JP5512219B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブル型の太陽電池に関し、詳しくは、光電変換層の割れや剥離を防止することで、高い歩留りを得ることができる太陽電池に関する。
薄膜太陽電池用の基板としてはガラス基板が主に使用されている。
しかしながら、ガラス基板は割れ易く、取り扱いに十分な注意が必要であると共に、フレキシブル性に欠けることから、適用範囲が限定されている。
例えば、最近では、住宅等の建造物用の電力供給源として、太陽電池が注目を集めている。ここで、十分な供給電力を確保する上で太陽電池の大型化が不可欠であり、太陽電池の大面積化を図る上で、基板の軽量化が望まれている。
しかしながら、軽量化を目的として、ガラス基板を薄くすると、一層、割れ易くなってしまうことから、割れ難くフレキシブルであり、しかも、ガラス基板よりも軽量化を図ることのできる基板材料の開発が要望されている。
また、ガラス基板の価格は、太陽電池の光電変換層(光吸収層)に比べると、比較的、高価であり、太陽電池の普及を促すために安価な基板材料が望まれている。
このような要求に答えることができる基板材料として、金属が利用されている。
また、温度変化に起因する光電変換層の剥離や割れを抑制するために、光電変換層と熱膨張係数の差が小さい金属が用いられている。例えば、銅−インジウム−ガリウム−セレン系(CIGS系)の化合物半導体を光電変換層として用いる太陽電池であれば、フレキシブルな基板の材料として、この化合物半導体と熱膨張係数が近似するチタンやSUS430等が用いられている。
太陽電池は、一例として、基板の上に形成される裏面電極、裏面電極の上に形成される光電変換層、光電変換層の上に形成される透明電極等を有して構成される。
ここで、光電変換層としてCIGS系の化合物半導体を用いる太陽電池では、通常、裏面電極としてモリブデン(Mo)が用いられる。ところが、モリブデンの熱膨張係数は、CIGS系の化合物半導体や、基板として用いられるSUS430等よりも小さい。
そのため、フレキシブルな金属基板を用いて太陽電池を作製した場合に、裏面電極と、基板および光電変換層との熱膨張係数の差によって、反りが生じてしまい、この反りによって、光電変換層に微小な剥がれやクラックが生じてしまい、歩留りが悪化するという問題が有る。
これに対し、特許文献1には、CIS(CIGS)系の化合物半導体を光電変換層として用いる太陽電池において、基板として、Moと、Moよりも熱膨張係数が大きいニッケル(Ni)との合金を用いることが記載されている。
この太陽電池においては、基板にMo−Niの合金を用いることにより、基板と光電変換層との熱膨張係数を、略同一とし、かつ、基板上部のMo濃度を高くすることにより、基板を裏面電極としても作用させて、裏面電極と光電変換層との熱膨張係数の差に起因する、光電変換層の剥がれやクラックを抑制している。
特開2009−21479号公報
Niは光吸収層よりも線膨張係数が大きく、Moは光吸収層よりも線膨張係数が小さいので、特許文献1に開示される太陽電池のように、基板をNiとMoの合金で作製すれば、全体としての合金比を調整することによって基板の線膨張係数を光吸収層の線膨張係数にほぼ等しくすることができ、熱膨張係数の差に起因する光電変換層の剥がれやクラックを抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載される太陽電池のように、基板をNiとMoの合金で作製すると、基板が高価になってしまい、これにより、太陽電池のコストが大幅に向上してしまう。
また、太陽電池では、ナトリウム(Na)が光電変換層に拡散することで、発電効率が向上することが知られている。通常の太陽電池では、基板として青板ガラス(ソーダライムガラス)を用いることで、青板ガラスに含まれるNaを光電変換層に拡散している。
特許文献1に記載される太陽電池では、基板からのNaの拡散が無いので、光電変換層の成膜中に、光電変換層に、Naを直接入れるようにしている。しかしながら、この方法では、局所的にNaを含有させることが難しいので、Na添加の精密制御を行なうことが困難である。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、SUS430等からなるフレキシブルな基板と、CIGS系の化合物半導体等を光電変換層として用いるフレキシブル太陽電池において、安価に製造することができ、かつ、基板および光電変換層と、裏面電極との熱膨張係数の差に起因する、光電変換層の剥がれやクラックを大幅に抑制して、歩留りを良好にすることができ、さらに、好ましくは、Naの精密添加も可能である太陽電池を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の太陽電池は、フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の上に形成された裏面電極と、前記裏面電極の上に形成された、前記フレキシブル基板と略同一の熱膨張係数を有する光電変換層とを有し、前記裏面電極が、熱膨張係数が異なる材料からなる層を2層以上積層した多層構造を有し、かつ、熱膨張係数が前記光電変換層と略同一であることを特徴とする太陽電池を提供する。
このような本発明の太陽電池において、前記光電変換層が、Ib族元素、IIIb族元素、および、VIb族元素からなる化合物半導体層であるのが好ましい。
また、前記裏面電極が、1層以上のMo層と、1層以上のMoよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層とを積層してなるものであり、かつ、最上層がMo層であるのが好ましく、この際において、前記最上層のMo層の厚さが20〜200nmであるのが好ましく、また、前記Moよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層が、Niからなる層、Coからなる層、および、MoとMoよりも熱膨張係数が大きい金属材料との合金からなる層の1以上であるのが好ましく、また、前記Moとの合金を形成する金属材料が、NiおよびCoの1以上であるのが好ましい。
また、前記フレキシブル基板が導電性を有し、かつ、前記フレキシブル基板と裏面電極との間に、熱膨張係数が前記光電変換層と略同一の絶縁層を有するのが好ましく、この際において、前記フレキシブル基板が導電性の金属基板であり、前記絶縁層が前記金属基板の陽極酸化によって形成されたものであるのが好ましい。
また、前記フレキシブル基板と光電変換層との間に、1層以上のアルカリ金属供給層を有するのが好ましく、この際において、前記アルカリ金属供給層が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択された1種以上の物質をドープされた、前記裏面電極を形成する層の1層以上であるのが好ましく、もしくは、前記アルカリ金属供給層が、前記フレキシブル基板と裏面電極の最上層との間に形成される、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択された1種以上の物質を含む化合物からなる層であるのが好ましい。
さらに、前記裏面電極の最上層が、主成分と不可避的不純物とからなる層であるのが好ましい。
このような本発明の太陽電池によれば、裏面電極を熱膨張係数の異なる物質からなる層を2層以上積層してなる多層構造とすることにより、裏面電極を構成する各層の熱膨張係数や、各層の厚さ等を、適正に選択/設定することで、熱膨張係数が略同一な基板および光電変換層と、裏面電極とで、熱膨張係数を略同一にすることができる。従って、本発明によれば、フレキシブルな太陽電池において、安価で、かつ、基板および光電変換層と、裏面電極との熱膨張係数の差に起因する、反りによる光電変換層の剥がれやクラックを好適に抑制して、歩留りの高い太陽電池を実現することができる。
また、好ましい太陽として、基板と光電変換層との間にアルカリ金属供給層を設けることにより、局所的にNa等のアルカリ(土類)金属を局所的にNaを含有させることができ、SUS430やチタン等からなるフレキシブルな金属基板を用いた場合でも、光電変換層へのNa添加の精密制御を行なうことができる。
本発明の太陽電池の一例を概念的に示す図である。 (a)および(b)は、本発明の太陽電池における裏面電極の一例を概念的に示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の太陽電池の作製方法の一例を説明するための概念図である。
以下、本発明の太陽電池について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の太陽電池の一例を概念的に示す。
本発明の太陽電池は、フレキシブル(可撓性を有する)な基板を用いる、フレキシブル太陽電池である。図示例の太陽電池10は、一例として、基板12と、絶縁層14と、裏面電極14と、光電変換層18と、バッファ層20と、透明電極24と、Alグリッド電極26とを有して構成される。
なお、図示例の太陽電池は、いわゆるサブストレート型の太陽電池であるが、本発明は、これに限定はされず、透明な基板の上に、透明電極/バッファ層/光電変換層/裏面電極の順で形成され、基板側を受光面とする、いわゆるスーパーストレート型の太陽電池にも、好適に利用可能である。
しかしながら、後述するようなI−III−VI族化合物半導体(カルコパイライト構造の化合物半導体)を用いる場合には、変換効率の点で、図示例のようなサブストレート型の太陽電池が好適である。
前述のように、本発明において、基板12はフレキシブルなものであり、後述する光電変換層18と、熱膨張係数が略同一なものである。
なお、本発明において、光電変換層18と熱膨張係数が略同一とは、光電変換層18の熱膨張係数の「±2.5×10-6/℃」の範囲を言う。すなわち、例えば、光電変換層18の熱膨張係数が9.5×10-6/℃である場合には、7×10-6/℃〜12×10-6/℃であれば、光電変換層18と熱膨張係数が略同一と言うことができる。
本発明において、基板12は、上記条件を満たすものであれば、フレキシブル太陽電池で用いられている基板が、各種、利用可能である。
例えば、光電変換層18が、CIGS([Cu(In,Ga)Se2] 熱膨張係数9×10-6/℃〜10×10-6/℃)からなる層である場合には、基板12として、厚さが20〜100μm程度の鉄(熱膨張係数11.8×10-6/℃)やSUS430(熱膨張係数10.4×10-6/℃)からなる基板本体の表面に、鉄(Fe)の拡散を防止するCrからなる層を形成した基板を用いることができる。
なお、Crの熱膨張係数は、8.4×10-6/℃であり、CIGSと略一致する。図1に示す太陽電池10は、この構成を有するものであり、一例として、基板12は、SUS430基板本体12aと、Cr層12bとから構成される。
また、熱膨張係数がCIGSに近いTi箔(8×10-6/℃)も、基板12として利用可能である。
これ以外にも、熱膨張係数がCIGSと略同一である金属基板(例えば、鉄、SUS430、Ti等)上に、陽極酸化により複数の細孔を有する絶縁性の金属酸化膜が形成された基板12も、利用可能である。
この基板は、金属製であるが、金属酸化膜を有することにより、高い絶縁性が確保されている。
この金属酸化膜を有する基板12は、一例として、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、およびタンタル(Ta)等や、それらの合金を、前記金属基板に被覆し、その後、陽極酸化を行うことで作製できる。なお、コストや太陽電池に要求される特性の観点から、アルミニウムが最も好ましい。
また、この製造工程において、必須の工程以外の各種の工程が含まれていてもよい。
例えば、付着している圧延油を除く脱脂工程、アルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマット処理工程、アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化処理工程、アルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理工程、および、陽極酸化皮膜のマイクロポアを封孔する封孔処理を経て太陽電池用基板とするのが好ましい。
このような基板12の表面には、裏面電極14が形成される。
裏面電極14は、本発明の特徴的な部位であって、熱膨張係数の異なる材料からなる層を、2層以上、積層してなる多層構造を有し、かつ、後述する光電変換層18と略同一の熱膨張係数を有する。
本発明は、このような構成を有することにより、フレキシブルな基板12を用いるフレキシブル太陽電池において、光電変換層18および基板12と、裏面電極14との熱膨張係数の差による反り、および、この反りに起因する光電変換層18の剥がれやクラックの発生を、大幅に抑制したものである。
前述のように、CIGS系(カルコパイライト型)の半導体化合物を光電変換層として用いる太陽電池においては、基板材料として、CIGSに近い熱膨張係数を有する材料が選択され、また、裏面電極としては、一般的に、モリブデン(Mo)が用いられる。
ところが、Moは熱膨張係数が5.2×10-6/℃と、基板および光電変換層よりも低い。そのため、フレキシブルな基板を用いると、反りを生じてしまい、この反りによって、光電変換層に剥がれやクラックが生じてしまう。
これに対し、本発明の太陽電池10においては、フレキシブルな基板12用いるフレキシブル太陽電池において、熱膨張係数の異なる材料からなる層を2種以上、2層以上積層した多層構造の裏面電極14を用いる。
例えば、Moと、Moよりも熱膨張係数が大きいニッケル(Ni 熱膨張係数13×10-6/℃)とを用い、図2(a)に概念的に示すように、Ni層14NとMo層14Mとを、交互に、3層(14Na〜14Ncおよび14Ma〜14Mc)のずつ、積層してなる、合計6層からなる層で、多層構造の裏面電極14を構成する。
このような構成を有することにより、裏面電極14を構成する材料(その熱膨張係数)を、適宜、選択し、さらに、各材料からなる層の層厚(合計の層厚)を、適宜、設定することにより、裏面電極14と、光電変換層18および基板12との熱膨張係数を、略一致させて、前述の熱膨張係数の差に起因する反り、および、この反りによる剥がれやクラックの発生を、好適に抑制することができる。また、合金性の基板を用いず、裏面電極の成膜のみで上記目的を達成できるので、製造コストの向上も抑制できる。
従って、本発明によれば、安価で、かつ、歩留りの高い太陽電池を実現できる。
本発明において、裏面電極14を形成する材料には、特に限定はなく、光電変換層18の形成材料に応じて、適宜、選択すればよい。
ここで、本発明においては、CIGS等のカルコパイライト型の化合物半導体からなる光電変換層18を利用する場合には、裏面電極14は、Mo層と、Moよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層とを有する多層構造であるのが好ましい。
また、裏面電極14を形成する材料としてMoを用いる場合には、裏面電極14の最上層は、Moであるのが好ましく、この際において、最上層のMo層の厚さは、20〜200nmとするのが好ましい。
このような構成を有することにより、裏面電極14と光電変換層18との間で、確実にオーミックコンタクト層を形成できる等の点で、好ましい結果を得ることができる。
Moよりも熱膨張係数が大きい材料としては、Ni、コバルト(Co)、ツリウム(Tm)、サマリウム(Sm)、イットリウム(Yb)、およびCu等の金属材料が好適に例示される。
また、Moよりも熱膨張係数が大きい材料としては、Moと、Moよりも熱膨張係数が大きい金属材料との合金も、好適に例示される。Moとの合金となる金属材料としては、NiやCo等、前記金属材料が好適に例示される。例えば、図2(b)に概念的に示すように、Mo−Ni合金層30と、Mo層32とからなる裏面電極34も利用可能である。
中でも、Ni、Co、および、Moと、Moよりも熱膨張係数が大きい金属材料との合金の1以上は、好適に利用される。
本発明において、裏面電極14の層数には、2層以上であれば特に限定はなく、用いる材料や裏面電極14全体の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよいが、4層以上とするのが好ましい。
なお、裏面電極14を構成する層の材料は、2種以上であればよく、例えば、図2に示す例において、Mo層14MとNi層14Nとに加えて、Co層を有してもよい。ただし、3種類以上の層を有する場合には、積層順にも、特に限定は無いが、最上層はMo層とするのが好ましいのは、前述のおとりである。
また、裏面電極14を構成する層として、図2に示す例のようにMo層14Mを有し、光電変換層18がCIGSである場合には、dMoをMo層の合計厚さ; CMoをMoの熱膨張係数; dYをMo以外の金属からなる層の合計厚さ; CYを、Mo以外に使用する金属の熱膨張係数; としてた際に下記式を満たすように、裏面電極14を形成すすのが好ましい。
(CMo×dMo+CY×dY)/(dMo+dY)=7×10-6〜12×10-6/℃
これにより、裏面電極14と光電変換層18との熱膨張係数を、好適に略一致させることが可能となる。
なお、裏面電極14を構成する各層の層厚には、特に限定はなく、熱膨張による歪みを生じない膜厚を、適宜、設定すればよい。
また、裏面電極14の全体の厚さにも、特に限定はなく、使用する材料の導電性や、光電変換層18の種類等に応じて、十分な導電性を確保できる厚さを、適宜、設定すればよい。
裏面電極14の形成方法には、特に限定はなく、スパッタリングや蒸着など、裏面電極14を構成する各層の材料に応じて、公知の成膜手段を用いて形成すればよい。
本発明の太陽電池10において、基板12として前述のSUS430にCr層の形成した構成を有する基板や、SUS430の表面にAlの陽極酸化膜を形成した基板等、ガラス以外の基板を用いる場合には、基板12と光電変換層18との間に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択された1種以上を光電変換層18に供給するための、アルカリ金属供給層を有するのが好ましい。
なお、アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、およびセシウム(Cs)から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属が好ましく、NaおよびKの1種以上がより好ましく、Naが特に好ましい。
アルカリ金属供給層としては、一例として、裏面電極14を構成する層の1層以上に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属(以下、両者をまとめてアルカリ金属とする)から選択された1種以上の金属をドープして、このアルカリ金属をドープしてなる層を、アルカリ金属供給層とする方法が、例示される。
一例として、図2(a)に示される裏面電極14において、Ni層14Nbに、ナトリウム(Na)をドープして、アルカリ金属供給層とする。あるいは、1層全部ではなく、図2(b)に示すように、Mo−Ni合金層30の途中に、点線で示すように、アルカリ金属ドープ領域30dを設けても良い。
このようなアルカリ金属供給層は、一例として、スパッタリングによって裏面電極14の何れかの層を形成する際に、アルカリ金属をドープする層のみ、金属にアルカリ金属化合物を添加/混合して焼結したターゲットを用いる方法が例示される。
なお、アルカリ金属のドープ量には、特に限定はなく、光電変換層18に、十分なアルカリ金属を供給できる量を、適宜、設定すればよい。
なお、裏面電極を構成する何れかの層にアルカリ金属をドープしてアルカリ金属供給層とする場合には、アルカリ金属供給層とする層は、裏面電極14を構成する何れの層でもよいが、最上層(図2(a)に示す例であれば、Mo層14Mc)は、アルカリ金属供給層としないのが、好ましい。すなわち、最上層が、主成分である材料と、不可避的不純物とから構成される、純粋(ピュア)な層であるのが好ましい。
このような構成とすることにより、高い変換効率が得られる等、特性の良好な太陽電池を得ることができる。
アルカリ金属供給層を設ける別の方法として、裏面電極14の最上層と、基板12との間に、アルカリ金属(およびアルカリ土類金属)の1種以上を含む化合物からなる層を形成して、この層をアルカリ金属供給層とする方法が例示される。
アルカリ金属供給層となる化合物は、有機化合物でも無機化合物がでも構わない。
アルカリ金属化合物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、セレン化ナトリウム、セレン化カリウム、塩化ナトリウム、及び塩化カリウム等の無機塩; ポリ酸等の有機酸のナトリウムまたはカリウム塩等の有機塩が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化マグネシウム、および、セレン化カルシウムの無機塩; ポリ酸等の有機酸のマグネシウムまたはカルシウム塩等の有機塩が挙げられる。
特に、ポリ酸のアルカリ(土類)金属塩が好ましい。なお、ここで言うポリ酸には、ヘテロポリ酸を含む。
このような化合物からなるアルカリ金属供給層は、一例として、これらの化合物を含み、かつ、pH調整された塗料を調整し、この塗料を、アルカリ金属供給層の形成面に塗布し、乾燥する方法で、作製される。
あるいは、これらの化合物をターゲットや蒸着源とするスパッタリングや蒸着法などのPVD法(物理気相成長)や、CVD法(化学気相成長)等の気相成長により、アルカリ金属供給層を形成してもよい。
なお、このような化合物からなるアルカリ金属供給層において、アルカリ金属の濃度は特に制限されず、光電変換層18に充分な量のアルカリ金属を供給できる量を、適宜、設定すればよい。また、厚さにも、特に限定はなく、形成位置等に応じて、適宜、設定すればよいが、100〜200nmが好ましい。
裏面電極14の上には、光電変換層(光吸収層)18が形成される。
光吸収層18は、光を吸収することにより電流を発生する光電変換層である。本発明において、光吸収層18は、Ib族元素、IIIb族元素、および、VIb族元素からなる、カルコパイライト構造を有する少なくとも1種の化合物半導体を主成分とする層であるのが好ましい。
特に、光吸収率が高く、高い光電変換効率が得られることから、光吸収層18の主成分となる化合物は、CuおよびAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、Al,GaおよびInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、S,Se,およびTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる、少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
このような化合物半導体としては、具体的には、CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuInS2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)(S,Se)2などのI−III−VI2 族化合物や、I−III3−VI5 族化合物:CuIn3Se5、CuGa3Se5、Cu(In,Ga)3Se5などが例示される。
なお、上記の化合物において、上の記載において、(In,Ga)、(S,Se)は、それぞれ、(In1-xGax)、(S1-ySey)を示す(ただし、x=0〜1、y=0〜1)。
光電変換層18中において、I−III−VI族半導体の構成元素および/または不純物には、濃度分布があってもよく、n型、p型、およびi型等の半導体性の異なる複数の層領域が含まれていても構わない。
特に、光吸収層18が、CIGSのようにGaを含む化合物である場合には、光吸収層18中のGa濃度が層の厚さ方向に勾配を持って分布することによる、グレーテッドバンドギャップ構造であるのが好ましい。これにより、量に厚み方向の分布を持たせると、バンドギャップの幅/キャリアの移動度等を制御でき、光電変換効率を高く設計することができる。
光吸収層18は、I−III−VI族半導体以外の1種または2種以上の半導体を含んでいてもよい。I−III−VI族半導体以外の半導体としては、Si等のIVb族元素からなる半導体(IV族半導体)、GaAs等のIIIb族元素およびVb族元素からなる半導体(III−V族半導体)、およびCdTe等のIIb族元素およびVIb族元素からなる半導体(II−VI族半導体)等が挙げられる。
また、光吸収層18には、特性に支障のない限りにおいて、半導体や、所望の導電型とするための不純物以外の任意成分が含まれていても構わない。
さらに、光吸収層18は、単層膜であるのに限定はされず、異なるカルコパイライト化合物半導体からなる層を積層してなる、複数層(同じ化合物が複数有っても可)から構成される積層構造であってもよい。
光電変換層18の形成方法には、特に限定はなく、太陽電池の製造等に利用されている、カルコパイライト構造を有する化合物半導体を成膜方法が、各種、利用可能である。
一例として、1)多源(多元)同時蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、および、5)メカノケミカルプロセス法等が例示される。
以下、主に、光吸収層18としてCIGS層を成膜する場合を例に、説明する。
1)多源同時蒸着法
多源同時蒸着法の代表的な方法としては、米国のNREL(National Renewable Energy Laboratory)が開発した3段階法と、ECグループの同時蒸着法がある。
3段階法は、例えば、J.R.Tuttle,J.S.Ward,A.Duda,T.A.Berens,M.A.Contreras,K.R.Ramanathan,A.L.Tennant,J.Keane,E.D.Cole,K.Emery and R.Noufi:Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.426(1996)p.143.に記載されている。また、同時蒸着法は、例えば、L.Stolt et al.:Proc.13th ECPVSEC(1995,Nice)1451.に記載されている。3段階法は、高真空中で最初にIn、Ga、Seを基板温度300℃で同時蒸着し、次に500〜560℃に昇温してCu、Seを同時蒸着後、In、Ga、Seをさらに同時蒸着する方法で、禁制帯幅が傾斜したグレーデッドバンドギャップCIGS膜が得られる。
ECグループの方法は、蒸着初期にCu過剰CIGS、後半でIn過剰CIGSを蒸着するBoeing社の開発したバイレーヤー法をインラインプロセスに適用できるように改良したものである。バイレーヤー法は、W.E.Devaney,W.S.Chen,J.M.Stewart,and R.A.Mickelsen:IEEE Trans.Electron.Devices 37(1990)428.に記載されている。
3段階法およびECグループの同時蒸着法は共に、膜成長過程でCu過剰なCIGS膜組成とし、相分離した液相Cu2-xSe(x=0〜1)による液相焼結を利用するため、大粒径化が起こり、結晶性に優れたCIGS膜が形成されるという利点がある。
さらに、近年CIGS膜の結晶性を向上させるため、この方法に加えた種々の方法に関する検討が行われており、これらを用いても良い。
2)セレン化法
セレン化法は2段階法とも呼ばれ、最初にCu層/In層や(Cu−Ga)層/In層等の積層膜の金属プレカーサをスパッタ法、蒸着法、電着法などで製膜し、これをセレン蒸気またはセレン化水素中で450〜550℃程度に加熱することにより、熱拡散反応によってCu(In1-xGax)Se2等のセレン化合物を作製する方法である。
この方法を気相セレン化法と呼ぶが、このほか、金属プリカーサ膜の上に固相セレンを堆積し、この固相セレンをセレン源とした固相拡散反応によりセレン化させる固相セレン化法がある。
現在、唯一、大面積量産化に成功しているのは、金属プリカーサ膜を大面積化に適したスパッタ法で製膜し、これをセレン化水素中でセレン化する方法である。
しかしながら、この方法ではセレン化の際に膜が約2倍に体積膨張するため、内部歪みが生じ、また、生成膜内に数μm程度のボイドが発生し、これらが膜の基板に対する密着性や太陽電池特性に悪影響を及ぼし、光電変換効率の制限要因になっているという問題がある(B.M.Basol,V.K.Kapur,C.R.Leidholm,R.Roe,A.Halani,and G.Norsworthy:NREL/SNL Photovoltaics Prog.Rev.Proc.14th Conf.-A Joint Meeting(1996)AIP Con f.Proc.394.)。
このようなセレン化の際に生ずる急激な体積膨張を回避するために、金属プリカーサ膜に予めセレンをある割合で混合しておく方法(T.Nakada,R.Ohnishi,and A.kunioka:"CuInSe2-Based Solar Cells by Se-Vapor Selenization from Se-Containing Precursors" Solar Energy Materials and Solar Cells 35(1994)204-214.)や、金属薄層間にセレンを挟み(例えばCu層/In層/Se層…Cu層/In層/Se層と積層する)多層化プリカーサ膜の使用が提案されている(T.Nakada,K.Yuda,and A.Kunioka:"Thin Films of CuInSe2 Produced by Thermal Annealing of Multilayers with Ultra-Thin stacked Elemental Layers" Proc.of 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference(1991)887-890.)。
これらにより、上述の堆積膨張の問題はある程度回避されている。
しかしながら、このような手法を含めて、すべてのセレン化法に当てはまる問題点がある。それは、最初にある決まった組成の金属積層膜を用い、これをセレン化するため、膜組成制御の自由度が極めて低いという点である。たとえば現在、高効率CIGS系太陽電池では、Ga濃度が膜厚方向で傾斜したグレーデッドバンドギャップCIGS薄膜を使用するが、このような薄膜をセレン化法で作製するには、最初にCu−Ga合金膜を堆積し、その上にIn膜を堆積し、これをセレン化する際に、自然熱拡散を利用してGa濃度を膜厚方向で傾斜させる方法がある(K.Kushiya,I.Sugiyama,M.Tachiyuki,T.Kase,Y.Nagoya,O.Okumura,M.Sato,O.Yamase and H.Takeshita:Tech.Digest 9th Photovoltaic Science and Engineering Conf.Miyazaki,1996(Intn.PVSEC-9,Tokyo,1996)p.149.)。
3)スパッタ法
スパッタ法は大面積化に適するため、これまでCuInSe2 薄膜形成法として多くの手法が試みられてきた。
例えば、たとえば、CuInSe2 多結晶をターゲットとした方法や、Cu2SeとIn2Se3をターゲットとし、スパッタガスにH2SeとAr混合ガスを用いる2源スパッタ法(J.H.Ermer,R.B.Love,A.K.Khanna,S.C.Lewis and F.Cohen:"CdS/CuInSe2 Junctions Fabricated by DC Magnetron Sputtering of Cu2Se and In2Se3" Proc.18th IEEE Photovoltaic Specialists Conf (1985)1655-1658.)が開示されている。
また、Cuターゲット,Inターゲット,SeまたはCuSeターゲットをArガス中でスパッタする3源スパッタ法などが報告されている(T.Nakada,K.Migita,A.Kunioka:"Polycrystalline CuInSe2 Thin Films for Solar Cells by Three-Source Magnetron Sputtering" Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)L1169-L1172.ならびに、T.Nakada,M.Nishioka,and A.Kunioka:"CuInSe2 Films for Solar Cells by Multi-Source Sputtering of Cu,In,and Se-Cu Binary Alloy" Proc.4th Photovoltaic Science and Engineering Conf.(1989)371-375.)。
4)ハイブリッドスパッタ法
前述したスパッタ法の問題点が、Se負イオンまたは高エネルギーSe粒子による膜表面損傷であるとするなら、Seのみを熱蒸発に変えることで、これを回避できるはずである。中田らは、CuとIn金属は直流スパッタで、Seのみは蒸着とするハイブリッドスパッタ法で、欠陥の少ないCIS薄膜を形成し、変換効率10%を超すCIS太陽電池を作製した(T.Nakada,K.Migita,S.Niki,and A.Kunioka:"Microstructural Characterization for Sputter-Deposited CuInSe2 Films and Photovoltaic Devices" Jpn.Appl.Phys.34(1995)4715-4721.)。
また、Rockettらは、これに先立ち、有毒のH2Seガスの代わりにSe蒸気を用いることを目的としたハイブリッドスパッタ法を報告している(A.Rockett,T.C.Lommasson,L.C.Yang,H.Talieh P.Campos and J.A.Thornton:Proc.20th IEEE Photovoltaic Specialists Conf.(1988)1505.)。さらに古くは膜中のSe不足を補うためSe蒸気中でスパッタする方法も報告されている(S.Isomura,H.Kaneko,S.Tomioka,I.Nakatani,and K.Masumoto:Jpn.J.Appl.Phys 19(Suppl.19-3)(1980)23.)。
5)メカノケミカルプロセス法
CIGSの各組成の原料を遊星ボールミルの容器に入れ、機械的なエネルギーによって原料を混合してCIGS粉末を得る。その後、スクリーン印刷によって基板上に塗布し、アニールを施しCIGSの膜を得る方法である(T.Wada,Y.Matsuo,S.Nomura,Y.Nakamura,A.Miyamura,Y.Chia,A.Yamada,M.Konagai,Phys.stat.sol.(a),Vol.203(2006)p2593)。
これ以外の光電変換層18の成膜方法としては、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法、およびスプレー法などが挙げられる。
例えば、スクリーン印刷法あるいはスプレー法等で、Ib族元素、IIIb族元素、およびVIb族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、VIb族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施するなどにより、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号、同9−74213号の各公報等)。
図1に示す太陽電池10において、光電変換層18の上には、バッファ層20が形成される。バッファ層20は、I−III−VI族の化合物半導体層と接合を形成する絶縁体層、または、n形半導体層である。
このようなバッファ層20の形成材料としては、例えば、CdSやZnO、ZnS、Zn(O,S,OH)などのII−VI族の化合物やIn23などのIII族カルコゲン化合物を用いることができる。これらの化合物は、光電変換層とキャリアの再結合のない接合界面を形成することができ、好ましい。これらに関しては、特開2002−343987号公報等に詳述される。
バッファ層20の上には、透明電極(上部電極)24が形成される。
透明電極24にはITO(酸化インジウム錫)、ZnO:Ga、ZnO:Al、ZnO:B、SnO2などの公知の材料を用いることができる。これらの材料は、光透過性が高く、低抵抗であり、キャリアの移動度が高いため、電極材料として好ましい。このような透明電極24は、特開平11−284211号公報等に詳述される。
また、透明電極24の形成方法にも、特に限定はなく、形成材料に応じて、スパッタリングや蒸着法等の公知の方法で形成すればよい。
太陽電池10において、透明電極24の上には、Al電極26が形成される。
Al電極26は、光電変換層18が生成した電気を、透明電極24から取り出すためのグリッド電極で、例えば、蒸着法によって形成される。
光電変換層18〜透明電極24の導電型は特に制限されない。
通常、光電変換層18はp層、バッファ層20はn層(n−CdS等)、透明電極24はn層(n−ZnO層等)あるいはi層とn層との積層構造(i−ZnO層とn−ZnO層との積層等)とされる。この導電型では、光電変換層18と透明電極24との間に、pn接合、あるいはpin接合が形成されると考えられる。
また、光電変換層18の上にCdSからなるバッファ層20を設けると、Cdが拡散して、光電変換層18の表層にn層が形成され、光電変換層18内にpn接合が形成されると考えられる。また、光電変換層18内のn層の下層にi層を設けて、光電変換層18内にpin接合を形成してもよい。
以下、図3の概念図を参照して、太陽電池10の作製方法の一例を説明する。
SUS430等の基板本体12aの表面に、スパッタリングや蒸着によって、Cr層を形成し、基板12とする。
あるいは、基板本体12aの表面に、アルミニウム層等を形成して、シュウ酸溶液等を用いて陽極酸化を行なって、基板本体/アルミニウム層/陽極酸化層からなる基板12であってもよい。
次いで、図3(a)に示すように、基板12の表面に、スパッタリングや蒸着法によって、裏面電極14を形成する。なお、この裏面電極14は、熱膨張係数の異なる材料の層からなる、多層構成を有するものであり、例えば、図2(a)に示すような、Ni層14Nと、Mo層14Mとを交互に積層してなる構成や、図2(b)に示すような、Mo−Ni合金層30とMo層32を積層してなる構成を有する。
また、裏面電極14の何れかの層に、Na等のアルカリ金属をドープして、アルカリ金属供給層としてもよく、あるいは、裏面電極14の最上層と基板12との間に、アルカリ金属を含有する化合物からなる層を形成して、アルカリ金属供給層としてもよいのは、前述のとおりである。
この裏面電極14の上に、図3(b)に示すように、多源同時蒸着法やセレン化法等の前述の方法によって、例えば、組成制御により、p−型を示す、CIGS系薄膜からなる光電変換層18を形成する。
次に、図3(c)に示すように、光電変換層18の上に、スパッタリング、蒸着法、溶液成長法等によって、CdSなどのバッファ層20を形成し、そのバッファ層20の上に、スパッタリングや蒸着法等によって、不純物がドーピングされてn+型を示す、マイナス側の上部電極となるZnO(酸化亜鉛)等からなる透明電極24を形成する。
さらに、図3(d)に示すように、メカニカルスクライブ装置によって、透明電極24から裏面電極14までを、一括してスクライブ加工する。これによって、薄膜太陽電池の各セルが電気的に分離(すなわち、各セルが個別化)される。
なお、本発明の太陽電池10は、上記の構成を有するものに限定はされず、公知の太陽電池が、全て、利用可能である。
例えば、裏面電極14と光電変換層18との間に両者の密着性を向上するための密着層を有する構成のように、各層の間に必要に応じて何らかの機能を発現する層を設けた構成等であってもよい。
以上、本発明の太陽電池について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明について、より詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
厚さ100μmのSUS430の表面に、スパッタリングによってCr層12bを形成して、基板12とした。
この基板12の表面に、Ni層とMo層とを、交互に、5層ずつ積層して、10層構成の裏面電極14を形成した(図2参照)。最上層はMo層とし、また、各Ni層およびMo層は、共に、厚さは100nmとした。従って、この裏面電極14の厚さは、1μmである。
また、裏面電極14の熱膨張係数は、9.2×10-6/℃であった。
なお、Ni層の形成は、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
また、3層目および4層目のNi層は、Naを添加したターゲットを用いて、アルカリ金属供給層とした。
Mo層の形成も、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
この裏面電極14の上に、多源蒸着法により、CIGSからなる光電変換層18を形成した。
成膜は、各蒸発源からの蒸着レートを制御して、3段階法により1段階目を400℃とし、最高基板温度550℃で行った。光電変換層18の膜厚は、約2μmとした。
このようにして形成した光電変換層18の上に、バッファ層20として、CdS薄膜を50nm程度溶液成長法で堆積し、その上に、透明電極24として、ZnO:Al膜をRFスパッタ法で厚さ0.6μmで形成した。最後に上部電極として、Alグリッド電極26を蒸着法で作製し、図1に示すような太陽電池10を作製した。
[実施例2]
最上層のMo層以外の層に変えて、厚さ900nmのMo−Ni合金層を用いて裏面電極14を形成した以外は、実施例1と全く同様にして、図1に示すような太陽電池10を作製した。
Mo−Ni合金層の形成は、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
なお、この裏面電極14も、Mo−Ni合金層の途中500〜700nmの領域は、Naを添加したターゲットを用いて、アルカリ金属供給層とした。
また、得られた裏面電極14の熱膨張係数は、9.5×10-6/℃であった。
[比較例1]
裏面電極14を、厚さ1μmのMo層とした以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような太陽電池を作製した。この裏面電極14の熱膨張係数は、5.2×10-6/℃であった。
裏面電極14となるMo層の成膜は、スパッタリングによって行なった。また、途中の500〜700nmの領域は、Naを添加したターゲットを用いて成膜を行い、この領域をアルカリ金属供給層とした。
このようにして作製した、実施例1および2、ならびに、比較例1の各太陽電池に、AM(Air Mass)1.5、100mW/cm2の疑似太陽を照射して、変換効率を測定した。
その結果、裏面電極14がMoのみの比較例1の太陽電池では、変換効率が11%(平均値)であったのに対して、Mo/Ni多層電極構造の裏面電極14を有する実施例1の太陽電池では、13%(同前)の変換効率が、Mo/Mo−Ni合金の多層電極構造の裏面電極14を有する実施例2の太陽電池では、12%(同前)の変換効率が、それぞれ、得られた。
これらの結果から、Mo/Ni(Mo−Ni合金)の多層の裏面電極を有する本発明のフレキシブルな太陽電池では、光電変換層の微小クラックや剥離などが低減し、高い変換効率を有することがわかった。
[実施例3]
SUS430の表面を、両面共、Alで被覆し、16℃の0.5Mシュウ酸水溶液中で、直流電源を用いて、電圧40Vの陽極酸化条件において、陽極酸化皮膜をAlの表面に形成した。さらに、水洗、乾燥を行い、SUS430/Al/陽極酸化層を有する基板12とした。
この基板12の表面に、Mo層とNi層とを交互に形成し、5層構成の裏面電極14を形成した。なお、Mo層は厚さ100nmの2層と、厚さ200nmの1層との合計3層とし、Ni層は、2層で、共に厚さは100nmとした。最上層は、200nmのMo層とした。従って、この裏面電極14の厚さは、600nmである。
この裏面電極14の熱膨張係数は、9.2×10-6/℃であった。
Ni層の形成は、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
Mo層の形成も、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
なお、下部の4層(400nm)は、Naを添加したターゲットを用いて、アルカリ金属供給層とした。
この裏面電極14上に、太陽電池を多源蒸着法により、CIGSからなる光電変換層18を形成した。成膜は、各蒸発源からの蒸着レートを制御して、最高基板温度550℃で行った。作製したCIGS膜の膜厚は約2μmであった。
次にバッファ層20として、CdS薄膜を90nm程度溶液成長法で堆積し、その上に、透明電極24として、ZnO:Al膜をRFスパッタ法で厚さ0.6μmで形成した。最後に上部電極として、Al電極26を蒸着法で作製し、図1に示すような太陽電池10を作製した。
[実施例4]
裏面電極14の下方400nmを、Mo−Ni合金層とした以外(図2(b)参照)は、実施例3と全く同様にして、図1に示すような太陽電池10を作製した。すなわち、この太陽電池の裏面電極は、400nmのMo−Ni合金層と、その上の200nmのMo層とを有する2層構成である。
この裏面電極14の熱膨張係数は、9.5×10-6/℃であった。
Mo−Ni合金層の形成は、スパッタリングによって行なった。成膜条件は、アルゴン圧力0.7MPa、放電電力250Wとした。
また、下方400nmのNi−Mo合金層は、Naを添加したターゲットを用いて、アルカリ金属供給層とした。
[比較例2]
裏面電極14を、厚さ600nmのMo層とした以外は、実施例3と同様にして、図1に示すような太陽電池を作製した。この裏面電極14の熱膨張係数は、5.2×10-6/℃であった。
裏面電極14となるMo層の成膜は、スパッタリングによって行なった。また、下方400nmの領域は、Naを添加したターゲットを用いて成膜を行い、この領域をアルカリ金属供給層とした。
このようにして作製した、実施例3および4、ならびに、比較例2の太陽電池に、AM1.5、100mW/cm2の疑似太陽を照射して、太陽電池特性を測定した。
その結果、裏面電極14がMoのみの比較例2の太陽電池では、変換効率が13%(平均値)であったのに対して、Mo/Ni多層電極構造の裏面電極14を有する実施例3の太陽電池では、15%(同前)変換効率が、Mo/Mo−Ni合金の2層電極構造の裏面電極14を有する実施例4の太陽電池では、14%(同前)変換効率が、それぞれ、得られた。
これらの結果から、Mo/Ni(Mo−Ni合金)の多層の裏面電極を有する本発明の太陽電池では、光電変換層の微小クラックや剥離などが低減し、本発明のフレキシブルな太陽電池は高い変換効率を有することがわかった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
本発明は、発電装置等の太陽電池を利用する分野に、各種、利用可能である。
10 太陽電池
12 基板
14,34 裏面電極
14M,32 Mo層
14N Ni層
18 光電変換層
20 バッファ層
24 透明電極
28 Al電極
30 Mo−Ni合金層

Claims (10)

  1. フレキシブル基板と、
    前記フレキシブル基板の上に形成された裏面電極と、
    前記裏面電極の上に形成された、前記フレキシブル基板と略同一の熱膨張係数を有する光電変換層とを有し、
    前記裏面電極が、1層以上のMo層と、1層以上のMoよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層とを積層してなる、最上層がMo層である多層構造を有し、かつ、熱膨張係数が前記光電変換層と略同一であり、さらに、前記Moよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層が、Niからなる層、Coからなる層、および、MoとMoよりも熱膨張係数が大きい金属材料との合金からなる層の1以上であることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記光電変換層が、Ib族元素、IIIb族元素、および、VIb族元素からなる化合物半導体層である請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記最上層のMo層の厚さが20〜200nmである請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記裏面電極が、前記Moよりも熱膨張係数が大きい材料からなる層として、前記MoとMoよりも熱膨張係数が大きい金属材料との合金からなる層を有するものであり、かつ、前記Moとの合金を形成する金属材料が、NiおよびCoの1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池。
  5. 前記フレキシブル基板が導電性を有し、かつ、前記フレキシブル基板と裏面電極との間に、熱膨張係数が前記光電変換層と略同一の絶縁層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池。
  6. 前記フレキシブル基板が導電性の金属基板であり、前記絶縁層が前記金属基板の陽極酸化によって形成されたものである請求項5に記載の太陽電池。
  7. 前記フレキシブル基板と光電変換層との間に、1層以上のアルカリ金属供給層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池。
  8. 前記アルカリ金属供給層が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択された1種以上の物質をドープされた、前記裏面電極を形成する層の1層以上である請求項7に記載の太陽電池。
  9. 前記アルカリ金属供給層が、前記フレキシブル基板と裏面電極の最上層との間に形成される、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選択された1種以上の物質を含む化合物からなる層である請求項7に記載の太陽電池。
  10. 前記裏面電極の最上層が、Moと不可避的不純物とからなる層である請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池。
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