JP5518600B2 - 熱線反射材 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れる熱線反射材に関する。
熱線反射材において、エネルギー反射効率を高めるために赤外反射帯域をより短波長に近づけると、赤外反射帯域の裾が可視光域にまで及んでしまい、いわゆる写り込み現象が起こってしまうという問題があった。
また、金、銀、銅等の金属ナノ粒子は可視光にプラズモンがあり、古くから「カシウスの紫」等のような発色材として知られていた。
例えば、特許文献1及び2には、ナノロッドと、780nm以下の波長域で選択的な吸収機能を有する顔料や染料とを含有する光吸収材形成用組成物が提案されており、顔料や染料を用いて可視光域における光吸収を補正することによって無彩色の光吸収材が得られることが記載されている。
これらの提案は、熱線反射材の写り込み現象の防止のために可視光吸収材料を加えたものではなく、ナノロッドについては開示されているが、金属平板粒子、及び該金属平板粒子が面配向した金属平板粒子面を有することは開示も示唆もされていない。また、一次元粒子であるナノロッドは、平面状に配置しても、十分な反射性能を得ることができず、各々の形状に合ったプラズモン吸収を示すのみである。
また、特許文献3には、平板状金属粒子を含有する組成物からなる赤外線吸収層を有する赤外線吸収材料が提案されている。しかし、この提案には、金属平板粒子を面配向させること、該金属平板粒子が面配向した金属平板粒子面と、780nm以下の波長域で選択的な吸収機能を有する色材とを組み合わせること、これにより、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れることについては開示も示唆もされていない。
したがって、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れる熱線反射材の速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開2004−238504号公報 特開2004−238503号公報 特開2009−144188号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れると同時にヘイズが低い熱線反射材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、基材と、該基材上に、金属平板粒子、及び波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材(吸収材料)を含有する熱線反射層とを有してなり、前記金属平板粒子の主平面が、前記基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向しているので、金属平板粒子からなる金属平板粒子面の安定性が向上し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れることを知見した。更に驚くべきことに、この時ヘイズが減少することが分かった。通常吸収材料によって散乱光が減少する場合には、同時に透過光も減少するためヘイズはほとんど良化しない。この理由は明らかでないが、金属平板粒子を用いた材料のヘイズの波長依存性が有るためではないかと推測している。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段はとしては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、該基材上に、金属平板粒子、及び波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材を含有する熱線反射層とを有してなり、
前記金属平板粒子の主平面が、前記基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向していることを特徴とする熱線反射材である。
<2> 金属平板粒子が、銀、金、銅、及びこれらの合金のいずれかを含有する前記<1>に記載の熱線反射材である。
<3> 金属平板粒子が、銀を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱線反射材である。
<4> 波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材が、シアン染料、シアン顔料、及び非面配向の金属平板粒子のいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱線反射材である。
<5> 非面配向の金属平板粒子と、面配向している金属平板粒子とが、同じ金属平板粒子からなる前記<4>に記載の熱線反射材である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れる熱線反射材を提供することを目的とする。
図1Aは、金属平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子を示す。 図1Bは、金属平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子を示す。 図2Aは、本発明の熱線反射材において、金属平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、最も理想的な存在状態を示す。 図2Bは、本発明の熱線反射材において、金属平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、基材の平面と金属平板粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図を示す。 図2Cは、本発明の熱線反射材において、金属平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、熱線反射層の熱線反射材の深さ方向における存在領域を示す図である。
本発明の熱線反射材は、基材と、該基材上に、金属平板粒子、及び波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材を含有する熱線反射層とを有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明においては、前記金属平板粒子の主平面が、前記基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向しており、その結果として基材表面に金属平板粒子面を形成している。
<基材>
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱線反射材の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的強度や熱に対する寸法安定性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
前記基材の表面には、その上の熱線反射層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
<熱線反射層>
前記熱線反射層は、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記熱線反射層は、金属平板粒子と、波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<金属平板粒子>>
一般に、ナノ粒子は、0次元(略球状)、1次元(略棒状)、2次元(略平板状)、3次元(バルク状)があり、平板状粒子とは、2次元の略平板状の粒子を意味する。プラズモン反射を考える上で、前記平板状粒子の中でも三角平板状、六角平板状、及びこれらの角が取れた略円盤状の平板状粒子が好ましい。
また、反射特性を得るためには平板状粒子であることが必要である。0次元粒子、1次元粒子、及び3次元粒子の場合には平面状に配置されても、十分な反射性能を得ることができず各々の形状に合ったプラズモン吸収を示すのみである。2次元粒子を平面状に配置した場合にのみ、本発明の特徴である反射性能を示すことができる。
前記金属平板粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図1A及び図1B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略六角形状、略円盤形状、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、略六角形状、略円盤形状であることが特に好ましい。
前記略円盤形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記略六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属平板粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば銀、金、銅、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、熱線(近赤外線)の反射率が高い点、及び可視光吸収が無いことから、銀が特に好ましい。
前記略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子の割合は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であることが好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上が更に好ましい。前記金属平板粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
−平均粒子径及び平均粒子径の粒度分布−
前記金属平板粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記平均粒子径が、70nm未満であると、金属平板粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、500nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、基材の透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、前記平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記熱線反射層中に平均粒子径が異なる2種以上の金属平板粒子を含有することができ、この場合、金属平板粒子の平均粒子径のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径を有していてもよい。
本発明の熱線反射材において、金属平板粒子の粒度分布における変動係数は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。前記変動係数が、30%を超えると、熱線反射材における熱線の反射波長域がブロードになってしまうことがある。
ここで、前記金属平板粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均値の算出に用いた200個の金属平板粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、前記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径)で割った値(%)である。
−アスペクト比−
前記金属平板粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光域長波長側から近赤外光領域での反射率が高くなる点から、2以上であることが好ましく、2〜80であることがより好ましく、4〜60が更に好ましい。前記アスペクト比が、2未満であると、反射率が小さくなったり、ヘイズが大きくなってしまうことがある。
前記アスペクト比は、金属平板粒子の平均粒子径(L)を金属平板粒子の平均粒子厚み(d)で除算した値(L/d)を意味する。平均粒子厚みは、金属平板粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図1A及び図1Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に金属平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
−金属平板粒子の合成方法−
前記金属平板粒子の製造方法としては、略六角形状又は略円盤形状を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形又は三角形状の金属平板粒子を合成後、例えば硝酸、亜硫酸ナトリウム、Br、Cl等のハロゲンイオンなどの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、又は加熱によるエージング処理を行うことにより、六角形又は三角形状の金属平板粒子の角を鈍らせて、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を得てもよい。
前記金属平板粒子の合成方法としては、前記の他、予めフィルムやガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
本発明の熱線反射材において、金属平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
−高屈折率シェル層の形成−
前記金属平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよいし、前記熱線反射層の上下の一方、好ましくは両方に高屈折率材料層が含まれていることが好ましい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばTiO、BaTiO、ZnO、SnO、ZrO、NbOなどが挙げられる。
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の金属平板粒子の表面にTiO層を形成する方法であってもよい。
また、前記金属平板粒子に直接、高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り金属平板粒子を合成した後、適宜SiOやポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOが光触媒活性を有することから、金属平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて金属平板粒子にTiO層を形成した後、適宜SiO層を形成してもよい。
−各種添加物の添加−
本発明の金属平板粒子含有組成物において、金属平板粒子は、該金属平板粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が金属平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiOなどの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
前記金属平板粒子は、分散性付与を目的として、N元素、S元素、P元素を含む低分子量分散剤、例えば4級アンモニウム塩、アミン類、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
<<波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材>>
前記波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシアン染料、シアン顔料、非面配向の金属平板粒子、などが挙げられる。
なお、色材を含有する部材を光が通過する際に生じる拡散や吸収等により、金属平板粒子の熱線反射層での赤外光反射の効率を低下させ、遮熱性能を低下させる場合がある。そのような場合には、本発明の実施態様は、種々の形態をとり得るが、熱線反射層と比較して、より後に光が入射する部材中に添加することが好ましい。より具体的には、室内側に配置されるガラス板と、熱線反射層との間に配置される層中に含有するのが好ましい。或いは、室内側に配置されるガラス板に接着させられる中間膜や室内側に配置されるガラス板そのものに含有されることも好ましい。
前記色材としては、染料及び顔料のいずれも用いることができるが、波長600nm〜800nmの波長領域に対する吸収特性を示す材料を用いると、遮熱性をより改善できる。また、着色を軽減できる点でも好ましい。600nm〜800nmの波長領域に対する吸収材料としては、シアン染料、シアン顔料が好ましい。
前記シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
前記シアン顔料として用いられる顔料としては、例えばフタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60など)、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料が好ましく、特にフタロシアニン顔料(好ましい例としては、C.I.Pigment Blue 15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6等の銅フタロシアニン、モノクロロ乃至低塩素化銅フタロシアニン、アルニウムフタロシアニンでは欧州特許第860475号明細書に記載の顔料、C.I.Pigment Blue 16である無金属フタロシアニン、中心金属がZn、Ni、Tiであるフタロシアニンなどが挙げられる。これらの中でも、C.I.Pigment Blue 15:3、同15:4、アルミニウムフタロシアニンが特に好ましい。
上記した通り、光吸収素材である色材を利用すると、可視光線波長領域の透過率スペクトルに偏りが生じ、透過光に色味が生じる場合がある。用途によっては、この特性を積極的に利用して、所望の色となるように色材を選択することができる。一方、用途によっては(例えば、車のフロントガラス等)では、着色が好ましくない場合もある。本発明者が検討したところ、吸収極大波長が780nm〜940nmである吸収材料とともに、他の吸収特性を示す吸収材料を併用することで、色味をニュートラルに調整し得ることがわかった。例えば、赤外光反射板の透過光の色味をニュートラルな方向に調整するためには、前記シアン染料及び/又は前記シアン顔料とともに、それ以外の色材(イエロー染料、イエロー顔料、マゼンタ染料、マゼンタ顔料等)を用いることが好ましい。これら色材は、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。
前記染料は、例えば特開2005−105175号公報等に記載されている。前記顔料は、例えば特開2009−67956号公報などに記載されている。
なお、前記金属平板粒子は、非面配向(ランダム配置)とすることにより、可視域から近赤外域に表面プラズモン共鳴由来の吸収を示すため、色材として用いることができる。 ここで、前記非面配向の金属平板粒子とは、金属平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向しておらず、ランダムに配向している金属平板粒子であることを意味する。
前記波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材である非面配向の金属平板粒子と、面配向している金属平板粒子とは、同じ金属であっても違っていてもよいが、同じ金属平板粒子からなることが、金属平板粒子間の酸化還元反応が起き難い点で好ましい。
前記波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材の前記熱線反射層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、化合物のεによっても異なるがピーク濃度として0.05〜1.0であることが好ましく、0.1〜0.7であることがより好ましい。
−その他の成分−
前記熱線反射層には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、溶媒、バインダー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記熱線反射層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に、金属平板粒子と、波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材とを含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等による塗布や、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
また、金属平板粒子の基材表面への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して、面配向させる方法であってもよい。具体的には、金属平板粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、基材の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で基材表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法であってもよい。また、金属平板粒子の表面が親水性である場合は、基材の表面をブロックコポリマーやμコンタクトスタンプ法などにより、親疎水の海島構造を形成しておき、親疎水性相互作用を利用して面配向性と金属平板粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
なお、面配向を促進するために、金属平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラー等の圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
前記熱線反射層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.005μm〜3μmが好ましく、0.007μm〜1μmがより好ましい。
−その他の部材−
本発明の熱線反射材においては、例えば下塗り層、保護層などを有していてもよく、更に必要に応じてその他の層を有していてもよい。
−面配向−
本発明の熱線反射材において、金属平板粒子は、その主平面が基材の表面に対して所定の範囲で面配向することを一態様とする。
前記金属平板粒子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射率を高める点で基材平面に対して略水平に偏在していることが好ましい。
前記面配向としては、金属平板粒子の主平面と、基材の表面とが、所定の範囲内で略平行になっている態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、面配向の角度は、0°〜±30°が好ましく、0°〜±20°がより好ましく、0°〜±5°が更に好ましい。
ここで、図2A〜図2Cは、本発明の熱線反射材において、金属平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図である。図2Aは、熱線反射層2中における金属平板粒子3の最も理想的な存在状態を示す。図2Bは、基材1の平面と金属平板粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図2Cは、熱線反射層2の熱線反射材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図2Bにおいて、基材1の表面と、金属平板粒子3の主平面又は主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、熱線反射材の断面を観察した際、図2Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図2Aは、基材1の表面と金属平板粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基材1の表面に対する金属平板粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図2Bにおけるθが±30°を超えると、熱線反射材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまったり、ヘイズが大きくなってしまう。
−面配向の評価−
前記基材の表面に対して金属平板粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における基材及び金属平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、熱線反射材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線反射材の断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
前記熱線反射材において、金属平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。また、熱線反射材において金属平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。
前記の通り作製した断面サンプル又は断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて基材の表面に対して金属平板粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、金属平板粒子の形状と傾角(図2Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
−金属平板粒子の存在範囲−
本発明の熱線反射材において、図2Cに示すように、熱線反射層2における金属平板粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、熱線反射層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記熱線反射層2が、熱線反射材の水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲外であると、熱線反射材の表面と裏面のそれぞれの空気界面での反射波の位相が強めあう効果が小さくなってしまい、可視光透過率及び熱線最大反射率が低下してしまうことがある。
前記熱線反射層における金属平板粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光域のヘイズ(散乱性)を低くする点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
前記熱線反射層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子などの高分子、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
前記媒質の屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
−金属平板粒子の面積率−
前記熱線反射材を上から見た時の基材の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば熱線反射材を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
−金属平板粒子の平均粒子間距離−
前記熱線反射層における水平方向に隣接する金属平板粒子の平均粒子間距離は、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から金属平板粒子の平均粒子径の1/10以上であることが好ましい。
前記金属平板粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記金属平板粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
ここで、前記金属平板粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の金属平板粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
−隣接する熱線反射層間の距離−
本発明の熱線反射材において、金属平板粒子は、図2A〜図2Cに示すように、金属平板粒子を含む熱線反射層の形態で配置される。
前記熱線反射層としては、図2A〜図2Cに示すように、単層で構成されてもよく、複数の熱線反射層で構成されてもよい。複数の熱線反射層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
−用途−
本発明の熱線反射材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乗り物用ガラスやフィルム、建材用ガラスやフィルム、農業用フィルムなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
−銀平板粒子の合成−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
次に、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mLにイオン交換水87.1mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、前記種溶液を42.4mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mLを10mL/minで攪拌しながら添加した。
次に、上記溶液を30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。前記白色沈殿物混合液を添加した後すぐに0.17MのNaOH水溶液72mLを添加した。このときpHが10を超えないように添加速度を調節しながらNaOH水溶液を添加した。これを300分間攪拌し、銀平板粒子分散液を得た。
得られた銀平板粒子分散液中には、銀六角平板粒子が生成していることを確認した。また、以下のようにして測定したところ、平均円相当径が230nm、平均厚みが16nmであり、アスペクト比が14.3の銀平板粒子が生成していることが分かった。
(製造例2)
−銀ナノロッド分散液の調製−
「ACSNANO Vol.3.No.1.p21−26」を参考にして、銀ナノロッド分散液を調製した。得られた銀ナノロッドの平均長軸長さは250nm、平均短軸長さは42nm、アスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)は6であった。
<<金属粒子の評価>>
−銀平板粒子の割合、平均粒子径、及び変動係数−
銀平板粒子の形状均一性は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、略六角形状又は略円盤形状の粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)を求めた。
また同様に、Aに該当する粒子100個の円相当径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均粒子径とし、平均粒子径の標準偏差を平均粒子径で割った変動係数(%)を求めた。
−平均粒子厚み−
得られた銀平板粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
−アスペクト比−
得られた銀平板粒子の平均粒子径及び平均粒子厚みから、平均粒子径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)を算出した。
*表1中、ロッドの平均粒子径は長軸の長さ、平均厚みは径の直径を示し、アスペクト比は両者の商を示す。
(実施例1)
<試料No.101>
−熱線反射材の作製−
製造例1の銀平板粒子分散液16mLに1NのNaOHを0.75mL添加し、イオン交換水24mL添加し、遠心分離器(コクサン社製、H−200N、アンブルローターBN)で5,000rpm、5分間遠心分離を行い、銀六角平板粒子を沈殿させた。遠心分離後の上澄み液を捨て、水を5mL添加し、沈殿した銀六角平板粒子を再分散させた。この分散液に2質量%の下記構造式で表される化合物W−1の水メタノール溶液を1.6mL、シアン染料(Duasynjet Cyan FRL-SF Liquid、クラリアント社製、吸収ピーク683nm)を0.1g添加し、塗布液を作製した。
この塗布液をワイヤー塗布バーNo.14を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、乾燥させて、表面に銀六角平板粒子が固定されたフィルムを得た。
得られたサンプルは、PETフィルム上に銀六角平板粒子が凝集なく固定されていた。以下のようにして測定した、銀六角平板粒子のPETフィルム表面に占める面積率は45%、粒子傾き角は2°であることが分かった。以上により、試料No.101の熱線反射材を作製した。
−面積率−
得られた熱線反射材について、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得たSEM画像を2値化し、熱線反射材を上から見た時の基材の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕を求めた。
−粒子傾き角−
エポキシ樹脂で熱線反射材を包埋処理した後、液体窒素で凍結した状態で、剃刀で割断し、熱線反射材の垂直方向断面試料を作製した。この垂直方向断面試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、100個の金属平板粒子について、基材の水平面に対する傾角を平均値として算出した。
<試料No.102>
−熱線反射材の作製−
試料No.101において、製造例1の銀平板粒子分散液の代わりに製造例2の銀ナノロッド分散液を用いた以外は、試料No.101と同様にして、試料No.102の熱線反射材を作製した。
<試料No.103>
−熱線反射材の作製−
試料No.101において、シアン染料を添加しない以外は、試料No.101と同様にして、試料No.103の熱線反射材を作製した。
<試料No.104>
試料No.103の上層に、特開2009−144188号公報の実施例24を参考にして作製したピーク波長750nmの平板状銀粒子分散液を銀量が200mg/mとなるように塗布し、試料No.104の熱線反射材を作製した。
得られた熱線反射材を、切片TEM観察すると、製造例1の配向した単分散な熱線反射層の上層にランダムに金属平板粒子が分布した層(金属平板粒子が面配向していない平板)を有していた。
<試料No.105>
試料No.101において、塗布液にGel(重量平均分子量30,000のアルカリ処理ゼラチン)を1.0g添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.105の熱線反射材を作製した。
<試料No.106>
試料No.101において、シアン染料の代わりに、10質量%の下記構造式で表される化合物(シアン顔料、吸収ピーク波長630nm)を16mL添加し、塗布液を調製した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.106を作製した。
−合わせガラスの作製−
作製した試料No.101〜No.106の熱線反射材を、ガラス/15ミルのPVB/熱線反射材/15ミルのPVB/ガラスの順に重ね、90℃で30分間圧着した後、150℃で圧力15atmの条件下、オートクレーブ処理を行い、試料No.101〜No.106の合わせガラスを作製した。
次に、得られた各熱線反射材及び合わせガラスについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表2に示す。
<熱線反射材の評価>
−可視光透過スペクトル及び熱線反射スペクトル−
得られた各熱線反射材の透過スペクトル及び反射スペクトルは、自動車用ガラスの評価規格であるJISに準じて評価した。
透過及び反射スペクトルは、紫外・可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて評価した。評価には、絶対反射率測定ユニット(ARV−474、日本分光株式会社製)を用い、入射光は45°偏光板を通し、無偏光と見なせる入射光とした。
−ヘイズの測定−
得られた各熱線反射材のヘイズは、ヘイズメーター(日本電色株式会社製、NDH−2000)を用いて測定した。
−写り込み性−
得られた各合わせガラスを暗室内に置き、各熱線反射材のPET面を外側にして、手前に45゜傾け、ガラスの下に置いた白紙のガラス反射による見え具合を、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
×:白紙が写った部分を見なくても気になる
○:白紙が写った部分を見れば分かる
表2の結果から、金属ナノロッドに対して金属平板粒子を使用した本発明の場合には1,000nmの透過率に対して1,000nmの反射率が高いため、より効率的に赤外線を反射することが分かった。一方、配向していない場合は反射率が低く、遮熱性能が十分でないことが分かった。更に、吸収材料を組み合わせた場合には写り込み現象が良化すると共に、驚くべきことにヘイズも良化することが分かった。
本発明の熱線反射材は、優れた熱線反射性能を有し、可視光反射率の低減及び写り込み現象の防止が図れるので、例えば自動車、バス等の乗り物用ガラス、建材用ガラスなどに好適に利用可能である。
1 基材
2 熱線反射層
3 金属平板粒子

Claims (4)

  1. 基材と、該基材上に、金属平板粒子、及び波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材を含有する熱線反射層とを有してなる熱線反射材であって
    前記金属平板粒子の主平面が、前記基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向し、前記熱線反射材の可視光反射率が12.2%以下であることを特徴とする熱線反射材。
  2. 金属平板粒子が、銀、金、銅、及びこれらの合金のいずれかを含有する請求項1に記載の熱線反射材。
  3. 金属平板粒子が、銀を含有する請求項1から2のいずれかに記載の熱線反射材。
  4. 波長600nm以上800nm以下に吸収ピークを持つ色材が、シアン染料、シアン顔料、及び非面配向の金属平板粒子のいずれかである請求項1から3のいずれかに記載の熱線反射材。
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