JP5162908B2 - 粘着剤付き偏光フィルムを有する光学積層体及び偏光フィルムのセット - Google Patents

粘着剤付き偏光フィルムを有する光学積層体及び偏光フィルムのセット Download PDF

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本発明は、粘着剤付き偏光フィルムを液晶表示用ガラスセルに貼着した光学積層体、及び液晶表示用ガラスセルの両面に貼合するための偏光フィルムのセットに関するものである
TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)などの液晶表示装置に一般に用いられている液晶表示用ガラスセルは、液晶成分が二枚のガラス基板間に挟持された構造を有している。そして、それぞれのガラス基板の表面には、アクリル樹脂を主成分とする粘着剤を介して、偏光フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルムなどの光学フィルムが積層されている。偏光フィルムの表示面側表面には、反射防止層などの表面処理層を設けることが多い。そこで、表面処理層/偏光フィルム/粘着層/液晶表示用ガラスセル/粘着層/偏光フィルムの順で積層してなる光学積層体が、一般に用いられている。
このような光学積層体における粘着層は、熱又は湿熱条件下では伸縮による寸法変化が大きいため、得られる光学積層体の粘着層内で発泡したり、粘着層とガラス基板との間に浮きや剥れなどが発生したりするという問題があった。さらに、熱又は湿熱条件下では表面処理層と偏光フィルムなどの光学フィルムに作用する残留応力の分布が不均一となり、光学積層体の外周部に応力集中が生じる結果、TN液晶セルでは、黒表示時に外周部が白っぽくなる白抜けと呼ばれる現象が生じ、STN液晶セルでは外周部に色ムラが生じるという問題があった。
また液晶表示装置は、カーナビゲーションシステムなど、車載用にも用いられるが、かかる車載用途においては、高温・高湿条件下でも、発泡、浮き、剥れ、曇り等の外観変化が生じないという耐久性も必要になってきている。
かかる問題を解消するため、例えば特開 2006-77224 号公報(特許文献1)には、重量平均分子量の異なる2種類のアクリル樹脂に架橋剤を配合してゲル分率を10〜50重量%とした粘着剤が開示されており、液晶表示用ガラスセルの両面にこの粘着剤を介して偏光フィルムを貼着した光学積層体は、高温乾燥条件及び高温高湿条件に晒した場合でも、白抜けの発生が抑制されることが記載されている。
さらに、粘着層付き偏光フィルムを液晶表示用ガラスセルに貼合する際、不備があった場合には、その偏光フィルムを剥がしてから、再度貼り直すことになるが、その剥離のときに粘着層が偏光フィルムに伴って引き剥がされ、ガラス基板上に粘着層が残らず、曇り等も生じないような、いわゆるリワーク性も求められる。上記特許文献1には、そこで開示する粘着剤を設けた光学フィルムは、このようなリワーク性にも優れることが記載されている。
一方、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子を、トリアセチルセルロースに代表されるアセチルセルロース系樹脂からなる保護フィルムで両面から挟んだ構造のものが多いが、その保護フィルムの少なくとも一方を、ノルボルネンなどをモノマーとする非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに変える試みがある。例えば、特開平 8-43812号公報(特許文献2)には、偏光子の両側に保護フィルムが積層された偏光フィルムにおいて、その保護フィルムの少なくとも一方を、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる位相差機能を有するフィルムとすることが記載されている。また特開 2005-208456号公報(特許文献3)には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の一方の面に環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、他方の面にアセチルセルロース系フィルムを積層した構成が開示されている。
特開2006−77224号公報(請求項1、実施例) 特開平8−43812号公報 特開2005−208456号公報
液晶表示用ガラスセルの一方の面に、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムをその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で粘着層を介して積層し、他方の面には、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムを、粘着層を介して積層するにあたり、特許文献1に開示されるような、ゲル分率が低くて高い柔軟性を示す粘着剤をガラス基板の両面に適用したところ、高温(例えば80℃乾燥条件)で長時間(例えば100時間)置いた場合に、粘着剤の凝集力不足により、粘着層と非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムとの間に、浮きや剥れ、気泡などが生じ、耐久性が十分でなくなる場合があることが明らかになってきた。また、液晶表示用ガラスセルの両面に、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムをその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で粘着層を介して積層するにあたり、ゲル分率が低くて高い柔軟性を示す粘着剤を適用しても、やはり同様の問題が生じることが明らかになってきた。
そこで本発明の課題は、液晶表示装置に適用した場合に、高温条件や高温高湿条件に晒されたり、加熱と冷却を繰り返したりしても、白抜けが生じにくく、また、浮き、剥れ、発泡、曇り等の外観変化を生じず、耐久性に優れるとともに、大型化しても白抜けを抑制することができる粘着剤付き偏光フィルムを提供することにある。本発明のもう一つの課題は、かかる粘着剤付き偏光フィルムが液晶表示用ガラスセルに適用された光学積層体を提供し、またその粘着剤付き偏光フィルムを液晶表示用ガラスセルに貼合される一方の偏光フィルムとする偏光フィルムのセットを提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、偏光子の片面に非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムが貼合された偏光フィルムに対しては、ゲル分率の高い粘着剤を適用するのが有効であることを見出した。そして、液晶表示用ガラスセルの片面に、第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムをその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で積層し、ガラスセルの他面には、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムを積層する場合には、液晶表示用ガラスセルの両面に貼合する粘着剤として、異なる粘着剤を用いるのが一層有効であることを見出した。また、液晶表示用ガラスセルの両面に、それぞれ粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムをその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で積層する場合には、それぞれの粘着層をゲル分率の高い粘着剤で構成するのが有利であることを、併せて見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。
すなわち本発明によれば、第一の見地から、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムと、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの外側に設けられた粘着層とを有し、その粘着層はゲル分率が75〜95重量%である粘着剤付き偏光フィルムが提供される。ここで、粘着層は、アクリル樹脂に架橋剤が配合された粘着剤で形成することが好ましい。上記保護フィルムの外側には、輝度向上フィルムを積層することができる。
また本発明によれば、第二の見地から、液晶表示用ガラスセルの片面に、上記第一の見地から特定される粘着剤付き偏光フィルムがその粘着層側で貼着されてなる光学積層体も提供される。この光学積層体の好ましい形態は、液晶表示用ガラスセルの片面に、第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムがその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼着され、前記ガラスセルの他面には、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムが第二の粘着層を介して貼着されてなるものであって、第一の粘着層はそのゲル分率が75〜95重量%であり、第二の粘着層はそのゲル分率が30〜70重量%である。第二の偏光フィルムは、第二の粘着層と反対側の面に表面処理層を有することができる。
光学積層体の別の好ましい形態は、液晶表示用ガラスセルの片面に、第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムがその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼着され、前記ガラスセルの他面には、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第二の偏光フィルムがその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼着されてなり、第一の粘着層及び第二の粘着層はともに、そのゲル分率が75〜95重量%である。この場合も、第二の偏光フィルムは、第二の粘着層と反対側の面に表面処理層を有することができる。
さらに本発明によれば、第三の見地から、液晶表示装置用ガラスセルの両面に貼り合わされる偏光フィルムのセットも提供される。この偏光フィルムのセットは、第一の粘着剤付き偏光フィルム及び第二の粘着剤付き偏光フィルムの組合せであって、第一の粘着剤付き偏光フィルムは、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムと、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム外側に設けられた第一の粘着層とを有するものであり、第二の粘着剤付き偏光フィルムは、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムと、その片面に設けられた第二の粘着層とを有するものであり、そして、第一の粘着層はそのゲル分率が75〜95重量%であり、第二の粘着層はそのゲル分率が30〜70重量%である。
また、本発明によればさらに、第四の見地から、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムの非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側に粘着層を設けるにあたり、その粘着層は、ゲル分率が75〜95重量%となるように調製して前記偏光フィルムの非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム表面に設けることにより、粘着剤付き偏光フィルムを製造する方法も提供される。
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成である偏光フィルムは、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの光弾性係数が小さく、位相差変化が生じにくいため、そちら側に起因する白抜けは起こりにくいが、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの接着力が弱く、発泡、浮き、剥れなどを生じやすい。そこで、本発明の粘着剤付き偏光フィルムにおいては、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で液晶表示用ガラスセルに接着するための粘着層として、ゲル分率が高く、凝集力の大きい粘着剤を使用することで、発泡、浮き、剥れ等の発生を抑えることができる。また、この粘着剤付き偏光フィルムは、液晶表示用ガラスセルに貼合するときのリワーク性にも優れている。
本発明の光学積層体は、上記した粘着剤付き偏光フィルムを液晶表示用ガラスセルの片面に貼着したものであり、温度変化等に伴う発泡、浮き、剥れ等の発生を抑えることができる。この光学積層体の好ましい形態においては、液晶表示用ガラスセルの片面に、ゲル分率が高く、凝集力の大きい第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成要素とする第一の偏光フィルムを積層し、前記ガラスセルの他面には、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムを、ゲル分率が低く、凝集力の小さい第二の粘着層を介して積層する。この形態では、耐熱条件下、第二の偏光フィルムとガラスセルの間で、第二の偏光フィルムの寸法変化やガラス基板の寸法変化に起因する応力を第二の粘着層により吸収・緩和することができ、局部的な応力集中が軽減され、ガラス基板に対する粘着層の浮きや剥れが抑制されるとともに、不均一な応力分布に起因する白抜けなどの光学的欠陥が防止される。
光学積層体の別の好ましい形態においては、液晶表示用ガラスセルの片面に、ゲル分率が高く、凝集力の大きい第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成要素とする第一の偏光フィルムを積層し、前記ガラスセルの他面にも、ゲル分率が高く、凝集力の大きい第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成要素とする第一の偏光フィルムを積層する。この形態では、耐熱条件下に置かれても、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムが低い光弾性係数を示すために、不均一な応力分布に起因する白抜けなどの光学的欠陥が防止される。また、粘着層として、ゲル分率が高く、凝集力が大きい粘着剤を用いることで、ガラス基板に対する粘着層の浮きや剥れが抑制される。
これらのことから、光学積層体を構成するガラス基板がTN液晶セルである場合、白抜けが抑制され、またガラス基板がSTN液晶セルである場合、色ムラが抑制される。これらの光学積層体は、加熱を繰り返しても、白抜けが生じにくく、浮き、剥れ、発泡、曇り等の外観変化が生じず、耐久性に優れ、また15型以上の大型サイズになっても、白抜けや色ムラなどの光学的欠陥が抑制される。
さらに、第一の粘着層とともに第一の偏光フィルムを、あるいは第二の粘着層とともに第二の偏光フィルムを、それぞれ液晶表示用ガラスセルのガラス基板から剥離しても、剥離後のガラス基板上に糊残りや曇りが発生しにくいことから、そのガラスセルに再度、別の偏光フィルムを貼り合わせることができ、リワーク性に優れるものとなる。
本発明に係る偏光フィルムのセットは、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムの非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側に、ゲル分率が高く、凝集力の大きい第一の粘着層を配置して、第一の粘着剤付き偏光フィルムとし、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムの片面に、ゲル分率が低く、凝集力の小さい第二の粘着層を配置して、第二の粘着剤付き偏光フィルムとしたので、それぞれを液晶表示用ガラスセルに貼合したときに、第一の偏光フィルム側の接着力が高められ、また第二の偏光フィルム側で温度変化などに伴う寸法変化に起因して応力が発生しても、第二の粘着層によってその応力を吸収・緩和することができる。そのため、局部的な応力集中が軽減され、ガラス基板に対する粘着層の浮きや剥れが抑制されるとともに、不均一な応力分布に起因する白抜けなどの光学的欠陥が防止される。
また、本発明の粘着剤付き偏光フィルムの製造方法によれば、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを偏光子の一方の保護フィルムとし、その表面に粘着層を設けた粘着剤付き偏光フィルムが有利に製造できる。
図1に、本発明に係る粘着剤付き偏光フィルムの層構成の例を断面模式図で示し、図2には、図1の粘着剤付き偏光フィルムに輝度向上フィルムが積層された例を断面模式図で示した。また、図3には、本発明に係る光学積層体の好ましい形態の層構成例を断面模式図で示し、図4には、図3の光学積層体において、第一の偏光フィルムの保護フィルム外側に輝度向上フィルムが積層され、第二の偏光フィルムが粘着層と反対側に表面処理層を有している例を断面模式図で示した。これらの図を参照しながら、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
[粘着剤付き偏光フィルム]
まず、主として図1を参照し、必要に応じて図2も参照しながら、粘着剤付き偏光フィルムについて説明する。図1に示すように、本発明の粘着剤付き偏光フィルム10は、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15と、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の外側に設けられた粘着層11とを有するものである。
偏光フィルム15を構成する偏光子13は、自然光などの入射光に対して、偏光を出射する機能を持つものである。通常は、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それに直交する振動面を有する直線偏光を透過する機能により、このような偏光出射機能が発現される。偏光子13は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性色素が吸着配向されているもので構成することができる。このような偏光子は一般に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対し、一軸延伸、二色性色素による染色及びホウ酸処理を施すことにより製造される。
偏光子13の片側には、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12からなる保護フィルムを配置する。ここで、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂とは、ノルボルネンや多環ノルボルネンの如き環状オレフィンをモノマーとする樹脂であり、これら環状オレフィンの開環重合体に水素添加して水素化度を飽和させたものや、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体などであってよい。なかでも、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が有利に使用される。また、極性基が導入されているものも有効である。市販の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂としては、JSR(株)から販売されている“アートン”、(株)オプテスから販売されている“ZEONEX”及び“ZEONOR”、三井化学(株)から販売されている“APO”及び“アペル”(いずれも商品名)などがある。かかる非晶性環状ポリオレフィン系樹脂は、先にも述べたとおり、光弾性係数が小さく、温度変化等に伴う位相差変化が生じにくいため、液晶表示装置としたときの白抜けを抑制するのに有効である。
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の厚みは、通常10〜120μm 程度であり、好ましくは20〜80μm 程度である。
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12は、一軸や二軸に延伸されて、所定の複屈折性を示すようにしたものであってもよい。この場合の延伸倍率は、通常 1.1〜5倍程度、好ましくは 1.1〜3倍であり、またその面内位相差値は、通常20〜200nm程度である。このような複屈折性を示すフィルムを用いる場合は、そのフィルム12の遅相軸が偏光子13の透過軸と平行関係又は直交関係となるように配置することにより、偏光フィルム面に垂直な正面方向では透明保護層による位相差の影響を受けずに輝度やコントラストの低下を防止でき、また斜め方向の視認に対しては液晶セルの複屈折性による直線偏光の状態変化を補償して、着色等の色変化や階調反転がなく、コントラストや明るさに優れる良視認性の領域を拡大でき、視野角の広い液晶表示装置とすることができる。
偏光子13のもう一方の面には、保護フィルム14が配置される。保護フィルム14には透明な樹脂フィルムが用いられ、その透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースの如きアセチルセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートの如きメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂などが挙げられる。保護フィルムを構成する樹脂には、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤が配合されていてもよい。この保護フィルム14は、アセチルセルロース系樹脂で構成するのが好適であり、とりわけトリアセチルセルロースフィルムが好ましく用いられる。保護フィルム14の厚みは、通例30〜120μm 程度である。
偏光子13と非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12、また偏光子13と保護フィルム14の貼合には、通常、透明な接着剤が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液など、水系の接着剤が好ましく用いられる。
[粘着剤付き偏光フィルムの粘着層]
偏光フィルム15を構成する非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の外側(偏光子13に面しない側)には、粘着層11が設けられる。そして本発明においては、粘着層11は、そのゲル分率が75〜95重量%となるようにする。以下、この粘着層11について詳しく説明する。
粘着層11は一般に、アクリル樹脂に架橋剤を配合した粘着剤から形成される。そして通常は、それを硬化させて粘着層とする。粘着層に用いられるアクリル樹脂は、具体的には(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ環をはじめとする複素環基などの極性官能基を有するモノマー、好ましくは極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物に由来する構造単位を含むものであることができる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれでもよいことを意味し、他に、(メタ)アクリレートなどというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチルの如き、アクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチルの如き、メタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で用いることができるほか、異なる複数のものを用いて共重合させてもよい。
極性官能基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレートの如き、遊離カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、水酸基を有するモノマー;アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,5−ジヒドロフランの如き、複素環基を有するモノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き、複素環とは異なるアミノ基を有するモノマーなどを挙げることができる。これらの極性官能基を有するモノマーは、それぞれ単独で用いることができるほか、異なる複数のものを用いてもよい。
粘着層に用いられるアクリル樹脂は、その不揮発分100重量部に対し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を、通常は 60〜99.9重量部、好ましくは 80〜99.6重量部の割合で含有しており、また極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位を、通常は0.1〜20重量部、好ましくは0.4〜10重量部の割合で含有している。
本発明で使用されるアクリル樹脂は、上で説明した(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び極性官能基を有するモノマー以外のモノマーに由来する構造単位を含有していてもよい。これらの例としては、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系モノマーに由来する構造単位、ビニル系モノマーに由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来する構造単位などを挙げることができる。
脂環式構造とは、炭素数が、通常5以上、好ましくは5〜7程度のシクロパラフィン構造である。脂環式構造を有するアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられ、脂環式構造を有するメタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
スチレン系モノマーの例としては、スチレンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
ビニル系モノマーの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニルや臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き共役ジエンモノマー;さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び極性官能基を有するモノマー以外のモノマーは、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着層に使用されるアクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び極性官能基を有するモノマー以外のモノマーに由来する構造単位は、その樹脂の不揮発分100重量部に対し、通常0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部の割合で含有される。
粘着層11の有効成分は、以上のような、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位を含むアクリル樹脂を2種類以上含むものであってもよい。さらに、前記アクリル樹脂に、それとは異なるアクリル樹脂、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有し、極性官能基を含まないアクリル樹脂などを混合したものであってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位を含むアクリル樹脂は、アクリル樹脂全体のうち、60重量%以上、さらには80重量%以上とするのが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位を含有するアクリル樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw )が、 1,000,000〜2,000,000 の範囲にあることが好ましい。標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が 1,000,000以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。また、この重量平均分子量が 2,000,000以下であると、その粘着層に貼合されている偏光フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。重量平均分子量(Mw )と数平均分子量(Mn )の比(Mw/Mn)で表される分子量分布は、通常2〜10程度の範囲にある。
アクリル樹脂(2種類以上を組み合わせる場合は両者の混合物)は、それを酢酸エチルに溶かして不揮発分濃度20重量%に調整した溶液が、25℃において20Pa・s 以下、さらには0.1〜7Pa・sの粘度を示すことが好ましい。このときの粘度が20Pa・s 以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定することができる。
粘着層を構成するアクリル樹脂は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、公知の各種方法によって製造することができる。このアクリル樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、アクリル樹脂の製造に用いられる全てのモノマーの合計100重量部に対して、 0.001〜5重量部程度使用される。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤などが用いられる。光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどを挙げることができる。熱重合開始剤として、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素の如き無機過酸化物などを挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤なども、重合開始剤として使用しうる。
アクリル樹脂の製造方法としては、上に示した方法の中でも、溶液重合法が好ましい。溶液重合法の具体例を挙げて説明すると、所望のモノマー及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下にて、熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは60〜80℃程度にて3〜10時間程度攪拌する方法などを挙げることができる。また、反応を制御するために、モノマーや熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;プロピルアルコール、イソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類などを用いることができる。
以上のようなアクリル樹脂に通常、架橋剤を配合して、粘着剤とされる。このために用いる架橋剤は、極性官能基と架橋しうる官能基を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、具体的には、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート化合物、アジリジン系化合物などを挙げることができる。
イソシアネート系化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンなどのポリオールを反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を2量体、3量体等にしたものも、粘着層に用いられる架橋剤となりうる。さらに、2種類以上のイソシアネート系化合物を混合して用いることもできる。
エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。2種類以上のエポキシ系化合物を混合して用いてもよい。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物などが挙げられる。
アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子からなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン トリ−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
これらの架橋剤の中でも、イソシアネート系化合物が好ましく用いられる。また、イソシアネート系化合物にアジリジン系化合物を併用するのも有効である。架橋剤は、粘着剤を構成するアクリル樹脂の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合はその合計量)に対して、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは0.1〜7重量部程度配合される。架橋剤の量は、後述するゲル分率とも関係するので、必要とされるゲル分率に合わせて、上記範囲から適宜選択すればよい。
粘着剤には、架橋剤を配合する前に、シラン系化合物を配合しておくことが好ましい。シラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、デシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。2種類以上のシラン系化合物を使用してもよい。
シラン系化合物として、ポリマーやオリゴマータイプのものを用いてもよい。ポリマーやオリゴマータイプのシラン系化合物としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、メルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、メルカプトメチル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、メタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、アクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、ビニル基含有のコポリマー;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
の如き、アミノ基含有のコポリマーなど。
これらのシラン系化合物は、多くの場合、液体である。粘着剤におけるシラン系化合物の配合量は、アクリル樹脂の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合は、その合計量)に対して、通常0.0001〜10重量部程度であり、好ましくは0.01〜5重量部の割合で使用される。アクリル樹脂の不揮発分100重量部に対するシラン系化合物の量が 0.0001重量部以上であると、粘着層とガラス基板との密着性が向上することから好ましい。また、その量が10重量部以下であると、粘着層からシラン系化合物がブリードアウトすることが抑制される傾向にあることから好ましい。
以上説明した粘着剤にはさらに、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラーなどを配合してもよい。中でも、粘着剤に架橋剤とともに架橋触媒を配合すると、粘着層を短時間の熟成で調製することができ、得られる光学積層体において、粘着層と偏光フィルムとの間に浮きや剥れが発生したり、粘着層内で発泡が起こったりすることを抑制することができ、しかもリワーク性も一層良好になることがある。架橋触媒としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、トリメチレンジアミン、ポリアミノ樹脂、メラミン樹脂の如きアミン系化合物などを挙げることができる。粘着剤に架橋触媒としてアミン系化合物を配合する場合、架橋剤としてはイソシアネート系化合物が好適である。
本発明では先にも述べたように、粘着層11は、そのゲル分率が75〜95重量%となるようにする。ここでゲル分率は、以下の(I)〜(IV)に従って測定される値である。
(I)約8cm×約8cmの面積の粘着層と、約10cm×約10cmのSUS304からなる金属メッシュ(その重量をWm とする)とを貼合する。
(II)上記(I)で得られた貼合物の重量を秤量して、その重量をWs とし、次に粘着層を包み込むように4回折りたたんでホッチキス(ステープラー)で留めたのち秤量して、その重量をWb とする。
(III)ガラス容器に上記(II)でホッチキス留めしたメッシュを入れ、酢酸エチル60mlを加えて浸漬した後、このガラス容器を室温で3日間保管する。
(IV)ガラス容器からメッシュを取り出し、120℃で24時間乾燥した後、秤量して、その重量をWa とし、次式に基づいてゲル分率を計算する。
ゲル分率(重量%)= [{Wa−(Wb−Ws)−Wm}/(Ws−Wm)]×100
粘着層11のゲル分率は、75〜95重量%となるようにする。そのゲル分率が75重量%以上であると、粘着層11と偏光フィルム15を構成する非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12との間に浮きや剥れが発生したり、粘着層内で発泡が起こったりすることを抑制しうる傾向にあることから好ましく、またそのゲル分率が95重量%以下であると、製造しやすいことから好ましい。
粘着層11のゲル分率を75〜95重量%に調整するには、粘着層の有効成分であるアクリル樹脂の種類によっても異なるが、架橋剤の量を多くすれば、ゲル分率が高くなるので、架橋剤の量によってゲル分率を調整すればよい。具体的には、粘着層11を構成するアクリル樹脂の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合はその合計量)に対する架橋剤の配合量を、 0.3〜7重量部程度の範囲から、アクリル樹脂の種類に合わせて適宜選択すればよい。
粘着層11の厚みは特に限定されないが、通常は30μm 以下であるのが好ましく、また10μm 以上であるのが好ましい。粘着層の厚みが30μm 以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましく、またその厚みが10μm 以上であると、そこに貼合されている偏光フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。
従来から一般に、液晶表示用ガラスセルに貼合するための粘着層の厚みは、25μm 前後が標準とされていたが、本発明において非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12上に設けられる粘着層11は、20μm 以下の厚みとするのが有利である。一般に、粘着層を厚くすると、気泡が出やすくなるが、白抜けは抑えられやすくなる。一方、粘着層を薄くすると、気泡は出にくくなるが、白抜けが起こりやすくなる。本発明において偏光フィルム15に用いる非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12は、前述のとおり光弾性係数が小さいので、温度変化などに伴う位相差変化が小さい。このため、その上に設ける粘着層11を薄くしても、そちら側に起因する白抜けはほとんど起こらない。また、偏光フィルム15ないしはそれを構成する非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12に寸法変化が起こっても、粘着層11が薄ければ、その寸法変化の粘着層への影響が小さくなる。そこで、粘着層11の厚みを20μm 以下と薄くしても、白抜けなどがほとんど起こらなくなり、さらにはそれを液晶表示用ガラスセルに貼合した光学積層体全体の薄肉化にも寄与することができる。
本発明の粘着剤付き偏光フィルムにおいては、図2に示すように、偏光フィルム15を構成する保護フィルム14の外側には、輝度向上フィルム17を積層することができる。図2においては、保護フィルム14の外側(粘着層11と反対側)に、輝度向上フィルム17が配置されている以外、図1と同じなので、図1と同一部分には同じ符号を付して、細かい説明は省略する。
ここで、輝度向上フィルム17とは、液晶表示装置におけるバックライト光の利用効率を高めることのできる光学フィルムである。輝度向上フィルムとして例えば、米国の 3M Company〔日本では住友スリーエム(株)〕 から販売されている反射型偏光分離フィルムである“DBEF”、同じく 3M Company から販売されている上向きプリズムシートである“BEF”、三菱レイヨン(株)から販売されている下向きプリズムシートである“ダイヤアート”などを挙げることができる。
[粘着剤付き偏光フィルムの製造方法]
以上のように構成される本発明の粘着剤付き偏光フィルムは、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる偏光フィルム15を用意し、別途、ゲル分率が75〜95重量%となるように調製された粘着剤を用意し、この粘着剤を、偏光フィルム15における非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の表面に適用して、粘着層11とする方法により、製造することができる。図2に示すように輝度向上フィルム17を保護フィルム14の外側に設ける場合は、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる偏光フィルム15の段階で、その保護フィルム14の外側に粘着剤等を介して輝度向上フィルム17を貼合しておくのが有利である。
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の表面に粘着層11を設けるにあたっては、ゲル分率が75〜95重量%となるように調製された粘着剤の有機溶媒溶液を直接塗布し、乾燥する方法を採用することができる。これとは別に、ゲル分率が75〜95重量%となるように調製された粘着層11を剥離フィルム上に形成し、これを非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の表面に転写する方法を採用することもできる。
後者の場合は、有機溶媒で希釈した状態の粘着剤の溶液を剥離フィルムの上に塗布し、60〜120℃で 0.5〜10分間程度加熱して有機溶媒を除去し、粘着層11を得る。次にこの粘着層に、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成である偏光フィルム15をその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側で貼合したのち、室温(23℃前後)、相対湿度65%前後の雰囲気であれば、5〜20日程度熟成して、架橋剤を十分に反応させ、その後剥離フィルムを剥がして、粘着層11と偏光フィルム15の積層体を得ることができる。
また、剥離フィルム上に粘着層を形成し、これを非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の表面に転写する方法の別法として、以下の方法を挙げることができる。すなわち、前記に準じて剥離フィルム及び粘着層の2層からなる積層体を得る。これをロール状に巻いた状態で、室温(23℃前後)、相対湿度65%前後の雰囲気であれば、5〜20日程度熟成して、架橋剤を十分反応させる。ロール状に巻くとき、剥離フィルムとして、その両面に離型処理が施されたものを用い、粘着層が順次剥離フィルムで挟まれる状態としてもよいし、粘着層の露出面に別の剥離フィルムを貼り合わせてもよい。上記の熟成が終わった後、粘着層の片面を露出させ(片面には剥離フィルムが付いたままとする)、その露出面に偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側を貼合して、粘着層付き偏光フィルム10を得る。
ここで、剥離フィルムは、粘着層を形成するための基材となる。熟成中や、粘着層と偏光フィルムの積層体として保存する際に、塵や埃などの異物から粘着層を保護する役割を果たすこともある。剥離フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどの各種樹脂からなるフィルムを基材とし、この基材の粘着層との接合面に、シリコーン処理の如き離型処理が施されたものなどが挙げられる。
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面に粘着層11を形成する際、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の貼合面には、粘着層11との接着力を高めるため、コロナ放電処理を施しておくことが好ましい。コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、そこに配置された樹脂フィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理は、その出力を 200〜1,000W程度に設定して行うのが好ましい。コロナ放電処理の出力を200W以上とすることで、この処理による効果が顕著になり、粘着層11と非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12の接着力が向上する。また、コロナ放電処理の出力を 1,000W以下とすることで、この処理によって生じやすい粉塵が軽減される。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類などによっても異なるが、例えば、電極間隔を1〜5mm、移動速度を3〜20m/分程度に設定するのが好ましい。
[光学積層体]
以上説明した粘着剤付き偏光フィルム10は、その粘着層11側で液晶表示用ガラスセルに貼り合わせることにより、液晶表示用の光学積層体とすることができる。液晶表示用ガラスセルのもう一方の面には、上記粘着層11と同じ粘着層を介して偏光フィルムを貼り合わせることもできるが、白抜けなどの光学的欠陥を抑制するうえでは、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された構造の偏光フィルムを、反対側の粘着層11よりもゲル分率の低い粘着層を介して貼り合わせるのが好ましい。このように、液晶表示用ガラスセルの両面で、ゲル分率の異なる粘着層を介して偏光フィルムを貼り合わせる形態を、以下「光学積層体の第一実施形態」と呼ぶことがある。
一方、液晶表示用ガラスセルの両面に、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムを、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼り合わせる場合は、これまでに説明したような、ゲル分率が高く、凝集力の大きい粘着層を介して、それぞれの偏光フィルムを貼り合わせるのが好ましい。このように、液晶表示用ガラスセルの両面に、それぞれゲル分率が高い粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる偏光フィルムをその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼り合わせる形態を、以下「光学積層体の第二実施形態」と呼ぶことがある。
いずれの形態をとるにしても、図3に示すように、本発明に係る光学積層体30は、液晶表示用ガラスセル35の片面に、第一の粘着層11を介して、第一の偏光フィルム15が貼着され、ガラスセル35の他面には、第二の粘着層21を介して、第二の偏光フィルム25が貼着された構成となる。そして、第一の偏光フィルム15は、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなり、第一の粘着層11は、ゲル分率が75〜95重量%のもので構成され、第一の偏光フィルム15はその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側で、上記第一の粘着層11を介して液晶表示用ガラスセル35の片面に貼着される。
この光学積層体30において、第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25のどちらを前面側(視認側)とし、どちらを背面側(バックライト側)とするかは任意であるが、一般には、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12を有する第一の偏光フィルム15を背面側とするのが好ましい。この場合は、図4に示すように、前面側となる第二の偏光フィルム25の粘着層21とは反対側の保護フィルム24の外側に、表面処理層27を設けるのが好ましく、また、背面側となる第一の偏光フィルム15における保護フィルム14の外側には、先に図2を参照して説明したのと同様の輝度向上フィルム17を積層することができる。図3において、液晶表示用ガラスセル35の片面(図の下側)に配置された粘着剤付き偏光フィルム10は、図1に示したものと同じであり、また図4において、液晶表示用セルガラス35の片面(図の下側)に配置された粘着剤付き偏光フィルム10は、図2に示したものと同じなので、これらについては、それぞれ図1及び図2と同一部分に同じ符号を付して、細かい説明は省略する。
液晶表示用ガラスセル35は、ガラス基板を含むものであり、通常、2枚のガラス基板の間に液晶化合物を充填したものが、液晶表示装置に用いられる。液晶表示用ガラスセル35における液晶表示モードは、TNやSTNのほか、IPS(In-Plane Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence )など、この分野で知られている各種のものであることができる。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。
第二の偏光フィルム25の外側に必要に応じて設けられる表面処理層27は、表示特性や表面物性を高めるために、例えば、蛍光灯などの外部光源から照射された光線の反射を少なくし、液晶表示装置の視認性を高めるためのものである。具体的には、表面に凹凸をつけて反射光を散乱させる防眩(AG)層、光の干渉を利用する反射防止(AR)層、塗膜により反射率を下げる低反射(LR)層などが挙げられる。また、偏光フィルムの表面に直接ハードコート層が設けられている場合や、上記の如き防眩層や反射防止層、低反射層などの上にさらにハードコート層が設けられている場合、そのハードコート層も表面処理層27となりうる。
第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25は、通常、それぞれの透過軸が所定の角度をなすように、例えば、TNモードやIPSモード、VAモードでは直交するように、粘着層を介して液晶表示用ガラスセル35の両面に貼り合わされる。
第二の偏光フィルム25と液晶表示用ガラスセル35との貼合に用いられる第二の粘着層21は、先に図1を参照して説明した第一の粘着層11と同様、アクリル樹脂に架橋剤を配合して得られる粘着剤を硬化してなるものであることができる。アクリル樹脂や架橋剤については、第一の粘着剤と同様の説明があてはまる。また、第二の粘着層21を形成する粘着剤にも、第一の粘着層と同様、シラン系化合物を配合しておくのが好ましい。
[光学積層体の第一実施形態]
光学積層体の第一実施形態について、主として図3を参照し、必要に応じて図4も参照しながら説明する。この形態では、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15を、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側に設けられた、ゲル分率が75〜95重量%である第一の粘着層11を介して液晶表示用ガラスセル35の片面に貼着し、液晶表示用ガラスセル35の他面には、偏光子23の両面にアセチルセルロース系の保護フィルム22,24が貼合された第二の偏光フィルム25を、第二の粘着層21を介して貼着し、かつ第二の粘着層21は、そのゲル分率が30〜70重量%となるようにするのが好ましい。
この形態において、第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25のどちらを前面側(視認側)とし、どちらを背面側(バックライト側)とするかは任意であるが、一般には、偏光子23の両面にアセチルセルロース系の保護フィルム22,24が貼合された構造である第二の偏光フィルム25を前面側とするのが好ましい。この場合は、図4に示すように、前面側となる第二の偏光フィルム25の粘着層21とは反対側の保護フィルム24の外側に表面処理層27を設けるのが好ましく、また、背面側となる第一の偏光フィルム15における保護フィルム14の外側には、先に図2を参照して説明したのと同様の輝度向上フィルム17を積層することができる。
第二の偏光フィルム25について説明する。偏光フィルムは、自然光などの入射光に対して、偏光を出射する機能を持つ光学フィルムである。偏光フィルムには、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それに直交する振動面を有する直線偏光を透過する性質を有する直線偏光フィルム、直線偏光フィルムに位相差フィルムを積層した楕円偏光フィルムなどがある。第二の偏光フィルム25として、直線偏光フィルムを含むものが好ましく用いられる。そこで、第二の偏光フィルム25を構成する偏光子23の具体例として、第一の偏光フィルム15を構成する偏光子13と同様、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性色素が吸着配向されている偏光子を挙げることができる。
この偏光子23は、その両面にアセチルセルロース系の保護フィルム22,24が貼合されている。アセチルセルロース系の保護フィルムとして具体的には、トリアセチルセルロースフィルムやジアセチルセルロースフィルムを挙げることができるが、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが好ましく用いられる。保護フィルム22,24の厚みは、通例30〜120μm 程度である。
光学積層体の第一実施形態において、第二の粘着層21は、そのゲル分率が30〜70重量%、さらには40重量%以上、また65重量%以下となるようにするのが好ましい。ゲル分率は、先に第一の粘着剤について説明したのと同様の方法で測定できる。第二の粘着層21のゲル分率が30重量%以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。一方、そのゲル分率が70重量%以下であると、その粘着層に貼合されている第二の偏光フィルム25の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。
第二の粘着層21のゲル分率調整も、粘着剤への架橋剤の配合量を調節することにより行うことができる。やはりアクリル樹脂の種類などによって、第二の粘着層21のゲル分率を30〜70重量%にしうる架橋剤の量は異なるので、第二の粘着層21を構成するアクリル樹脂の不揮発分100重量部(2種類以上用いる場合はその合計量)に対する架橋剤の配合量を、 0.1〜3重量部程度の範囲から、アクリル樹脂の種類に合わせて適宜選択すればよい。
光学積層体の第一実施形態において好ましいとする規定に従えば、第一の粘着層11のゲル分率は、第二の粘着層21のゲル分率より少なくとも5重量%大きい値となるが、両者の差が10重量%以上、さらには15重量%以上となるようにするのが一層好ましい。
光学積層体の第一実施形態を構成する第二の粘着層21においては、アクリル樹脂として、第一の粘着層11について説明した、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有するモノマーに由来する構造単位を含むアクリル樹脂、特に重量平均分子量(Mw )が 1,000,000〜2,000,000 であるアクリル樹脂(第一のアクリル樹脂とする)に加え、それとは異なる第二のアクリル樹脂を組み合わせて用いることも有効である。この場合、第二のアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw )が通常 50,000〜500,000の範囲にあることが好ましい。この重量平均分子量が 50,000 以上であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましく、また、この重量平均分子量が 500,000以下であると、その粘着層に貼合されている第二の偏光フィルム25の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。
第一のアクリル樹脂と第二のアクリル樹脂を混合して用いる場合、両者の合計100重量部を基準に、第二のアクリル樹脂が、通常5〜50重量部、さらには20〜40重量部程度の割合となるようにするのが好ましい。アクリル樹脂全体100重量部に対する第二のアクリル樹脂の量が5重量部以上であると、その粘着層に貼合されている第二の偏光フィルム25の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましく、また第二のアクリル樹脂量が50重量部以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。
第二の粘着層21の厚みは特に限定されないが、通常は30μm 以下であるのが好ましく、また10μm 以上であるのが好ましい。粘着層の厚みが30μm 以下であると、高温高湿下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましく、その厚みが10μm 以上であると、そこに貼合されている偏光フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。第二の粘着層21の厚みは、25μm 以下、また15μm 以上であるのが一層好ましい。
[光学積層体の第二実施形態]
次に、光学積層体の第二実施形態について、やはり主として図3を参照し、必要に応じて図4も参照しながら説明する。この形態では、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15を、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側に設けられた、ゲル分率が75〜95重量%である第一の粘着層11を介して液晶表示用ガラスセル35の片面に積層し、液晶表示用ガラスセル35の他面にも、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム22/偏光子23/保護フィルム24の構成からなる第二の偏光フィルム25を、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム22側に設けられた、ゲル分率が75〜95重量%である第二の粘着層21を介して積層する。
この形態における第二の偏光フィルム25については、先に図1を参照して偏光フィルム15について述べたのと同様の説明があてはまる。また第二の粘着層21についても、図1を参照して粘着層11について述べたのと同様の説明があてはまる。
この光学積層体においては、液晶表示用ガラスセル35の表裏で基本的に対称構造となるので、どちらを前面側(視認側)とし、どちらを背面側(バックライト側)としてもよい。図4では、第二の偏光フィルム25を前面側としている。そして、前面側となる第二の偏光フィルム25における粘着層21とは反対側の保護フィルム24の外側には、表面処理層27を設けるのが好ましい。また、背面側となる第一の偏光フィルム15における保護フィルム14の外側には、輝度向上フィルム17を積層することができる。
[光学積層体の製造方法]
図3に示される光学積層体は、液晶表示用ガラスセル35の片面に第一の粘着層11を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15をその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側で貼着し、前記液晶表示用ガラスセル35の他面には第二の粘着層21を介して、第二の偏光フィルム25を貼着する方法により、製造できる。
そして、上記した光学積層体の第一実施形態の製造にあたっては、第一の粘着層11はそのゲル分率が75〜95重量%となるように調製して第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面に設け、第二の粘着層21はそのゲル分率が30〜70重量%となるように調製して第二の偏光フィルム25の片面に設け、それぞれの粘着層を介して、第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25を液晶表示用ガラスセル35の両面に貼り合わせる方法が採用できる。図4に示すように輝度向上フィルム17を第一の偏光フィルム15の保護フィルム14外側に設ける場合には、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15の段階で、その保護フィルム14の外側に粘着剤等を介して輝度向上フィルム17を貼合しておくのが有利である。また、第二の偏光フィルム25の片側に表面処理層27を設ける場合には、一方の保護フィルム24の片面に表面処理層27を設けた状態で、第二の偏光フィルム25を作製しておき、これを、第二の粘着層21を介して液晶表示用ガラスセル35の片面に貼合する方法を採用することもできるし、光学積層体を作製した後、最後に、表面処理層27が形成されたフィルムを第二の偏光フィルム25の表面に貼合する方法を採用することもできるが、一般には前者の方法が有利である。
具体的には例えば、以下の方法により光学積層体の第一実施形態のものを製造することができる。まず、先の粘着剤付き偏光フィルムの製造方法に示した方法に準じて、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成である第一の偏光フィルム15(必要により保護フィルム14の外側に輝度向上フィルム17が設けられている)の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面に第一の粘着層11を形成して、第一の粘着剤付き偏光フィルム10を作製する。別途、第二の偏光フィルム25にも、その片側保護フィルム22の表面(第二の偏光フィルム25が表面処理層27を有する場合は、その表面処理層と反対側の面)に、上に準じた方法で第二の粘着層21を形成して、第二の粘着剤付き偏光フィルム20を作製する。これら第一の粘着剤付き偏光フィルム10及び第二の粘着剤付き偏光フィルム20を、それぞれの粘着層側で液晶表示用ガラスセル35の各面に貼り合わせる。
別法として、次のような方法を採用することもできる。まず、前記に準じた方法で剥離フィルムの上に第一の粘着層11を形成し、別の剥離フィルムの上に第二の粘着層21を形成する。第一の粘着層11は第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12上に転写し、第二の粘着層は第二の偏光フィルム25上に転写する。その後剥離フィルムを剥がして、第一の粘着層11と第一の偏光フィルム15との積層体、及び第二の粘着層21と第二の偏光フィルム25との積層体を得る。第一の粘着層11を液晶表示用ガラスセル35の片面に、第二の粘着層21を液晶表示用ガラスセル35の他面にそれぞれ貼合したのち、表面処理層27を第二の偏光フィルム25の表面に積層する。この場合は例えば、表面処理層27が形成されたフィルムを用意しておき、これを第二の偏光フィルム25の表面に貼合することになる。
光学積層体の第二実施形態のものは、第二の偏光フィルム25として、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム22/偏光子23/保護フィルム24の構成であるものを採用し、第二の粘着層21として、ゲル分率が75〜95重量%であるものを採用し、それ以外は上記に準じた方法で、製造することができる。
[偏光フィルムのセット]
本発明による偏光フィルムのセットは、図3を参照しながら光学積層体の第一実施形態として上で説明した、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15と、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側に設けられた第一の粘着層11とを有する第一の粘着剤付き偏光フィルム10、及び、偏光子23の両面にアセチルセルロース系の保護フィルム22,24が貼合された第二の偏光フィルム25と、その片面に設けられた第二の粘着層21とを有する第二の粘着剤付き偏光フィルム20からなる。そして第一の粘着層11は、そのゲル分率が75〜95重量%とされており、第二の粘着層21は、そのゲル分率が30〜70重量%とされている。
[偏光フィルムのセットの製造方法]
この偏光フィルムのセットは、具体的には、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側に第一の粘着層11を設けて、第一の粘着剤付き偏光フィルム10とし、別途、偏光子22の両面にアセチルセルロース系の保護フィルム22,24が貼合された第二の偏光フィルム25の片面に第二の粘着層を設けて、第二の粘着剤付き偏光フィルム20とする方法により、製造できる。図4に示すように輝度向上フィルム17を第一の偏光フィルム15側に設ける場合は、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成である第一の偏光フィルム15の段階で、その保護フィルム14の外側に、粘着剤等を介して輝度向上フィルム17を貼合しておくのが有利である。また、第二の偏光フィルム25の片側に表面処理層27を設ける場合は、一方の保護フィルム24の片面に表面処理層27を設けた状態で、第二の偏光フィルム25を作製するのが有利である。第一の粘着層11は、そのゲル分率が75〜95重量%となるように調製して、第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面に設け、第二の粘着層21は、そのゲル分率が30〜70重量%となるように調製して、第二の偏光フィルム25の片面(第二の偏光フィルム25が表面処理層27を有する場合は、その表面処理層と反対側)に設ける。
それぞれの粘着層は、第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面、あるいは第二の偏光フィルム25の片面に、粘着剤の溶液を直接塗布する方法により設けることもできるが、上で粘着剤付き偏光フィルムの製造方法及び光学積層体の製造方法の例として説明したように、剥離フィルムの上に粘着剤の溶液を塗布し、溶媒を除去する方法により粘着層を形成し、これをそれぞれの偏光フィルム表面に転写する方法によって設けるのが有利である。後者の場合、第一の粘着層11は、ゲル分率が75〜95重量%となるように調製され、有機溶媒で希釈された粘着剤を剥離フィルムの上に塗付し、有機溶媒を除去した状態で、第一の偏光フィルム15の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12表面に貼り合わされる。また第二の粘着層21は、ゲル分率が30〜70重量%となるように調製され、有機溶媒で希釈された粘着剤を剥離フィルムの上に塗付し、有機溶媒を除去した状態で、第二の偏光フィルム25の片面に貼り合わされる。いずれにおいても、粘着層は、偏光フィルムに貼る前又は貼った後に、十分な期間熟成して、架橋剤を反応させておく。
なお、光学積層体の第二実施形態として説明した、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成からなる第一の偏光フィルム15と、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム12側に設けられた第一の粘着層11とを有する第一の粘着剤付き偏光フィルム10、及び、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム22/偏光子23/保護フィルム24の構成からなる第二の偏光フィルム25と、その片面に設けられた第二の粘着層21とを有する第二の粘着剤付き偏光フィルム20の組合せも、別の偏光フィルムのセットとなりうる。ただこの場合は、二つの粘着剤付き偏光フィルム10,20が、表面処理層や輝度向上フィルムなどの付加的な層を設ける場合は別として、基本的に同じ構成になるので、さらに詳しい説明は不要であろう。
[液晶表示装置]
本発明の光学積層体は、透過型の液晶表示装置として有利に用いられる。この場合は、図3に示す構造であれば、第一の偏光フィルム15の外側又は第二の偏光フィルム25の外側、好ましくは第一の偏光フィルム15の液晶表示用ガラスセル35と反対側にバックライトが設けられ、また図4に示す構造であれば、輝度向上フィルム17の液晶表示用ガラスセル35と反対側にバックライトが設けられて、液晶表示装置となる。
本発明の光学積層体において、あるいは偏光フィルムのセットをそれぞれ液晶表示用ガラスセルに貼合した状態において、偏光フィルムを剥離した後でも、粘着層と接していたガラス基板の表面には、糊残りや曇りなどがほとんど発生しないことから、偏光フィルム剥離後の液晶表示用ガラスセルに再び、偏光フィルムを貼り直すことが容易である。すなわち、いわゆるリワーク性に優れている。
この光学積層体から形成される液晶表示装置は、例えば、ノート型、デスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistance )などを包含するパーソナルコンピュータ用ディスプレイ、テレビ、車載用ディスプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計などに用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
アクリル樹脂の不揮発分は、 JIS K 5407 に準じた方法で測定した値である。具体的には、粘着剤溶液を任意の重量でシャーレにとり、防爆オーブンにて115℃で2時間乾燥させた後の残留不揮発分重量を、最初に測りとった溶液の重量に対する割合で表したものである。重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、GPC装置に、カラムとして東ソー(株)製の“TSK gel GMHHR-H(S)”2本を直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて、試料濃度5mg/ml、試料導入量100μl 、温度40℃、流速1ml/分の条件で、標準ポリスチレン換算により行った。
まず、アクリル樹脂の製造例を示す。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、酢酸エチル 169.8部、アクリル酸ブチル97.0部及びアクリル酸3.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に昇温したのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル5部に溶かした溶液を全量添加した。その後内温54〜56℃で12時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 1,540,000、Mw/Mn が4.69であった。これをアクリル樹脂A1とする。
[重合例2]
モノマー組成を、アクリル酸ブチル98.7部、アクリル酸1.1部、及びアクリル酸2−エチルヘキシル 0.2部に変更した以外は、重合例1と同様にして、20%濃度のアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが 1,390,000、Mw/Mnが3.53であった。これをアクリル樹脂A2とする。
[重合例3]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、酢酸エチル 81.8部、アクリル酸ブチル98.9部及びアクリル酸1.1部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に昇温したのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤添加1時間後に、モノマーを除くアクリル樹脂の濃度が35%となるように、添加速度17.3部/hr で酢酸エチルを連続的に反応器に添加しながら、内温54〜56℃で12時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 1,670,000、Mw/Mn が4.4であった。これをアクリル樹脂A3とする。
[重合例4]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル222部、アクリル酸ブチル35部、メタクリル酸ブチル44部、アクリル酸メチル20部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル1部を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換した後、内温が75℃になるように昇温した。次に、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.55部を酢酸エチル12.5部に溶かした溶液を全量添加したのち、内温を69〜71℃に保ちながら8時間保温し、反応を完結した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量が 90,000であった。これをアクリル樹脂A4とする。
次に、上で製造したアクリル樹脂を用いて、粘着剤を製造した例を示す。ここでは、架橋剤及びシラン系化合物として、それぞれ次のものを用いた(いずれも商品名)。
架橋剤
コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン工業(株)から入手。
TAZM:トリメチロールプロパン トリ−β−アジリジニルプロピオネート(液体)、相互薬工(株)から入手。
シラン系化合物
X-41-1805 :メルカプト基を有するシランオリゴマー(液体)、信越化学工業(株)から入手。
[粘着剤の製造例1]
重合例1で得たアクリル樹脂A1の不揮発分100部に対し、架橋剤“コロネートL”を固形分で5部、及びシラン系化合物“X-41-1805 ”を 0.1部混合して、粘着剤溶液とした。この粘着剤溶液を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム〔商品名“PET 3811”、リンテック(株)から入手;セパレーターと呼ぶ〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが15μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて、シート状の粘着剤を得た。これを粘着剤1とする。
[粘着剤の製造例2]
重合例2で得たアクリル樹脂A2の不揮発分100部に対し、架橋剤“コロネートL”を固形分で1.5部、及びシラン系化合物“X-41-1805 ”を0.1部混合して、粘着剤溶液とした。この粘着剤溶液を、上と同様のセパレーターの離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが25μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて、シート状の粘着剤を得た。これを粘着剤2とする。
[粘着剤の製造例3]
重合例3で得たアクリル樹脂A3を不揮発分として70部、及び重合例4で得たアクリル樹脂A4を不揮発分として30部の割合で混合し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液とした。得られた溶液の固形分100部に対して、架橋剤“コロネートL”を固形分で 2.3部、及びシラン系化合物“X-41-1805”を0.1部混合して、粘着剤溶液とした。この粘着剤溶液を、上と同様のセパレーターの離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが25μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて、シート状の粘着剤を得た。これを粘着剤3とする。
[粘着剤の製造例4]
重合例3で得たアクリル樹脂A3の不揮発分100部に対し、架橋剤“コロネートL”を固形分で2部と“TAZM”を0.02部、及びシラン系化合物“X-41-1805 ”を0.1部混合して、粘着剤溶液とした。この粘着剤溶液を、上と同様のセパレーターの離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが15μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて、シート状の粘着剤を得た。これを粘着剤4とする。
粘着剤1〜4について、アクリル樹脂の組成、架橋剤とシラン系化合物の配合量、得られた粘着剤の塗工膜厚及びゲル分率を表1にまとめた。
Figure 0005162908
次に、粘着剤付き偏光フィルムを作製し、それをガラス基板に適用して光学積層体を作製した実施例及び比較例を示す。ここでは、図3に示した符号を参照しながら、光学積層体30を得るまでの工程を示す。まず、液晶表示用ガラスセルの片面にノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である第一の偏光フィルムを貼着し、他面にはトリアセチルセルロース保護フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である第二の偏光フィルムを貼着する例を示す。
[実施例1]
(a)粘着剤付き偏光フィルムの作製
ノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である第一の偏光フィルム15を用意し、そのノルボルネン系樹脂フィルム12表面に、出力600W、移動速度10m/分の条件でコロナ放電処理を施した後、そのコロナ放電処理面に、ラミネーターを用いて、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤1(ゲル分率80.2%、膜厚15μm)をその粘着剤側で貼り合わせ、さらに温度23℃、相対湿度65%の条件で10日間熟成して、第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に第一の粘着層11を形成させ、第一の粘着剤付き偏光フィルム10とした。
別途、トリアセチルセルロース保護フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成であり、一方の保護フィルム表面に反射防止層が形成されている第二の偏光フィルム25を用意し、その反射防止層が設けられていない側の保護フィルム表面に、ラミネーターを用いて、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤3(ゲル分率61.8%、膜厚25μm)をその粘着剤側で貼り合わせ、さらに温度23℃、相対湿度65%の条件で10日間熟成して、第二の偏光フィルム25の片側保護フィルム22面に第二の粘着層21を形成させ、第二の粘着剤付き偏光フィルム20とした。
(b)光学積層体の作製
液晶表示用ガラス基板〔コーニング社製の“1737”(商品名)〕35の一方の面に、上記第一の粘着剤付き偏光フィルム10を、その粘着層11からセパレーターを剥がして貼合し、ガラス基板の他方の面には、上記第二の粘着剤付き偏光フィルム20を、その粘着層21からセパレーターを剥がして貼合した。この際、第一の偏光フィルム15と第二の偏光フィルム25はクロスニコルとなるように貼着した。こうして、反射防止層/第二の偏光フィルム25/第二の粘着層21/ガラス基板35/第一の粘着層11/(ノルボルネン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成である第一の偏光フィルム15)が順次積層されてなる光学積層体30を作製した。なお、2枚の偏光フィルムはそれぞれ、30cm×22cm(15型)の四角形とした。
(c)耐久性等の評価
上の光学積層体に対し、温度80℃の乾燥条件下で96時間保管する耐熱試験を行った後に、白抜けの発現状態を目視で観察した。また、上と同じ条件で耐熱試験を行った場合と、温度60℃、相対湿度90%で96時間保管する耐湿熱試験を行った場合と、70℃に加熱した状態から、−30℃に降温し、次いで70℃に昇温する過程を1サイクル(1時間)として、これを100サイクル繰り返す耐ヒートショック試験(表では耐HS試験と略記)を行った場合のそれぞれについて、試験後の光学積層体における耐久性を評価した。結果は、それぞれ以下の要領で分類し、表2にまとめた。
〈白抜けの発現状態〉
第一の偏光フィルム側から光を入射させたときの白抜けの発現状態を、以下の4段階で評価した。
◎:白抜けが全くみられない。
○:白抜けがほとんど目立たない。
△:白抜けがやや目立つ。
×:白抜けが顕著に認められる。
〈耐久性評価〉
耐熱試験、耐湿熱試験、耐ヒートショック試験を行った後の光学積層体それぞれについて、以下の4段階で耐久性を評価した。
◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない。
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
(d)リワーク性の評価
(a)で作製した二種類の粘着剤付き偏光フィルムそれぞれから、25mm×150mmの大きさの試験片を裁断した。この試験片を、貼付装置〔フジプラ(株)製の“ラミパッカー”(商品名)〕を用いて液晶表示用ガラスセル基板に貼り付け、温度50℃、圧力5kg/cm2(490.3kPa )で20分間オートクレーブ処理を行った。次に、70℃で2時間加熱処理し、引き続き50℃のオーブン中で48時間保管した後、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中にて、この貼着試験片から偏光フィルムを300mm/分の速度で180°方向に剥離して、ガラス板の表面を観察した。その結果、二種類の粘着剤付き偏光フィルムいずれも、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[実施例2]
ノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に貼り合わせる粘着剤を、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤2(ゲル分率82.9%、膜厚25μm)に変更する以外は、実施例1と同様にして粘着剤付き偏光フィルムを作製し、さらに光学積層体を作製した。この光学積層体について、実施例1の(c)と同様の評価を行い、結果を表2に併せて示した。また、ここで作製した第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12面にセパレーター付き粘着剤2を適用した粘着剤付き偏光フィルムについて、実施例1の(d)と同様にしてリワーク性の評価を行ったところ、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[実施例3]
第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に貼り合わせる粘着剤及び第二の偏光フィルム25の反射防止層が設けられていない側の保護フィルム表面に貼り合わせる粘着剤を、いずれも粘着剤の製造例に示した粘着剤1(ゲル分率 80.2%、膜厚15μm )とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製し、評価した。結果を表2に併せて示した。
[比較例1]
第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に貼り合わせる粘着剤及び第二の偏光フィルム25の反射防止層が設けられていない側の保護フィルム表面に貼り合わせる粘着剤を、いずれも粘着剤の製造例に示した粘着剤3(ゲル分率 61.8%、膜厚25μm )とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製し、評価した。結果を表2に併せて示した。
[比較例2]
第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に貼り合わせる粘着剤を、粘着剤の製造例に示した粘着剤3(ゲル分率61.8%、膜厚25μm)とし、第二の偏光フィルム25の反射防止層が設けられていない側の保護フィルム表面に貼り合わせる粘着剤を、粘着剤の製造例に示した粘着剤1(ゲル分率80.2%、膜厚15μm)とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製し、評価した。結果を表2に併せて示した。
Figure 0005162908
非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを有する第一の偏光フィルムの当該非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側に設ける第一の粘着層を、ゲル分率が高く、したがって凝集力の大きい粘着剤1又は粘着剤2で構成した実施例1〜3は、この粘着層が非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムに接着しているため、接着力が高まり、高い耐久性を示した。また、セルロース系保護フィルムを有する通常の偏光フィルム(第二の偏光フィルム)の当該セルロース系保護フィルム側に設ける第二の粘着層を、ゲル分率が低く、したがって凝集力の小さい粘着剤3で構成した実施例1及び2は、第二の粘着層側でガラス面との間の応力を緩和することができるため、白抜けも抑制することができた。
第二の偏光フィルム側にも、ゲル分率が高く、したがって凝集力の大きい粘着剤1を使用した実施例3は、第二の偏光フィルムの熱による寸法変化に伴い、白抜けがやや目立っていたが、用途や液晶パネルメーカーのニーズによっては、十分使用に耐えうるものであった。
これに対し、両方の粘着層をいずれも、ゲル分率が低く、したがって凝集力の小さい粘着剤3で構成した比較例1の光学積層体では、凝集力の小さい粘着剤3を使用しているため、白抜けにおいて良好な結果を示したが、耐久性において劣るものとなった。一方、第一の偏光フィルム側にゲル分率の低い粘着剤3を用い、第二の偏光フィルム側にゲル分率の高い粘着剤1を用いた比較例2では、第一の偏光フィルム側に用いた凝集力の小さい粘着剤3に起因して、耐久性において劣る結果を示した。
次に、液晶表示用ガラスセルの両面に、ノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である偏光フィルムを貼着する例を示す。
[実施例4]
(a)粘着剤付き偏光フィルムの作製
ノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成である第一の偏光フィルム15を用意し、そのノルボルネン系樹脂フィルム12表面に、出力600W、移動速度10m/分の条件でコロナ放電処理を施した後、そのコロナ放電処理面に、ラミネーターを用いて、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤1(ゲル分率80.2%、膜厚15μm)をその粘着剤側で貼り合わせ、さらに温度23℃、相対湿度65%の条件で10日間熟成して、第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に第一の粘着層11を形成させ、第一の粘着剤付き偏光フィルム10とした。
別途、ノルボルネン系樹脂フィルム/ポリビニルアルコール系偏光子/トリアセチルセルロース保護フィルムの構成であり、トリアセチルセルロース保護フィルム表面に反射防止層が形成されている第二の偏光フィルム25を用意し、そのノルボルネン系樹脂フィルム22表面に、出力600W、移動速度10m/分の条件でコロナ放電処理を施した後、そのコロナ放電処理面に、ラミネーターを用いて、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤1(ゲル分率80.2%、膜厚15μm)をその粘着剤側で貼り合わせ、さらに温度23℃、相対湿度65%の条件で10日間熟成して、第二の偏光フィルム25の片側ノルボルネン系保護フィルム22面に第二の粘着層21を形成させ、第二の粘着剤付き偏光フィルム20とした。
(b)光学積層体の作製
液晶表示用ガラス基板〔コーニング社製の“1737”(商品名)〕35の一方の面に、上記第一の粘着剤付き偏光フィルム10を、その粘着層11からセパレーターを剥がして貼合し、ガラス基板の他方の面には、上記第二の粘着剤付き偏光フィルム20を、その粘着層21からセパレーターを剥がして貼合した。この際、第一の偏光フィルム15と第二の偏光フィルム25は、クロスニコルとなるように貼着した。こうして、反射防止層/(保護フィルム24/偏光子23/ノルボルネン系樹脂フィルム22の構成である第二の偏光フィルム25)/第二の粘着層21/ガラス基板35/第一の粘着層11/(ノルボルネン系樹脂フィルム12/偏光子13/保護フィルム14の構成である第一の偏光フィルム15)が順次積層されてなる光学積層体30を作製した。なお、2枚の偏光フィルムはそれぞれ、30cm×22cm(15型)の四角形とした。
(c)耐久性等の評価
上で作製した光学積層体について、実施例1の(c)と同様の方法で評価を行い、結果を表3にまとめた。
(d)リワーク性の評価
(a)で作製した二種類の粘着剤付き偏光フィルムそれぞれにつき、実施例1の(d)と同様の方法でリワーク性の評価を行った。その結果、二種類の粘着剤付き偏光フィルムいずれも、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[実施例5]
第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25のそれぞれノルボルネン系樹脂フィルム12,22表面に貼り合わせる粘着剤を、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤4(ゲル分率75.5%、膜厚15μm)に変更する以外は、実施例4と同様にして粘着剤付き偏光フィルムを作製し、さらに光学積層体を作製した。この光学積層体につき、実施例4の(c)と同様の評価を行い、結果を表3に併せて示した。またここで作製した二種類の粘着剤付き偏光フィルムそれぞれにつき、実施例4の(d)と同様にしてリワーク性の評価を行った。その結果、二種類の粘着剤付き偏光フィルムいずれも、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[比較例3]
第二の偏光フィルム25のノルボルネン系樹脂フィルム22表面に貼り合わせる粘着剤を、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤3(ゲル分率61.8%、膜厚25μm )に変更する以外は、実施例4と同様にして粘着剤付き偏光フィルムを作製し、さらに光学積層体を作製した。この光学積層体について、実施例4の(c)と同様の評価を行い、結果を表3に併せて示した。また、ここで新たに作製した粘着剤付き偏光フィルムについて、実施例4の(d)と同様にしてリワーク性の評価を行った。その結果、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[比較例4]
第一の偏光フィルム15のノルボルネン系樹脂フィルム12表面に貼り合わせる粘着剤を、先の粘着剤の製造例に示したシート状のセパレーター付き粘着剤3(ゲル分率61.8%、膜厚25μm )に変更する以外は、実施例4と同様にして粘着剤付き偏光フィルムを作製し、さらに光学積層体を作製した。この光学積層体について、実施例4の(c)と同様の評価を行い、結果を表3に併せて示した。また、ここで新たに作製した粘着剤付き偏光フィルムについて、実施例4の(d)と同様にしてリワーク性の評価を行った。その結果、ガラス板表面に糊残りが認められず、曇り等もほとんど認められない状態で、良好なリワーク性を示した。
[比較例5]
第一の偏光フィルム15及び第二の偏光フィルム25のそれぞれノルボルネン系樹脂フィルム12,22表面に貼り合わせる粘着剤を、それぞれ比較例3及び4で用いたのと同じシート状のセパレーター付き粘着剤3(ゲル分率61.8%、膜厚25μm)に変更する以外は、実施例4と同様にして粘着剤付き偏光フィルムを作製し、さらに光学積層体を作製した。この光学積層体につき、実施例4の(c)と同様の評価を行い、結果を表3に併せて示した。
Figure 0005162908
液晶表示用ガラスセルの両面に、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを有する偏光フィルムを当該非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で粘着層を介して積層するにあたり、それぞれの粘着層を、ゲル分率が高く、したがって凝集力の大きい粘着剤1又は粘着剤4で構成した実施例4及び5は、接着力が高まり、高い耐久性を示した。これに対し、一方の粘着層又は両方の粘着層を、ゲル分率が低く、したがって凝集力の小さい粘着剤3で構成した比較例3〜5は、白抜けにおいて良好な結果を示したが、耐久性において劣るものとなった。
本発明の粘着剤付き偏光フィルム又は偏光フィルムのセットを適用した光学積層体は、大型化しても白抜けが少なく、耐久性にも優れることから、液晶表示装置に好適に用いることができる。例えば、TN液晶セルなどの光学積層体に好適である。また、この光学積層体をSTN液晶セルに用いると、色ムラの発生を抑制することができる。
本発明に係る粘着剤付き偏光フィルムの層構成例を示す断面模式図である。 輝度向上フィルムを積層した粘着剤付き偏光フィルムの例を示す断面模式図である。 本発明に係る光学積層体の層構成例を示す断面模式図である。 第一の偏光フィルム側に輝度向上フィルムを積層し、第二の偏光フィルムの外面に表面処理層を設けた光学積層体の例を示す断面模式図である。
符号の説明
10……第一の粘着剤付き偏光フィルム、
11……第一の粘着層、
12……非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、
13……偏光子、
14……保護フィルム、
15……第一の偏光フィルム、
17……輝度向上フィルム、
20……第二の粘着剤付き偏光フィルム、
21……第二の粘着層、
22,24……保護フィルム、
23……偏光子、
25……第二の偏光フィルム、
27……表面処理層、
30……光学積層体、
35……液晶表示用ガラスセル。

Claims (10)

  1. 液晶表示用ガラスセルの片面に、第一の粘着層を介して、非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムその非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム側で貼着され、前記ガラスセルの他面には、偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムが第二の粘着層を介して貼着されてなり、第一の粘着層はそのゲル分率が75〜95重量%であり、第二の粘着層はそのゲル分率が30〜70重量%であることを特徴とする光学積層体
  2. 第二の偏光フィルムは、第二の粘着層と反対側の面に表面処理層を有する請求項1に記載の光学積層体
  3. 第一の偏光フィルムの保護フィルム外側に、輝度向上フィルムが積層されている請求項1又は2に記載の光学積層体
  4. 第一の粘着層及び第二の粘着層は、それぞれアクリル樹脂に架橋剤が配合された粘着剤から形成されている請求項1〜のいずれかに記載の光学積層体
  5. 第一の粘着層及び第二の粘着層を構成する粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物に由来する構造単位を含み、重量平均分子量が 1,000,000〜2,000,000 である第一のアクリル樹脂を含有する請求項4に記載の光学積層体
  6. 第二の粘着層を構成する粘着剤は、第一のアクリル樹脂に加えて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、重量平均分子量が 50,000〜500,000である第二のアクリル樹脂を含有する請求項5に記載の光学積層体
  7. 第一の粘着層及び第二の粘着層を構成する粘着剤は、さらにシラン系化合物を含有する請求項〜6のいずれかに記載の光学積層体
  8. 非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム/偏光子/保護フィルムの構成からなる第一の偏光フィルムと、その非晶性環状ポリオレフィン系樹脂フィルム外側に設けられた第一の粘着層とを有する第一の粘着剤付き偏光フィルム、及び
    偏光子の両面にアセチルセルロース系の保護フィルムが貼合された第二の偏光フィルムと、その片面に設けられた第二の粘着層とを有する第二の粘着剤付き偏光フィルムからなり、
    第一の粘着層はそのゲル分率が75〜95重量%であり、
    第二の粘着層はそのゲル分率が30〜70重量%であることを特徴とする
    液晶表示装置用の偏光フィルムのセット
  9. 第二の粘着剤付き偏光フィルムは、第二の粘着層と反対側の面に表面処理層を有する請求項8に記載の偏光フィルムのセット
  10. 第一の粘着剤付き偏光フィルムは、保護フィルム外側に輝度向上フィルムが積層されている請求項8又は9に記載の偏光フィルムのセット
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