以下、用語“ウェーハ”が引用されるが、一般的に、パターン化された個々の構造を特徴とするものとみなされ、“半導体ウェーハダイス”、“ウェーハダイス”、又は、“ウェーハチップ”として知られている。現在の半導体技術では、集積回路チップの製造のために、単一のウェーハを同一ダイに物理的に分割されており、各ダイが、例えば、メモリチップ又はマイクロプロセッサチップのような特定パターンを有する個別の集積回路チップになる。所与のダイから製造されたチップの種類は、本発明の方法又はシステムに関連しない。
以下、用語“視野”は、パルス式レーザによって照射され、さらに、FPAと結合する電気光学カメラシステムの検査レンズによって撮像された、一般的には、ウェーハの、そして特には、ウェーハダイの部分又はセグメントを指す。従って、単一ウェーハダイ全体が、それ故、複数ウェーハダイを特徴とする単一ウェーハ全体が、複数又は一続きの視野の逐次撮像によって検査される。その視野は、検査システムがウェーハ又はウェーハダイ上に作成する電気光学的撮像のフットプリントとみなすことができる。ウェーハが一方向に移動する間に作成された連続する視野を、視野の“ストリップ”と呼ぶ。ピクセルと呼ぶのは、電気光学的検査システムによって視野の画像を形成することに関して言うときである。基準寸法としては、1ウェーハ内の典型的な方形のウェーハダイにおける一般的サイズのオーダが、1センチメートル×1センチメートル、即ち、104ミクロン×104ミクロンである。
以下、“ウェーハ欠陥”の検出は、ウェーハダイの類似パターン又は視野の類似パターンの相互比較において不規則性又は差異の存在を検出することを指す。現在のウェーハ欠陥検出のための方法及びシステムは、通常、類似パターンを特徴とする多数の隣接ウェーハダイ又は隣接視野から得られた比較信号の分析に基づいている。ウェーハ製造中に生じた欠陥は、ランダムに存在すると想定される。それ故、欠陥検出は、統計学的アプローチを基礎に置いており、よって、隣接するウェーハダイ内の同じ場所にランダム欠陥が存在する確率は極めて低い。従って、欠陥検出は、普通、周知のダイ・ツー・ダイ比較法を使って、不規則性を識別することを基礎に置いている。所与の一検査システムの場合は、代表的に被検査パターンと呼ぶウェーハダイ又は視野のパターンを検査するようにプログラムされており、そこで、これを、基準パターンとして働く同じウェーハの第2ウェーハダイ又は第2視野の同一パターンと比較し、そのパターンにおいて、ウェーハ欠陥の存在を示す何らかの不規則性又は差異を見出すという方式である。
欠陥の存在を確認し、該欠陥を含むウェーハダイ又は視野を識別するために、先に指定された被検査パターンと第3ウェーハダイ又は第3視野の類似パターンの間で2回目の比較を行う。この2回目の比較では、第1ウェーハダイ又は第1視野を基準とみなし、第3ウェーハダイ又は第3視野を検査されるものとみなす。
半導体ウェーハの製造は、かなり複雑で、極めて費用がかかり、半導体ウェーハの線密画による集積回路パターンは、プロセス誘導欠陥、異物粒子及び装置誤動作に対してかなり敏感である。ウェーハ欠陥の存在に関連するコストは、開発段階から量産段階へと移行するとき、数倍にはね上がる。それ故、半導体工業は究極的に、初期生産段階においてウェーハ歩留まりを極めて迅速に引上げ、その後、量産中ずっと高い歩留まりを維持し、管理することができるかどうかにかかっている。
ウェーハ上の集積回路の臨界的寸法は小さくなり続け、0.1ミクロンに近づいている。それ故、最先端の半導体ウェーハは、現在検出されているより小さいサイズの欠陥に対して脆弱である。ウェーハ歩留まりを監視する現在の方法は、製造プロセスの中でウェーハを光学的に検査することによって、欠陥の有無を調べ、製造プロセスと製造されたウェーハの間で適当なパラメータプロセス制御によって、フィードバックループを確立するという手順である。より小さいサイズの欠陥を検出するためには、光学検出システムが、より小さいピクセルサイズを使ったウェーハ走査において、より高い解像度を持つ必要がある。より小さいピクセルサイズを使って所定のサイズのウェーハを走査することは、ウェーハ1個当たり検査時間の増大につながり、結果的にウェーハ検査スループットの低下に、延いては、検査されるウェーハの統計的サンプル数の減少に繋がることになる。逆に、現在の光学系のピクセルサイズを使って、ウェーハ検査スループットを上げようとすると、結果的に、ウェーハ欠陥検出の効率、即ち、解像度を下げることになる。
ウェーハの臨界的寸法が小さくなることに加えて、半導体工業は、製品サイズを8インチウェーハから12インチウェーハへと転換する過程にある。大きい方の12インチウェーハは、8インチウェーハと比べて2倍超の表面積を有し、それ故、所定の検査システムでは、12インチウェーハ1個当たり検査時間が8インチウェーハ1個当たり検査時間の2倍長くなると予測される。12インチウェーハの製造は、8インチウェーハの製造よりはるかに多くの費用がかかる。特に、12インチウェーハの原材料コストは、8インチウェーハのそれより高い。ウェーハサイズ転換の結果のひとつには、将来のウェーハ製造のコスト効果がある生産性は、究極的に、ウェーハ検査システムのスピードアップとスループット向上次第であるということである。
ウェーハの製造プロセス、製造装置及び製品の品質管理と品質保証のために、自動化ウェーハ検査システムが使用される。このようなシステムは、監視目的に使用され、製造プロセスに直接組み込まれていない。製造システム全体のどの主要コンポーネントにとっても、ウェーハ検査の方法とこれを実現させるシステムが、半導体ウェーハの製造コスト全体に関して高いコスト効果を有することが重大である。
従って、現在入手できるものより大きいサイズと、より小さい臨界的寸法を特徴とする半導体ウェーハにとっては、そのウェーハダイ欠陥の有無をより高いスループットで、かつ、コスト効果の高い方法で検査する必要がある。
自動化ウェーハ検査システムが導入されたのは、1980年代、電気光学技術、関連ソフトウェア搭載のコンピュータプラットフォーム及び画像処理技術の進歩によって、手動ウェーハ検査から自動ウェーハ検査への切替えが可能になったときである。しかしながら、これらのシステムの検査速度が、従ってまた、ウェーハスループットが技術的に限界に達し、ますます厳しくなった生産要求、即ち、ますます大きくなるサイズと、ますます小さくなる臨界的寸法のウェーハから集積回路チップを製造するという要求に応えられなくなった。現在のウェーハ検査システムでは、代表的に、連続照射を使用し、ウェーハを二次元で走査することによってウェーハセグメントの二次元画像を作成している。これは相対的に低速のプロセスで、結果として、製造プロセス中に収集されたオンライン検査データの品質が低く、被検査ウェーハの統計的サンプル数が相対的に少なくなり、延いては、ウェーハ製造上の問題点を検出するのに必要な時間が、相対的に長くなる。低速のオンライン欠陥検出システムでは、結果的に相当な量のウェーハスクラップが発生し、ウェーハ生産歩留まりが下がり、製造プロセスの各ステップを的確に踏んでいく所要時間が全体に長くなり、及び/又は、装置に起因するウェーハ欠陥が増えることになる。
現在のウェーハ欠陥検出のための方法及びシステムにある顕著な限界は、ウェーハ画像におけるピクセル位置の位置決めに関係がある。ウェーハ欠陥は、標的になった、又は、被検査ウェーハダイの画像のピクセル強度を基準ウェーハダイの画像のピクセル強度と比較して、その差を求める標準技術によって検出できるので、被検査ウェーハダイの画像のピクセル位置と基準ウェーハダイの画像のピクセル位置を記録する必要がある。並進ステージにおいて保持されたウェーハの移動中に典型的な機械的誤差が生じることから、ウェーハ検査カメラシステムの真下でのウェーハ速度は一定でない。その結果として、検出器フィールド内の画像ピクセル位置は、歪みが生じ、最初にプログラムされた通りでないかもしれない。そのため、最適な二次元並進ピクセルの位置決め修正が行われる。
Alumot他に付与された米国特許に係る特許文献1で教示された通りのレーザ・フライングスポットスキャナを使って、ウェーハを二次元で走査するか、Levy他に付与された米国特許に係る特許文献2で教示された通りの直線アレイの光検出器を使って、ウェーハを一次元で走査するか、どちらかの走査によって二次元画像を収集することと、ウェーハを連続的に照射することとの組み合わせを特徴としている従来技術によるウェーハ欠陥検出のための方法及びシステムは、全部のピクセル又は全部のピクセルラインについて位置決め修正を必要とする。これらの方法は、システム速度、即ち、検査スループットを制限し、多くの電子ハードウェアを必要とする。その上、一画像の全部のピクセルについて精確な修正手順というのは無いので、結果として、位置ずれが誤差として残る。この残った位置ずれが、システムの欠陥検出感度を著しく下げる。所与のどの視野においても、焦点面アセンブリの全ピクセルを同時に発生した1つの単位とみなすことのできるウェーハ検査の方法又はシステムにとっては、焦点面アセンブリの視野内において画像ピクセルの位置決めの必要が無い。
それ故、被検査視野と基準視野内の対応するゾーンとの間では、単一の二次元アライメント修正しか必要でなく、単一のアライメント修正だけで、焦点面アセンブリの視野全体にわたって正確な修正がなされることになる。このような手順であれば、結果的に残っている位置ずれが無視できることになり、欠陥検出感度の向上が可能となる。そこで、画像ピクセル位置の残余の位置ずれを最小にすることを含めて、ウェーハダイ欠陥をオンラインで電気光学的に検出する方法又はシステムが必要となる。
Levy他に付与された米国特許に係る特許文献2及び特許文献3の両方において、1つのウェーハ検査装置が開示されている。これらの特許で説明された装置は、フォトマスク上の隣接するダイ同士のパターンを比較すると同時にその差を検知することによって、フォトマスクの欠陥又はフォールトの位置を検知する。2種類の撮像チャネルを使って、各ダイの等価の視野を同時に撮像し、各々512ピクセルを含む2個のリニアダイオードアレイ光検出器によって画像を電子的にディジタル化する。検査下の対象物を一方向に移動させ、アレイエレメントを直交方向に電子的に走査することによって、各ダイの選択された視野の二次元画像を生成する。検出器の露光時間の間、フォトマスクを1ピクセル分より大きい距離移動させることはできず、さもないと、画像は不鮮明にされることになる。それ故、フォトマスクを走査し、検査する時間は極めて長い。フォトマスクは、二次元画像が生成される間ずっと連続的に移動させられるので、揺らぎや加速なしに移動することが必要である。この移動制限は、フォトマスクを保持し、移動させるために極めて堅実かつ精確な空気軸受けステージを必要とし、そのコストが高いのである。
さらに、Levy他のウェーハ検査装置は、フォトマスク上の2.5ミクロンの欠陥を95%の検出確率で検出することができる。0.1ミクロンに近づいている現在の半導体集積回路の臨界的寸法にとって、これは、検査用ピクセルが同等のサイズでなければならないことを意味する。検査速度はピクセルサイズの2乗に反比例して増大するので、Levy他の装置の速度は2桁分より大きく下がることになる。その上、所要の機械的精度を満たすことのできる移動ステージを実現させることは実際的でなくなる。
ウェーハ検査は、また、IBM科学者Byron E.Dom他による非特許文献1で説明されたような、二次元CCDマトリックス光検出器を使用するソリッドステートカメラをベースにした単一の撮像検出チャネルを使っても実現させられた。P300と名付けられたこのウェーハ検査システムは、メモリデバイス用半導体ウェーハにおけるような、各ダイ内にセルの反復パターンを有するパターン化されたウェーハを検査するためのものと説明されている。システムは、480×512のピクセルを有する視野の画像を捕獲する。画像処理アルゴリズムは、画像の中に既知の水平セル周期性Rを想定し、画像の中の各ピクセルを、どちらかの水平方向においてパターン反復周期Rの1つ分離れた2個のピクセルと比較することによって分析する。このように単一画像内の同様のセルを比較することをセル・ツー・セル比較と呼ぶ。テスト中のピクセルを周期的に相隣り合うピクセルと比較するのは、単一のピクセルとしか比較しなかった場合に存在したかも知れない曖昧さを解明するためである。このシステムは、テスト中の対象物の二次元画像を同時に捕獲できる反面、1つのウェーハ全体を検査する速度が極めて低い。
1つのウェーハ全体を撮像するために数百万の画像フィールドが必要とされ、また、システムは標準顕微鏡と併用されるような連続照射を使用するので、ウェーハは、画像のスメアーを避けるために、検査カメラのもとでフィールドからフィールドへと移動させ、画像露光の間停止させなければならない。別のフィールドに到達させるため、ウェーハを運ぶ機械的移動ステージは、そのウェーハを別のフィールドに到達させるために加速し、その後、新たな位置で停止させるために減速しなければならない。このような動作の各々が相対的に長い時間を要し、それ故、1つのウェーハの検査が、典型的に、多大の時間を要している。
以下では、本発明を、添付図面を参照して、実施例のみに則して説明する。
本発明は、好ましくは、ウェーハ欠陥の高速オンライン電気光学的検出のための方法及びシステムを包含する。
本発明によるウェーハ欠陥の高速オンライン電気光学的検出のための方法及びシステムは、ウェーハダイの高い解像度、高いピクセル密度、大きい視野の画像を収集するため、複数の二次元マトリックス光検出器のアレイから形成された焦点面に光学的に形成された光検出器表面を特徴とする新しい撮像システムを、反復パルス式レーザからの短い光パルスによるウェーハダイ照射を特徴とする照射システムとの同期化したユニークな組み合わせを導入している。レーザ光パルスの持続時間は、画像ピクセル滞留時間よりはるかに短い。ここで、ピクセルの滞留時間は、ウェーハ移動中にウェーハ上の1点が検出器ピクセルによって撮像される時間を指し、レーザ光パルスレートは、個別のマトリックス光検出器のフレーム速度と同期化している。
本発明の方法の好ましい操作ステップ、及び本発明のシステムのコンポーネントは、図面とこれに則した説明とを参照することにより、良く理解される。注意すべきは、ここに示した本発明の図面は、例示目的のためのものにすぎず、制限することを意図したものでない点である。
図面について説明すると、図1及び2は、ウェーハ欠陥の高速オンライン電気光学的検出のための方法の好ましい一実施態様を示すフロー図である。図1及び図2では、本発明の方法の、各々一般に適用し得る主要ステップは、番号が付され、枠で囲まれている。この方法の示された主要ステップを更に詳しく表すサブステップが、括弧入りの文字で示されている。図3〜12は、本発明に係るウェーハ欠陥の高速オンライン電気光学的検出のための方法を実現させるシステム及びシステムコンポーネントの好ましい実施態様を例示する概略図である。図1及び図2の方法に対応する図3乃至図12に示したシステムコンポーネントが、図1及び図2の説明の中で言及される。図3乃至図12のシステムコンポーネントの詳細でかつ特殊例を下記の説明の中で述べる。図1及び図2の下記説明の中に現れる用語及び参照記号は、図3乃至図12に示すものと一致している。
本方法のステップ1において、複数のウェーハダイ14を特徴とするパターン化された半導体ウェーハ12が、連続的に移動するXY並進ステージ16に置かれ、整合される。これは、ウェーハ欠陥の高速オンライン電気光学的検出のためのシステムの好ましい一実施例を説明する概略図である図3のシステムに示される。XY並進ステージ16は、ウェーハ12を光学撮像システム18の下において蛇行パターンで移動する。XY並進ステージ16の移動、従ってまた、ウェーハ12の移動は、中央制御システム20により制御/データリンク22を介してマルチコンポーネントカメラシステムの動作と同期化され、詳記するならば、ウェーハ12が、CCDマトリックス光検出器のフレーム時間である33ミリ秒の間に視野24の1つ分だけ移動し、照射システム26による露光の間に少しだけ、例えば、単一ピクセルの約10−2程度だけ移動するように同期化され、それにより、結果的に画像スメアー又は解像度の損失が生じなくなる。
ステップ2において、マルチコンポーネント電気光学カメラシステムが準備され、該カメラシステムは、(a)照射システム26、(b)光学撮像システム18、(c)自動集光システム7、(d)焦点面アセンブリ30、及び、(e)それぞれのシステム制御/データリンクを含み、中央制御システム20と通信している。
ステップ2のサブステップ(a)において、照射システム26が準備され、該システムは、反復パルス式レーザ32、レーザビームエキスパンダ34、レーザビーム光路36、及び、制御/データリンク38を含んでいる。この種の照射システムは、高輝度かつ高エネルギーの光パルスを極めて短い時間周期において繰返し発生させ、伝搬させるようにパルス式レーザ32を特徴づけることにより、大きい視野24の超高速撮像を可能にしている。
これは、高いスループットを有するウェーハ検査の方法全体に貢献する。視野の広い光学撮像システム18の設計要件を単純化するために、好ましくは、単色レーザ照射も使用され、なぜなら、そこには、光学的な修正又は調整を必要とする色収差が無いからである。照射システム26は、制御/データリンク38を介して中央制御システム20と通信する。
システム10において、パルス式レーザ32のパルスレート、即ち、毎秒パルス数を焦点面アセンブリ30における個々のマトリックス光検出器のアレイのフレーム速度と同期化する。レーザパルスによってウェーハダイ14の視野24の照射される時間がナノ秒単位と、マトリックス光検出器の一時ゲート式カメラシステム焦点面アセンブリ30におけるフレーム時間のミリ秒単位と比べて短いことから、ウェーハダイ14の視野24の照射は瞬時に行われることになる。極めて短い1個のレーザパルスにおいて、複数個、例えば、24個のマトリックス光検出器の焦点面アセンブリ30での比較的大きい数のピクセル、例えば、約4800万ピクセルが同時に照射され、ピクセル間の相対運動はほとんど無い。レーザ光パルスの持続時間は、画像ピクセル滞留時間よりはるかに短く、ここで、ピクセル滞留時間は、ウェーハ移動中にウェーハ上の1点が検出器ピクセルによって撮像される時間を指す。
好ましくは、反復パルス式レーザ32は、発光ダイオードによって光励起されるQスイッチ式Nd:YAGレーザであり、約10ナノ秒のパルス時間インターバルをもって、毎秒30パルスのパルスレートで、波長1.06ミクロンのパルス式単色光ビームを発生する。パルス式レーザ照射システム26の毎秒30パルスのパルスレートは、焦点面アセンブリ30上でのCCDマトリックス光検出器のアレイのフレーム速度と同期化される。レーザ32は、エキシママレーザであってもよい。
光学解像度は、照射波長の一次関数である。光学系の解像度は、照射波長の減少につれて増大する。それ故、光学システム18の解像度を、従ってまた、検査システム10の欠陥検出感度を高めるために、非線形光学特性を有し、少なくとも“第二調波”を発生させる1つ以上の結晶40を照射システム26のレーザビーム光路36内に置かれる。1つ以上の結晶40によって発生させられた第二調波、第三調波又は第四調波が、それぞれ波長0.53ミクロン、0.355ミクロン又は0.265ミクロンの照射をもたらし、それによって、ウェーハ検査システム10の解像度は、それぞれ2倍、3倍又は4倍に高められる。
ステップ2のサブステップ(b)において、集光レンズ42、ビームスプリッタ44、対物レンズ46、及び制御/データリンク49を含めて、光学撮像システム18が準備される。このシステムは、ウェーハダイ14の広い視野24を高い倍率、例えば、50倍の高解像度において超高速で同時に撮像するのに適している。自動集光システム28は、ウェーハ12上のウェーハダイ14全ての最適焦点を得るために光学撮像システム18の対物レンズ46の位置を自動的に調整し、設定する。光学撮像システム18は、制御/データリンク49を介して中央制御システム20と通信する。ウェーハ検査システム10の動作中に、集光レンズ42がレーザ光48を焦点面アセンブリ30の上に描き、ここで、レーザ光48は、ウェーハ12によって反射され、散乱させられ、拡散させられた光を意味する。この撮像プロセスについては、更に図10を参照して後に説明する。
ステップ2のサブステップ(c)において、センサ及び制御デバイス(図示されていない)を含めて、自動集光システム28が準備され、これにより、光学撮像システム18を介してウェーハ12、従ってまた、ウェーハダイ14の焦点が自動的に維持される。
ステップ2のサブステップ(d)において、多数の検出器集合体50(図6乃至図11)、焦点面アセンブリ電子デバイス54、及び制御/データリンク56、58及び90を含む焦点面アセンブリ30が準備され、これで、高キャパシティ、超高速かつ高解像度のウェーハダイ14の同期撮像を可能にする。ここで、各検出器集合体50は、複数の個別二次元マトリックス光検出器を特徴とするが、好ましくは、少なくとも2つの二次元CCDマトリックス光検出器52(図4及び図5)だけに制限されない。焦点面アセンブリ30の好ましい構造上及び構成上のコンポーネント及び特徴を、図4及び図5、図6乃至図9、図10及び図11に示し、これらの図は、それぞれ個々のCCDマトリックス光検出器52、検出器集合体50及び焦点面アセンブリ30の図式的な拡大図である。
それぞれ二次元CCDマトリックス光検出器52の図式的な平面図及び側面図である図4及び図5において、感光領域60が非感光領域62によって包囲され、2個のCCDマトリックス光検出器が横に並ぶ物理的な配置を防ぐ構成になっており、これで、好ましくは連続的な感光焦点面を作るが、これだけに制限されない。焦点面アセンブリ30(図3及び図10)は、複数の、例えば、6つの検出器集合体50(図6及び図7)を含み、ここで、各検出器集合体50が、例えば、合計24個の市販の、高解像度の白黒シリコン二次元マトリックス光検出器52の代わりに、複数の、例えば、4個の二次元マトリックス光検出器52を含み、ここで、各CCDマトリックス光検出器52が、毎秒30フレームを高精細度で提供することのできる極めて大きい数の、例えば、1940×1035(即ち、200万程度又は2メガ程度)の画像感知画素、即ち、ピクセルを有する。
6つの検出器集合体50を特徴とし、各検出器集合体が4個の個別CCDマトリックス光検出器52のアレイ64(図9)を特徴とする焦点面アセンブリ30は、24個の個別CCDマトリックス光検出器52全部を光学的に結合し、それで、倍率50倍の顕微鏡光学撮像システム18の相対的に大きい視野24を満たして、好ましくは、連続的な光検出器66の表面を焦点面に形成(図11)するが、これだけに制限はされない。この光学的構成により、単一のレーザパルスによるウェーハダイ14の照射が可能となり、また、合計約4800万(48メガ)のピクセルを有する24個の二次元CCDマトリックス光検出器のアレイ66による同時撮像が可能となる。CCDマトリックス光検出器のフレーム速度が毎秒30フレーム、1アレイが約48メガピクセルのとき、ウェーハダイ14の画像収集は毎秒約15億(1.5ギガ)ピクセルの速度で行われる。このような画像収集速度は、極めて高いシステムスループットに移行する。焦点面アセンブリ30は、制御/データリンク56及び58(図3)を介して、中央制御システム20と通信する。
図6及び図7は、検出器集合体50の拡大された図式的な側面図であり、例えば、2個のCCDマトリックス光検出器の各々52A、52Bの2セットの幾何学的構成を示している。好ましくは、各検出器集合体50は、各々、直角対角面と45度対角面を有する2個のガラスプリズム68及び70から構成される。プリズム68の対角面72は、高い反射度、好ましくは100%に近づく反射度のコーティングが施されたゾーンを有する。プリズム68及び70の各々に、少なくとも1個のCCDマトリックス光検出器が光学的に接合されている。プリズム68に接合された2個のCCDマトリックス光検出器52Aの例示的セットは、プリズム70に接合された2個のCCDマトリックス光検出器52Bの例示的セットと同一である。図7において、2個のCCDマトリックス光検出器52Aのセットは、プリズム68に真直ぐに縦列で接合された形で示してあり、2個のCCDマトリックス光検出器52Bのセットは、プリズム70に真直ぐに縦列で接合された形で示してあり、接合されたCCDマトリックス光検出器の正確な位置は、個別のCCDマトリックス光検出器52A及び52Bの感光領域60全部が、矢視Aから見たとき、視覚的に連続した真直ぐなストリップとして現れるように選択されている。
図8は、高反射度のコーティングのゾーンを含むガラスプリズム68の対角面72の図式的な拡大図である。図8は、図7の断面B−Bを示し、ここで、対角面72上のゾーン74が、高反射度のコーティングを施され、プリズム68に接合されたCCDマトリックス光検出器52Aの感光領域60と向き合うように表面72上に配置されている。ゾーン74と向き合って、矢視Aに沿って検出器集合体50に進入する光は、反射ゾーン74によって反射され、CCDマトリックス光検出器52Aに突き当たるように90度偏向される。ゾーン74と向き合わずに、矢視Aに沿って検出器集合体50に進入する光は、偏向されずにプリズム68及び70を通過し、CCDマトリックス光検出器52Bに突き当たる。
図9は、図6乃至図8に示した検出器集合体50の拡大された図式的な正面図であり、複数のCCDマトリックス光検出器52を特徴とする光検出器の光学的な連続表面の外見を示している。図9は、図7の矢視Aから見た図であり、4つの光検出器感光領域60を特徴とする連続表面64が光学的手段によって作成されることを明示している。表面64の範囲内で、反射ゾーン74と向き合う感光領域60が、プリズム68に接合されたCCDマトリックス光検出器52Aと関連付けられる。反射ゾーン74と向き合わない他の感光領域60は、プリズム70に接合されたCCDマトリックス光検出器52Bと関連付けられる。光検出器52Aと光検出器52Bは相異なる表面又は平面内にあり、感光領域60は連続していないが、検出器集合体50が光学的手段によって表面64を作成している。
図10は、ビームスプリッタプリズム76及び78、及び検出器集合体50を含む焦点面アセンブリ30の図式的な拡大図である。図10では、焦点面アセンブリ30が、6つの検出器集合体50、即ち、2つの符号付き50A、2つの符号付き50B、及び2つの符号付き50Cを含む。ウェーハ12から発せられ、反射され、散乱させられ、拡散させられた照射レーザ光を表す光48が、焦点面アセンブリ30の方向に向けられ、集光レンズ42によって集束される。光48は、ビームスプリッタガラスキューブ76を通過し、このキューブが、光48の約33%を90度で反射して撮像チャネル80を形成させ、光48の約67%が透過する。ビームスプリッタガラスキューブ76から出てくる透過光82は、第2ビームスプリッタキューブ78に達し、このキューブが、光82の約50%を90度で反射して撮像チャネル84を形成させ、光82の約50%が透過して撮像チャネル86を形成する。
このビームスプリッタキューブ76及び78の組み合わせの構成により、各々同等の光エネルギーを有し、各々、元の入力光ビーム48の光エネルギーの約33%ずつを有する3つの撮像チャネル80、86及び84が作成される。3つの撮像チャネル全部の光路においてガラスの量を同等にするために光キューブ88が撮像チャネル80に挿入されており、これで、3つのチャネル全部で同等の画質が形成できることになる。集光レンズ42の焦点には、3つの撮像チャネル80、86及び84の各々について、2セットの検出器集合体50が置かれている。1セットの2つの検出器集合体50Aが撮像チャネル80中に、1セットの2つの検出器集合体50Bが撮像チャネル86中に、そして、1セットの2つの検出器集合体50Cが撮像チャネル84中に置かれている。
図11は、相異なる幾何学表面に置かれた24個のCCDマトリックス光検出器52と6個の検出器集合体50を使って、光検出器の連続的な表面66を焦点面に光学的に形成することを見せる焦点面アセンブリ30を矢視Aから見た図式的な正面図である。
ステップ2の(e)において、再び図3を参照すると、制御/データリンク38、49、54、56、58、及び、中央制御システム20は、相異なるシステム及びシステムコンポーネントの間の電子的相互接続を特徴とし、これで、ウェーハ欠陥検出法の様々なステップの適切な自動化及び同期化を可能にしている。例えば、XY並進ステージ16の運動を介したウェーハ12の自動運動は、ウェーハ12が、照射システム26におけるパルス式レーザ32により発出された2個のパルスによる持続時間の間に視野24の1つ分の距離だけ移動するような直線速度で電子的に設定される。CCDマトリックス光検出器52全部を含む焦点面アセンブリ30の一時ゲート式開閉速度、即ち、フレーム速度は、照射システム26におけるパルス式レーザ32のパルスレートと同期化される。
ステップ3において、ステップ2のカメラシステムが調整され、集光され、中央制御システム20の信号を介して、ウェーハダイ14内の被検査視野24の上方位置に設定される。照射システム26におけるパルス式レーザ32のパルスレートは、焦点面アセンブリ30の検出器集合体50A、50B、50Cに含まれたCCDマトリックス光検出器52のフレーム速度と同期化される。このステップは、被検査視野24が焦点面アセンブリ30のCCDマトリックス光検出器52のフレーム1つ分の時間インターバルの間にカバーされるような速度で、ウェーハ12の運動を、従ってまた、被検査ウェーハダイ14の運動を可能にするために実行される。
ステップ4において、ステップ3での被検査ウェーハダイ14の被検査視野24の瞬間的照射は、中央制御システム20の信号によって、被検査ウェーハダイ14に向けて、カメラシステムのCCDマトリックス光検出器52の同期化されたパルスレートとフレーム時間より短い時間、例えば、10ナノ秒の間、レーザパルスを発生することによって達成される。10ナノ秒のレーザパルス1個の間に、24個のCCDマトリックス光検出器52を特徴とする焦点面アセンブリ30の約4800万ピクセルが同時に照射され、ピクセルの間に相互運動が無い。短いレーザパルスの間、効果的なことに、ウェーハ露光時間中にウェーハ移動が無い。なぜなら、レーザパルス持続時間が、ピクセル滞留時間、即ち、ウェーハ上の一点がウェーハ移動中に検出器ピクセルによって撮像される時間よりはるかに短いからであり、それ故、代表的に、ウェーハの連続照射を特徴とするウェーハ検査方法及びウェーハ検査システムにおける場合と同様、効果的なことに、画像のスメアーは無く、従って、解像度が下がることも無いのである。
ステップ5において、ステップ4で照射された被検査視野24は、中央制御システム20の信号を介して、検出器集合体50A、50B、50Cに光学的に結合させられた、24個の二次元CCDマトリックス光検出器52を特徴とする焦点面アセンブリ30の上に、光学撮像システム18によって撮像される。
ステップ6において、ウェーハダイ14の被検査視野24の、5800万ピクセルを特徴とするステップ5のディジタル画像(図示されていない)は、焦点面アセンブリ30を使って、中央制御システム20の信号により、一時ゲート式CCDマトリックス光検出器52が同期的に開動作され、収集される。ここで、焦点面アセンブリ30は、少なくとも2個の二次元マトリックス光検出器52の連続的な表面を光学的に形成するが、好ましくは、これだけに制限されない。アクティブ化された各CCDマトリックス光検出器52のフレーム時間インターバルの間に、ウェーハ12は、従ってまた、ウェーハダイ14は、XY並進ステージ16を介して視野1つ分だけ移動する。これは、レーザパルス時間インターバルに相対して大きいピクセル滞留時間に相当し、結果的に、ウェーハは、焦点面アセンブリ30のCCDマトリックス光検出器52のアレイ66(図11)に露光される間に少しだけ、例えば、単一ピクセルの約10−2程度だけ移動することになり、それにより、画像スメアー又は解像度の損失の事態は回避されることになる。サブステップ(a)において、収集されたディジタル画像データは、並列構成の画像処理チャネル90のセットを介して画像捕捉器92によって捕捉され、画像処理システム100の一部である画像メモリバッファ94にセーブされる(図3)。
ステップ7において、ステップ3からステップ6までが、同じ被検査ウェーハダイ14内における次の視野の画像を収集するために逐次反復され、それにより、最も近隣のウェーハダイの第1視野を含めた当該視野までの視野のストリップが形成され、これが基準として働くことになる。この自動化された逐次撮像プロセスは、図12に明瞭に描かれており、この図は、一度に1つの視野だけ撮像する形で複数の視野又は視野のストリップを撮像することによって、各ウェーハダイを逐次検査することを特徴とする画像収集プロセスの図式的な拡大図である。図12において、第1被検査ウェーハダイ6Aにおける第1視野24Aの画像収集に続いて、同じ第1被検査ウェーハダイ14Aにおける第2視野24Bの画像収集が行われる。ウェーハ12の蛇行運動と同期化された形で、連続する視野の画像収集が、第1被検査ウェーハダイ14A全体を通して順次進行し、第2被検査ウェーハダイ14Bにおける第1視野24Jについて画像が収集されるまで続く。このプロセスの結果、やがて、ウェーハ12全体が完全に撮像されるまで、撮像されたウェーハダイ14の連続的なストリップ110が形成されることになる。
ステップ8において、被検査ウェーハダイにおける各視野のディジタル画像データ、及び、基準として働き、最も近隣のウェーハダイの等価位置にある視野のディジタル画像データが、画像処理システムで処理される。図3を参照すると、画像処理システム100は、並列構成の画像処理チャネル90、これを介して画像を捕捉する画像捕捉器92、画像バッファ94、欠陥検出ユニット96、欠陥ファイル98、及び、制御/データリンク102を含む。24個の二次元CCDマトリックス光検出器52を特徴とする焦点面アセンブリ30によって収集された画像データは並列処理され、それにより、24個のCCDマトリックス光検出器52の各々が、焦点面アセンブリ30の他のCCDマトリックス光検出器52に並行して、24の個別の画像処理チャネル90を介して画像捕捉器92と個別に通信する。画像データの処理には、毎秒30フレーム分のCCD画像処理速度を有する48メガピクセルの単一シリアルチャネル、従って、毎秒1.5ギガピクセルの極めて高い処理速度を有する単一チャネルが使用される代わりに、毎秒30回の割合で約2メガピクセルの画像データを処理する24の個別の画像処理チャネル90が使用され、これで、毎秒60メガピクセルの適度な速度で処理が行われることになる。この構成では、毎秒1.5ギガピクセルの全体画像処理速度が、かなり低速の個別チャネルを使って達成でき、その個別チャネル自体、欠陥検査システム10において、市販ハードウェアを使って容易に実現できる。収集された画像データを並列処理するというこの特徴は、本発明のウェーハ検査方法の高スループットに大いに貢献する。画像処理システム100は、制御/データリンク102を介して中央制御システム20と通信する。
ステップ8は、被検査視野と基準視野の間の画像アライメントを実行するサブステップ(a)、潜在的なウェーハ欠陥の存在を識別するサブステップ(b)、比較データを欠陥ファイルにセーブするサブステップ(c)、及び、検査された第1ウェーハダイの第1視野の不要になった画像データを削除するサブステップ(d)を含んでいる。
ステップ8のサブステップ(a)において、被検査ウェーハダイにおいて潜在的なウェーハ欠陥の存在を識別する前に、各被検査視野と対応する基準視野の間で画像アライメントが実行される。XY並進ステージ16の運動中に僅かながら機械的誤差があるので、光学撮像カメラシステム18の下で、ウェーハ12の速度は一定でない。その結果として、CCDマトリックス光検出器の多重フィールドにおける画像ピクセル位置は、システム間同期化に従って最初にプログラムされた通りでない可能性がある。そのため、被検査視野と基準視野の間で二次元並進運動による画像アライメント修正が実行される。より複雑な回転位置決め修正が行われることもあるが、本発明の方法及びシステムの標準的実現にとっては、それを無視する。画像比較による欠陥検出の前に視野の画像アライメントを行うこのプロセスは、図12に、等価の視野のストリップ110が、代表例を挙げて図示されている。第1被検査ウェーハダイ14Aの第1視野24Aの画像ピクセル位置と、最も近隣のウェーハダイ14Bの同等位置にある第1視野24Jの画像ピクセル位置データを画像バッファ94から抽出し、画像アライメント修正にかける。このプロセスでは、最も近隣のウェーハダイ14Bの第1視野24Jが、第1検査ウェーハダイ14Aの等価の第1視野24Aにとって基準として働く。
連続的なウェーハ照射と、一次元走査か二次元走査かどちらかのウェーハ走査による二次元画像の収集との組み合わせを特徴とする、上に述べたような従来技術によるウェーハ欠陥検出の方法及びシステムは、全部のピクセル又は全部のピクセルラインについて位置決め修正を必要とする。これが全体システム速度、即ち、スループットを制限し、電子ハードウェアの要求を高め、全体システムコストを引上げる。その上、一画像のピクセル全てについて精確な修正手順が行われないので、結果として、位置ずれが残ることになる。この残余の位置ずれが、システムの欠陥検出感度を著しく下げている。対照的に、本発明の方法及びシステムの好ましい実施態様にいては、焦点面アセンブリの所与のどの視野においても焦点面アセンブリCCDマトリックス光検出器の全ピクセルが、単一のレーザパルスによって同時に発生させられた1つの単位とみなされる。それ故、焦点面アセンブリの視野内において画像ピクセルの位置決めの必要は無く、被検査視野内の小さい局部的ゾーンと基準視野内の等価ゾーンの間で単純なアライメント修正を行うことで、焦点面アセンブリの視野全体にわたって正確な修正が行われたことになる。それ故、本発明では、残余の位置ずれが無視でき、より高い欠陥検出感度が得られる。
ステップ8のサブステップ(b)において、画像アライメント修正に続いて、被検査ウェーハダイにおいて潜在的なウェーハ欠陥の存在の識別が行われ、これは、被検査ウェーハダイの第1視野から始まる各視野の画像のピクセル強度差を、最も近隣のウェーハダイの第1視野から始まる等価位置にある各視野の画像のピクセル強度と比較することによって行われる。この欠陥識別ステップでは、類似パターンを特徴とする隣接し合うウェーハダイの同一視野から収集された画像のピクセル強度の比較分析に基づいた欠陥検出の標準アルゴリズムが使用される。欠陥検出は、統計学的アプローチを基礎に置いており、これによると、隣接し合うウェーハダイの等価位置に欠陥が存在する確率は極めて低い。相異なる画像のピクセル強度に不規則性の存在を検出するための例示的な標準アルゴリズムは、3つのウェーハダイを比較することを基礎に置いている。ウェーハ検査システム全体は、代表的に被検査パターンと呼ばれるウェーハダイ又は視野におけるピクセル×ピクセルのパターンを検査するようにプログラムされており、次に、これを、同じウェーハの隣接するウェーハダイの想像上等価のパターンと比較され、ここで、基準として働いている。欠陥検出器が、現在の被検査ウェーハダイに存在する可能性のあるウェーハ欠陥の存在を示すような何らかのパターンの不規則性又は差異を検出する。テスト中のパターンは、これが単一のパターンとしか比較されなかった場合に存在したかも知れない曖昧さを解明するために、別の隣接ウェーハダイの等価位置にあるパターンとも比較される。2番目の比較では、シンメトリを維持するために、テスト中のパターンが基準として働く。
欠陥検出ユニット96(図3)によって実行されるこの画像比較プロセスは、図12に図示されている。第1被検査ウェーハダイ14Aの第1視野24Aの画像におけるピクセル強度が各々、隣接するウェーハダイ14Bの等価位置にある第1視野24Jの画像におけるピクセル強度と比較される。
サブステップ(c)において、所定の比較基準に従って、つまり、特定の差異又は不規則性の閾値レベルのように、それぞれ基準として働くウェーハダイ14A及び14Bの等価位置にある第1視野24A及び24Jにおける2つの対応するピクセルの強度の差異又は不規則性が、ウェーハ欠陥ファイル98にセーブされ、後に、欠陥の存在及び位置を確認又は否認する判定ステップ(ステップ10)で処理されることになる。
サブステップ(d)において、第1被検査ウェーハダイ14Aの第1視野24Aの不要になった画像データが画像バッファ94から削除される。第1被検査ウェーハダイ14Aと第2被検査ウェーハダイ14Bのそれぞれの、等価位置にある第1視野24Aと24Jの比較のデータがセーブされるので、第1被検査ウェーハダイ14Aの第1視野24Aの画像データは、ウェーハ12における連続するウェーハダイ14の画像処理のためにもはや必要でなくなる。
ステップ9において、ステップ7と8が、第2被検査ウェーハダイ14Bの視野について逐次反復され、これが、第3被検査ウェーハダイ14Cの第1視野24Nを含めて当該視野の画像を処理するところまで続く。ステップ7とステップ8は並行して行われる。ステップ7における画像収集がストリップ110の各視野について行われる間に、ステップ8に従って、ストリップ110における先行する各視野についての画像処理と画像比較が行われるのである。
ステップ10は、欠陥検出ユニット96によって実行される判定と確認のステップであり、ステップ8に従って最初に処理されたウェーハダイ14Bの視野24Jを始発として、各視野においてウェーハ欠陥の検出があるか否かを判定し、確認していく。第1ウェーハダイ14Aと第2ウェーハダイ14Bのそれぞれの、等価位置にある第1視野24Aと24Jの間に差異又は不規則性が存在すると、続いて、第2ウェーハダイ14Bと第3ウェーハダイ14Cのそれぞれの、等価位置にある第1視野24Jと24Nの間で比較がなされ、その上で、ウェーハダイ14Bの視野24Jにおける欠陥の存在が確認又は否認されることになる。
ステップ10のサブステップ(a)において、確認されたウェーハ欠陥の情報が、その確認されたウェーハ欠陥の位置データを含んでおり、後にウェーハ製造プロセスのフィードバック制御に使用できるよう、欠陥ファイル98に適切にセーブされる。
ステップ11において、ステップ7からステップ10までが、同じウェーハ内の視野ストリップ110における各視野の検査のために逐次反復される。例えば、図12では、ウェーハダイ14Bの視野24Kが、ステップ7からステップ10までの画像処理にかけられる次の被検査視野になる。ウェーハダイ14Bの視野24Kを始発として、第2ウェーハダイ14Bの連続する視野の画像が、ウェーハダイ14A及び14Cにおいて、等価位置にある視野の画像と比較されていくことになる。先ず、ウェーハダイ14Bの視野24Kが、等価位置にあるウェーハダイ14Aの視野24Bと比較され、ここでは、視野24Bが基準となっており、今度は、この視野24Kが基準として働いて、ウェーハダイ14Cの視野24Pがウェーハダイ14Bの視野24Kと比較される。この場合、ストリップ110における連続する視野の各セットの各画像が、該ストリップにおいてそれに先行するウェーハダイの、等価位置にある視野のそれと一度比較され、次に、該ストリップにおいてその後に続くウェーハダイの、等価位置にある視野のそれと一度比較される。比較された各視野が、比較において一度は基準視野として働き、比較において一度は被検査視野として働く。ウェーハ12の蛇行運動と同期化された形で、連続するウェーハダイの連続する視野の画像の選択、照射、撮像、収集及び処理が、ウェーハ12全体を通してウェーハダイからウェーハダイへと順次進行し、ウェーハ12のウェーハダイ14全てが欠陥について検査されるまで続く。
以上、本発明は、特定の実施例に則して説明されたが、多くの代替、改良及び変更の態様が当業者に容易に理解し得ることは明白である。従って、本発明は、添えられた請求項の精神とその広い範囲とに属するような代替、改良及び変更の態様すべてを包含するものである。