JP2017128046A - 光学反射フィルム - Google Patents

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【課題】透明性を確保しつつ、経時的な変色や基材からの剥離等の問題の発生を抑制しうる光学反射フィルムの提供。【解決手段】樹脂基材100と、平板状金属粒子を含む熱線反射層110と、紫外線吸収層120と、をこの順に有し、紫外線吸収層120の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下であり、かつ、光学反射フィルム10の波長420〜780nmの最小透過率が40%以上であり、好ましくは、紫外線吸収層が、粘着剤を含む粘着剤層である、光学反射フィルム10。紫外線吸収層120が、インドール化合物、アゾメチン化合物、又はクマリン化合物から選択される1種以上の紫外線吸収材料を含み、その上、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、又はベンゾフェノン化合物から選択される1種以上の紫外線吸収材料を含むことが好ましく、その上、紫外線吸収材料の含有量が0.05〜15質量%であることが好ましい、光学反射フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、光学反射フィルムに関する。より詳細には、本発明は、光学反射フィルムの光学性能および耐候性を向上させるための技術に関する。
近年、建物、自動車の窓ガラス面に貼合するウインドウフィルムが多く利用されている。その中の一つには赤外線の侵入を抑え、建物室内温度が過剰に上昇するのを防ぐ機能を有するフィルムがあり、冷房の使用を低減し省エネルギー化を達成している。
赤外線をカットする方法としては、赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収層をフィルムに施す赤外線吸収タイプのフィルムと、赤外線を反射する層をフィルムに施す赤外線反射タイプのフィルムと、その両方の機能を併せ持つ方式のフィルムと、が上市されている。
赤外線吸収タイプのフィルムは、光エネルギーを熱エネルギーに変換するため、貼付したガラスの温度が上がりやすく、熱割れのリスクが高まるが、赤外線反射タイプはそのリスクが小さく適用範囲も大きくなる。
赤外線反射タイプのフィルムとしては、誘電体多層膜を積層する技術があり、塗布液を基材上にコーティングして積層する塗布法により屈折率の異なる層を交互積層したフィルム(例えば特許文献1参照)等が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の赤外線反射タイプのフィルムは、赤外反射率を高めるために積層数が多くなり、層界面が増えることでフィルムの透明性が低下したり、経時により界面が剥離したりするという問題があった。
一方、可視光透過性を上げるために、平板状金属粒子を基材上に塗布し平面状に並べることで、電波透過性の高い金属系赤外反射層を形成する技術(例えば特許文献2、3参照)が開示されている。この場合、積層数が少なくて済むため前記のような問題は起こりにくい。
特開2007−331296号公報 特開2011−252213号公報 特開2011−253094号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献2および3に記載の技術では、長時間の太陽光曝露でフィルムの透過率が低下したり、変色、基材からの剥離などの問題が発生する場合があることが判明した。
そこで本発明は、光学反射フィルムにおいて、透明性を確保しつつ、経時的な変色や基材からの剥離などの問題の発生を抑制しうる手段を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る光学反射フィルムは、樹脂基材と、平板状金属粒子を含む熱線反射層と、紫外線吸収層と、をこの順に有する光学反射フィルムであって、前記紫外線吸収層の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下であり、かつ、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が40%以上である。
本発明によれば、光学反射フィルムにおいて、透明性を確保しつつ、経時的な変色や基材からの剥離などの問題の発生を抑制することができる。
光学反射フィルムの構成を示す図である。 平板状金属粒子の主平面の上方から観察した際の形状の例(略六角形状)を示す図である。 平板状金属粒子の主平面の上方から観察した際の形状の例(略円盤形状)を示す図である。 本発明に係る光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子を含む層中の平板状金属粒子1の存在状態を示した断面概略図であり、平板状金属粒子を含む層中における平板状金属粒子の理想的な存在状態を示す図である。 本発明に係る光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子を含む層中の平板状金属粒子1の存在状態を示した断面概略図であり、基材の平面と平板状金属粒子の主平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。 本発明に係る光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子を含む層中の平板状金属粒子1の存在状態を示した断面概略図であり、平板状金属粒子を含む層の光学反射フィルムの深さ方向における存在領域を示すものである。
[光学反射フィルム]
以下、本発明に係る光学反射フィルムの具体的な実施の形態について説明する。
本発明に係る光学反射フィルムは、樹脂基材と、熱線反射層と、紫外線吸収層と、をこの順に有する。
前記熱線反射層は、平板状金属粒子を含有し、前記紫外線吸収層の波長350〜400nmの最大透過率は40%以下である。さらに、本発明に係る光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率は40%以上である。なお、各波長領域における透過率は、JIS R3106−1998に記載の方法により測定される値である。具体的には、分光光度計U−4000型(積分球使用、日立製作所社製)の波長200〜2000nm領域における透過率によって評価できる。
ここで、本発明の構成とすることによって上述した効果が得られるメカニズムは完全には明らかではないが、紫外線吸収層の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下と低いことにより、平板状金属粒子の変色を抑制することができると考えられる。また、光学反射フィルムが紫外線吸収層を有することにより、熱線反射層に含まれる平板状金属粒子への紫外線照射を低減することができる。このため、平板状金属粒子の変色や腐食を抑制し、さらには熱線反射層の変色や腐食を抑制することにより、光学反射フィルムの着色や光透過率の低下、基材からの剥離等の問題の発生を抑制することができる。
さらに、光学フィルムについて、可視光域である波長420〜780nmの最小透過率が40%以上と高いことにより、光学反射フィルムとしての透明性を確保することができる。
また、本発明に係る光学反射フィルムの紫外線吸収層には、紫外線吸収材料が含まれていることが好ましい。紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収材料には、インドール化合物、アゾメチン化合物、およびクマリン化合物から選択される1種以上が含まれていることが好ましい。以下、インドール化合物、アゾメチン化合物、およびクマリン化合物を、紫外線吸収材料群Aとする。これらの紫外線吸収材料群Aは、波長350〜400nmにおける吸収能が高い。このため、平板状金属粒子の変色の抑制に効果的である。
さらに、光学反射フィルムの紫外線吸収層には、上記紫外線吸収材料群Aから選択される1種以上の紫外線吸収材料とともに、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、及び、ベンゾフェノン化合物から選択される1種以上の紫外線吸収材料がさらに含まれていることが好ましい。以下、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、及び、ベンゾフェノン化合物を、紫外線吸収材料群Bとする。
これらの紫外線吸収材料群Bは、紫外線吸収材料群Aよりも短波長側の紫外線の吸収能が高い。このため、上述の紫外線吸収材料群Aとともに用いられることにより、より広い範囲の紫外線の吸収が可能となり、光学反射フィルムの耐候性をよりいっそう向上させることができる。
紫外線吸収層には、当該層100質量%に対して0.05〜15質量%の紫外線吸収材料が含まれることが好ましい。紫外線吸収層が、紫外線吸収材料として紫外線吸収材料群Aのみを有する場合には、紫外線吸収層に紫外線吸収材料群Aが0.05〜15質量%含まれることが好ましい。また、紫外線吸収層が、紫外線吸収材料群Aと紫外線吸収材料群Bとを有する場合には、紫外線吸収材料群Aと紫外線吸収材料群Bとの合計量として、0.05〜15質量%含まれることが好ましい。さらに、紫外線吸収材料群A及び紫外線吸収材料群B以外の紫外線吸収材料が含まれる場合には、すべての紫外線吸収材料の合計量として、0.05〜15質量%含まれることが好ましい。
光学反射フィルムが用いられる際の配置について特に制限はないが、熱線反射層よりも紫外線吸収層が光源に近い側に位置するように配置されて用いられることが好ましい。このようにして光学反射フィルムを用いることで、熱線反射層に入射する紫外線を紫外線吸収層において吸収することができ、熱線反射層に含まれる平板状金属粒子の劣化を効果的に抑制することが可能となる。
ただし、紫外線吸収層が熱線反射層の両側に設けられた構成とすることも可能である。光学反射フィルムには、反射光等が裏面側から入射する場合がある。このような場合においても、熱線反射層の裏面側に紫外線吸収層を設けることにより、熱線反射層に裏面側から入射する紫外線をも低減することができる。かような構成としては、例えば、樹脂基材/紫外線吸収層/熱線反射層/紫外線吸収層といった配置のほか、紫外線吸収層/樹脂基材/熱線反射層/紫外線吸収層といった配置や、樹脂基材(紫外線吸収材料を含む)/熱線反射層/紫外線吸収層といった配置も可能である。
また、本発明に係る光学反射フィルムでは、紫外線吸収層が粘着剤を含む構成とすることができる。すなわち、紫外線吸収層が、粘着剤を含む粘着剤層である。この場合には、紫外線吸収層を粘着剤層として機能させることが可能な光学反射フィルムが構成される。また、例えば、樹脂基材に紫外線吸収材料を含ませることにより、樹脂基材を紫外線吸収層として機能させることも可能である。このような紫外線吸収層に他の機能を付加した構成とすることにより、光学反射フィルムの層構造の簡略化が可能となる。
図1は、紫外線吸収層が粘着剤を含む粘着剤層である場合の本発明に係る光学反射フィルムの実施形態を図示した断面図である。本実施形態に係る光学反射フィルム10は、図1に示すように、樹脂基材100と、平板状金属粒子(例えば、平板状銀粒子)を含む熱線反射層110と、紫外線吸収材料および粘着剤を含む紫外線吸収層(粘着剤層)120とがこの順に積層されてなる構成を有する。かような構成を有する光学反射フィルムは、例えば窓ガラス200に対して室内側から粘着剤層を介して貼り合わせることにより用いられる。この場合、紫外線吸収層(粘着剤層)120は、熱線反射層110より光源に近い側(外光300が入射する側)に設けられることになる。以下、光学反射フィルムの構成について、構成要素ごとに説明する。
A.光学反射フィルムの構成
a.熱線反射層
本発明に係る熱線(赤外線)反射層は、平板状金属粒子を含む層であり、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。また、金属粒子の材料は、単独でもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
金属粒子の材料は、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケル、白金、マンガン、鉄、ジルコニウム、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、ゲルマニウム、鉛、アンチモン等の金属単体、またはこれら金属の合金が挙げられる。これらの中でも、銀が好ましい。すなわち、平板状金属粒子を含む層は、少なくとも平板状銀粒子を含むことが好ましい。
(平板状金属粒子)
前記平板状金属粒子としては、2つの主平面からなる粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。主平面の上方から観察した際の形状の例としては、例えば、略六角形状(図2A参照)、略円盤形状(図2B参照)、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光線透過率が高い点で、略六角形状、略円盤形状であることが好ましい。
略六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
略円盤形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、適宜選択することができる。
略六角形状または略円盤形状の平板状金属粒子の割合は、平板状金属粒子の全個数に対して、60個数%以上が好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上がさらに好ましい。前記平板状金属粒子の割合が上記の範囲であれば、可視光線透過率が向上する。
平板状金属粒子の平均粒子径は、特に制限はなく、適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲であれば、十分な赤外反射能が得られ、ヘイズが小さくなり、透明性が向上する。なお、上記平均粒子径は、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板状金属粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
平板状金属粒子を含む層には、平均粒子径が異なる2種以上の平板状金属粒子を含有することができ、この場合、平板状金属粒子の平均粒子径のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径を有していてもよい。
前記平板状金属粒子の粒度分布における変動係数は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。前記変動係数が上記範囲であれば、平板状金属粒子を含む層における赤外線の反射波長域がよりシャープになる。
ここで、前記平板状金属粒子の粒度分布における変動係数は、例えば、上記の平均粒子径の算出に用いた200個の平板状金属粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、上記の方法で得られる主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径)で割った値(%)である。
前記平板状金属粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光域長波長側から近赤外光領域での反射率が高くなる点から、2以上であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜25がさらに好ましい。前記アスペクト比が上記の範囲であれば、赤外反射率が大きくなり、ヘイズが小さくなりうる。なお、アスペクト比は、平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)(L)を平板状金属粒子の平均粒子厚み(d)で除算した値(L/d)を意味する(図2Aおよび図2B参照)。平均粒子厚みは、平板状金属粒子の主平面間距離に相当し、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に平板状金属粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、平板状金属粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
平板状金属粒子を含む層における平板状金属粒子の含有量(付き量)は、0.01〜1g/mであることが好ましく、0.02〜0.5g/mであることがより好ましい。
(平板状金属粒子の製造方法)
前記平板状金属粒子の製造方法としては、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性との観点から、化学還元法、光化学還元法などが好ましい。六角形状または三角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム、Br、Cl等のハロゲンイオンなどの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、または加熱によるエージング処理を行うことにより、六角形状または三角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、略六角形状または略円盤形状の平板状金属粒子を得てもよい。
なお、前記平板状金属粒子の製造方法としては、上記の他、予めフィルムやガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させる方法であってもよい。
前記平板状金属粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。このような処理としては、特に制限はなく、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
前記平板状金属粒子は、可視光域透明性をさらに高めるために、可視光域での透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、例えば、TiO、BaTiO、ZnO、SnO、ZrO、NbOなどが挙げられる。
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているような、テトラブトキシチタンを加水分解することにより平板状金属粒子の表面にTiO層を形成する方法であってもよい。
また、前記平板状金属粒子に直接高屈折率シェル層を形成することが困難な場合は、前記の通り平板状金属粒子を合成した後、適宜SiOやポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に金属酸化物層を形成してもよい。TiOを高屈折率シェル層の材料として用いる場合には、TiOが光触媒活性を有することから、平板状金属粒子を分散するマトリックスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて平板状金属粒子にTiO層を形成した後、適宜SiO層を形成してもよい。
前記平板状金属粒子は、該平板状金属粒子を構成する銀などの金属の酸化を抑制するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が平板状金属粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素の透過を抑制する目的として、SiOなどの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
前記平板状金属粒子は、分散性付与を目的として、N元素、S元素、P元素を含む低分子量分散剤、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
(面配向)
前記平板状金属粒子を含む層において、平板状金属粒子は、その主平面が基材の表面に対して所定の範囲で面配向することが好ましい。
前記平板状金属粒子は、赤外反射率を高めるという観点から、基材平面に対して略水平に偏在していることが好ましい。
このような面配向としては、平板状金属粒子の主平面と、基材の表面とが、所定の範囲内で略平行になっている態様であれば、特に制限はないが、好ましい面配向の角度は0°〜±40°であり、より好ましくは0°〜±30°であり、さらに好ましくは0°〜±20°、特に好ましくは0°〜±5°である。上記の範囲であれば、赤外反射率が向上する。
ここで、図3A〜図3Cは、本発明に係る光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子を含む層2中の平板状金属粒子1の存在状態を示した断面概略図である。図3Aは、平板状金属粒子を含む層2中における平板状金属粒子1の理想的な存在状態を示す図である。図3Bは、基材3の平面と平板状金属粒子1の主平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図3Cは、平板状金属粒子を含む層2の光学反射フィルムの深さ方向における存在領域を示すものである。
図3Bにおいて、基材1の表面と、平板状金属粒子3の主平面または主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。すなわち、面配向とは、光学反射フィルムの断面を観察した際、図3Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図3Aは、基材1の表面と平板状金属粒子3の主平面とのなす角度(θ)が0°である状態を示す。基材1の表面に対する平板状金属粒子3の主平面の面配向の角度、すなわち、図3Bにおけるθが好ましくは±40°以内、より好ましくは±30°以内であれば、光学反射フィルムの所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が向上し、ヘイズが小さくなるため好ましい。
(面配向の評価方法)
前記基材の表面に対して平板状金属粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価方法としては、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における基材および平板状金属粒子を観察して評価する方法が挙げられる。具体的には、光学反射フィルムを、剃刀、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)等を用いて光学反射フィルムの断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
前記光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子を被覆するバインダが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。また、光学反射フィルムにおいて平板状金属粒子を被覆するバインダが水で膨潤しない場合は、断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製してもよい。
前記の通り作製した断面サンプルまたは断面切片サンプルの観察方法は、サンプルにおいて基材の表面に対して平板状金属粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、例えば、SEM、FE−SEM、透過型電子顕微鏡(TEM)、光学顕微鏡などを用いた観察方法が挙げられる。前記断面サンプルの場合はFE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合はTEMにより、それぞれ観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、平板状金属粒子の形状と傾角(図2Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
(平板状金属粒子の存在範囲)
本発明に係る光学反射フィルムにおいて、図3Cに示すように、平板状金属粒子を含む層2における平板状金属粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、平板状金属粒子を含む層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記平板状金属粒子を含む層2が、光学反射フィルムの水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲であれば、光学反射フィルムの表面および裏面のそれぞれの空気界面での反射波の位相が強めあう効果が大きくなり、可視光線透過率および赤外最大反射率が向上しうる。
本発明に係る平板状金属粒子を含む層における平板状金属粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はないが、赤外反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光域のヘイズ(散乱性)を低くする点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
平板状金属粒子を含む層における媒質としては、特に制限はなく、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子などの高分子、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
前記媒質の屈折率(n)は、1.4〜1.7であることが好ましい。
(平板状金属粒子の面積率)
本発明に係る光学反射フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する、平板状金属粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕は、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。前記面積率が、上記範囲であれば、赤外線の最大反射率が向上し、遮熱効果が十分に得られる。
面積率の上限値は、特に制限されないが、例えば、展望台のガラスなどの透明性が必要な用途では、該上限値は90%未満であることが好ましい。また、自動車用ガラスなどの電磁波シールド性が必要な用途では、該上限値は100%以下であることが好ましい。
ここで、前記面積率は、例えば、光学反射フィルムを積層方向から見て、SEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
(平板状金属粒子の平均粒子間距離)
本発明に係る平板状金属粒子を含む層における水平方向に隣接する平板状金属粒子の平均粒子間距離は、可視光線透過率および赤外線の最大反射率の観点から、平板状金属粒子の平均粒子径の1/10以上であることが好ましい。
平板状金属粒子の水平方向の平均粒子間距離が、上記の範囲であれば、赤外線の最大反射率が向上する。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の観点から、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムであれば、可視光線の吸収が起こりにくく、可視光線透過率が向上する。
ここで、前記平板状金属粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の平板状金属粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
本発明に係る光学反射フィルムにおいて、平板状金属粒子は、図3A〜図3Cに示すように、平板状金属粒子を含む層の形態で配置される。
平板状金属粒子を含む層は、図3A〜図3Cに示すように、単層で構成されてもよく、複数の層で構成されてもよい。複数の層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
b.紫外線吸収層
光学反射フィルムは、熱線反射層の樹脂基材が配置された側とは反対の側に、少なくとも1層の紫外線吸収層を備える。図1に示すように、光学反射フィルムにおいて、紫外線吸収層は熱線反射層より光源に近い側に設けられていることが好ましい。
紫外線吸収層は、紫外線吸収材料を含む。紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収材料としては、波長380〜400nmに吸光度0.5以上の吸収スペクトルのピークを有する紫外線吸収材料を含むことが好ましい。なお、以下の説明では、特定の波長領域に吸光度0.5以上の吸収スペクトルのピークを有することを、その波長領域において吸収領域を有すると表記する。
波長380〜400nmに吸収領域を有する上記紫外線吸収材料を含むことにより、紫外線吸収層120の波長350〜400nmの最大透過率を40%以下とすることができる。
波長380〜400nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料としては、上記で「紫外線吸収材料群A」として挙げた、インドール化合物、アゾメチン化合物、およびクマリン化合物、が挙げられる。紫外線吸収層には、紫外線吸収材料群Aから選択される1種以上が含まれていることが好ましい。
紫外線吸収層の厚さは、1μm〜30μmであることが好ましい。厚さを1μm以上とすることにより、紫外線吸収層120の成膜性が向上するとともに、紫外線吸収層120に要求される紫外線の吸収能力を容易に付加することができる。また、厚さが30μm以下であれば、コストの高騰が防止でき、作製の際の乾燥工程も短時間で済むという利点がある。
以下、紫外線吸収材料群Aのインドール化合物、アゾメチン化合物、およびクマリン合物の好ましい形態について説明する。
(インドール化合物)
インドール化合物は、下記(化学式1)で示されるインドール骨格を持つ化合物である。
紫外線吸収層に含まれるインドール化合物としては、下記(化学式2)で示される化合物であることが好ましい。
(化学式2)において、Rは、炭素数が1〜10のアルキル基、又は、炭素数が7〜10のアラルキル基である。炭素数が1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。また、炭素数が7〜10のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基を挙げることができる。
(アゾメチン化合物)
紫外線吸収層に含まれるアゾメチン化合物としては、下記(化学式3)で示されるアゾメチン骨格を有する化合物が好ましい。
(化学式3)において、R、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、複素環式化合物であり、R’は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、複素環式化合物である。
また、紫外線吸収層120に含まれるアゾメチン化合物としては、下記(化学式4)で示される構造の化合物が好ましい。
(クマリン化合物)
紫外線吸収層に含まれるクマリン化合物は、下記(化合物5)で示すクマリン骨格を有する化合物である。
紫外線吸収層に含まれるクマリン化合物の好ましい例としては、7−ジエチルアミノ−4−メチル−クロメン−2−オン、7−ジエチルアミノ−4a,8a−ジヒドロ−クロメン−2−オン、7−ジエチルアミノ−3−チオフェン−2−イル−クロメン−2−オン、7−ジメチルアミノ−2−オキソ−2H−クロロメン−3−カルボニトリル、3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−7−ジエチルアミノ−クロメン−2−オン、1,1,6,6,8−ペンタメチル−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H,4H−11−オキサ−3a−アザ−ベンゾ[デ]アントラセン−10−オン等が挙げられる。
また、光学反射フィルムの変色という観点からは、紫外線吸収層には、上述の波長380〜400nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料とともに、この範囲よりも短波長側に吸収領域を有する紫外線吸収材料を含むことが好ましい。波長380〜400nmよりも短波長側に吸収領域を有する紫外線吸収材料としては、例えば、波長300〜350nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料を用いることが好ましい。このような、波長300〜350nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料としては、上記で「紫外線吸収材料B」として挙げた、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、およびベンゾフェノン化合物が挙げられる。紫外線吸収層には、上記紫外線吸収材料群Aから選択される1種以上の紫外線吸収材料とともに、紫外線吸収材料群Bから選択される1種以上の紫外線吸収材料をさらに含むことが好ましい。紫外線吸収材料群Bの各化合物としては、紫外線吸収剤として用いられている公知の材料を用いることができる。
紫外線吸収層には、0.05〜15質量%の紫外線吸収材料が含まれることが好ましい。さらに、1〜10質量%の紫外線吸収材料が含まれることが好ましい。
なお、紫外線吸収層において、紫外線吸収材料として紫外線吸収材料群Aのみを有する場合には、紫外線吸収層120に紫外線吸収材料群Aが上記の範囲で含まれることが好ましい。また、紫外線吸収層120に紫外線吸収材料群Aと紫外線吸収材料群Bとが含まれる場合には、紫外線吸収材料群Aと紫外線吸収材料群Bとの合計が上記の範囲となることが好ましい。さらに、紫外線吸収層120に紫外線吸収材料群A及び紫外線吸収材料群B以外の紫外線吸収材料が含まれる場合には、これらすべての紫外線吸収材料の合計が上記の範囲となることが好ましい。
(紫外線吸収層;他の構成)
紫外線吸収層には、上述の紫外線吸収材料の他に、紫外線吸収材料の媒体となる高分子材料を含むことが好ましい。紫外線吸収層の媒体となる高分子材料としては、水溶性高分子を用いることができる。水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、増粘多糖類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、塗布性や膜厚均一性(ヘイズ)等の観点から、ポリビニルアルコール類である、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの誘導体を含むことが好ましい。水溶性高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、水溶性高分子は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
また、紫外線吸収層には、紫外線吸収層の耐候性をさらに向上させるためにヒンダードアミン系の光安定化剤が添加されていることが好ましい。ヒンダードアミン光安定化剤は、高分子の樹脂化合物の劣化や着色を抑制することができるため、光学反射フィルムの着色を低く抑制することができる。ヒンダードアミン系添加剤の添加量としては、紫外線吸収層120中に0.05〜10質量%含まれていることが好ましい。
また、図1に示すように、紫外線吸収層は、粘着剤等の粘着性を有する材料を含むことにより、光学反射フィルムの粘着剤層を兼ねる構成とすることもできる。紫外線吸収層を粘着剤層として機能させる場合には、光学反射フィルム10の最外層に紫外線吸収層を設けることが好ましい。また、紫外線吸収層を粘着剤層として機能させる場合には、公知の剥離紙が粘着剤層上にさらに設けられていてもよい。
粘着性を有する材料としては、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等を挙げることができる。なかでも、粘着剤層は、粘着性を有する材料として粘着剤を含むことが好ましい。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤等を挙げることができる。特に、光学反射フィルムを窓ガラスに貼り合わせて用いる用途においては、窓に水を吹き付け、濡れた状態のガラス面に光学反射フィルムの粘着剤層側を貼り合わせる方法、いわゆる水貼り法が好適に用いられる。そのため、水が存在する湿潤下で粘着力が弱いアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収層が粘着剤層を兼ねる場合には、厚さが1〜30μmの範囲であることが好ましく、5〜20μmの範囲がさらに好ましい。粘着力は粘着剤層の厚さに依存するため、粘着剤層の厚みはある程度必要である。粘着剤層の厚さがが1μm以上であれば、ガラス等との接着面での接触が十分に確保され、必要な粘着力が得られうる。また、粘着剤層の厚みが30μm以下であれば、コストの高騰が防止され、ガラスに貼り付けた後、剥がした時の凝集破壊による粘着剤の残存も抑制されうる。
c.樹脂基材
光学反射フィルムにおいて、樹脂基材は、透明の有機材料で形成された基材であれば、特に限定されるものではない。樹脂基材としては、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース、ポリイミド、ポリブチラールフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、透明なセルロースナノファイバーフィルム等の各樹脂基材を挙げることができる。さらに、これらの樹脂基材を2層以上積層して用いることもできる。
樹脂基材としては、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。特に、ポリエステルフィルムの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの観点から、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分と、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分とを主要な構成成分とするフィルム形成性を有することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステル、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、及び、これらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とすることが好ましい。
また、樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
基材の厚さは5〜200μmの範囲が好ましく、更に好ましくは15〜150μmである。
樹脂基材は、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。樹脂基材の透過率を高めることにより、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率を高めることができる。
樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。また、未延伸の樹脂基材から、一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法を用いて、延伸フィルムを作製することもできる。この場合の延伸倍率は、原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、樹脂基材は、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理が行われていてもよい。弛緩処理はポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又は、テンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された樹脂基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、更に寸法安定性が良好になる。
また、樹脂基材に、上述の紫外線吸収材料が含まれていてもよい。この場合には、樹脂基材を紫外線吸収層として機能させることも、樹脂基材と紫外線吸収層とを併用する構成とすることもできる。例えば、熱線反射層の一方の側に紫外線吸収層が設けられ、他方の側に紫外線吸収材料を含む樹脂基材が設けられた構成とすることができる。
このように、紫外線吸収材料を含む層で熱線反射層を挟持することにより、紫外線吸収層側から入射する直接的な光だけでなく、乱反射等により樹脂基材側から入射する反射光に対しても、熱線反射層の変色を抑制することが可能となる。
B.光学反射フィルムの製造方法
次に、上述の光学反射フィルムの製造方法について説明する。光学反射フィルムは、樹脂基材上に、熱線反射層を形成する工程と、紫外線吸収層を形成する工程とからなる。
a.熱線反射層形成工程
(平板状金属粒子を含む層の形成方法)
本発明に係る熱線反射層、すなわち平板状金属粒子を含む層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができる。例えば、上記成分を配合してなる平板状金属粒子を含む塗布液を塗布する塗布法により好適に形成することができる。具体的には、上記(平板状金属粒子の製造方法)において説明した手法で製造した平板状金属粒子を適当な溶媒に加えて塗布液を調製し、当該塗布液を塗布する際の膜厚(乾燥していない状態での膜厚)を、ワイヤーバー等を用いて調整することにより、面積率Cを所望の範囲となるように制御することができる。 前記塗布法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、エクストルージョンコート法、バーコート法、ダイコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
また、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法により平板状金属粒子を面配向させる方法も用いられうる。
平板状金属粒子を面配向させる方法として、平板状金属粒子の基材への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して、面配向させる方法を採用してもよい。具体的には、平板状金属粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、基材の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で基材表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法であってもよい。また、平板状金属粒子の表面が親水性である場合は、基材の表面をブロックコポリマーやマイクロコンタクトスタンプ法などにより、親疎水性の海島構造を形成しておき、親疎水相互作用を利用して面配向性と平板状金属粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
なお、面配向を促進するために、平板状金属粒子を含む塗布液を塗布後、カレンダーローラーやラミローラー等の圧着ローラーに通すことを行ってもよい。
平板状金属粒子を含む層の厚みは、特に制限はないが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましい。
b.紫外線吸収層形成工程
紫外線吸収層は、紫外線吸収層塗布液を調製した後、塗布液を塗布、及び、乾燥させることにより作製することができる。
紫外線吸収層塗布液の調製方法は、特に制限されず、上述の紫外線吸収材料、水溶性高分子、溶媒、及び、必要に応じて添加される添加剤や粘着剤等を、撹拌混合する方法が挙げられる。混合の際、各成分の添加順は特に限定されず、撹拌しながら各成分を順次混合してもよいし、一度に混合して撹拌してもよい。これらの各塗布液は、溶媒の量を調整することにより、適当な粘度に調整する。
塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されず、水、有機溶媒、又は、これらの混合溶媒を用いることが好ましい。また、有機溶媒の飛散による環境面を考慮すると、水、又は、水と少量の有機溶媒との混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。
紫外線吸収層塗布液の塗布方法としては、公知の方法が使用できる。例えば、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法等が好ましく挙げられ、単独または組合せて用いることができる。また、紫外線吸収層塗布液の塗布方法としては、熱線反射層の形成に用いることのできる湿式塗布方式を用いて、直接上熱線反射層に塗布してもよい。
また、紫外線吸収層が粘着層を兼ねる構成の場合には、直接熱線反射層上に塗布する他に、一度剥離紙に塗布して乾燥させた後、紫外線吸収層を熱線反射層上に転写させてもよい。
塗布膜の乾燥は、乾燥温度や時間は特定されないが、乾燥後の紫外線吸収層に残留する溶剤は少ない方が好ましい。このため、50〜150℃の温度で、10秒〜5分の乾燥を行なうことが好ましい。また、紫外線吸収層塗布液に粘着剤が含まれる場合には、粘着剤が流動性を有するため、安定した粘着力を得るために養生が必要である。一般的には、室温で約1週間以上、加熱した場合、例えば、50℃位であると3日以上が好ましい。加熱の場合、温度を上げすぎると樹脂基材の平面性が悪化することがあるため、できるだけ低温で行なうことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
[実施例1]光学反射フィルム1の作製
A.平板状銀粒子を含む層の形成
a.熱線反射層用塗布液の作製
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに、0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
次に、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mLにイオン交換水87.1mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、前記種溶液を42.4mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mmLを10mL/minで攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。
この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLとを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。前記白色沈殿物混合液を添加した後すぐに、0.17MのNaOH水溶液72mLを添加した。このとき、pHが10を超えないように添加速度を調節しながらNaOH水溶液を添加した。これを300分攪拌し、平板状銀粒子が分散した液(平板状銀粒子含有塗布液)を得た。
b.樹脂基材への熱線反射層の形成
50μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、A4300:両面易接着層)上に、上記で得られた平板状銀粒子含有塗布液を、上記のようにして求めた面積率が20%になるように、また乾燥膜厚が5μmとなるようにワイヤーバーにより塗布し、120℃の乾燥温度で2分間乾燥し、熱線反射層(平板状銀粒子を含む層)を形成した。なお、本実施例において、膜厚の測定は断面TEM観察により行った。
(平板状銀粒子の配向角の評価)
上記で作製した熱線反射層を有するフィルムを、エポキシ樹脂で包埋処理した後、液体窒素で凍結した状態で、剃刀で割断し、フィルムの垂直方向断面試料を作製した。この垂直方向断面試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、100個の平板状銀粒子について、基材の水平面に対する傾角(絶対値)を平均値として算出した。
B.剥離紙への粘着層の形成
a.粘着層塗布液Aの組成
粘着剤として日本合成化学工業製 N−2147(固形分35%)を100質量部、紫外線吸収材料としてオリヱント化学工業製のBONASORB−3911(固形分100%)(インドール化合物)を0.89質量部、および、イソシアネート系硬化剤である日本ポリウレタン工業製のコロネートHL(固形分75%)を1.0質量部混合して粘着剤層塗布液を調製した。なお、この粘着剤層塗布液は、形成後の粘着剤層に上記の紫外線吸収材料が2質量%含まれるように調整した。
b.粘着剤層の作製
上記粘着剤層塗布液Aを、剥離紙(中本パックス製セパレータ NS23MA)のシリコーン離型面に対して、コンマコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗工し、90℃、1分間乾燥して粘着剤層を形成した。
この粘着剤層に、上記で作製した熱線反射層を有するフィルムの熱線反射層側を貼りあわせ、熱線反射層上に粘着剤層を形成した。
以上のようにして、樹脂基材、熱線反射層、粘着剤層(紫外線吸収剤含有)、剥離紙がこの順で積層されてなる光学反射フィルム1を作製した。
[実施例2]光学反射フィルム2の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、熱線反射層の乾燥膜厚を12μmとした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム2を作製した。
[実施例3]光学反射フィルム3の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層(紫外線吸収層)の厚さを30μmとした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム3を作製した。
[実施例4]光学反射フィルム4の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層(紫外線吸収層)の厚さを35μmとした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム4を作製した。
[実施例5]光学反射フィルム5の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層(紫外線吸収層)の厚さを1μmとした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム5を作製した。
[実施例6]光学反射フィルム6の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層(紫外線吸収層)の厚さを0.5μmとした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム6を作製した。
[実施例7]光学反射フィルム7の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層中の紫外線吸収剤含有量を15.0質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム7を作製した。
[実施例8]光学反射フィルム8の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層中の紫外線吸収剤含有量を0.1質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム8を作製した。
[実施例9]光学反射フィルム9の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層中の紫外線吸収剤含有量を0.05質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム9を作製した。
[実施例10]光学反射フィルム10の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層中の紫外線吸収剤含有量を0.02質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム10を作製した。
[実施例11]光学反射フィルム11の作製
上述の光学反射フィルム10の作製において、粘着剤層(紫外線吸収層)の厚さを35μmとした以外は、上述の光学反射フィルム10と同様の方法で光学反射フィルム11を作製した。
[実施例12]光学反射フィルム12の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物の代わりにクマリン化合物(S2142、Few Chemicals製)を使用した以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム12を作製した。
[実施例13]光学反射フィルム13の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物の代わりにアゾメチン化合物(BONASORB−3701、オリヱント化学工業製)を使用した以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム13を作製した。
[実施例14]光学反射フィルム14の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物(BONASORB−3911)を2質量%、トリアジン化合物(Tinuvin477、BASF製)を6質量%使用し、粘着層中の紫外線吸収剤含有量を8.0質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム14を作製した。
[実施例15]光学反射フィルム15の作製
上述の光学反射フィルム14の作製において、粘着層(紫外線吸収層)の厚さを0.5μmとした以外は、上述の光学反射フィルム14と同様の方法で光学反射フィルム15を作製した。
[実施例16]光学反射フィルム16の作製
上述の光学反射フィルム14の作製において、紫外線吸収剤としてトリアジンの代わりにベンゾトリアゾール化合物(Tinuvin234、BASF製)を使用した以外は、上述の光学反射フィルム14と同様の方法で光学反射フィルム16を作製した。
[実施例17]光学反射フィルム17の作製
上述の光学反射フィルム14の作製において、紫外線吸収剤としてトリアジンの代わりにベンゾフェノン化合物(LA−1413、ADEKA製)を使用した以外は、上述の光学反射フィルム14と同様の方法で光学反射フィルム17を作製した。
[比較例1]光学反射フィルム101の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、粘着剤層中の紫外線吸収剤の含有量を17質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム101を作製した。
[比較例2]光学反射フィルム102の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物の代わりにトリアジン化合物(Tinuvin477、BASF製)を使用したこと、および、粘着剤層中の紫外線吸収剤の含有量を5質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム102を作製した。
[比較例3]光学反射フィルム103の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物の代わりにベンゾトリアゾール化合物(Tinuvin234、BASF製)を使用したこと、および、粘着剤層中の紫外線吸収剤の含有量を5質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム103を作製した。
[比較例4]光学反射フィルム104の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤としてインドール化合物の代わりにベンゾフェノン化合物(LA−1413、ADEKA製)を使用したこと、および、粘着剤層中の紫外線吸収剤の含有量を5質量%とした以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム104を作製した。
[比較例5]光学反射フィルム105の作製
上述の光学反射フィルム1の作製において、紫外線吸収剤を使用しなかったこと以外は、上述の光学反射フィルム1と同様の方法で光学反射フィルム105を作製した。
C.評価方法
[粘着剤層(紫外線吸収層)の紫外線透過率]
熱線反射層と貼りあわせる前の粘着剤層(紫外線吸収層)と剥離紙との積層体を試料として、JIS R3106−1998に準拠した方法により、分光光度計U−4000型(積分球使用、日立製作所社製)を用いて、波長350〜400nmの領域における各試料の粘着剤層(紫外線吸収層)の最大透過率(%)を求めた。
[光学反射フィルムの可視光透過率]
光学反射フィルムを試料として、JIS R3106−1998に準拠した方法により、分光光度計U−4000型(積分球使用、日立製作所社製)を用いて、波長420〜780nmの領域において、各試料の光学反射フィルムの最小透過率(%)を求めた。
[初期可視光透過率]
光学反射フィルムの透明性を、JIS R3106−1998に準拠した方法により、分光光度計U−4000型(積分球使用、日立製作所社製)を用いた波長200〜2000nmの領域の透過率によって評価した。この透過率が65%未満の場合、光学反射フィルムの透明性が悪いと言える。
[変色度(ΔE);耐候性試験]
厚さ3mmの青色ガラスに、光学反射フィルムの各試料を、剥離紙を剥離した後に粘着剤層を介して貼り付けた。この試料に対し、30℃60%RHの条件で、試料の青色ガラス側からキセノンウェザーメーター(スガ試験機社製;太陽光に極めて近似した光を発する)を用いて100W/mの強度のキセノン光を2000時間曝露し、曝露前後での透過光の差異から色差(ΔE)を計算した。このΔEの値が小さいほど、キセノン光曝露による着色の程度が小さいことを意味する。具体的には、ΔEの値が4以上の場合、光学反射フィルムの変色耐性が悪いと言える。
[剥離試験]
光学反射フィルム試料の剥離試験を、耐候性試験後に実施した。直径10mmのマンドレルをセットした1506マンドレル屈曲試験機(Elcometer社製)を用い、樹脂基材が内側になるようにして各光学反射フィルム試料を屈曲した。この後、JIS−K5600−5−6:1999のクロスカット法に従い、外側に配置した面の最表面に、片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で2mm間隔のクロスカットを行い、10mm角の碁盤目を作製した。日東電工社製のセロハンテープNo.29を貼り付けて、テープをはがし、膜の剥離状態を調べた。クロスカットしたマス目の数をn、テープ剥離後に光学反射フィルム側に膜が残っているマス目の数をn1としたとき、F=(n1/n)×100(%)を計算した。各試料10枚の平均値に基づき、以下の基準で光学反射フィルムのテープ剥離を評価した。なお、実使用においては、Fが70%以上であれば層間密着性が確保されていると言える。
4:F≧90%
3:90%>F≧80%
2:80%>F≧70%
1:70%>F
[熱線遮蔽性能]
遮熱性能評価:同上で作製したサンプルを、分光光度計U−4000型(積分球使用、日立製作所社製)の200〜2000nm領域における透過率からJIS5759記載の方法に基づき、日射反射率を求めた。遮熱性能はこの反射率が大きいほど良い。
4:反射率20%以上
3:反射率17%以上20%未満
2:反射率13%以上17%未満
1:反射率13%未満
光学反射フィルムについて、各評価結果を表1に示す。
表1に示すように、紫外線吸収層(粘着層)の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下、且つ、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が40%以上を満たす実施例1〜17の光学反射フィルムは、上記条件の満たさない比較例1〜5に比べて光学反射フィルムの変色度が小さい。
この結果から、光学反射フィルムが上記条件を満たす紫外線吸収層を有することにより、熱線反射層に含まれる平板状金属粒子の変色を抑制し、光学反射フィルムの光透過特性の低下を抑制することができることがわかる。
波長380〜400nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料(インドール化合物)とともに、波長380〜400nmよりも短波長側に吸収領域を有する紫外線吸収材料(トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物)が用いられているフィルム16、17、14は、光学反射フィルムの変色度が非常に小さい。このように、波長380〜400nmに吸収領域を有する紫外線吸収材料と、波長380〜400nmよりも短波長側に吸収領域を有する紫外線吸収材料とを併用することにより、光学反射フィルムの変色を抑制することができ、光学反射フィルムの光学特性の低下を抑制することができる。
フィルム1、3〜6の結果から、紫外線吸収材料の含有量(質量百分率)が同じであれば、紫外線吸収層(粘着剤層)も厚さが薄いと紫外線吸収層に含有される紫外線吸収材料の絶対量が少なくなるため変色度が悪化し、厚さが厚いと初期可視光透過率が低下する傾向にある。また、フィルム14とフィルム15の結果から、紫外線吸収材料を複数種類用いた場合にも、紫外線吸収層(粘着剤層)も厚さが薄いと変色度が悪化している。この結果から、光学反射フィルムの変色度と可視光透過率との両立を容易とするためには、紫外線吸収層の厚さを1〜30μmとすることが好ましい。
また、フィルム1、およびフィルム7〜10の結果から、紫外線吸収層(粘着剤層)の厚さが同じであれば、紫外線吸収材料の含有量が少ないと変色度が悪化し、含有量が多いと初期可視光透過率が低下する傾向にある。このため、光学反射フィルムの変色度と可視光透過率との両立を容易とするためには、紫外線吸収層の含有量を0.05〜15質量%とすることが好ましい。
紫外線吸収材料として、クマリン化合物、または、アゾメチン化合物を用いたフィルム12、フィルム13においても、紫外線吸収材料としてインドール化合物を用いたフィルム1と同様の結果が得られた。この結果から、紫外線吸収層(粘着剤層)の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下、且つ、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が40%以上を満たす構成であれば、紫外線吸収材料の種類を問わず、光学反射フィルムに用いることができる。
一方で、紫外線吸収材料としてそれぞれトリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、およびベンゾフェノン化合物を用いたフィルム102〜104において、紫外線吸収層(粘着剤層)の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下、且つ、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が40%以上を満たすことにより、光学反射フィルムとして十分な可視光透過率が得られているが、変色度が悪い。この結果から、紫外線吸収材料A群を有していない構成であるため、熱線反射層に含まれる平板状金属粒子の変色が大きく、光学反射フィルムの光学特性が大きく低下してしまう。
フィルム101は、紫外線吸収材料の含有量が過剰であるため、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が37%と低い値である。このため、初期可視光透過率が低く、光学反射フィルムとして十分な透明性が確保できていない。
特に、粘着剤層に紫外線吸収材料を含有していないフィルム105は、初期可視光透過率が高いものの、変色度が最も悪い。即ち、紫外線吸収材料を有していない構成であるため、熱線反射層に含まれる平板状金属粒子の変色が大きく、光学反射フィルムの光学特性が大きく低下してしまう。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 光学反射フィルム、
100 樹脂基材、
110 熱線反射層、
120 紫外線吸収層(粘着剤層)、
200 窓ガラス、
300 入射光。

Claims (6)

  1. 樹脂基材と、平板状金属粒子を含む熱線反射層と、紫外線吸収層と、をこの順に有する光学反射フィルムであって、前記紫外線吸収層の波長350〜400nmの最大透過率が40%以下であり、かつ、光学反射フィルムの波長420〜780nmの最小透過率が40%以上である、光学反射フィルム。
  2. 前記紫外線吸収層が、インドール化合物、アゾメチン化合物、およびクマリン化合物から選択される1種以上の紫外線吸収材料を含む、請求項1に記載の光学反射フィルム。
  3. 前記紫外線吸収層が、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、およびベンゾフェノン化合物から選択される1種以上の紫外線吸収材料をさらに含む、請求項2に記載の光学反射フィルム。
  4. 前記紫外線吸収層における紫外線吸収材料の含有量が0.05〜15質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  5. 前記紫外線吸収層の厚さが1〜30μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
  6. 前記紫外線吸収層が、粘着剤を含む粘着剤層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学反射フィルム。
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