JP5526503B2 - 有機el表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルタを具備する有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
現在、フラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイが主流となっており、低消費電力、省スペース等の利点から、パソコンのモニター、携帯電話のディスプレイや、ノート型パーソナルコンピューター、携帯情報端末等の様々な用途で使用され、また近年は、従来のブラウン管テレビに替わり液晶テレビの用途にも使用されている。液晶テレビの用途では、色再現性が重要視される。カラー液晶表示装置の色再現性は、赤、緑、青のフィルタセグメントから放射される光の色で決まり、それぞれのフィルタセグメントの色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積で評価され、アメリカNational Television System Committee(NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対する比(単位は%、以下NTSC比と略す。)として表現される。この値は、一般のノートパソコンで40〜100%、パソコン用のモニターで50〜100%、液晶テレビでは70%〜100%となっている。
しかしながら、これら従来の液晶表示装置においては、2つの大きな問題点があった。1つめは、カラーフィルタ中に含まれる顔料の光散乱に起因してコントラストが低くなることである。2つめは、液晶表示装置は液晶素子を透過する光の透過量を抑えることで色発現していることから、黒表示でもバックライトユニットは白表示と同じ発光をし続けており、エネルギーの無駄が大きいという点である。
これらの大きな問題を解決するために、近年では有機EL(以下OLED)を発光体とする光源ユニットが用いられるようになってきた。OLEDの利点としては、直接光源ユニットの発光をコントロールできるため、偏光板が不要となり、エネルギーの無駄も大幅に抑えられるということが挙げられる。OLEDのメカニズムとしては、TFT(薄膜トランジスタ)などにより直接各画素の光源をオン/オフコントロールすることが出来るため、黒表示を指定画素の光源を消すことで表示できる。このため、表示装置内に偏光板が不要となり、液晶体によりコントロールする必要も無くなり、黒表示においてはバックライトを消すことにより、エネルギーの消費を極端に減少させることが出来るようになった。このような液晶表示装置における問題点が解決された有機ELカラー表示装置は、例えばSONY社製「XEL−1」などとして既に上市されている(特許文献1参照)。
有機EL素子を用いたカラー表示装置(有機EL表示装置)は、表示色(赤色、緑色、青色)ごとにそれぞれ発光層を形成する構成では、発光層は通常RGBの塗り分けで形成されている。このため、素子の構造が複雑であり、素子作成時のマスクアライメントが困難であった。製造が複雑になるとコストが高くなり、また、高精密化、大画面化が困難である。これらの問題を解決する構成として、発光層を白色発光層とし、カラーフィルタにより所望の発光色を得る構成が提案されている(特許文献2、3、4参照)。
このような白色発光層を有する有機EL表示装置においても、液晶表示装置と同様、NTSC比を高くすることが求められる。NTSC比を大きくするためには、それぞれのフィルタセグメントの色純度を高くする必要があるが、色純度を高くすると光源の光の利用効率(明度Y値で表す。)が低くなるため、消費電力が多くなるという問題点があった。携帯情報端末や、携帯電話等の主にバッテリーを用いて駆動する製品用途の場合、消費電力を重視するために、従来のカラー液晶表示装置は、NTSC比が30〜50%と低かった。最近は、携帯情報端末や携帯電話で写真やテレビを見る機会が多くなっているため、携帯情報端末や携帯電話のディスプレイでもNTSC比を大きくする要求が高まっている。有機EL素子は、このような有機EL表示装置に用いられる光源として提案されている。(特許文献5参照)。
しかしながら、このような有機EL素子を用いた表示装置においては、液晶表示装置で従来用いられている光源(冷陰極管タイプの3波長バックライト、発光ダイオードを用いた、2波長の擬似白色バックライトと3波長のRGBバックライトなど)と有機EL素子が持つ発光スペクトルが異なっているため、液晶表示装置に使用されているカラーフィルタをそのまま有機EL表示装置のカラーフィルタとして用いることは好ましくなく、有機EL素子に適合した最適な色相や透過率特性を持つ色材の選択が必要となってくる。
液晶表示装置に用いられているバックライトは、液晶表示装置としての表示性能やカラーフィルタとのマッチング、さらにバックライトの耐久性などの側面から、輝線スペクトルの設計がなされてきた。従来のバックライトと有機EL素子の具体的なスペクトルの違いや構造が報告されているが、これら有機EL表示装置においては特に輝度や、寿命の長さを重視した開発がなされてきたものであり、カラー表示装置として既存のカラーフィルタとの適正を十分考慮して設計したものであるとはいい難いのが現状である。そのため、既存のカラーフィルタ用着色組成物により形成されたカラーフィルタは、カラー画像表示装置に求められる、高い明度と広い色表示領域の2つの特性が満足できるものでは無かった。(非特許文献1、2、3参照)。
特開2005−71735号公報 特開2004−47469号公報 特開2008−518400号公報 特開平07−220871号公報 特開2005−100921号公報 M.J.Helber et al.,SID‘07 DIGEST 19.2 T.K.Hatwar et al.,IMID‘07 DIGEST 15−1 赤星治著、「有機エレクトロニクスの展開」、情報機構 2007/09/27
そこで、本発明は、有機EL白色発光層を光源として用いる有機EL表示装置において、色再現性が良好な有機EL表示装置用カラーフィルタを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、高い明度と広い色表示領域の2つの特性が満足できる有機EL表示装置用カラーフィルタを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタの緑色フィルタセグメントに用いられる着色剤として特定の顔料の組み合わせを選定し、また緑色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点が特定の発光スペクトル特性を有する有機EL素子との関係で特定の関係を満たし、さらに膜厚をも限定することにより上記課題を達成できるカラーフィルタが得られることを見出した。また、このような緑色フィルタセグメントと組み合わされる赤色、青色フィルタセグメントに用いられる着色剤に用いられる顔料として、特定の顔料を選択することにより、極めて優れた特性を有する有機EL表示装置用カラーフィルタが得られることをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、顔料または少なくとも顔料を含む着色組成物を用いて形成された、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを有し、それらの膜厚がいずれも3.0μm以下であるカラーフィルタと、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である発光スペクトルをもつ有機EL素子とを有する有機EL表示装置であって、前記緑色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、C.I.ピグメント イエロー 185とを含有し、前記有機EL素子を用いた場合にCIE表色系における色度点(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たし、前記赤色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント レッド 177およびC.I.ピグメント レッド 179から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有することを特徴とする有機EL表示装置(但し、C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 185との混合比率が質量比で55:45〜30:70である場合を除く)に関する。
また本発明は、青色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント バイオレット 23を含有し、C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量とC.I.ピグメント バイオレット 23の重量の比〔(C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量)/(C.I.ピグメント バイオレット 23の重量)〕が85/15〜20/80であることを特徴とする上記の有機EL表示装置に関する。
また本発明は上記いずれかの有機EL表示装置において、前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対して90%以上であることを特徴とする有機EL表示装置に関する。
また本発明は上記の有機EL表示装置において、前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対して100%以上であることを特徴とする有機EL表示装置に関する。
本発明におけるカラーフィルタは、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である分光特性をもつ有機EL素子に用いた場合に、高い明度と広い色再現領域をカバーすることができるとともに、高い明度と広い色表示領域を有し、色再現性も優れた、液晶表示装置よりもコントラスト比の高い有機EL表示装置を提供することができる。
以下、本発明において用いられるカラーフィルタ(以下、「本発明のカラーフィルタ」ということがある。)およびこれを用いた本発明の有機EL表示装置について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタは、顔料または少なくとも顔料を含む着色組成物を用いて形成された、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを有する有機EL表示装置用カラーフィルタにおいて、緑色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、C.I.ピグメント イエロー 185とを含有し、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である発光スペクトルをもつ有機EL素子を用いた場合にCIE表色系における色度点(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たし、膜厚が3.0μm以下であることを特徴とするものである。そして、前記緑色顔料から選ばれる少なくとも1種類の緑色顔料と前記黄色顔料とを組み合わせ、前記有機EL素子を用いた場合の(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たす緑色フィルタセグメントは、緑色の色再現性が良好となり好ましいものである。
このような緑色フィルタセグメントは、3.0μm以下の薄膜の条件で、分光透過率が下記(A)〜(B)の条件を全て満たすと共に、少なくとも下記(C)〜(D)いずれか1つの条件を満たすよう、緑色顔料と黄色顔料を最適に組み合わせた着色組成物を用いて形成することにより、達成されるものである。
(A)波長500nmにおける透過率が600nmにおける透過率の5倍以上であるとともに、波長600nmにおける透過率が4%未満である。
(B)波長480nmにおける透過率が12%未満であるとともに、波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値が2%以下である。
(C)波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値が1%未満である。
(D)波長600nm〜670nmにおける透過率の最大値が1%以下である。
中でも、波長480nmにおける透過率が10%未満であるとともに、600nmにおける透過率が2%以下であって、500nm〜600nmにおける透過率の最大値が35%以上である緑色フィルタセグメントが色再現性が良好で、明度(Y値)も高くなるため特に好ましい。
また、膜厚が3.0μm以下となる前記緑色フィルタセグメントは、色再現性を高めることだけでなく、フォトリソグラフィーによりカラーフィルタを形成する場合、塗膜を現像する時間が短くなるため生産性が良好となる。また、蒸着法によりカラーフィルタを形成する場合、蒸着時間が短くなるため生産性が良好となる。より好ましい膜厚は、2.5μm以下である。また膜厚が3.0μmよりも大きくなってしまうと透過率が低下してしまい、明度の低下が生じ好ましくない。
カラーフィルタにおける赤色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントの膜厚も、透過率、カラーフィルタの生産性の問題から、前記緑色フィルタセグメント同様に3.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは2.5μm以下である。
また赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積(NTSC比)に対して90%以上であることが好ましい。
NTSC比は、色再現領域を表現する値であり、色再現領域を良好にするためにはNTSC比は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、100%以上であることが特に好ましい。NTSC比が90%未満の場合には、色再現領域が狭く、色の再現性が悪い。
NTSC比を高くするための手段としては、赤色・青色の光線透過率が低く、緑色の光線透過率が高い緑色フィルタセグメントと、緑色・青色の光線透過率が低く、赤色の光線透過率が高い赤色フィルタセグメントと、赤色・緑色の光線透過率が低く、青色の光線透過率が高い緑色フィルタセグメントを組み合わせることが挙げられる。例えば、緑色フィルタセグメントの赤色・青色の光線透過率を低くするために緑色フィルタセグメントの膜厚を厚くすることで、NTSC比を高くすることは可能であるが、膜厚が3.0μmよりも厚くなるとカラーフィルタの生産性の低下や、明度の低下などの問題が発生するため好ましくない。そこで、有機EL素子の分光特性に適合するよう、カラーフィルタ用着色組成物に使用する顔料の種類と配合比を選定し、膜厚3.0μm以下でNTSC比90%を達成するよう、カラーフィルタ用着色組成物の組成をフォーミュレーションする必要がある。本発明のカラーフィルタが具備する各色フィルタセグメントは、少なくとも、顔料、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体を含有する着色組成物を用いて形成することができる。以下、NTSC比90%を達成するために必要な、カラーフィルタを構成する着色組成物について詳細を述べるが、各色フィルタセグメントに使用する顔料はNTSC比に大きく寄与するため、非常に重要である。そこで、まずは顔料について説明する。
(顔料)
緑色フィルタセグメントにおいては、顔料として、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、黄色顔料であるC.I.ピグメント イエロー 185とが選択、使用される。これ以外にも、必要に応じて、C.I.ピグメント グリーン 10、37、58等の緑色顔料、C.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
緑色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、黄色顔料であるC.I.ピグメント イエロー 185を含有する場合には、他の緑色顔料および他の黄色顔料のみを含有する緑色フィルタセグメントと比較して、顔料の着色力が大きく、このため膜厚3.0μm以下の薄膜の条件で上記(A)〜(B)の条件を満たすと共に下記(C)〜(D)いずれかの条件を満たすことができ、前記(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たすことが可能となる。更に、前記分光特性を有する有機EL素子の波長500nm〜600nmにおける光線透過率の最大値が35%以上となる場合には、明度(Y値)を高くすることが出来るため好ましい。
緑色フィルタセグメントにおける緑色顔料と黄色顔料の特に好ましい組み合わせとしては、(i)C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 185の2種の顔料の組み合わせ、(ii)C.I.ピグメント グリーン 7、C.I.ピグメント イエロー 139、C.I.ピグメント イエロー 185の3種の顔料の組み合わせ、および(iii)C.I.ピグメント グリーン 36と、C.I.ピグメント イエロー 185の2種の顔料の組み合わせが挙げられる。
緑色フィルタセグメントにおける緑色顔料と黄色顔料の重量比は98:2〜30:70であることが好ましく、より好ましくは95:5〜40:60の範囲である。黄色顔料の割合が70重量%より大きいと、波長600nm以上の光の透過率が4%以上と高くなるため赤色光の透過率が高くなり、緑色フィルタセグメントの色再現領域が狭くなり好ましくない。また、黄色顔料の比率が2重量%より小さい場合、480nmにおける透過率が12%以上と高くなるため青色光の透過率が高くなり、緑色フィルタセグメントの色再現領域が狭くなり好ましくない。
上記(i)、(ii)の組み合わせにおいては、緑色顔料と黄色顔料の重量比は90:10〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50の範囲である(但し、C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 185との混合比率が質量比で55:45〜30:70である場合を除く)。上記(iii)の組み合わせにおいては、緑色顔料と黄色顔料の重量比は95:5〜85:15であることが好ましい。また上記(i)〜(iii)の組み合わせは、緑色フィルタセグメント中の顔料全体を100重量部とした場合、80〜100重量部を有することが好ましい。より好ましくは90〜100重量部である。
一方、赤色フィルタセグメントに用いる顔料としては、C.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、および279等の赤色顔料を用いることができる。
赤色フィルタセグメントは、波長580nm未満の光線透過率が1%以下で波長600nm〜700nmにおける光線透過率の最大値が85%以上となるよう、C.I.ピグメント レッド 177およびC.I.ピグメント レッド 179から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有することが望ましい。C.I.ピグメント レッド 177とC.I.ピグメント レッド 179とを組み合わせて用いることにより、赤色フィルタセグメントの着色力を高くすることができるため、赤色フィルタセグメントの膜厚を薄くすることができ、かつ明度(Y値)が高くなるため最も望ましい。C.I.ピグメント レッド 177、C.I.ピグメント レッド 179から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有しない場合には、波長580nm以下の光の透過率が1%よりも高いため赤色フィルタセグメントの膜厚が3.0μmよりも厚くなってしまうという問題が生じるおそれがある。
赤色フィルタセグメントに用いる顔料として特に好ましい態様は、C.I.ピグメント レッド 177とC.I.ピグメント レッド 179を以下の比率で有するものである。すなわち、着色組成物の場合、C.I.ピグメント レッド 177とC.I.ピグメント レッド 179の比率(重量比)が100:0〜5:95であり、さらに100:0〜10:90であることがより好ましい。C.I.ピグメント レッド 177の比率が5重量%よりも少ない場合、C.I.ピグメント レッド 177よりも分散安定性の悪いC.I.ピグメント レッド 179の比率が高くなるため、着色組成物の安定性が悪くなるという問題が生じる。
青色フィルタセグメントには、例えばC.I.ピグメント ブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、C.I.ピグメント バイオレット 23等の紫色顔料を併用できる。中でも青色フィルタセグメントは、C.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント バイオレット 23を含有し、C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量とC.I.ピグメント バイオレット 23の重量との比〔(C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量)/(C.I.ピグメント バイオレット 23の重量)〕が85/15〜20/80であることが、明度(Y値)が高くなるため望ましい。C.I.ピグメント ブルー 15:6/C.I.ピグメント バイオレット 23の重量比は、80/20〜25/75であることがさらに望ましい。C.I.ピグメント ブルー 15:6/C.I.ピグメント バイオレット 23が100/0〜86/14の重量比では、着色力の大きいC.I.ピグメント バイオレット 23の比率が小さいため青色フィルタセグメントの膜厚が3.0μmを超えてしまう。C.I.ピグメント ブルー 15:6/C.I.ピグメント バイオレット 23が19/81〜0/100では、青色フィルタセグメントの明度が低くなってしまう。
また、本発明のカラーフィルタは、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である発光スペクトルをもつ有機EL素子を用いた場合、前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積(以下、NTSC比)に対して90%以上であり、また前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントの膜厚が3.0μm以下である。
前記したように、(xG、yG)はxG≦0.270、yG≧0.650であることがNTSC比を大きくすることが出来るため好ましい。また、前記(xR、yR)は、xR≧0.610、yR≦0.335であることが、NTSC比を大きくすることが出来るため好ましい。また、また、前記(xB、yB)は、xB≧0.120、yB≦0.090であることが、NTSC比を大きくすることが出来るため好ましい。
また、各色フィルタセグメントの膜厚は、厚くすれば色再現領域を広げることができるが、各色フィルタセグメントの膜厚を厚くするためには塗布膜厚を厚くしなければならず、乾燥時間が長くなるし、現像時間も長くなる等、生産性が低下するため、3.0μm以下とすることが好ましい。さらに、膜厚が3.0μmよりも大きくなってしまうと透過率が低下してしまい、明度の低下が生じ好ましくない。
また本発明のカラーフィルタは、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、C.I.ピグメント イエロー 185を含む緑色フィルタセグメントと、C.I.ピグメント レッド 177とC.I.ピグメント レッド 179の組み合わせを含有する赤色フィルタセグメントと、C.I.ピグメント ブルー 15:6とC.I.ピグメント バイオレット 23を85/15〜20/80の重量比で含有する青色フィルタセグメントとを組み合わせてカラーフィルタを構成することにより、各色フィルタセグメントの膜厚が薄くても、NTSC比が90%以上となり、白色の明度(Y値)が高くなるため好ましいものである。
本発明のカラーフィルタに用いる顔料は、顔料、水溶性無機塩および水溶性無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤を含む混合物を混練(以下、この工程をソルトミリングと呼ぶ。)した後、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去することにより微細化することが好ましい。微細化した顔料を用いると、フィルタセグメントの分光透過率が向上する。ソルトミリング時には、塩基性基含有誘導体、水溶性有機溶剤に少なくとも一部溶解する樹脂、あるいは分散剤等を併用することができる。このような処理によって得られた微細化顔料を用いることにより、より光学特性の優れたカラーフィルタセグメントを形成することができる。
顔料の平均一次粒子径は、5nm以上500nm以上であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径が5nmより小さい場合、顔料を分散することが難しくなるため好ましくない。また、顔料の平均一次粒子径が500nmより大きい場合、フィルタセグメントにおける顔料のパッキング状態が悪くなり、膜厚を薄くすることが困難になるため好ましくない。
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物には、前記顔料に加えて、顔料担体、溶剤、その他、添加剤や補助剤が使用されてもよい。
(顔料担体)
顔料担体は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物から構成され、形成されるフィルタセグメントにおいて、樹脂質バインダーを提供する。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および光硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、光照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
透明樹脂の前駆体であるモノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
着色組成物をフォトリソグラフィー法で形成する場合には、アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。中でも、アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性を有する光硬化性樹脂を含むことが好ましい。
また透明樹脂は、顔料100重量部に対し20〜400重量部であることが好ましく、より好ましくは50〜250重量部である。また、モノマー、オリゴマーが用いられる場合、モノマー、オリゴマーの配合量は、顔料100重量部に対し5〜400重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜3000重量部である。
また透明樹脂の重量平均分子量(Mw)は5000〜50000の範囲であることが好ましく、より好ましくは8000〜40000である。
本発明において、透明樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))は、GPCにより次の条件で測定される。
装 置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソ−社製)
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流 速:1.0ml/min
試 料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物は、1種または2種以上の顔料を、顔料担体中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料を別々に顔料担体中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。顔料を顔料担体に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤、有機溶剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。また、顔料を顔料担体に分散する際には、顔料を充分に顔料担体中に分散させるため、有機溶剤を含有させることが望ましい。
(分散助剤)
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。界面活性剤は、顔料100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは30重量部以下の量で用いることができる。
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。樹脂型分散剤は、顔料100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の量で用いることができる。
(色素誘導体)
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物であり、顔料の凝集を防ぎ、顔料が微細に分散した状態を維持する働きをするものである。有機色素としてはジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料が挙げられる。色素誘導体としては、例えば特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体は、顔料100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部の量で用いることができる。
好ましい色素誘導体の具体例を、表1に示す。
Figure 0005526503
(有機溶剤)
着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、またガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が3.3μm以下となるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。しかし、使用できるよう剤がこれに限られるものではない。また、これら用材は単独でもしくは混合して用いることができる。有機溶剤は、顔料100重量部に対して500〜4000重量部の割合で用いることが好ましい。
〔その他の添加剤〕
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化したり、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤が添加されてもよい。光重合開始剤を使用する際には、その配合量は、顔料の全量を基準として、5〜200重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜150重量%であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、および4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、および2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、および2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;並びに、オキシムエステル系光重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
(増感剤)
また、必要であれば、上記光重合開始剤とともに増感剤が用いられてもよい。増感剤としては、上記重合開始剤の増感剤として従来から知られている任意のものを用いることができる。具体的には、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤を基準として、3〜60重量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量%であることがより好ましい。
(連鎖移動剤)
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは 1〜20重量部の量で用いることができる。
(レベリング剤)
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物には、基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)に対して0.003〜0.5重量%である。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。
レベリング剤としては、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる
(貯蔵安定剤)
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、tert−ブチル−β−ベンゾキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのハイドロキノン系化合物、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィンなどのホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどのホスファイト化合物、t−ブチルピロカテコールなどが挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、0.001〜10重量部の量で用いることができる。
本発明のカラーフィルタに用いる着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
(カラーフィルタの製造方法)
本発明のカラーフィルタは、透明基板あるいは有機EL素子を駆動するための薄膜トランジスタが形成された基板(TFT基板)上に、少なくとも赤、緑、青、3色のフィルタセグメントが形成されたものである。フィルタセグメントは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、前記着色組成物を用いて形成されることが好ましい。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が挙げられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。印刷法としては、従来の印刷版を用いる方法の他、インクジェット法も含まれる。
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、アルカリ現像液あるいは溶剤に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、アルカリ現像型着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法に比べより精度の高いカラーフィルタが製造できる。
上記アルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物の現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液やジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることができる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に蒸着法、電着法、転写法などにより製造することができる。なお、蒸着法は、メタルマスク、シャドウマスクなどのマスクを用いて、各色の蒸着膜を形成する方法である。電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめ各色フィルタセグメント層を形成しておき、この各色フィルタセグメント層を所望の透明基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、有機EL表示装置のコントラスト比を一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上に各色フィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜、などが形成される。
次に、本発明のカラーフィルタを備えた有機EL表示装置について説明する。
有機EL素子としては、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である特性をもつ発光を行うものが好ましい。波長430nm〜485nmの範囲は、前記カラーフィルタを具備する有機EL表示装置が色再現性のよい青色を表示する際に必要となる。より好ましい波長範囲は、430nm〜475nmの範囲である。また波長580nm〜620nmの範囲は、前記カラーフィルタを具備する有機EL表示装置が、色再現性のよい赤色を表示する際に必要となる。より好ましい波長範囲は、590nm〜620nmの範囲である。また発光強度の比(I2/I1)は、0.4以上1.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.4以上1.0以下である。(I2/I1)が0.4よりも小さいと、前記カラーフィルタを具備する有機EL表示装置の赤色の色再現性が悪くなり好ましくない。(I2/I1)が1.2よりも大きい場合、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントが赤色光を十分にカットオフすることが出来ず、緑色・青色の色再現性が悪く好ましくない。
有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指し、一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が挙げられる。
また、上述した各有機層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよく、いくつかの層が繰り返し積層されていてもよい。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述多層型有機EL素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは、例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される有機EL素子において、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層したものである。
以下、これら各層に用いることのできる材料を具体的に例示する。但し、本発明に使用出来る材料はこれ等例示されたものに限定されるものではない。
正孔注入層に用いることができる材料としては、フタロシアニン系化合物が有効であり、銅フタロシアニン(略:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略:VOPc)等を用いることが出来る。また、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリエチレンジオキシチオフェン(略:PEDOT)にポリスチレンスルフォン酸(略:PSS)をドープした材料や、ポリアニリン(略:PANI)などを用いることもできる。また、酸化モリブデン(略:MoOx)、酸化バナジウム(略:VOx)、酸化ニッケル(略:NiOx)などの無機半導体の薄膜や、酸化アルミニウム(略:Al23)などの無機絶縁体の超薄膜も有効である。また、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略:MTDATA)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略:α−NTPD)、4,4’−ビス[N−(4−(N,N−ジ−m−トリル)アミノ)フェニル−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略:DNTPD)などの芳香族アミン系化合物も用いることができる。さらに、それら芳香族アミン系化合物に対してアクセプタ性を示す物質を芳香族アミン系化合物に添加してもよく、具体的にはVOPcにアクセプタである2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略:F4−TCNQ)を添加したものや、α−NPDにアクセプタであるMoOxを添加したものを用いてもよい。
正孔輸送層に用いることができる材料としては、芳香族アミン系化合物が好適であり、正孔注入材料で記述したTDATA 、MTDATA、TPD、α−NPD、DNTPDなどを用いることができる。
電子輸送層に用いることができる電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム(略:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略:Zn(BTZ)2)などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略:OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略:p−EtTA Z)などのトリアゾール誘導体、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](略:TPBI)のようなイミダゾール誘導体、バソフェナントロリン(略:BPhen)、バソキュプロイン(略:BCP)などのフェナントロリン誘導体を用いることができる。
電子注入層に用いることができる材料としては、先に記述したAlq、Almq、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、PBD、OXD−7、TAZ、p−EtTAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの電子輸送材料を用いることができる。その他に、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略:Li(acac))や8−キノリノラト−リチウム(略:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、これら電子注入材料に対してドナー性を示す物質を電子注入材料に添加してもよく、ドナーとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属などを用いることができる。具体的にはBCPにドナーであるリチウムを添加したものや、Alq3にドナーであるリチウムを添加したものを用いることができる。
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナ−ト)(4−フェニルフェノラ−ト)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナ−ト)(4−フェニルフェノラ−ト)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略:BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物があげられる。
白色の発光を得る発光層としては特に制限はないが、例えば、下記のものを用いることができる。すなわち、有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)、同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)、二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)、発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)、青色発光体(蛍光ピ−ク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)、青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)等が挙げられる。
さらに、本発明に用いられる発光材料は、従来発光材料として公知の材料が用いられればよい。下記に青色、緑色、橙色から赤色発光のために好適に用いられる化合物を例示する。しかし、発光材料が以下の具体的に例示したものに限定されるものではない。
青色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体や、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略:DNA)、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることもできる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表2に示す。
Figure 0005526503
緑色の発光は、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素や、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略:FIrpic)、ビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(ppy)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略:Alq3)、BAlq、Zn(BTZ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(略:Ga(mq)2Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表3に示す。
Figure 0005526503
橙色から赤色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略:BisDCM)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(pq)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略:Znq2)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略:Znsq2)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
さらに好ましい具体例を、表4に示す。
Figure 0005526503
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SNO2、ZNO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシ−ト抵抗は、数百Ω/cm2以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10Nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシ−ト抵抗は数百Ω/cm以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200Nmである。
本発明の有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いることが好ましい。
これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソ−ダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板が挙げられる。
本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビ−ム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレ−ティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコ−ティング、ディッピング、フローコーティング、インクジェット法等の湿式成膜法、発光体をドナー−フイルム上に蒸着する方法、また、特表2002−534782やS.T.Lee, et al.,Proceedings of SID’02,p.784(2002)に記載されているLITI(Laser Induced Thermal Imaging、レーザー熱転写)法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。
有機層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコ−ト法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホ−ル等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしてもよい。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明の有機EL素子に印加する電流は、通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率よく発光させることが望ましい。
本発明の有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。また、本発明の有機EL素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
本発明の有機EL素子のフルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色変換方式、カラーフィルタ方式があげられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インクジェット法や印刷法があげられる。また、特表2002−534782やS.T.Lee, et al., Proceedings of SID ’02, p.784(2002)に記載されているレーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式では、青色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、青色より長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルタ方式では、白色発光の有機EL素子を使って、液晶用カラーフィルタを通して3原色の光を取り出す方法であるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率を上げることもできる。
さらに、本発明の有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極および陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers,OD−2,pp.77〜80(2002)に記載されている。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下において、特にことわりがない限り、「部」とは「重量部」を意味する。
まず、実施例、参考例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液の調製、処理顔料の調製、着色組成物の作製について説明する。
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器に、シクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分30重量%、重量平均分子量26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液1を調製した。

(アクリル樹脂溶液2の調整)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器に、シクロヘキサノン520.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸7.0部、ベンジルメタクリレ−ト32.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト101.0部、メチルメタクリレ−ト11.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。次に得られた共重合体溶液337部に対して、2−メタクロイルエチルイソシアネ−ト33.0部、ラウリン酸ジブチル錫0.4部、シクロヘキサノン130.0部の混合物を70℃の条件で3時間かけて滴下した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液(アクリル樹脂溶液2)を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は約37,000、二重結合当量は460であった。
(緑色処理顔料1の調製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で4時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の緑色処理顔料1(G1)を得た。
(緑色処理顔料2の調製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36をフタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 7(東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン YS−07」)に変えた以外は、緑色処理顔料1の調製と同様にして、490部の緑色処理顔料2(G2)を得た。
(黄色処理顔料1の調製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36をアゾ系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 150(ランクセス社製「E−4GN」)に変えた以外は、緑色処理顔料1の調製と同様にして、490部の黄色処理顔料1(Y1)を得た。
(黄色処理顔料2の調製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36をイソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 185(BASF社製「パリオゲンイエロー D1155」)に変え、混練時間を4時間から8時間に変えた以外は、緑色処理顔料1の調製と同様にして、490部の黄色処理顔料2(Y2)を得た。
(黄色処理顔料3の調製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36をイソインドリノン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 139(チバ・ジャパン社製「イルガフォアイエロー 2R−CF」)に変え、混練時間を4時間から8時間に変えた以外は、緑色処理顔料1の調製と同様にして、490部の黄色処理顔料3(Y3)を得た。
(青色処理顔料1の調製)
青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(東洋インキ製造株式会社製「LIONOL BLUE ES」)200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部の青色顔料1(B1)を得た。
(紫色処理顔料1の調製)
紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(東洋インキ製造株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、90℃で3時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部の紫色顔料1(V1)を得た。
(赤色処理顔料1の調製)
赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(チバ・ジャパン社製「IRGAZIN RED 2030」)160部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、156部の赤色顔料1(R1)を得た。
(赤色処理顔料2の調製)
赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(チバ・ジャパン社製「CROMOPHTAL RED A2B」)152部、表1に示す色素誘導体A−2を8部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、156部の赤色顔料2(R2)を得た。
(赤色処理顔料3の調製)
赤色顔料C.I.ピグメント レッド 179顔料(BASFジャパン株式会社社製「パリオゲン マルーン L−3920」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次にこの混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の赤色顔料3(R3)を得た。
(顔料分散体GP−1〜2、YP1〜3、BP−1、VP−1およびRP−1〜3の作製)
下記表5のGP−1〜2、YP1〜3、BP−1、VP−1およびRP−1の欄に示した材料、組成の、顔料、色素誘導体、アクリル樹脂溶液1および有機溶剤の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した。その後シクロヘキサノンを30.0部加えた後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体GP−1〜2、YP1〜3、BP−1、VP−1およびRP−1〜3を作製した。なお、顔料分散体GP−1〜2、YP1〜3、BP−1およびVP−1の作製においては、溶剤としてシクロヘキサノンを、また顔料分散体RP−1〜3の作製においては、溶剤としてメトキシプロピルアセテートを用いた。
Figure 0005526503
(着色組成物(アルカリ現像型レジスト材)RR−1〜6、GR−1〜25およびBR−1〜4の作製)
ついで、表6(赤色着色組成物)、表7−1、7−2(緑色着色組成物)、表8(青色着色組成物)に記載の材料、および各欄に記載の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、各色着色組成物(アルカリ現像型レジスト材)RR−1〜6、GR−1〜25およびBR−1〜4を得た。表6〜8中の光重合開始剤としては、チバ・ジャパン社製「イルガキュアOXE−01」を用い、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ペンタアクリレート混合物としては、東亞合成株式会社製「アロニクスM402」を用いた。また、レベリング剤溶液としては、東レ・ダウコーニング社製「FZ−2122」(不揮発分100重量%))1部をシクロヘキサノン99部で希釈した溶液を用いた。
Figure 0005526503
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参考例1]〈カラーフィルタの作製〉
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色着色組成物RR−4を塗布し、赤色着色組成物の被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで炭酸ナトリウム0.15重量%、炭酸水素ナトリウム0.05重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)0.1重量%および水99.7重量%からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、膜厚2.00μmの赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、緑色着色組成物GR−1を塗布し、フォトマスクを介して紫外線を照射したのち、現像して赤色フィルタセグメントの右隣に、膜厚2.92μmの緑色フィルタセグメントを形成した。次いで同様の方法により、青色着色組成物BR−4を塗布し、フォトマスクを介して紫外線を照射したのち、現像して緑色フィルタセグメントの右隣に、膜厚2.00μmの青色フィルタセグメントを形成してカラーフィルタを作製した。
なお、上記赤色フィルタセグメントの膜厚を3.0μmとしたときの、波長580nmにおける光線透過率T(580)と波長600nm〜700nmにおける光線透過率の最大値T(MAX:600−700)を表10の「RR−4」欄に示す。
また、上記緑色フィルタセグメントの膜厚を3.0μmとしたときの、波長480nmにおける光線透過率T(480)、波長500nmにおける光線透過率T(500)、波長600nmにおける光線透過率T(600)、波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値T(MAX:400−460)、400nm〜480nmにおける透過率の最大値T(MAX:400−480)、波長500nm〜600nmにおける透過率の最大値T(MAX:500−600)、波長600nm〜670nmにおける透過率の最大値T(MAX:600−670)を表11−1の「GR−1」欄に示す。
実施例と参考例、比較例に用いた赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントそれぞれに用いた赤色着色組成物、緑色着色組成物、青色着色組成物の組み合わせと、さらには有機EL素子(後述)との組み合わせを表9に示す。
[実施例15、24〜32、参考例2〜7、16〜23、33、34および比較例1〜13]
赤色着色組成物、緑色着色組成物、青色着色組成物として、表9に記載の組み合わせを用いること、また各色のフィルタセグメントの膜厚を表12−1および12−2に記載の厚さとすることを除いて、参考例1と同様にして、参考例2〜7、実施例15および24〜32、参考例16〜23、33、34および比較例1〜13のカラーフィルタを作製した。得られたカラーフィルタの各色フィルタセグメントのx値、y値、Y値および白色(各色フィルタセグメントを透過した光を加法混色したときの白色)におけるx値、y値、Y値、さらにNTSC比を表12−1および表12−2に示す。ここで、比較例1、13については、複数の膜厚水準でカラーフィルタを作製し、膜厚3.0μm以下でカラーフィルタセグメントを作製することができる水準と、NTSC比90%以上を達成することができる水準を探索した。
また、各実施例、比較例の赤色フィルタセグメントの膜厚を3.0μmとしたときの、波長580nmにおける光線透過率T(580)と波長600nm〜700nmにおける光線透過率の最大値T(MAX:600−700)を表10に示す。
さらに、各実施例、参考例、比較例の緑色フィルタセグメントの膜厚を3.0μmとしたときの、波長480nmにおける光線透過率T(480)、長500nmにおける光線透過率T(500)、波長600nmにおける光線透過率T(600)、波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値T(MAX:400−460)、400nm〜480nmにおける透過率の最大値T(MAX:400−480)、波長500nm〜600nmにおける透過率の最大値T(MAX:500−600)、波長600nm〜670nmにおける透過率の最大値T(MAX:600−670)を表11−1および表11−2に示す。
Figure 0005526503
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(有機EL素子の製造例)
以下に示す有機EL素子の製造例においては、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。蒸着(真空蒸着)は10-6Torrの真空中で、基板加熱、冷却等の温度制御なしの条件下で行った。また、素子の発光特性評価においては、電極面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。
(有機EL素子1(EL−1)の製造)
洗浄したITO電極付きガラス板を酸素プラズマで約1分間処理した後、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を真空蒸着して、膜厚50nmの正孔注入層を得た。この正孔注入層の上に、表4の化合物(R−2)と化合物(R−3)を100:0.5の組成比で真空蒸着して、膜厚20nmの第1発光層を作成し、さらに、表2の化合物(B−3)と化合物(B−4)とを100:2の組成比で共蒸着して膜厚40nmの第2発光層を形成した。この発光層の上に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を真空蒸着して膜厚30nmの第3発光層を形成し、さらに、α−NPDを5nm、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を真空蒸着して膜厚20nmの電子注入層を作成し、その上に、フッ化リチウムを膜厚1nm、さらにアルミニウムを300nm蒸着して電極を形成して有機EL素子1を得た。
さらに、この有機EL素子を、周囲環境から保護するために、純窒素を充填したドライグローボックス内で気密封止をした。この素子は、直流電圧5Vで発光輝度1500(cd/m2)、最大発光輝度68000(cd/m2)、発光効率3.1(lm/W)の白色発光が得られた。図1に、得られた有機EL素子1の発光スペクトルを示す。
(有機EL素子2(EL−2)の製造)
有機EL素子の製造例1と同様に処理したITO電極付きガラス板に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を真空蒸着して、膜厚150nmの正孔注入層を得た。この正孔注入層の上に、さらに、表4の化合物(R−2)と化合物(R−3)とを100:2の組成比で共蒸着して膜厚10nmの第1発光層を形成した。さらに、表2の化合物(B−1)と化合物(B−4)とを100:3の組成比で共蒸着して膜厚20nmの第2発光層を形成した。この発光層の上に、さらに、α−NPDを5nm、表3の化合物(G−3)を20nm蒸着して第3発光層を形成した。さらに、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体を真空蒸着して膜厚35nmの電子注入層を作成し、その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでアルミニウムを200nm蒸着して電極を形成して、有機EL素子を得た。
さらに、この有機EL素子を、周囲環境から保護するために、純窒素を充填したドライグローボックス内で気密封止をした。この素子は、直流電圧5Vで発光輝度950(cd/m2)、最大発光輝度55000(cd/m2)、発光効率3.9(lm/W)の白色発光が得られた。図2に、得られた機EL素子2の発光スペクトルを示す。
有機EL素子1および2(EL−1およびEL−2)の430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲それぞれにおいて発光強度が極大となるピーク波長((λ1)、(λ2)と、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)を表13に示す。
[カラーフィルタの色相評価]
各実施例、参考例および比較例で作製したカラーフィルタに、表9に示す組み合わせで有機EL素子1および2(EL−1およびEL−2)を用いて光を照射したときのカラーフィルタの色特性を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。各色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点(x、y)、NTSC比(アメリカNational
Television System Committee(NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、赤(0.14,0.08)により囲まれる面積に対する比率)、白色表示の明度(Y値)を表12−1、表12−2に示す。

Figure 0005526503
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上記表の結果から、膜厚3.0μm以下の薄膜の条件で緑色フィルタセグメントおよび赤色フィルタセグメントがそれぞれ下記の条件を満たす実施例15、24〜32のカラーフィルタと有機EL素子を用いたときは、緑色フィルタセグメントの色度(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たすとともに、NTSC比90%を達成することができ、色再現性も良好であった。また、各色フィルタセグメントの膜厚も3.0μm以下でカラーフィルタの生産性も良好であった。
〔緑色フィルタセグメントの条件〕
下記(A)〜(B)の条件を満たすと共に下記(C)〜(D)いずれかの条件を満たす。
(A)波長500nmにおける透過率が600nmにおける透過率の5倍以上であるとともに、波長600nmにおける透過率が4%未満である。
(B)波長480nmにおける透過率が12%未満であるとともに、波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値が2%以下である。
(C)波長400nm〜460nmにおける透過率の最大値が1%未満である。
(D)波長600nm〜670nmにおける透過率の最大値が1%以下である。
〔赤色フィルタセグメントの条件〕
波長580nm未満の光線透過率が1%以下で、波長600nm〜700nmにおける光線透過率の最大値が85%以上である。
また、C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 139を組み合わせた緑色着色組成物GR−1〜3と有機EL素子1(EL−1)とを組み合わせて用いた参考例1〜3の中で、yGが0.650に近い条件で比較すると、GR−3を用いた参考例3の膜厚がGR−1,GR−2を用いた参考例1,2の膜厚よりも薄く、カラーフィルタの生産性が良好であった。上記GR−3と有機EL素子2(EL−2)を用いた参考例21についても、3.0μm以下の条件でNTSC比100%を達成した。
C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 150を組み合わせたGR−9、GR−10と有機EL素子1(EL−1)とを組み合わせて用いた参考例4〜7については、膜厚が3.0μm以下でNTSC比90%を達成することは出来たが、NTSC比100%を達成することは出来なかった。上記GR−9、GR−10と有機EL素子(EL−2)を用いた参考例22、23については膜厚3.0μm以下の条件でNTSC比100%を達成した。

C.I.ピグメント グリーン 36とC.I.ピグメント イエロー 185とを組み合わせたGR−14、GR−15と有機EL素子1(EL−1)とを組み合わせて用いた実施例8〜10についても、膜厚が3.0μm以下でNTSC比90%を達成することは出来たが、NTSC比100%を達成することは出来なかった。上記GR−14と有機EL素子(EL−2)を組み合わせた実施例24については膜厚が3.0μm以下でNTSC比100%を達成することが出来た。
C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 185とを組み合わせたGR−19、20,21,22,23,24を用いた実施例11〜15、参考例16〜20に関しても、膜厚が3.0μm以下でNTSC比90%を達成することが出来た。特に、GR−19,20,21,22を用いた実施例12、14、15、参考例17では膜厚が3.0μm以下でNTSC比100%を達成することが出来た。有機EL素子としてEL−2を用いた場合も、GR−19、21,22,23を使用した実施例26、27、32、参考例33、34にて膜厚3.0μm以下の条件でNTSC比100%を達成した。

赤色着色組成物が異なり緑色・青色着色組成物が同一である実施例25〜29を比較すると、C.I.ピグメント レッド 177とC.I.ピグメント レッド 179を組み合わせた実施例26〜28のNTSC比が実施例25、29のNTSC比よりも広く、色再現性が良好であった。
青色着色組成物が異なり緑色・赤色着色組成物が同一である実施例26、30、31を比較すると、C.I.ピグメント バイオレット 23の比率が多い青色着色組成物を用いたものほど青色フィルタセグメントの色再現性が良好で広いNTSC比が得られた。特に、C.I.ピグメント バイオレット 23の比率が50%以上であるBR−3,BR−4を用いた実施例26と30にてNTSC比が90%を大きく上回り、色再現性が良好であった。
有機EL素子1(EL−1)とRR−1,GR−17,BR−1を組み合わせた比較例1、および有機EL素子2(EL−2)とRR−1、GR−17、BR−1を組み合わせた比較例13では、膜厚3.0μm以下ではyG≧0.650となる条件が得られず、膜厚3.0μm以下でNTSC比90%を達成することが出来なかった。
有機EL素子1(EL−1)と、黄色顔料を含まないGR−12を組み合わせた比較例2では、yGが0.650を大きく下回り、NTSC比が70%と非常に低かった。また、緑色フィルタセグメントの膜厚も3.0μmより厚くなった。
有機EL素子1(EL−1)と、C.I.ピグメント イエロー 139の比率がPigment Green7の比率に対して非常に多いGR−4,5、6を組み合わせた比較例3〜5と、Pigment Yellow185の比率がPigment Green7の比率に対して非常に多いGR−25を組み合わせた比較例12では、xG>0.270となり、緑色の色再現性が悪かった。また、比較例4、5ではNTSC比90%も達成することが出来なかった。
有機EL素子1(EL−1)と、C.I.ピグメント グリーン 7の比率がC.I.ピグメント イエロー 150に対して非常に多いGR−7,GR−8を組み合わせた比較例6,7と、C.I.ピグメント グリーン 7の比率がC.I.ピグメント イエロー 150に対して非常に少ないGR−11を組み合わせた比較例8では、膜厚が3.0μm以下でNTSC比90%を達成することが出来なかった。
有機EL素子1(EL−1)と、C.I.ピグメント グリーン 36の比率がC.I.ピグメント イエロー 185に対して非常に多いGR−13を組み合わせた比較例9では、膜厚が3.0μm以下でNTSC比90%を達成することが出来なかった。
有機EL素子1(EL−1)と、C.I.ピグメント グリーン 36の比率がC.I.ピグメント イエロー 185に対して非常に少ないGR−16を組み合わせた比較例10では、yG≧0.650となる条件が膜厚が3.0μm以下で得られたものの、xG>0.270となり、緑色フィルタセグメントの色再現性が悪かった。また、NTSC比90%を達成することも出来なかった。
有機EL素子1(EL−1)と、C.I.ピグメント グリーン 7の比率がC.I.ピグメント イエロー 185に対して非常に多いGR−18を組み合わせた比較例11では、yG≧0.650となる条件が、膜厚3.0μm以下で得られなかった。
有機EL素子1(EL−1)の発光スペクトル図である。 有機EL素子2(EL−2)の発光スペクトル図である。

Claims (4)

  1. 顔料または少なくとも顔料を含む着色組成物を用いて形成された、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントを有し、それらの膜厚がいずれも3.0μm以下であるカラーフィルタと、波長400nm〜700nmの範囲内で2つ以上の極大値を有する分光特性を有し、少なくとも波長430nm〜485nmの範囲と波長580nm〜620nmの範囲に発光強度が極大となるピーク波長(λ1)、(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.4以上1.2以下である発光スペクトルをもつ有機EL素子とを有する有機EL表示装置であって、
    前記緑色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント グリーン 7およびC.I.ピグメント グリーン 36から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料と、C.I.ピグメント イエロー 185とを含有し、前記有機EL素子を用いた場合にCIE表色系における色度点(xG、yG)がxG≦0.270、yG≧0.650を満たし、
    前記赤色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント レッド 177およびC.I.ピグメント レッド 179から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有することを特徴とする有機EL表示装置(但し、C.I.ピグメント グリーン 7とC.I.ピグメント イエロー 185との混合比率が質量比で55:45〜30:70である場合を除く)。
  2. 青色フィルタセグメントが、C.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント バイオレット 23を含有し、C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量とC.I.ピグメント バイオレット 23の重量の比〔(C.I.ピグメント ブルー 15:6の重量)/(C.I.ピグメント バイオレット 23の重量)〕が85/15〜20/80であることを特徴とする請求項に記載の有機EL表示装置。
  3. 請求項1または2に記載の有機EL表示装置において、
    前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対して90%以上であることを特徴とする有機EL表示装置。
  4. 請求項1または2に記載の有機EL表示装置において、
    前記赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントのCIE表色系における色度点をそれぞれ(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの3点で囲まれる三角形の面積が、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)により囲まれる面積に対して100%以上であることを特徴とする有機EL表示装置。
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