以下、本発明に係る圧力センサチップおよびその製造方法並びに圧力センサの各実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1を参照して説明する。図1は、本発明に係るセンサチップ40を採用する圧力センサ10の全体概略断面図である。
圧力センサ10は、たとえば自動車に搭載され、燃料圧力、エンジンや駆動系の潤滑用オイル圧、あるいはエアコンの冷媒圧、さらには排気ガス圧等の圧力媒体の被測定圧力を検出する圧力センサ等に適用できる。
図1に示すように、圧力センサ10は、主に、被測定圧力に応じた電気信号を出力するセンサチップ40と、このセンサチップ40が一端部側に設けられるコネクタケース20と、センサチップ40を覆うようにコネクタケース20に取り付けられてセンサチップ40に圧力を導入するための圧力導入孔32が形成されるハウジング30と、を備えている。
コネクタケース20は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を型成形することにより略円柱状に形成されている。このコネクタケース20のハウジング側端部20aの下端面中央にはハウジング側開口部21が形成されている。このハウジング側開口部21に設けられる凹部21aには、圧力検出素子としてのセンサチップ40が配設されている。
また、図1に示すように、コネクタケース20には、センサチップ40と外部の回路等とを電気的に接続するための複数個の金属製棒状のターミナル(コネクタピン)22が設けられている。凹部21aに設けられるターミナル22の一側端部は、センサチップ40の各貫通電極48と電気的に接続されており、それによって、センサチップ40は、ターミナル22を介して外部と電気的に接続可能になっている。当該ターミナル22は、黄銅にNiメッキ等のメッキ処理を施した材料よりなり、インサート成形によりコネクタケース20と一体に成形されてコネクタケース20内にて保持されている。
図1に示すように、コネクタケース20の反ハウジング側端部20bには、反ハウジング側開口部23が形成されており、この反ハウジング側開口部23内にターミナル22の他側端部が突出した形で露出している。
このようにコネクタケース20の反ハウジング側開口部23に露出するターミナル22の他側端部は、例えば、ワイヤハーネス等の図略の外部配線部材を介して外部回路(車両のECU等)に電気的に接続されるようになっている。
ハウジング30には、コネクタケース側端部30a(図1中の上方端部)に開口部31が形成されるとともに、反コネクタケース側端部30b(図1中の下方端部)に外部から圧力媒体が導入される圧力導入孔32が形成されている。
上記圧力媒体は、例えば、上記したエアコンの冷媒、ガソリンなどのエンジンの燃料、エンジンや駆動系の潤滑用オイル、あるいは排気ガス等である。このハウジング30は、たとえばステンレス(SUS)などの金属材料をプレスや切削加工などにより成形して構成される。
ハウジング30の反コネクタケース側端部30bの外面には、圧力センサ10を自動車の適所、たとえば、エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管などの箇所に固定するためのネジ部33が形成されている。
ハウジング30は、その開口部31にコネクタケース20のハウジング側端部20aを挿入してコネクタケース側端部30aをハウジング側端部20aにかしめることで、コネクタケース20のハウジング側開口部21を覆うようにコネクタケース20に組み付けられる。
図1に示すように、コネクタケース20のハウジング側開口部21近傍には、環状の溝(Oリング溝)24が形成され、この溝24内には、コネクタケース20とハウジング30との間を気密に封止するためのOリング25が配設されている。このOリング25は、たとえばシリコンゴム等の弾性材料よりなる。
次に、センサチップ40の構造について図2を用いて詳細に説明する。図2(A)は、第1実施形態に係るセンサチップ40の平面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す2B−2B線相当の切断面による断面図である。
図2(A),(B)に示すように、センサチップ40は、基板41の取付面40aにてコネクタケース20の凹部21aに配設されており、この取付面40aの反対の面である反取付面40bには矩形状の開口部42が形成されている。そして、この開口部42には、その開口側面42aから当該開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成されている。
梁部43内には、密閉状態で形成された圧力基準室44が形成されており、この圧力基準室44と反取付面40bとの間が薄肉に形成されている。これにより、圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45が当該圧力基準室44の反取付面40b側に設けられることとなる。
このダイアフラム45上の圧力基準室44側には、このダイアフラム45の変位に応じた信号を出力する4つの圧力検出部46が設けられている。各圧力検出部46には、各圧力検出部46およびダイアフラム45よりブリッジ回路を構成するように、当該各圧力検出部46と同一平面状に設けられる4つの導電部47の一側端部がそれぞれ電気的に接続されている。各導電部47の他側端部には、基板41を貫通する4つの貫通電極48がそれぞれ電気的に接続されている。
センサチップ40は、各貫通電極48がバンプ26を介してコネクタケース20のターミナル22の一側端部に電気的に接続されるとともに各バンプ接合部および取付面40aが電気的に絶縁性を有した封止材であるアンダーフィル27により封止されることにより、コネクタケース20に取り付けられている。
このように構成されるセンサチップ40は、圧力基準室44の基準圧力と上記圧力媒体の被測定圧力との圧力差に応じてダイアフラム45が変位したとき、この変位に応じた信号を圧力検出信号として各圧力検出部46から各導電部47および各貫通電極48を介して出力する。
次に、本第1実施形態に係る圧力センサ10の製造方法について、その一具体例を述べる。
ターミナル22がインサート成形されたコネクタケース20を用意する。次に、センサチップ40の各貫通電極48を、コネクタケース20のハウジング側開口部21内のターミナル22にバンプ26を介して電気的に接続する。そして、各バンプ接合部および取付面40aをアンダーフィル27により封止する。なお、センサチップ40の製造方法については、後述する。
続いて、ハウジング30を用意し、Oリング25を介してハウジング30の開口部31をコネクタケース20のハウジング側端部20aに嵌合させる。次に、ハウジング30のコネクタケース側端部30aをコネクタケース20のハウジング側端部20aにかしめることにより、ハウジング30とコネクタケース20と一体化する。
こうして、コネクタケース20とハウジング30との組合せ固定がなされ、図1に示す圧力センサ10が完成する。
次に、上述したセンサチップ40を製造方法の工程を図3(A)〜(F)を用いて詳細に説明する。図3(A)〜(F)は、第1実施形態におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図3(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、公知の半導体プロセスにより圧力検出部46および導電部47を形成する(第1工程)。
次に、図3(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成するとともに、第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図3(C)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図3(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図3(E)に示すように、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図2(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第5工程)。
次に、図3(F)に示すように、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することによりトレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第6工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。なお、第1基板41a、第2基板41bおよび第3基板41cは、図2(A),(B)に示す基板41に相当する。また、第3基板41cの下側面41c2および第1基板41aの上側面41a2は、図2(A),(B)に示す取付面40aおよび反取付面40bに相当する。
以上説明したように、本第1実施形態に係るセンサチップ40は、基板41の反取付面40bに形成される開口部42の開口側面42aから当該開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を備えている。この梁部43内には、密閉状態である圧力基準室44が形成されるとともに、この圧力基準室44の圧力と圧力媒体の被測定圧力との圧力差に応じて変位するダイアフラム45と、このダイアフラム45上に設けられ当該ダイアフラム45の変位に応じた信号を出力する圧力検出部46とが形成されている。
このように、梁部43は、開口部42の開口側面42aから当該開口部42内に片持ち梁状に突出して支持されることによりその支持部位の断面積を小さくしているので、コネクタケース20から取付面40aを介して梁部43に伝達される外乱応力を抑制することができる。そして、この梁部43内に、ダイアフラム45および圧力検出部46が設けられているので、コネクタケース20からダイアフラム45に伝達される外乱応力に起因するノイズを低減することができる。
特に、ダイアフラム45は、梁部43内に密閉状態で形成された圧力基準室44の圧力と被測定圧力との圧力差に応じて変位するので、梁部43がたわむ必要もない。
したがって、コネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。
また、本第1実施形態に係るセンサチップ40では、圧力検出部46は、ダイアフラム45に対して圧力基準室44側に配置されている。これにより、圧力検出部46が梁部43内に設けられることとなるので、当該圧力検出部46や導電部47を腐食等から保護する必要をなくすことができる。
また、本第1実施形態に係るセンサチップ40の製造方法では、センサチップ40は、上述した第1工程〜第6工程により製造されている。すなわち、第1工程により、圧力検出部46を第1基板41aの下側面41a1に形成する。そして、第2工程により、凹部44aが上側面41b1に形成される第2基板41bの下側面41b2と犠牲層49が上側面41c1に形成される第3基板41cの当該上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる。そして、第3工程により、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する。そして、第4工程により、第1基板41aの上側面41a2を研磨することにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する。そして、第5工程により、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。そして、第6工程により、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することによりトレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43であってダイアフラム45および圧力検出部46を有する梁部43を形成する。
このように製造されるセンサチップ40を第3基板41cの下側面41c2である取付面40aを介して被取付部材であるコネクタケース20に取り付けるとき、梁部43は、開口部42内に片持ち梁状に突出して支持されることによりその支持部位の断面積を小さくしているので、コネクタケース20から取付面40aを介して梁部43に伝達される外乱応力を抑制することができる。そして、この梁部43内に、ダイアフラム45および圧力検出部46が設けられているので、コネクタケース20からダイアフラム45に伝達される外乱応力に起因するノイズを低減することができる。
特に、犠牲層49の膜厚を調整することで梁部43と開口部42の開口底面42cとの間の空間の大きさを容易に変更することができる。また、犠牲層49はその製法上膜厚が均一になりやすいので、梁部43と開口部42の開口底面42cとの間の空間の大きさにばらつきが生じることもない。さらに、第2基板41bの厚さを変更することにより、梁部43の厚さを容易に変更することができる。
また、本第1実施形態に係るセンサチップ40を採用する圧力センサ10では、センサチップ40が取り付けられた被取付部材であるコネクタケース20から当該センサチップ40のダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる等の、上述した各発明および後述する各発明による作用・効果を享受した圧力センサを実現することができる。
図4(A)〜(E)は、第1実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
第1実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ40の製造方法として、図4(A)〜(E)に示す製造方法によりセンサチップ40を製造してもよい。以下、第1実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ40を製造方法の工程を図4(A)〜(E)を用いて詳細に説明する。
まず、図4(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成するとともに当該圧力検出部46の周囲の一部を除いて他部に上側面41a2から下側面41a1まで第1基板41aを貫通する第1トレンチ42dを形成する(第1工程)。この第1トレンチ42dと後述する第2トレンチ42eとが連通して形成されるトレンチは、上述したトレンチ42bに相当する。
次に、図4(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成するとともに凹部44aの周囲であって第1トレンチ42dに連通可能に上側面41b1から下側面41b2まで貫通する第2トレンチ42eを形成する。そして、第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図4(C)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるとともに第1トレンチ42dと第2トレンチ42eとを連通させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図4(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図4(E)に示すように、第2トレンチ42e近傍の犠牲層49を除去することにより第1トレンチ42dおよび第2トレンチ42eと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第5工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。
上述のごとく開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ40を製造してもよい。特に、第1基板41aと第2基板41bとを貼り合わせる前に両基板41a,41bに第1トレンチ42dおよび第2トレンチ42eを形成するので、両基板41a,41bを貼り合わせた後にトレンチ42bを形成する場合と比較してトレンチの深さが短くなるので、トレンチエッチング時間を短縮することができる。
図5(A)〜(E)は、第1実施形態の第2の変形例におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
第1実施形態の第2の変形例におけるセンサチップ40の製造方法として、図5(A)〜(E)に示す製造方法によりセンサチップ40を製造してもよい。以下、第1実施形態の第2の変形例におけるセンサチップ40を製造方法の工程を図5(A)〜(E)を用いて詳細に説明する。
まず、図5(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成する。(第1工程)。
次に、図5(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に第1凹部44aを形成する。そして、第3基板41cの上側面41c1に第1凹部44aより開口面積が大きな第2凹部42fを形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを、第1凹部44aと第2凹部42fとを近接させるように貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図5(C)に示すように、圧力検出部46と第1凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、第1凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図5(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図5(E)に示すように、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から第2凹部42fに達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図2(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する。これにより、トレンチ42bと第2凹部42fとにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成される。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第5工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。
上述のごとく開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ40を製造してもよい。特に、第2凹部42fの厚さを調整することで梁部43と開口部42の開口底面42cとの間の空間の大きさを容易に変更することができる。さらに、第2基板41bの厚さを変更することにより、梁部43の厚さを容易に変更することができる。
図6(A)〜(D)は、第1実施形態の第3の変形例におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
第1実施形態の第3の変形例におけるセンサチップ40の製造方法として、図6(A)〜(D)に示す製造方法によりセンサチップ40を製造してもよい。以下、第1実施形態の第3の変形例におけるセンサチップ40を製造方法の工程を図6(A)〜(D)を用いて詳細に説明する。
まず、図6(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成するとともに当該圧力検出部46の周囲の一部を除いて他部に上側面41a2から下側面41a1まで第1基板41aを貫通する第1トレンチ42dを形成する。(第1工程)。この第1トレンチ42dと後述する第2トレンチ42eとが連通して形成されるトレンチは、上述したトレンチ42bに相当する。
次に、図6(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に第1凹部44aを形成するとともに凹部44aの周囲であって第1トレンチ42dに連通可能に上側面41b1から下側面41b2まで貫通する第2トレンチ42eを形成する。そして、第3基板41cの上側面41c1に第1凹部44aより開口面積が大きな第2凹部42fを形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを、第1凹部44aと第2凹部42fとを近接させるように貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図6(C)に示すように、圧力検出部46と第1凹部44aとを近接させるとともに第1トレンチ42dと第2トレンチ42eとを連通させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、第1凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図6(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成することにより、第1トレンチ42dおよび第2トレンチ42eと第2凹部42fとにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第4工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。
上述のごとく開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ40を製造してもよい。特に、第2凹部42fの厚さを調整することで梁部43と開口部42の開口底面42cとの間の空間の大きさを容易に変更することができる。また、第2基板41bの厚さを変更することにより、梁部43の厚さを容易に変更することができる。さらに、第1基板41aと第2基板41bとを貼り合わせる前に両基板41a,41bに第1トレンチ42dおよび第2トレンチ42eを形成するので、両基板41a,41bを貼り合わせた後にトレンチ42bを形成する場合と比較してトレンチの深さが短くなるので、トレンチエッチング時間を短縮することができる。
図7(A)〜(F)は、第1実施形態の第4の変形例におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
第1実施形態の第4の変形例におけるセンサチップ40の製造方法として、図7(A)〜(F)に示す製造方法によりセンサチップ40を製造してもよい。以下、第1実施形態の第4の変形例におけるセンサチップ40を製造方法の工程を図7(A)〜(F)を用いて詳細に説明する。
まず、図7(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成する。(第1工程)。
次に、図7(B)に示すように、第2基板41bを用意し、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成する。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する。そして、凹部44aと圧力検出部46とを近接させるように第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを貼り合せることにより、凹部44aと第1基板41aの下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第2工程)。
次に、図7(C)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第3工程)。
次に、図7(D)に示すように、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から第2基板41bを貫通しない深さのトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図2(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第4工程)。
次に、図7(E)に示すように、トレンチ42bの側面に保護膜42gを形成する(第5工程)。
次に、図7(F)に示すように、トレンチ42bの端部近傍の第2基板41bを等方性エッチングにより除去することでトレンチ42bと第2基板41bの等方性エッチングによる残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成される。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第6工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。
上述のごとく開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ40を製造してもよい。特に、トレンチ42bの深さを調整して等方性エッチングの開始地点を制御することにより、梁部43の厚さを容易に変更することができる。
図8(A)〜(F)は、第1実施形態の第5の変形例におけるセンサチップ40の製造方法の工程を示す説明図である。
第1実施形態の第5の変形例におけるセンサチップ40の製造方法として、図8(A)〜(F)に示す製造方法によりセンサチップ40を製造してもよい。以下、第1実施形態の第5の変形例におけるセンサチップ40を製造方法の工程を図8(A)〜(F)を用いて詳細に説明する。
まず、図8(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成するとともに当該圧力検出部46の周囲の一部を除いて他部に上側面41a2から下側面41a1まで第1基板41aを貫通する第1トレンチ42dを形成する。(第1工程)。この第1トレンチ42dと後述する第2トレンチ42eとが連通して形成されるトレンチは、上述したトレンチ42bに相当する。
次に、図8(B)に示すように、第2基板41bを用意し、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成するとともに凹部44aの周囲であって第1トレンチ42dに連通可能に上側面41b1から当該第2基板41bを貫通しないように第2トレンチ42eを形成する。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図8(C)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるとともに第1トレンチ42dと第2トレンチ42eとを連通させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図8(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図8(E)に示すように、第1トレンチ42dと第2トレンチ42eの側面に保護膜42gを形成する(第5工程)。
次に、図8(F)に示すように、第2トレンチ42eの端部近傍の第2基板41bを等方性エッチングにより除去することで第1トレンチ42dと第2トレンチ42eと第2基板41bの等方性エッチングによる残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成される。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第6工程)。
こうして、図2(A),(B)に示すセンサチップ40が完成する。
上述のごとく開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ40を製造してもよい。特に、第2トレンチ42eの深さを調整して等方性エッチングの開始地点を制御することにより、梁部43の厚さを容易に変更することができる。さらに、第1基板41aと第2基板41bとを貼り合わせる前に両基板41a,41bに第1トレンチ42dおよび第2トレンチ42eを形成するので、両基板41a,41bを貼り合わせた後にトレンチ42bを形成する場合と比較してトレンチの深さが短くなるので、トレンチエッチング時間を短縮することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図9を参照して説明する。図9(A)は、第2実施形態に係るセンサチップ50の平面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す9B−9B線相当の切断面による断面図である。
図9(A)、(B)に示すように、本第2実施形態に係るセンサチップ50では、圧力検出部46は、ダイアフラム45に対して反圧力基準室側に配置されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と主に異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ50を製造方法の工程を図10(A)〜(E)を用いて詳細に説明する。図10(A)〜(E)は、第2実施形態におけるセンサチップ50の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図10(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの上側面41a2に、上記第1実施形態と同様に圧力検出部46および導電部47を形成するとともに当該第1基板41aの下側面41a1を研磨する。(第1工程)。
次に、図10(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成するとともに、第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図10(C)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成するとともにこの圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第3工程)。
次に、図10(D)に示すように、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図9(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第4工程)。
次に、図10(E)に示すように、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することによりトレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第5工程)。
こうして、図9(A),(B)に示すセンサチップ50が完成する。
以上説明したように、本第2実施形態に係るセンサチップ50では、圧力検出部46は、ダイアフラム45に対して反圧力基準室側に配置されている。このようにしても、コネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、圧力検出部46が梁部43の表面である第1基板41aの上側面41a2に設けられることとなるので、当該圧力検出部46からの信号を出力するための各導電部47とコネクタケース20の各ターミナル22との接続を、貫通電極48等の製造コストの高い接続方法に代えて、ワイヤ22aを利用したワイヤボンディング等の製造コストの低い接続方法で接続することができる。
また、本第2実施形態に係るセンサチップ50の製造方法では、センサチップ40は、上述した第1工程〜第5工程により製造されている。このように、第1基板41aの下側面41a1および第2基板41bの上側面41b1には、圧力検出部46や導電部47が含まれないため、第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1との貼り合わせが容易になる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図11を参照して説明する。図11(A)は、第3実施形態に係るセンサチップ60の平面図であり、図11(B)は、図11(A)に示す11B−11B線相当の切断面による断面図である。
図11(A)、(B)に示すように、本第3実施形態に係るセンサチップ60では、ダイアフラム45は、圧力基準室44に対して取付面40a側に配置されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ60を製造方法の工程を図12(A)〜(F)を用いて詳細に説明する。図12(A)〜(F)は、第3実施形態におけるセンサチップ60の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図12(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に凹部44aを形成する(第1工程)。
次に、図12(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる(第2工程)。
次に、図12(C)に示すように、第2基板41bの上側面41b1を研磨して当該第2基板41bの厚さを薄くする。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1に形成される導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する。そして、研磨後の上側面41b1に圧力検出部46および導電部47を形成する(第3工程)。
次に、図12(D)に示すように、凹部44aと圧力検出部46とを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより凹部44aと第2基板41bの上側面41b1とでもって圧力基準室44を形成する(第4工程)。
次に、図12(E)に示すように、圧力検出部46の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図11(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第5工程)。
次に、図12(F)に示すように、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することにより、圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成するとともにトレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第6工程)。
こうして、図11(A),(B)に示すセンサチップ60が完成する。
以上説明したように、本第3実施形態に係るセンサチップ60では、ダイアフラム45は、圧力基準室44に対して取付面40a側に配置されている。このようにしても、コネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、ダイアフラム45は開口部42内にて開口底面42c等に対向するように配置されることとなるので、圧力媒体に含まれる異物のうち開口部42と梁部43との間の隙間よりも大きな異物の開口部内への進入が防止されることから、異物の衝突によるダイアフラム45の破損の可能性を低減させることができる。
また、本第3実施形態に係るセンサチップ60の製造方法では、センサチップ60は、上述した第1工程〜第6工程により製造されている。このように、第2基板41bと第3基板41cとを貼り合わせた状態で第2基板41bの上側面41b1を研磨するため、剛性が高まり、薄い基板を研磨する場合と比較して研磨が容易になる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図13を参照して説明する。図13(A)は、第4実施形態に係るセンサチップ70の平面図であり、図13(B)は、図13(A)に示す13B−13B線相当の切断面による断面図である。
図13(A)、(B)に示すように、本第4実施形態に係るセンサチップ70は、開口部72が取付面40aまで矩形状に貫通するように形成されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ70を製造方法の工程を図14(A)〜(E)を用いて詳細に説明する。図14(A)〜(E)は、第4実施形態におけるセンサチップ70の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図14(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上記第1実施形態と同様に圧力検出部46および導電部47を形成する。(第1工程)。
次に、図14(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成する。そして、第3基板41cに凹部44aより開口面積が大きな矩形状の貫通部72aを形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを、凹部44aと貫通部72aとを近接させるように貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図14(C)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図14(D)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図14(E)に示すように、ダイアフラム45の周囲の第1基板41aおよび第2基板41bの一部を残して他部に第1基板41aの上側面41a2から貫通部72aに達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図13(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する。これにより、トレンチ42bと貫通部72aとにより形成される開口部72内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成される。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第5工程)。
こうして、図13(A),(B)に示すセンサチップ70が完成する。
以上説明したように、本第4実施形態に係るセンサチップ70は、開口部72は、取付面40aまで貫通して形成されている。このようにしても、コネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、取付面40aと被取付部材であるコネクタケース20との接触面積が小さくなるので、コネクタケース20から取付面40aを介して伝達される外乱応力を抑制することができる。なお、貫通部72aは、矩形状に形成されることに限らず、例えば、円形状に形成されてもよい。
また、本第4実施形態に係るセンサチップ70の製造方法では、センサチップ40は、上述した第1工程〜第5工程により製造されている。特に、貫通部72aを第3基板41cの両側面41c1,41c2からトレンチエッチングを施して形成することにより、トレンチエッチング時間を短縮することができる。なお、貫通部72aを切削等の機械加工により形成してもよい。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図15を参照して説明する。図15(A)は、第5実施形態に係るセンサチップ80の平面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す15B−15B線相当の切断面による断面図である。
図15(A)、(B)に示すように、本第5実施形態に係るセンサチップ80は、梁部43がその取付面40a側の面(以下、底面43aともいう)の一側端部にて開口部42の開口底面42cから突出する凸状支持部81により片持ち梁状に支持されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ80を製造方法の工程を図16(A)〜(D)および図17(E)〜(H)を用いて詳細に説明する。図16(A)〜(D)および図17(E)〜(H)は、第5実施形態におけるセンサチップ80の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図16(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、圧力検出部46および導電部47を形成する(第1工程)。
次に、図16(B)に示すように、第2基板41bを用意し、この第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成する(第2工程)。
次に、図16(C)に示すように、凹部44aの開口面積よりも表面積を大きくした第1犠牲層49aとその周囲に当該第1犠牲層49aよりも除去速度の遅い第2犠牲層49bとを第3基板41cの上側面41c1に形成する(第3工程)。
次に、図16(D)に示すように、凹部44aと第1犠牲層49aを近接させるように第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを第1犠牲層49aおよび第2犠牲層49bを介して貼り合せる。そして、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたとき導電部47に接続可能な部位であって、後述する凸状支持部81を貫通可能な部位に貫通電極48を形成する(第4工程)。
次に、図17(E)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第5工程)。
次に、図17(F)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第6工程)。
次に、図17(G)に示すように、第1犠牲層49aおよび一部の第2犠牲層49bを囲むように第1基板41aの上側面41a2から第3基板41cの上側面41c1に達するトレンチ42bを形成する(第7工程)。
次に、図17(H)に示すように、第1犠牲層49aおよび第2犠牲層49bの除去速度の差を利用してトレンチ42bに囲まれる第1犠牲層49aを全て除去するとともに第2犠牲層49bを一部除去することによりトレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1とにより形成される開口部42内にてその開口底面42cに形成される第2犠牲層49bの残部である凸状支持部81により片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第8工程)。
こうして、図15(A),(B)に示すセンサチップ80が完成する。
以上説明したように、本第5実施形態に係るセンサチップ80は、梁部43は、その底面43aの一側端部にて開口部42の開口底面42cから突出する凸状支持部81により片持ち梁状に支持されている。このようにしても、コネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、ダイアフラム45を反取付面40b側に設ける場合、このダイアフラム45と凸状支持部81とが離間されることとなるので、被取付部材であるコネクタケース20からダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。
また、圧力検出部46からの信号を出力するための貫通電極48を取付面40aから凸状支持部81を挿通するように設けることにより、凸状支持部81の機械的特性を貫通電極48の機械的特性に近づけることができ、衝撃や振動による凸状支持部81の破損を防止することができる。なお、凸状支持部81は、貫通電極48のみで構成されてもよい。
さらに、梁部43は、凸状支持部81により取付面40aに対して垂直方向に支持されることとなるので、コネクタケース20から取付面40aを介して伝達される外乱応力のうち取付面40aに対して平行方向の外乱応力の伝達を確実に抑制することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を図18を参照して説明する。図18(A)は、第6実施形態に係るセンサチップ90の平面図であり、図18(B)は、図18(A)に示す18B−18B線相当の切断面による断面図である。
図18(A)、(B)に示すように、本第6実施形態に係るセンサチップ90は、基板91の取付面40aにてコネクタケース20の凹部21aに配設されている。そして、この取付面40aの外縁に連なる基板91の側面40cには、外方へ片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成されている。梁部43内には、上記第1実施形態にて述べた圧力基準室44、ダイアフラム45および各圧力検出部46が形成されている。各圧力検出部46には各導電部47の一側端部がそれぞれ電気的に接続されるとともに、各導電部47の他側端部には、基板41を貫通する4つの貫通電極48がそれぞれ電気的に接続されている。
次に、上述したセンサチップ90を製造方法の工程を図19(A)〜(D)および図20(E)〜(G)を用いて詳細に説明する。図19(A)〜(D)および図20(E)〜(G)は、第6実施形態におけるセンサチップ90の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図19(A)に示すように、第1基板91aを用意し、この第1基板91aの下側面91a1に、複数の圧力検出部46および導電部47を当該第1基板91aの長手方向へ等間隔に離間して形成する(第1工程)。
次に、図19(B)に示すように、第2基板91bおよび第3基板91cを用意する。そして、第2基板91bの上側面91b1に各圧力検出部46の離間距離と等しい距離にて長手方向へ等間隔に離間して凹部44aを複数形成するとともに、第3基板91cの上側面91c1の全面に犠牲層99を形成する。そして、第2基板91bの下側面91b2と第3基板91cの上側面91c1とを犠牲層99を介して貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板91bの上側面91b1と第1基板91aの下側面91a1とを後述するように貼り合せたとき、各導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を複数形成する(第2工程)。
次に、図19(C)に示すように、各圧力検出部46と各凹部44aとをそれぞれ近接させるように第1基板91aの下側面91a1と第2基板91bの上側面91b1とを貼り合わせることにより、各凹部44aと下側面91a1とでもって複数の圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図19(D)に示すように、第1基板91aの上側面91a2を研磨して各圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成する複数のダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図20(E)に示すように、各ダイアフラム45近傍にて第1基板91aの短手方向に延びかつ第1基板91aの上側面91a2から犠牲層99に達する深溝部92をハーフカット等により各圧力検出部46の離間距離と等しい距離にて長手方向へ等間隔に離間して複数形成する(第5工程)。
次に、図20(F)に示すように、各深溝部92近傍の犠牲層99を除去することにより深溝部92と第3基板91cの上側面91c1と犠牲層99の残部とにより形成される片持ち梁状に突出して支持される複数の梁部43をそれぞれ形成する。各梁部43には、ダイアフラム45および圧力検出部46がそれぞれ設けられることとなる(第6工程)。
次に、図20(G)に示すように、第7工程により、各深溝部92を貫通するように第3基板91cを複数箇所切断することにより図18(A),(B)に示すセンサチップ90を複数得る(第7工程)。
以上説明したように、本第6実施形態に係るセンサチップ90では、梁部43は、基板91の側面90cから外方へ片持ち梁状に突出して支持されることによりその支持部位の断面積を小さくしているので、コネクタケース20から取付面90aを介して梁部43に伝達される外乱応力を抑制することができる。そして、この梁部43内に、ダイアフラム45および圧力検出部46が設けられているので、コネクタケース20からダイアフラム45に伝達される外乱応力に起因するノイズを低減することができる。特に、ダイアフラム45は、梁部43内に密閉状態で形成された圧力基準室44の圧力と被測定圧力との圧力差に応じて変位するので、梁部がたわむ必要もない。
また、本第6実施形態に係るセンサチップ90の製造方法のように、片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ90を複数製造してもよい。特に、ハーフカット等の加工により深溝部92を形成することができるので、犠牲層99を削除するためのトレンチエッチングが不要となり製造工程を簡素化することができる。
図21(A)〜(E)は、第6実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ90の製造方法の工程を示す説明図である。
第6実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ90の製造方法として、図21(A)〜(E)に示す製造方法によりセンサチップ90を製造してもよい。以下、第6実施形態の第1の変形例におけるセンサチップ90を製造方法の工程を図21(A)〜(E)を用いて詳細に説明する。
まず、図21(A)に示すように、第1基板91aを用意し、この第1基板91aの下側面91a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成する。(第1工程)。
次に、図21(B)に示すように、第2基板91bおよび第3基板91cを用意する。そして、第2基板91bの上側面91b1に第1凹部44aを形成する。そして、第3基板91cの上側面91c1に第1凹部44aより開口面積が大きな断面凹状の浅溝部92aを形成する。そして、第2基板91bの下側面91b2と第3基板91cの上側面91c1とを、第1凹部44aと浅溝部92aとを近接させるように貼り合せる。そして、浅溝部92aを貫通しない部位であって、第2基板91bの上側面91b1と第1基板91aの下側面91a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第2工程)。
次に、図21(C)に示すように、圧力検出部46と第1凹部44aとを近接させるように第1基板91aの下側面91a1と第2基板91bの上側面91b1とを貼り合わせることにより、第1凹部44aと下側面91a1とでもって圧力基準室44を形成する(第3工程)。
次に、図21(D)に示すように、第1基板91aの上側面91a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第4工程)。
次に、図21(E)に示すように、ダイアフラム45近傍にて浅溝部92aをその延在方向に分断するように第1基板91a、第2基板91bおよび第3基板91cを切断することにより片持ち梁状に突出して支持される梁部43が形成される。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第5工程)。
こうして、図18(A),(B)に示すセンサチップ90が完成する。
上述のごとく片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成するとともにこの梁部43内にダイアフラム45および圧力検出部46を設けるようにセンサチップ90を製造してもよい。これにより、上記第6実施形態に係る発明による作用・効果に加えて、上記第6実施形態におけるハーフカット等の加工による深溝部92を形成する工程(上記第6実施形態における第5工程)をなくすことができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態を図22を参照して説明する。図22(A)は、第7実施形態に係るセンサチップ100の平面図であり、図22(B)は、図22(A)に示す22B−22B線相当の切断面による断面図である。
図22(A)、(B)に示すように、本第7実施形態に係るセンサチップ100は、基板101の取付面100aにてコネクタケース20の凹部21aに配設されている。そして、この取付面100aの外縁に連なる基板101の側面100cのうち隣接する2つの側面から互いに平行にそれぞれ外方へ片持ち梁状に突出する第1梁状突出部103aおよび第2梁状突出部103bと両梁状突出部103a,103bにより、支持部位103d,103e(図22、図23中の二点鎖線部位参照)にて支持される第3梁状突出部103cとからなる梁部103が設けられている。この梁部103の第3梁状突出部103c内には、上記第1実施形態にて述べた圧力基準室44、ダイアフラム45および各圧力検出部46が形成されている。各圧力検出部46には各導電部47の一側端部がそれぞれ電気的に接続されるとともに、各導電部47の他側端部には、基板41を貫通する4つの貫通電極48がそれぞれ電気的に接続されている。
次に、上述したセンサチップ100を製造方法の工程を図23(A)〜(D)を用いて詳細に説明する。図23(A)〜(D)は、第7実施形態におけるセンサチップ100の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図23(A)に示すように、第1基板101aを用意し、この第1基板101aの下側面101a1に、上述のごとく圧力検出部46および導電部47を形成する。(第1工程)。
次に、図23(B)に示すように、第2基板101bを用意し、第2基板101bの上側面101b1に凹部44aを形成する。そして、後述する梁部103を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板101bの上側面101b1と第1基板101aの下側面101a1とを後述するように貼り合せたとき、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する。そして、凹部44aと圧力検出部46とを近接させるように第2基板101bの上側面101b1と第1基板101aの下側面101a1とを貼り合せることにより、凹部44aと第1基板101aの下側面101a1とでもって圧力基準室44を形成する(第2工程)。
次に、図23(C)に示すように、第1基板101aの上側面101a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第3工程)。
次に、図23(D)に示すように、第1の刃部111および第2の刃部112を有するバイト110を用いて、第1の刃部111でもって、ダイアフラム45近傍の第1基板101aおよび第2基板101bを切断する。これと同時に、第2の刃部112でもって、第2基板101bのうち圧力基準室44よりも当該第2基板101bの下側面101b2側の部位を第1基板101aの上側面101a2から見てL字状に削り取ることにより隣接する2つの削取面100cから互いに平行にそれぞれ外方へ片持ち梁状に突出する第1梁状突出部103aおよび第2梁状突出部103bと両梁状突出部103a,103bにより支持される第3梁状突出部103cとからなる梁部103を形成する。この梁部103の第3梁状突出部103cには、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第4工程)。
こうして、図22(A),(B)に示すセンサチップ100が完成する。なお、第1基板101a、第2基板101bおよび第3基板101cは、図22(A),(B)に示す基板101に相当する。
以上説明したように、本第7実施形態に係るセンサチップ100では、第3梁状突出部103cは第1梁状突出部103aおよび第2梁状突出部103bの双方により支持されているので、第1梁状突出部103aによる第3梁状突出部103cの支持部位103dと第2梁状突出部103bによる第3梁状突出部103cの支持部位103eとが交差する。
これにより、第3梁状突出部103cは、交差する両支持部位103d,103eにより支持されることとなるので、断面積が等しい1つの支持部位により支持される場合と比較して、支持強度を増加させることができる。
また、本第7実施形態に係るセンサチップ100の製造方法では、センサチップ40は、上述した第1工程〜第4工程により製造されている。このように、梁部103の形成時に薬液やガスを用いるエッチングを実施することなく、バイト110により機械加工を施して梁部を形成することができる。特に、切断(ダイシング)と同時に梁部103を形成することができるので、製造工程を簡素化することができる。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態を図34を参照して説明する。図34(A)は、第8実施形態に係るセンサチップ130の平面図であり、図34(B)は、図34(A)に示す34B−34B線相当の切断面による断面図である。
図34(A)、(B)に示すように、本第8実施形態に係るセンサチップ130では、梁部43のうち圧力基準室44に対して反ダイアフラム側は、ポーラス構造部(多孔質構造)131により構成されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と主に異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ130を製造方法の工程を図35(A)〜(E)および図36(F)〜(I)を用いて詳細に説明する。図35(A)〜(E)および図36(F)〜(I)は、第8実施形態におけるセンサチップ130の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図35(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上記第1実施形態と同様に圧力検出部46および導電部47を形成し、圧力検出部46の周囲の一部を除いて他部に上側面41a2から下側面41a1まで当該第1基板41aを貫通する第1トレンチ132を形成した後、上側面41a2を研磨する(第1工程)。この第1トレンチ132は、具体的には、例えば、図34(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状に形成される。また、上記研磨により、ダイアフラム45として機能する部位が形成される。また、本第8実施形態に係る第1工程では、上側面41a2を研磨した後、第1トレンチ132を形成してもよい。
次に、図35(B)に示すように、第2基板41bを用意し、後述するように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせたときに第1トレンチ132に連通可能な第2トレンチ133と、この第2トレンチ133および第1トレンチ132を連通させたとき圧力検出部46に近接する第3トレンチ134と、を第2基板41bに貫通するように形成する(第2工程)。
次に、図35(C)に示すように、第1トレンチ132と第2トレンチ133とを連通させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせて、第3トレンチ134と第1基板41aの下側面41a1とにより凹部44aを形成する(第3工程)。
次に、図35(D)に示すように、第3基板41cを用意し、当該第3基板41cの上側面41c1の一部に所定の深さのポーラス構造部(多孔質構造部)131を設ける(第4工程)。ポーラス構造部131は、例えば、ポーラスシリコンであって、第3基板41cをフッ化水素酸溶液中で陽極化成することにより形成される。
次に、図35(E)に示すように、ポーラス構造部131と凹部44aとを近接させるように第3基板41cの上側面41c1と第2基板41bの下側面41b2とを貼り合わせるときに、第3基板41cの上側面41c1のうち第2トレンチ133内に露出する面とこの露出面に囲まれるポーラス構造部131の表面の一部とを除いた面に、後述するエッチング材に対する保護層135を設ける(第5工程)。
次に、図36(F)に示すように、保護層135により保護されていない第3基板41cの上側面41c1に対してポーラス構造部131の細孔を通過可能なエッチング材を用いたエッチング処理を施すことにより保護層135により保護された部位を除くポーラス構造部131の周囲に空洞部136を形成する(第6工程)。
次に、図36(G)に示すように、保護層135を除去した後、ポーラス構造部131の空隙を閉鎖するために閉鎖膜137を設ける。
次に、図36(H)に示すように、第2トレンチ133および空洞部136を連通するように第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを貼り合わせることにより、凹部44aとポーラス構造部131とでもって圧力基準室44を形成するとともに、空洞部136と第1トレンチ132および第2トレンチ133とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出して支持される梁部43を形成する(第7工程)。この梁部43は、ダイアフラム45および圧力検出部46を有し、圧力基準室44に対して反ダイアフラム側がポーラス構造部131で構成されている。
次に、図36(I)に示すように、貫通電極48を導電部47の所定の部位に接続するように形成する。
こうして、図34(A),(B)に示すセンサチップ130が完成する。
以上説明したように、本第8実施形態に係るセンサチップ130では、梁部43のうち圧力基準室44に対して反ダイアフラム側は、ポーラス構造部131(多孔質構造)である。これにより、梁部43には局所的に非連続な多孔質領域を設けることができるので、ダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、ポーラス構造部131の部位では密度が小さくなるため共振周波数を大きくすることができ、共振による梁部43の破損を防止することができる。
また、本第8実施形態に係るセンサチップ130の製造方法では、センサチップ130は、主に上述した第1工程〜第7工程により製造されている。このように、ポーラス構造部131の細孔を通過可能なエッチング材を用いるので、ポーラス構造部131の周囲、特に裏面を容易にエッチングすることができ、空洞部136を確実に形成することができる。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態を図37を参照して説明する。図37(A)は、第9実施形態に係るセンサチップ140の平面図であり、図37(B)は、図37(A)に示す37B−37B線相当の切断面による断面図である。
図37(A)、(B)に示すように、本第9実施形態に係るセンサチップ140では、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部がポーラス構造(多孔質構造)141により構成されている点が、上記第1実施形態にて述べたセンサチップ40と主に異なる。したがって、第1実施形態のセンサチップ40と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ140を製造方法の工程を図38(A)〜(D)および図39(E)〜(G)を用いて詳細に説明する。図38(A)〜(D)および図39(E)〜(G)は、第9実施形態におけるセンサチップ140の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図38(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に、上記第1実施形態と同様に圧力検出部46および導電部47を形成する(第1工程)。
次に、図38(B)に示すように、第2基板41bを用意し、第2基板41bの上側面41b1に凹部44aを形成するとともに、当該凹部44aから離間した部位に上記第8実施形態と同様にしてポーラス構造部141を設ける(第2工程)。
次に、図38(C)に示すように、第3基板41cを用意してこの第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1と第1基板41aの下側面41a1とを後述するように貼り合せたときに、導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する(第3工程)。
次に、図38(D)に示すように、圧力検出部46と凹部44aとを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと下側面41a1とでもって圧力基準室44を形成する(第4工程)。
次に、図39(E)に示すように、第1基板41aの上側面41a2を研磨して圧力基準室44の上側を薄肉状にすることにより圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成する(第5工程)。
次に、図39(F)に示すように、ポーラス構造部141とにより圧力基準室44を囲うように第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図37(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第6工程)。
次に、図39(G)に示すように、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することにより、トレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出してポーラス構造部141を含めた支持部位にて支持される梁部43を形成する(第7工程)。
こうして、図37(A),(B)に示すセンサチップ140が完成する。
以上説明したように、本第9実施形態に係るセンサチップ140では、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部は、ポーラス構造部141(多孔質構造)である。これにより、梁部43の支持部位の一部(第2基板41bの一部により構成される部位)には局所的に非連続な多孔質領域を設けることができるので、当該支持部位を介するダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、ポーラス構造部141では密度が小さくなるため共振周波数を大きくすることができ、共振による梁部43の破損を防止することができる。なお、梁部43の支持部位は、全てポーラス構造部141により構成されてもよい。
また、本第9実施形態に係るセンサチップ140の製造方法では、センサチップ140は、主に上述した第1工程〜第7工程により製造されている。これにより、梁部43の支持構成に応じて最適な位置にポーラス構造部141を設けることにより、効果的にダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態を図40を参照して説明する。図40(A)は、第10実施形態に係るセンサチップ150の平面図であり、図40(B)は、図40(A)に示す40B−40B線相当の切断面による断面図である。
図40(A)、(B)に示すように、本第10実施形態に係るセンサチップ150では、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部がポーラス構造(多孔質構造)151により構成されている点が、上記第3実施形態にて述べたセンサチップ60と主に異なる。したがって、第3実施形態のセンサチップ60と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、センサチップ150を製造方法の工程を図41(A)〜(D)および図42(E)〜(G)を用いて詳細に説明する。図41(A)〜(D)および図42(E)〜(G)は、第10実施形態におけるセンサチップ150の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図41(A)に示すように、第1基板41aを用意し、この第1基板41aの下側面41a1に凹部44aを形成する(第1工程)。
次に、図41(B)に示すように、第2基板41bおよび第3基板41cを用意する。そして、第3基板41cの上側面41c1の全面に犠牲層49を形成する。そして、第2基板41bの下側面41b2と第3基板41cの上側面41c1とを犠牲層49を介して貼り合せる(第2工程)。
次に、図41(C)に示すように、第2基板41bの上側面41b1を研磨して当該第2基板41bの厚さを薄くする。そして、後述する梁部43を構成する部位とは異なる部位であって、第2基板41bの上側面41b1に形成される導電部47に接続可能な部位に貫通電極48を形成する。そして、研磨後の上側面41b1に圧力検出部46および導電部47を形成する(第3工程)。
次に、図41(D)に示すように、凹部44aと圧力検出部46とを近接させるように第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせることにより、凹部44aと第2基板41bの上側面41b1とでもって圧力基準室44を形成する(第4工程)。
次に、図42(E)に示すように、第1基板41aのうち凹部44aから所定の距離だけ離間した部位に上記第8実施形態と同様にしてポーラス構造部151を設ける(第5工程)。
次に、図42(F)に示すように、ポーラス構造部151とにより圧力基準室44を囲うように第1基板41aの上側面41a2から犠牲層49に達するトレンチ42bを形成する。具体的には、例えば、図40(A)に示す開口部42のように、反取付面40b(第1基板41aの上側面41a2)から見てコ字状にトレンチ42bを形成する(第6工程)。
次に、図42(G)に示すように、トレンチ42b近傍の犠牲層49を除去することにより、圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45を形成するとともに、トレンチ42bと第3基板41cの上側面41c1と犠牲層49の残部とにより形成される開口部42内に片持ち梁状に突出してポーラス構造部151を含めた支持部位にて支持される梁部43を形成する。この梁部43には、上述したダイアフラム45および圧力検出部46が設けられることとなる(第7工程)。
こうして、図40(A),(B)に示すセンサチップ150が完成する。
以上説明したように、本第10実施形態に係るセンサチップ150では、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部は、ポーラス構造部151(多孔質構造)である。これにより、梁部43の支持部位の一部(第1基板41aの一部により構成される部位)には局所的に非連続な多孔質領域を設けることができるので、当該支持部位を介するダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。さらに、ポーラス構造部151では密度が小さくなるため共振周波数を大きくすることができ、共振による梁部43の破損を防止することができる。なお、梁部43の支持部位は、全てポーラス構造部151により構成されてもよい。
また、本第10実施形態に係るセンサチップ150の製造方法では、センサチップ150は、主に上述した第1工程〜第7工程により製造されている。これにより、梁部43の支持構成に応じて最適な位置にポーラス構造部151を設けることにより、効果的にダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記第1実施形態において、被取付部材であるコネクタケース20の収縮率が大きい場合には、図24に示すように、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位を、基板41の反取付面40bの外縁に近接するように設置してもよい。
コネクタケース20が樹脂等の剛性が低く収縮率が大きなもので形成される場合、このコネクタケース20の収縮によりセンサチップ40に反りが生じる可能性がある。この場合、梁部43の支持部位を、コネクタケース20の収縮率が大きくなるほど基板41の反取付面40bの外縁に近接させて配置することにより、コネクタケース20の反りに起因するノイズを抑制することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。
(2)上記第1実施形態において、基板41およびコネクタケース20間を封止するアンダーフィル27等の封止材の収縮率がコネクタケース20の収縮率よりも大きい場合には、図25に示すように、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位を、基板41の反取付面40bの中央に近接するように設置してもよい。
封止材の収縮率がコネクタケース20の収縮率よりも大きい場合、この封止材の収縮によりセンサチップ40に圧縮応力が生じる可能性がある。この場合、梁部43の支持部位を、基板41の反取付面40bの中央に近接させて設置することにより、封止材の収縮に起因するノイズを抑制することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。
(3)上記第1実施形態において、図26に示すように、開口側面42aからの梁部43の突出方向の長さL1を当該梁部43が開口側面42aにて支持される面に沿う長さL2に対して長くするとともに、当該開口側面42aからダイアフラム45および圧力検出部46を離間させてもよい。
これにより、開口側面42aからダイアフラム45までの距離が長くなるので、ダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。特に、梁部43の突出方向の長さL1を適切に設計することにより、共振による梁部43の破損も防止することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。
(4)上記第1実施形態において、図27に示すように、開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位43bを、その突出方向の断面積が当該梁部43の他の部位における突出方向の断面積よりも小さくなるように形成してもよい。これにより、コネクタケース20から取付面40aを介して梁部43に伝達される外乱応力をさらに抑制することができる。
また、梁部43は、ダイアフラム45等を含む矩形状部位が支持部位43bにより支持されるように形成されることに限らず、例えば、図28に示すように、ダイアフラム45等を含む円形状部位が支持部位43bにより支持されるように形成されてもよい。
また、図29に示すように、上述した支持部位43bを複数平行に設けてもよい。このようにしても、各支持部位43bの断面積を小さくするとともに梁部43の支持強度を増加させることができる。特に、各支持部位43bが平行に設けられているので、各支持部位43bに伝達される外乱応力を所定の方向に限定するように抑制することができる。なお、他の各実施形態においても同様の効果がある。
(5)上記第1実施形態において、図30に示すように、梁部43を、断面積を小さくした複数の支持部位43cにより支持してもよい。これにより、各支持部位43cの断面積を小さくするとともに梁部43の支持強度を増加させることができる。また、圧力媒体に含まれる異物の形状に応じて各支持部位43cを配置することにより開口部42内に異物が詰まることを防止することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。なお、図30においては、圧力検出部46、導電部47および貫通電極48の記載を省略している。
(6)上記第1実施形態において、図31に示すように、梁部43を、開口側面42aから片持ち梁状に離間して突出する2つの突出部43dのそれぞれの端部を連結した連結部43eから両突出部間に配置されるように片持ち梁状に突出して形成してもよい。これにより、開口側面42aからダイアフラム45までの距離が長くなるので、ダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。なお、図31においては、圧力検出部46、導電部47および貫通電極48の記載を省略している。
(7)上記第1実施形態において、図32に示すように、梁部43を、開口側面から片持ち梁状に突出して当該梁部の周囲を複数回囲むように形成される支持部43fの端部から片持ち梁状に突出して形成してもよい。このように開口側面42aからダイアフラム45までの距離を長くしても、ダイアフラム45への外乱応力の伝達を抑制することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。なお、図32においては、圧力検出部46、導電部47および貫通電極48の記載を省略している。
(8)上記第1実施形態において、図33に示すように、圧力検出部46を、その歪を検出する方向が梁部43の突出方向に対して直交するようにダイアフラム45上に設けてもよい。梁部43の突出方向は当該梁部43に反りが生じやすい方向であり、この突出方向と比較して梁部43の突出方向に直交する方向は当該梁部43に反りが生じにくい方向である。そこで、圧力検出部46を、その歪を検出する方向が梁部43の突出方向に対して直交するようにダイアフラム45上に設けることにより、梁部43の反りや梁部43の振動に起因するノイズを抑制することができる。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。
(9)圧力センサチップにおいて、圧力検出部46を反取付面40bではなく基板の側面に設ける場合には、第11実施形態として図43(A),(B)に示すセンサチップ120を設けてもよい。図43(A)は、第11実施形態に係るセンサチップ120の断面図であり、図43(B)は、圧力検出方向から見たダイアフラム45と圧力検出部46との配置関係を示す説明図である。
すなわち、図43(A)に示すように、センサチップ120は、基板121の取付面120aにてアンダーフィル27を介してコネクタケース20の凹部21aに配設されている。この基板121は、取付面120aとは反対の面である反取付面120bに圧力検出部46から入力される信号を処理する回路部122a等が設けられる基板本体122と、この基板本体122の下端部から突出する突出部122bにより片持ち梁状に支持される梁部123とを備えている。なお、梁部123は、その下面にてアンダーフィル27を介さず隙間を設け突出部122bのみにより支持された状態で、凹部21aに配設されてもよい。
梁部123内には、密閉状態で形成された圧力基準室44が形成されており、この圧力基準室44と圧力検出方向の側面である受圧面123aとの間が薄肉に形成されている。これにより、圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45が当該圧力基準室44の受圧面123a側に設けられることとなる。
図43(B)に示すように、ダイアフラム45上の受圧面123a側には、このダイアフラム45の変位に応じた信号を出力する4つの圧力検出部46が設けられている。各圧力検出部46には、各圧力検出部46およびダイアフラム45よりブリッジ回路を構成するように、当該各圧力検出部46と同一平面状に設けられる4つの導電部47の一側端部がそれぞれ電気的に接続されている。各導電部47の他側端部は、対応するワイヤ47aを介して回路部122aの所定の電極に電気的に接続されている。
このように構成されるセンサチップ120は、圧力基準室44の基準圧力と上記圧力媒体の被測定圧力との圧力差に応じてダイアフラム45が変位したとき、この変位に応じた信号を圧力検出信号として圧力検出部46から導電部47およびワイヤ47aを介して回路部122aに出力する。この出力信号は、回路部122aにより処理されて、ワイヤ22aを介してコネクタケース20のターミナル22に出力される。なお、回路部122aを設けずに、圧力検出部46からの信号を処理することなく導電部47およびワイヤ47a等を介してターミナル22に出力してもよい。
次に、上述したセンサチップ120の製造方法の工程を図44(A)〜(F)を用いて詳細に説明する。図44(A)〜(F)は、第11実施形態におけるセンサチップ120の製造方法の工程を示す説明図である。
まず、図44(A)に示すように、基板121を用意し、この基板121に対して反取付面120bとなる上面からエッチングにより当該基板121を貫通しない深さのトレンチ121aを形成する。
次に、図44(B)に示すように、トレンチ121aに研削加工等を施して、トレンチ121aの幅を所定の幅寸法まで大きくするように加工する。
次に、図44(C)に示すように、幅を大きくしたトレンチ121aにより形成される空間を利用して、矢印α方向から露光等実施して基板121の側面に4つの圧力検出部46を形成する。具体的には、基板121と、各圧力検出部46を形成するためのマスク(図略)とを傾斜させて、矢印αが垂直方向となる状態にて上記露光を実施する。そして、この圧力検出部46近傍に圧力基準室44を形成するための幅の狭いトレンチ121bを基板121の上面から貫通しないように形成する。さらに、トレンチ121bよりも幅の広いトレンチ121cを形成することにより、上記突出部122bが形成され、この突出部122bにより梁部123が基板本体122に支持されることとなる。
次に、図44(D)に示すように、基板121の全面に堆積層124を堆積させる。このとき、トレンチ121bは、幅が狭いため、堆積層124aにより密閉状態となって圧力基準室44が形成されるとともに、圧力基準室44の周壁の一部を構成するダイアフラム45が形成される。一方、トレンチ121cは、幅が広いため、トレンチ121bのように密閉状態となることもない。
次に、図44(E)に示すように、各圧力検出部46に接続される各導電部47を形成するとともに、基板本体122に回路部122aを形成する。
次に、図44(F)に示すように、幅を広げたトレンチ121a部分を切断するとともに各導電部47をワイヤ47aにより回路部122aに接続することにより、図43(A),(B)に示すセンサチップ120が完成する。
以上説明したように、本第11実施形態に係るセンサチップ120では、ダイアフラム45および圧力検出部46等のセンシング部と回路部122aとを同一のセンサチップに形成することができるので、センサチップの小型化を図ることができる。また、梁部123が取付面120aに対して垂直方向に突き出すため、センサチップの反りによって引き起こされるセンシング部での応力の発生を抑制することができる。
また、本第11実施形態に係るセンサチップ120では、基板121の側面である受圧面123aに上述のように露光して圧力検出部46を形成するので、この側面にて導電部47等の配線の形成が可能となり、デバイスとしての集約度を向上させることができる。
(10)上記第8実施形態にて述べたポーラス構造部131を、他の実施形態(第5,11実施形態を除く)における梁部43のうちの圧力基準室44に対する反ダイアフラム側に適用しても上記第8実施形態による効果を得ることができる。
(11)上記第9実施形態にて述べたポーラス構造部141を、他の実施形態(第5,11実施形態を除く)における開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部に適用しても上記第8実施形態による効果を得ることができる。また、上記第10実施形態にて述べたポーラス構造部151を、他の実施形態(第5,11実施形態を除く)における開口側面42aにて支持される梁部43の支持部位の一部に適用しても上記第10実施形態による効果を得ることができる。
(12)上記第1実施形態において、貫通電極48を形成(図3(B)参照)した後に第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせる(図3(C)参照)ことに限らず、貼り合わせ作業を容易にするために第1基板41aの下側面41a1と第2基板41bの上側面41b1とを貼り合わせた後に貫通電極48を形成してもよい。また、他の各実施形態においても同様の効果がある。