JP5526549B2 - 溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法 - Google Patents

溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶鉄(例えば、溶銑)を貯蔵する誘導炉に設けられ、耐火物を用いて湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法に関する。
溶鉄を貯蔵する誘導炉に設けられた溝型誘導加熱装置は、主原料にマグネシア(MgO)を用いたマグネシア系ラミング材、主原料にアルミナ(Al)を用いたアルミナ系ラミング材、又は主原料にアルミナマグネシアスピネル(MgO・Al)を用いたスピネル系ラミング材により、溶鉄が流れる湯道を形成している。
このマグネシア系ラミング材とは、マグネシアがマグネシアとアルミナのモル比で1対1を超え、化学量論的にフリー(単体)のマグネシアが存在する組成で構成されるラミング材を意味する。また、アルミナ系ラミング材とは、アルミナがマグネシアとアルミナのモル比で1対1を超え、化学量論的にフリーのアルミナが存在する組成で構成されるラミング材を意味する。
なお、アルミナマグネシアスピネルのクリンカーを主原料として用いたラミング材もあるが、その場合も、単体のマグネシアや単体のアルミナ、更には単体のスピネルを副原料として配合する場合がほとんどである。従って、本願発明においては、このようなラミング材も、上記した定義に従ってマグネシア系ラミング材又はアルミナ系ラミング材として扱うこととする。
なお、マグネシアとアルミナのモル比が1対1のラミング材は、マグネシアが28質量%、アルミナが72質量%となるため、マグネシア系ラミング材は、マグネシアの質量比が28%より大きなものを意味し、アルミナ系ラミング材は、アルミナの質量比が72%より大きなものを意味する。また、ラミング材に、例えば、他の化学成分やバインダー等が配合されれば、当然のことながら、マグネシア系ラミング材はマグネシアの質量比が28%以下、アルミナ系ラミング材はアルミナの質量比が72%以下となる場合もある。
これらのラミング材は、高温に曝される稼働面(溶鉄との接触面)近傍が焼き固まることにより、必要な焼結強度を発現する。これを一般に、焼結層と称する。
なお、焼結層の背面側(稼働面とは反対側)には未焼結層が存在するため、なんらかの原因により、焼結層に亀裂が生じた場合でも、亀裂が鉄皮にまで達することはなく、湯漏れの危険性が非常に低くなる。
溝型誘導加熱装置では、電力効率を上げるため、耐火物の厚みを極力薄くする必要があり、ウェアライニングとパーマライニングという2層の耐火物を張り分けることが困難であるため、上記したラミング材が賞用されている。
一般に、マグネシア系ラミング材は、マグネシアを主成分とし、比較的少量のアルミナ、極めて少量のバインダー成分、及び不可避的に含まれる不純物からなる。このラミング材は、使用に伴う昇温によりマグネシアとアルミナが反応してスピネルを形成し、焼結強度を発現させるように設計される場合が多いが、マグネシアが比較的多量に含まれ、昇温後も単体のマグネシアが残存するため、マグネシア系ラミング材と呼ばれる。
このように、マグネシア系ラミング材は、高融点のマグネシアを主成分とするため、耐溶損性に優れたラミング材であり、溶鉄の保持用又は鉄スクラップの溶解用の誘導炉に設けられる溝型誘導加熱装置に賞用されている。
この溝型誘導加熱装置の使用中の湯道状況の監視には、一般にコンダクタンスレシオと呼ばれる指標を用いることが多い。コンダクタンスレシオとは、溝型誘導加熱装置の立上げ時(使用開始時)の導電率を100%とし、使用に伴う導電率(1/Ω)の変化をパーセント表示した指標である。なお、導電率は、一次電流と電圧を測定し、二次側の導電率(湯道の電気抵抗)を算出して求めている。
ここで、溶鉄との接触による溶損や溶鉄流による磨耗等で生じる損耗によって湯道内径が拡大する場合、湯道の電気抵抗が下がるため、コンダクタンスレシオは100%より大きく表示される。一方、溶鉄内に巻き込まれたスラグや溶鉄から酸化析出してきた酸化物などの異物が、湯道内壁(以下、湯道内面ともいう)に付着することによって湯道内径が縮小する場合、湯道の電気抵抗が上がるため、コンダクタンスレシオは100%より小さく表示される。
即ち、コンダクタンスレシオを用いることで、湯道内径の変化を容易に推定できる。
溝型誘導加熱装置を用いて溶鉄を誘導加熱する場合、湯道内の溶鉄に発生する誘導電流は一般に大電流であるため、湯道内では電流と電流が互いに引き付け合う作用が生じ、湯道内の溶鉄にはその断面積を収縮させる方向の力が働く。この作用を、一般にピンチ作用(ピンチ効果、ピンチング作用)と称しており、このピンチ作用により、湯道内の溶鉄が収縮し始め、ついには切断される状態となる。これをピンチ現象(ピンチング現象)と呼ぶ。
このピンチ現象は、大容量負荷の電源投入と遮断を断続的に行う状態と同じであり、これによる突入電流により、電源装置の異常停止が発生し、操業中断や機器損傷を招く等の問題が発生する。
ピンチ現象は、湯道の断面積あたりの電流密度が大きくなるほど発生し易くなるため、湯道内に異物が付着する等の原因により、湯道の断面積が縮小してピンチ現象が多発する場合には、溝型誘導加熱装置への印加電力を低下させて、湯道の断面積あたりの電流密度を低減せざるを得なくなる。その結果、冷鉄源の溶解所要に必要な電力を印加できなくなり、溶解量を削減せざるを得なくなる。
また、ピンチ現象が多発する場合には、溝型誘導加熱装置を安定して使用することが不可能となるため、溝型誘導加熱装置の交換が必要になる場合もある。
この問題に対して、以下のような方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、高出力の通電と低出力の通電とを交互に行うことにより、湯道内面を正常な状態に維持して、ピンチ現象の抑制、昇熱操業の安定化、加熱電力効率の向上、更には異物による湯道閉塞の抑制や防止を図る技術が開示されている。
また、特許文献2には、誘導加熱中に、湯道を流れる溶銑流の方向を逆転させることにより、湯道を洗浄する技術が開示されている。
そして、特許文献3には、誘導加熱中に、湯道内径よりも小さい径の鋼球を、溶銑流に乗せて湯道内を通過させることにより、湯道内壁の付着物を除去する技術が開示されている。
更に、特許文献4には、特許文献3に記載の方法により、湯道内壁への付着物を剥離させ、この剥離した異物を特許文献2に記載の方法により、湯道内から洗い流す技術が開示されている。
特開2004−218038号公報 特開2007−46075号公報 特開2007−70726号公報 特開2008−180452号公報
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の技術は、異物付着による湯道の断面積の縮小に一定の効果はあるものの、損耗による湯道の断面積の拡大への対応は困難であるため、湯道内径が拡大し過ぎると、耐火物の残厚が薄くなり、溝型誘導加熱装置の交換が必要になる。また、湯道への異物付着のメカニズムに踏み込んだ対応策ではないため、付着物の発生量を制御することができない。更には、一時的ではあるが、冷鉄源の溶解所要に適した電力よりも大きな電力を投入しなければならないという問題があった。
また、特許文献2の技術では、湯道内面に単に引っ掛かった状態の異物を洗浄除去することはできるが、湯道内面に接着したように付着(強固に付着)した異物は除去できず、また溶銑流の方向を逆転させるために高価で特殊な設備が必要であるという問題もある。そして、この技術も、特許文献1の技術と同様に、損耗による湯道の断面積の拡大への対応が困難であり、湯道への異物付着のメカニズムに踏み込んだ対応策ではないため、付着物の発生量を制御することができないという問題があった。
そして、特許文献3の技術は、湯道内面に局部的に大きく成長した異物の除去に一定の効果はあるものの、湯道内面の広範囲に渡って滑らかに付着した異物の除去は困難であり、また溝型誘導加熱装置の湯道入口へ効率的に鋼球を投入するのは困難であるという問題がある。そして、この技術も、特許文献1、2の技術と同様に、損耗による湯道の断面積の拡大への対応が困難であり、湯道への異物付着のメカニズムに踏み込んだ対応策ではないため、付着物の発生量を制御することができないという問題があった。
更に、特許文献4の技術も、既に記載した通り、湯道内面に局部的に大きく成長した異物の除去に一定の効果があるものの、湯道内面の広範囲に渡って滑らかに付着した異物の除去は困難であり、また溝型誘導加熱装置の湯道入口へ効率的に鋼球を投入するのは困難であるという問題がある。そして、この技術も、特許文献1〜3の技術と同様に、損耗による湯道の断面積の拡大への対応が困難であり、湯道への異物付着のメカニズムに踏み込んだ対応策ではないため、付着物の発生量を制御することができないという問題があった。
以上のように、前記した従来の技術では、溝型誘導加熱装置の湯道内径を一定に保つことが非常に困難であるという問題があった。
特に、耐溶損性を重視して、溝型誘導加熱装置の湯道を形成する耐火物にマグネシア系ラミング材を使用する場合、誘導炉の溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入すると、金属アルミニウムが酸化析出されて生成した異物が、湯道内面に強固に付着する。このため、湯道内径が縮小してピンチ現象が多発し、溝型誘導加熱装置を安定して使用することが困難となるため、短期間で溝型誘導加熱装置の交換が必要となり、経済性が悪くなると共に、溝型誘導加熱装置の交換期間中、誘導炉の操業を休止しなければならず、溶鉄の生産性が低下するという問題が発生する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、溝型誘導加熱装置の湯道内径の安定化により、溝型誘導加熱装置の長寿命化が図れ、この溝型誘導加熱装置が設けられた誘導炉の安定操業を可能にする溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法は、溶鉄を貯蔵する誘導炉に設けられ、耐火物を用いて湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、
前記溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入して溶解するに際し、前記耐火物にアルミナ系ラミング材を用いる。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溝型誘導加熱装置の使用開始時の導電率を100%とした場合に、該溝型誘導加熱装置の使用に伴う導電率の変化を示すコンダクタンスレシオが、100%を超え140%以下の範囲内のとき、又は、1日あたりに換算した前記コンダクタンスレシオの上昇幅が0.7%以上になるとき、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上に調整し、前記コンダクタンスレシオが、65%以上85%以下の範囲内のとき、又は、半日あたりに換算した前記コンダクタンスレシオの下降幅が2.5%以上になるとき、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満に調整することが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を上昇させる場合、前記溶鉄に、金属マグネシウムの塊を装入することが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を低下させる場合、前記溶鉄に、溶銑、溶銑を固めた型銑、及び鉄スクラップのいずれか1又は2以上を装入することが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法は、溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入して溶解するに際し、溝型誘導加熱装置の湯道を形成する耐火物にアルミナ系ラミング材を用いるので、湯道内面への異物の強固な付着を抑制できる。鉄スクラップには金属アルミニウムが含まれているが、この金属アルミニウムは酸化析出してアルミナを生成し、このアルミナが湯道内面に付着する。ここで、湯道を形成する耐火物にマグネシア系ラミング材を用いた場合、耐火物中のマグネシアと湯道内面に付着したアルミナとの間で、相互に拡散現象が起こり、アルミナマグネシアスピネルを生成するため、湯道内面に付着物が強固に接着する。しかし、湯道を形成する耐火物にアルミナ系ラミング材を用いることで、この現象は起こらない。
従って、溝型誘導加熱装置の湯道内径を安定化させることができ、溝型誘導加熱装置の長寿命化が図れ、この溝型誘導加熱装置が設けられた誘導炉の安定操業が可能となる。
また、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオが、100%を超え140%以下の範囲内のとき、又は、1日あたりに換算したコンダクタンスレシオの上昇幅が0.7%以上になるときは、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上に調整するので、湯道内面へのマグネシア析出量を増加させ、耐火物の損耗速度よりも湯道内面へのマグネシアの付着速度を大きくできる。これにより、湯道内面に析出したマグネシアは、湯道内面を形成する耐火物中の単体アルミナとの間でスピネルを生成し、湯道内面へ強固に付着して、拡大傾向にあった湯道内径を縮小できる。このとき、コンダクタンスレシオは低下する傾向となる。
一方、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオが、65%以上85%以下の範囲内のとき、又は、半日あたりに換算したコンダクタンスレシオの下降幅が2.5%以上になるときは、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満に調整するので、湯道内面へのマグネシア析出量を低下させ、湯道内面へのマグネシアの付着速度よりも耐火物の損耗速度を大きくできる。これにより、縮小傾向にあった湯道内径を拡大できる。このとき、コンダクタンスレシオは上昇する傾向となる。
このように、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオに応じて、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を調整するので、湯道内径の状況に応じて、湯道内面へのマグネシアの析出量を制御でき、湯道内径の安定化が図れる。
また、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を上昇させる際に、溶鉄に、金属マグネシウムの塊を装入する場合、特別な作業を行うことなく、しかも溶鉄の化学成分を大幅に変動させることなく、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度調整ができる。特に、金属マグネシウムは、溶銑予備処理における脱硫剤として使用されることが多く、入手が容易である。
そして、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を低下させる際に、溶鉄に、溶銑、溶銑を固めた型銑、及び鉄スクラップのいずれか1又は2以上を装入する場合、特別な作業を行うことなく、しかも溶鉄の化学成分を大幅に変動させることなく、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度調整ができる。
使用済みの溝型誘導加熱装置の部分拡大説明図である。 図1に示した各部分の化学分析の結果を示す説明図である。 溶銑中の金属アルミニウムの濃度を所定範囲内に維持した際のコンダクタンスレシオの変化を示す説明図である。 コンダクタンスレシオの上昇時に溶銑中の金属マグネシウムの濃度を調整した後のコンダクタンスレシオの変化を示す説明図である。 コンダクタンスレシオの低下時に溶銑中の金属マグネシウムの濃度を調整した後のコンダクタンスレシオの変化を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は使用済みの溝型誘導加熱装置の部分拡大説明図、図2は図1に示した各部分の化学分析の結果を示す説明図である。
本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法は、溶鉄を貯蔵する誘導炉に設けられ、耐火物を用いて湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道内径の制御方法であり、溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入して溶解するに際し、耐火物にアルミナ系ラミング材を用いて、湯道内径(内幅)の安定化を図る方法である。なお、本実施の形態において、湯道は、その断面形状が完全に円形でないものも含まれる。
以下、本発明に想到した経緯について説明した後、本発明について詳しく説明する。
本発明者は、使用済みの溝型誘導加熱装置の湯道の状況調査を行った。この結果を、図1、図2を参照しながら説明する。なお、図1には、湯道を形成するマグネシア系ラミング材(以下、単にラミング材ともいう)の構成と、このラミング材表面に付着した付着物の構成を示しており、図2には図1の各部分の化学分析を行った結果を示している。なお、図2には溶鉄中に浮遊していた炉内スラグの化学分析結果もあわせて示している。
図1に示すように、湯道を形成するラミング材は、酸化鉄等の浸潤を受けて液相焼結している「焼結層(浸潤層ともいう)」と、湯道から離れているため温度が上昇せず焼結に至っていない「未焼結層」とに分離できる。このラミング材表面(溶鉄との接触面)に付着した付着物は、ラミング材表面に形成された非常に緻密な「緻密質付着物」と、その表面を覆う脆い質感の「網目状付着物」とで構成されている。
この各部分について化学分析を行ったところ、図2に示すように、「緻密質付着物」は、マグネシアとアルミナのモル比(MgO/Al)が概ね1であり、アルミナマグネシアスピネルが生成していることが分かった。
また、図2に記載の網目状付着物は、その化学成分の70質量%以上がアルミナであることから、スラグを巻き込んで形成されたものではなく、網目状付着物及び緻密質付着物を構成するアルミニウム成分の由来は、溶鉄中に溶解しているアルミニウム成分であることが分かった。これは、通常のスラグが、CaO:30〜50質量%、SiO:30〜50質量%、Al:3〜10質量%程度(図2においては、炉内スラグのアルミナ量が10質量%未満)であることに起因する。
以上の結果から、湯道を形成する耐火物がマグネシア系ラミング材で構成された溝型誘導加熱装置の湯道内面への異物付着のメカニズムは、以下のように解釈できる。
(1)溶解したアルミニウムを含有した溶鉄が、溶鉄の流れによって湯道内へ流入する。
(2)湯道内面近傍にて、溶鉄中の金属アルミニウムが酸化してアルミナを生成し、湯道内面に付着する。
このときの酸素供給源としては、耐火物を構成する酸化物分子に含まれる酸素原子、及び/又は耐火物中の気泡に含まれる酸素分子が考えられる。従って、マグネシア系ラミング材とアルミナ系ラミング材のいずれで湯道を構成しても、湯道内面には溶鉄中の金属アルミニウムの酸化析出が起こり得る。
なお、湯道内面には、溶鉄の流れに巻き込まれたスラグ中のアルミナが付着することもあり得るが、溶鉄との比重差が2倍以上もあることから、湯道内に到達することはほとんどないものと考えられる。
(3)湯道を形成するラミング材中の単体のマグネシアと、付着物であるアルミナとの間で相互に拡散現象が起こり、アルミナマグネシアスピネルが生成することにより、付着物が湯道内面に強固に接着する。
この現象は、マグネシア系ラミング材で構成された湯道内面にアルミナ粒が付着した場合、又はアルミナ系ラミング材で構成された湯道内面にマグネシア粒が付着した場合に起こる。なお、アルミナ系ラミング材で構成された湯道内面にアルミナ粒が付着した場合、又はマグネシア系ラミング材で構成された湯道内面にマグネシア粒が付着した場合には、この現象は起こらない。
続いて、以上のように解明した湯道内面への異物付着メカニズムに基づいて、本発明者が想到した発明について説明する。
溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップ(例えば、金属アルミニウムの濃度:0.015質量%以上)を装入して溶解するに際しては、湯道を形成する耐火物にアルミナ系ラミング材を用いる。これにより、湯道内面への過剰な異物付着を抑制できる。
アルミナ系ラミング材で構成された湯道であっても、溶鉄中の金属アルミニウムから酸化析出してきたアルミナが湯道内面に付着し、湯道の溶損に対してバリア層として機能するが、それらの界面にアルミナマグネシアスピネルが生成することはない。このため、湯道内面とアルミナとの間で強固な結合力は発生せず、必要に応じて、前記した特許文献1に記載の技術等を用いることで、アルミナを容易に引き剥がすことができるため、一定のコンダクタンスレシオを維持し易い。なお、金属アルミニウムを含む鉄スクラップとは、アルミキルド鋼スクラップ、アルミニウム・シリコンキルド鋼スクラップ、鉄・アルミニウム合金鉄スクラップ等のように、鉄中に金属アルミニウムを有するものや、スクラップ中にアルミニウム塊が混入しているものも含む。
しかし、溝型誘導加熱装置を、例えば、高出力にて連続運転する必要がある場合、即ち鉄スクラップ(冷鉄源)の投入速度を、溝型誘導加熱装置の定格出力電力1MW(メガワット)あたり概ね0.6トン/時間以上(例えば、0.6トン/時間以上2.2トン/時間以下、好ましくは、下限を1.0トン/時間、上限を1.8トン/時間)にして、操業している場合、コンダクタンスレシオが拡大傾向になるときがある。これは、アルミナ系ラミング材が、一般にマグネシア系ラミング材よりも耐溶損性に劣る上に、溶損に対するバリア層として機能する湯道内面の付着物の付着力が弱く、高出力に伴う溶鉄流動によって付着物が引き剥がされてしまうためである。
これに対処するため、アルミナ系ラミング材で湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道状況を監視して、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を調整し、湯道内径(内幅)の安定化を図るのが好ましい。なお、本実施の形態において、金属マグネシウムには、酸化物としてのマグネシアは含まない。
使用中の溝型誘導加熱装置の湯道状況の監視には、コンダクタンスレシオを用いる。このコンダクタンスレシオとは、溝型誘導加熱装置の使用開始時(未使用状態からの立上げ時)の導電率を100%とした場合に、溝型誘導加熱装置の使用に伴う導電率(1/Ω)の変化を示す指標である。
従って、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオは、溝型誘導加熱装置の稼働直後は100%であり、設備仕様通りの能力を発揮することができる。しかし、溶鉄中の成分によるコンダクタンスレシオの変動が原因で、設備能力に制約が発生することとなるため、コンダクタンスレシオを管理し、設備を健全に保持することが重要となる。
そこで、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオが上昇するとき、即ち上昇傾向又は100%を超え140%以下の範囲内の所定値を上回るとき、湯道の内径が拡大していくため、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上に調整する。
このように、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を現状よりも上昇させることで、コンダクタンスレシオを下降させる。なお、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を上昇させる方法としては、溶鉄に、金属マグネシウム源である金属マグネシウムの塊を装入するのがよいが、これに限定されるものではない。
ここで、コンダクタンスレシオが上昇傾向とは、例えば、1日あたりに換算したコンダクタンスレシオの上昇幅が0.7%以上になることをいう。この場合には、上昇開始のコンダクタンスレシオが、例えば、95%以上100%以下(安定した領域)の場合であっても、金属マグネシウム源の投入などによる金属マグネシウムの濃度増加のアクションを行うことが望ましい。
なお、コンダクタンスレシオの上昇幅を1日あたりに換算したのは、コンダクタンスレシオの上昇が湯道の損耗に起因するものであり、湯道がゆっくりと広がるため、即座に対策を講じなくても十分に対応できることによる。しかし、コンダクタンスレシオの上昇に伴い、湯道内径が増加して電力効率が悪化してゆくため、コンダクタンスレシオが140%を超えることがないように、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を調整することが望ましい。
なお、コンダクタンスレシオの上昇に伴い、耐火物の残厚が減少して、湯漏れのリスクも増加するため、コンダクタンスレシオが140%以上となることがないように、注意が必要である。このため、コンダクタンスレシオが上昇する場合は、例えば、1日ごと、又はそれより高い頻度で、コンダクタンスレシオの測定が必要である。
また、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオを100%を超えとしたのは、上記したように、溝型誘導加熱装置の稼働直後が100%であることによる。
一方、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオが140%を超える場合というのは、湯道を形成する耐火物の溶損により、耐火物の残厚が少なくなっていることを意味する。また、コンダクタンスレシオが140%を超えても、湯道を形成する耐火物の残厚が十分あるという溝型誘導加熱装置は、元々の耐火物の厚みが厚過ぎて電力効率が悪いということを意味しており、そのような溝型誘導加熱装置は、実用上あり得ないと言える。
従って、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上に調整する場合のコンダクタンスレシオを、100%を超え140%以下の範囲内としたが、上限を130%、更には120%とするのが好ましい。なお、作業性の観点から、下限を105%、更には110%とするのがよい。
なお、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%(好ましくは、0.0010質量%、更には0.0012質量%)以上としたのは、0.0008質量%以上で、湯道内面へのマグネシアの析出を促進できることによる。
一方、上限値については特に定めていないが、これは、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度が高くなれば、湯道内面へのマグネシアの析出を促進でき、拡大傾向にあった湯道の内径を縮小できるためである。しかし、金属マグネシウムの濃度が0.0020質量%を超えると、湯道内径の縮小効果が飽和するため、0.0020質量%(好ましくは、0.0016質量%)以下にするとよい。付着物が成長していく速度は、金属マグネシウムが溶鉄中から酸化析出して湯道内面に付着する速度と、アルミナラミング材との間で物質拡散が生じてアルミナマグネシアスピネルの層として成長する速度に律速する。このため、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を高くすれば、湯道内面に付着する速度は上昇するが、アルミナマグネシアスピネルの層として成長する速度に追従できないため、湯道内面に強固に付着できない。従って、付着物は溶鉄の流れで取れ易いため、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を高く設定しても、付着物の成長速度が上がらない。
また、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオが下降するとき、即ち下降傾向又は65%以上85%以下の範囲内の所定値を下回るとき、湯道の内径が縮小していくため、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満に調整する。
このように、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を現状よりも低下させることで、コンダクタンスレシオを上昇させる。なお、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を低下させる方法としては、溶鉄に、溶銑、溶銑を固めた型銑、及び鉄スクラップのいずれか1又は2以上を装入するのがよいが、これに限定されるものではない。
ここで、コンダクタンスレシオが下降傾向とは、例えば、半日あたりに換算したコンダクタンスレシオの下降幅が2.5%以上になることをいう。この場合には、下降開始のコンダクタンスレシオが、例えば、100%より大きく120%以下(比較的安定した領域)の場合であっても、型銑の投入などによる金属マグネシウムの濃度低減のアクションを行うことが望ましい。
なお、コンダクタンスレシオの下降幅を半日あたりに換算したのは、コンダクタンスレシオの下降が湯道内面への付着物の付着に起因するものであり、湯道が拡大する速度よりも急激に縮小するため、即座に対策を講じる必要があることによる。このため、コンダクタンスレシオが下降する場合は、例えば、半日ごと、又はそれより高い頻度で、コンダクタンスレシオの測定が必要である。
また、溝型誘導加熱装置のコンダクタンスレシオの低下時には、85%以下とならないように制御することが、安定操業を継続する上で好適である。これは、コンダクタンスレシオが85%以下で65%以上では、ピンチ現象が多発し、操業上問題となるためである。なお、コンダクタンスレシオが65%未満となると、ピンチ現象が継続して発生するため、操業継続が不可となる。
従って、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満に調整する場合のコンダクタンスレシオを、65%以上85%以下の範囲内としたが、安定操業を考慮すれば、下限を70%、更には75%とするのが好ましい。
なお、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満としたのは、湯道内面へのマグネシアの析出量を低下させ、ラミング材の損耗により湯道内径を拡大できることによる。従って、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度が0質量%であることが最も望ましいが、完全に0質量%となることはほとんどないため、現実的には、下限値が0.0001質量%、更には0.0002質量%程度である。一方、上限値は、0.0008質量%、更には0.0004質量%とすることが好ましい。
以上に示したコンダクタンスレシオの100%を超え140%以下の間の所定値と、65%以上85%以下の所定値は、コンダクタンスレシオの上昇時と下降時の範囲の数値から、使用する設備の設計方針等により適宜選択すればよい。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、溝型誘導加熱装置が設けられた溶銑(溶鉄の一例)を貯蔵する誘導炉の操業を行って、コンダクタンスレシオの変化を測定した結果について説明する。なお、鉄スクラップを溶解したため、溶鉄中の炭素濃度は1.5質量%から飽和濃度であった。
まず、溶銑中の金属アルミニウム濃度を0.0025質量%以上0.0030質量%以下の範囲に維持した場合に、溝型誘導加熱装置の湯道を構成するラミング材の種類が、コンダクタンスレシオに及ぼす影響について、図3を参照しながら説明する。このときの溶銑中の金属アルミニウム濃度は、鉄スクラップと溶銑を、概ね1:3〜1:4の割合で誘導炉内へ投入する場合に相当し、溝型誘導加熱装置を低出力にして連続運転している。具体的には、鉄スクラップの投入速度を、溝型誘導加熱装置の定格出力電力1MWあたり概ね0.4トン/時間(0.6トン/時間未満である0.2トン/時間以上0.5トン/時間以下の範囲)にしている。
なお、溝型誘導加熱装置の湯道は、実施例1ではアルミナ系ラミング材(MgO:7質量%、Al:89質量%)を用い、比較例1ではマグネシア系ラミング材(MgO:86質量%、Al:11質量%)を用いて、それぞれ形成している。
図3から明らかなように、マグネシア系ラミング材を使用した比較例1では、コンダクタンスレシオが急激に低下し、2日後には、85%を下回って、ピンチ現象による操業障害が始まった。その後、前記した特許文献1に記載の方法を、約8時間適用したが、コンダクタンスレシオの回復幅は小さく、ピンチ現象は解消されなかった。
一方、アルミナ系ラミング材を使用した実施例1では、コンダクタンスレシオの低下量が、3日間で概ね10%程度と少なく、しかもその後に特許文献1に記載の方法を、約8時間適用することで、略初期状態のコンダクタンスレシオの値まで回復できた。
このように、溶銑に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入して溶解するに際しては、湯道を形成する耐火物にアルミナ系ラミング材を用いることで、マグネシア系ラミング材を用いた場合よりも、溝型誘導加熱装置の湯道内径の安定化が図れ、誘導炉を安定操業できることを確認できた。
次に、アルミナ系ラミング材で湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道状況を監視して、溶銑中の金属マグネシウムの濃度を調整した結果について、図4、図5を参照しながら説明する。なお、このときの操業条件は、図4、図5のいずれも、溶銑中の金属アルミニウム濃度を、0.0009質量%以上0.0011質量%以下の範囲内、鉄スクラップと型銑の投入速度を、溝型誘導加熱装置の定格出力電力1MWあたり概ね1.2トン/時間(0.6トン/時間以上2.2トン/時間以下の範囲)にしている。
まず、溝型誘導加熱装置の上昇傾向にあるコンダクタンスレシオが、115%(100%を超え140%以下の範囲内の所定値)を上回ったときの結果について、図4を参照しながら説明する。
図4の実施例2(□)と実施例3(○)は、いずれも溶銑中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上(実施例2:0.0008〜0.0011質量%、実施例3:0.0012〜0.0016質量%)に調整したため、コンダクタンスレシオは、誘導炉の操業日数3日後に減少している
このように、溶銑中の金属マグネシウムの濃度が高くなるに伴い、特に実施例3ではコンダクタンスレシオの低減速度が速くなることが分かった。
一方、実施例4(◆)は、溶銑中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%未満(0.0004〜0.0007質量%)に調整したため、金属マグネシウムの供給によるマグネシアの付着速度が湯道の損耗速度よりも僅かに劣っていた。このため、コンダクタンスレシオは、誘導炉の操業日数の経過に伴って、僅かに上昇傾向であった。しかし、その上昇幅は、僅少であるため、湯道内径の拡大傾向は極めて小さかった。
従って、実施例2〜4では、拡大傾向にあった湯道内径を僅かに拡大傾向、更にはその拡大傾向を抑えることができ、特に、実施例2、3については、拡大した湯道内径を縮小できることが分かった。
次に、溝型誘導加熱装置の下降傾向にあるコンダクタンスレシオが、85%(65%以上85%以下の範囲内の所定値)を下回ったときの結果について、図5を参照しながら説明する。
図5の実施例5(□)と実施例6(△)は、いずれも溶銑中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%未満(実施例5:0又は0を超え0.0003質量%以下、実施例6:0.0004〜0.0007質量%)に調整したため、コンダクタンスレシオは、誘導炉の操業日数7日後に増加している
このように、溶銑中の金属マグネシウムの濃度を低減することで、コンダクタンスレシオの低下時よりもコンダクタンスレシオの変化速度が遅いものの、溶銑中の金属マグネシウムの濃度が低くなるにつれて、コンダクタンスレシオの増加速度が速くなることが分かった。
なお、図5の実施例7(◆)には、溶銑中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上(0.0008〜0.0011質量%)に調整した結果を示している。このように、金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上としたため、金属マグネシウムの供給によるマグネシアの付着速度が湯道の損耗速度よりも僅かに勝っていた。このため、コンダクタンスレシオは、誘導炉の操業日数の経過に伴って、僅かに下降傾向であった。しかし、前記した図3で説明したように、コンダクタンスレシオの低下量が、7日間で概ね10%程度と少ないため、その後に特許文献1に記載の方法を適用することで、略初期状態のコンダクタンスレシオの値まで回復できる。
従って、実施例5〜7では、縮小傾向にあった湯道内径を僅かに縮小傾向、更にはその縮小傾向を抑えることができ、特に、実施例5、6については、縮小した湯道内径を拡大できることが分かった。
なお、以上に示した実施例1〜7、及び比較例1については、溶銑中の金属アルミニウムと金属マグネシウムの濃度を範囲で示しているが、これは、誘導炉の操業を数日間に渡って連続的に行っているため、金属アルミニウムと金属マグネシウムの量が変動していることによる。
以上のことから、コンダクタンスレシオに応じて、溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を調整することで、湯道内面へのマグネシアの析出量を制御して、更に湯道内径の安定化を図り、誘導炉の安定操業が可能になることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、溶鉄に溶銑を使用した場合について説明したが、金属アルミニウムを含む鉄スクラップを溶解させる溶鉄であれば、これに限定されるものではない。

Claims (4)

  1. 溶鉄を貯蔵する誘導炉に設けられ、耐火物を用いて湯道を形成した溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、
    前記溶鉄に金属アルミニウムを含む鉄スクラップを装入して溶解するに際し、前記耐火物にアルミナ系ラミング材を用いることを特徴とする溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法。
  2. 請求項1記載の溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溝型誘導加熱装置の使用開始時の導電率を100%とした場合に、該溝型誘導加熱装置の使用に伴う導電率の変化を示すコンダクタンスレシオが、100%を超え140%以下の範囲内のとき、又は、1日あたりに換算した前記コンダクタンスレシオの上昇幅が0.7%以上になるとき、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0.0008質量%以上に調整し、前記コンダクタンスレシオが、65%以上85%以下の範囲内のとき、又は、半日あたりに換算した前記コンダクタンスレシオの下降幅が2.5%以上になるとき、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を0又は0を超え0.0008質量%未満に調整することを特徴とする溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法。
  3. 請求項1又は2記載の溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を上昇させる場合、前記溶鉄に、金属マグネシウムの塊を装入することを特徴とする溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法。
  4. 請求項1又は2記載の溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法において、前記溶鉄中の金属マグネシウムの濃度を低下させる場合、前記溶鉄に、溶銑、溶銑を固めた型銑、及び鉄スクラップのいずれか1又は2以上を装入することを特徴とする溝型誘導加熱装置の湯道内径制御方法。
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