JP5526750B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)、成形性等に優れていることから従来より接着剤、電気・電子部品、自動車部品、電気機器、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)、スポーツ用品、構造用材料、塗料等の分野において広く用いられている。
例えば、自動車のルーフレール、各種ピラー等の部位において、車体剛性や強度の確保等を目的として、スポット溶接と接着剤を併用した工法(ウェルドボンド工法)が採用されているが、このウェルドボンド工法に用いられる接着剤は、80℃程度の高温において鋼板に対する高い接着強度(剥離強度)を有することが望まれる。自動車の走行時においてルーフレール、各種ピラー等の部位は高温になる場合があるからである。また、接着強度が高ければスポット溶接におけるスポット数を減らすことができるからである。
また、例えば自動車のフード、ドア、トランクリッド等の開きもの(蓋もの)と呼ばれる部品は、基本的に外板(アウターパネル)と内板(インナーパネル)とから構成されており、その端部はほぼ全周にわたって「ヘミング」と呼ばれるかしめ構造が採用されているが、このヘミング部の接着に用いられる接着剤にも高温での接着強度を有することが望まれる。自動車の走行時においてヘミング部は80℃程度の高温になる場合があるからである。
このような接着剤に関連するものとして、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には(A)特定のエポキシ樹脂、(B)アクリロニトリルブタジエンゴム、(C)粒径が5μm以下で含有水分が0.1重量%以下の炭酸カルシウムまたは/および硫酸バリウムと、および(D)エポキシ樹脂の硬化に必要な量のアニリン・ホルムアルデヒド縮合物とを含むメッキ用接着剤組成物が記載されている。このようなメッキ用接着剤組成物を用いることで相対的に低粘度として作業性を向上させると共に、接着強度の向上を図っている。
また、接着剤には、通常、エポキシ樹脂に硬化剤としてジシアンジアミドを配合するようにしているが、加熱硬化中に接着剤粘度が低下することでジシアンジアミドの沈降・不均一化が原因で界面破壊が生じてしまう。そのため、従来では、ジシアンジアミドにシリカを配合し、ジシアンジアミドの沈降を防ぐようにしている。
特開平7−11450号公報
しかしながら、ジシアンジアミドにシリカを配合すると、組成物の接着剤粘度が上昇し作業性が悪化する、という問題がある。
また、ジシアンジアミドへのシリカの配合量を減らすと凝集破壊であった組成物の破壊形態が界面破壊となる、という問題がある。
組成物を接着剤として好適に用いるためには、接着剤の粘度上昇を抑え、作業性を良好に確保しつつ、凝集破壊とすることが要求される。
本発明は、前記問題に鑑み、接着剤の粘度上昇が抑えられ、作業性を良好に確保しつつ、凝集破壊とするのに優れ、構造用接着剤として好ましく用いることができるエポキシ樹脂組成物を提供することである。
本発明は、次に示す(1)〜()である。
(1) エポキシ樹脂(A)、平均粒子径が100nm以下の硫酸バリウム粒子(B)およびジシアンジアミド(C)を含有し、前記エポキシ樹脂(A):100質量部に対して、前記硫酸バリウム粒子(B):2質量部以上20質量部以下である、ことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2) さらにコアシェル型粒子(D)を含む、ことを特徴とする上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3) 前記コアシェル型粒子(D)が、コア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する、ことを特徴とする上記(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4) 前記コアシェル型粒子(D)における前記シェル層のガラス転移温度が50℃以上である、ことを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のエポキシ樹脂組成物
(5) 前記エポキシ樹脂組成物からなる製品が構造用接着剤である、ことを特徴とする上記(1)から()の何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明によれば、接着剤の粘度上昇が抑えられ、作業性を良好に確保しつつ、凝集破壊とするのに優れ、構造用接着剤として好ましく用いることができるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本発明は、エポキシ樹脂(A)、平均粒子径が100nm以下の硫酸バリウム粒子(B)およびジシアンジアミド(C)からなるエポキシ樹脂組成物である。
このような本発明のエポキシ樹脂組成物を、以下「本発明の組成物」ともいう。
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A)について説明する。
本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物(例えば、ジシクロペンタジエンとm−クレゾールのようなクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる製造方法によって得られるエポキシ化合物)等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂(A)としては、例えば、東レ・ファインケミカル社製のフレップ10のようなエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;分子内にアセトアセテート基を有するエポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(分子内にアセトアセテート基を有するエポキシ樹脂)
分子内にアセトアセテート基を有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、ポリグリセロール型エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(ゴム変性エポキシ樹脂)
ゴム変性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有し、骨格がゴムであるエポキシ樹脂であれば特に制限されない。骨格を形成するゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル基末端NBR(CTBN)が挙げられる。
ゴム変性エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゴム変性エポキシ樹脂はその製造について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ中でゴムとエポキシとを反応させて製造することができる。ゴム変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)は特に制限されるものではなく、例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明において、ゴム変性エポキシ樹脂のエポキシ当量およびその添加量は製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂が含まれるため“そのエポキシを含んだゴム変性エポキシ樹脂”としての量を示すものとする。
(ウレタン変性エポキシ樹脂)
ウレタン変性エポキシ樹脂は、分子中にウレタン結合と2個以上のエポキシ基とを有する樹脂であれば、その構造として特に限定されるものではない。ウレタン結合とエポキシ基とを効率的に1分子中に導入することができる点から、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物(X)と、ヒドロキシ基含有エポキシ化合物(Y)とを反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシカルボン酸とアルキレンオキシドの付加物、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
なかでも、ポリエーテルポリオールを用いた場合に、密着性、柔軟性等に優れた硬化物が得られるので好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、低分子量多価アルコール類、アミン類、多価フェノール類、水等の2個以上の活性水素を有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の低級アルキレンオキサイドあるいはテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加重合させた生成物などがある。
前記低分子量多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
上記アミン類としては、アンモニウム、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられ、上記多価フェノール類としてはレゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、前記低分子量多価アルコール類またはポリエーテルポリオールと多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸または炭酸との縮合物、ラクトンの開環重合物等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸等が挙げられ、前記ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
また、ポリヒドロキシ化合物の分子量は、特に制限されるものではないが、柔軟性と硬化性とのバランスに優れる点から、質量平均分子量として、300以上20000以下が好ましく、300以上10000以下がより好ましく、300以上5000以下がより好ましく、500以上2000以下の範囲のものを用いることが更に好ましい。また、これらのキレート変性を含む場合も同様である。具体的にはADEKA社製、EPU−78−11、EPU−1395、EPU−6E、EPU−78−11Sが例示される。
また、ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、脂肪族ポリマーイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香族炭化水素基を有するポリイソシアネート基が挙げられる。なかでも、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
上記の反応により、末端に遊離のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーが得られる。これに1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するエポキシ樹脂(例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのジグリシジルエーテルおよびグリシドールなど)を反応せしめることでウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。
ウレタン変性エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタン変性エポキシ樹脂はその製造方法について特に制限されない。例えば、多量のエポキシ(例えば、エポキシ樹脂)中でウレタンとエポキシとを反応させて製造することができる。ウレタン変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
[硫酸バリウム粒子(B)]
硫酸バリウム粒子(B)について説明する。
本発明の組成物に含有される硫酸バリウム粒子(B)は、一般の市販品のものが使用される。硫酸バリウム粒子(B)の平均粒子径は、10nm以上100nm以下であることが好ましく、30nm以上80nm以下であることがより好ましい。硫酸バリウム粒子(B)の平均粒子径を上記範囲のようなナノサイズの大きさとすることにより、本発明の組成物を接着剤として用いた時、接着剤の粘度上昇を抑えることができる。また、硫酸バリウム粒子(B)の平均粒子径を上記範囲とすることで、硫酸バリウム粒子(B)と硬化剤として用いるジシアンジアミド(C)との相互作用により、ジシアンジアミド(C)の沈降を防ぎ、本発明の組成物の破壊形態が界面破壊とならず凝集破壊とすることができる。
ここで、本発明における平均粒子径とは、数平均粒子径のことをいう。硫酸バリウム粒子(B)をエポキシ樹脂(A)中へ分散させた本発明の組成物のエポキシ樹脂(A)中の硫酸バリウム粒子(B)は、凝集が完全に分かれて1次粒子の状態にあるものと、数個の1次粒子が凝集した状態にあるものが存在する。エポキシ樹脂(A)中の硫酸バリウム粒子(B)の粒子径とは、1次粒子が完全に分かれたものはその粒子の平均粒子径とし、1次粒子が凝集したものはその凝集体の断面の等価直径を平均粒子径とする。本発明で、等価直径とは、凝集体の断面積と等価な面積を有する正円の直径をいう。エポキシ樹脂(A)中の硫酸バリウム粒子(B)の平均粒子径を測定する方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)により直接粒子を観察し、粒子径の数平均を計算する方法が挙げられる。例えば、走査型電子顕微鏡でエポキシ樹脂(A)に添加する前の各硫酸バリウム粒子(B)について、例えば100個ずつ任意に粒子径の測定をし、平均粒子径を求める。尚、硫酸バリウム粒子(B)が球状でない場合には、最も形状の近い楕円に近似し、その楕円の(長径+短径)/2にて求める。また、硫酸バリウム粒子(B)の粒子径10nm未満のものおよび硫酸バリウム粒子(B)の粒子径が10μm以上のものは除外した。また、エポキシ樹脂(A)中の硫酸バリウム粒子(B)の平均粒子径を測定する方法としては、他にX線回折分析(XRD)によっても粒度分布を測定することができる。
硫酸バリウム粒子(B)の含有量は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、硫酸バリウム粒子(B)を2質量部以上20質量部以下含有することが好ましく、5質量部以上20質量部以下であるのがより好ましく、5質量部以上15質量部以下であるのがさらに好ましい。エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、硫酸バリウム粒子(B)が2質量部を下回ると、硫酸バリウム粒子(B)の添加量が不十分であるため、本発明の組成物を接着剤として用いた時、接着剤の粘度の低下を抑えることはできず、ナノサイズの大きさの硫酸バリウム粒子(B)と硬化剤として用いるジシアンジアミド(C)との相互作用でジシアンジアミド(C)の沈降を防ぐことはできず、本発明の組成物の破壊形態は殆どが界面破壊となるためである。また、硫酸バリウム粒子(B)が20質量部を越えると、硫酸バリウム粒子(B)の添加量が過多となり、硫酸バリウム粒子(B)同士が凝集し、硬化剤として用いるジシアンジアミド(C)の沈降抑制効果が低下するためである。また、本発明の組成物の破壊形態は殆どが界面破壊となるためである。
硫酸バリウム粒子(B)をエポキシ樹脂(A)に配合する方法としては各種の方法を用いることができる。例えば次のような方法を挙げることができる。
(1)エポキシ樹脂(A)に硫酸バリウム粒子(B)を添加し溶融混練する方法。
(2)上記(1)の方法において硫酸バリウム粒子(B)を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないエポキシ樹脂(A)とを混練して所定量の添加物を含有させる方法。
(3)上記(2)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
硫酸バリウム粒子(B)の配合方法としては、硫酸バリウム粒子(B)のエポキシ樹脂(A)中における分散性の観点から、特に上記(3)または(4)の方法を用いるのが好ましい。
[ジシアンジアミド(C)]
ジシアンジアミド(C)について説明する。
本発明の組成物に含有されるジシアンジアミド(C)は、硬化剤として用いられている。組成物に含有される硬化剤は、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものを用いることができる。硬化剤としては、ジシアンジアミド(C)以外に、例えば4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ポリチオールなどを用いることができる。本発明の組成物に含有される硬化剤としては、ジシアンジアミド(C)の他にこれらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリチオールはメルカプト基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。メルカプト基を2個有するチオールとしては、例えば、エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ペンタンジチオール、ヘキサンジチオールのようなアルキレンジチオール;ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、4,4′−チオビスベンゼンチオールのような芳香族ジチオール;ベンゼンジメタンチオールのような芳香族を有する炭化水素化合物のジチオール;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンのような複素環化合物;2−メルカプト−3−チアヘキサン−1,6−ジチオール、5,5−ビス(メルカプトメチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオール、5−(2−メルカプトエチル)−3,7−ジチアノナン−1,9−ジチオールのようなチア化合物;ジメルカプトプロパノール、ジチオエリトリトールのようなヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。
メルカプト基を3個以上有するチオールとしては、例えば、トリチオグリセリン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(トリメルカプト−トリアジン)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカプトメチル)メシチレン、トリス(メルカプトメチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、2,4,5−トリス(メルカプトメチル)−1,3−ジチオランのようなトリチオール;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、テトラメルカプトブタン、ペンタエリトリチオールのようなテトラチオールが挙げられる。
また、ポリチオールとして、例えば、ポリエーテル(例えば、ポリオキシプロピレングリコール)の末端にメルカプト基を導入したポリチオール(例えば、東レ・ファインケミカル社製「QE−340M」)が挙げられる。
また、ジシアンジアミド(C)の本発明の組成物中における含有量は特に限定されず、最適な量はジシアンジアミド(C)などの硬化剤の種類によって異なる。例えば従来公知である各硬化剤ごとの最適量を好ましく用いることができる。この最適量は、例えば「総説 エポキシ樹脂 基礎編」(エポキシ樹脂技術協会、2003年発行)の第3章に記載されている。
[コアシェル型粒子(D)]
本発明の組成物は、コアシェル型粒子(D)を含むのが好ましい。
コアシェル型粒子(D)について説明する。
本発明の組成物が含有するコアシェル型粒子(D)は、コア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備えるものであるのが好ましい。コアシェル型粒子(D)は、ゴム弾性を示す架橋ゴム層(中間層)を、ゴム弾性を示さない架橋ポリマー(シェル層)で被覆した構造であり、コアシェル型粒子(D)は3層構造の略球形粒子である。
コアシェル型粒子(D)は、中心にコア層を有し、そのコア層を覆うように中間層を有し、さらに中間層を覆うように最外殻にシェル層を有する。
また、コアシェル型粒子(D)は、低温から高温における接着性能および柔軟性がより優れるという観点から、シェル層のガラス転移温度が50℃以上であるのが好ましい。
なお、ガラス転移温度は、動的な粘弾性測定におけるtanδのピーク値の温度をいう。
また、コアシェル型粒子(D)は4層以上の構造を有していてもよい。例えば上記コア層の内部にガラス転移温度が50℃以下の層を有する4層構造であってもよい。
(コア層)
コアシェル型粒子(D)を構成する各層について説明する。
初めにコア層について説明する。
上記のようにコア層はコアシェル型粒子(D)の中心付近に存在する部分である。
コア層を製造する際に使用することができるモノマーとしては、例えば、芳香族ビニル単量体が挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。なかでも、低温から高温における接着性能および柔軟性により優れるという観点から、スチレンが好ましい。
コア層を製造する際に使用することができるモノマーは、芳香族ビニル単量体以外に、さらに、非芳香族系単量体、架橋性単量体の何れか一方又は両方を含むことができる。
非芳香族系単量体としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニルやシアン化ビニリデン等のビニル重合性モノマーが挙げられる。中でもエチルアクリレート又はアクリロニトリルが好ましい。また、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を持ったモノマーを共重合させることができる。例えばエポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレートが挙げられる。カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレートが挙げられる。非芳香族系単量体の使用量は、コア層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、好ましくは50質量%以下の範囲であり、より好ましくは20質量%以下の範囲である。
コア層を製造する際に使用することができるモノマーとして芳香族ビニル単量体、非芳香族系単量体の何れか一方又は両方に架橋性単量体を含め、コア層は、架橋性単量体にて架橋されていてもよい。
架橋性単量体としては、例えば、分子内に二個以上の重合性エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメチロールジメタクリレート等のアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでは、特にジビニルベンゼンが好ましい。
架橋性単量体の使用量は、コア層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、通常、30質量%以下の範囲であり、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下の範囲であり、より好ましくは5〜15質量%の範囲である。
3層のコアシェル型粒子(D)におけるコア層を製造する際に使用することができるモノマーはさらにグラフト化単量体を含むことができる。グラフト化単量体としては、例えば、アリルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アリルエステルなどを挙げることができる。
コアシェル型粒子(D)におけるコア層のガラス転移温度が50℃以上の物質であることが好ましい。コア層のガラス転移温度は50〜200℃であることがより好ましく、80〜200℃であることがさらに好ましい。より高温で接着力を備える本発明の組成物が得られるからである。
(中間層)
次に中間層について説明する。
中間層は前記コア層の外側に存在する層である。
中間層を形成する物質は特に限定されないが、ガラス転移温度が−30℃以下の物質であることが好ましい。この温度は−110℃以上−30℃以下であることがより好ましく、−110℃以上−40℃以下であることがさらに好ましい。低温での弾性率を下げ、剥離強度を上げることができるからである。
なお、コアシェル型粒子(D)が4層以上を有する構造であって、中間層が2層以上存する場合、中間層の少なくとも1層が、ガラス転移温度が−30℃以下の物質からなることが好ましい。
中間層は共役ジエンおよび/またはアルキル基の炭素数が2以上8以下であるアルキルアクリレート(アクリル酸アルキルエステル)が重合してなるポリマー、またはこれらと共重合可能なモノマーとが共重合したポリマーからなることが好ましい。
前記共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができ、中でもブタジエンが好ましい。
前記アルキル基の炭素数が2以上8以下であるアクリル酸アルキルエステルとしては、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を挙げることができ、中でもブチルアクリレートが好ましい。
また、共役ジエンまたはアクリル酸アルキルエステルと共に、それに共重合可能なモノマー(ビニル系単量体)として、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、芳香族ビニリデン化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニルやシアン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基を持ったモノマーを共重合させることができる。
例えばエポキシ基を持つモノマーとしては、グリシジルメタクリレートが挙げられ、カルボキシル基を持つモノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。
また、水酸基を持つモノマーとしては、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレートが挙げられる。
共役ジエンまたはアクリル酸アルキルエステルと共重合可能なビニル系単量体の量は、中間層を製造する際に使用するモノマーの全量に対して、通常、50質量%以下の範囲であり、好ましくは30質量%以下の範囲である。
また、共役ジエンまたはアルキルアクリレートと共重合可能なモノマーとして、架橋性モノマー(架橋性単量体)またはグラフト用モノマー(グラフト化単量体)を少量用いることが好ましい。層間の結合が得られ、加熱時においても粒子が変形し難いからである。
架橋性単量体、グラフト化単量体は、上記と同様のものを用いることができる。
また、上記のように、コア層を形成する際に用いることができる架橋性単量体、グラフト化単量体の何れか一方又は両方を10質量%以内で用いることができる。架橋性単量体の使用量は、中間層を製造する際に使用することができるモノマー全量中の、通常、0.01質量%以上5質量%以下の範囲であり、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下の範囲である。また、グラフト化単量体の使用量は、特に制限されない。
(シェル層)
次にシェル層について説明する。
上記のようにシェル層は中間層を覆う最外殻の層であり、コアシェル型粒子の凝集を防ぐことができる。
そのためシェル層を形成する物質は特に限定されないが、シェル層のガラス転移温度が50℃以上であるのが好ましく、50℃以上200℃以下であることがより好ましく、80℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
シェル層を製造する際に使用されるモノマーは、芳香族ビニル単量体、非芳香族系単量体を含むことができる。
芳香族ビニル単量体としては、上述と同様に、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。なかでも、低温から高温における接着性能および柔軟性により優れるという観点から、スチレンが好ましい。
非芳香族系単量体としては、上述と同様に、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル;メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;シアン化ビニリデンが挙げられる。
非芳香族系単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、好ましくは70質量%以下の範囲であり、より好ましくは50質量%以下の範囲である。
また、シェル層は、架橋性単量体にて架橋されていてもよい。
シェル層を製造する際に使用することができる架橋性単量体としては、上述と同様に、例えば、ジビニルベンゼン、ブチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。特に低温から高温における接着性能および柔軟性により優れるという観点から、ジビニルベンゼンが好ましい。
架橋性単量体の量は、シェル層を製造する際に使用されるモノマーの全量中、通常、30質量%以下の範囲であり、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下の範囲であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下の範囲である。
本発明の組成物が含有するコアシェル型粒子(D)は、コア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する構造を備えたもので構成される。
本発明において、コアシェル型粒子(D)は、1次粒子径の平均が50nm以上500nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。コアシェル型粒子が凝集し難いので作業性が良好だからである。また、本発明の組成物の接着強度がより高まるからである。
なお、コアシェル型粒子の1次粒子径の平均値はゼータ電位 粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社)を用いて測定して得た値を意味するものとする。
コアシェル型粒子(D)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
コアシェル型粒子(D)はその製造について特に制限されるものではなく、一般的なコアシェルポリマーを製造するための従来より公知の方法に準じて製造することができる。
例えば公知のシード重合法に従い、所定の単量体を段階的に反応系に添加することによって、コア層、中間層及びシェル層を順次形成させることにより製造することができる。
このように、本発明の組成物は、エポキシ樹脂(A)に平均粒子径が100nm以下の硫酸バリウム粒子(B)およびジシアンジアミド(C)からなるエポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂(A)に平均粒子径が100nm以下のナノサイズの大きさの硫酸バリウム粒子(B)を含めることにより、本発明の組成物を接着剤として用いた時、接着剤の粘度上昇を抑えることができると共に、ナノサイズの硫酸バリウム粒子(B)とジシアンジアミド(C)との相互作用により、ジシアンジアミド(C)の沈降を防ぎ、本発明の組成物の破壊形態を凝集破壊とすることができる。
従って、本発明の組成物によれば、接着剤の粘度上昇が抑えられ、凝集破壊をしつつ、作業性を良好に確保することができる。
本発明の組成物は、上記のエポキシ樹脂(A)、硫酸バリウム粒子(B)、ジシアンジアミド(C)およびコアシェル型粒子(D)の他に、その用途に応じて、さらに、触媒、硬化促進剤、無機充填剤、有機もしくは高分子充填剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、摺動性付与剤、界面活性剤、着色剤等を含有することができる。これらの中の2種類以上を含有してもよい。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で製造することができる。例えばエポキシ樹脂(A)、硫酸バリウム粒子(B)、ジシアンジアミド(C)、コアシェル型粒子(D)および必要に応じて硬化促進剤等のその他の成分を、室温で均質に混合することで得ることができる。
本発明の組成物は接着剤の粘度上昇が抑えられ、凝集破壊をしつつ、適度な作業性を確保するのに優れる。よって本発明の組成物は構造用接着剤として好ましく用いることができる。ここで「構造用接着剤」とは、長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤(JIS K6800)である。例えば自動車や車両(新幹線、電車)、土木、建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材の接着剤として用いることができる。
また、本発明の組成物は構造用接着剤のほかに一般事務用、医療用、電子材料用の接着剤としても用いることができる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
また、本発明の組成物は接着剤としても用いる他に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般用途向けの物品にも用いることができる。例えば、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤等が挙げられる。封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などが挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(1.エポキシ樹脂組成物の製造)
第1表に示す成分を同表に示す添加量(質量部)で用いてこれらを均一に混合して本発明の組成物を得た。各々の実施例、比較例における各成分の添加量(質量部)を第1表に示す。
(2.評価)
上記のようにして得られたエポキシ樹脂組成物を非めっき鋼板(亜鉛溶融メッキ鋼板)の表面に0.1mm以上0.2mm以下の厚さで塗布し、T字剥離強度試験およびSOD粘度に供した。
ここで、T字剥離強度試験の試験は、JIS K−6850(1999年)に従って行った。テストピース(非めっき鋼板)は0.8mm×25mm×200mmのものを用いた。
SOD粘度は、得られたエポキシ樹脂組成物を圧力粘度計(ASTM D 1092)を用いて測定した。測定は測定温度40℃において剪断速度20sec-1として行なった。40℃におけるSOD粘度が剪断速度20sec-1において170℃Pa・s以下であれば作業性が良好であると判断した。
また、80℃でのT字剥離強度試験における破壊形態を目視で確認した。
T字剥離強度試験、破壊形態およびSOD粘度の試験結果を第1表に示す。
第1表に示す各実施例、比較例の各成分の詳細は以下のとおりである。
(実施例1〜4)
エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER828、ジャパンエポキシレジン社製)、ウレタン変性エポキシ樹脂(EPU−78−11、ポリオール成分:ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイソシアネート成分:トリレンジイソシアネート(TDI)、ADEKA社製)およびゴム変性エポキシ樹脂(EPR−1309、BisAエポキシ樹脂を含有するNBR変性BisAエポキシ樹脂、ADEKA社製)を用いた。
硫酸バリウム粒子(B)として、硫酸バリウム粒子(B)1(商品名:BFN40DC、日本ソルベイ社製:1次粒子の平均粒径:30〜80nm、有機+無機(Al+SiO2)で表面処理)、または硫酸バリウム粒子(B)2(BFN40SC、日本ソルベイ社製:1次粒子の平均粒径:30〜80nm、有機+無機(Al+SiO2)で表面処理)を用いた。
ジシアンジアミド(C)として、商品名:Dicy15(ジャパンエポキシレジン社製)を用いた。
コアシェル型粒子(D)として、コアシェル型粒子(商品名:IM−601、ガンツ化成社製3層構造、1次粒子の平均粒径:200〜300nm、シェル層の成分:アクリロニトリル/スチレン共重合体、シェル層のガラス転移温度:約80℃〜100℃)を用いた。
触媒として、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(商品名:DUMU99、保土ヶ谷化学社製)を加えた。
シランカップリング剤(KBM−403、信越化学社製)を加えた。
(比較例1)
実施例1〜4において用いた所定粒径の硫酸バリウム粒子(B)1、(B)2を加えないこと以外は実施例1〜4と同様に操作した。試験結果を第1表に示す。
(比較例2)
比較例1に、更に、充填剤として、シリカ(商品名:RY−200S、日本アエロジル社製)を加え、実施例1〜4と同様に操作した。試験結果を第1表に示す。
(比較例3)
実施例1〜4において用いた所定粒径の硫酸バリウム粒子(B)1、(B)2に代え、粒径が大きい硫酸バリウム粒子(B)3(関東化学社製、平均粒径30μmの市販品を1次粒子の平均粒径が3μmに粉砕して調整した)を用いたこと以外は実施例1〜4と同様に操作した。試験結果を第1表に示す。
Figure 0005526750
(T字剥離強度と破壊形態)
第1表に示すように、実施例1〜4は、T字剥離強度が−20℃、室温、80℃のいずれの温度においても良好であった。
また、80℃におけるT字剥離強度試験における破壊形態について、実施例1〜4は全て凝集破壊であった。
これに対して、硫酸バリウム粒子(B)1又は(B)2を含まない比較例1、硫酸バリウム粒子(B)3を含んだ比較例3の組成物を用いた場合は、−20℃、室温、80℃のいずれの温度においても実施例1〜4より強度が低かった。
また、80℃におけるT字剥離強度試験における破壊形態は界面破壊であった。
なお、接着剤と被着材である鋼材の界面で破壊するのが界面破壊であり、接着剤層内部で破壊するのが凝集破壊である。接着剤と被着材とが接着されていることを保証するためにも、破壊形式としては凝集破壊が好ましい。界面破壊は接着力をコントロールできていない状態であり、信頼性に乏しい。
よって、実施例1〜4の組成物の方が、比較例1、3の組成物に比べて強度が高く、凝集破壊であったことから、接着剤としての信頼性が高い。
(SOD粘度)
また、測定温度40℃において剪断速度20sec-1におけるSOD粘度が170℃Pa・s以下であれば組成物の粘度上昇は抑えられていると判断し、作業性は良好であると判断した。また、SOD粘度が160℃Pa・s以下であれば作業性がより良好であり、150℃Pa・s以下であれば作業性が更に良好であると判断した。
測定温度40℃において剪断速度20sec-1におけるSOD粘度が、実施例1〜4では、いずれも160以下であり、良好であった。
これに対し、硫酸バリウム粒子(B)1又は(B)2を含まない組成物を用いた比較例1、充填剤としてシリカを加えた組成物を用いた比較例2、硫酸バリウム粒子(B)3を含んだ組成物を用いた比較例3は、何れもSOD粘度が実施例1〜4よりも高く、特に、充填剤としてシリカを加えた組成物を用いた比較例2では、SOD粘度が390であった。
よって、硫酸バリウム粒子(B)1又は(B)2を含む組成物の方が、硫酸バリウム粒子(B)1又は(B)2を含まない組成物に比べてSOD粘度が抑えられることから、接着剤としての信頼性が高い。
従って、実施例1〜4のように、エポキシ樹脂(A)、平均粒子径が100nm以下のナノサイズの大きさの硫酸バリウム粒子(B)およびジシアンジアミド(C)からなるエポキシ樹脂組成物を用いることで、接着剤の粘度上昇が抑えられ、凝集破壊をしつつ、適度な作業性を確保するのに優れることから、信頼性の高い接着剤、特に構造用接着剤を得ることができる。
以上のように、本発明にかかるエポキシ樹脂組成物は、粘度上昇が抑えられ、凝集破壊をしつつ、適度な作業性を確保するのに有用であり、構造用接着剤として用いるのに適している。

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂(A)、平均粒子径が100nm以下の硫酸バリウム粒子(B)およびジシアンジアミド(C)を含有し、
    前記エポキシ樹脂(A):100質量部に対して、前記硫酸バリウム粒子(B):2質量部以上20質量部以下である、ことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. さらにコアシェル型粒子(D)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記コアシェル型粒子(D)が、コア層、中間層およびシェル層の少なくとも3層を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記コアシェル型粒子(D)における前記シェル層のガラス転移温度が50℃以上である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物からなる製品が構造用接着剤である、ことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
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