の全量を、容量が300Lの横型乾燥機に投入し、外温を90℃以上125℃以下、減圧下で溶剤及び残存単量体の除去を行った。
溶剤の留出量が少なくなったら、内部の圧力をさらに下げていった。
内圧が0.02MPa以下を示して溶剤の留出が見られなくなるのを確認し、目的の反応生成物である重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
Figure 0005531950
<実施例8>
図4に示す45度の4枚パドル翼を有する攪拌翼、ジャケット、コンデンサーおよび脱水器を備えたSUS304製の250Lの攪拌槽型反応器に、156kgのベンゼン、35kgのアクリル酸および259gのテトラアリルオキシエタンを投入した後、回転数50rpmで攪拌を開始した。
外温を85℃に設定して昇温させ、約2時間還流状態を保持した後に、温度40℃まで冷却した。還流前の混合液体をカールフィッシャー水分計で測定したところ、400ppmの水分が含まれていたが、還流2時間後は、水分値は200ppmまで低減していた。
約1時間300L/hrの流量で窒素ガスを液中に吹き込んだ後、昇温を開始した。内温が76℃となるように外温を調節し、内温が安定した後に2.9gの
2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを1kgのベンゼンに溶解して投入した。
15分後に白濁を確認し、その白濁確認から6時間は、内温を75〜77℃にコントロールした。
白濁から6時間後に、2.2gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを1kgのベンゼンに溶解して投入し、反応を継続した。さらに白濁から10時間後に4.3gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを1kgのベンゼンに溶解して投入(追触)し、内温を80℃で4時間保持した後に、冷却してスラリー状反応生成物を得た。このとき、反応器の容量に対する反応生成物の占める体積の割合は、86%であった。
なお、撹拌回転数は、スラリーの粘度によって適宜増加させた。また、窒素投入量は、白濁を確認した後は、20L/hrに下げた。
乾燥工程は、実施例7と同様にして行い、目的の反応生成物である重合体粉末を得た。重合工程、乾燥工程ともに特に異常はなく、良好な状態であった。
なお、得られた重合体粉末は微架橋しているため、溶媒に完全溶解せず、GPCによる分子量の測定はできなかった。
<比較例4>
図8に示す攪拌翼を用いた以外は実施例1と同様にして、4.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を1kgの酢酸エチルに溶解して投入した。
10分後に白濁を確認し、白濁からおよそ2時間15分後に、突然、反応器の底部から突き上げるような強い振動とともにスラリーが激しく突沸したため、緊急冷却および重合禁止剤を投入して重合を中止した。
Figure 0005531950
Figure 0005531950
本発明の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法は、析出重合に適した製造方法であり、生産性を高めるだけでなく、得られる重合体の品質も安定しているので、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法として工業的に広く利用できる。


Claims (6)

  1. カルボキシル基含有単量体と架橋性単量体を、単量体は溶解するが、重合体は溶解しない有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤により沈殿重合させて、架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体を製造する方法において、縦型円筒状の攪拌槽内の中心部に垂設される回転軸上の下端側に設置される、翼数が2〜6枚であるアンカー翼と、その上側に設置される翼数が2〜8枚であるパドル翼を備えた撹拌槽を反応器とすることを特徴とする架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
  2. 架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の0.2質量%中和水溶液の25℃におけるブルックフィールド粘度が、3,000〜50,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
  3. カルボキシル基含有単量体がアクリル酸またはそのアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
  4. 複数のパドル翼を備えた撹拌槽であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
  5. パドル翼の角度が水平面に対して30〜60度であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
  6. 反応器の容量に対する原料の総仕込み容量の割合が50%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の架橋型カルボキシル基含有水溶性重合体の製造方法。
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