JP5528188B2 - 牽引ローラ・モジュールおよびその製造方法ならびに使用方法 - Google Patents

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Description

本発明はシートガラスの製造に関する。特に本発明は、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法によるシートガラスの製造に用いられる牽引ローラおよびその製造方法に関するものである。
多数のシートがそこから形成される帯状ガラスに張力を印加し、これによりシートの公称厚さを制御するために、牽引ローラがシートガラスの製造に用いられる。例えば、オーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法(特許文献1および特許文献2参照)において、牽引ローラは、フュージョンパイプの先端すなわち底縁の下流側に配置されて、形成された帯状ガラスがフュージョンパイプを離れる速度を調整するのに用いられ、このようにして、完成したシートの公称厚さが決定される。
良く出来た牽引ローラは、多くの相反する判定基準を満足させることができる。牽引ローラは、実質的な耐用期間の間、ガラスが新たに形成されるのに伴う高温に耐えることができなくてはならない。ローラの交換に要する時間は、与えられた機械が生産することができる完成したガラスの枚数を減少させ、したがって、ガラスの最終的な価格を上昇させるので、上記のような環境にローラが耐える期間は永ければ永いほど良い。牽引ローラはまた、工程中で生成されるガラスシートの厚さを制御するための十分な牽引力を提供することができなければならず、かつガラスに付着して表面欠陥を生じさせる可能性がある多量の微粒子を発生させるものであってはならない。
米国第3,338,696号明細書 米国第3,682,609号明細書
従来の牽引ローラの性能および予測される耐用期間は、製造される材料、ローラの物理的特性および動作条件によって一般に制限されるので、ローラの交換は、ガラス製造工程の長い中断と、例えば修復または再構築のためにローラ製造業者へローラを搬入するための多大の経費とを必要とする。従来の牽引ローラは、一旦作製されると、ローラの特性および性能に悪影響を与えることなしには解体することが不可能である。新規なローラの製造に用いられるローラシャフトの復旧さへも、費用がかかりかつ時間を要する。したがって、多大のコストおよび時間を要せずに、修復および/または再構築が可能な牽引ローラを得ることの要求がこの分野に存在する。この要求およびその他の要求は、本発明の方法および組成物によって満足される。
本発明は、ガラス製造のための牽引ローラおよび牽引ローラの作製方法に関する。
一つの態様において、本発明は牽引ローラの調製方法を提供し、この方法は、ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本のシャフト上へ位置決めし、上記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮し、これらの圧縮された複数枚の焼成されたディスクを、複数枚の焼成されたディスクの少なくとも一部分が一体に融着して1個のスリーブを形成するのに十分な温度と時間において焼成し、次いで上記シャフトから上記スリーブを抜き取る各工程を含む。
第2の態様において、本発明は耐熱性材料からなる1個のスリ−ブを位置決めかつ固定することを含む方法を提供し、上記スリ−ブは、少なくとも或る程度一体に融着された複数枚の焼成された耐熱性ディスクを備える。
第3の態様において、本発明は牽引ローラ・カートリッジの調製方法を提供し、この方法は、ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本の中空の円筒状スピンドル上へ位置決めし、かつ上記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮する各工程を含み、上記中空の円筒状スピンドルは、その内周面上に配置された、牽引ローラシャフト上の複数のキー溝と位置が合った複数のキーを有する。
第4の態様において、本発明は1個のカートリッジを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めすることを含む牽引ローラの組立て方法を提供し、上記カートリッジは、内周面上に形成された複数のキーを有する1本の中空の円筒状スピンドル上に配置された耐熱性材料を備え、上記牽引ローラシャフトは、表面上に配置されてその軸線に沿って延びる複数のキー溝を備え、これらのキー溝は、キーとキー溝との相互作用により、上記カートリッジが上記牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置に配置されるように、上記牽引ローラシャフト上に配置される。
第5の態様において、本発明は1本の中空の円筒状スピンドルとこのスピンドル上に配置された耐熱性材料からなる円筒体とを備えた1個のカートリッジを提供し、その場合、上記中空の円筒状スピンドルは、その内周面上に配置された複数のキーを備え、かつ上記カートリッジは、1本の牽引ローラシャフト上に位置決めされることが可能である。
第6の態様において、本発明は1本の牽引ローラシャフトおよびこのシャフト上に配置された少なくとも1個のカートリッジを備えた牽引ローラ・システムを提供し、その場合、上記牽引ローラシャフトは、表面上に配置されてその軸線に沿って延びる複数のキー溝を備え、上記少なくとも1個のカートリッジは、1本の中空の円筒状スピンドルを備え、この中空の円筒状スピンドルは、このスピンドル上に配置された耐熱性材料からなる円筒体を有し、かつ上記中空の円筒状スピンドルの内周面に沿って位置決めされた複数のキーを有し、上記キー溝は、キーとキー溝との相互作用により上記カートリッジが上記牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置に配置されるように、上記牽引ローラシャフト上に配置される。
第7の態様において、本発明はガラスシートの作製方法を提供し、この方法は、1条の帯状ガラスに対し牽引ローラを用いて張力を印加し、かつ上記帯状ガラスからガラスシートを切り離すことを含み、上記牽引ローラは、1本のシャフトとこのシャフト上に配置された耐熱性材料からなる1個の円筒体とを有する。
本発明のさらなる態様は、一部は下記の詳細な説明および請求項において説明され、かつ一部は詳細な説明から誘導され、または開示された例示的な実施の形態の実施によって知ることができるであろう。下記に説明されている効果は、添付の請求項において特に指摘された要素および組合せによって実現されかつ達成されるであろう。上述の概略説明および後述の詳細説明は、例示および説明に過ぎず、本発明を限定するものではない。
本明細書と合併されかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、記述内容とともに限定を伴わない本発明の原理の説明に資するものである。全図を通じて、類似の数字は同じ要素を表す。
本発明の種々の態様によるスリーブを調製するのに用いられ得るシャフトのスプリット係止リングを取り外した状態の概略図である。 本発明の種々の態様によるスリーブを調製するのに用いられ得るシャフトのスナップリングを取り付けた状態の概略図である。 所望の寸法に切削する以前の、シャフト上で圧縮された焼成されたディスク群を示す概略図である。 所望の寸法に切削した後の、シャフト上で圧縮された焼成されたディスク群を示す概略図である。 本発明の種々の態様による複数の円錐を備えた固定カラーを示す概略図である。 本発明の種々の態様による取り外し可能なカラーを示す概略図である。 本発明の種々の態様による取り外し可能なカラーを示す概略図である。 本発明の種々の態様による牽引ローラ・スリーブを示す概略図である。 本発明の種々の態様によるスピンドルの固定カラーおよび取り外し可能なカラーを示す概略図である。 本発明の種々の態様による、所望の寸法に切削する以前のカートリッジを示す概略図である。 本発明の種々の態様による、所望の寸法に切削した後のカートリッジを示す概略図である。 本発明の種々の態様によるカートリッジの斜視図である。 本発明の種々の態様による牽引ローラシャフト、カートリッジ、およびロックカラーを示す図である。
本発明は、下記の詳細な説明、実施の形態および請求項、ならびに前述および後述の記載内容を参照することによって、より容易に理解することができるであろう。しかしながら、本発明の物品および/または方法が開示されかつ説明されるのに先立って、本発明は、特に指示がない限り、開示された具体的な物品および/または方法に限定されず、それ自体変わり得るものであることを理解すべきである。また、ここで用いられている述語は、特定の態様の説明するためのものであって、限定を意図したものではないことも理解すべきである。
ここで用いられている、要素の「重量%」は、そうではないと具体的に説明されていない限り、その要素に含まれる成分全体の重量を基準としている。
ここで用いられている「圧縮率」とは、印加された圧力に対する応答としての相対容積変化を意味する。例えば、牽引ローラの圧縮率は、軸線方向の圧縮力の印加に対する組み立てられた耐熱性ディスク群の厚さの変化、または組み立てられた牽引ローラの長さの変化を意味する。
ここで用いられている「回復」とは、印加された圧力が取り除かれた後の、圧縮された材料の膨張能力を意味する。例えば、牽引ローラの回復とは、軸線方向の圧縮力が取り除かれたときの、または牽引ローラシャフトの例えば熱膨張による伸張時の、ミルボードの厚さ(またはスリーブの長さ)の膨張を意味する。
上述で簡単に説明されているように、本発明は、例えばシートガラスの製造に用いることができる牽引ローラの調製に用いる改良された組成物および方法を提供するものである。種々の態様において、本発明は牽引ローラのための要素モジュールを提供するものである。種々の態様において、これらの要素モジュールは、使用時に迅速に交換することができるので、非稼働時間および牽引ローラの発送ならびに修復に伴う費用を最少にすることができる。一つの態様において、要素モジュールは、スリーブが単一ユニットとして牽引ローラシャフトに位置決めされ、かつ牽引ローラシャフトから取り外すことができるように、少なくとも或る程度一体に融着された、焼成された、圧縮された耐熱性ディスク群からなるスリーブを備えることができる。別の態様においては、上記要素モジュールが、耐熱性材料からなる円筒体が配置されたスピンドルを含むカートリッジを備えることができ、その場合、上記カートリッジは、牽引ローラシャフト上にスライド挿入されるように構成される。
牽引ローラ
牽引ローラは、シャフトに沿って位置決めされた1個または複数個の取付け具を備えることができる。これらの取付け具はカラー(固定された、可動の、および/または取外し可能な)、ロックリング、スナップリング、スプリット係止リング、あるいは1枚または複数枚の耐熱性ディスクをシャフト上の所定位置に取り付けることができるその他のデバイスを含む。一つの態様において、シャフト上に取り付けられた複数枚の耐熱性ディスクに対して軸線方向の圧力を印加することができるものであれば、如何なるデバイスをも取付け具として使用することができる。
与えられた牽引ローラの所望の構造に応じて、耐熱性ディスク群の1箇所または複数箇所の領域がシャフトに沿って位置決めされる。種々の態様において、耐熱性ディスク群の1箇所、2箇所、3箇所またはそれ以上の個々の領域が1本のシャフトに沿って位置決めされることができ、その場合、これら領域のそれぞれは、間に配置された耐熱性ディスク群に対し軸線方向の圧縮力を印加することができる少なくとも2個の取付け具を備える。
シートガラスの製造に用いるのに適した種々の牽引ローラ構造が文献に記載されていることを理解すべきである。特許文献1には、ガラスシートの製造のための牽引ローラが記載されており、ミルボード材料から牽引ローラを作製する方法を説明するという具体的な目的のために、その内容の全てが本明細書に引用される。本発明は、特定の牽引ローラの構造または構成に限定されず、当業者であれば、適当な牽引ローラ構成を容易に選択することが可能であろう。
一つの態様において、牽引ローラは、耐熱性ディスク群からなる単一領域がシャフトの全長または一部分に亘って延びる構成を備えることができる。このような牽引ローラは、ガラスシートに接触するのに特に適した一部分または複数部分を備えることができ、その部分における耐熱性ディスク群の外周縁は、周囲の耐熱性ディスク群よりもシャフトから遠い距離にある。このような構成は、牽引ローラからの微粒子が異物としてガラスシート上に堆積される可能性を減らすことができる。全ローラ構成においては、耐熱性ディスク群からなる単一領域が、異なる部位において、例えばガラスシートの両側エッジにおいてガラスシートに接触するのに適した二つの部分を備えている。短い片側ローラ構成においては、1本のシャフトに取り付けられた耐熱性ディスク群からなる単一領域がガラスシートの一方側のエッジに接触するように構成され、別の短い片側ローラ(別のシャフトを有する)がガラスシートの他方側のエッジに接触するように構成されている。すなわち、短い片側ローラ構成においては、1本のシャフトがガラスシートの両側のエッジに接触するようにガラスシートを横切って延びているのではない。
別の態様においては、牽引ローラは裸のシャフト構造を備えることができ、その場合は、帯状ガラスに接触するのに適した耐熱性ディスク群からなる二つまたはそれ以上の領域が、ディスクを備えていないシャフト領域によって分離されている。個々の領域のそれぞれは、耐熱性ディスク群を所定位置に固定し、かつ間に配置されたこれらの耐熱性ディスク群に対し軸線方向の圧縮力を提供する取付け具を備えることができる。
牽引ローラ、ならびに帯状ガラスに接触することができる牽引ローラの外周面を形成するミルボード材料は、取扱い時および/または使用時に損傷を受ける可能性がある。例えば、ガラス片が牽引ローラの表面内に埋め込まれることになり得る。このような埋め込まれたガラス片は、生成されたガラスシート内にチェックマーク型の、すなわち小さなひび割れを形成し、および/または牽引ローラに対しさらなる損傷(例えばミルボードの割れ、剥がれ)を伝播させ得る。
牽引ローラの一部分を圧縮して特定の硬度を得るのに用いられる力は変得ることができる。種々の実施の形態において、上記力は、約7,000ポンド(3,175kgf)から約30,000ポンド(13,608kgf)まで、約10,000ポンド(4,536kgf)から約20,000ポンド(9,072kgf)まで、または約8,000ポンド(3,629kgf)から約13,000ポンド(5,897kgf)まで変わり得る。別の態様においては、上記圧縮力が約70,00ポンド(3,175kgf)未満または約30,000ポンド(13,608kgf)を超えるものとなり得る。したがって、牽引ローラは一般に、このような力を印加するのに適した機器を備えた製造者によって調製される。このような牽引ローラの最終ユーザーの大部分は、牽引ローラを修復および/または再圧縮する機器を備えておらず、修復または再圧縮のためにはシャフトを含む牽引ローラ全体を製造者に戻さなければならない。
したがって、牽引ローラを製造者に戻す必要なしに、牽引ローラの外周面を形成する耐熱性ディスク群全体または一部分を迅速に交換することができる牽引ローラを保有することが望ましい。牽引ローラの迅速な交換および/または外周面の修理はまた、生産の停止時間を短縮することにもなる。
ミルボードおよび耐熱性ディスク
例示的な牽引ローラは複数枚の耐熱性平板状ディスクを備えており、これらのディスクは、随意的に焼成され、面同士を接して1本のシャフト上に位置決めされ、かつ複数枚のディスクのそれぞれの外周縁が帯状ガラスに接触し得る牽引ローラの外周面を形成している。耐熱性ディスク群の何れか1枚または複数枚の具体的な形状、サイズおよび組成は、例えば得られる牽引ローラの目的とする用途および動作条件に応じて変えることができる。この牽引ローラの外周面の少なくとも一部分は、ガラスシートに対する接触に適応することができる。
耐熱性ディスク群の何れか1枚または複数枚の組成は、牽引ローラの所望の特性に応じて変えることができる。一つの態様において、1枚または複数枚のディスクはミルボード材料から形成される。他の態様においては、1枚または複数枚のディスクが、珪酸塩、粘土、耐熱性セラミック繊維、またはそれらの組合せを含む。別の態様においては、1枚または複数枚のディスクが、例えばニチアスSD−115(日本国、東京所在のニチアス株式会社から販売されている)等の市販のミルボード材料を含む。具体的なミルボード材料に関するいくつかの部品および濃度範囲が列挙されているが、これらは例示であって、本発明は、特定のミルボード材料、部品および/または濃度範囲に限定されることを意図しない。
一つの態様において、耐熱性ディスク群の少なくとも一部分がそれによって形成されるミルボードは、ミルボード製牽引ローラ組成物の具体的な開示のためにその内容の全てが本明細書に引用される米国特許出願公開第2008/0120995号明細書に記載されているような、アスベストを含まない、粒子を含まない耐熱性組成物で形成されている。種々の具体的な態様において、このようなミルボードは、乾燥重量基準で、約5から約30重量%までの耐熱性セラミック繊維、約1から約10重量%までの、例えばセルロース等の有機繊維、約10から約40重量%までの、例えばフォルステライト等の珪酸マグネシウム、約5から約32重量%までの雲母、約10から約35重量%までのカオリン粘土、約0.5重量%未満の結晶シリカ、および約0.8重量%未満の二酸化チタンを含むことができる。
一つの態様において、このようなミルボードに用いられるセラミック繊維は、天然産材料および/またはカオリンとシリカから人工的に作られたセラミック繊維を含むことができる。有用なセラミック繊維は、種々の等級の繊維を含むことができ、これらの等級は、生産方法、粒子含有量、滑剤等によって決定される。本明細書を保有する当業者は、適当な繊維材料を容易に選択することができるであろう。別の態様において、このようなセラミック繊維は、約5μmまでの繊維長さと、約3μmまでの直径と、約5:1を超える縦横比を有し得る。これらの値は例示であって、得られる牽引ローラの所望の特性に応じて他の繊維を用いることが可能なことに注目すべきである。他の態様において、セラミック繊維材料は、約1,760℃を超える温度における場合を除いて溶融してはならず、かつ約1,260℃までの温度に連続的に曝された場合においても、物理的および化学的一体性を維持しなければならない。
有機繊維は、もしそれが用いられる場合には、ミルボード材料または牽引ローラの用途に適したものであれば如何なる有機繊維であってもよい。一つの態様においては、有機繊維がセルロースである。一つの具体的な態様において、このようなセルロースは、漂白されていない、半ば漂白された、または漂白された木材パルプを含む。別の態様において、ミルボード組成は、例えばセルロース等の有機繊維を含んでいない。
無機バインダは、もしそれが存在する場合には、例えば粘土、石膏、細粒炭、およびナトリウム、カリウムまたはマグネシウムの珪酸塩等のアルカリ・イオン珪酸塩を含む1種類または複数種類の無機化合物を含み得る。一つの態様において、無機バインダは、ミルボードの組成の全乾燥重量を基準として、約10から約30重量%までのカオリン粘土、および約10から約40重量%までの珪酸マグネシウムを含む。
一つの態様において、ミルボード成分からなる水性スラリーが調製され、凝集剤が随意的に添加され、かつこのスラリーを、例えば回転する網円筒上に堆積させることによってシートが形成される。
他の態様において、ミルボード・シートは、形成時に、および/または形成後に圧縮されて、一様なまたはほぼ一様な厚さにされる。形成されたミルボード内に残留する水分は、例えば加熱によって除去される。
一つの態様において、耐熱性ディスク、および/または1枚または複数枚の耐熱性ディスクがそれから裁断される耐熱性材料は、牽引ローラが動作する温度に曝された場合に、組成的または寸法的変化を実質的に示さないように、組み付けられて牽引ローラを形成するのに先立って焼成される。例えば、耐熱性ディスクは約650℃から約1000℃までの、または約760℃から約1000℃までの、または好ましくは約900℃から約1000℃までの温度において少なくとも2時間保持されるという焼成工程において加熱される。次にこれらの耐熱性ディスクは周囲温度まで冷却されかつ組み付けられて、牽引ローラまたは本明細書で説明されているモジュール部品を形成する。モジュール部品は、例えば耐熱性材料からなるスリーブ、または配置された耐熱性材料を有するカートリッジである。
スリーブ
一つの態様において、本発明は、1本の牽引ローラシャフトと、耐熱性材料からなる1個または複数個のスリーブとを備えた牽引ローラ・モジュール構造を提供する。スリーブは、圧縮および加熱によって少なくとも或る程度一体に融着された、焼成され圧縮された耐熱性ディスク群から形成することができる。このような構成においては、大幅な稼働停止および牽引ローラ全体を製造者に戻すことを必要とせずに、牽引ローラの損傷を受けた部分をユーザー側の人員によって容易かつ迅速に交換することが可能である。
一つの態様において、スリーブは、例えば、圧縮および加熱によって剛直になりかつ少なくとも或る程度一体に融着されたミルボード材料からなる複数枚の耐熱性ディスクから調製されることができる。別の態様において、スリーブは、使用地点に運ばれるのに先立って、所望の寸法に調製および/または構成されて、さらに稼働停止時間および牽引ローラの修復に要する努力を最少にすることができる。
スリーブは、ミルボード材料からなる1枚または複数枚のシートから複数枚のディスクを打抜きまたは切断することによって調製されることができる。これらのディスクは次に、ディスクを乾燥させかつディスク内の如何なる揮発性および/または可燃性成分をも除去するのに十分な時間および温度で焼成される。一つの態様において、ディスク群は、焼成後においては、牽引ローラの使用に伴う高温に曝された場合に実質的な重量損失がない(例えば1.5重量%未満)ように、したがって動作条件下で寸法的に安定なように焼成される。例えば、ディスクは約650℃から約1000℃までの、または約760℃から約1000℃までの、または好ましくは約900℃から約1000℃までの温度において加熱され、かつその温度において少なくとも2時間保持され、次いで、シャフトに組み付けられてスリーブを形成する以前に室温まで冷却される。
焼成されたディスク群は、面同士を接した態様でシャフト上に位置決めされる。本明細書全体に亘って、説明を簡単にするために、単に「ディスク」と称されたときには、ディスクがシャフト上に組みつけられて牽引ローラの部品モジュールを形成以前に焼成されたかまたは焼成されていないかの何れかを意味すると理解される。一方、具体的に「焼成されたディスク」と称されたときには、上述のように、加熱されて乾燥されかつディスク内の如何なる揮発性および/または可燃性成分をも除去されたディスクを意味する。種々の態様において、スリーブを調製するのに用いられるシャフトは、牽引ローラシャフトであっても、あるいは単にこのようなスリーブの調製のみに用いられる治具としてのシャフトであってもよい。上記シャフトが牽引ローラシャフトで或る場合には、後にシートガラスの生産に用いられる牽引ローラの牽引ローラシャフトとして引き続き用いられても用いられなくてもよい。スリーブの調製に用いられるシャフトの詳細は特に限定されない。
一つの態様において、シャフトは、位置決めされたディスク群が軸線方向に圧縮され得るように構成される。種々の態様において、シャフトの少なくとも一端は、シャフトの長さ方向に沿ったディスクの移動を防止するために、1枚の固定カラーまたはバックプレートを備えることができる。別の態様においては、シャフトの少なくとも一端は、複数枚のディスクを固定し、加圧し、および/またはシャフトの長さ方向に沿ったディスクの移動を阻止するための取付け具を備えている。図面を参照すると、図1は、固定カラー110、係止リング170のための溝130、ジャーナル140、ベアリング150、駆動端部160を有する例示的シャフト120からなる構造100、および取り付けられていないスプリット係止リング170を示している。同様に、図2に示された構造200は、シャフト120、固定カラー110、取付けられたスプリット係止リング170、ジャーナル140、ベアリング150、駆動端部160を備えている。
別の態様においては、複数枚のディスクを固定しかつ圧縮するための、取り外し可能なカラー、ロックリング、または他の取付け具が、シャフトの反対側端部および/またはシャフトの長さ方向に沿った1箇所または複数箇所に位置決めされることができる。
一つの具体的な態様においてシャフトは、このシャフト一端に位置決めされた固定カラーを備えている、このような態様においては、複数枚の焼成されたディスクが上記固定カラーに当接し、面同士を接してシャフトに沿って位置決めされることができる。焼成された複数枚のディスクがシャフト上に位置決めされた後、取外し可能なカラーがシャフトの反対側の端部に位置決めされ、かつ軸線方向の圧縮力を上記複数枚の焼成されたディスクに対して印加するように調整される。
一つの態様において、複数枚の焼成されたディスクに対して印加される軸線方向の圧縮力は、例えばディスクの組成および得られるスリーブの所望の特性に応じて変えることができる。種々の態様において、軸線方向の圧縮力は、約7,000ポンド(3,175kgf)から約3,0000ポンド(13,608kgf)まで、約10,000ポンド(4,536kgf)から約20,000ポンド(9,072kgf)まで、または約8,000ポンド(3,629kgf)から約13,000ポンド(5,897kgf)までとすることができる。別の態様においては、軸線方向の圧縮力が約70,00ポンド(3,175kgf)未満、または約30,000ポンド(13,608kgf)を超えるものとすることができる。他の態様においては、軸線方向の圧縮力は、加熱時に、耐熱性を有する焼成されたディスクの少なくとも一部分を一体に融着させるのに十分である。
焼成された複数枚のディスクを位置決めしかつ圧縮した後、ディスク群の全体または一部分が随意的に所望の寸法に切削される。例えば牽引ローラは、これらの牽引ローラの一部分のみがガラスシートに接触するように構成することができる。したがって、圧縮された複数枚の焼成済みディスクからなるアセンブリの外表面は、所望の輪郭を備えるように切削されもしくはそのような寸法にされる。一つの態様において、焼成されたディスク群は、種々のローラの形状および/または構成の何れにも適合することができるスリ−ブを備えるように切削され得る。図3は、切削以前にシャフト上に位置決めされた圧縮された焼成されたディスク群を示し、図4は、所望の寸法または輪郭に切削された後の同じ圧縮されたディスク群を示す。
焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリは、次いで複数枚のディスクが一体に融着するのに十分な温度および時間において焼成される。一つの態様において、焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリは、少なくとも約925℃の温度において少なくとも約24時間加熱される。一つの具体的な態様において、焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリは、少なくとも約950℃の温度において少なくとも約48時間加熱される。別の態様においては、このような加熱ステップは窯内で行なうことができる。
焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリを焼成するための時間および温度条件のみでなく具体的な圧縮力も変えることができ、これらの条件が、焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリを一体に融着させてスリーブを形成するのに十分である限り、本発明は、特定の条件の組合せを限定する意図がないことを理解すべきである。一つの態様において、焼成時間および温度は、スリーブの表面の少なくとも一部分上にムライト層を形成するのにも十分である。このような層は、牽引ローラからの粉塵の発生を軽減および/または排除することができ、ガラスシートに接触し得る牽引ローラの外表面の硬度(例えばショアD硬度)を増大させることができ、したがって牽引ローラの工程損傷に対する耐性を増大させることができる。別の態様においては、焼成時間および温度は、スリーブの表面の少なくとも一部分上にクリストバライト層を形成するのに十分である。
圧縮された焼成済みディスク群からなるアセンブリの焼成後、このアセンブリはスリーブとしてシャフトから抜き出すことができる。シャフトおよびカラー等の取付け具は、スリーブをシャフトから抜き出すときにスリーブを傷つけないように構成されていることが望ましい。一つの態様において、スリーブを作製するためのシャフトは、上記スリーブの長さが、例えばこのスリーブが取り付けられる特定の牽引ローラのための耐熱性材料の所望の長さに一致するように調整されるように構成される。別の態様においては、シャフトの表面は、スリーブの抜き出しを容易にするために、十分に平滑でギザギザ、溶接部または粗面領域が皆無である。
一つの態様において、圧縮力を保つための取付け具は、シャフト上の溝に嵌まるように構成されたスナップリングとすることができる。別の態様において、取外し可能なカラーはねじ溝を備えることができ、このねじ溝を用いてシャフトの一部分に取り付けられるように構成される。このような態様においては、取外し可能なカラーの焼付きを軽減または防止するために、ねじピッチ(例えば、1インチまたは1cm当たりのねじ溝数)は十分に低くなければならない。別の態様において取付け具は、圧縮力を維持し得るものであれば何れの取付け具であってもよい。さらに別の態様においては、焼成されたディスク群からなるアセンブリをシャフト上に固定および圧縮するための手段は、スリ−ブを傷付けることなしに容易に抜き出すことができるように構成される。例えば取付け具は、圧縮力を印加し、維持し、および/または解放するときに、耐熱性ディスクおよび/またはスリーブを傷付けないように構成されたワッシャ、プレート、ベアリング、またはその他のデバイスを包含させることができる。
種々の態様において、取付け具はカラー(固定、可動および/または取外し可能)、ロックリング、スプリット係止リング、あるいは1枚または複数枚の耐熱性ディスクをシャフトまたはスピンドル上の所定位置に固定することができる、および/または牽引ローラのシャフト上にモジュール部品(例えば、スリ−ブまたはカートリッジ)を固定するためのその他のデバイスを含む。さらに取付け具は、圧縮力を印加し、維持し、および/または解放するときに、耐熱性ディスクおよび/またはスリーブを傷付けないように構成されたワッシャ、プレート、ベアリング、またはその他のデバイスを含ませることができる。
一つの態様において、取付け具(例えば、固定されたカラー、取外し可能なカラー、または双方)は、圧縮されたディスク群からなるアセンブリおよび/または得られた同心的なスリ−ブをシャフト上に保持するように構成されることができる。別の態様において、取付け具は、ディスクまたはスリ−ブのシャフト周りの自由な回動を最少にしおよび/または阻止するように構成されることができる。具体的な態様において、図5〜図7に示されているように、固定されるカラー(図5)および/または取外し可能なカラー(図6、図7)は、ディスクまたはスリーブをしっかりと掴み、かつ回動を阻止するように構成された1箇所または複数箇所の領域を備えることができる。一つの態様において、このような領域は、ディスクまたはスリーブに接するカラーの表面上に、複数の突起または円錐510を備えることができる。別の態様においては、このような領域が、例えばカラーの内径近傍に盛上がり面520を備えることができる。さらに別の態様においては、このような領域が、ディスクまたはスリーブに抵抗性の摩擦力を与え、これによって回動を最少にしまたは阻止するように構成された粗面530を備えることができる。さらに別の態様において、取外し可能なカラー(図6)のディスクまたはスリーブに接するに表面は、盛上がり面520および粗面530を備えることができる。さらに、図7に示されているように、反対側の面がナット710を備えて、複数枚のディスクに対し圧縮力を与えることができるように、または牽引ローラのシャフト上にモジュール部品を配置することができるように、カラーをシャフトに取り付ける。
一つの態様において、圧縮された焼成されたディスク群からなるアセンブリは、スリーブを形成するための焼成に先立って切削され、および/または所定寸法にされる。別の態様においては、焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリの焼成後、スリーブが切削され、および/または所定寸法にされることができる。さらに別の態様においては、焼成されたディスク群からなる圧縮されたアセンブリの焼成前および焼成後の双方において、種々の寸法合わせステップが実行される。
スリーブは、顧客および工程ラインの特定の要求に適合した種々の形状、サイズおよび構造に調製されかつ出荷されることができる。このようなスリーブの在庫は、牽引ローラの迅速な修復、したがって工程の非稼働時間を最短にすることができるように維持される。例示的スリーブ800が図8に示されている。
一つの態様において、牽引ローラの損傷部分は、取外し可能なカラーを牽引ローラシャフトから取り外し、損傷したスリーブを取り外し、新しいスリーブを取り付け、かつ取外し可能なカラーを再び取り付けることによって交換される。修復された牽引ローラは、生産の中断を最短にし、かつローラ製造者にローラを戻すことに伴う時間および経費の発生を回避しながら動作状態に戻すことができる。
一つの態様において、ミルボード材料、焼成済みディスクの枚数、およびアセンブリ方法の選択は、目標嵩密度を有する牽引ローラおよび/またはスリ−ブを用意できるように企画される。このようなやり方は、得られる牽引ローラ・アセンブリの硬度を決定することができる。焼成されたディスク群を用いてスリ−ブを形成することによって、得られるスリーブの長さ、目標嵩密度、および/または硬度がより容易に達成される。
カートリッジ
別の態様において、本発明は牽引ローラ・モジュールを提供するものであり、その場合にこのモジュール部品は、スピンドルおよびこのスピンドル上に配置された耐熱性材料からなる円筒体を備えたカートリッジである。一つの態様において、耐熱性材料からなる円筒体は、耐熱性ディスク群からなる圧縮されたアセンブリから形成されたスリーブを形成していてもよい。別の態様においては、耐熱性材料からなる円筒体は、ディスク群からなる圧縮されたアセンブリとして形成されていてもよい。一つの態様において、このようなカートリッジは、所望の輪郭に切削され、および/または寸法にされた圧縮されたディスク群を備えている。種々の態様において、カートリッジは、アセンブリ以前、アセンブリ後、および/または使用時点において所望の寸法にされることができる。例えばカートリッジは、所望の寸法に生産され、最終的な切削および牽引ローラ上への取付けのための使用場所へ出荷されることができる。
ここで説明されているスリーブ・モジュールと同様に、損傷したカートリッジは、牽引ローラ全体を製造者に戻すことを必要とせずに、取り外しかつ交換することができる。
一つの実施の形態において、カートリッジは、ミルボード材料からなる1枚または複数枚のシートから切削および/または打抜きによって調製されることができる。これらのディスクは次いで、ディスクを乾燥させかつディスク内の如何なる揮発性および/または可燃性成分をも除去するのに十分な時間および温度で焼成されることができる。例えば、ディスクは、使用時に牽引ローラに組み込まれて高温に曝された場合に重量損失を実質的に示さないように(例えば1.5重量%未満)、したがって、動作条件において寸法的に安定であるように、焼成されることができる。例えばディスクは、約650℃から約1000℃まで、または約760℃から約1000℃まで、または好ましくは約900℃から約1000℃までの温度に加熱され、かつその温度において少なくとも2時間保持され、次いで、カートリッジに組み込まれる以前に再び室温まで冷却されることができる。
本発明のスピンドルは、牽引ローラとともに使用するのに適してさえいれば如何なる材料および/または構成のものであってもよい。一つの態様において、スピンドルはセラミック材料からなる。別の態様においては、スピンドルが金属からなる。さらに別の態様においては、スピンドルがガラス製造および牽引ローラとしての使用時に一般に曝される温度に耐えることができる材料からなる。さらに別の態様においては、スピンドルが酸化または化学的侵蝕に対して実質的に耐性を有する材料からなる。さらに別の態様においては、少なくとも1本の牽引ローラシャフトおよび/または耐熱性ディスク群の少なくとも一方にほぼ一致した熱膨張係数を有する。
スピンドルは、牽引ローラとともに使用するのに適していれば如何なる寸法を有するものであってもよい。一つの態様において、図9に示されているように、スピンドル920は、耐熱性ディスク群のスピンドル・チューブに沿った移動を制限することができる、スピンドル・チューブの一端に固定されたロックカラー、フランジ910、またはその他の取付け具を有する中空のスピンドル・チューブを備えている。カートリッジを組み立て、および/またはカートリッジを牽引ローラシャフト上に位置決めするこれらの取付け具は、スリ−ブの実施の形態に関して先に説明されているものと同様でよい。別の態様において、スピンドル上に位置決めされたロックカラー、フランジ、またはその他の取付け具は、スピンドルが牽引ローラシャフト上を少なくとも或る程度スライドし得るように、スピンドル・チューブの中空部分に一致した開口部を有する。
ディスク群は、次に面同士を接した態様でスピンドル・チューブ上に位置決めされることができる。位置決めされたディスク群は圧縮され、かつスナップリングまたは取り外し可能なカラーのような、ここに説明されている適当な取付け具の何れかを用いて所定位置に保持されることができる。一つの態様においてディスクは、スナップリング930およびこのスナップリング930を収容し位置決めする溝950を用いて所定位置に保持される。溝950はスピンドル・チューブの外周面に切り込まれる。ディスク群を組み付けかつ位置決めした後、このアセンブリは随意的に焼成されて、残留する水分、揮発性成分および/または可燃性成分が耐熱性材料から除かれる。
ディスク群がスピンドル上に位置決めされかつ圧縮された後、ディスク群はスピンドル・チューブに沿って軸線方向に圧縮される。このような圧縮ステップは、例えば液圧による加圧のような如何なる適当な手法を含んでいてもよい。圧縮後、ディスクを固定しかつ圧縮状態を保つのに適した如何なるデバイスまたは手段がスピンドル上に位置決めされてもよい。一つの態様において、スピンドル・チューブ上に予め切り込まれている溝内にスナップリングが位置決めされて、カートリッジ上のディスク群の圧縮状態が維持される。
一旦スピンドル・チューブ上に位置決めされかつ圧縮されると、これらのディスク群は随意的に所望の輪郭に切削され、および/または所望の寸法とされる。スリーブに関して説明されているのと同様に、スピンドルの少なくとも1枚のロッキング・カラーおよび/または取り外し可能なカラーは、スピンドル・チューブ周りの耐熱性ディスク群の勝手な回動を防止するために、盛り上がった領域、ザラザラの領域、複数の円錐、またはその他の手段を随意的に備えることができる。
カートリッジの表面の寸法を整えるための切削ステップ以前の、および切削ステップ後の、スピンドルおよび圧縮されたディスク群を備えたカートリッジが図10および図11にそれぞれ示されている。
一つの態様において、圧縮されたディスク群を備えたカートリッジは、使用の直前に焼成され、かつ所望の寸法に切削されることができる。別の態様において、カートリッジは、使用時にカートリッジが曝される動作温度が所望の硬度を提供するように稼働されることができる。一つの態様において、カートリッジは、このカートリッジの外表面の少なくとも一部分にムライト層を有し、および/または成長させる。別の態様において、カートリッジは、このカートリッジの外表面の少なくとも一部分にクリストバル層を有し、および/または成長させる。図12は、本発明の種々の態様による、使用の準備ができたカートリッジを示す。
スリーブに関して説明されているように、損傷したカートリッジは、短い中断時間および/または低コストをもって容易に牽引ローラから取り外され、かつ交換される。
配置されることができる牽引ローラシャフトの周りでカートリッジが勝手に回動するのを防止するために、1個または複数個のキー940がスピンドル・チューブの内周面に沿って軸線と平行に配置されることができる。このような態様においては、牽引ローラシャフトが、その表面に切り込まれまたは形成された1個または複数個のキー溝を備えることができる。図9に示されているように、スピンドル920は、スピンドル・チューブの内周面上に位置決めされた複数のキー940を有することができる。
1個または複数個のキーのそれぞれは、牽引ローラシャフトの表面に切り込まれた対応するキー溝に適合される。一つの態様において、少なくとも1個のキーは、スピンドル・チューブの内周面上に配置され、対応する少なくとも1個のキー溝が、牽引ローラシャフトの表面に配置または切り込まれている。このような態様においては、スピンドルが牽引ローラシャフト上に位置決めされたときに、キーとキー溝とが一致される。別の態様においては、少なくとも2個のキーと、対応するキー溝とが存在する。別の態様においては、少なくとも3個のキーと、対応するキー溝とが存在する。
一つの態様において、複数のキーおよびキー溝が牽引ローラシャフト上のカートリッジの位置合わせを改善することができる。別の態様においては、複数のキーおよびキー溝が、動作時におけるカートリッジと牽引ローラシャフトとの間の例えば揺動のような動きを防止することができる。このような動きは、もし制限されなければ、不揃いのガラス生産および/または牽引ローラシャフト、カートリッジ、またはこれらの組合せ体の損傷を生じさせる結果となる。
別の態様において、カートリッジが牽引ローラシャフト上に位置決めされているときに、各対のキーとキー溝が嵌合してさえいれば、1個または複数個のキーおよび/またはキー溝の形状が変わってもよい。種々の態様において、牽引ローラシャフト上の少なくとも1個のキー溝に対応して、キーが、突出する正方形リブ、長方形リブ、台形リブ、またはその他の形状を備えることができる。
一つの態様において、スピンドル・チューブの内周面上に1個または複数個のキーを配置すると、牽引ローラシャフトの寿命を永引かせることができる。キー・キー溝系に関する不良の通常モードは、突出側のキーの破損または不良であるが故に、カートリッジ上にキーを配置することは、不良のモードを、高価かつより恒久的な牽引ローラシャフトから交換可能なカートリッジに移すことになる。したがって、もし不良が発生すれば、破損したカートリッジを交換することによって、牽引ローラ全体を修復することができ、迅速に稼働状態に復帰させることができる。
牽引ローラシャフトへのカートリッジの取付けは、カートリッジを牽引ローラシャフト上へかつスライドさせ、かつ牽引ローラシャフトの表面上の対応するキー溝に随意的な各キーを嵌合させることを含む。次いで、係止リング、ロックカラーまたはその他の取付け具またはデバイスが用いられて、シャフト上にカートリッジを保持し、かつ移動および/またはスリップを最少にする。一つの態様において、牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置にカートリッジを保持するためには、取付け具がカートリッジの両端に用いられるのがよい。別の態様において、牽引ローラシャフト上にねじ溝を形成すると、ナットによってカートリッジを固定することができる。上記ねじ溝は、係止リングとの焼付きを防止するために、十分に低いねじピッチ(1インチ当たりの溝数、または1cm当たりの溝数)を有する。
さらに別の態様において、牽引ローラシャフトの表面上に配置および/または切り込まれたキー溝は、牽引ローラシャフトの軸線に沿う固定点にカートリッジを位置決めし得るように構成されることができる。例えば、カートリッジが配置される一端を有する牽引ローラシャフトは、その表面に切り込まれて牽引ローラシャフトの全長の少なくとも一部分に亘って延びる1個または複数個のキー溝を有し得る。この1個または複数個のキー溝は、カートリッジがキー溝に沿ってスライド挿入された場合に、対応するキーがもはやキー溝に沿ってスライド不能になったときにカートリッジが停止するように、牽引ローラに沿う所定の位置に形成されている。したがってキー溝は、キーと相互作用を行なって耐熱性材料をガラスシートに接触させるための所望の位置に配置する。例えばキーはキー溝の終端点に接触してもよい。あるいは、キーが或る点を通り過ぎるのを阻止するためにキー溝の深さを変えてもよい。さらに、キーは回動を阻止するキー溝と必ずしも直接当接する必要はなく、両者間に中間部材を介在させてもよい。このような構成は、カートリッジの両端におけるロック機構の必要性を制限するのに有用であり、牽引ローラシャフト上におけるカートリッジの位置決めのバラツキを低減し、1個または複数個のカートリッジを交換するのに必要な時間および工数を低減する。このような位置決め構造は、ガラスシートに接触する耐熱性材料を何処へ取り付けることが望まれても、牽引ローラシャフト上に配置することができる。例えば、裸のシャフトの両端において牽引ローラはこのような構成を有することができる。別の態様において、キー溝のパターン(例えば数および/または角度位置)は、複数のカートリッジを、それぞれがシャフト上の所定の位置に取り付けられるように、牽引ローラシャフトの表面に配置することができる。これに加えて、または上記の代わりに、キー溝のパターンは、牽引ローラの具体的な形式(例えば裸シャッフト、または短い片側ローラ)に一致するように変えることができる。
図13は、例示的カートリッジと、表面に沿って配置されたキー溝1320およびカートリッジ1330が取り付けられた後にナット1340を備えた係止リングが固定されるねじ溝を有する牽引ローラシャフト1310とを示す。この牽引ローラシャフトは、さらにジャーナル、ベアリングおよび駆動端部を備えている。
本明細書全体を通じて、種々の刊行物が引用されている。これらの開示内容の全ては、化合物、組成および方法をより完全に説明するために、本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載されている要素、組成および方法に対して、種々の修正および変更を行なうことが可能である。仕様の検討ならびにここに開示されている要素、組成および方法の実施から、ここに記載されている要素、組成および方法とは別の態様も明らかである。仕様および実施例は例示を目的とするものである。限定ではない実施例の目的で、本発明の特徴が下記の態様に従って互いに組み合わされる。
一つの態様によれば、牽引ローラを調製するための方法が提供され、その方法は、
a.ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本のシャフト上へ位置決めし、
b.上記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮し、
c.この圧縮された複数枚の焼成されたディスクを、これら複数枚の焼成されたディスクの少なくとも一部分が一体に融着して1個のスリーブを形成するのに十分な温度および時間において焼成し、次いで
d.上記シャフトから上記スリーブを抜き取る、
各工程を含む。
第2の態様によれば、第1の態様の方法においてさらに、上記シャフトから上記スリーブを抜き取った後、このスリーブを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めする工程を含む。
第3の態様によれば、第1の態様の方法においてさらに、複数枚の焼成されたディスクの外周面またはスリーブの外周面を所定の輪郭に切削しおよび/または寸法にする工程を含む。
第4の態様によれば、第1の態様の方法において、上記焼成が、少なくとも約925℃の温度において少なくとも約24時間加熱する工程を含む。
第5の態様によれば、第1の態様の方法において、上記スリ−ブが芯を備えていない。
第6の態様によれば、耐熱性材料からなる1個のスリ−ブを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めかつ固定することを含む方法が提供され、この場合、上記スリ−ブが、少なくとも或る程度一体に融着された複数枚の焼成された耐熱性ディスクを備えている。
第7の態様によれば、第6の態様の方法において、上記スリ−ブが芯を備えていない。
第8の態様によれば、第6の態様の方法においてさらに、位置決めに先立って、複数枚の焼成されたディスクの外周面またはスリーブの外周面を所定の輪郭に切削しおよび/または寸法にする工程を含む。
第9の態様によれば、牽引ローラ・カートリッジの調製方法が提供され、この方法は、
a.ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本の中空の円筒状スピンドル上に位置決めし、かつ
b.上記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮する、
各工程を含み、
前記中空の円筒状スピンドルが、その内周面上に配置された、牽引ローラシャフト上の複数のキー溝に一致するように構成された複数のキーを有する。
第10の態様によれば、第9の態様の方法においてさらに、上記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮した後、上記圧縮力を維持することが可能な取付け具を上記中空の円筒状スピンドル上に位置決めする工程を含む。
第11の態様によれば、第9の態様の方法においてさらに、上記カートリッジの外表面を所定の輪郭に切削し、および/または寸法にする工程を含む。
第12の態様によれば、第9の態様の方法により製造されたカートリッジが提供される。
第13の態様によれば、1個のカートリッジを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めすることを含む牽引ローラの組立て方法が提供され、その場合、上記カートリッジは、内周面上に形成された複数のキーを有する1本の中空の円筒状スピンドル上に配置された耐熱性材料を備え、上記牽引ローラシャフトは、表面上に配置されてその軸線に沿って延びる複数のキー溝を備え、これらのキー溝は、上記キーとキー溝との相互作用により、上記カートリッジが上記牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置に配置されるように、上記牽引ローラシャフト上に配置されている。
第14の態様によれば、1本の中空の円筒状スピンドルおよびその上に配置された耐熱性材料からなる円筒体を備えたカートリッジが提供され、その場合、上記中空の円筒状スピンドルは、その内周面に沿って位置決めされた複数のキーを有し、上記カートリッジは、1本の牽引ローラシャフト上に位置決めされることが可能である。
第15の態様によれば、第14の態様において、その内周面に沿って位置決めされた少なくとも3個のキーを備えている。
第16の態様によれば、牽引ローラ・システムが提供され、このシステムは、1本の牽引ローラシャフトおよびこのシャフト上に配置された少なくとも1個のカートリッジを備え、上記牽引ローラシャフトは、表面上に配置されてその軸線に沿って延びる複数のキー溝を備え、上記少なくとも1個のカートリッジは、1本の中空の円筒状スピンドルを備え、上記キー溝は、上記キーとキー溝との相互作用により上記カートリッジが上記牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置に配置されるように、上記牽引ローラシャフト上に配置される。
第17の態様によれば、ガラスシートの作製方法が提供され、この方法は、1本のシャフトとこのシャフト上に配置された耐熱性材料からなる1個の円筒体とを有する牽引ローラを用いて、所望の厚さを有する帯状ガラスが得られるように帯状ガラスに張力を印加し、その場合、上記牽引ローラおよび/またはその構成要素は、第1から第15までの態様に何れか一つにより調製され、かつ上記所望の厚さを有する帯状ガラスからガラスシートを切り離すことを含む。
100,200 シャフト構造
110 固定カラー
120 シャフト
130 溝
140 ジャーナル
150 ベアリング
160 駆動端部
170,270 スプリット係止リング
510 円錐
520 盛上がり部
530 粗面
710 ナット
800 スリーブ
910 フランジ
920 スピンドル
930 スナップリング
940 キー
950 溝
1310 牽引ローラシャフト
1320 キー溝
1330 カートリッジ
1340 ナット

Claims (9)

  1. 牽引ローラの調製方法であって、
    a.ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本のシャフト上へ位置決めし、
    b.前記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮し、
    c.該圧縮された複数枚の焼成されたディスクを、該複数枚の焼成されたディスクの少なくとも一部分が一体に融着して1個のスリーブを形成するのに十分な温度および時間において焼成し、次いで
    d.前記シャフトから前記スリーブを抜き取る、
    各工程を含むことを特徴とする、牽引ローラの調製方法。
  2. 前記シャフトから前記スリーブを抜き取った後、該スリーブを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めする工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 耐熱性材料からなる1個のスリ−ブを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めかつ固定することを含む牽引ローラの調製方法であって、前記スリ−ブが、少なくとも或る程度一体に融着された複数枚の焼成された耐熱性ディスクを備えていることを特徴とする、牽引ローラの調製方法。
  4. 前記スリ−ブが、芯を備えていないことを特徴とする請求項1または3記載の方法。
  5. 牽引ローラ・カートリッジの調製方法であって、
    a.ミルボード材料からなる複数枚の焼成されたディスクを、面同士を接触させた態様で1本の中空の円筒状スピンドル上に位置決めし、かつ
    b.前記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮する、
    各工程を含み、
    前記中空の円筒状スピンドルが、その内周面上に配置された、牽引ローラシャフト上の複数のキー溝に嵌合するように構成された複数のキーを有することを特徴とする、牽引ローラ・カートリッジの調製方法。
  6. 前記複数枚のディスクを軸線方向に圧縮した後、前記圧縮力を維持することが可能な取付け具を前記中空の円筒状スピンドル上に位置決めする工程をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記複数枚のディスクの、または前記スリーブの、または前記カートリッジの外表面を、所定の輪郭に切削し、および/または所定の寸法にすることを特徴とする請求項1または3または5記載の方法。
  8. 1個のカートリッジを1本の牽引ローラシャフト上に位置決めすることを含む牽引ローラの組付け方法であって、前記カートリッジは、内周面上に形成された複数のキーを有する1本の中空の円筒状スピンドル上に配置された耐熱性材料を備え、前記牽引ローラシャフトは、表面上に配置されてその軸線に沿って延びる複数のキー溝を備え、該キー溝は、前記キーとキー溝との相互作用により、前記カートリッジが前記牽引ローラシャフト上の所望の軸線方向位置に配置されるように、前記牽引ローラシャフト上に配置されていることを特徴とする、牽引ローラの組付け方法。
  9. ガラスシートの作製方法であって、
    1本のシャフトと該シャフト上に配置された耐熱性材料からなる1個の円筒体とを有する牽引ローラを用いて、所望の厚さを有する帯状ガラスが得られるように該帯状ガラスに張力を印加し、その場合、前記牽引ローラおよび/またはその構成要素は、請求項1から8の何れか1項記載の方法により調製され、かつ
    前記所望の厚さを有する帯状ガラスからガラスシートを切り離す工程を含むことを特徴とする、ガラスシートの作製方法。
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