JP5419554B2 - 溶鉄容器の耐火物の管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鉄容器に設けた耐火物の残厚推移の管理を行う溶鉄容器の耐火物の管理方法に関する。
従来より、溶銑や溶鋼が装入される溶鉄容器は、製鋼工場の様々な箇所で用いられている。例えば、LF装置などの二次精錬設備おいても溶鉄容器は用いられるが、二次精錬処理時の様々な要因によって当該溶鉄容器内の耐火物の溶損が進行することになる。溶鉄容器を繰り返し使用することによって耐火物の溶損が進行すると漏銑や漏鋼につながるため耐火物の溶損状況を監視することは非常に重要である。
このように、溶鉄容器の溶損状況を監視したり補修を行う技術として様々なものが開発されている。
特許文献1は、内面がAl23−SiO2系の耐火物で保護され高炉から出銑された溶銑を脱りん炉や脱炭炉に装入するために使用する溶銑鍋の耐火物の補修要否の判断方法において、耐火物の補修すべき残厚x(mm)を予め設定しておき、溶銑鍋の連続使用時間が10時間以上経過した後に溶銑鍋の鉄皮温度ym(℃)を測定し、鉄皮温度ymが300℃以下であって、ym≧428−0.8×xが成立するとき耐火物の点検を実施し、ym<428−0.8×xが成立するときは耐火物の点検を行わずに溶銑鍋を使用している。
さて、耐火物の残厚等の溶損状況を考慮しながら終点判定を行う技術としては、特許文献2に開示されているものがある。
特許文献2は、酸素洗浄が行われるノズル状耐火物の内面に対して管理部位を設定するとともに、新しいノズル状耐火物の管理部位に測定子を接触させて測定した値を初期値Pとし、上記管理部位における減厚限界に至るときの設定値をQとし、上記ノズル状耐火物が受鋼することのできる最大使用回数をRとし、受鋼回数をnとするとき、受鋼回数がn回目であるときの上記ノズル状耐火物の管理値を管理値=P+n×[(Q−P)÷R]によって求め、上記ノズル状耐火物の酸素洗浄後に上記管理部位を上記測定子によって上記最大使用回数Rのうち少なくとも1回以上測定を行い、測定した値が上記管理値を超える場合に上記ノズル状耐火物の交換要と判断し、上記管理値を超えない場合は継続使用可と判断している。
特開2008−127619号公報 特開2007−50438号公報
特許文献1では、耐火物の残厚等を考慮することで溶鉄容器の使用を判断しているが、耐火物の溶損の状況に応じて操業を変化させて溶鉄容器の出来る限り長く使用するといったことは考慮されておらず、単に、耐火物の補修の要否を判断するものである。
特許文献2では、耐火物の残厚等の溶損状況を考慮しながら終点判定を行っているものの、この技術も特許文献1と同様に、耐火物の交換時期を判定するものである。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、溶鉄容器からの溶鉄の漏出を確実に防止することができると共に、計画的に溶鉄容器の耐火物の管理運用を行うことができる溶鉄容器の耐火物の管理方法を提供することを目的とする。
本発明の技術的手段は、溶鉄容器に設けた耐火物の残厚推移の管理を下記の手順で行う点にある。
(1)溶鉄容器の使用前に監視すべき監視部位を決定する。
(2)監視部位において、溶損に寄与する溶損因子を決定する。
(3)単位量の溶損因子が付与された際における監視部位での単位因子溶損量を求める。(4)各チャージの目標残厚を設定する。
(5)操業を行った際に耐火物に与える負荷に応じて操業のランクを設定する。
(6)各ランクでの操業において1チャージ当たりの溶損因子の平均量を求める。
(7)耐火物の使用限界から耐火物の厚みによる終点判定基準を定める。
(8)溶鉄容器を使用して操業を行う。
(9)溶鉄容器の耐火物の残厚を測定する。
(10)実測した耐火物の残厚と目標残厚とを比較する。
(11)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する。
(12)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを全ランクのうち中位のランクよりも小さくなるランクに設定する。
(13)ただし、上記(9)において耐火物の残厚の測定が出来ない場合は、前回の耐火物の残厚の実測値と、上記(3)で求めた単位因子溶損量と最新の測定以降で測定できなかった全チャージにおける総溶損因子量とを基に、当該チャージにおける耐火物の残厚を推定する。
(14)推定した残厚と目標残厚とを比較する。
(15)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する。
(16)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを全ランクのうち中位のランクよりも小さくなるランクに設定する。
(17)実測した耐火物の残厚又は推定した耐火物の残厚と、上記で設定したランクと、上記(6)で求めた各ランクにおける1チャージ当たりの溶損因子の平均量と、上記(3
)で求めた単位因子溶損量とに基づいて、次回のチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める。
(18)予想残厚と終点判定基準とを比較する。
(19)予想残厚が終点判定基準よりも大きい場合、溶鉄容器を次のチャージにも使用することとして上記(8)に移行する。
(20)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、溶鉄容器を修理に出す。
前記(20)の手順を、下記の(21)手順に置き換えると共に、下記の手順を加えていることが好ましい。
(21)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクであるか否かを判定する。
(22)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクである場合、溶鉄容器を修理に出す。
(23)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクでない場合、予め設定したランクを下げて、下げたランクを次回のチャージのランクとし、当該ランクにてチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める。
(24)上記(23)で求めた予想残厚を、上記(18)にて比較する予想残厚に適用する。
本発明によれば、溶鉄容器からの溶鉄の漏出を確実に防止することができると共に、計画的に溶鉄容器の耐火物の管理運用を行うことができる。
溶鉄容器の耐火物の管理方法の手順を示すフローチャートである。 二次精錬処理を終了する要因についてまとめたものである。 スラグライン部の耐火物の残厚測定値(溶損量)と、積算電力量との関係図である。 各チャージでのスラグライン部の耐火物の推移(目標残厚とチャージ数との関係図)を示した例を示す図である。 各チャージでのスラグライン部の耐火物の推移(目標残厚とチャージ数との関係図)を示す他の図である。 各ランクにおけるアーク電力量の分布図であって、a)ランク1でのアーク電力量の分布、b)ランク2でのアーク電力量の分布、c)ランク3でのアーク電力量の分布である。 溶鉄容器の耐火物の管理方法の手順の変形例を示すフローチャートである。
本発明の溶鉄容器の耐火物の管理方法について説明する。
溶銑や溶鋼が装入される溶鉄容器は、高炉から転炉までの間で使用されたり、転炉から二次精錬装置(溶鋼処理設備)の間で使用されたり、二次精錬装置から連続鋳造装置までの間で使用され、様々な箇所で用いられる。
このように様々な箇所で溶鉄容器は用いられるが、この溶鉄容器は使用される毎に溶鉄容器内に設けた耐火物の溶損が進行することになる。耐火物の溶損が進行すると漏銑や漏鋼につながるため耐火物の溶損状況の監視、即ち、耐火物の管理(残厚の管理)は非常に重要である。
本発明の溶鉄容器の耐火物の管理方法について詳しく説明をする。
本発明では、図1及び下記に示すように、手順(1)〜(20)にしたがって溶鉄容器の耐火物を管理している。
(1)〜(7)までの手順は、溶鉄容器の使用前に予め行う事項であり、(8)〜(20)までの手順は、溶鉄容器の使用中に行う事項である。
(1)まず、溶鉄容器を使用する前に監視すべき部位(監視部位)を決定する(手順1)。
監視部位を決定するにあたっては、溶鉄容器の修理出しを行ったときの耐火物の残厚の測定値(残厚測定値ということがある)、操業中における残厚測定値、操業内容を参考にする。このように、修理出し時の耐火物の残厚や操業中での残厚の推移、そのときの操業内容等から、耐火物の修理出しの要因となりやすい部位や漏銑や漏鋼の危険性のある部位を選定する。
図2は、例えば、LF装置における二次精錬において、溶鉄容器を修理出しする要因(稼働終点律速)となった項目についてまとめたものである。図2に示すように、スラグライン部の溶損(SL溶損)が要因となって溶鉄容器を修理出しさせることに至ったのが、全体の65%を占めており、溶鉄容器の中では最も主要因となっている。そのことから、LF装置における二次精錬に用いる溶鉄容器においては、スラグライン部を監視部位としている。
なお、二次精錬処理において、溶鉄容器の敷部が稼働終点律速となったのは全体の5%であり、スラグライン部に比べて非常に影響度が低いことから、この場合(LF装置における二次精錬処理に溶鉄容器を使用する場合)には敷部を監視部位にはしない。
(2)監視部位において、溶損に寄与する因子(溶損因子)を決定する(手順2)。
溶鉄容器には上述したように様々な監視部位があるが、各監視部位において溶鉄容器の修理出しを行ったときの耐火物の残厚測定値と、操業内容との相関関係の中から相関のあるものを溶損因子とする。
例えば、監視部位をスラグライン部としたときに、このスラグライン部の溶損と相関関係の強い溶損因子を操業内容等から考察してみると、LF装置を用いて二次精錬処理を行ったときの通電電力量(積算アーク電力)や通電回数が最もスラグライン部の溶損との相関関係があることが考えられる。スラグライン部を監視するときには、通電電力量(積算アーク電力量)や通電回数を溶損因子の候補として選択する。
図3(a)、図3(b)は、スラグライン部に着目して、そのスラグライン部の耐火物の残厚測定値と、操業内容との関係をまとめたものである。
図3(a)に示すように、スラグライン部の残厚測定値と通電電力量(積算電力量)との相関は強く、図3(b)に示すように、スラグライン部の残厚測定値と溶鉄容器の使用回数との相関は弱い。このように、1つの監視部位に対して様々な操業内容と耐火物の残厚測定値との相関関係を求めて、相関の強い因子を監視部位に対する溶損因子に選定する。
なお、スラグライン部の他に、敷部を監視部位にした場合は、敷部の残厚測定値とインジェクションの処理回数(吹き込み回数)、吹き込み量及び使用回数について相関性が強いことが操業実績から分かっているため、敷部の溶損因子は、吹き込み回数、吹き込み量、使用回数のいずれかを選択することになる。また、溶鋼部(取鍋内において溶鋼と接している部分)を監視部位にした場合、溶鋼部の溶損因子は、電磁攪拌の通電電力量や攪拌時間である。当然の如く、監視部位を決定するにあたっては、耐火物の修理出しの要因となり易い部位や漏鋼の危険性のある部位を選定する。
積算電力量(アーク電力量、通電電力量)とは、溶鉄容器に施工された耐火物に対して、施工から全部又は一部の耐火物を再度施工する(補修は除く)までの間に溶鉄容器で受けた溶鋼になされたアーク加熱で消費された電力量の積算値である。言い換えれば、修理後の溶鉄容器を使用開始してから溶鉄容器を修理するまでの期間であって、その期間内に二次精錬処理にてその溶鉄容器に対してアーク加熱を行ったときの消費電力量の積算値が、上述する積算電力量となる。
(3)溶損因子を単位量与えたときの監視部位の溶損量(単位因子溶損量)を求める(手順3)。
単位因子溶損量を求めるには、例えば、操業を開始して溶損因子を付与したときの監視部位の溶損量を求め、この溶損量を溶損因子の合計で割ることにより、単位当たりの監視部位の溶損量を、単位因子溶損量として求める。
上述したように、監視部位をスラグライン部とした場合は、溶損因子はアーク電力量となる。そこで、スラグライン部の単位因子溶損量を求めることを考えることとする。
まず、アーク電力量(積算電力量)とスラグライン部との溶損量との関係を、操業実績から整理すると、図3(a)に示すものとなる。
図3(a)に示すように、スラグライン部の残厚測定値と、LF装置における積算したアーク電力量(積算電力量)との近似直線を求めると、y=−0.001x+300(y:耐火物残厚、x:積算電力量)となる。この近似直線の傾き(0.001)が、スラグライン部の単位因子溶損量となる。
(4)各チャージの目標残厚を設定する(手順4)。即ち、溶鉄容器を使用した際の1チャージ毎の耐火物の目標となる目標残厚を設定する。
各チャージの目標残厚を設定するに際は、1チャージ当たりにおける溶損因子の平均量、単位因子溶損量、終点判定基準(耐火物の最終厚み)、初期の耐火物の厚み等を用いる。上述したように、監視部位をスラグライン部とし、溶損因子をLF装置におけるアーク電力量とした場合を例にとり説明する。
二次精錬において、目標残厚を設定するに際は、まず、1チャージ当たりの平均アーク電力量(溶損因子の平均量)と、単位因子溶損量とから1チャージ当たりの溶損量を計算する。つまり、1チャージ当たりの平均アーク電力量(溶損因子の平均量)が過去の操業実績により求めると5000kWh/chであり、単位因子溶損量が0.001mm/kWhであれば、1チャージ当たりの溶損量は、5mmとなる。
ここで、スラグライン部の初期の耐火物の厚みを300mmとし、スラグライン部の終点判定基準は、後述するように50mmとすると、各チャージでのスラグライン部の耐火物の推移は、図4に示すような傾向となる。そのため、当該手順では、各チャージでの耐火物が図4に示すような傾向になると考えて、図4に示すグラフの推移を各チャージにおける目標残厚とし、耐火物の溶損の計画を立てる。
なお、各チャージの目標残厚を設定するにあたっては、1チャージ当たりにおける溶損因子の量、単位因子溶損量、終点判定基準、初期の耐火物の厚み初期の耐火物の厚みを適宜設定して、これらを用いて、上述したような各チャージでの耐火物の推移を目標残厚にすればよく、目標残厚の設定は、ここで説明した値やグラフに限定しないのは当然である。また、各チャージの目標残厚を設定においては、例えば、図5に示すように、前半部分では目標残厚の減少率(傾き)を大きくして、後半部分では目標残厚の減少率(傾き)を小さくするような設定の方法であってもよい。
(5)操業を行った際に耐火物に与える負荷に応じて操業のランクを設定する(手順5)。即ち、手順5では、操業を行った場合において、当該操業によって監視部位(スラグライン部)に与える負荷(溶損量)の大小の順に、その操業条件をランク分けする。
例えば、最もスラグライン部に与える負荷(溶損量)が小さい操業をランク1(下位ランク)、次にスラグライン部に与える負荷(溶損量)が小さい操業をランク2(中位ランク)、最もスラグライン部に与える負荷(溶損量)が小さい操業をランク3(上位ランク)とすると、例えば、二次精錬における操業のランク分けは、表1に示すような内容となる。表1に示すように、二次精錬においては、脱ガス工程が「あり」の場合は、脱ガス工程が「なし」に比べ耐火物の溶損が大きくなるため、ランクは上位となる。また、二次精錬においては、合金添加量が大であり多い場合は、合金添加量が小に比べアーク電力量(通電量)も大となるため、合金添加小よりもランクは上位となる。
なお、耐火物に与える負荷に応じて操業のランクを設定するに際しては、耐火物の溶損量の大小に応じて操業のランクを複数に分けるのが目的であるため、ランクの総数は、上述したように3つのランクに限定されない。
(6)各ランクでの操業において1チャージ当たりの溶損因子の平均量を求める(手順6)。
例えば、図6(a)に示すように、ランク1の操業を行ったときの1チャージあたりの溶損因子(アーク電力量)の分布を過去の実績により求める。図6(b)、図6(c)に示すように、ランク2の操業を行ったときのチャージ数に対する溶損因子(アーク電力量)の分布と、ランク3の操業を行ったときのチャージ数に対する溶損因子(アーク電力量)の分布とをそれぞれ過去の実績により求める。
そして、図6に示すような分布から、各ランクにおけるアーク電力量の平均(平均アーク電力量ということがある)を求める。例えば、図6に示す分布から各ランクの平均アーク電力量を求めると、負荷の小さなランク1では、3000kWh/chとなり、負荷の中位のランク2では、5000kWh/ch、負荷の上位のランク3では、7000kWh/chとなる。
(7)耐火物の使用限界から耐火物の厚みによる終点判定基準を定める(手順7)。
例えば、スラグライン部の場合は、その耐火物の厚みが50mm未満となると、物理的な強度が低下することから、耐火物の脱落や挫屈が発生する恐れがある。場合によっては、溶損以外の要因で鉄皮に最も近いパーマ煉瓦が露出する可能性もある。この実施形態では、スラグライン部の耐火物の残厚が50mm以上を終点判定基準としている。
なお、終点判定基準の設定にあたっては、耐火物の物理的強度や浸潤層を基に漏銑や漏鋼を引き起こさないことを基準とし、安全代(安全を勘案しての厚み)を設ける場合は、この終点判定基準に加えるのが好ましい。当然の如く、安全代は過去の操業実績により、耐火物の脱落や穴あきが発生しないように設定する。
上述したように、溶鉄容器の使用を開始する前に、溶鉄容器を使用する工程に合わせて(1)〜(7)に示した手順により事前準備を行っておく。なお、上述したような各チャージにおける目標残厚、操業のランク分け、各ランクでの1チャージ当たりの溶損因子の平均量等の設定は、予め製鋼工場や製鋼工程を管理するプロセスコンピュータにて行ってもよいし、プロセスコンピュータを用いずに人為的に製鋼工程を管理することによって行ってもよい。
(8)溶鉄容器を使用して操業を行う(手順8)。なお、説明の便宜上、手順(8)で示した操業は、1つの溶鉄容器を用いて、繰り返しLF装置にて二次精錬を行うものとし、以下の説明する。
この実施形態では、監視部位をスラグライン部とし、溶損因子はアーク電力量とし、ランク分け、各ランクでの操業において1チャージ当たりの溶損因子の平均量、終点判定基準は、各手順にて示した値を用いるものとする。
溶鉄容器を使用して操業を行う際は、予め設定したランクに対応した操業を行う。ただし、耐火物の管理をしながら初めて操業を行う場合、即ち、1チャージ目の操業(二次精錬)のランクは、任意に設定して、任意に設定したランク対応した操業を行う。
LF装置における二次精錬では、転炉から出鋼した溶鋼(溶鉄)を溶鉄容器に装入した後、当該溶鉄容器にアーク放電により加熱を行う加熱装置を挿入してアーク加熱を行うと共に、溶鉄容器内に合金やフラックスなどの副原料を添加することによって、溶鉄の成分調整や溶鉄内の介在物の除去を行う。なお、LF装置による操業を簡単に説明しているが、このような操業は当業者常法通りに行う。
例えば、表2に示す実施条件にて二次精錬を行う。
(9)溶鉄容器の耐火物の残厚を測定する(手順9)。
例えば、1チャージの精錬(二次精錬)が終了し、二次精錬後の溶鉄容器を、例えば、連続鋳造装置に搬送して溶鉄容器内の溶鉄を出湯して溶鉄容器を空にした後、監視部位であるスラグライン部の耐火物の残厚を一般的な耐火物残厚測定装置にて測定をする。なお、測定技術としては、メジャー、レーザープロファイル計、超音波計及びFMセンサを用いた物理的な測定方法等があるがこれらに限定されない。
(10)実測した耐火物の残厚と目標残厚とを比較する(手順10)。即ち、手順(10)では、手順(4)で求めた各チャージにおける目標残厚のグラフやデータから当該チャージでの目標残厚を求め、この目標残厚と、手順(9)にて実測した耐火物(スラグライン部)の残厚の実測値ととの大小を比較する。
例えば、目標残厚が100mmであって、実測値が110mmであれば、実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きいと判定し、目標残厚が100mmであって、実測値が90mmであれば、実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さいと判定する。
(11)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する(手順11)。
実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合は、手順(4)にて計画した耐火物の溶損の推移よりも、実際の耐火物の方が溶損していない(計画より溶損が進んでいない)ということであり、当該溶鉄容器においては現チャージの終了段階では耐火物の厚みに余裕があるということになる。
そのため、次回のチャージにおける操業のランクを任意に設定しても良いことになり、例えば、次回のチャージにおける操業のランクを上位ランクにすることも可能である。このように、実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きく耐火物の残厚に余裕がある場合、次回のチャージを、比較的耐火物が溶損し易い上位ランクの操業にすることによって、当該溶鉄容器とは別に製鋼工場内で操業に寄与している他の溶鉄容器を助けることができる。つまり、製鋼工場内では、複数の溶鉄容器が様々な操業に関わっているが、手順11の時点で、耐火物の残厚に余裕のある溶鉄容器が次回のチャージにおける操業の負荷を大きくするような計画を立てることによって、負荷の大きな操業を行う予定であった他の溶鉄容器の操業を代わりに行うことができ、その結果、他の溶鉄容器の総チャージ数を増加させることができる。
例えば、40チャージ目において、目標残厚が100mmであって、実測値が110mmであれば、耐火物は+10mmの余裕があるため、41チャージの操業は、例えば、上位ランクであるランク3に設定する。
(12)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを耐火物に対して負荷の小さくなるランクに設定する(手順12)。
実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合は、手順(4)にて計画した耐火物の溶損の推移よりも、実際の耐火物の方が溶損している(溶損が計画より進行している)ということであり、当該溶鉄容器においては現チャージの終了段階では耐火物の厚みに余裕がない。
このような場合、次回のチャージにおける操業のランクを負荷の小さくなるランクにすることによって、次回のチャージにおける耐火物の溶損を抑え、これにより、耐火物の溶損推移が手順(4)にて設定した計画に近づくようにしている。次回のチャージにおけるランクを負荷の小さくなるランクに設定する際は、全ランクのうち中位のランク(メジアンに対応するランク)から下のランクに設定するものとしている。なお、次回のチャージにおけるランクを負荷の小さくなるランクに設定する際において、そのランクがメジアン以下にする場合であっても、次回のチャージのランクは、当該チャージでのランクよりも下のランクに設定することが好ましい。
例えば、40チャージ目において、目標残厚が100mmであって、実測値が90mmであれば、耐火物は−10mm少なく、41チャージの操業は、例えば、下位ランクであるランク1に設定する。
(13)ただし、手順(9)において耐火物の残厚の測定が出来ない場合は、前回の耐火物の残厚の実測値及び操業条件(アーク電力量等)を基に、当該チャージにおける耐火物の残厚を推定する(手順13)。操業を行っている中では、全てのチャージ毎に耐火物の残厚の測定が出来る分けではなく、場合によっては、様々な要因で耐火物の残厚の測定ができないときがある。このように、当該チャージが終了後に耐火物の残厚の測定ができない場合は、前回の耐火物の残厚の実測値、即ち、最新の実測値を用いて、当該チャージ終了後の耐火物の残厚を推定することとしている。耐火物の残厚は次のように推定する。
例えば、当該チャージが40チャージであって、最新の残厚の実測値は35チャージ目に測定した125mmであり、36チャージから40チャージまでのアーク電力量の合計が20000kWhであるとすると、0.001mm/kWh×20000kWhにより、36チャージから40チャージに溶損量は20mmとなる。そのため、当該40チャージの耐火物の残厚の推定値は、125mm−20mm=105mmとなる。
つまり、耐火物の残厚の推定値は、[最新の残厚の実績値]−[測定できなくなったチャージから当該チャージまでの溶損量]により求めることができる。なお、測定できなくなったチャージから当該チャージまでの溶損量は、[単位因子溶損量]×[最新の測定以降で測定できなかった全チャージにおける総アーク電力量]により求めることができる。
(14)推定した残厚と目標残厚とを比較する(手順14)。即ち、手順(4)で求めた各チャージにおける目標残厚のグラフやデータから当該チャージでの目標残厚を求め、この目標残厚と、手順(13)にて推定した耐火物(スラグライン部)の残厚の推定値との大小を比較する。
例えば、目標残厚が100mmであって、推定値が105mmであれば、推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きいと判定し、目標残厚が100mmであって、実測値が90mmであれば、推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さいと判定する。
(15)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する(手順15)。
推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合は、手順(4)にて計画した耐火物の溶損の推移よりも、実際の耐火物の方が溶損していないと推定でき、当該溶鉄容器においては現チャージの終了段階では耐火物の厚みに余裕があると考えられる。
そのため、手順(11)にて説明したように、推定した残厚を実際の耐火物の残厚と同等に考えれば、次回のチャージにおける操業のランクを任意に設定しても良いことになり、例えば、次回のチャージにおける操業のランクを上位ランクにすることも可能である。
このように、推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きく耐火物の残厚に余裕があると考えられる場合、次回のチャージを、比較的耐火物が溶損し易い上位ランクの操業にすることによって、手順(11)にて説明したときと同様に、他の溶鉄容器を助けることができる。
例えば、40チャージ目において、目標残厚が100mmであって、推定値が105mmであれば、耐火物は+5mmの余裕があるため、41チャージの操業は、例えば、上位ランクであるランク3に設定する。
(16)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを耐火物に対して負荷の小さくなるランクに設定する(手順16)。
推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合は、手順(4)にて計画した耐火物の溶損の推移よりも、推定した耐火物の方が溶損していると考えられ、当該溶鉄容器においては現チャージの終了段階では耐火物の厚みに余裕がないと推定できる。
このような場合、次回のチャージにおける操業のランクを負荷の小さくなるランクにすることによって、次回のチャージにおける耐火物の溶損を抑え、これにより、耐火物の溶損推移が手順(4)にて設定した計画に近づくようにしている。次回のチャージにおけるランクを負荷の小さくなるランクに設定する際は、全ランクのうち中位のランク(メジアンに対応するランク)から下のランクに設定するものとしている。なお、次回のチャージにおけるランクを負荷の小さくなるランクに設定する際において、そのランクがメジアン以下にする場合であっても、次回のチャージのランクは、当該チャージでのランクよりも下のランクに設定することが好ましい。
例えば、40チャージ目において、目標残厚が100mmであって、推定値が95mmであれば、耐火物は−10mm少なく、41チャージの操業は、例えば、下位ランクであるランク1に設定する。
(17)実測した耐火物の残厚又は推定した耐火物の残厚と、上記で設定したランクとを用いて次回のチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める(手順17)。
具体的には、当該チャージにおいて耐火物の残厚が実測できれば、この実測値と、手順(11)又は手順(12)にて設定した次回のチャージにおけるランクとを用いて次のように次回のチャージを実施した場合の耐火物の予想残厚を求める。
例えば、実測値が100mmであって、次回のチャージにおけるランクが「ランク1」である場合、予想残厚は、100mm−(3000kWh/ch×0.001mm/kWh)=97mmとなる。つまり、耐火物の残厚が実測できれば、予想残厚は、実績値−([設定したランクにおける1チャージ当たりの溶損因子の平均量]×[単位因子溶損量])により求めることができる。
一方で、当該チャージにおいて耐火物の残厚が実測できない場合、推定値と、手順(15)又は手順(16)にて設定した次回のチャージにおけるランクとを用いて次のように次回のチャージを実施した場合の耐火物の予想残厚を求める。
例えば、推定値が100mmであって、次回のチャージにおけるランクが「ランク1」である場合、予想残厚は、100mm−(3000kWh/ch×0.001mm/kWh)=97mmとなる。つまり、耐火物の残厚が実測できない場合は、予想残厚は、推定値−([設定したランクにおける1チャージ当たりの溶損因子の平均量]×[単位因子溶損量])により求めることができる。
(18)予想残厚と終点判定基準とを比較する(手順18)。即ち、手順(18)では、手順(17)で求めた次回のチャージを行った場合の予想残厚と、手順(7)にて耐火物の使用限界から耐火物の厚みにより設定した終点判定基準との大小を比較する。
(19)予想残厚が終点判定基準よりも大きい場合、溶鉄容器を次のチャージにも使用することとして上記(8)に移行する(手順19)。予想残厚が終点判定基準よりも大きい場合は、次回のチャージを行っても実際の耐火物の残厚は、耐火物の使用限界である厚みよりも大であると考えられる。手順(18)及び手順(19)によって、次のチャージにおいて設定したランクにて操業を行っても、耐火物が使用限界に達していないことを予め確認しており、これにより、より安定した操業を行うことができるようにしている。このような手順を行うことによって、特に、図4に示したように、溶鉄容器の使用回数が予定の使用回数に近づき、そのチャージ数が後半となる時期においては、耐火物の残厚が少ないため有用である。
例えば、上述したように予想残厚が97mmである場合は、終点判定基準である50mm以上であるため、溶鉄容器を次のチャージにも使用することとして、整備工場ではなく転炉へと搬送する。
(20)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、溶鉄容器を修理に出す。即ち、次のチャージにおける予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合は、次回のチャージにて操業を行った際に、実際の耐火物の残厚は、耐火物の使用限界である厚みよりも薄くなる可能性がある。そのため、溶鉄容器を耐火物の整備を行う整備工場に移動して、当該整備工場にて溶鉄容器の耐火物の再施工を行う。
例えば、59チャージ目の実測値が52mmであり、手順(12)にて予め設定したランクが「ランク1」であるとすると、予想残厚は、52mm−(3000kWh/ch×0.001mm/kWh)=49mmとなり、予想残厚<終点判定基準となるため、手順(20)にて修理出しとなる。
本発明によれば、溶鉄容器を使用する前段階において、手順(1)〜手順(2)に示すように、事前に操業内容に対応して、監視部位及び溶損因子を決定し、その上で、手順(3)に示すように単位量当たりの溶損量(単位因子溶損量)を求めていることから、耐火物の残厚の測定ができなくても、手順(13)等に示したように、任意のチャージにおける耐火物の残厚を推定することができる。
手順(4)において、各チャージでの目標残厚を設定しているため、手順(10)や手順(14)に示したように、どのチャージにおいても、当該チャージが終了したときに、監視部位の溶損が目標残厚を基準として進んでいるか否かを瞬時に判断することができ、その結果、次回からのチャージの操業の見直しを図ることができる。
手順(5)において、操業を行った際に耐火物に与える負荷に応じて操業のランクを設定しているため、操業に応じて耐火物の溶損度合いを定量化することができ、次回からのチャージの操業の見直しを図る際に、次回のチャージを、耐火物の溶損が進み易い操業にするのか、耐火物の溶損が少ない操業にするのかを、ランクを見ながら選択することが可能となる。
例えば、手順(11)や手順(14)に示したように、所定のチャージにおける実際の耐火物の厚みが、計画より余裕があると考えられる場合は、次回のチャージを複数のランクのうち上位ランクの操業に設定したり、手順(12)や手順(13)に示したように、所定のチャージにおける実際の耐火物の厚みが、計画より余裕が無いと考えられる場合は、次回のチャージを複数のランクのうち下位ランクの操業に設定するといったことを行うことが可能となる。
言い換えれば、操業を1チャージ行った際での耐火物の溶損度合いに応じランクに分けることで、上述した操業だけでなく耐火物の溶損を考慮した上で、各チャージでの操業の選択肢が広がり、より柔軟な操業を行うことができる。上述した内容以外に考えられるものとして、例えば、耐火物の残厚が多い初期段階では、耐火物の溶損が大きな上位ランクの操業を連続的に行い、耐火物の残厚が少なくなる終期や末期段階では、耐火物の溶損が大きな下位ランクの操業を連続的に行って、最終的に目標となる回数にて溶鉄容器の使用を停止するといったこともできる。
さて、実際の操業において、1チャージ毎に耐火物の残厚の測定を行うことが好ましいが、状況によっては、1チャージ毎に耐火物の残厚の測定ができない場合がある。例えば、LF装置等での二次精錬において精錬処理時間を短くしなければならない場合や耐火物の表面に多量の地金やスラグが付着してしまい、その結果、耐火物の残厚の測定が出来ない場合という操業上の制約によって、耐火物の残厚の測定が行えないことがある。
このようなことに鑑み、手順(13)では、耐火物の残厚の測定が出来ない場合は、前回の耐火物の残厚の実測値を基に、当該チャージにおける耐火物の残厚を推定し、手順(14)にて推定した残厚と目標残厚とを比較して、手順(15)や手順(16)では、実測値と同じ方法にて推定値と目標残厚との比較結果により、次回のチャージにおけるランクを設定している。
本発明によれば、手順(13)〜手順(16)に示すように、耐火物の残厚が測定できない場合も想定した手順を組み込むことによって、耐火物の残厚が実測できない状況下に陥っても、計画的に溶鉄容器の耐火物の管理をすることができるようにしている。
図7は、本発明の溶鉄容器の耐火物の管理方法の変形例を示したものである。
変形例の耐火物の管理方法では、上述した手順(20)を、手順(21)に置き換えると共に、下記に示す手順をさらに加えたものである。なお、手順(1)〜手順(19)までは、上述したものと同じであるため説明を省略する。
(21)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクであるか否かを判定する(手順21)。
例えば、手順(12)や手順(13)では、目標残厚と実測値との関係に応じて、次回のチャージにおけるランクを設定しているが、手順(21)では、手順(12)や手順(13)にて予め設定したランクが、複数のランクのうち最も小さいランク(例えば、手順5の実施例であれば、ランク1)であるか否かを判定している。
また、手順(15)や手順(16)では、目標残厚と推定値との関係に応じて、次回のチャージにおけるランクを設定しているが、手順(21)では、複数のランクのうち最も小さいランク(例えば、ランクが3つの場合は、ランク1)であるか否かを判定している。
(22)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクである場合、溶鉄容器を修理に出す(手順22)。手順(12)、手順(13)、手順(15)、手順(16)で設定した次回のチャージのランクが最も小さい場合は、ランクの変更によって予想残厚が大きくなるという余地がないため、溶鉄容器を修理に出すこととしている。
(23)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクでない場合、予め設定したランクより耐火物の負荷の低いランクを次回のチャージのランクとし、当該ランクにてチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める(手順23)。
例えば、手順(12)で設定した次回のチャージのランクが「ランク3」であって、「ランク1」でない場合は、この手順(12)で設定したランクを、1つ下げて、「ランク2」に再設定する。そして、再設定した「ランク2」を用いて、手順(17)にて行った方法と同じ方法にて、予想残厚を求める。
ここで、実測値を56mmとし、手順(12)にて予め設定したランクを「ランク3」とし、手順(23)にて再設定したランクを「ランク2」としたときの両者の予想残厚を計算すると、手順(12)で設定した「ランク3」での予想残厚は、56mm−(7000kWh/ch×0.001mm/kWh)=49mmとなり、手順(23)で再設定した「ランク2」での予想残厚は、56mm−(5000kWh/ch×0.001mm/kWh)=51mmとなり、ランクを下げることによって、次回のチャージにおける予想残厚は、2mmほど大きくなる。
なお、手順(23)では、手順(12)を例にとり説明しているが、この手順(12)とは異なる他の手順(13)、手順(15)、手順(16)においても、予め設定したランクを下げて、下げたランクを次回のチャージのランクとし、当該ランクにてチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める。なお、予め設定したランクを下げる場合は、上述したように、1段階(1つ)だけランクを下げてもよいし、複数段(数ランク)を下げてもよい。
(24)手順(23)で求めた予想残厚を、手順(18)にて比較する予想残厚に適用する。つまり、手順(23)で求めた予想残厚を用いて、再度、手順(18)にて終点判定基準との比較を行う。
例えば、上述した例では、手順(23)にて予想残厚を求める前の値は、49mmであるが、手順(23)にてランクを下げた後の予想残厚の値は、51mmとなり、この51mmを手順(18)の予想残厚に適用して、手順(18)にて終点判定基準とを比較すると、予想残厚が終点判定基準よりも大きいという判定となる。
これから分かるように、手順(12)にて予め設定したランク3では、次回のチャージでの予想残厚が50mmを下回り49mmとなり、手順(21)〜手順(24)を行わない場合は、手順(20)にて修理出しとなるが、手順(21)〜手順(24)を行うと、次回のチャージでの予想残厚が50mmを上回り51mmとなり、手順(20)にて手順(8)に移行させることができないと判定された溶鉄容器を、手順(19)の判定により、手順(8)へと移行させることができるようになる。
つまり、図1に示す変形例の手順を追加して、次回のチャージの見直しを行うことによって、修理出しとなっていた溶鉄容器を、使用することができるようになり、溶鉄容器の寿命を延ばすことができる。
なお、手順(21)、手順(23)及び手順(24)を繰り返し行うことによって、次回のチャージが上位ランクに設定されたことによって溶鉄容器が使用出来ないと判定されたとしても、次回のチャージのランクを下位ランクへと下げることによって溶鉄容器が使用可能となるランクを検索することができ、溶鉄容器の使用回数を1回でも増加させることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (2)

  1. 溶鉄容器に設けた耐火物の残厚推移の管理を下記の手順で行うことを特徴とする溶鉄容器の耐火物の管理方法。
    (1)溶鉄容器の使用前に監視すべき監視部位を決定する。
    (2)監視部位において、溶損に寄与する溶損因子を決定する。
    (3)単位量の溶損因子が付与された際における監視部位での単位因子溶損量を求める。(4)各チャージの目標残厚を設定する。
    (5)操業を行った際に耐火物に与える負荷に応じて操業のランクを設定する。
    (6)各ランクでの操業において1チャージ当たりの溶損因子の平均量を求める。
    (7)耐火物の使用限界から耐火物の厚みによる終点判定基準を定める。
    (8)溶鉄容器を使用して操業を行う。
    (9)溶鉄容器の耐火物の残厚を測定する。
    (10)実測した耐火物の残厚と目標残厚とを比較する。
    (11)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する。
    (12)実測した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを全ランクのうち中位のランクよりも小さくなるランクに設定する。
    (13)ただし、上記(9)において耐火物の残厚の測定が出来ない場合は、前回の耐火物の残厚の実測値と、上記(3)で求めた単位因子溶損量と最新の測定以降で測定できなかった全チャージにおける総溶損因子量とを基に、当該チャージにおける耐火物の残厚を推定する。
    (14)推定した残厚と目標残厚とを比較する。
    (15)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも大きい場合、次回のチャージにおける操業のランクを任意のランクに設定する。
    (16)推定した耐火物の残厚が目標残厚よりも小さい場合、次回のチャージにおける操業のランクを全ランクのうち中位のランクよりも小さくなるランクに設定する。
    (17)実測した耐火物の残厚又は推定した耐火物の残厚と、上記で設定したランクと、上記(6)で求めた各ランクにおける1チャージ当たりの溶損因子の平均量と、上記(3)で求めた単位因子溶損量とに基づいて、次回のチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める。
    (18)予想残厚と終点判定基準とを比較する。
    (19)予想残厚が終点判定基準よりも大きい場合、溶鉄容器を次のチャージにも使用することとして上記(8)に移行する。
    (20)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、溶鉄容器を修理に出す。
  2. 前記(20)の手順を、下記の(21)手順に置き換えると共に、下記の手順を加えていることを特徴とする請求項1に記載の溶鉄容器の耐火物の管理方法。
    (21)予想残厚が終点判定基準よりも小さい場合、上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクであるか否かを判定する。
    (22)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクである場合、溶鉄容器を修理に出す。
    (23)上記の手順にて次回のチャージとして予め設定したランクが最も小さいランクでない場合、予め設定したランクを下げて、下げたランクを次回のチャージのランクとし、当該ランクにてチャージを行った場合の耐火物の予想残厚を求める。
    (24)上記(23)で求めた予想残厚を、上記(18)にて比較する予想残厚に適用する。
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