JP2013210573A - 熱線遮蔽材 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好である熱線遮蔽材の提供。
【解決手段】基材1と、該基材1の少なくとも片面に配置され、かつ、導電性物質を含む中間層6と、該中間層6の該基材1が配置されている側とは反対側の面上に該中間層6と接して配置され、かつ、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層2を有し、前記中間層6の前記基材1が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が1×1010〜5×1014Ω/sqであり、前記基材1および前記中間層6のみを積層した積層体のヘイズ値が前記基材1のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値であり、前記銀平板粒子含有層2の表面面内における、前記銀平板粒子含有層2が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満である熱線遮蔽材10。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光透過性、遮熱性に優れ、面状が良好である熱線遮蔽材に関する。本発明は、特に可視光透過性、遮熱性に優れ、塗布欠陥に起因する面状が良好である熱線遮蔽材に関する。
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして、自動車や建物の窓に対する熱線遮蔽性付与材料が開発されている。熱線遮蔽性(日射熱取得率)の観点からは、吸収した光の室内への再放射(吸収した日射エネルギーの約1/3量)がある熱線吸収型より、再放射がない熱線反射型が望ましく、様々な提案がなされている。
例えば、金属Ag薄膜は、その反射率の高さから、熱線反射材として一般に使用されているが、可視光や熱線だけでなく電波も反射してしまうため、可視光透過性及び電波透過性が低いことが問題となっていた。可視光透過性を上げるために、Ag及びZnO多層膜を利用したLow−Eガラス(例えば旭硝子株式会社製)は、広く建物に採用されているが、Low−Eガラスは、ガラス表面に金属Ag薄膜が形成されているため、電波透過性が低いという課題があった。
この課題を解決する方法として、特許文献1には、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層を有してなり、前記金属粒子が、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を60個数%以上有し、前記金属平板粒子の主平面が、前記金属粒子含有層の一方の表面に対して0°〜±30°の範囲で面配向していることを特徴とする熱線遮蔽材により、反射波長選択性及び反射帯域選択性が高く、可視光線透過性及び電波透過性に優れた熱線遮蔽材の提供ができることが記載されている。特許文献1の実施例には、基材上に、銀の六角平板粒子を含む塗布液を塗布し、乾燥して形成された熱線遮蔽材が開示されている。
特開2011−118347号公報 特開平11−203942号公報
本発明者が特許文献1に記載の熱線遮蔽材を製造したところ、確かに可視光透過性および遮熱性能に優れは優れるものの、銀平板粒子含有層を塗布により形成したときに塗布欠陥が生じ、塗工性に不満が残ることがあることがわかった。
一方、塗工性を改善する目的以外で帯電防止層を設けた例としては、特許文献2には、アンチモンをドープした酸化スズの微粒子を含有し、表面抵抗値が1×109Ω以下であり、ヘイズ値が透明樹脂基板のヘイズ値に0.8%を加えた値を超えないようにした制電層を設けたクリーンルームの間仕切りやディスプレー装置の前面板として有用な、透明度が高く且つヘーズ値の小さい透明帯電防止樹脂板が記載されている。しかしながら、特許文献2には銀平板粒子含有層を用いた熱線遮蔽材への応用は開示も示唆もない上、そもそもどのような塗布液の塗工性を改善できるかについても示唆がなかった。
以上のとおり、可視光透過率および遮熱性能が良好である銀平板粒子含有層を含む熱線遮蔽材について、その面状(特に塗布欠陥)を改善する方法は従来知られていなかったのが実情であった。
本発明が解決しようとする課題は、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好である熱線遮蔽材を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、銀平板粒子含有層を含む熱線遮蔽材の基材と銀平板粒子含有層の間に、特定の表面抵抗値かつ特定のヘイズ値を満たす中間層を配置することにより、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好である熱線遮蔽材を提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
前記課題を解決するための具体的手段である本発明は、以下のとおりである。
[1] 基材と、
該基材の少なくとも片面に配置され、かつ、導電性物質を含む中間層と、
該中間層の該基材が配置されている側とは反対側の面上に該中間層と接して配置され、かつ、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層を有し、
前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が1×1010〜5×1014Ω/sqであり、
前記基材および前記中間層のみを積層した積層体のヘイズ値が前記基材のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値であり、
前記銀平板粒子含有層の表面面内における、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満であることを特徴とする熱線遮蔽材。
[2] [1]に記載の熱線遮蔽材は、前記導電性物質が、イオン性界面活性剤または導電性無機微粒子であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の熱線遮蔽材は、前記銀平板粒子含有層の表面に密接して配置されたオーバーコート層を有することが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材は、前記銀平板粒子が、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を60個数%以上有することが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材は、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の主平面が、前記銀平板粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向していることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱線遮蔽材は、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の平均粒子径が70nm〜500nmであり、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が8〜40であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材は、少なくとも一方の最外層上にさらにハードコート層が配置されたことが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材は、少なくとも一方の最外層上にさらに粘着層が配置されたことが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材は、窓貼り用であることが好ましい。
本発明によると、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好である熱線遮蔽材を提供することができる。
図1は、本発明の熱線遮蔽材の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図5Aは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子を示す。 図5Bは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子を示す。 図6Aは、本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の存在状態の一例を示した概略断面図である。 図6Bは、本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層(基材の平面とも平行)と略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図を示す。 図6Cは、本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、銀平板粒子含有層の熱線遮蔽材の深さ方向における銀平板粒子の存在領域を示す図である。
以下、本発明の熱線遮蔽材について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[熱線遮蔽材]
本発明の熱線遮蔽材は、
基材と、
該基材の少なくとも片面に配置され、かつ、導電性物質を含む中間層と、
該中間層の該基材が配置されている側とは反対側の面上に該中間層と接して配置され、かつ、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層を有し、する少なくとも3層の構成であることを特徴とする。
さらに、前記中間層の「前記基材が配置されている側とは反対側の面」の表面抵抗が1×1010〜5×1014Ω/sqであり、
前記基材および前記中間層のみを積層した積層体のヘイズ値が前記基材のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値であり、前記銀平板粒子含有層の表面面内における、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満であることを特徴とする。
本発明の熱線遮蔽材は、基材と中間層と略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層とを有し、必要に応じて、オーバーコート層(保護層と呼ばれることもある)、粘着層、銀平板酸化物粒子含有層、ハードコート層、紫外線吸収層などのその他の層を有する態様も好ましい。
前記熱線遮蔽材10の層構成としては、図1に示すように、基材1上に、中間層6を介して、銀平板粒子含有層2を有する態様が挙げられる。また、図2に示すように、基材1と、該基材上の中間層6と、該中間層上の銀平板粒子含有層2と、該銀平板粒子含有層上のオーバーコート層4とを有する態様が挙げられる。また、図3に示すように、基材1と、該基材上の中間層6と、該中間層上の銀平板粒子含有層2と、該銀平板粒子含有層上のオーバーコート層4とを有し、さらに基材1の銀平板粒子含有層が形成されていない側にハードコート層5を有する態様が挙げられる。また、図4に示すように、基材1と、該基材上の中間層6と、該中間層上の銀平板粒子含有層2と、該銀平板粒子含有層上のオーバーコート層4と、オーバーコート層上の粘着層7を有し、さらに基材1の銀平板粒子含有層が形成されていない側にハードコート層5を有する態様が挙げられる。
また、これらの層のいずれかに紫外線吸収剤を添加して紫外線吸収機能を付与した機能層とする態様や、これらの層とは別の不図示の紫外線吸収層を有する態様も好適に挙げられる。
本発明の熱線遮蔽材では、図1〜4に示したような中間層6を設けることにより、銀平板粒子含有層2の面状の問題を解決することができる。この効果は、特に、銀平板粒子含有層2を塗布により設けるとき、顕著である。
1.基材
前記基材としては、光学的に透明な基材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱線遮蔽材の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
この基材フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、日射遮蔽フィルムの使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であり、12μm〜300μmが好ましく、16μm〜125μmがより好ましい。
なお、前記基材がこれらの好ましい形状および厚みを満たすポリエチレンテレフタレートフィルムである場合の基材のヘイズは、例えば0.9%程度となる。
2.中間層
本発明の熱線遮蔽材は、基材の少なくとも片面に配置され、かつ、導電性物質を含む中間層を有し、前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が1×1010〜5×1014Ω/sqであり、前記基材および前記中間層のみを積層した積層体のヘイズ値が前記基材のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値である。
(中間層の特性)
前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗は、1×1010〜5×1014Ω/sqであり、1×1011〜5×1014Ω/sqであることが好ましく、1×1011〜5×1013Ω/sqであることがより好ましい。前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が上記の下限値以上であることが、得られる熱線遮蔽材の可視光透過率を高める観点、および、高濃度の導電性物質の添加に伴う銀平板粒子の配向の悪化を抑制して得られる熱線遮蔽材の遮熱性能を高める観点から好ましい。前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が上記の上限値以下であることが、十分に銀平板粒子含有層の塗工性を高め、銀平板粒子含有層の面状を良好にする観点から好ましい。
前記基材および前記中間層のみを積層した積層体のヘイズ値は、前記基材のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値であり、前記基材のヘイズ値に0.4%を加えた値を超えない値であることが好ましく、0.3%を加えた値を超えない値であることがより好ましく、0.2%を加えた値を超えない値であることが特に好ましい。
前記中間層の厚みとしては、50〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましく、50〜250nmが特に好ましい。
(導電性物質)
本発明の熱線遮蔽材は、導電性物質を含み、該導電性物質としては特に制限はないが、例えば、イオン性界面活性剤、導電性無機微粒子、などを挙げることができる。
本発明の熱線遮蔽材は、前記導電性物質が、イオン性界面活性剤または導電性無機微粒子であることが好ましい。
−イオン性界面活性剤−
前記イオン性界面活性剤としては、特に指定は無いが、アニオン性の脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、カチオン性のアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩を挙げることができ、塗布液濡れ性の観点からアニオン性の界面活性剤であることが好ましい。
前記中間層に含まれるイオン性界面活性剤の量は、中間層の全体の質量に対して、0.5〜3質量%であることが好ましく、0.5〜2質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。イオン性界面活性剤の量が上記上限値以下であることが、塗布液泡立ち弊害の観点から好ましい。イオン性界面活性剤の量が上記下限値以上であることが、塗布液濡れ性、導電性付与の観点から好ましい。
−導電性無機微粒子−
前記導電性無機微粒子としては、安価で透明性の高い金属酸化物粒子であることが好ましい。
前記金属酸化物粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と略記する。)、錫ドープ酸化アンチモン(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、ガラスセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、熱線吸収能力に優れ、銀平板粒子と組み合わせることにより幅広い熱線吸収能を有する熱線遮蔽材が製造できる点で、ITO、ATO、酸化錫がより好ましく、酸化錫がより好ましい。
前記導電性無機微粒子の一次粒子の体積平均粒径としては、可視光透過率を低下させないため、0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下がより好ましい。この範囲以下にすることで、微粒子の大きさが可視光の波長よりも充分小さいために、可視光の散乱が少なくなり、透明性が確保しやすい。
前記導電性無機微粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、針状、板状などが挙げられる。
なお、導電性無機微粒子の量が上限値40%以下であることが、中間層のヘイズ向上を抑えたうえで表面抵抗を上記下範囲にしやすい観点から好ましい。
(その他の成分)
前記中間層に含まれるその他の成分としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中間層のバインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
また、特開平11−203942号公報に記載のように、架橋構造を有したハードコート材料をマトリックスとしてもよい。
これらの中でも、前記バインダーとしては、ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
3.銀平板粒子含有層
前記銀平板粒子含有層は、前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面上に前記中間層と接して配置され、かつ、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層を有し、前記銀平板粒子含有層の表面面内における、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満であれれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記銀平板粒子含有層の表面面内における、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満である部分の頻度については特に制限はないが、例えば、300m2あたりにおいて前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満である部分が0箇所であることが好ましく、900m2あたりにおいて前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満である部分が0箇所であることがより好ましい。
−3−1.銀平板粒子−
前記銀平板粒子としては、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を60個数%以上有し、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の主平面が、前記銀平板粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記銀平板粒子含有層の厚みをdとしたとき、前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上が、前記銀平板粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在することが好ましく、d/3の範囲に存在することがより好ましい。
前記銀平板粒子含有層において、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の存在形態としては、銀平板粒子含有層の一方の表面(本発明の熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向している。
前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子は、前記銀平板粒子含有層の厚みをdとしたとき、前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上が、前記銀平板粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在することが好ましく、d/3の範囲に存在することがより好ましい。
なお、前記銀平板粒子含有層の一方の表面は、フラットな平面であることが好ましい。本発明の熱線遮蔽材の前記銀平板粒子含有層が仮支持体としての基材を有する場合は、基材の表面とともに略水平面であることが好ましい。ここで、前記熱線遮蔽材は、前記仮支持体を有していてもよく、有していなくてもよい。
前記銀平板粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、500nm以下の平均粒子径を有するものであってもよい。
−3−2.銀平板粒子−
前記銀平板粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図5A及び図5B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略六角形状、略円盤形状、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、略六角形状以上の多角形状〜略円盤形状であることがより好ましく、略六角形状または略円盤形状であることが特に好ましい。
本明細書中、略円盤形状とは、後述する銀平板粒子の平均円相当径の10%以下の凹凸を無視したときに、平均円相当径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の銀平板粒子当たり0個である形状のことを言う。前記略円盤形状の銀平板粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本明細書中、略六角形状とは、後述する銀平板粒子の平均円相当径の10%以下の凹凸を無視したときに、平均円相当径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の銀平板粒子当たり6個である形状のことを言う。なお、その他の多角形についても同様である。前記略六角形状の銀平板粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記銀平板粒子の材料としては、特に制限はなく、前記銀平板粒子と同じものを目的に応じて適宜選択することができる。前記銀平板粒子は、少なくとも銀を含むことが好ましい。
前記銀平板粒子含有層に存在する銀平板粒子のうち、略六角形状乃至略円盤形状の銀平板粒子は、銀平板粒子の全個数に対して、60個数%以上であり、65個数%以上が好ましく、70個数%以上が更に好ましい。前記銀平板粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
−3−2−1.面配向−
本発明の熱線遮蔽材において、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子は、その主平面が銀平板粒子含有層の一方の表面(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して、平均0°〜±30°の範囲で面配向しており、平均0°〜±20°の範囲で面配向していることが好ましく、平均0°〜±5°の範囲で面配向していることが特に好ましい。
前記銀平板粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、図6Bおよび図6Cは、本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の存在状態を示した概略断面図である。図6Bは、基材1の平面と銀平板粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図6Cは、銀平板粒子含有層2の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図6Bにおいて、基材1の表面と、銀平板粒子3の主平面または主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、熱線遮蔽材の断面を観察した際、図6Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、基材1の表面と銀平板粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態が好ましい。基材1の表面に対する銀平板粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図6Bにおけるθが±30°を超えると、熱線遮蔽材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまう。
前記銀平板粒子含有層の一方の表面(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における銀平板粒子含有層(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材)及び銀平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、熱線遮蔽材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線遮蔽材の断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
前記熱線遮蔽材において、銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、前記断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。また、熱線遮蔽材において銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。
前記の通り作製した断面サンプルまたは断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて銀平板粒子含有層の一方の表面(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、銀平板粒子の形状と傾角(図6Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
−3−2−2.平均粒子径(平均円相当径)及び平均粒子径(平均円相当径)の粒度分布−
前記銀平板粒子の平均粒子径(平均円相当径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記平均粒子径(平均円相当径)が、70nm未満であると、銀平板粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、500nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、基材の透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、前記平均粒子径(平均円相当径)とは、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記銀平板粒子含有層中に平均粒子径(平均円相当径)が異なる2種以上の銀平板粒子を含有することができ、この場合、銀平板粒子の平均粒子径(平均円相当径)のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径(平均円相当径)を有していてもよい。
本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子の粒度分布における変動係数としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記変動係数が、30%を超えると、熱線遮蔽材における熱線の反射波長域がブロードになってしまうことがある。
ここで、前記銀平板粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均値の算出に用いた200個の銀平板粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、前記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径(平均円相当径))で割った値(%)である。
−3−2−3.アスペクト比−
前記銀平板粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長780nm〜1,800nmの赤外光領域での反射率が高くなる点から、8〜40が好ましく、10〜35がより好ましい。前記アスペクト比が、8未満であると、反射波長が780nmより小さくなり、40を超えると、反射波長が1,800nmより長くなり、十分な熱線反射能が得られないことがある。
前記アスペクト比は、銀平板粒子の平均粒子径(平均円相当径)を銀平板粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。平均粒子厚みは、銀平板粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図5A及び図5Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に銀平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
なお、前記銀平板粒子の厚みは5〜20nmであることが好ましい。
−3−2−4.銀平板粒子の存在範囲−
本発明の熱線遮蔽材では、前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上が、前記銀平板粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在することが好ましく、d/3の範囲に存在することがより好ましく、前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の60個数%以上が前記銀平板粒子含有層の一方の表面に露出していることが更に好ましい。
ここで、前記銀平板粒子含有層中の銀平板粒子存在分布は、例えば、熱線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
前記銀平板粒子含有層における銀平板粒子を構成する銀平板粒子のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光透過率を付与する点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
−3−2−5.銀平板粒子含有層の媒質−
前記銀平板粒子含有層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。その中でも、本発明では、前記ポリマーの主ポリマーがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂であることが前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上を前記銀平板粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましく、ポリエステル樹脂であることが本発明の熱線遮蔽材のこすり耐性をより改善する観点から特に好ましい。
また、本明細書中、前記銀平板含有層に含まれる前記ポリマーの主ポリマーとは、前記銀平板含有層に含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことを言う。
前記媒質の屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
いかなる理論に拘泥するものでもなく、また、本発明の熱線遮蔽材は以下の製造方法に限定されるものではないが、前記銀平板粒子含有層を製造するときに特定のラテックスを添加することなどにより、銀平板粒子を前記銀平板粒子含有層の一方の表面に偏析させることができる。
本発明の熱線遮蔽材は、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の厚みをaとしたとき、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上が、厚み方向のa/10以上を前記ポリマーに覆われていることが好ましく、厚み方向のa/10〜10aを前記ポリマーに覆われていることがより好ましく、a/8〜4aを前記ポリマーに覆われていることが特に好ましい。このように前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子が前記銀平板粒子含有層に一定割合以上埋没していることにより、よりこすり耐性を高めることができる。すなわち、本発明の熱線遮蔽材は、図5Gの態様よりも、図5Fの態様の方が好ましい。
−3−2−6.銀平板粒子の面積率−
前記熱線遮蔽材を上から見た時の基材の面積A(銀平板粒子含有層に対して垂直方向から見たときの前記銀平板粒子含有層の全投影面積A)に対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば熱線遮蔽材基材を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
[1−2−6.銀平板粒子の平均粒子間距離]
前記銀平板粒子含有層における水平方向に隣接する銀平板粒子の平均粒子間距離としては、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から、銀平板粒子の平均粒子径の1/10以上が好ましい。
前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記銀平板粒子の平均粒子径の1/10未満となると、可視光線透過率が低下してしまう。また、10以上であると熱線反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、回折散乱によりモアレ縞が見えることがある。
ここで、前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の銀平板粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
−3−2−7.銀平板粒子含有層の層構成−
本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子は、図6B、図6Cに示すように、銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の形態で配置される。
前記銀平板粒子含有層としては、図6B、図6Cに示すように単層で構成されてもよく、複数の銀平板粒子含有層で構成されてもよい。複数の銀平板粒子含有層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
−3−2−8.銀平板粒子含有層の厚み−
前記銀平板粒子含有層の厚みは、10〜160nmであることが好ましく、20〜160nmであることがより好ましく、20〜100nmであることが特に好ましく、20〜80nmであることがより特に好ましい。
ここで、前記銀平板粒子含有層の各層の厚みは、例えば、熱線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
また、熱線遮蔽材の前記銀平板粒子含有層の上に、後述するオーバーコート層などの他の層を有する場合においても、他の層と前記銀平板粒子含有層の境界は同様の方法によって決定することができ、前記銀平板粒子含有層の厚みdを決定することができる。なお、前記銀平板粒子含有層に含まれるポリマーと同じ種類のポリマーを用いて、前記銀平板粒子含有層の上にコーティングをする場合は前記銀平板粒子含有層との境界を判別しにくいため、前記銀平板粒子含有層の上にカーボン蒸着を施した上でオーバーコート層をコーティングし、断面をSEM観察することにより両層間の界面を認識することができ、前記銀平板粒子含有層の厚みdを決定することができる。
−3−2−10.銀平板粒子の合成方法−
前記銀平板粒子の合成方法としては、略六角形状〜略円盤形状を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形乃至三角形状の銀平板粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形乃至三角形状の銀平板粒子の角を鈍らせて、略六角形状乃至略円盤形状の銀平板粒子を得てもよい。
前記銀平板粒子の合成方法としては、前記の他、予めフィルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に銀平板粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
−3−2−10−1.高屈折率シェル層の形成−
前記銀平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiOx、BaTiO3、ZnO、SnO2、ZrO2、NbOxなどが挙げられる。
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の銀平板粒子の表面にTiOx層を形成する方法であってもよい。
また、前記銀平板粒子に直接高屈折率銀平板酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り銀平板粒子を合成した後、適宜SiO2やポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記銀平板酸化物層を形成してもよい。TiOxを高屈折率銀平板酸化物層の材料として用いる場合には、TiOxが光触媒活性を有することから、銀平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて銀平板粒子にTiOx層を形成した後、適宜SiO2層を形成してもよい。
−3−2−10−2.各種添加物の添加−
本発明の熱線遮蔽材において、銀平板粒子は、該銀平板粒子を構成する銀などの銀平板の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が銀平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiO2などの銀平板酸化物膜で被覆されていてもよい。
前記銀平板粒子は、分散性付与を目的として、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等のN元素、S元素、及びP元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
4.オーバーコート層
本発明の熱線遮蔽材において、物質移動による銀平板粒子の酸化・硫化を防止し、耐擦傷性を付与するため、本発明の熱線遮蔽材は、前記銀平板粒子含有層の表面に密接して配置されたオーバーコート層を有することが好ましく、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子が露出している方の前記銀平板粒子含有層の表面に密接するオーバーコート層を有すことがより好ましい。また、前記銀平板粒子含有層と後述の粘着層との間にオーバーコート層を有することが好ましい。本発明の熱線遮蔽材は特に銀平板粒子が銀平板粒子含有層の表面に偏在する場合は、銀平板粒子の剥落による製造工程のコンタミ防止、別層塗布時の銀平板粒子配列乱れの防止、などのため、オーバーコート層を有することが好ましい。
前記オーバーコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、マット剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。また、前記紫外線吸収層において例示したバインダーを用いることができる。また、前記紫外線吸収層にオーバーコート層としての機能を付与してもよい。
前記オーバーコート層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましく、0.1〜10μmが特に好ましく、0.2〜5μmがより特に好ましい。
5.紫外線吸収層
前記紫外線吸収層は、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、粘着層であってもよく、また、前記粘着層と前記銀平板粒子含有層との間の層(例えば、前記基材、前記中間層など)であってもよい。いずれの場合も、前記紫外線吸収層は、前記銀平板粒子含有層に対して、太陽光が照射される側に配置されることが好ましい。
前記紫外線吸収層が、粘着層及び基材のいずれでもない層を形成する場合、前記紫外線吸収層は、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有してなり、更に必要に応じて、バインダーなどのその他の成分を含む。本発明の熱線遮蔽材は、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子が露出している方の前記銀平板粒子含有層の表面側に、紫外線吸収層を有することが好ましい。このとき、後述するオーバーコート層と紫外線吸収層は同一であっても、異なっていてもよい。具体的には、本発明の熱線遮蔽材は、前記オーバーコート層が前記紫外線吸収層と前記銀平板粒子含有層の間の層であること態様も好ましく、また、前記オーバーコート層が前記紫外線吸収層であることも好ましい。
−5−1.紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−5−2.バインダー−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光透明性や日射透明性が高い方が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。なお、バインダーが熱線を吸収すると、銀平板粒子による反射効果が弱まってしまうことから、熱線源と銀平板粒子との間に形成される紫外線吸収層としては、450nm〜1,500nmの領域に吸収を持たない材料を選択したり、該紫外線吸収層の厚みを薄くすることが好ましい。
前記紫外線吸収層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、紫外線の吸収が足りなくなることがあり、1,000μmを超えると、可視光の透過率が下がることがある。
前記紫外線吸収層の含有量としては、用いる紫外線吸収層によって異なり、一概に規定することができないが、本発明の熱線遮蔽材において所望の紫外線透過率を与える含有量を適宜選択することが好ましい。
前記紫外線透過率としては、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。前記紫外線透過率が、5%を超えると、太陽光の紫外線により前記銀平板粒子層の色味が変化することがある。
6−1.粘着層
本発明の熱線遮蔽材は、少なくとも一方の最外層上にさらに粘着層が配置されたことが好ましい。前記粘着層は、前記紫外線吸収機能を有する粘着層であってもよく、前記紫外線吸収剤を含まない粘着層であってもよい。
前記粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、前記粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
前記粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
7.ハードコート層
耐擦傷性を付加するために、本発明の熱線遮蔽材がハードコート性を有するハードコート層を含むことも好適であり、本発明の熱線遮蔽材は、少なくとも一方の最外層上にさらにハードコート層が配置されたことが好ましい。
前記ハードコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜その種類も形成方法も選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。前記ハードコート層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましい。前記ハードコート層上に更に反射防止層及び/又は防眩層を形成すると、耐擦傷性に加え、反射防止性及び/又は防眩性を有する熱線遮蔽材が得られ好適である。また、前記ハードコート層に前記金属酸化物粒子を含有してもよい。また、前記金属酸化物含有層の上にハードコート層を積層することが好ましい。
<熱線遮蔽材の製造方法>
本発明の熱線遮蔽材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布方法により、前記基材の表面に前記中間層を形成し、該中間層の上に前記銀平板粒子含有層を形成し、更に必要に応じてその他の層を形成する方法が挙げられる。
−中間層の形成方法−
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材の表面上に、前記導電性物質を含む分散液または溶液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
−銀平板粒子含有層の形成方法−
前記銀平板粒子含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記中間層の表面上に、前記銀平板粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。本発明の熱線遮蔽材を製造するとき、後述の実施例で用いた銀平板粒子含有層の組成とし、ラテックスを添加して前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の80個数%以上が、前記銀平板粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在するようにすることが好ましく、d/3の範囲に存在するようにすることがより好ましい。前記ラテックスの添加量に特に制限は無いが、例えば銀平板粒子に対して、1〜10000質量%添加することが好ましい。
なお、面配向を促進するために、銀平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
−その他の層の形成方法−
−−粘着層の形成方法−−
前記粘着層は、塗布により形成することが好ましい。例えば、前記基材、前記銀平板粒子含有層、前記紫外線吸収層などの下層の表面上に積層することができる。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
本発明の熱線遮蔽材フィルムを使って、既設窓ガラスの類に機能性付与する場合は、粘着剤を積層してガラスの室内側に貼り付ける。その際、反射層をなるべく太陽光側に向けた方が発熱を防ぐことになるので、銀ナノディスク粒子層の上に粘着剤層を積層し、その面から窓ガラスへ貼合するのが適切である。
銀平板粒子含有層表面への粘着剤層積層に当っては、当該表面に直接粘着剤入りの塗布液を塗工することもできるが、粘着剤に含まれる各種添加剤、可塑剤や、使用溶剤などが、場合によっては銀平板粒子含有層の配列を乱したり、銀平板粒子自身を変質させたりすることがある。そうした弊害を最小限に留めるためには、粘着剤を予め離型フィルム上に塗工及び乾燥させたフィルムを作製しておいて、当該フィルムの粘着剤面と、本発明の熱線遮蔽材の銀平板粒子含有層表面(前記オーバーコート層を有する場合はオーバーコート層表面)とをラミネートすることにより、ドライな状態のままの積層をすることが有効である。
<熱線遮蔽材の特性>
本発明の熱線遮蔽材の日射反射率としては、600nm〜2,000nmの範囲(好ましくは800nm〜1,800nm)で最大値を有することが、熱線反射率の効率を上げることができる点で好ましい。
本発明の熱線遮蔽材の可視光線透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。前記可視光線透過率が、60%未満であると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなることがある。
本発明の熱線遮蔽材の紫外線透過率としては、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。前記紫外線透過率が、5%を超えると、太陽光の紫外線により前記銀平板粒子層の色味が変化することがある。
本発明の熱線遮蔽材のヘイズは、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。前記ヘイズが20%を超えると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に外部が見にくくなるなど、安全上好ましくないことがある。
(貼合せ構造体)
本発明の貼合せ構造体は、本発明の熱線遮蔽材と、ガラス及びプラスチックのいずれかとを貼り合わせてなる。
前記貼合せ構造体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述のように製造した本発明の熱線遮蔽材を、自動車等の乗り物用ガラス乃至プラスチックや建材用ガラス乃至プラスチックに貼合せる方法などが挙げられる。
<熱線遮蔽材の使用態様>
本発明の熱線遮蔽材は、熱線(近赤外線)を選択的に反射乃至吸収するために使用される態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体、農業用フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体であることが好ましい。また、本発明の熱線遮蔽材は、窓貼り用であることが好ましい。
なお、本発明において、熱線(近赤外線)とは、太陽光に約50%含まれる近赤外線(780nm〜1,800nm)を意味する。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、比較例は、公知技術とは限らない。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[製造例1:銀平板粒子分散液B1の調製]
−銀平板粒子の合成−
−−平板核粒子の合成工程−−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
−−平板粒子の第1成長工程−−
次に、前記種溶液250mLに10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mLを10mL/minで攪拌しながら添加した。
−−平板粒子の第2成長工程−−
さらに、前記溶液を30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加した。銀が十分に還元されるまで攪拌し、0.17MのNaOH水溶液72mLを添加した。このようにして銀平板粒子分散液Aを得た。
得られた銀平板粒子分散液A中には、平均円相当径140nmの銀の六角平板粒子(以下、Ag六角平板粒子と称する)が生成していることを確認した。また、原子間力顕微鏡(NanocuteII、セイコーインスツル社製)で、六角平板粒子の厚みを測定したところ、平均8nmであり、アスペクト比が17.5の平板粒子が生成していることが分かった。
前記銀平板粒子分散液A 12mLに1NのNaOHを0.5mL添加し、イオン交換水18mL添加し、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)で遠心分離を行い、Ag六角平板粒子を沈殿させた。遠心分離後の上澄み液を捨て、水を2mL添加し、沈殿したAg六角平板粒子を再分散させ、製造例1の銀平板粒子分散液B1を得た。
<銀平板粒子の評価>
以下の方法で銀平板粒子および銀平板粒子分散液の評価をした結果を下記表1に記載した。
−平板粒子の割合、平均粒子径(平均円相当径)、変動係数−
Ag平板粒子の形状均一性は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、略六角形状及び略円盤形状のいずれかの粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)を求めた。
また同様にAに該当する粒子100個の粒子径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均粒子径(平均円相当径)とし、粒径分布の標準偏差を平均粒子径(平均円相当径)で割った変動係数(%)を求めた。
−平均粒子厚み−
得られた銀平板粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
−アスペクト比−
得られた銀平板粒子の平均粒子径(平均円相当径)及び平均粒子厚みから、平均粒子径(平均円相当径)を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
−銀平板粒子分散液の透過スペクトル−
得られた銀平板粒子分散液B1の透過スペクトルは、水で希釈し、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて評価した。
Figure 2013210573
[製造例2]:銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層用の塗布液の調製
下記に示す組成の銀平板粒子含有層用の塗布液を調製した。
銀平板粒子含有層用の塗布液の組成:
ポリエステルラテックス水分散液:ファインテックスES−650
(DIC社製、固形分濃度30質量%) 28.2質量部
界面活性剤A:ラピゾールA−90
(日本油脂(株)製、固形分1質量%) 12.5質量部
界面活性剤B:アロナクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%) 15.5質量部
銀平板粒子分散液B1 200質量部
水 800質量部
[製造例3]:中間層用の塗布液の調製
下記に示す組成の銀平板粒子含有層用の塗布液を調製した。
中間層用の塗布液の組成:
・導電性材料:酸化スズ(商品名 石原産業株式会社、FS−10D社製)
3質量部
・バインダー水分散液:ポリエステル系樹脂(商品名プラスコートZ687、
互応化学工業株式会社製、固形分濃度25質量%)
10質量部
・溶媒:水 80質量部
・界面活性剤B:アロナクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%) 2質量部
[製造例4]:オーバーコート層用の塗布液の調製
下記に示す組成のオーバーコート層用の塗布液を調製した。
オーバーコート層用の塗布液の組成:
紫外線吸収剤:チヌビン326 10質量部
(チバ・ジャパン社製)
バインダー:10質量%ポリビニルアルコール溶液 10質量部
水 30質量部
これらを混合し、ボールミルを用いて体積平均粒径を0.6μmに調整した。
[製造例5]:金属酸化物粒子含有層用の塗布液の調製
下記に示す組成の金属酸化物粒子含有層用の塗布液を調製した。
金属酸化物粒子含有層用の塗布液の組成:
変性ポリビニルアルコールPVA203(クラレ社製) 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
ITO粒子(三菱マテリアル社製) 35質量部
[実施例1]
<熱線遮蔽材の製造>
(中間層の形成)
基材として用いるPETフィルム(フジペット、富士フイルム(株)製、厚み:188μm)の表面上に、前記中間層用の塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが125nmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、中間層を形成した。
(基材と中間層が積層した積層体の特性)
上記にて得られた基材と中間層が積層した積層体について、表面抵抗とヘイズを測定した。
−ヘイズの測定−
ヘイズメーター(NDH−5000、日本電色工業株式会社製)を用いて、基材と中間層が積層した積層体のヘイズ(%)を測定した。
得られた結果を下記表2に記載した。
−表面抵抗値−
ADVANTEST社製R8340超高抵抗/微小電流計を用いて、基材と中間層が積層した積層体の中間層側の表面抵抗値(Ω/sq)を測定した。
得られた結果を下記表2に記載した。
(銀平板粒子含有層の形成)
次に、PETフィルムの前記中間層が形成された側の表面上に、前記銀平板粒子含有層用の塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが0.08μmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、銀平板粒子含有層を形成した。
得られた基材/中間膜/銀平板粒子含有層の順に積層された熱線遮蔽材を、実施例1の熱線遮蔽材とした。
<熱線遮蔽材の評価>
次に、得られた熱線遮蔽材について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表2に示す。
−可視光透過率−
作製した熱線遮蔽材の透過スペクトルを、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて測定した。
作製した各熱線遮蔽材について、380nm〜780nmまで測定した各波長の透過率を、各波長の分光視感度により補正した値を可視光透過率とした。
《評価基準》
○:75%以上。
×:75%未満。
−遮熱性能評価−
作製した熱線遮蔽材について、350nm〜2,100nmまで測定した各波長の透過率から、遮蔽係数を求め、判定を行った。
《評価基準》
○:遮蔽係数が0.69以下。
×:遮蔽係数が0.69を超える。
−面状−
作製した熱線遮蔽材について、面状を目視にて観察した。なお、塗布欠陥とは、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分のことを言う。
《評価基準》
○:円相当平均径が2mm以上の塗布欠陥がない。
×:円相当平均径が2mm以上の塗布欠陥がある。
[比較例1]
実施例1において、中間層用塗布液を塗布せず、基材の上に直接前記銀平板粒子含有層用の塗布液を塗布した以外は実施例1と同様にして、比較例1の熱線遮蔽材を製造した。なお、比較例1は、特開2011−118347号公報の実施態様に近い態様である。
[実施例2、3および比較例2]
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの添加量を10質量部に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2を、
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの添加量を2質量部に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2を、
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの添加量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3の熱線遮蔽材を製造した。
[実施例4]
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの代わりに、イオン性界面活性剤(商品名ラピゾールA−90、日本油脂株式会社製、固形分1%)を5質量部添加した以外は実施例1と同様にして、実施例4の熱線遮蔽材を製造した。
[比較例3]
実施例4において、中間層用塗布液中のイオン性界面活性剤の添加量を1質量部に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例3の熱線遮蔽材を製造した。
[実施例5]
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの代わりに、ITO(インジウム含有酸化スズ)(ITO粒子、三菱マテリアル社製)を2質量部添加した以外は実施例1と同様にして、実施例5の熱線遮蔽材を製造した。
[実施例6]
実施例1において、中間層用塗布液中の酸化スズの代わりに、ATO(アンチモン含有酸化スズ)(商品名ATO粒子、三菱マテリアル社製)を2質量部添加した以外は実施例1と同様にして、実施例6の熱線遮蔽材を製造した。
[実施例7]
実施例2の熱線遮蔽材に対して、その銀平板粒子含有層の上に、オーバーコート層用の塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが0.5μmになるように塗布した。その後、100℃で2分間加熱し、乾燥、固化し、オーバーコート層を形成した。得られた基材/銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層/中間膜/オーバーコート層の順に積層された積層体を、実施例7の熱線遮蔽材とした。
実施例2〜7及び比較例1〜3の熱線遮蔽材について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。得られた結果を下記表2に示した。
Figure 2013210573

表2の結果から、本発明の熱線遮蔽材は、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好であることがわかった。
一方、比較例1より、特開2011−118347号公報の実施例のように中間層を設けない場合、可視光透過率や遮熱性能には問題ないものの、本発明の熱線遮蔽材よりも面状に劣ることが分かった。
比較例2より、本発明で規定する表面抵抗の下限値を下回り(特開平11−203942号公報で規定する範囲に相当)、本発明で規定するヘイズの下限値も下回る場合、可視光透過率および遮熱性能が悪いことが分かった。
比較例3より、本発明で規定する表面抵抗の上限値を上回る場合、面状が悪いことが分かった。
[実施例8]
(ハードコート層の形成)
実施例7の熱線遮蔽材について、基材上の形成したオーバーコート層の裏面、即ち、PETフィルムの銀平板粒子含有層用塗布液を塗布していない面に、
UV硬化型樹脂A(JSR製、Z7410B、屈折率1.65)を層厚みが約9μmとなるように塗布して塗布層を設けた後、この塗布層を70℃で1分間乾燥させた。次に、乾燥した塗布層に対して高圧水銀灯を用いて紫外線を照射することにより樹脂を硬化させて、3μmのハードコート層を形成した。なお、塗布層に対する紫外線の照射量は、1,000mj/cm2とした。得られたハードコート層/基材/銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層/中間膜/オーバーコート層の順に積層された積層体を、熱線遮蔽フィルムとした。
なお、前記平均厚みは、レーザー顕微鏡(VK−8510、キーエンス社製)を用いて塗布前と塗布後の差を厚みとして測定し、これら10点の厚みを平均することにより算出することができる。
(粘着層の形成)
得られた熱線遮蔽フィルムの表面を洗浄した後、粘着層を貼り合わせた。粘着層(粘着剤)として、サンリッツ(株)社製PET−Wを用い、PET−Wの一方の剥離シートを剥がした面を、前記熱線遮蔽フィルムの紫外線吸収層表面と貼り合わせた。
以上により、ハードコート層/基材/中間膜/銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層/オーバーコート層/粘着層の順に積層された実施例8の熱線遮蔽材を作製した。
(窓用ガラスへの貼り合わせ)
常法にしたがって、得られた実施例8の熱線遮蔽材をその粘着層が窓用ガラスに接するようにして水貼りしたところ、良好に貼り合わせることができた。
[実施例9]
実施例3において、銀平板粒子含有層用の塗布液に、ポリエステルラテックス水分散液と界面活性剤Aと界面活性剤Bを加えず、代わりに界面活性剤C(下記W−1:固形分2質量%)を200質量部加えたこと以外は、実施例3と同様にして基材/中間膜/銀平板粒子を含む銀平板粒子含有層の順に積層された実施例9の熱線遮蔽材を作製した。
Figure 2013210573
得られた実施例9の熱線遮蔽材の特性を実施例3と同様に評価した結果、実施例3と同様の傾向が得られた。すなわち、銀平板粒子含有層用の塗布液を変更した場合も、本発明の熱線遮蔽材は、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好であることがわかった。
本発明の熱線遮蔽材は、可視光透過性および遮熱性能に優れ、銀平板粒子含有層の面状が良好であるので、例えば自動車、バス等の乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体などとして、熱線の透過を防止することの求められる種々の部材として好適に利用可能である。
1 基材
2 銀平板粒子含有層
3 銀平板粒子
4 オーバーコート層
5 ハードコート層
6 中間層
7 粘着層
10 熱線遮蔽材

Claims (9)

  1. 基材と、
    該基材の少なくとも片面に配置され、かつ、導電性物質を含む中間層と、
    該中間層の該基材が配置されている側とは反対側の面上に該中間層と接して配置され、かつ、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有層を有し、
    前記中間層の前記基材が配置されている側とは反対側の面の表面抵抗が1×1010〜5×1014Ω/sqであり、
    前記基材および前記中間層のみを積層した積層体のヘイズ値が前記基材のヘイズ値に0.5%を加えた値を超えない値であり、
    前記銀平板粒子含有層の表面面内における、前記銀平板粒子含有層が形成されていない部分の円相当平均径が直径2mm未満であることを特徴とする熱線遮蔽材。
  2. 前記導電性物質が、イオン性界面活性剤または導電性無機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱線遮蔽材。
  3. 前記銀平板粒子含有層の表面に密接して配置されたオーバーコート層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱線遮蔽材。
  4. 前記銀平板粒子が、略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子を60個数%以上有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
  5. 前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の主平面が、前記銀平板粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
  6. 前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子の平均粒子径が70nm〜500nmであり、前記略六角形状〜略円盤形状の銀平板粒子のアスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が8〜40であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱線遮蔽材。
  7. 少なくとも一方の最外層上にさらにハードコート層が配置されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
  8. 少なくとも一方の最外層上にさらに粘着層が配置されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
  9. 窓貼り用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱線遮蔽材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018221093A1 (ja) * 2017-05-30 2018-12-06 富士フイルム株式会社 熱線遮蔽材、遮熱ガラス、及び、合わせガラス

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