JP5833516B2 - 遠赤外線遮蔽材 - Google Patents

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Description

本発明は、遠赤外線遮蔽材に関する。より詳しくは、遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好である遠赤外線遮蔽材に関する。
建築物、自動車など、窓に到来する太陽光の可視光を高効率に透過し、熱線(近赤外線)を反射または吸収することにより透過を下げるという近赤外線遮蔽材が提案されてきている。これに加え、温調された室内または車内の熱を、窓を通じて外に放射しにくくするという断熱性能を付与することが近年注目されてきている。遠赤外線遮蔽材、および、断熱材を建築物や自動車に適用する際、携帯電話やラジオの電波を透過できるという電波透過性を有することが生活上の利便性の観点から求められている。
遠赤外線遮蔽材に断熱性を付与する方法として、遠赤外線遮蔽材の熱伝導度を下げる方法が知られており、複層ガラスにおいてガラス層間に熱伝導率の低い層(空気または真空)を設けることや、断熱材がフィルム形態である場合には、フィルム上に中空シリカなど熱伝導度の低い粒子含有層を設ける方法がある(例えば特許文献1参照)。しかし、複層ガラスを実際に建築物に適用することを考えた場合、既設の窓ガラスを取り替えるために窓の枠組全体を取り替える必要があり、大規模な工事が必要となる点で利便性が悪いものであった。そのため、粘着材などの適用により後貼りフィルムとして既設の窓への設置が容易である遠赤外線遮蔽材が求められていた。また、中空シリカなど熱伝導度の低い粒子含有層を設けたフィルムにおいては、フィルムを通じた熱伝導を低下させるものの、遠赤外線帯域の輻射は該フィルムを通じるため、遠赤外線に対する断熱性は十分とは言えなかった。
これに対し、遠赤外線遮蔽材に容易に断熱性を付与する方法として、室内の物質から放出される遠赤外線(室温、もしくは、高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射)を、遠赤外線遮蔽材を用いて反射または吸収させることで室外に漏れる遠赤外線量を減らす方法が知られている。この方法の場合、室温付近(300K付近)から高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射(280K〜950K)(波長3μm〜10μmの電磁波)を反射または吸収させることが重要となる。このような方法としては、例えば特許文献2にはAgを含有した金属層を有し、アモルファスカーボン層、ハードコート層を設けてなる遠赤外線反射性積層体が開示されており、遠赤外線領域に反射能を有する薄膜金属層を遮蔽材に設ける方法が記載されている。しかしながら、薄膜金属膜は少なからず導電性を有するため、特許文献2に記載の方法では、電波透過性の問題が解消されていなかった。なお、薄膜金属膜は遠赤外線領域に反射能を持たせることができるものの、一般に反射能の選択波長性は有していないため、特許文献2に記載の発明に電波透過性を付与することは困難であった。
一方、電波透過性の問題を解消した例として、特許文献3には、ITO(錫ドープ酸化インジウム)粉末を含有する透明性赤外線カットオフフィルターが開示されている。ITOやATO(アンチモンドープ酸化スズ)やCWO(セシウム含有タングステン酸化物)はキャリア電子密度が調整されている物質であり、可視光領域の吸収が低く、近赤外線領域以上の波長域に高い吸収を有する特性をもつ結果、近赤外線を透過させない赤外線カットフィルターの機能を有することが記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、遠赤外線遮蔽材が遠赤外線を吸収するという問題があった。遠赤外線遮蔽材が遠赤外線を吸収する場合、遠赤外線遮蔽材は吸収した熱の再放射を室外・室内に行うため、遠赤外線を室内のみに反射する遮蔽材の場合よりも室外への熱輻射漏れを防ぐ効率が悪いため、熱輻射を室外に漏らさない観点からはさらなる改善が求められるものであった。したがって、特許文献3に記載のITOなどの金属酸化物を利用する方法は、遠赤外線領域での反射能が低く、効率的な遠赤外線反射材とはいえないものであった。
赤外線反射を利用した例として、銀平板粒子を用いた熱線遮蔽材により、赤外線を反射する方法が特許文献4に開示されている。しかしながら、特許文献4には近赤外線の反射能付与に関する記述のみがあり、遠赤外線の反射能付与に関する記述は開示も示唆もなかった。ここで、近赤外線に対する反射のみでは、室温の熱輻射を考えた場合、室外への熱放射が避けられず、断熱性の観点からは不満が残るものとなる。また、特許文献4にはアスペクト比80以上とすることで反射波長が2000nmを超えることが記述されているが、アスペクト比80以上の平板状金属粒子を用いたときの遠赤外領域における具体的な反射波長、反射の波長帯域は示されていなかった。そのため、特許文献4からは、具体的にアスペクト比80以上の平板状金属粒子の反射特性については読み取ることができなかった。
特開2007−145689公報 特開2011−207223号公報 特開平11−170442号公報 特開2011−118347公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決することを目的とする。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好である遠赤外遮蔽材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特許文献4の請求項2には粒子径(円相当直径)70〜500nm、アスペクト比2〜80の平板状金属粒子を用いた近赤外線反射フィルムの発明が記載されているが、この範囲の形状の平板状金属粒子では遠赤外線(波長3μm以上)での反射性能はほとんど有さないことが分かった。
通常、一様な金属薄膜の場合では特定の波長以上の電磁波に対し一様な高い反射率を有する。平板状金属粒子のアスペクト比が上昇するにつれ、一様な金属膜に特性が近づくことが通常予想され、アスペクト比80以上の平板状金属粒子においても一様な金属膜と同様な反射特性を有する可能性があった。しかし、本発明者らがアスペクト比80以上の平板状金属粒子を用いることを検討したところ、その場合においても粒子形態に応じた特定の表面プラズモン共鳴を有することを初めて見出すに至った。
すなわち、特許文献4の構成において金属粒子含有層に含まれる平板状金属粒子の形状を制御することにより、遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好である遠赤外遮蔽材を提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。
[1] 少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層を有し、前記金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、遠赤外線遮蔽材の波長550nmにおける反射率A(%)に対する、波長3μm以上の赤外光領域での最大反射率B(%)の比(B/A)が3以上であることを特徴とする遠赤外線遮蔽材。
[2] [1]に記載の遠赤外線遮蔽材は、前記平板状金属粒子の平均アスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が80より大きいことが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の遠赤外線遮蔽材は、前記平板状金属粒子の粒径分布における変動係数が8〜30%であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材は、3000〜10300nmの波長帯域に反射スペクトルのピーク(波長λIR)を有し、波長λIRにピーク波長が一致する温度T[K]に相当する熱輻射スペクトル(T=280K〜950K)の半値全幅Whと、該遠赤外線遮蔽材の反射スペクトルの半値全幅WIRとの比(WIR/Wh)が0.2〜1.2の間であることが好ましい。
[5] [4]に記載の遠赤外線遮蔽材は、前記(WIR/Wh)が0.8〜1.2の間であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材は、前記平板状金属粒子が銀平板粒子であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材は、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子のうち、主平面が前記金属粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子の50個数%以上であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材は、さらに、金属酸化物粒子含有層を有することが好ましい。
本発明によれば、遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好である遠赤外遮蔽材を提供することができる。
図1は、本発明の遠赤外線遮蔽材の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の遠赤外線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図3Aは、本発明の遠赤外線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図3Bは、本発明の遠赤外線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図3Cは、本発明の遠赤外線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図4Aは、本発明の遠赤外線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子を示す。 図4Bは、本発明の遠赤外線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子を示す。 図5Aは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の一例を示した概略断面図である。 図5Bは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の他の一例を示した概略断面図である。 図5Cは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の他の一例を示した概略断面図である。 図5Dは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層(基材の平面とも平行)と平板状金属粒子の主平面(円相当直径Dを決める面)とのなす角度(θ)を説明する図を示す。 図5Eは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属粒子含有層の遠赤外線遮蔽材の深さ方向における平板状金属粒子の存在領域を示す図である。 図6Aは、プランクの熱放射式から算出した280K〜950Kの熱放射スペクトルを示すグラフである。 熱輻射の温度とピーク波長と半値全幅の関係を示すグラフである。 粒径分布を調整し、温度720Kの輻射スペクトルのスペクトル帯域と遠赤外線遮蔽材の反射帯域を合わせた例を示すグラフである。
以下、本発明の遠赤外線遮蔽材について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[遠赤外線遮蔽材]
本発明の遠赤外線遮蔽材は、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層を有し、前記金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、遠赤外線遮蔽材の波長550nmにおける反射率A(%)に対する、波長3μm以上の赤外光領域での最大反射率B(%)の比(B/A)が3以上であることを特徴とする。
このような構成により、遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好である遠赤外遮蔽材を提供できる。本発明によれば、特定の遠赤外線の波長域に合わせて遠赤外線反射能を調整できるので、一般的に電波の波長域である100μm以上の波長の電磁波に対し反射および吸収を持たず、電波を減衰させることがないので電波透過性はきわめて高い。
<光学特性>
(反射率比B/A)
本発明の遠赤外線遮蔽材は、遠赤外線遮蔽材の波長550nmにおける反射率A(%)に対する、波長3μm以上の赤外光領域での最大反射率B(%)の比(B/A)が3以上であり、3.5以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることが特に好ましい。(B/A)が大きければ大きいほど、可視光透過率を下げずに高効率に遠赤外線反射能を有する遮蔽材を得ることが出来るので好ましい。(B/A)が3より小さい場合、遠赤外線反射能を付与しようとすると可視光域の光透過が低下し、実用的に高透明な遠赤外線遮蔽材は得られない。
本発明の遠赤外線遮蔽材は、3000〜10300nmの波長帯域に反射スペクトルのピーク(波長λIR)を有し、波長λIRにピーク波長が一致する温度T[K]に相当する熱輻射スペクトル(T=280K〜950K)の半値全幅Whと、該遠赤外線遮蔽材の反射スペクトルの半値全幅WIRとの比(WIR/Wh)が0.2〜1.2の間であることが、常温室温付近から高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射に合わせた遠赤外線反射能に調整できる観点から好ましい。このように常温室温付近から高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射に合わせた遠赤外線反射能に調整すると、冬場の暖められた室温を保持する点、および、暖房効率を上げる点で効果的である。
(その他の光学特性)
本発明の遠赤外線遮蔽材の反射率は、3000〜10300nmの波長帯域に、反射スペクトルのピーク(波長λIR)を有し、波長λIRにピーク波長が一致するT[K]に相当する熱輻射スペクトル(T=280K〜950K)の半値全幅Whと、該遠赤外線遮蔽材の反射スペクトルの半値全幅WIRとの比(WIR/Wh)が0.8〜1.2の間であることが好ましい。遠赤外線遮蔽材の反射スペクトルのピーク波長、および、半値幅を特定の温度の熱輻射スペクトルのピーク波長、および、半値幅に合わせることは、熱線反射率の効率を上げることができる点で好ましい。
一方、常温室温付近から高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射に合わせた遠赤外線反射能に調整する観点からは、本発明の遠赤外線遮蔽材の反射率は、3000〜20000nmの範囲で最大値を有することが好ましく、3000〜10300nmの範囲で最大値を有するがより好ましい。
一般的に物体は、温度に応じた特定の電磁波を発する。この電磁波のことを熱輻射と呼び、熱輻射のスペクトルはプランクの輻射則で導き出されることが知られている。波長λ[m]に対する熱輻射のエネルギー密度Iλは下記式1で与えられる。
ここで、hはプランク定数(h=6.626E−34J・s)、cは光速(c=299792458m/s)、kはボルツマン定数(k=1.38E−23J/K)、Tは温度[K]である。図6AにT=280K〜950Kの代表的な熱輻射のスペクトルを示した。
熱輻射のピーク波長と半値全幅は一定の関係を持つ。図6BにT=280K〜950Kの範囲の熱輻射のピーク波長λhと半値全幅Whの関係を示した。T=280K〜950Kの範囲の熱輻射のピーク波長λhと半値全幅Whの関係は下記式2に従うことが分かった。
式2
Wh=1.2×λh−16.4[nm]
ある温度Tにおける熱輻射のピーク波長λhが分かれば、式2を計算することにより、その温度Tにおける熱輻射スペクトルの半値全幅を算出することができる。
本発明の遠赤外線遮蔽材の可視光線透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。前記可視光線透過率が、60%未満であると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなることがある。
本発明の遠赤外線遮蔽材の紫外線透過率としては、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。前記紫外線透過率が、5%を超えると、太陽光の紫外線により前記金属粒子含有層の色味が変化することがある。
本発明の遠赤外線遮蔽材のヘイズは、20%以下であることが好ましい。前記ヘイズが20%を超えると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に外部が見にくくなるなど、安全上好ましくないことがある。
<層構成>
本発明の遠赤外線遮蔽材は、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層を有し、必要に応じて、粘着層、紫外線吸収層、基材、金属酸化物粒子含有層、低熱伝導性層、反射防止層などのその他の機能性層を有する態様も好ましい。上記の機能性層を積層する場合、他の機能を阻害しない範囲で積層の順番を変えてもよい。
前記遠赤外線遮蔽材10の層構成としては、図1に示すように、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層2を有し、その表面に平板状金属粒子3が偏在している態様が挙げられる。また、図2に示すように、金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上にオーバーコート層4とを有し、その表面に平板状金属粒子3が偏在している態様が挙げられる。
また、図3Aに示すように、基材1と、該基材上に金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上に粘着層11とを有し、基材1の裏面にハードコート層5を有する態様が好適に挙げられる。
また、図3Bに示すように、基材1と、該基材上に金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上にオーバーコート層4と、該オーバーコート層上に粘着層11とを有し、基材1の裏面にハードコート層5を有する態様が好適に挙げられる。
また、図3Cに示すように、基材1と、該基材上に金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上にオーバーコート層4と、該オーバーコート層上に粘着層11とを有し、基材1の裏面に金属酸化物粒子含有層12と、該金属酸化物粒子含有層上にハードコート層5を有する態様が好適に挙げられる。
(1.金属粒子含有層)
前記金属粒子含有層は、少なくとも1種の金属粒子を含有する層であり、前記金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
いかなる理論に拘泥するものでもなく、また、本発明の遠赤外線遮蔽材は以下の製造方法に限定されるものではないが、前記金属粒子含有層を製造するときに特定のポリマー(好ましくはラテックス)を添加することなどにより、平板状金属粒子を前記金属粒子含有層の一方の表面に偏析させることができる。
−1−1.金属粒子−
前記金属粒子としては、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有する。
前記金属粒子含有層に存在する金属粒子のうち、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であり、65個数%以上が好ましく、70個数%以上が更に好ましい。前記平板状金属粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
なお、前記金属粒子含有層の一方の表面は、フラットな平面であることが好ましい。本発明の遠赤外線遮蔽材の前記金属粒子含有層が仮支持体としての基材を有する場合は、基材の表面とともに略水平面であることが好ましい。ここで、前記遠赤外線遮蔽材は、前記仮支持体を有していてもよく、有していなくてもよい。
前記金属粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、500nm以下の平均粒子径を有するものであってもよい。
前記金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、遠赤外線の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金などが好ましい。
−1−2.平板状金属粒子−
前記平板状金属粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図4A及び図4B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状、円形状、三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状以上の多角形状〜円形状であることがより好ましく、六角形状乃至円形状であることが特に好ましい。
本明細書中、円形状とは、後述する平板状金属粒子の平均円相当直径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の平板状金属粒子当たり0個である形状のことを言う。前記円形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本明細書中、六角形状とは、後述する平板状金属粒子の平均円相当直径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の平板状金属粒子当たり6個である形状のことを言う。なお、その他の多角形についても同様である。前記六角形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記平板状金属粒子の材料としては、特に制限はなく、前記金属粒子と同じものを目的に応じて適宜選択することができる。前記平板状金属粒子は、少なくとも銀を含むことが好ましい。
[1−2−1.面配向]
本発明の遠赤外線遮蔽材において、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子は、その主平面が金属粒子含有層の一方の表面(遠赤外線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して、平均0°〜±30°の範囲で面配向していることが好ましく、平均0°〜±20°の範囲で面配向していることがより好ましく、平均0°〜±10°の範囲で面配向していることが特に好ましい。
前記平板状金属粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する図5B、図5Cのように並んでいることが好ましい。
ここで、図5A〜図5Eは、本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図である。図5A、図5Bおよび図5Cは、金属粒子含有層2中における平板状金属粒子3の存在状態を示す。図5Dは、基材1の平面と平板状金属粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図5Eは、金属粒子含有層2の遠赤外線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図5Dにおいて、基材1の表面と、平板状金属粒子3の主平面または主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、遠赤外線遮蔽材の断面を観察した際、図5Dに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図5Bは、基材1の表面と平板状金属粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基材1の表面に対する平板状金属粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図5Dにおけるθが±30°を超えると、遠赤外線遮蔽材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から遠赤外光領域)の反射率が低下してしまう。
前記金属粒子含有層の一方の表面(遠赤外線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して平板状金属粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における金属粒子含有層(遠赤外線遮蔽材が基材を有する場合は、基材)及び平板状金属粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、遠赤外線遮蔽材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて遠赤外線遮蔽材の断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
前記遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、前記断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。また、遠赤外線遮蔽材において平板状金属粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。
前記の通り作製した断面サンプルまたは断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて金属粒子含有層の一方の表面(遠赤外線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して平板状金属粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、平板状金属粒子の形状と傾角(図5Dの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
[1−2−2.平均粒子径(平均円相当直径)及び平均粒子径(平均円相当直径)の粒度分布]
前記平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当直径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、粒径分布を調整することで遠赤外線遮蔽材の反射帯域を所望の波長帯域に調整することができる。
前記平板状金属粒子の平均粒子径は、300nm〜4000nmが好ましく、400nm〜3500nmがより好ましく、特定の遠赤外線の波長域に合わせて遠赤外線反射能を調整できるので、一般的に電波の波長域である100μm以上の波長の電磁波に対し反射および吸収を持たず、電波を減衰させることがなく電波透過性が極めて高いので好ましい。前記平均粒子径(平均円相当直径)が、400nm以上であることが、アスペクト比を80以上の粒子を調整しやすくなる観点で好ましい。これは金属粒子の厚み5nm以下でアスペクト比80以上の粒子を調整することが粒子形成技術上大変困難であるためである。
ここで、前記平均粒子径(平均円相当直径)とは、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ1000個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記金属粒子含有層中に平均粒子径(平均円相当直径)が異なる2種以上の金属粒子を含有することができ、この場合、金属粒子の平均粒子径(平均円相当直径)のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径(平均円相当直径)を有していてもよい。
本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子の粒度分布における変動係数が8〜30%であることが好ましく、10〜25%であることがより好ましい。前記変動係数が粒度分布の変動係数を上記の範囲で調整すると遠赤外線遮蔽材における熱線の反射波長域を調整することができ、必要に応じて常温室温付近から高温熱源を有する暖房機器から発生する熱輻射に合わせた遠赤外線反射能にも調整することが出来るので好ましい。
ここで、前記平板状金属粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均値の算出に用いた1000個の平板状金属粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒径分布の標準偏差を求め、前記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径(平均円相当直径))で割った値(%)である。
[1−2−3.アスペクト比]
前記平板状金属粒子のアスペクト比としては、遠赤外光領域での反射率が高くなる点から、80より大きいことが好ましく、100〜400がより好ましい。
前記アスペクト比は、平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当直径)を平板状金属粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。平均粒子厚みは、平板状金属粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図4A及び図4Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)より測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に分散剤等の平板状金属粒子を被覆している成分を除外した平板状金属粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、AFM測定により粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
前記TEMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン基板上に平板状金属粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、収束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、該断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行う方法などが挙げられる。
なお、前記平板状金属粒子の厚みは5〜20nmであることが好ましい。
[1−2−4.平板状金属粒子の存在範囲]
本発明の遠赤外線遮蔽材では、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在することが好ましく、d/3の範囲に存在することがより好ましく、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の60個数%以上が前記金属粒子含有層の一方の表面に露出していることが更に好ましい。平板状金属粒子が金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在するとは、平板状金属粒子の少なくとも一部が金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に含まれていることを意味する。すなわち、平板状金属粒子の一部が、金属粒子含有層の表面よりも突出している図5Cに記載される平板状金属粒子も、金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在する平板状金属粒子として扱う。なお、図5Cは、各平板状金属粒子の厚み方向のごく一部が金属粒子含有層に埋没してことを意味し、各平板状金属粒子が金属粒子含有層の表面上に積まれているわけではない。
また、平板状金属粒子が前記金属粒子含有層の一方の表面に露出しているとは、平板状金属粒子の一方の表面の一部が、金属粒子含有層の表面よりも突出していることを意味する。
ここで、前記金属粒子含有層中の平板状金属粒子の存在分布は、例えば、遠赤外線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
前記金属粒子含有層における平板状金属粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、280K〜950Kの熱輻射に対応する遠赤外線反射性能を付与する点で、3000〜20000nmであることが好ましく、3000〜15000nmであることがより好ましく、3000〜10300nmであることが特に好ましい。
[1−2−5.金属粒子含有層の媒質]
前記金属粒子含有層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明の遠赤外線遮蔽材は、前記金属含有層がポリマーを含むことが好ましい。前記ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。その中でも、本発明では、前記ポリマーの主ポリマーがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂であることが前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上を前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましく、ポリエステル樹脂であることが本発明の遠赤外線遮蔽材のこすり耐性をより改善する観点から特に好ましい。
また、本明細書中、前記金属含有層に含まれる前記ポリマーの主ポリマーとは、前記金属含有層に含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことを言う。
前記媒質の屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
本発明の遠赤外線遮蔽材は、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の厚みをaとしたとき、前記は六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、厚み方向のa/10以上を前記ポリマーに覆われていることが好ましく、厚み方向のa/10〜10aを前記ポリマーに覆われていることがより好ましく、a/8〜4aを前記ポリマーに覆われていることが特に好ましい。このように前記金属粒子は、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が前記金属粒子含有層に一定割合以上埋没していることにより、よりこすり耐性を高めることができる。すなわち、本発明の遠赤外線遮蔽材は、図5Cの態様よりも、図5Bの態様の方が好ましい。
[1−2−6.平板状金属粒子の面積率]
前記遠赤外線遮蔽材を上から見た時の基材の面積A(金属粒子含有層に対して垂直方向から見たときの前記金属粒子含有層の全投影面積A)に対する平板状金属粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば遠赤外線遮蔽材基材を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
[1−2−7.平板状金属粒子の平均粒子間距離]
前記金属粒子含有層における水平方向に隣接する平板状金属粒子の平均粒子間距離としては、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から、平板状金属粒子の平均粒子径の1/10以上が好ましい。
前記平板状金属粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記平板状金属粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
ここで、前記平板状金属粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の平板状金属粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
[1−2−8.金属粒子含有層の層構成]
本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子は、図5A〜図5Eに示すように、平板状金属粒子を含む金属粒子含有層の形態で配置される。
前記金属粒子含有層としては、図5A〜図5Eに示すように単層で構成されてもよく、複数の金属粒子含有層で構成されてもよい。複数の金属粒子含有層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。なお、本発明の遠赤外線遮蔽材は、公知の近赤外線遮蔽材と組み合わせて使用してもよい。例えば、近赤外線遮蔽材が設置された窓に遠赤外線反射性能を付与したい場合において、本発明の遠赤外線遮蔽材を追加して設置することで、遠赤外線反射性能を付与することが出来る。
[1−2−9.金属粒子含有層の厚み]
前記金属粒子含有層の厚みは、10〜160nmであることが好ましく、20〜80nmであることがより好ましい。前記金属粒子含有層の厚みdは、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の厚みをaとしたとき、a〜10aであることが好ましく、2a〜8aであることがより好ましい。
ここで、前記金属粒子含有層の各層の厚みは、例えば、遠赤外線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
また、遠赤外線遮蔽材の前記金属粒子含有層の上に、例えば後述するオーバーコート層などの他の層を有する場合においても、他の層と前記金属粒子含有層の境界は同様の方法によって決定することができ、前記金属粒子含有層の厚みdを決定することができる。なお、前記金属粒子含有層に含まれるポリマーと同じ種類のポリマーを用いて、前記金属粒子含有層の上にコーティングをする場合は通常はSEM観察した画像によって前記金属粒子含有層との境界を判別できることができ、前記金属粒子含有層の厚みdを決定することができる。
[1−2−10.平板状金属粒子の合成方法]
前記平板状金属粒子の合成方法としては、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形〜三角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
前記平板状金属粒子の合成方法としては、前記の他、予めフィルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
−1−2−10−1.高屈折率シェル層の形成−
前記平板状金属粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiOx、BaTiO3、ZnO、SnO2、ZrO2、NbOxなどが挙げられる。
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の平板状金属粒子の表面にTiOx層を形成する方法であってもよい。
また、前記平板状金属粒子に直接高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り平板状金属粒子を合成した後、適宜SiO2やポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOxを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOxが光触媒活性を有することから、平板状金属粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて平板状金属粒子にTiOx層を形成した後、適宜SiO2層を形成してもよい。
−1−2−10−2.各種添加物の添加−
本発明の遠赤外線遮蔽材において、平板状金属粒子は、該平板状金属粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール系化合物、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が平板状金属粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiO2などの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
前記平板状金属粒子は、分散性付与を目的として、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等のN元素、S元素、及びP元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
<2.その他の層>
<<2−1.粘着層>>
本発明の遠赤外線遮蔽材は、粘着層を有することが好ましい。前記粘着層は、紫外線吸収剤を含むことができる。
前記粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、前記粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
前記粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
<<2−2.基材>>
本発明の遠赤外線遮蔽材は基材を有することが好ましく、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が偏在している方の前記金属粒子含有層の表面とは反対側の表面に基材を有することが好ましい。
前記基材としては、光学的に透明な基材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記遠赤外線遮蔽材の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
この基材フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、日射遮蔽フィルムの使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であり、12μm〜300μmが好ましく、16μm〜125μmがより好ましい。
<<2−3.ハードコート層>>
耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有するハードコート層を含むことも好適である。ハードコート層には金属酸化物粒子を含むことができる。
前記ハードコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜その種類も形成方法も選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。前記ハードコート層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましい。前記ハードコート層上に更に反射防止層及び/又は防眩層を形成すると、耐擦傷性に加え、反射防止性及び/又は防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
また、前記ハードコート層に前記金属酸化物粒子を含有してもよい一方で、前記ハードコート層とは別に金属酸化物粒子含有層を設けることも好ましい。
<<2−4.オーバーコート層>>
本発明の遠赤外線遮蔽材において、物質移動による平板状金属粒子の酸化・硫化を防止し、耐擦傷性を付与するため、本発明の遠赤外線遮蔽材は、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が露出している方の前記金属粒子含有層の表面に密接するオーバーコート層を有していてもよい。また、前記金属粒子含有層と後述の紫外線吸収層との間にオーバーコート層を有していてもよい。特に平板状金属粒子が金属粒子含有層の表面に偏在する場合は、平板状金属粒子の剥落による製造工程のコンタミ防止、別層塗布時の平板状金属粒子配列乱れの防止、などのため、オーバーコート層を有していてもよい。
前記オーバーコート層には紫外線吸収剤を含んでもよい。
前記オーバーコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、マット剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
前記オーバーコート層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましく、0.1〜10μmが特に好ましく、0.2〜5μmがより特に好ましい。
<2−5.紫外線吸収剤>
前記紫外線吸収剤を含有する層は、目的に応じて適宜選択することができ、粘着層であってもよく、また、前記粘着層と前記金属粒子含有層との間の層(例えば、オーバーコート層など)であってもよい。いずれの場合も、前記紫外線吸収剤は、前記金属粒子含有層に対して、太陽光が照射される側に配置される層に添加されることが好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,4ドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール(チヌビン326)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジターシャリーブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記トリアジン系紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物、トリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物などが挙げられる。
前記モノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物としては、例えば、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。前記ビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロピルオキシフェニル)−6−(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス[2−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシヘプタエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。前記トリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−[1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル]−6−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−[1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−[1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル]−6−[2,4−ビス[1−(イソオクチルオキシカルボニル)エトキシ]フェニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、2−エチルヘキシルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光透明性や日射透明性が高い方が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。なお、バインダーが熱線を吸収すると、平板状金属粒子による反射効果が弱まってしまうことから、熱線源と平板状金属粒子との間に形成される紫外線吸収層としては、450nm〜1,500nmの領域に吸収を持たない材料を選択したり、該紫外線吸収層の厚みを薄くしたりすることが好ましい。
前記紫外線吸収層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、紫外線の吸収が足りなくなることがあり、1,000μmを超えると、可視光の透過率が下がることがある。
前記紫外線吸収層の含有量としては、用いる紫外線吸収層によって異なり、一概に規定することができないが、本発明の遠赤外線遮蔽材において所望の紫外線透過率を与える含有量を適宜選択することが好ましい。
前記紫外線透過率としては、5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。前記紫外線透過率が、5%を超えると、太陽光の紫外線により前記金属粒子含有層の色味が変化することがある。
<<2−6.金属酸化物粒子>>
本発明の遠赤外線遮蔽材は、長波赤外線を吸収するために、少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有することが、熱線遮蔽と製造コストのバランスの観点から、好ましい。本発明の遠赤外線遮蔽材では、前記金属酸化物粒子を含有する層(金属酸化物粒子含有層)を有することが好ましく、前記金属粒子含有層の前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が露出している方の前記金属粒子含有層の表面とは反対側の表面側に有することがより好ましい。この場合、図3Aに示すように例えばハードコート層5に金属酸化物粒子を含む態様が好ましい。また、図3Cに示すように、ハードコート層5とは別の金属酸化物粒子含有層を有し、基材1に、前記金属酸化物粒子含有層12とハードコート層が積層されていてもよい。図3Aや図3Cのような構成であると、金属粒子含有層2が太陽光などの熱線の入射方向側となるように本発明の遠赤外線遮蔽材を配置したときに、金属粒子含有層2で熱線の一部(または全部でもよい)を反射した後、ハードコート層5または金属酸化物含有層12で熱線の一部を吸収することとなり、ハードコート層5または金属酸化物粒子含有層12で吸収されずに遠赤外線遮蔽材を透過した熱線に起因して遠赤外線遮蔽材の内側で直接受ける熱量と、遠赤外線遮蔽材のハードコート層5または金属酸化物含有層12で吸収されて間接的に遠赤外線遮蔽材の内側に伝わる熱量の合計としての熱量を低減することができる。
前記金属酸化物粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と略記する。)、錫ドープ酸化アンチモン(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、ガラスセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、熱線吸収能力に優れ、銀平板粒子と組み合わせることにより幅広い熱線吸収能を有する遠赤外線遮蔽材が製造できる点で、ITO、ATO、酸化亜鉛がより好ましく、1,200nm以上の赤外線を90%以上遮蔽し、可視光透過率が90%以上である点で、ITOが特に好ましい。
前記金属酸化物粒子の一次粒子の体積平均粒径としては、可視光透過率を低下させないため、0.1μm以下が好ましい。
前記金属酸化物粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、針状、板状などが挙げられる。
前記金属酸化物粒子の前記金属酸化物粒子含有層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1g/m2〜20g/m2が好ましく、0.5g/m2〜10g/m2がより好ましく、1.0g/m2〜4.0g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.1g/m2未満であると、肌に感じる日射量が上昇することがあり、20g/m2を超えると、可視光透過率が悪化することがある。一方、前記含有量が、1.0g/m2〜4.0g/m2であると、上記2点を回避できる点で有利である。
なお、前記金属酸化物粒子の前記金属酸化物粒子含有層における含有量は、例えば、前記熱線遮蔽層の超箔切片TEM像及び表面SEM像の観察から、一定面積における金属酸化物粒子の個数及び平均粒子径を測定し、該個数及び平均粒子径と、金属酸化物粒子の比重とに基づいて算出した質量(g)を、前記一定面積(m2)で除することにより算出することができる。また、前記金属酸化物粒子含有層の一定面積における金属酸化物微粒子をメタノールに溶出させ、蛍光X線測定により測定した金属酸化物微粒子の質量(g)を、前記一定面積(m2)で除することにより算出することもできる。
<3.遠赤外線遮蔽材の製造方法>
本発明の遠赤外線遮蔽材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布方法により、前記基材の表面に前記金属粒子含有層、前記紫外線吸収層、更に必要に応じてその他の層を形成する方法が挙げられる。
−3−1.金属粒子含有層の形成方法−
本発明の金属粒子含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材などの下層の表面上に、前記平板状金属粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。遠赤外線遮蔽材を製造するとき、後述の実施例で用いた金属粒子含有層の組成とし、ラテックスを添加する等によって、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在するようにすることが好ましく、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/3の範囲に存在するようにすることがより好ましい。前記ラテックスの添加量に特に制限は無いが、例えば銀平板粒子に対して、1〜10000質量%添加することが好ましい。
なお、面配向を促進するために、平板状金属粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
−3−2.オーバーコート層の形成方法−
オーバーコート層は、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、前記紫外線吸収剤を含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
−3−3.ハードコート層の形成方法−
ハードコート層は、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、前記紫外線吸収剤を含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
−3−4.粘着層の形成方法−
前記粘着層は、塗布により形成することが好ましい。例えば、前記基材、前記金属粒子含有層、前記紫外線吸収層などの下層の表面上に積層することができる。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
−3−5.ドライラミネーションによる粘着剤層積層−
本発明の遠赤外線遮蔽材フィルムを使って、既設窓ガラスの類に機能性付与する場合は、粘着剤を積層してガラスの室内側に貼り付ける。その際、反射層をなるべく太陽光側に向けた方が発熱を防ぐことになるので、銀ナノディスク粒子層の上に粘着剤層を積層し、その面から窓ガラスへ貼合するのが適切である。
銀ナノディスク層表面への粘着剤層積層に当っては、当該表面に直接粘着剤入りの塗布液を塗工することもできるが、粘着剤に含まれる各種添加剤、可塑剤や、使用溶剤などが、場合によっては銀ナノディスク層の配列を乱したり、銀ナノディスク自身を変質させたりすることがある。そうした弊害を最小限に留めるためには、粘着剤を予め離型フィルム上に塗工及び乾燥させたフィルムを作製しておいて、当該フィルムの粘着剤面と本発明フィルムの銀ナノディスク層表面とをラミネートすることにより、ドライな状態のままの積層をすることが有効である。
<貼合せ構造体>
本発明の遠赤外線遮蔽材と、ガラス及びプラスチックのいずれかとを貼り合わせてなる貼合せ構造体を製造することができる。
前記貼合せ構造体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述のように製造した本発明の遠赤外線遮蔽材を、自動車等の乗り物用ガラスまたはプラスチックや、建材用ガラスまたはプラスチックに貼合せる方法などが挙げられる。
<遠赤外線遮蔽材及び貼合せ構造体の使用態様>
本発明の遠赤外線遮蔽材は、遠赤外線を選択的に反射または吸収するために使用される態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体、農業用フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<塗布液の調製>
−銀平板粒子含有液A−1の合成−
純水308mLに、1%のクエン酸ナトリウム水溶液24.5mLおよび8g/Lのポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液16.7mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に2.3mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を1mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液(Ag−1)363mLを攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌した後、1%のクエン酸ナトリウム水溶液24.5mLと10mMのアスコルビン酸水溶液33mLおよび純水211mLを添加した。さらに0.5mMの硝酸銀水溶液(Ag−2)199mLを攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、7.7%のヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液197mL、ならびに、平均分子量10万の不活性ゼラチン33gおよび平均分子量2万の不活性ゼラチン22gを純水480mLに溶解したゼラチン水溶液を反応釜に添加した。次に、1Nの硝酸4.4mLを添加した後、予め、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液67mL、10%硝酸銀水溶液228mLおよび純水369mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加した。この溶液を300分間攪拌して得た銀粒子分散液のうち、重量で540分の1の銀粒子分散液を採取し、別の反応釜に移した。撹拌を行いながら、採取した銀粒子分散液に、平均分子量2万の不活性ゼラチン22gを純水480mLに溶解したゼラチン水溶液を添加し、4.0%のメチルヒドロキノン水溶液197mL、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液67mL、10%硝酸銀水溶液228mLおよび純水369mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を逐次少量ずつ500分かけて添加を行った。添加終了後200分撹拌を続け、1NのNaOH145mLを加えて、銀平板粒子分散液A−1を得た。
−銀平板粒子分散液A−1の評価−
得られた銀平板粒子分散液A−1中には、平均円相当直径530nmの銀の六角平板粒子(以下、Ag六角平板粒子とも称する)が生成していることをコロジオン膜に液を滴下してSEM観察することにより確認した。また、FIBによる銀平板粒子断面切片の作成を行い、TEMによる銀平板粒子の断面観察で、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子であるAg六角平板粒子の厚みを測定したところ平均6.5nmであり、アスペクト比が82のAg六角平板粒子が生成していることが分かった。
以上の結果を下記表1に示す。
また、銀平板粒子の評価方法の詳細を以下に記載する。
(平板状金属粒子の評価方法)
−形状、平均円相当直径、変動係数−
平板状金属粒子の形状均一性は、観察したSEM画像から任意に抽出した1000個の粒子の形状を、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子(銀平板粒子)をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)を求めた。
また、同様にAに該当する粒子1000個の円相当直径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均円相当直径とした。
また、円相当直径分布の標準偏差を平均円相当直径で割った変動係数(%)を求めた。円相当直径の変動係数が小さいほど平板状金属粒子の単分散性が高い。
−平均粒子厚み−
得られた銀平板粒子分散液A−1を、シリコン基板上に平板状金属粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、収束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、該断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行った。平板状金属粒子20個に対し厚み測定を行い、その平均を平均粒子厚みとした。
−アスペクト比−
得られた平板状金属粒子(銀平板粒子)の平均円相当直径及び平均粒子厚みから、平均円相当直径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
−銀平板粒子分散液B−1の調製−
前記銀平板粒子分散液A−1(12mL)に1NのNaOHを0.5mL添加し、イオン交換水18mL添加し、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)で遠心分離を行い、Ag六角平板粒子を沈殿させた。遠心分離後の上澄み液を捨て、水を2mL添加し、沈殿したAg六角平板粒子を再分散させ、銀平板粒子分散液B−1を得た。
−銀平板粒子を含有する金属粒子含有層用の塗布液C−1の調製−
下記に示す組成の金属粒子含有層用の塗布液C−1を調製した。
金属粒子含有層用の塗布液C−1の組成:
ポリエステル水溶液:プラスコートZ687
(互応化学(株)製、固形分濃度25質量%) 1.85質量部
架橋剤A:カルボジライトV−02−L2
(日清紡(株)製、固形分濃度20質量%) 1.15質量部
架橋剤B:エポクロスK−2020E
((株)日本触媒製、固形分濃度20質量%) 0.51質量部
界面活性剤A:Fリパール8780P
(ライオン(株)製、固形分1質量%) 0.96質量部
界面活性剤B:ナロアクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%) 1.18質量部
銀平板粒子分散液B−1 32.75質量部
1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
(和光純薬(株)製、固形分2質量%) 0.62質量部
水 30.97質量部
メタノール 30質量部
−オーバーコート層用の塗布液Dの調製−
下記に示す組成のオーバーコート層用の塗布液Dを調製した。
オーバーコート層用の塗布液Dの組成:
微粒子: 4.62質量部
(コロイド状シリカ、平均粒子径40nm、商品名 スノーテックスXL、
日産化学工業(株)社製、固形分10質量%)
アクリルポリマー水分散物:AS563A
(ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%) 1.42質量部
ワックス:セロゾール524
(中京油脂(株)製、固形分3質量%) 8.36質量部
架橋剤:カルボジライトV−02−L2
(日清紡(株)製、固形分濃度20質量%) 4.98質量部
界面活性剤A:Fリパール8780P
(ライオン(株)製、固形分1質量%) 6.76質量部
界面活性剤B:ナロアクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%) 9.4質量部
ウレタンポリマー水溶液:オレスターUD350
(三井化学(株)製、固形分38質量%) 12.09質量部
水 52.37質量部
−金属酸化物粒子含有層用の塗布液Eの調製−
下記に示す組成の金属酸化物粒子含有層用の塗布液Eを調製した。
金属酸化物粒子含有層用の塗布液Eの組成:
変性ポリビニルアルコールPVA203(クラレ社製) 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
ITO粒子(三菱マテリアル社製) 35質量部
<遠赤外線遮蔽材の作製>
(熱線遮蔽フィルムの形成)
PETフィルム(東洋紡(株)製 A4300、厚み:50μm)の表面上に、金属粒子含有層用の塗布液C−1を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の厚みを適度に調整し、後述の遠赤外線遮蔽材評価において、可視光透過率が70%前後になるように塗布した。その後、130℃で1分間分間加熱し、乾燥、固化し、金属粒子含有層を形成した。
次いで、形成した金属粒子含有層の上に、オーバーコート層用の塗布液Dを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが340nmになるように塗布した。その後、130℃で1分間加熱し、乾燥、固化し、オーバーコート層を形成した。
次いで、形成したオーバーコート層の裏面、即ち、PETフィルムの塗布液C−1を塗布していない面に、金属酸化物粒子含有層用の塗布液Eを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが1.5μmになるように塗布した。
次いで、金属酸化物粒子含有層用の塗布液Eを塗布した面に、UV硬化型樹脂A(JSR製、Z7410B、屈折率1.65)を層厚みが約9μmとなるように塗布して塗布層を設けた後、この塗布層を70℃で1分間乾燥させた。次に、乾燥した塗布層に対して高圧水銀灯を用いて紫外線を照射することにより樹脂を硬化させて、金属酸化物粒子含有層上に3μmのハードコート層を形成した。これを熱線遮蔽フィルムとした。なお、塗布層に対する紫外線の照射量は、1,000mJ/cm2とした。
なお、前記平均厚みは、レーザー顕微鏡(VK−8510、キーエンス社製)を用いて塗布前と塗布後の差を厚みとして測定し、これら10点の厚みを平均することにより算出することができる。
(粘着層の貼合せ)
得られた熱線遮蔽フィルムの表面を洗浄した後、粘着層を貼り合わせた。粘着剤として、サンリッツ(株)社製PET−Wを用い、PET−Wの一方の剥離シートを剥がした面を、前記熱線遮蔽フィルムのオーバーコート層表面と貼り合わせた。
以上により、実施例1の遠赤外遮蔽材を作製した。
[実施例2〜10、比較例1〜3]
実施例1にみられる銀平板粒子含有液の合成条件(添加量・温度)を適時変更し、下記表1に見られる粒子形状を有する銀平板粒子含有液をそれぞれ調製した。それ以外の工程は実施例1と同様に行い、各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材を得た。
[評価]
<(1)反射率比B/A>
−反射スペクトルの測定−
(遠赤外領域の反射測定)
各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材について、反射スペクトルを、赤外分光機IFS66v/S(ブルカー・オプティクス社製)を用いて2000nm〜40μmの波長範囲で測定した。
(可視光領域の透過率・反射測定)
反射スペクトル及び透過スペクトルを、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて波長300nm〜800nm各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材について測定した。反射スペクトル測定には、積分球ユニット(ARV−474、日本分光株式会社製)を用い、入射光は45°偏光板を通し、無偏光とみなせる入射光とした。
得られた反射スペクトルのうち、実施例5、実施例9、実施例10について反射ピーク波長強度を1に規格化したグラフを、それぞれの遠赤外反射材の反射ピーク波長にピーク波長一致する温度720Kの輻射スペクトルを同様に規格化したグラフとあわせて、下記図6Cに記載した。
−遠赤外線反射性能の評価−
各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材の波長550nmにおける反射率A(%)に対し、波長3μm以上における最大反射率B(%)の比B/Aを計算した。
得られた結果を下記表1に記載した。
なお、反射率比B/Aが3以上であれば見た目高透明で、かつ、遠赤外線の反射能を十分にもつため、実用上好ましく用いることができる。
<(2)電波透過性の測定>
社団法人 関西電子工業振興センター(KEC)によるKEC測定法に従って、各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材について0.1MHzと2GHzにおける電波減衰率[dB]を下記の式に従って測定し、下記の基準に従って電波透過性を評価した。
電波減衰率[dB] = 20×Log10(Ei/Et)
(上記式中、Eiは入射電界強度[V/m]、Etは伝導電界強度[V/m]を表す。)
《評価基準》
○:いずれの周波数においても電波減衰率が1dB未満
×:いずれか一方の周波数において電波減衰率が1dB以上
得られた結果を下記表1に記載した。
なお、電波減衰率が小さいほど電波透過性が高いといえる。
<(3)熱輻射スペクトルの半値全幅と、遠赤外遮蔽材の半値全幅の比 WIR/Wh>
各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材の反射スペクトルの測定結果より、反射のピーク波長λIRを、および、半値全幅WIRを算出する。λIRに対応するピーク波長を有する熱輻射スペクトルの半値全幅はWh、下記関係式により算出する。
Wh=1.2×λIR−16.4[nm]
熱輻射スペクトルの半値全幅と、遠赤外遮蔽材の半値全幅との比(WIR/Wh)を上記の結果から算出する。
《判定基準》
○:(WIR/Wh)が0.8以上〜1.2以下
△:(WIR/Wh)が0.2以上〜0.8未満、または、1.2より大きい
×:(WIR/Wh)が0.2より小さい
得られた結果を下記表1に記載した。
上記表1で見られる結果の通り各実施例の遠赤外遮蔽材は反射率比B/Aが3以上であって遠赤外線の反射率が高く、高透明であり、電波透過性も良好であることが分かる。なお、各実施例および比較例の遠赤外遮蔽材における金属粒子含有層では、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の主平面が、前記金属粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±10°の範囲で面配向し、前記金属粒子含有層の厚みをdとしたとき、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/3の範囲に存在していた。ここで、平板状の金属粒子を表面偏在させるための機構は十分に解明されていないが、塗布乾燥時に液面上に金属粒子を浮かせることが必須であり、乾燥時に変化するであろう表面張力のバランスが取れていることが重要と考えている。
一方、比較例1〜3の遠赤外遮蔽材は反射率比B/Aが3未満であり、遠赤外の反射が低いか、可視光領域における透明性が悪いことが分かった。
本発明の遠赤外線遮蔽材は、遠赤外線の反射率が高く、高透明であるので、例えば自動車、バス等の乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体などとして、断熱性および電波透過性の求められる種々の部材として好適に利用可能である。
1 基材
2 金属粒子含有層
2a 金属粒子含有層の表面
3 平板状金属粒子
4 オーバーコート層
5 ハードコート層
10 遠赤外線遮蔽材
11 粘着層
12 金属酸化物粒子含有層
21 粒径分布の変動係数12.5%の実施例5の反射スペクトルを規格化したグラフ
22 粒径分布の変動係数24.7%の実施例9の反射スペクトルを規格化したグラフ
23 粒径分布の変動係数28.9%の実施例10の反射スペクトルを規格化したグラフ
24 温度720Kの輻射スペクトルを規格化したグラフ
D 直径
L 厚み
F(λ) 粒子存在域厚み

Claims (8)

  1. 少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層を有し、
    前記金属粒子含有層が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、
    遠赤外線遮蔽材の波長550nmにおける反射率A(%)に対する、波長3μm以上の赤外光領域での最大反射率B(%)の比(B/A)が3以上であることを特徴とする遠赤外線遮蔽材。
  2. 前記平板状金属粒子の平均アスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚み)が80より大きいことを特徴とする請求項1に記載の遠赤外線遮蔽材。
  3. 前記平板状金属粒子の粒径分布における変動係数が8〜30%であることを特徴とする請求項1または2に記載の遠赤外線遮蔽材。
  4. 3000〜10300nmの波長帯域に、反射スペクトルのピーク波長λIRを有し、波長λIRにピーク波長が一致する温度T[K]に相当する熱輻射スペクトル(T=280K〜950K)の半値全幅Whと、該遠赤外線遮蔽材の反射スペクトルの半値全幅WIRとの比(WIR/Wh)が0.2〜1.2の間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材。
  5. 前記(WIR/Wh)が0.8〜1.2の間であることを特徴とする請求項4に記載の遠赤外線遮蔽材。
  6. 前記平板状金属粒子が銀平板粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材。
  7. 前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子のうち、主平面が前記金属粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子の50個数%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材。
  8. さらに、金属酸化物粒子含有層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の遠赤外線遮蔽材。
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