JP5515592B2 - X線撮像装置 - Google Patents

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Description

この発明は、X線撮像を行うX線撮像装置に係り、特に、X線照射手段から照射されるX線の照視野を制御する技術に関する。
X線撮像装置として、X線透視撮影装置を例に採って説明する。近年、X線透視撮影装置におけるX線撮影では、骨によるX線の吸収度に基づいて骨に含有されているCa(カルシウム)量を測定する骨塩定量を行うケースが増えてきている。骨塩定量を行うには、X線管(X線照射手段)から照射されて被検体Mを透過したX線を、X線フィルムやフラットパネル型X線検出器(FPD)などに代表されるX線検出器で検出して、検出されたX線に基づいて骨が映った画像を得る。かかる骨塩定量では照視野内で検出されるX線フィルムのフィルム濃度の均一性(照視野の均一性)が要求される。
一般的に、X線管では、図9に示すようにアノード(「ターゲット」とも呼ばれる)A側のX線強度が照視野の中心Oに対して弱くなる。なお、図9中の符号Cはカソード(陰極)である。これは「ヒール効果」とも呼ばれるX線管固有の特性である(例えば、特許文献1、2参照)。照視野内のX線強度の均一性を規定する規格は、国際電気標準会議(IEC: International Electrotechnical Commission)、日本工業規格(JIS: Japanese Industrial Standard)ともに、照視野の中心(視野中心)を100%としたときに30%以上必要と規定されている。しかし、骨塩定量を行う場合には30%程度では不十分であり、80%あるいは90%の均一性が求められる。
そこで、均一性を十分に確保するためには、上述した特許文献1のようにフィルタによってヒール効果を補正する、あるいは上述した特許文献2のようにX線の線量を予め測定して、線量の強い部位ほど厚く形成された金属性のフィルタをX線管の照射口に設けることで一様なX線強度分布を得る。その他にも、図10に示すように、カソードCから出射される電子ビームや、カソードCとアノードAとを結ぶ軸に平行な軸を管軸Axとしたときに、管軸Axに対して垂直な軸Bxの方向を使用する、図11に示すように、カソードCのターゲットアングルθを大きくしたX線管を使用する、あるいは図12(b)に示すように、焦点・フィルム間距離(FFD)を図12(a)よりも大きく取ることで一様なX線強度分布を得る。
ヒール効果は上述したようにアノードA側にX線強度が照視野の中心Oに対して弱くなるので、図10中の管軸Axの方向に対してX線強度分布の変化が大きく、図10中の軸Bxの方向に対してX線強度分布の変化が小さい。そこで、図10に示すような撮影手技を行う。また、ヒール効果では、アノード(ターゲット)A中で発生したX線がターゲット中を透過する間に減弱され、特にカソードC側や照視野の中心O側に出射されたX線よりもアノードA側に出射されたX線の方が透過する長さが長い分だけ減弱されて、アノードA側にX線強度が照視野の中心Oに対して弱くなる。そこで、図11に示す構造のX線管を使用する。X線強度が90%、すなわち照視野の均一性が90%以上の部分を、図12中の斜線のハッチングで示すと、図12(a)のようにFFDが小さいと90%以上の部分での照視野も限られるが、図12(b)のようにFFDが大きいと90%以上の部分での照視野も大きくとることができる。
上述したように、骨塩定量を行うX線撮影では、フィルム濃度の均一性(照視野の均一性)を確保するためにFFDを大きくとる必要がある。一方で、通常のX線撮影では、上述したように30%程度のフィルム濃度の均一性で十分である。しかし、骨塩定量を行うX線撮影を通常のX線撮影とオペレータ(技師)が勘違いして、短いFFDで撮影した場合には、80%あるいは90%のフィルム濃度の均一性が確保できない。その結果、骨塩定量の測定結果が不正確となる。また、その場合には被検体に対して無駄な被曝を与えてしまう。
そこで、照視野の均一性を確保するために、下記のような手法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、X線強度分布として表される照視野内の位置とX線強度との相関関係を予め記憶し、設定された照視野の均一性および上述の相関関係に基づいて、上述の設定された均一性に該当するX線強度に応じた照視野内の位置に該当する照視野の操作量を演算する。演算された操作量で照視野を制御する結果、目的の均一性を設定すれば、目的の均一性を有した照視野をX線管から照射することができる。したがって、撮像の目的に合わせて照視野の均一性を確保することができる。
特開2005−169110号公報(第1−7頁、図3−5) 特開2004−214130号公報(第1−3頁、図1−3) 特開2008−104704号公報(第1−9頁、図3−6)
しかしながら、上述した特許文献3のような手法では、照視野の均一性を確実に確保することができるが、オペレータから見れば照視野を視認したいという要望もある。そこで、簡易な構造でX線量の均一性を保つ領域を確認することが望まれる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能なX線撮像装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係るX線撮像装置は、被検体に向けてX線を照射するX線照射手段を備え、前記被検体を透過したX線を検出し、その検出されたX線に基づいてX線画像を得ることでX線撮像を行うX線撮像装置であって、前記X線照射手段から照射されるX線の照視野を操作する照視野操作手段と、X線の照視野を確認するために前記照視野操作手段を通して光を照射する光照射手段と、その光照射手段から照射される光の照視野上にX線量の均一性を保つ領域を表示する表示手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明に係るX線撮像装置によれば、X線照射手段は被検体に向けてX線を照射し、被検体を透過したX線を検出し、その検出されたX線に基づいてX線画像を得ることでX線撮像を行う。X線照射手段からX線を照射する際には、X線照射手段から照射されるX線の照視野を照視野操作手段が操作することで、所望の広さの照視野のX線画像や、所望の線量で照射されたX線画像などを得ることができる。X線の照視野を確認するために、光照射手段は照視野操作手段を通して光を照射する。その光照射手段から照射される光の照視野上にX線量の均一性を保つ領域を表示する表示手段を備えることで、X線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。このように、光照射手段や表示手段を備えるだけで、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。
上述した発明において、表示手段は、光透過性を有する部材と、X線量の均一性を保つ領域に該当するマーカとから構成される。表示手段の光透過性を有する部材を通して光照射手段からの光を投影面に投影させると、マーカを通した領域は投影面ではX線量の均一性を保つ領域となる。したがって、光透過性を有する部材およびX線量の均一性を保つ領域に該当するマーカのみで表示手段を簡易に構成することができる。なお、X線撮像装置によっては、X線の照視野を確認するために、従来から光照射手段と光透過性を有する部材とを備えている場合があり、その場合には従来の光透過性を有する部材に加えてマーカのみを備えることで、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。
上述した発明において、上述のマーカの一例は、光を遮る部材、あるいは光透過性を有する部材に光を遮る色を付したものである。光を遮る部材としては、例えば、光を分散させるように光透過性を有する部材にすりガラス状を形成することで実現したり、光を反射させる材料を光透過性を有する部材に接着あるいは塗布することで実現する。光透過性を有する部材に光を遮る色を付する場合には、例えば、光透過性を有する部材に、黒色を塗布する、あるいは黒色のシートを接着することで実現する。光を遮る部材、あるいは光透過性を有する部材に光を遮る色を付したマーカである場合には、マーカを通した領域では光は投影されずに黒っぽくなる。一方、それ以外の領域では光は投影されて光の色に染まる(白色光の場合には白っぽくなる)。それによって、X線量の均一性を保つ領域を区分して、X線量の均一性を保つ領域の表示に供する。
上述した発明において、上述のマーカの他の一例は、光透過性を有する部材に色を付したものである。例えば、光透過性を有する部材に、色を塗布する、あるいは色のシートを接着することで実現する。光透過性を有する部材に色を付したマーカである場合には、各色を通した領域でその色が投影されて識別しやすくなる。それによって、X線量の均一性を保つ領域を区分して、X線量の均一性を保つ領域の表示に供する。
この発明に係るX線撮像装置によれば、X線の照視野を確認するために、光照射手段は照視野操作手段を通して光を照射し、その光照射手段から照射される光の照視野上にX線量の均一性を保つ領域を表示する表示手段を備えることで、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。
実施例に係るX線透視撮影装置のブロック図である。 X線透視撮影装置の撮像系の具体的構成を示す概略図である。 表示機構の概略図である。 投影像の概略図である。 X線強度分布として表される照視野内の位置とX線強度との相関関係を示したグラフである。 X線強度分布に基づくマーカを設定したときの投影像の概略図である。 X線強度分布に基づくマーカを設定したときの投影像の概略図である。 変形例に係る投影像の概略図である。 X線強度分布を示した模式図である。 管軸に対して垂直な方向を使用した場合の撮像形態を示した模式図である。 ターゲットアングルを大きくしたX線管の構造を示す概略図である。 (a)、(b)は、焦点・フィルム間距離(FFD)ごとの撮像形態を示した模式図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線透視撮影装置のブロック図である。本実施例ではX線撮像装置としてX線透視撮影装置を例に採って説明する。
X線透視撮影装置は、図1に示すように、被検体Mを載置する天板1と、その被検体Mに向けてX線を照射するX線管2と、被検体Mを透過したX線を検出するフラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)3とを備えている。なお、X線検出器としては、FPD以外にもイメージインテンシファイアやX線フィルムでもよい。X線管2は、この発明におけるX線照射手段に相当する。
X線透視撮影装置は、他に、天板1の昇降および水平移動を制御する天板制御部4や、FPD3の走査を制御するFPD制御部5や、X線管2の管電圧や管電流を発生させる高電圧発生部6を有するX線管制御部7や、FPD3から電荷信号であるX線検出信号をディジタル化して取り出すA/D変換器8や、A/D変換器8から出力されたX線検出信号に基づいて種々の処理を行う画像処理部9や、これらの各構成部を統括するコントローラ10や、処理された画像などを記憶するメモリ部11や、オペレータが入力設定を行う入力部12や、処理された画像などを表示するモニタ13などを備えている。
天板制御部4は、天板1を水平移動させて被検体Mを撮像位置にまで収容したり、昇降、回転および水平移動させて被検体Mを所望の位置に設定したり、水平移動させながら撮像を行ったり、撮像終了後に水平移動させて撮像位置から退避させる制御などを行う。FPD制御部5は、FPD3を水平移動させたり、被検体Mの体軸の軸心周りに回転移動させることによる走査に関する制御などを行う。高電圧発生部6は、X線を照射させるための管電圧や管電流を発生してX線管2に与え、X線管制御部7は、X線管2を水平移動させたり、被検体Mの体軸の軸心周りに回転移動させることによる走査に関する制御や、X線管2側のコリメータ16(図2を参照)の照視野の設定の制御などを行う。なお、X線管2やFPD3の走査の際には、X線管2から照射されたX線をFPD3が検出できるようにX線管2およびFPD3が互いに対向しながらそれぞれの移動を行う。
本実施例では、X線管制御部7は、照視野の操作量でコリメータ16(図2を参照)を操作することで照視野を制御する。照視野の操作量はコリメータ16の「開き量」とも呼ばれる。
コントローラ10は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されており、メモリ部11は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体などで構成されている。また、入力部12は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。本実施例では、入力部12は、タッチパネル12a(図2を参照)を備えている。X線透視撮影装置では、被検体Mを透過したX線をFPD3が検出して、検出されたX線に基づいて画像処理部9で画像処理を行うことで被検体Mの撮像を行う。
次に、撮像系について図2〜図4を参照して説明する。図2は、X線透視撮影装置の撮像系の具体的構成を示す概略図であり、図3は、表示機構の概略図であり、図4は、投影像の概略図である。
図2に示すように、上述したX線管2を天井から懸垂支持するための保持器14を備えている。懸垂支持されたX線管2には光照射部15を配設するとともに、照射側にはコリメータ16を配設している。さらに、コリメータ16よりも照射側に当たる前面には表示機構17を配設している。光照射部15は、ランプ15aと、ランプ15aから照射される光の向きを変えるミラー15bとから構成される。コリメータ16は、X線管2から照射されるX線の照視野を操作する。ランプ15aから照射される光もコリメータ16によって操作される。したがって、ランプ15aから照射される光によってX線の照視野をオペレータは視認することができる。懸垂支持されたX線管2の側方には、タッチパネル12aを配設している。なお、X線管2は保持器14によって懸垂支持されるタイプに限定されず、FPD3とともに支持されるタイプや、回診用に合わせて運搬可能なタイプなどであってもよい。光照射部15は、この発明における光照射手段に相当し、コリメータ16は、この発明における照視野操作手段に相当し、表示機構17は、この発明における表示手段に相当する。
表示機構17は、図3に示すように、透明板17aと、照視野の中心(視野中心)を表す2つの線17bとから構成されている。2つの線17bのうち、一方は、X線管2のアノードとカソードとを結ぶ管軸に平行であり、他方は、その管軸に対して直交する軸に平行である。さらに、本実施例では、透明板17aや2つの線17bの他に、表示機構17は、四角の辺からなる線17cから構成されている。その四角で囲まれる領域は、所定のX線量の均一性を保つ領域に該当し、本実施例では、例えば線量80%までの均一な領域に該当する。2つの線17bや、四角の辺からなる線17cは、透明板17aに光を遮る色を付したもので形成され、本実施例では、例えば、黒色を塗布する、あるいは黒色のシートを接着することで実現する。透明板17aは、この発明における光透過性を有する部材に相当し、四角の辺からなる線17cは、この発明におけるマーカに相当する。
コリメータ16(図2を参照)、さらには図3のように構成された表示機構17を通して、光照射部15のランプ15aからの光を投影面(ここでは被検体Mの表面:体表)に投影させると、図4に示すような投影像となる。すなわち、2つの線17bや、四角の辺からなる線17c以外の透明板17aの領域で、かつコリメータ16よりも内側の領域では、透明板17aを通して光は投影される。この投影された投影面上の領域に図4では符号Maを付する。本実施例では、2つの線17bを通した領域では光は投影されずに黒っぽくなる。この黒っぽくなった投影面上の領域に図4では符号Mbを付する。また、四角の辺からなる線17cを通した領域でも光は投影されずに黒っぽくなる。この黒っぽくなった投影面上の領域に図4では符号Mcを付する。この領域Mcで囲まれた領域が、所定のX線量の均一性を保つ領域となり、本実施例では、線量80%までの均一な領域となる。また、コリメータ16を通した領域に図4では符号Mdを付する。領域Mdは、図4に示すように外枠状となる。
次に、透明板17aの四角の辺からなる線17cの描画について、図5〜図7を参照して説明する。図5は、X線強度分布として表される照視野内の位置とX線強度との相関関係を示したグラフであり、図6および図7は、X線強度分布に基づくマーカを設定したときの投影像の概略図である。図5〜図7は、X線強度が照視野の中心Oで非対称に分布したときのX線強度分布である。
X線強度分布は照視野の均一性を表し、つまり照視野の均一の度合いを示す。従来の図9でも述べたように、図5に示すように照視野の中心OでのX線強度を100%としたときに中心から離れるにしたがって強度は低くなって均一性が保てなくなる。X線強度分布は、照視野内の位置とX線強度との相関関係で表され、図5に示すような分布となる。X線管2またはX線透視撮影装置の出荷前の工場での段階で、かかる相関関係を予め求め、透明板17aに、四角の辺からなる線17cに黒色を塗布することで、線17cを描画する。その後にX線管2またはX線透視撮影装置を出荷する。
照視野の操作量(開き量)を最大にした状態で、被検体として水や銅板などのファントムを用いて撮影を行う。そして、照視野の位置に応じてX線強度を測定して、図5に示すような分布を測定する。なお、X線管2(図1、図2を参照)の種類(例えばターゲットアングルが互いに異なるX線管、アノードやカソードの構造や材料が異なるX線管など)が複数存在する場合には、各々の種類に応じてX線強度分布を測定する。なお、照視野の操作量を必ずしも最大した状態でX線強度分布を測定する必要はないが、出荷後の実際の撮影時において、照視野の操作量を最大にして撮影を行うことも考慮して、照視野の操作量を最大にしてX線強度分布を測定するのが好ましい。このように測定されたX線強度分布を、照視野内の位置とX線強度との相関関係として、予め記憶する。また、ファントムを入れない状態で照視野の操作量(開き量)を最大にした状態で撮影を行ってもよい。
かかるX線強度分布に基づいて透明板17aに線17cを描画することで、マーカを設定する。例えば、線量80%を設定するときには、図6あるいは図7に示すように、投影像の領域Mcの区域に投影されるように、透明板17aに、四角の辺からなる線17cに黒色を塗布する。
図5〜図7に示すように、X線強度が照視野の中心Oで非対称に分布(本実施例ではアノード側がカソード側よりも強度が小さく分布)している関係で、逆方向も含めて、ある一方向では、その中心Oから設定すべきX線強度に相当する箇所までの距離は2つ存在するが、両者は互いに異なる距離となる。80%と設定した場合には、アノード側では80%に該当する設定すべきX線強度は、図6中の実線に示す部分であるので、中心Oから設定すべきX線強度に相当する箇所までの距離は実線に対応した部分までとなる。しかし、逆のカソード側では80%に該当するX線強度は、図6中の実線に示す部分となって、中心Oからの距離がアノード側・カソード側では互いに異なる。この場合には、図6に示すように、中心Oを表す線17b(領域Mb)で非対称に線17c(領域Mc)が設定されることになる。
また、複数存在する距離の中からもっとも短い距離を選択することで、その選択された距離におけるX線強度よりも小さいX線強度が設定されることがないことから、図7に示すように、設定してもよい。すなわち、アノード側の距離がもっとも短い距離となるので、その距離を選択することで、その選択された距離におけるX線強度は、図7に示すようにカソード側においても100%と80%を超えており、その選択された距離におけるX線強度よりも小さいX線強度が設定されることはない。この場合には、図7に示すように、中心Oを表す線17b(領域Mb)で対称に線17c(領域Mc)が設定されることになる。
なお、図6、図7とも管軸に対して直交する軸に平行な線17cの設定については特に言及しなかったが、この軸に平行となる方向に対して同様にX線強度分布を予め求めて、同様に線17cを描画してもよい。したがって、この軸に平行に線17cを設定する場合には、図6、図7の大きさに限定されない。X線強度が照視野の中心Oで対称に分布するときも同様の手法で行えばよい。
このように、X線強度分布を予め求めて、さらにマーカ(本実施例では線17c)の設定後に出荷する。なお、X線量の均一性を保つ領域は、X線管2のターゲットアングルに依存するので、一度、X線強度分布を求めて、マーカを設定すれば、その均一性を保つ領域を変更する必要はない。したがって、出荷前にマーカを設定すればよい。
このマーカ設定後にコリメータ16によってX線の照視野を操作するには、設定したいX線の線量(例えば80%)に応じて設定された線17cを有した表示機構17を通して光照射部15のランプ15aから光を照射して、投影像(図4、図6および図7を参照)を映し出させる。四角の辺からなる線17cを通した領域Mcに調整するように、コリメータ16を操作する。コリメータ16を通した領域Maが、領域Mcに一致したときに、領域Ma,Mcで囲まれた領域が、所定の設定したいX線量の均一性を保つ領域(すなわち照視野の均一性を確保した領域)となる。このコリメータ16の状態で、X線管2からX線を照射して、所定のX線撮像を行う。
本実施例に係るX線透視撮影装置によれば、X線管2は被検体Mに向けてX線を照射し、被検体Mを透過したX線をFPD3が検出し、その検出されたX線に基づいてX線画像を得ることでX線撮像を行う。X線管2からX線を照射する際には、X線管2から照射されるX線の照視野をコリメータ16が操作することで、所望の広さの照視野のX線画像や、所望の線量で照射されたX線画像などを得ることができる。X線の照視野を確認するために、光照射部15のランプ15aはコリメータ16を通して光を照射する。そのランプ15aから照射される光の照視野上にX線量の均一性を保つ領域を表示する表示機構17を備えることで、X線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。このように、コリメータ16や表示機構17を備えるだけで、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。
本実施例では、表示機構17は、光透過性を有する部材である透明板17aと、X線量の均一性を保つ領域に該当するマーカとして線17cとから構成される。表示機構17の透明板17aを通して光照射部15のランプ15aからの光を投影面(本実施例では被検体Mの表面)に投影させると、線17cを通した領域Mcは投影面ではX線量の均一性を保つ領域となる。したがって、光透過性を有する部材(本実施例では透明板17a)およびX線量の均一性を保つ領域に該当するマーカ(本実施例では線17c)のみで表示機構を簡易に構成することができる。なお、X線撮像装置(本実施例ではX線透視撮影装置)によっては、X線の照視野を確認するために、従来から光照射部15のランプ15aと光透過性を有する部材(透明板)とを備えている場合があり、その場合には従来の光透過性を有する部材(透明板)に加えてマーカのみを備えることで、簡易にX線量の均一性を保つ領域の表示が可能となる。
本実施例では、マーカは、光透過性を有する部材(本実施例では透明板17a)に光を遮る色(本実施例では黒色)を付したものである。光透過性を有する部材(本実施例では透明板17a)に光を遮る色(本実施例では黒色)を付する場合には、上述したように、光透過性を有する部材(透明板17a)に、黒色を塗布する、あるいは黒色のシートを接着することで実現する。なお、マーカは光を遮る部材であってもよい。光を遮る部材としては、例えば、光を分散させるように光透過性を有する部材(透明板17a)にすりガラス状を形成することで実現したり、光を反射させる材料を光透過性を有する部材(透明板17a)に接着あるいは塗布することで実現する。
光を遮る部材、あるいは光透過性を有する部材(透明板17a)に光を遮る色を付したマーカである場合には、マーカを通した領域では光は投影されずに黒っぽくなる。一方、それ以外の領域では光は投影されて光の色に染まる(白色光の場合には白っぽくなる)。それによって、X線量の均一性を保つ領域を区分して、X線量の均一性を保つ領域の表示に供する。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、図1に示すようなX線透視撮影装置を例に採って説明したが、この発明は、ヒール効果が生じるようなX線管を備えた(X線透視撮影装置以外の)X線撮像装置に適用してもよい。
(2)上述した実施例では、図1に示すように被検体Mを水平姿勢にしてX線撮影を行ったが、被検体を立位姿勢にしてX線撮影を行ってもよいし、斜め方向にしてX線撮影を行ってもよい。
(3)上述した実施例では、1つのX線量の均一性を保つ領域のみを表示したが、例えば線量80%までの均一な領域、線量50%までの均一な領域…というように、複数の均一性を保つ領域をそれぞれ区分して表示するように構成してもよい。また、30%以下の線量となる領域は規格外(IEC, JIS)となるので、そのような領域を表示するように構成してもよい。
(4)上述した実施例では、光透過性を有する部材として透明板17aを例に採って説明したが、セロハン等を用いてもよいし、必ずしも透明な部材である必要はない。光透過性を有する部材であれば、半透明な部材であってもよい。
(5)上述した実施例では、マーカを通した領域では光が投影されないように構成したが、マーカとして、光透過性を有する部材(実施例では透明板17a)に色を付したもので構成してもよい。例えば、光透過性を有する部材(透明板17a)に、色を塗布する、あるいは色のシートを接着することで実現する。光透過性を有する部材(透明板17a)に色を付したマーカである場合には、各色を通した領域でその色が投影されて識別しやすくなる。それによって、X線量の均一性を保つ領域を区分して、X線量の均一性を保つ領域の表示に供する。例えば、図8(a)の投影像に示すように、均一性を保つ領域外に色をつけるようにすることも可能であるし、図8(b)の投影像に示すように、均一性を保つ領域内に色をつけるようにすることも可能である。もちろん、両領域ともに色をつけてもよい。また、実施例との組み合わせで、線を描画しつつ、色をつけてもよい。
2 … X線管
15 … 光照射部
15a … ランプ
16 … コリメータ
17 … 表示機構
17a … 透明板
17c … (四角の辺からなる)線
M … 被検体

Claims (4)

  1. 被検体に向けてX線を照射するX線照射手段を備え、前記被検体を透過したX線を検出し、その検出されたX線に基づいてX線画像を得ることでX線撮像を行うX線撮像装置であって、前記X線照射手段から照射されるX線の照視野を操作する照視野操作手段と、X線の照視野を確認するために前記照視野操作手段を通して光を照射する光照射手段と、その光照射手段から照射される光の照視野上にX線量の均一性を保つ領域を表示する表示手段とを備えることを特徴とするX線撮像装置。
  2. 請求項1に記載のX線撮像装置において、前記表示手段は、光透過性を有する部材と、前記X線量の均一性を保つ領域に該当するマーカとから構成されることを特徴とするX線撮像装置。
  3. 請求項2に記載のX線撮像装置において、前記マーカは、光を遮る部材、あるいは前記光透過性を有する部材に光を遮る色を付したものであることを特徴とするX線撮像装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のX線撮像装置において、前記マーカは、前記光透過性を有する部材に色を付したものであることを特徴とするX線撮像装置。
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