以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明を詳細に説明する。本発明に係る液晶パネルの層構成と軸角度の関係を図1に分解斜視図で示す。図1を参照して、本発明が適用される液晶パネルは、表示面が長方形である液晶表示用ガラスセル10(以下、単に「液晶セル」と呼んだり「ガラスセル」と呼んだりすることもある)の片面に、第一の粘着剤層31を介して第一の偏光板21が貼着され、液晶セル10の他面には、第二の粘着剤層32を介して第二の偏光板22が貼着されたものである。これら一対の偏光板21,22は、クロスニコルとなるように、すなわち両者の吸収軸21A,22Aが直交するように配置され、かつ第一の偏光板21は、その吸収軸21Aが液晶セル10の長辺10Aに対して45°となるように配置されている。したがって、第二の偏光板22は、その吸収軸22Aが液晶セル10の長辺10Aに対して135°となるように配置されている。
第一の偏光板21を液晶セル10に貼着するための第一の粘着剤層31及び第二の偏光板22を液晶セル10に貼着するための第二の粘着剤層32のうち、少なくとも一方は、特定のアクリル樹脂(A)100重量部に対して架橋剤(B)を 0.01〜5重量部含有する粘着剤組成物から形成し、かつそのゲル分率が50〜99重量%となるようにする。
このような、第一の偏光板21はその吸収軸21Aが液晶セル10の長辺10Aに対して45°になるように配置され、第二の偏光板22はその吸収軸22Aが液晶セル10の長辺10Aに対して135°になるように配置された液晶パネルに対して、本発明で規定する粘着剤組成物から形成される粘着剤層を適用することが特に有効であることが見出された。液晶セル10の両面に配置される粘着剤層31,32のうち、少なくとも一方を、上記した特定の粘着剤組成物から形成し、かつゲル分率が特定範囲となるようにすることで、所期の効果が発現されるが、先にも述べたように、液晶セル10の両面に配置される粘着剤層31,32の両方をこのようなもので構成することが、白ヌケ抑制の観点からは好ましい。
以下、本発明の液晶パネルを構成する各部材について、液晶表示用ガラスセル10から順に説明を進めていく。
[液晶表示用ガラスセル]
液晶表示用ガラスセル10は、2枚の透明ガラス基板11,12で構成され、その間に液晶(図示略)を挟持したものである。2枚のガラス基板11,12の間に封入される液晶は、その配向方式によって、ねじれネマチック(Twisted Nematic :TN)、垂直配向(Vertical Alignment:VA)、横電界(In-Plane Switching:IPS)など、各種の方式のものがある。本発明は、一対の偏光板が液晶セルの上下でクロスニコルに配置され、かつ一方の偏光板の吸収軸がガラスセルの長辺に対して45°で配置される液晶パネルに対して適用される。このような液晶パネルは、2枚の透明ガラス基板11,12の間で液晶の配向方向を90度回転させるTN方式の液晶セルにおいて採用されているので、本発明は、かかるTN方式の液晶セルに対して有効である。図示は省略するが、透明ガラス基板11,12の液晶層側には、液晶を配向させるための配向膜、その配向を制御するために電圧をオン−オフするための透明電極、カラー表示であればカラーフィルタなども配置される。
液晶セル10を構成するガラス基板11,12には、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどが適用できるが、特に無アルカリガラス又は低アルカリガラスが好適に用いられる。
[粘着剤層(粘着剤組成物)]
次に、粘着剤層31,32を形成するための粘着剤組成物について説明する。この粘着剤組成物は、基本的にアクリル樹脂及び架橋剤を含んで構成される。本発明においては、液晶セル10の両面にそれぞれ第一の偏光板を貼着するための第一の粘着剤層31及び第二の偏光板を貼着するための第二の粘着剤層32のうち少なくとも一方は、先述した特定の共重合体であって、重量平均分子量Mw 及び分子量分布Mw/Mnが所定範囲にあるアクリル樹脂(A)に、架橋剤(B)が所定量配合された粘着剤組成物から形成し、かつゲル分率が50〜99重量%となるようにする。この粘着剤組成物を構成する各成分について説明する。
〈アクリル樹脂(A)〉
本発明の液晶パネルにおいて、粘着剤層31,32を形成するための粘着剤組成物に用いられるアクリル樹脂(A)は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とするものであって、かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位に加え、芳香環含有単量体に由来する構造単位、及び極性官能基含有単量体に由来する構造単位を含むものである。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれでもよいことを意味し、他に(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルなどというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
アクリル樹脂(A)の主要な構造単位となる前記式(I)において、R1 は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数1〜14のアルキル基である。R2で表されるアルキル基は、それぞれの基中の水素原子が炭素数1〜10のアルコキシ基によって置換されていてもよい。
式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)のうち、R2 が非置換アルキル基であるものとして、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、及びアクリル酸ラウリルの如き、直鎖状のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸イソオクチルの如き、分枝状のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、及びメタクリル酸ラウリルの如き、直鎖状のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸イソオクチルの如き、分枝状のメタクリル酸アルキルエステルなどが例示される。
これらの中でもアクリル酸n−ブチルが好ましく、具体的には、アクリル樹脂(A)を構成する全単量体のうち、アクリル酸n−ブチルが50重量%以上となるように、かつ前記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)に関する規定を満たすようにするのが好ましい。
R2 がアルコキシ基で置換されたアルキル基、すなわち、アルコキシアルキル基である場合の、式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、具体的には、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチルなどが例示される。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で用いることができるほか、異なる複数のものを用いて共重合させてもよい。
分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体(芳香環含有単量体)は、オレフィン性二重結合を含む基として(メタ)アクリロイル基を有するものが一般的である。その例として、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、好ましいものは、前記式(II)で示される芳香環含有(メタ)アクリル化合物であり、本発明ではこの芳香環含有(メタ)アクリル化合物を芳香環含有単量体(A−2)として用いる。
芳香環含有(メタ)アクリル化合物を表す前記式(II)において、R4 がアルキル基である場合、その炭素数は1〜9程度であることができ、同じくアラルキル基である場合、その炭素数は7〜11程度、またアリール基である場合、その炭素数は6〜10程度であることができる。炭素数1〜9のアルキル基として、メチル、ブチル、ノニルなどが、炭素数7〜11のアラルキル基として、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルなどが、また炭素数6〜10のアリール基として、フェニル、トリル、ナフチルなどが、それぞれ挙げられる。
具体的な式(II)の芳香環含有(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−(o−フェニルフェノキシ)エチルなどを挙げることができる。これらの芳香環含有(メタ)アクリル化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数のものを組み合せて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル〔前記式(II)において、R4 =H、n=1の化合物〕、又は(メタ)アクリル酸2−(o−フェニルフェノキシ)エチル〔前記式(II)において、R4 =o−フェニル、n=1の化合物〕を、アクリル樹脂(A)を構成する芳香環含有単量体(A−2)の一つとして用いるのが好ましい。
極性官能基含有単量体(A−3)において、極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ環をはじめとする複素環基などであることができる。極性官能基含有単量体は、好ましくは極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物である。その例として、アクリル酸、メタクリル酸、及びβ−カルボキシエチルアクリレートの如き、遊離カルボキシル基を有する不飽和単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、及びジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、水酸基を有する不飽和単量体;アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び2,5−ジヒドロフランの如き、複素環基を有する不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、複素環とは異なるアミノ基を有する不飽和単量体などを挙げることができる。極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基又はエポキシ環であることが好ましい。これらの極性官能基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数のものを用いてもよい。
これらの中でも、水酸基を有する不飽和単量体を、アクリル樹脂(A)を構成する極性官能基含有単量体(A−3)の一つとして用いるのが好ましい。また、水酸基を有する不飽和単量体に加えて、他の極性官能基を有する不飽和単量体、例えば、遊離カルボキシル基を有する不飽和単量体を併用するのも有効である。
アクリル樹脂(A)において、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)に由来する構造単位の量は、 35〜79.9重量%とするが、好ましくは50重量%以上であり、また好ましくは70重量%以下である。芳香環含有単量体(A−2)に由来する構造単位の量は、20〜60重量%とするが、好ましくは25重量%以上、さらには30重量%以上、とりわけ35重量%以上であり、また好ましくは55重量%以下、さらには50重量%以下、とりわけ45重量%以下である。極性官能基含有単量体(A−3)に由来する構造単位の量は、0.1〜5重量%とするが、好ましくは0.5重量%以上であり、また好ましくは3重量%以下である。
本発明に使用されるアクリル樹脂(A)は、上で説明した式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)及び極性官能基含有単量体(A−3)とは異なる単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。これらの例としては、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位などを挙げることができる。
脂環式構造とは、炭素数が、通常5以上、好ましくは5〜7程度のシクロパラフィン構造である。脂環式構造を有するアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられ、脂環式構造を有するメタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレンの如きアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、及びヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
ビニル系単量体の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、及びラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニルや臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、及びビニルカルバゾールの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンの如き共役ジエン単量体;さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体の具体例としては、 1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などを挙げることができる。
以上のような、式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)及び極性官能基含有単量体(A−3)とは異なる単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤に使用されるアクリル樹脂(A)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)及び極性官能基含有単量体(A−3)とは異なる単量体に由来する構造単位は、その樹脂の不揮発分100重量部に対し、通常0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部の割合で含有される。
粘着剤組成物を構成する樹脂成分は、以上のような、式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)、及び極性官能基含有単量体(A−3)に由来する構造単位を含むアクリル樹脂を2種類以上含むものであってもよい。また、本発明で規定するアクリル樹脂(A)に、それとは異なるアクリル樹脂、例えば、式(I)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有し、極性官能基を含まないアクリル樹脂などを混合して用いてもよい。式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)、及び極性官能基含有単量体(A−3)に由来する構造単位を含むアクリル樹脂(A)は、アクリル樹脂全体のうち、80重量%以上、さらには90重量%以上とするのが好ましい。
式(I)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)、芳香環含有単量体(A−2)及び極性官能基含有単量体(A−3)を含む単量体混合物の共重合体であるアクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が100万〜200万の範囲にあるものを採用する。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が100万以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、液晶セルと粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。またこの重量平均分子量が200万以下であると、その粘着剤層に貼着される偏光板の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白ヌケや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。
重量平均分子量Mw と数平均分子量Mn の比Mw/Mnで表される分子量分布は、3〜7の範囲とする。分子量分布Mw/Mnを3〜7の範囲とすることにより、液晶パネルないし液晶表示装置が高温にさらされた場合でも、白ヌケなどの不具合が発生することが防止される。
また、前記アクリル樹脂(A)は、粘着性発現のため、そのガラス転移温度が−10〜−60℃の範囲にあることが好ましい。樹脂のガラス転移温度は一般に、示差走査熱量計により測定することができる。
粘着剤組成物を構成するアクリル樹脂(A)は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、公知の各種方法によって製造することができる。このアクリル樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、アクリル樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100重量部に対して、 0.001〜5重量部程度使用される。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤などが用いられる。光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどを挙げることができる。熱重合開始剤として、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、及び2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、及び(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化水素の如き無機過酸化物などを挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤なども、重合開始剤として使用しうる。
アクリル樹脂の製造方法としては、上に示した方法の中でも、溶液重合法が好ましい。溶液重合法の具体的な例について説明すると、所望の単量体及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下で熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは60〜80℃程度で3〜10時間程度攪拌する方法を挙げることができる。また、反応を制御するために、単量体や熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレンの如き芳香族炭化水素類;酢酸エチルや酢酸ブチルの如きエステル類;プロピルアルコールやイソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンの如きケトン類などを用いることができる。
〈架橋剤(B)〉
以上のようなアクリル樹脂(A)に架橋剤(B)を配合して、粘着剤組成物とする。架橋剤(B)は、アクリル樹脂(A)中の特に極性官能基含有単量体(A−3)に由来する構造単位と架橋し得る官能基を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、その具体例として、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などを挙げることができる。
イソシアネート系化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンの如きポリオールを反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたものも、粘着剤に用いられる架橋剤となり得る。2種以上のイソシアネート系化合物を混合して用いることもできる。
エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。2種以上のエポキシ系化合物を混合して用いることもできる。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、及びジルコニウムの如き多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物などが挙げられる。
アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子からなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン トリス−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン トリス−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
これらの架橋剤の中でも、本発明ではイソシアネート系化合物を用いる。イソシアネート系架橋剤には、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート若しくはヘキサメチレンジイソシアネート、又はこれらのイソシアネート化合物を、グリセロールやトリメチロールプロパンの如きポリオールに反応せしめたアダクト体や、これらのイソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたもの、これらのイソシアネート系化合物を混合したものなどがある。極性官能基含有単量体(A−3)が、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環から選ばれる極性官能基を有する場合は特に、架橋剤(B)はイソシアネート系化合物であるのが有効である。上記の中でも好適なイソシアネート系化合物として、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、トリレンジイソシアネートの二量体、及びトリレンジイソシアネートの三量体、また、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートの二量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体が挙げられる。
架橋剤(B)は、アクリル樹脂(A)100重量部に対し、 0.01〜5重量部の割合で配合される。架橋剤(B)の配合量は、好ましくはアクリル樹脂(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部程度、さらには0.2〜3重量部程度である。アクリル樹脂(A)100重量部に対する架橋剤(B)の量が0.01重量部以上、特に0.1重量部以上であると、粘着剤層の耐久性が向上する傾向にあることから好ましく、また5重量部以下であると、液晶パネルの白ヌケが目立たなくなることから好ましい。
〈粘着剤組成物を構成するその他の成分〉
本発明における粘着剤層を形成するための粘着剤組成物には、粘着剤層とガラスセルとの密着性を向上させるために、シラン系化合物(C)を含有させることが好ましく、とりわけ、架橋剤を配合する前のアクリル樹脂にシラン系化合物(C)を含有させておくことが好ましい。
シラン系化合物(C)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシランなどが挙げられる。2種以上のシラン系化合物(C)を使用してもよい。
シラン系化合物(C)は、シリコーンオリゴマータイプのものであってもよい。シリコーンオリゴマーを(モノマー)−(モノマー)コポリマーの形式で示すと、例えば、次のようなものを挙げることができる。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、メルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及びメルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、メルカプトメチル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、メタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、アクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及びビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、ビニル基含有のコポリマー;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、及び3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマーの如き、アミノ基含有のコポリマーなど。
これらのシラン系化合物(C)は、多くの場合、液体である。粘着剤組成物におけるシラン系化合物(C)の配合量は、アクリル樹脂(A)の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合はその合計量)に対して、通常 0.01〜10重量部程度であり、好ましくは 0.03〜1重量部の割合で使用される。アクリル樹脂(A)の不揮発分100重量部に対するシラン系化合物の量が0.01重量部以上、特に0.03重量部以上であると、粘着剤層とガラスセルとの密着性が向上することから好ましい。また、その量が10重量部以下、特に1重量部以下であると、粘着剤層からシラン系化合物のブリードアウトが抑制される傾向にあることから好ましい。
以上説明した粘着剤組成物にはさらに、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、帯電防止剤、アクリル樹脂以外の樹脂などを配合してもよい。粘着剤に紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層形成後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い粘着剤層とするのも有用である。また、粘着剤に架橋剤とともに架橋触媒を配合すれば、粘着剤層を短時間の熟成で調製することができ、得られる粘着剤付き偏光板において、偏光板と粘着剤層との間に浮きや剥れが発生したり粘着剤層内で発泡が起こったりすることを抑制でき、リワーク性も一層良好になることがある。架橋触媒としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、トリメチレンジアミン、ポリアミノ樹脂、メラミン樹脂の如きアミン系化合物などを挙げることができる。粘着剤に架橋触媒としてアミン系化合物を配合する場合、架橋剤としてはイソシアネート系化合物が好適である。
粘着剤を構成するこれらの各成分は、必要に応じて溶剤に溶かした状態で、必須成分であるアクリル樹脂(A)及び架橋剤(B)と混合して粘着剤組成物とすることができる。これを適当な基材上に塗布し、乾燥させて、粘着剤層とすることができる。
〈粘着剤層のゲル分率〉
本発明では先にも述べたように、粘着剤層は、そのゲル分率が50〜99重量%となるようにする。粘着剤層のゲル分率が50重量%以上であると、粘着剤層の耐久性が向上することから好ましく、またそのゲル分率が99重量%以下であると、製造しやすいことから好ましい。このゲル分率は、好ましくは60重量%以上である。ここでゲル分率は、以下の(I)〜(IV)に従って測定される値である。
(I)約8cm×約8cmの面積の粘着剤層と、約10cm×約10cmのSUS304からなる金属メッシュ(その重量をWm とする)とを貼合する。
(II)上記(I)で得られた貼合物の重量を秤量して、その重量をWs とし、次に粘着剤層を包み込むように4回折りたたんでホッチキス(ステープラー)で留めたのち秤量して、その重量をWb とする。
(III)ガラス容器に、上記(II)でホッチキス留めしたメッシュを入れ、酢酸エチル60mLを加えて浸漬した後、このガラス容器を室温で3日間保管する。
(IV)ガラス容器からメッシュを取り出し、120℃で24時間乾燥した後秤量して、その重量をWa とし、次式に基づいてゲル分率を計算する。
ゲル分率(重量%)=〔{Wa−(Wb−Ws)−Wm}/(Ws−Wm)〕×100
粘着剤層のゲル分率は、例えば、粘着剤組成物の有効成分であるアクリル樹脂(A)の種類や架橋剤(B)の量により調整することができる。具体的には、アクリル樹脂(A)における極性官能基含有単量体(A−3)の量を多くするか、又は粘着剤組成物における架橋剤(B)の量を多くすれば、ゲル分率が高くなるので、極性官能基含有単量体及び/又は架橋剤の量によって、ゲル分率を調整すればよい。極性官能基含有単量体(A−3)については、アクリル樹脂(A)中の当該極性官能基含有単量体(A−3)に由来する構造単位の量を、 0.1〜5重量%の範囲から、アクリル樹脂(A)を構成する他の成分との組合せ、さらには架橋剤の種類及び量との組合せで、ゲル分率が上記範囲となるように選択し、調整すればよい。一方、架橋剤(B)の量については、粘着剤層を構成するアクリル樹脂の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合はその合計量)に対する架橋剤の配合量を、 0.1〜5重量部程度の範囲から、アクリル樹脂の種類に合わせて選択するのが好ましい。
偏光板21,22上の粘着剤層31,32は、例えば、剥離フィルムの上に、上記の粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層を偏光板21,22の表面に貼り合わせる方法、偏光板21,22の上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、その粘着剤面に剥離フィルムを貼り合わせて保護する方法などにより、設けることができる。ここで用いる剥離フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムを基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、シリコーン処理の如き離型処理が施されたもので構成することができる。
粘着剤層31,32の厚みは特に限定されないが、通常は30μm 以下であるのが好ましく、また10μm 以上であるのが好ましく、さらに好ましくは15〜25μm である。粘着剤層の厚みが30μm 以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラスセルと粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましく、またその厚みが10μm 以上であると、そこに貼合されている偏光板の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白ヌケや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。従来から一般に、液晶表示用ガラスセルに貼着される粘着剤層の厚みは、25μm が標準とされていたが、本発明においては、その厚みを20μm 以下としても、粘着剤層として十分な性能を発揮する。
本発明で規定する粘着剤層が設けられた偏光板は、液晶セルに貼着して液晶パネルとした後、なんらかの不都合があってその偏光板を液晶セルから剥離する場合に、粘着剤層は偏光板に伴って剥離され、粘着剤層と接していた液晶セルの表面に、曇りや糊残りなどがほとんど発生しないことから、剥離後の液晶セルに再び、粘着剤層付き偏光板を貼り直すことが容易である。すなわち、いわゆるリワーク性に優れている。
[偏光板]
図1に示した第一の偏光板21及び第二の偏光板22はそれぞれ、その表面に垂直に入射する光のうち、ある振動面をもつ直線偏光を透過し、それと直交する振動面をもつ直線偏光を吸収する偏光フィルムを含んで構成される。かかる偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素又は二色性有機染料からなる二色性色素を吸着配向させて製造される。偏光フィルムそれ自体は、二色性色素を配向させるために高度に延伸されていることから、裂けやすい。そこで通常は、上記のような偏光フィルムの少なくとも片面に透明保護層が設けられて偏光板となる。
本発明に適用するのに好適な、液晶セルに貼着するための粘着剤層が設けられた偏光板の層構成の例を、図2に断面模式図で示した。図2では、図1に示す第一の偏光板21及び第二の偏光板22の両方を意味するために、偏光板に参照符20を付している。また、図1に示す第一の粘着剤層31及び第二の粘着剤層32の両方を意味するために、液晶セルへの貼着に用いられる粘着剤層に参照符30を付している。第一の偏光板21及び第二の偏光板22は、同じ層構成であってもよいし、異なる層構成であってもよい。
偏光板20の一つの形態は、図2(A)に示すように、偏光フィルム25の両面に透明保護層26,27が設けられたものであり、その液晶セルに貼着される面(図示の例では透明保護層27の外面)に、液晶セル貼着用の粘着剤層30が設けられる。別の形態は、図2(B)に示すように、偏光フィルム25の両面に透明保護層26,27が設けられ、その液晶セル側となる面(図示の例では透明保護層27の外面)に、位相差フィルムを代表例とする光学補償フィルム28が積層されたものであり、その光学補償フィルム28の外側に液晶セルへの貼着用粘着剤層30が設けられる。この場合、透明保護層27と光学補償フィルム28との貼合には通常、層間粘着剤29が用いられる。
偏光板20のもう一つの形態は、図2(C)に示すように、偏光フィルム25の片面に透明保護層26が設けられたものであり、この状態で直接液晶セルに貼着する場合は、偏光フィルム25のもう一方の面に液晶セルへの貼着用粘着剤層30が設けられる。もう一つ別の形態は、図2(D)に示すように、偏光フィルム25の片面に透明保護層26が設けられ、もう一方の面には層間粘着剤29を介して、位相差フィルムを代表例とする光学補償フィルム28が積層されたものであり、その光学補償フィルム28の外側に液晶セルへの貼着用粘着剤層30が設けられる。
透明保護層26,27は、例えば、樹脂のコーティングによって形成することもできるが、一般には、接着剤を介して透明保護フィルムを貼合することにより構成されることが多い。透明保護フィルムとしては、例えば、セルロース系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなど、各種の透明樹脂フィルムを用いることができる。
特に本発明が好適に適用されるTN方式の液晶セルに貼合される偏光板では、液晶セルから遠い側の保護フィルム26として、酢酸セルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。酢酸セルロース系樹脂は、セルロースの少なくとも一部が酢酸エステル化されたものであり、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどが、それに包含される。このような酢酸セルロース系樹脂フィルムは、適宜の市販品を用いることができる。例えば、富士フイルム(株)から販売されている “フジタック TD80”、“フジタック TD80UF”及び“フジタック TD80UZ”、コニカミノルタオプト(株)から販売されている“KC8UX2M”及び“KC8UY”など(いずれも商品名)が、好適なものとして挙げられる。
酢酸セルロース系樹脂フィルムは、偏光フィルムとの接着性を高めるため、通常はケン化処理が施される。ケン化処理は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬することによって行われる。
偏光板に用いられる保護フィルムにおいて、その厚みは小さい方が好ましいが、薄すぎると、強度が低下して加工性に劣る傾向にあり、また厚すぎると、透明性が低下したり偏光板の重量が大きくなったりする傾向にある。このような観点から、酢酸セルロース系樹脂からなる保護フィルムの厚みは、通常20〜200μm、好ましくは30〜150μm、より好ましくは40〜100μm である。
先述のとおり、偏光フィルムの少なくとも片面、通常は、図1を参照して少なくとも液晶セル10から遠い側となる表面に上記のような保護フィルムが積層される。
偏光フィルム25の液晶セル側となる面には、図2(A)に示すように、接着剤を介して透明保護フィルム27を積層することができ、さらに図2(B)に示すように、その外側に層間粘着剤29を介して光学補償フィルム28を貼合することもできる。またこの面には、図2(C)に示すように直接、液晶セルへの貼着用粘着剤層30を形成したり、あるいは図2(D)に示すように層間粘着剤29を介して光学補償フィルム28を貼合したりすることができる。ここで、液晶セル10に直接貼着される粘着剤層30は、先に説明した本発明で規定する粘着剤組成物から形成することが好ましいが、保護フィルム27に光学補償フィルム28を貼合したり、偏光フィルム25に光学補償フィルム28を貼合したりするための層間粘着剤29は、それ以外の粘着剤組成物から形成してもよい。保護フィルム27又は偏光フィルム25に光学補償フィルム28を貼着するために用いる層間粘着剤29は、例えば、芳香環含有単量体(A−2)が共重合されていない以外は上の説明に準ずるアクリル樹脂に、架橋剤が配合されたアクリル系粘着剤組成物から形成することができる。
図1に示す液晶パネルにおいて、第一の偏光板21及び第二の偏光板22のうち少なくとも一方は、図2(A)に示すような、保護フィルム26/偏光フィルム25/保護フィルム27の構成とすることが好ましい。
表面処理層を設けることの容易性及び光学特性の観点から、偏光フィルム25の液晶セルから遠い側に配置される保護フィルム26は、先にも述べたとおり、トリアセチルセルロースをはじめとする酢酸セルロース系樹脂のフィルムで構成することが好ましい。とりわけ、面内の位相差値Ro が0〜20nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値Rthが20〜80nmの範囲にある酢酸セルロース系樹脂フィルムは、溶剤キャスト法によって直接製造することができるため、液晶セルから遠い側に配置される好ましい保護フィルムの一つである。
ここで、光学異方性を示すフィルムについて、面内位相差値Ro 及び厚み方向位相差値Rthは、面内の遅相軸方向の屈折率をnx 、面内で遅相軸と直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたときに、以下の式(1)及び(2)で定義される。
Ro =(nx−ny)×d (1)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
また、一般的な液晶表示装置においては、優れた表示性能を得るため、図2の(B)及び(D)に示すように、偏光板20の液晶セル側に光学補償フィルム28を配置したり、図2(A)に示す例における偏光板20の液晶セル側となる保護フィルム27自体に位相差を持たせたりするなどして、補償機能を付与することが好ましい。光学補償フィルムや位相差が付与された保護フィルムにおける位相差値は、液晶のモードや目的とする画質などに応じて、適切な値を任意に選択できる。
光入射側偏光板の液晶セル側保護フィルムが位相差を有する場合、また光出射側偏光板の液晶セル側保護フィルムが位相差を有する場合、光入射側偏光板を構成する偏光フィルムと液晶セル側保護フィルム、そして光出射側偏光板を構成する偏光フィルムと液晶セル側保護フィルムは、偏光フィルムの吸収軸と保護フィルムの面内遅相軸とがほぼ平行関係又はほぼ直交関係となるように配置すればよい。特に、両者がほぼ直交関係となるように配置するのが生産性の面から好ましい。すなわち、光入射側偏光板の液晶セル側保護フィルム及び/又は光出射側偏光板の液晶セル側保護フィルムを、位相差を有する光学異方性フィルムで構成する場合、横延伸を主体とする延伸操作で製造するのが好ましく、その場合の遅相軸はロールフィルムの幅方向となることから、ロールフィルムの長手方向(流れ方向)が吸収軸である偏光フィルムとロール・ツー・ロール貼合することで、偏光フィルムの吸収軸と保護フィルムの遅相軸が直交関係になる。
また、液晶セルから遠い側に位置する保護フィルム26は、酢酸セルロース系樹脂からなるフィルムで構成し、液晶セル側に位置する保護フィルム27は、光学異方性を発現する物質の塗布によって形成された光学補償フィルムで構成することも、好ましい形態である。この場合、液晶セルから遠い側に位置する保護フィルム26となる酢酸セルロース系樹脂フィルムは、先述のとおり、面内の位相差値Ro が0〜20nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値Rthが20〜80nmの範囲にあるものであることが好ましい。一方、液晶セル側に位置する保護フィルム27となる光学補償フィルムは、例えば、液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたものや、無機層状化合物の塗布によって光学異方性を発現させたもので構成することができる。
偏光板を構成する保護フィルムは、偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理などの表面処理が施されたものであってもよい。特に、視認側偏光板の液晶セルから遠い側となる保護フィルムには、このような表面処理が施されたフィルムを用いるのが有効である。
[液晶表示装置]
図1に示した液晶パネルは、第一の偏光板21及び第二の偏光板22のうちいずれかの外側にバックライトを配置して、液晶表示装置とすることができる。バックライトと偏光板の間には、その液晶表示装置に求められる表示特性に応じて、集光層、光拡散層、輝度向上層など、公知の各種光学層が配置されてもよい。
本発明の液晶パネルを用いた液晶表示装置は、例えば、ノート型、デスクトップ型、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance) などを包含するパーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイ、テレビ、車載用ディスプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計などに用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す「部」及び「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
以下の例において、重量平均分子量は、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の“TSKgel XL”を4本と昭和電工(株)製で昭光通商(株)から販売されている“Shodex GPC KF-802”を1本、計5本を直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μL 、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した値である。
まず、粘着剤組成物の主成分となるアクリル樹脂の製造例を示す。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル 81.8部、(A−1)としてアクリル酸ブチル 78.6部、(A−2)としてアクリル酸2−フェノキシエチル20.0部、(A−3)としてアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0部及びアクリル酸 0.4部を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら、内温を55℃に上げた。その後、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤を添加してから1時間この温度で保温し、その後、内温を54〜56℃に保ちながら、添加速度17.3部/hr で酢酸エチルを連続的に反応容器内へ加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を終了し、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保持した。最後に、酢酸エチルを加えて、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が1,370,000、Mw/Mnが4.4であった。これをアクリル樹脂Aとする。アクリル樹脂A中の芳香環含有単量体であるアクリル酸2−フェノキシエチルに由来する構造単位は20%であり、また水酸基含有単量体であるアクリル酸2−ヒドロキシエチルに由来する構造単位は1%、カルボキシル基含有単量体であるアクリル酸に由来する構造単位は 0.4%である。
[重合例2〜5]
単量体組成を表1に示すように変更し、その他は重合例1と同様にしてアクリル樹脂の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル樹脂のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、及びMw/Mn はそれぞれ表1に記載のとおりであり、それぞれのアクリル樹脂を表1に記載のとおりアクリル樹脂B〜Eとする。なお、重合例4及び5は、芳香環含有単量体の量が本発明で規定するアクリル樹脂(A)の要件を満たさないものを製造した例である。
次に、上で製造したアクリル樹脂を用いて粘着剤組成物を調製し、それを偏光板に適用し、さらに液晶パネル対応品を作製した実施例及び比較例を示す。これらの実施例及び比較例では、架橋剤及びシラン系化合物として、それぞれ次のものを用いた(いずれも商品名)。
〈架橋剤〉
コロネートL: トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン(株)から入手。
〈シラン系化合物〉
KBM-403 : グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(液体)、信越化学工業(株)から入手。
[実施例1〜3及び比較例1〜2]
(a)粘着剤組成物の調製
重合例1〜5で得られたアクリル樹脂A〜Eの20%酢酸エチル溶液のそれぞれ固形分100部に対し、上述のシラン系化合物(KBM-403)を0.5部、及び架橋剤(コロネートL)を表2に示すそれぞれの量混合し、さらに固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を調製した。
(b)粘着剤付き偏光板の作製
上記(a)で調製したそれぞれの粘着剤組成物を、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名“PET 3811”、リンテック(株)から入手、セパレーターと呼ぶ)の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが20μm となるように塗布し、90℃で1分間乾燥させて、シート状の粘着剤を作製した。次いで、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの両面をトリアセチルセルロースからなる保護フィルムで挟んだ3層構造の偏光板の片面に、上で得たシート状粘着剤のセパレーターと反対側の面(粘着剤面)をラミネーターにより貼り合わせたのち、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生して、粘着剤付き偏光板を作製した。
(c)ガラス基板への貼合及び評価
液晶セル用ガラス基板〔コーニング社製の“イーグル XG”(商品名)〕 の両面に、上記(b)で作製した粘着剤付き偏光板からセパレーターを剥がしたものをその粘着剤面で貼合した。この際、ガラス基板の片面には第一の偏光板の吸収軸がガラス基板の長辺に対して45°となるように、ガラス基板の他面には第二の偏光板の吸収軸が第一の偏光板の吸収軸と直交するように貼着した。得られた積層体につき、温度80℃の乾燥下で96時間保管する耐熱試験を行った。その後、一方の偏光板側から光を入射させたときの白ヌケの発現状態を目視で観察した。結果を以下の基準で分類し、表2の「白ヌケ(80℃乾燥)」の欄に示した。
〈白ヌケの発現状態〉
◎:白ヌケが全くみられない。
○:白ヌケがほとんど目立たない。
△:白ヌケがやや目立つ。
×:白ヌケが顕著に認められる。
また、上記と同様にガラス基板の両面に偏光板を貼着した積層体につき、温度80℃の乾燥下で300時間保管する耐熱試験(表2では「耐熱」と表記)、温度60℃、相対湿度90%で300時間保管する耐湿熱試験(表2では「耐湿熱」と表記)、及び70℃に加熱した状態から−30℃に降温し、次に70℃に昇温する過程を1サイクル(1時間)として、これを100サイクル繰り返す耐ヒートショック試験(表2では「耐HS」と表記)を行った。そして、それぞれの試験後の積層体を目視で観察し、結果を以下の基準で分類して、表2の「耐久性」の欄にまとめた。
〈耐熱試験、耐湿熱試験及び耐ヒートショック試験の評価基準〉
◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない。
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
(d)粘着剤付き偏光板のリワーク性評価
上記(b)で作製した粘着剤付き偏光板のリワーク性を以下のようにして評価した。まず、粘着剤付き偏光板を25mm×150mmの大きさの試験片に裁断した。次に、この試験片をその粘着剤側で、貼付装置〔フジプラ(株)製の“ラミパッカー”(商品名)〕を用いて液晶セル用ガラス基板に貼り付け、50℃、5kg/cm2(490.3kPa) で20分間オートクレーブ処理を行った。さらに70℃で2時間加熱処理し、引き続き50℃のオーブン中にて48時間保管した後、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中にて、この貼着試験片から偏光板を300mm/分の速度で180°方向に剥離し、ガラス板表面の状態を観察して、以下の基準で分類した。結果を、併せて表2に示した。
〈リワーク性の評価基準〉
◎:ガラス板表面に曇り等が全く認められない。
○:ガラス板表面に曇り等がほとんど認められない。
△:ガラス板表面に曇り等が認められる。
×:ガラス板表面に粘着剤の残りが認められる。
表1及び表2からわかるように、本発明で規定する特定のアクリル樹脂に架橋剤を所定量配合して粘着剤組成物を構成し、それを偏光板の粘着剤層とし、ガラスセル基板(液晶セルないし液晶表示画面に相当する)の両面に、一方の偏光板はその吸収軸をガラス基板の長辺に対して45°となるように、他方の偏光板は前記一方の偏光板とクロスニコルとなるように貼着した実施例1〜3は、白ヌケ防止性、耐久性及びリワーク性に優れる結果が得られた。特に、芳香環含有単量体に由来する構造単位をアクリル樹脂中に40%有する実施例2は、白ヌケ防止性において優れた性能を示している。
これに対し、芳香環含有単量体に由来する構造単位の含有量がアクリル樹脂中で20%を下回る比較例1及び2は、白ヌケ防止性が不足している。
ここでは、液晶を挟まないガラス基板の表裏に偏光板を貼って実験を行ったが、白ヌケは熱に伴う偏光板の伸縮によって起こるので、液晶セル中の液晶層の有無にはあまり影響されない。また、耐熱、耐湿熱及び耐ヒートショックの各試験は、ガラス基板に貼着された粘着剤層の状態を見ているので、やはり液晶セル中の液晶層の有無に影響されない。