JP5525198B2 - 電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート - Google Patents

電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート Download PDF

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Description

本発明は電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートに関する。より詳細には、金属に貼合された場合において当該金属の腐食を防止する電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートに関する。
ディスプレイなどの電子機器を構成する材料に対して、その安全上の基準として、UL規格合格を求められることが多くなってきている。その中でも、難燃性の規格合格を要求される場合が多い。例えば、電子機器の難燃性規格としてUL94がある。電子機器には、本規格に合格する難燃特性が求められる場合がある。
粘着シートに難燃性を付与するために、従来、ハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンとを粘着剤に含有し、ハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンとの相乗効果により、粘着剤を難燃化させていた。しかしながら、ハロゲン系の難燃剤は、燃焼時に人体に毒性のあるハロゲン系ガスを発生する。また、ハロゲン系の難燃剤は、電子機器の金属を腐食させてしまう可能性がある。加えて、ハロゲン系難燃剤や酸化アンチモンのような無機系からなる難燃剤を粘着剤に含有させた場合、有色かつ透明性が損なわれる。従って、得られる粘着剤層および粘着シートも有色かつ透明性が損なわれるので、ディスプレイなどに粘着シートが使用された場合に、ディスプレイの画像が見づらくなるという問題がある。このため、ハロゲン系難燃剤を使用しないタイプの難燃化方法の実現が急がれている。
このような中、ハロゲン系難燃剤を使用しない難燃化の方法として、高分子材料(プラスチック材料)の分野では、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水和金属化合物を粘着剤に配合する方法が知られている。また、難燃剤としてポリリン酸アンモニウムなどの含窒素リン化合物と赤リンとの混合物を用いた粘着テープが提案されている(特許文献1参照)。また、難燃剤として縮合リン酸エステル系難燃剤を配合した粘着シートが提案されている(特許文献2参照)。
特開平8−193187号公報 特開2001−271044号公報
しかしながら、水和金属化合物を粘着剤に配合する方法が用いられた場合、粘着剤に対して水和金属化合物を多量に配合しなければ、規格を満たす難燃特性を得ることができない。従って、粘着特性や透明性が損なわれるという問題がある。また、特許文献1に記載の粘着テープは、難燃効果を向上させるために赤リンを使用しているため、燃焼時に人体に毒性のあるホスフィンガスが発生するという問題がある。また、特許文献2に記載の粘着シートでは、例えば、フィルム表面に金属箔を設けた機能性フィルムである電磁波遮蔽フィルムの金属箔面に粘着シートを貼り合せた場合において、難燃剤に含まれるリン酸イオンが金属を腐食する。このため、電磁波遮蔽フィルムの電磁波遮蔽機能が低下するという問題がある。またこのような粘着シートが使用された場合、電磁波遮蔽フィルムのように表面に凹凸を有するフィルムに対して、十分な粘着性を得ることができないという問題がある。
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものであり、金属を腐食させず、透明性および凹凸の埋め込み性に優れ、かつ粘着性、耐久性、加工性にも優れた、ハロゲンガスの発生が極めて少ない電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートを提供することを目的とする。
上述の問題点を解決するために、本発明の電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートは、アクリル酸ブチルが55〜90重量%、アクリル酸メチルが5〜40重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜10重量%からなる粘着剤を主成分とする粘着層を有する。また、特定の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を粘着層中に用いる。また、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤を併用する。非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤は、粘着層中の粘着剤100重量部に対して固形分換算で10〜30重量部含有される。ベンゾトリアゾール系酸化防止剤は、固形分換算で0.05〜5.0重量部含有される。前記粘着層のハロゲンイオン濃度は50ppm以下である。
本発明の電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートは、ハロゲン系難燃剤や赤リンなどを使用しなくても、十分な難燃効果が得られる。また、燃焼時においてハロゲンガスやホスフィンガスが発生しない。また、良好な粘着性を有する。また、金属の腐食を防止出来る。また、透明性、耐久性に優れている。
難燃性粘着シート1の断面図である。 電磁波遮蔽フィルム3がディスプレイ7に貼合された状態を示す断面図である。
本発明者らは、特に難燃性が必要とされる高温条件、金属腐食が進行しやすい高湿条件を組み合わせた高温高湿条件下において、変色や浮きはがれがない、耐久性に優れた難燃性粘着シートを得るために、鋭意検討を重ねた。
難燃性粘着シート1の構成について、図1を参照して説明する。難燃性粘着シート1は、粘着剤を主成分とする粘着層5と、粘着層5を挟むように配置される離型フィルム4及び離型フィルム6を備えている。粘着層5は、難燃剤と酸化防止剤とを少なくとも含有している。難燃剤及び酸化防止剤の詳細は後述する。難燃性粘着シート1は、例えばディスプレイ7(図2参照、後述)と機能性フィルム(電磁波遮蔽フィルム3(図2参照、後述)など)とが貼合される場合に、離型フィルム4及び離型フィルム6が粘着層5から剥離されて使用される。離型フィルム4及び離型フィルム6は、粘着層5を保持するために使用される。なお本発明の難燃性粘着シートは、離型フィルム4及び離型フィルム6を備えない構成であってもよい。
難燃性粘着シート1の使用例の一例について、図2を参照して説明する。図2では、ディスプレイ7に電磁波遮蔽フィルム3を貼付するために難燃性粘着シート1(図1参照)の粘着層5が用いられた場合の様子が示されている。図2に示すように、粘着層5は、電磁波遮蔽フィルム3の基材フィルム9(PETなど)の表面に形成された銅箔網目8の凹部分に良好に入り込む。このため、気泡混入等によるディスプレイ7の視認性悪化を抑制できる。
<難燃剤>
難燃剤は、有機系と無機系に大別される。無機系難燃剤としては、水和金属化合物などが使用可能である。しかしながら無機系難燃剤は、粘着剤との相溶性に乏しく、透明性、粘着性を低下させる上、高温高湿条件下に暴露した場合には難燃剤が析出しやすく、更に透明性の低下、浮き剥がれなどが進行し不具合を生じる問題があるため好ましくない。
有機系難燃剤としては、リン系、ハロゲン系、窒素系などが使用可能である。しかしながら、ハロゲン系および窒素系の難燃剤は、高温高湿条件下に暴露した場合には難燃剤が析出しやすく、更に透明性の低下、浮き剥がれなどが進行し不具合を生じる問題があるため好ましくない。
本実施の形態では、リン系難燃剤であるリン酸エステル系難燃剤が使用される。リン酸エステル系難燃剤の難燃性発現原理は、「気層におけるラジカルトラップ効果」及び「固層におけるチャー生成効果」にある。「気層におけるラジカルトラップ効果」は、燃焼により発生する活性ラジカルとリン酸が反応し、燃焼反応が継続して進むことを抑えることで難燃性を発揮する。「固層でのチャー生成効果」は、燃焼時の熱分解で生じたリン酸がポリリン酸となることで、他の分子をプロトン化して脱水反応により炭化物を生成して表層を形成する。同時に不揮発性のリン酸化物も生成し、前述の炭化物の粘結剤となり安定した表層を形成し、断熱・酸素を遮断することで、難燃性を発揮する。
リン酸エステルは、非ハロゲンリン酸エステルと、含ハロゲンリン酸エステルとに分けられる。含ハロゲンリン酸エステルは、高温高湿条件下に暴露した場合には難燃剤が析出しやすく、更に透明性の低下、浮き剥がれなどが進行し不具合を生じる問題があるため好ましくない。
一方で、非ハロゲンリン酸エステルは、高温高湿条件下に暴露しても難燃剤が析出せず、透明性の低下、浮き剥がれなども発生しないため好ましい。非ハロゲンリン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニール)ホスフェートなどが挙げられる。この中でもビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェートが好ましく、特にビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートがより好ましい。上述の物質を用いると、透明性、粘着性の低下がなく、高温高湿条件下に暴露した場合でも析出しにくく経時的な粘着力の低下が発生せず、浮き剥がれなどの不具合が特に生じにくいため好ましい。特にビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを用いことによって、耐久性を向上させることができる。
非ハロゲンリン酸エステルの中でも、縮合型の非ハロゲン縮合リン酸エステルは、粘着剤との相溶性が良好であり、粘着層5表面にブリードアウト(染み出し)しにくいため、粘着層5表面の経時的な粘着力低下を防止できる点で好ましい。粘着力の経時的な低下を防止することにより、被着体から粘着層5が浮き剥がれる問題を解消することができる。
非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の重量平均分子量は、500〜1200、好ましくは700〜900である。重量平均分子量が500より低い場合には、粘着力の低下が発生する恐れがある。分子量が1200より高い場合は、粘着剤と相溶しにくく、高温高湿条件下に暴露した場合には難燃剤が析出する可能性があるため好ましくない。
非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤は、粘着剤100重量部に対して固形分換算で10〜30重量部、好ましくは20〜28重量部配合することで、難燃性、透明性、粘着性、耐久性に優れた難燃性粘着シート1を提供することができる。非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を多量に配合すると、粘着剤への相溶性が低下し高温高湿条件下に曝露した際、難燃剤が析出する、あるいはリン酸成分の作用により金属腐食が生じやすくなる。このため、配合量が30重量部を超える場合には、金属腐食性(被着体の金属面腐食有無)、耐久性(高温高湿条件下に暴露した場合、難燃剤の析出による浮き剥れの発生有無)、凹凸埋め込み性(凹凸の隙間に粘着層が入り込む程度。凹凸埋め込み性が良好な場合、凹凸への気泡の混入を防止することができる。)、加工性(スリット加工端面の粘着剤はみだし、欠落有無)の低下を生じる恐れがある。また、浮き剥がれなどの不具合を生じる恐れがある。一方、10重量部未満の場合には、難燃性の効果が低くなり、規格上の難燃特性を満足しなくなる場合がある。
尚、上記に例示した非ハロゲンリン酸エステルからなる難燃剤は、単独で使用してもよいし、非ハロゲンリン酸エステル以外の難燃剤を併用して使用しても良い。但し、ハロゲン系難燃剤を併用すると、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性が低下し、粘着剤への相溶性低下による難燃剤の析出が生じやすくなり異物混入が発生するため好ましくない。併用する場合は、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性の低下および異物混入を抑制するため、粘着層5中のハロゲンイオン濃度を50ppm以下に抑える必要がある。
また、粘着層5中には、難燃性を阻害しない範囲で、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物やメラミン樹脂粒子やアナミン樹脂(N含有)や三酸化アンチモン、二酸化珪素などの無機酸化物、炭酸カルシウムなどの無機塩を添加してもよい。これらの物質を添加することにより、難燃性をさらに向上させることもできる。
上述の通り、本実施の形態においては、好ましくは縮合型であり、重量平均分子量が500〜1200、好ましくは700〜900の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を、粘着剤100重量部に対して、固形分換算で10〜30重量部、好ましくは20〜28重量部配合する。これによって、粘着性および金属腐食性、凹凸埋め込み性、加工性に優れる難燃性粘着シート1が得られるため好ましい。特にビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、より好ましくはビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを用いると、耐久性に特に優れた難燃性粘着シート1を提供することができる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、金属の錆びの発生を防止する化合物であれば特に制限なく使用できる。例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、フェニルテトラゾール系化合物、2−アミノベンゾチアゾールや、2−アミノピリジン、2−アミノピリミジン、2−アミノキノリン、2−アミノキナゾリン、4−アミノキナゾリン、2−アミノキノキサリン,8−アミノプリン,2−アミノベンゾイミダゾール,アミノトリアジン又はアミノトリアゾール及びこれらの置換誘導体等が挙げられる。本実施の形態では、酸化防止剤としてベンゾトリアゾール系化合物が使用される。ベンゾトリアゾール系化合物は、透明性が高く粘着剤を着色にくいため、得られる難燃性粘着シート1の透明性を高めることができるため好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール・ナトリウム塩、ベンゾトリアゾール・カリウム塩、ベンゾトリアゾール・アミン塩、メチルベンゾトリアゾールまたはその塩化物等が挙げられる。更にはその取り扱いやすさ等から、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールがより好ましい。この中でも透明性の高い難燃性粘着シート1を得るためには、最も粘着剤を着色しにくいベンゾトリアゾールが好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物、とくにベンゾトリアゾールを用いることで、電磁波遮蔽フィルム3のような金属箔を有するフィルムに貼り合わせる難燃性粘着シート1において、金属の腐食防止と、高い透明性の双方を両立することができる。
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量は、粘着層5中の粘着剤100重量部に対して固形分換算で0.05〜5.0重量部、好ましくは0.25〜0.50重量部である。5.0重量部を超えると、透明性の低下、粘着層5の凝集力の低下や粘着特性の低下を招き、剥がれ、固定能力不足、耐久性、凹凸埋め込み性の低下などの不具合を生じる恐れがある。0.05重量部を下回ると、金属腐食防止の効果が低くなり、被着体を腐食し不具合を生じる恐れがある。
本実施の形態では上述のごとく、粘着剤100重量部に対して非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を固形分換算で10〜30重量部、好ましくは20〜28質量部、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤を0.05〜5.0重量部、好ましくは0.25〜0.50重量部含有させる。また、ハロゲン系難燃剤等のハロゲン含有量を制限し、粘着層5中のハロゲンイオン濃度を50ppm以下に抑える。これによって、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、加工性に優れた難燃性粘着シート1が得られるものである。
加えて、難燃剤として、好ましくは縮合型の難燃剤を用いることで、さらに粘着性および耐久性を向上させることができる。特に難燃剤としてビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、より好ましくはビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを用いることで、特に耐久性を向上させることができる。加えて、酸化防止剤としてメチルベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾールを含有させることで、最も金属腐食防止に優れた難燃性粘着シート1が得られる。更に好ましくはベンゾトリアゾールを含有させることで、最も金属腐食性および透明性に優れた難燃性粘着シート1が得られる。これらを組み合わせることで、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性に最も優れた難燃性粘着シート1が得られるものである。
<粘着剤>
粘着剤としては、従来、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などの酸系粘着剤が使用されてきた。しかしながら、本実施の形態の粘着剤としては、電磁波遮蔽フィルム3などの金属面を腐食させる要因として考えられる酸成分を含む上記の酸系粘着剤ではなく、酸成分を含まない酸変性物を用いることが好ましい。
酸変性物としては、特にアクリル酸変性物を用いるのが好ましい。アクリル酸変性物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
アクリル酸変性物以外に、アクリル酸ヒドロキシエステルを併用しても良い。アクリル酸ヒドロキシエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
好ましくはアクリル酸変性物として、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸メチルを併用することが好ましく、更にはアクリル酸2−ヒドロキシエチルを併用すると、上記の酸化防止剤、難燃剤と組み合わせることで、粘着性に優れるだけでなく、金属腐食、特に銅に対する腐食が発生しにくいため好ましい。アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの割合は、アクリル酸ブチルが55〜90重量%、アクリル酸メチルが5〜40重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜10重量%であることが好ましい。より好ましくはアクリル酸ブチルが60〜70重量%、アクリル酸メチルが10〜30重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜5重量%とすることで、粘着性、成形性、加工性、金属腐食、特に銅に対する腐食防止効果を更に向上さるため好ましい。
上述の通り、粘着剤としてアクリル酸ブチルが55〜90重量%、好ましくは60〜70重量%、アクリル酸メチルが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%とし、難燃剤として粘着剤100重量部に対して、重量平均分子量が500〜1200、好ましくは700〜900のビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、より好ましくはビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを固形分換算で10〜30重量部、好ましくは20〜28重量部配合し、酸化防止剤としてベンゾトリアゾール系酸化防止剤、好ましくはベンゾトリアゾールを粘着剤100重量部に対して、固形分換算で0.05〜5.0重量部、好ましくは0.25〜0.50重量部配合する。これによって、金属面の酸化を防止し、かつ難燃性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、粘着性、加工性に優れる粘着層5が得られる。この粘着層5を含む難燃性粘着シート1は、例えばフィルム表面に金属箔を有する機能性フィルムに対して、特に好適な難燃性粘着シートとなる。
<架橋剤>
架橋剤については、一般的な架橋剤が使用できる。例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンアミン等のアミン系化合物、アルミニウムに代表される多価金属や金属キレート化合物、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等のアジリジン系化合物が挙げられる。これらのうち、1種類あるいは2種類以上を混合して使用することができる。この中でも、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物が好ましく、なかでもトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートがより好ましい。イソシアネート系化合物により、アクリル酸変性物やアクリル酸ヒドロキシエステルを主成分とする粘着剤を分子間架橋することで、良好な粘着性を得ることができる。
アクリル酸変性物やアクリル酸ヒドロキシエステルを主成分とする粘着剤と、イソシアネート系架橋剤との配合割合は、特に限定されるものではないが、例えばフィルム表面に凹凸を有する機能性フィルム、例えば基材フィルム9表面に銅箔網目8を有する電磁波遮蔽フィルム3に対する粘着層5の凹凸埋め込み性、耐久性、透明性、粘着性の面で優れた特性を確保する観点から、架橋剤添加量は粘着剤100重量部に対して固形分換算で0.10〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0重量部である。0.10重量部未満であると、凝集力不足により、高温高湿条件下に暴露した場合、浮き剥がれ等の問題が発生するとともに難燃性粘着シート1を積層する際に粘着剤のはみ出しが発生しやすい。また難燃性粘着シートが軟らかい為、スリット加工する際に刃に粘着剤が付着する等、作業性が悪化しやすくなる。15重量部を超えると、局所的な架橋反応が生じやすくなり、粘着剤中にゲル状異物の混入が発生する。このため、凹凸埋め込み性が低下するだけでなく、粘着性、透明性が低下しやすいため好ましくない。
本実施の形態の難燃性粘着シート1においては、粘着剤100重量部に対し架橋剤を固形分換算で0.10〜15重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部配合することで、粘着層の25℃における貯蔵弾性率(G´)を8.1×10〜3.9×10Pa、好ましくは9.3×10〜1.8×10Paの範囲になるよう調整することが好ましい。上記範囲にすることで、凹凸埋め込み性、加工性、透明性、粘着性が向上し、局所的な架橋反応が生じたことによる粘着剤中にゲル状異物混入が減少し、表面に凹凸を有する機能性フィルム、例えば電磁波遮蔽フィルムに貼り合わせる用途において、気泡の混入がなく透明性に優れる難燃性粘着シート1が提供できるため好ましい。粘着層の貯蔵弾性率(G´)が8.1×10Paを下回ると、加工性が低下するため好ましくない。粘着層の貯蔵弾性率(G´)が3.9×10Paを超えると、透明性が低下しやすくなり、かつ、凹凸埋め込み性が低下して気泡混入により更に透明性が低下しやすいだけでなく、粘着性も低下しやすいため好ましくない。
本実施の形態においては、上述のごとく、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤と、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤とを粘着剤に含有させ、ハロゲン系難燃剤等のハロゲン含有量を制限して粘着層5中のハロゲンイオン濃度を50ppm以下に抑えること、好ましくは縮合型の難燃剤、および、メチルベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール、好ましくはベンゾトリアゾールからなる酸化防止剤を含有させることで、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、加工性に優れ、異物混入が少ない難燃性粘着シート1が得られるものである。これに加え、イソシアネート系架橋剤を固形分換算で0.10〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲で含有させ、貯蔵弾性率(G´)を8.1×10〜3.9×10Pa、好ましくは9.3×10〜1.8×10Paとすることで、粘着性および凹凸埋め込み性を向上させ、凹凸を有するフィルム表面に粘着剤が入り込みやすくなり、凹凸面に気泡が混入することによる透明性および見栄えの低下を防止でき、最も金属腐食性、粘着性、透明性、凹凸埋め込み性、加工性に特に優れる難燃性粘着シート1が得られるため好ましい。
<粘着付与剤>
粘着特性などの向上のため、上述した効果を損なわない範囲で各種粘着付与剤を添加することができる。粘着付与剤としては、天然物由来のロジン系や石油由来のスチレン系などが挙げられるが、天然物由来の粘着付与剤は、高温高湿条件下において変色して透明性が低下するなどの問題があるため好ましくない。石油由来の粘着付与剤としては、スチレン系やフェノール系などが挙げられるが、スチレン系粘着付与剤が高温高湿条件下での変色が少なく、粘着性が向上しやすいため特に好ましい。ただし、配合により透明性が低下しやすいため配合量は固形分換算で5.0部以下であることが好ましい。
<その他添加剤>
その他、分散剤、蛍光染料、pH調整剤、消泡剤、湿潤剤、防腐剤、UV吸収剤、界面活性剤などを添加することもできる。また、炭化促進剤を含有するものであっても良い。炭化促進剤としてはカーボンブラックなどが挙げられる。
<粘着層5の厚み>
本実施の形態の粘着剤を基材に塗工・乾燥して得られる粘着層の厚みは、10〜200μmが好ましく、15〜100μmが特に好ましい。10μmを下回ると被着体に対して十分な粘着性が得られず耐久性が不足するだけでなく、電磁波遮蔽フィルムのような凹凸面に対する凹凸埋め込み性が低下して気泡が混入し透明性が低下する恐れがある。200μmを超えると、透明性及び加工性が劣るため好ましくない。
上述通り、貯蔵弾性率(G´)を8.1×10〜3.9×10Pa、好ましくは9.3×10〜1.8×10Paとし、かつ粘着層の厚みを10〜200μm、好ましくは15〜100μmとすることで、例えば銅箔網目8の厚み10μm、網目の大きさが100〜数100μmのメッシュ型電磁波遮蔽フィルム3の凹凸面に対して、特に良好な粘着性および凹凸埋め込み性能、透明性、加工性が得られる。
<離型フィルム>
粘着層が設けられる離型フィルム4及び離型フィルム6の材料としては、特に限定されず、例えばポリエステル、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、ポリイミド、ポリアセタールなどの単体あるいはこれらの複合基材、または場合によりエポキシ樹脂などを含浸させたものなどが挙げられる。
<電磁波遮蔽シート>
本発明の難燃性粘着シート1が好適に使用できる用途として、電磁波遮蔽フィルムへの貼り合わせが挙げられる。
電磁波遮蔽フィルムの作製方法には、大きく分けて、透明性を有する範囲で薄く、銀などの金属膜を蒸着などで透明フィルム面やガラス面に付ける薄膜法と、銅などの金属箔を薄膜法の場合より厚くフィルム面やガラス面に設け、エッチングなどによって網目状等にパターン化して透明性を出したり、または極細の銅等の網目繊維状金属を透明フィルム面に貼るなどして網目状シートを作成するメッシュ法とがある。より効率的に電磁波を遮蔽するには、メッシュ法が採用される。また、メッシュ法の場合で、透明フィルム面に銅等の金属箔を比較的厚く設ける代表的な方法として(1)透明フィルム上に銅等の金属箔を接着剤等で貼る方法と(2)無電解メッキ及び/又は電気メッキで銅等の金属をメッキする方法とがある。
(1)の場合、銅箔の面の密着性を上げるために銅箔表面に凹凸をつけ粗面化し、これを接着剤で透明フィルムに貼り、エッチングにより網目状になるよう余分な銅部分を除去する。除去された部分の固化した接着剤表面は、粗面化された金属の凹凸がそのまま残るため、著しくヘイズ(くもり)が高く透明性に劣る。これを改善するため、エッチング後のフィルム金属面に樹脂をコートし、接着剤表面の凹凸面を無くす透明化処理がなされるが、(2)のメッキ法の水準までヘイズが十分に下がらず、透明性が向上しない難点がある。加えて、透明化処理の工程が増えることになり、電磁波遮蔽フィルムのコストが上がる要因にもなる。
メッシュ型電磁波遮蔽フィルムに設けた銅等の金属は、金属面と接触する粘着剤などの使用材料により腐食し、光学フィルターの機能を損ねる場合がある。腐食を防止するために、網目状にパターン加工された金属面を、トリアジンアミン系化合物、もしくはメルカプトベンゾイミダゾール系化合物、もしくはチオジプロピオン酸エステル系化合物、もしくはベンゾイミダゾール系化合物、もしくはベンゾトリアゾール系化合物、もしくはチオカルバミン酸塩を含む溶液で浸漬処理をした後、樹脂をコートする方法がある。このような処理は、浸漬処理及び樹脂コートという2工程を必要とし、コストアップの要因となる。
しかしながら本実施の形態の難燃性粘着シート1においては、除去された部分の固化した接着剤表面の凹凸に対しても十分な埋め込み性を得られるため、ヘイズが低く、貼り合わされる粘着剤による腐食も抑えられる。例えば、銅箔の厚み10μm、網目の大きさが100〜数100μmのメッシュ型電磁波遮蔽フィルムであっても、十分な埋め込み性と酸化防止性能が得られる。つまり、本実施の形態の難燃性粘着シート1を用いることで、上述のとおりエッチング後のフィルム金属面に樹脂をコートしたり、透明化処理することなく、安価に透明性の高い電磁波遮蔽シートを得ることができる。
上述のとおり、粘着剤として、アクリル酸ブチルが55〜90重量%、好ましくは60〜70重量%、アクリル酸メチルが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%配合されたものを使用する。酸化防止剤として、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤、好ましくはベンゾトリアゾールを、粘着剤100重量部に対して固形分換算で0.05〜5.0重量部、好ましくは0.25〜0.50重量部配合し、かつ非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤として、好ましくは縮合型であり、重量平均分子量が500〜1200、好ましくは700〜900のビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、より好ましくはビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを10〜30重量部、好ましくは20〜28重量部配合する。架橋剤として、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、なかでもトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートを粘着剤100重量部に対して固形分換算で0.10〜15重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部配合する。貯蔵弾性率(G´)を8.1×10〜3.9×10Pa、好ましくは9.3×10〜1.8×10Paとし、かつ粘着剤塗工厚みを10〜200μm、好ましくは15〜100μmとする。これによって、金属面の酸化を防止し、かつ難燃性、透明性、耐久性、粘着性および凹凸埋め込み性、加工性に優れ、異物混入が少ない粘着層5が得られる。この粘着層5を備えた難燃性粘着シート1は、金属腐食防止機能、難燃性、粘着性および凹凸埋め込み性、透明性、耐久性、加工性、異物混入の全てに優れている。このため、例えば電磁波遮蔽フィルムのような凹凸面、例えば銅箔網目8の厚み10μm、網目の大きさが100〜数100μmのメッシュ型電磁波遮蔽フィルム3に対して、特に好適な難燃性粘着シート1として使用可能となる。
本実施の形態の難燃性粘着シート1の評価試験及び結果について、以下に具体的に説明する。しかしながら、本発明がこれらに限定されるものではない。
<難燃性粘着シート1作成>
はじめに、作成した難燃性粘着シート1(実施例1〜22、比較例1〜10)の詳細について説明する。
(実施例1)
アクリル酸ブチル(65重量%)とアクリル酸メチル(30重量%)とアクリル酸2−ヒドロキシエチル(5重量%)の共重合体からなるアクリル系ポリマー(中性、重量平均分子量100万)の固形分100重量部に対して、非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤(ビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェート(商品名:FP−600、アデカ社製(重量平均分子量700))(表1において「物質名:A」と記載)を固形分換算で25重量部、および、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤(ベンゾトリアゾール(商品名:シーテックBT−R、シプロ化成製))(表1において「物質名:H」と記載)を固形分換算で0.50重量部、其々配合して得た粘着剤に、ポリイソシアネート系架橋剤(トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート)を固形分換算で1.4重量部加えた。攪拌後、離型フィルム4のシリコーン塗工面上に、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布・乾燥して粘着層5を形成した。その後、離型フィルム6のシリコーン塗工面を貼り合わせ、難燃性粘着シート1(実施例1)を得た。なお、離型フィルム4及び離型フィルム6の剥離力が、「離型フィルム4>離型フィルム6」の関係となるように調整した。
(実施例2)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を10重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例2)を得た。
(実施例3)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を20重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例3)を得た。
(実施例4)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を28重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例4)を得た。
(実施例5)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を30重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例5)を得た。
(実施例6)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量を0.05重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例6)を得た。
(実施例7)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量を0.25重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例7)を得た。
(実施例8)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量を5.00重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例8)を得た。
(実施例9)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を0.05重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例9)を得た。
(実施例10)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を0.10重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例10)を得た。
(実施例11)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を0.50重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例11)を得た。
(実施例12)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を5.00重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例12)を得た。
(実施例13)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を15.0重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例13)を得た。
(実施例14)
実施例1において配合したポリイソシアネート系架橋剤の配合量を20.0重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例14)を得た。
(実施例15)
実施例1における乾燥後の膜厚を10μmとした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例15)を得た。
(実施例16)
実施例1における乾燥後の膜厚を15μmとした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例16)を得た。
(実施例17)
実施例1における乾燥後の膜厚を100μmとした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例17)を得た。
(実施例18)
実施例1における乾燥後の膜厚を200μmとした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例18)を得た。
(実施例19)
実施例1において配合した酸化防止剤の代わりに、メチルベンゾトリアゾール(商品名:シーテックTT(シプロ化成製))(表2において「I」と記載)を使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例19)を得た。
(実施例20)
実施例1において使用した粘着剤の代わりに、アクリル酸ブチル(63重量%)、アクリル酸メチル(10重量%)、メタクリル酸メチル(25重量%)とアクリル酸(1.0重量%)とアクリル酸2−ヒドロキシエチル(1.0重量%)共重合体(重量平均分子量100万)からなるアクリル系ポリマー(酸性)を使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例20)を得た。
(実施例21)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート(商品名:PX−200(大八化学製、重量平均分子量700))(表1において「B」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例21)を得た。
(実施例22)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、非縮合型の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤(トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート(商品名:レオフォス65(味の素ファインテクノ製、重量平均分子量400))(表1において「C」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(実施例22)を得た。
(比較例1)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、臭素系難燃剤(ヘキサブロムベンゼン)(表1において「D」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例1)を得た。
(比較例2)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、塩素系難燃剤(塩素化パラフィン)(表1において「E」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例2)を得た。
(比較例3)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、無機系難燃剤(水酸化アルミニウム)(表1において「F」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例3)を得た。
(比較例4)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の代わりに、含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)(表1において「G」と記載)を25重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例4)を得た。
(比較例5)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を7重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例5)を得た。
(比較例6)
実施例1において配合した非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤の配合量を35重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例6)を得た。
(比較例7)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の代わりに、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャルティケミカルズ製)(表2において「J」と記載)を0.50重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例7)を得た。
(比較例8)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の代わりに、ジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(表2において「K」と記載)を0.50重量部使用した。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例8)を得た。
(比較例9)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量を0.01重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例9)を得た。
(比較例10)
実施例1において配合したベンゾトリアゾール系酸化防止剤の配合量を10.0重量部とした。他の構成は実施例1と同様とした。これによって、難燃性粘着シート1(比較例10)を得た。
作成した難燃性粘着シート1(実施例1〜22)の詳細を表1に示す。作成した難燃性粘着シート1(比較例1〜10)の構成を表2に示す。作成した難燃性粘着シート1の粘着層5のハロゲンイオン濃度及び貯蔵弾性率(G´)を表3に示す。
<測定方法について>
(1)厚み
粘着層5の厚みは、マイクロメーター(熊谷工業社製、品番:PRECISION MICROMETER S200-T2)にて離型フィルム4、粘着層5、離型フィルム5からなる粘着シート1の総厚を測定したのち、離型フィルム4、離型フィルム5の厚みを測定、差し引くことで測定した。
(2)ハロゲンイオン濃度
酸素を充満した密閉容器にて粘着剤層5を1,000〜1,100℃で燃焼させ、燃焼ガスを弱アルカリ水溶液に吸収させ捕集、捕集液中のハロゲンイオン濃度(Cl、Br、F、I)をイオンクロマトグラフィー(ICS−3000:ダイオネクス社製、カラム:IonPac AG17−C、AS17−C)で測定し、含有濃度(ppm)に換算した。このときハロゲンイオン濃度(Cl、Br、F、I)の検出下限値は50ppmであった。
(3)貯蔵弾性率(G´)
粘着層5の貯蔵弾性率(G´)は、制御された温度下にある対象物に、外部から引張り、曲げ、ねじり等の周期的な変形(歪み)を与え、生じた応答(応力)を、動的粘弾性測定装置を用いて観測することによって測定される。本実施の形態においては、粘着層5の凹凸埋め込み性を評価する方法として、粘着層5を2枚の平行円盤で挟み、該円盤を回転させ、周期的な変形を与える方法を用いた。
難燃性粘着シート1(実施例1〜20及び比較例1〜10)の離型フィルム4及び離型フィルム6を両方とも剥離した粘着層5単体について、粘弾性測定装置(日本シーベルヘグナー社製、品番:MCR301)を使用し、25℃、1Hzにおける貯蔵弾性率(G´)を測定した。

Figure 0005525198
Figure 0005525198
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<性能評価>
作成された難燃性粘着シート1について、(1)難燃性、(2)金属腐食性、(3)粘着性、(4)透明性、(5)耐久性、(6)凹凸埋め込み性、(7)加工性、及び(8)異物混入の評価を行った。評価方法の詳細について、以下に示す。
(1)難燃性
得られた難燃性粘着シート1(実施例1〜22及び比較例1〜10)を、縦150mm×横50mmに切った後、離型フィルム6を剥離してステンレス製金属網(200メッシュ)に貼り合せた。次いで離型フィルム4を剥がし、露になった粘着層5に対して鉛直方向から10秒間接火した。着火しないものを「◎」、着火源を離せば消えるものを「○」、着火源を離しても燃え続けるものを「×」と評価した。
(2)金属腐食性
得られた難燃性粘着シート1の離型フィルム6を剥離し、基材フィルム(A4300(東洋紡績製))に貼り合わせた。50mm×50mmに切り、離型フィルム4を剥離して銅箔に貼り付けた。この試料を、恒温恒湿層(PL−3KP:エスペック製)を用いて60℃95%RHの雰囲気に500時間放置し、銅箔の変化を目視で評価した。銅箔に変色が見られないものを「◎」、銅箔に若干の変色が見られるものを「○」、銅箔に著しい変色が見られるものを「×」と評価した。
(3)粘着性
得られた難燃性粘着シート1の離型フィルム6を剥離し、基材フィルム(A4300(東洋紡績製))に貼り合わせた。この試料を25mm幅×長さ150mmに切断し、離型フィルム4を剥がしてからガラス板に貼り合せて試験片を作製した。該試験片について、JIS Z0237に準じて、24時間後にロードセル式引張試験機(オートグラフAGS−500NG:島津製作所)にて180度方向に300mm/minの速度で基材フィルムをガラス板から引き剥がし、その剥離強度の平均値を測定した。なお、一般的にディスプレイ用途で使用される粘着強度としては、10N/25mmを超えれば粘着性に優れ、5N/25mm以上10N/25mm未満であれば粘着性が良好であり、3N/25mm以上5N/25mm未満であれば粘着性が低いものの実使用可能であり、3N/25mm未満であれば粘着性に劣り使用できない。粘着強度が3N/25mm以上5N/25mm未満である場合を「○」、5N/25mm以上である場合を「◎」と評価した。
(4)透明性
得られた難燃性粘着シート1の離型フィルム6を剥離し、基材フィルム(A4300(東洋紡績製))に貼り合わせた。次いで離型フィルム4を剥離し、厚さ1mmのガラス板に貼り合わせた。この状態で、紫外可視分光光度計(UV―3150:島津製作所製)によって波長380nm〜780nmの範囲の全光線透過率と散乱光線透過率を測定した。「全光線透過率」とは、難燃性粘着シート1に入射した光の内、透過する光の割合を表す。すなわち、全光線透過率が高いほど多くの光が透過するため、明るく見えるということになる。「散乱光線透過率」とは、難燃性粘着シート1に入射した光の内、屈折して透過する光の割合を表す。ヘイズ値は下記式[1]により算出される。
ヘイズ値=(散乱光線透過率/全光線透過率)×100(%) [1]
なお、一般的にディスプレイ用途で使用される透明性としては、全光線透過率90%以上かつヘイズ1%以下のものであれば透明性に優れ、全光線透過率85%以上若しくはヘイズ3%以下のものであれば透明性が良好であり、全光線透過率85%未満かつヘイズ3%超のものであれば透明性に劣り使用できない。全光線透過率が90%以上であり、且つヘイズが1%以下である場合を「◎」、全光線透過率が85%以上90未満であるか、又はヘイズが1%超3%以下である場合を「○」、全光線透過率が85%未満であるか、又はヘイズが3%超である場合を「×」と評価した。
(5)耐久性
上記透明性試験で調整した試料について、恒温恒湿層(PL−3KP:エスペック製)を用いて60℃95%RHの雰囲気に500時間放置し、外観の変化を目視で評価した。浮き剥がれ、粘着層の変色、難燃剤の析出による部分的な透明性の低下など外観の変化がないものを「◎」、外観の変化が小さく実使用上問題がないものを「○」、外観の変化が大きく使用できないものを「×」と評価した。
(6)凹凸埋め込み
得られた難燃性粘着シート1の離型フィルム6を剥離し、基材フィルム(A4300(東洋紡績製))に貼り合わせた。次いで離型フィルム4を剥離した後、電磁波遮蔽フィルム3のうち銅箔網目8が設けられている面に貼り合わせた。加圧処理(加圧処理装置:オートクレーブ(栗原製作所製)50℃、5気圧で30分)を行い、処理後の粘着層5と電磁波遮蔽フィルム3との間の気泡の有無を目視にて確認した。気泡がないものを「◎」、微小サイズの気泡はあるが実使用上問題がないものを「○」、気泡が発生し使用できないものを「×」と評価した。
(7)加工性
得られた難燃性粘着シート1を100mスリット加工した際に、スリット刃への粘着剤の付着なくスリット端面部分で粘着剤の欠落がないものを「◎」、スリット刃への粘着剤の付着もしくは、スリット端面部分で粘着剤の欠落がないものを「○」、スリット刃への粘着剤の付着もしくは、スリット端面部分で粘着剤の欠落があるものを「×」と評価した。
(8)異物混入
得られた難燃性粘着シート1(幅250mm×長さ10m)について、粘着剤要因による異物混入状況を目視にて確認した。幅250mm×長さ10m中の粘着剤要因により面積S=1.0mm以上の異物が5個/m以下のものを「◎」、幅250mm×長さ10m中の粘着剤要因により面積S=1.0mm以上の異物が10個/m以下のものを「○」、幅250mm×長さ10m中の粘着剤要因により面積S=1.0mm以上の異物が10個/m以上のものを「×」と評価した。
上述の評価結果を表4に示す。
Figure 0005525198
表4に示すように、難燃剤として、臭素系(比較例1)、塩素系(比較例2)、及び無機系(比較例3)難燃剤を用いた場合、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を用いた場合(実施例1)と比較して、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性が悪化(×)し、且つ異物混入が多くなる(×)ことがわかった。この結果から、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を使用することによって、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤の含有量を10重量部とした場合(実施例2)に、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性が良好となり、且つ異物混入が少なくなることがわかった(◎)。さらに、含有量を20重量部とした場合(実施例3)、10重量部とした場合と比較して難燃性が改善した(○→◎)。これに対し、含有量を7重量部とした場合(比較例5)、10重量部とした場合と比較して難燃性が悪化した(○→×)。また、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤の含有量を30重量部とした場合(実施例5)に、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、及び凹凸埋め込み性が良好となり、且つ異物混入が少なくなることがわかった(◎)。さらに、含有量を28重量部とした場合(実施例4)、30重量部とした場合と比較して耐久性及び加工性が改善した(○→◎)。これに対し、含有量を35重量部とした場合(比較例6)、30重量部とした場合と比較して、特に耐久性が悪化し(○→×)、また金属腐食性及び凹凸埋め込み性が悪化した(◎→○)。この結果から、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤の含有量を10〜30重量部、特に好ましくは20〜28重量部とすることによって、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
ハロゲンを含むリン酸エステル系難燃剤を用いた場合(比較例4)、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を用いた場合(実施例1)と比較して、粘着性、透明性、耐久性、及び凹凸埋め込み性が悪化し(×)、且つ異物混入が多くなる(×)ことがわかった。この結果から、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を使用することによって、粘着性、透明性、耐久性、及び凹凸埋め込み性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
縮合型の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を用いた場合(実施例1)、非縮合型の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を用いた場合(実施例22)と比較して、粘着性及び耐久性が改善することがわかった(○→◎)。この結果から、縮合型の非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を使用することによって、粘着性及び耐久性のより優れた難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤として、ビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを用いた場合(実施例1)や、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェートを用いた場合(実施例21)に、良好な難燃性(◎)を示した。また、ビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートを使用した場合、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェートを使用した場合と比較して耐久性が改善した(○→◎)。このことから、非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤として、ビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートやレゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェートを使用可能であり、特にビスフェノールAビス(ジフェニール)ホスフェートがより好ましいことがわかった。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤(比較例7)、及びジブチル化ヒドロキシトルエン(比較例8)を用いた場合、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤を用いた場合(実施例1)と比較して、金属腐食性が悪化した(×)。この結果から、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤を使用することによって、金属腐食性に優れた難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。また、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としてベンゾトリアゾールを用いた場合(実施例1)や、メチルベンゾトリアゾールを用いた場合(実施例19)に、良好な金属腐食性(◎)を示した。さらに、ベンゾトリアゾールを用いた場合、メチルベンゾトリアゾールを用いた場合と比較して透明性が改善した(○→◎)。このことから、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としてベンゾトリアゾール又はメチルベンゾトリアゾールを使用可能であり、特にベンゾトリアゾールがより好ましいことがわかった。
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤の含有量を0.05重量部とした場合(実施例6)に、難燃性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性が良好となり(◎)、且つ異物混入が少なくなることがわかった(◎)。さらに、含有量を0.25重量部とした場合(実施例7)、0.05重量部とした場合と比較して、金属腐食性が改善した(○→◎)。これに対し、含有量を0.01重量部とした場合(比較例9)、0.05重量部とした場合と比較して、金属腐食性が悪化した(○→×)。また、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤の含有量を5.0重量部とした場合(実施例8)に、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、凹凸埋め込み性、及び加工性が良好となり(◎)、且つ異物混入が少なくなる(◎)ことがわかった。さらに、含有量を0.5重量部とした場合(実施例1)、5.0重量部とした場合と比較して耐久性が改善した(○→◎)。これに対し、含有量を10.0重量部とした場合(比較例10)、含有量を5.0重量部とした場合と比較して、特に透明性、及び凹凸段差埋め込み性が悪化し(◎→×)、耐久性が悪化した(○→×)。この結果から、ベンゾトリアゾール系酸化防止剤の含有量を0.05〜50重量部、特に好ましくは0.25〜0.5重量部とすることによって、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
架橋剤の含有量を0.10重量部とした場合(実施例10)、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、及び凹凸埋め込み性に優れ(◎)、且つ異物混入が少なくなる(◎)ことがわかった。さらに、含有量を0.50重量部とした場合(実施例11)、0.10重量部とした場合と比較して、加工性が改善した(○→◎)。これに対し、含有量を0.05重量部とした場合(実施例9)、0.10重量部とした場合と比較して、耐久性が悪化した(◎→○)。また、架橋剤の含有量を15.0重量部とした場合(実施例13)に、難燃性、金属腐食性、耐久性、及び加工性に優れることがわかった(◎)。さらに、含有量を5.00重量部とした場合(実施例12)、含有量を15重量部とした場合と比較して、粘着性、透明性、凹凸埋め込み性が改善し(○→◎)、異物混入が少なくなった(○→◎)。これに対し、含有量を20.0重量部とした場合(実施例14)、15.0重量部とした場合と比較して、ヘイズの値が悪化した(1.2→1.6)。この結果から、架橋剤の含有量を0.10〜15.0部、特に好ましくは0.50部〜5.00部とすることによって、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
粘着剤として、酸成分を含まない酸変性物(実施例1)の代わりに酸系粘着剤(実施例20)を使用した場合、金属腐食性が悪化することがわかった(◎→○)。この結果から、粘着剤として酸変性物を使用することによって、金属腐食性の優れた難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
粘着層5の厚みを10μmとした場合(実施例15)、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、及び加工性に優れ(◎)、且つ異物混入が少なくなる(◎)ことがわかった。さらに、厚みを15μmとした場合(実施例16)、耐久性、及び凹凸埋め込み性が改善した(○→◎)。また、粘着層5の厚みを200μmとした場合(実施例18)、難燃性、金属腐食性、粘着性、耐久性、及び凹凸埋め込み性に優れ(◎)、且つ異物混入が少なくなる(◎)ことがわかった。さらに、厚みを100μmとした場合(実施例17)、透明性及び加工性が改善した(○→◎)。この結果から、粘着層5の厚みを10〜200μm、特に好ましくは15〜100μmとすることによって、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性に優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1を作製できることがわかった。
表3に示すように、非ハロゲン系難燃剤を使用した実施例1〜22において、ハロゲンイオン濃度が50ppm以下となった。これに対し、臭素系難燃剤を使用した場合(比較例1)、塩素系難燃剤を使用した場合(比較例2)、及び、含ハロゲン系難燃剤を使用した場合(比較例4)に、ハロゲンイオン濃度が非常に大きくなった(比較例1:450000、比較例2:210000、比較例4:360000)。この結果から、ハロゲンを含有しない難燃剤を使用することによって、ハロゲンイオン濃度を50ppm以下に抑えることができることがわかった。
表3に示すように、実施例1〜22において、貯蔵弾性率(G´)が8.10×10(実施例10)〜3.90×10Pa(実施例13)の範囲内の値となった。更に、貯蔵弾性率(G´)が9.34×10(実施例11)〜1.81×10Pa(実施例12)となった場合、難燃性、金属腐食性、粘着性、透明性、耐久性、凹凸埋め込み性、及び加工性の全てに優れ、且つ異物混入の少ない難燃性粘着シート1となることがわかった。
1 難燃性粘着シート
5 粘着層

Claims (4)

  1. アクリル酸ブチルが55〜90重量%、アクリル酸メチルが5〜40重量%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが1〜10重量%からなる粘着剤を主成分とする粘着層を有する電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シートであって、前記粘着層は、前記粘着剤100重量部に対して、非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤を固形分換算で10〜30重量部含有し、且つベンゾトリアゾール系酸化防止剤を固形分換算で0.05〜5.0重量部含有し、前記粘着層のハロゲンイオン濃度が50ppm以下であることを特徴とする電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート。
  2. 前記非ハロゲンリン酸エステル系難燃剤が非ハロゲン縮合リン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート。
  3. 前記ベンゾトリアゾール系酸化防止剤がベンゾトリアゾールまたはメチルベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート。
  4. 前記粘着剤100重量部に対して架橋剤を固形分換算で0.1〜15重量部含有させ、前記粘着層の25℃における貯蔵弾性率が8.1×10〜3.9×10Paであり、前記粘着層の塗工厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波遮蔽フィルム用難燃性粘着シート。
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