JP5511176B2 - 鉄道車両 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両に関し、特に、空調装置から供給する調和空気により居住室の空調を行う場合に、居住室内の乗客の快適性の向上を図ることができる鉄道車両に関するものである。
従来の鉄道車両における居住室の空調は、空気の流れを媒介させて熱を伝えるものであり、空調装置によって温度や湿度が調整された調和空気を生成し、その生成された調和空気を、例えば、居住室内の天井部に開口した吹出口から下方へ向けて吹き出す、或いは、床に開口した吹出口から上方へ向けて吹き出すように構成されていた(特許文献1,2)。
特開2008−049984号公報(例えば、第2図など) 特開2005−225266号公報(例えば、第5図など)
しかしながら、上述した従来の技術では、吹出口から吹き出された調和空気が乗客に直接当たり、ドラフト感を与えるため、乗客の快適性が損なわれるという問題点があった。特に、上述した従来の技術のように、空気の流れ(対流)のみを媒体とする構成では、調整すべき温度(居住室内の目標温度)よりも十分に冷たい又は暖かい調和空気を居住室内へ吹き出す必要があるため、調和空気が乗客へ直接当たると、その部分が冷えたりほてったりして、乗客の快適性が損なわれる要因になる。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、空調装置から供給する調和空気により居住室の空調を行う場合に、居住室内の乗客の快適性の向上を図ることができる鉄道車両を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の鉄道車両は、調和空気を供給する空調装置を備えるものであり、居住室の内壁を形成し金属材で構成される内装パネルと、その内装パネルの外側に配設され前記居住室の水密を保つ水密パネルと、その水密パネルの内面に配設され断熱機能を有する断熱材と、前記内装パネルと水密パネルとの間に形成された空間内に配設されると共に前記空調装置から調和空気が供給される筒状のダクト部材と、を備え、前記ダクト部材は、前記空間内で前記内装パネルの裏面に沿って延設されると共に前記空調装置から供給された調和空気を前記居住室内へ案内する供給ダクトと、その供給ダクトに開口すると共に前記供給ダクトから供給された調和空気を前記空間へ漏出させる漏出口と、を備え、前記漏出口から漏出し前記空間を流通する調和空気により前記内装パネルの温度が調整され、前記内装パネルは、前記漏出口から漏出し前記空間を流通した調和空気を前記居住室へ吹き出す第1吹出口と、その第1吹出口から吹き出された調和空気を前記居住室の外へ排出する排出口とを備え、前記第1吹出口の開口は、前記漏出口から漏出された調和空気により温度が調整される前記内装パネルの表面に沿う方向を臨む向きに構成され、前記第1吹出口から吹き出した調和空気を前記内装パネルの表面に沿って流通させることで前記内装パネルの表面の温度と前記内装パネルの裏面の温度との均一化を図っている
請求項2記載の鉄道車両は、請求項1記載の鉄道車両において、前記居住室を区画する区画壁を備え、前記区画壁は、前記区画された居住室の一方の居住室に面する第1区画パネルと、前記区画された居住室の他方に面する第2区画パネルとを備え、前記第1区画パネルと第2区画パネルとが所定間隔を隔てて対向して配設されると共に、前記漏出口から漏出された調和空気が前記第1区画パネルと第2区画パネルとの対向面間を流通するように構成されている。
請求項3記載の鉄道車両は、請求項1又は2に記載の鉄道車両において、前記内装パネルの表面から突設され上面が荷台面となる荷棚を備え、前記荷棚は、その荷棚の内部に形成され前記空間またはダクト部材に連通されると共に前記空間または前記ダクト部材から供給された調和空気が流通するように構成される連通通路と、その前記連通通路を流通した調和空気を前記居住室へ吹き出す第2吹出口とを備え、その第2吹出口から前記居住室へ吹き出される調和空気が前記荷棚の下面に当たるように、前記第2吹出口の開口が構成されている。
請求項4記載の鉄道車両は、請求項3記載の鉄道車両において、前記荷棚の荷台面となる上面側に配設され断熱機能を有する断熱材を備えている。
請求項記載の鉄道車両は、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両において、前記第1吹出口または前記第2吹出口に配設されると共に金属製の多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を備えている。
請求項記載の鉄道車両は、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両において、前記空間内に配設される板状のリブ部材を備え、そのリブ部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と平行に配設されている。
請求項記載の鉄道車両は、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両において、前記空間内に配設される板状の仕切り部材を備え、その仕切り部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と直交する向きに配設されている。
請求項1記載の鉄道車両によれば、居住室の内壁を形成する内装パネルと、その内装パネルの外側に配設される水密パネルとを備え、それら内装パネルと水密パネルとの間に空間を形成すると共に、水密パネルの内面に断熱材を配設する構成であるので、これら内装パネルと水密パネルとの間の空間に調和空気を流通させることで、調和空気が内装パネルの裏面(空間側の面)に沿って流通し、かかる内装パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、内装パネルの裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室側の面)側の熱が移動されることで、内装パネルの表面の温度が低下される。これにより、居住室が内装パネルの冷たい面で取り囲まれるので、乗客の皮膚の熱は、放射により内装パネルの表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、内装パネルの裏面が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室側の面)側へ熱が移動されることで、内装パネルの表面の温度が上昇される。これにより、居住室が内装パネルの暖かい面で取り囲まれるので、内装パネルの表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本発明の鉄道車両によれば、放射による空調を行うことができ、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
さらに、内装パネルと水密パネルとの間の空間を流通した調和空気を居住室へ吹き出す第1吹出口と、その第1吹出口から吹き出された調和空気を居住室の外へ排出する排出口とを備えているので、調和空気の対流を利用して、居住室内の空気の換気を行えると共に、熱交換効率の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明の鉄道車両によれば、空間内に配設されると共に空調装置から供給された調和空気を居住室内へ案内する供給ダクトと、その供給ダクトに開口すると共に供給ダクトから供給された調和空気を、内装パネルと水密パネルとの間の空間へ漏出させる漏出口をダクト部材が備える構成であるので、内装パネルと水密パネルとの間の空間(内装パネルとダクト部材との間の空間)を、漏出口から漏出された調和空気により、空調空間とすることができる。その結果、かかる空調空間によって、内装パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができ、上述した放射による空調(冷房または暖房)効果を得ることができるという効果がある。
ここで、内装パネルと水密パネルとの間の空間にダクト部材を配設する場合には、空間内の温度とダクト部材の表面との温度差が大きくなるため、ダクト部材の表面に結露が発生するという問題点があった。従来技術では、この結露を解消するために、ダクト部材の表面に断熱材を配設することが必要であり、材料コスト・作業コストが嵩むという問題点があった。
これに対し、本発明の鉄道車両によれば、空間へダクト部材内の調和空気を漏出させる漏出口を備える構成であるので、空間とダクト部材の表面との間の温度差を小さくして、ダクト部材の表面への結露の発生を抑制することができる。その結果、ダクト部材の表面に断熱材を配設することを不要として、材料コスト・作業コストの削減を図ることができ、その分、鉄道車両全体としての製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
また、従来技術では、内装パネルと水密パネルとの間の空間に結露水が発生すると、この結露水を除去することが困難であるという問題点があった。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、例えば、長期の運転休止後に空調装置の運転を再開した直後など、一時的に結露水が発生した場合であっても、かかる結露水を、空間内へ漏出された調和空気により速やかに乾燥させることができるという効果がある。
ここで、乗客が感じる温熱感覚には、気温の寄与以外に、上述したように、放射の寄与がある。鉄道車両の居住室の空調を行う手段として、本発明の鉄道車両のように、対流により空調を行う手段(以下、「対流手段」と称す。)と、放射により空調を行う手段(以下、「放射手段」と称す。)との両者を併用する方法を本願方法とし、対流手段のみ使用する方法を従来方法とすると、居住室内の乗客が同じ涼しさ又は暖かさを感じるためには、従来方法では、本願方法よりも、居住室内の目標温度とその居住室へ供給する調和空気の温度との温度差を、より大きな温度差に設定しなければならない。
例えば、冷房の場合、本願方法では、鉄道車両の車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱を、内装パネルの裏面(即ち、内装パネルと水密パネルとの間の空間)を流通する調和空気(冷風)により除去することができる。その結果、対流手段は、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱の分を負担する必要がない。これに対し、従来方法では、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱の冷却も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、本願方法における調和空気の温度よりも低い温度とする必要がある。
同様に、暖房の場合には、本願方法では、居住室内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両の車外へ逃げる熱を、内装パネルの裏面(即ち、内装パネルと水密パネルとの間の空間)を流通する調和空気(温風)により除去することができる。その結果、対流手段は、居住室内から伝導によって各パネルを透過して車外へ逃げる熱の分を負担する必要がない。これに対し、従来方法では、居住室内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両の車外へ逃げる熱の分の暖房も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、本願方法における調和空気の温度よりも高い温度とする必要がある。
また、冷房の場合、本願方法における居住室内の発熱部位は、乗客と窓を通じて日光が当たる部位であるので、これらの部位を対流手段により冷却すれば足りるところ、従来方法における居住室内の発熱部位は、乗客と窓を通じて日光が当たる部位に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位をそれぞれ対流手段により冷却するためには、強い対流を発生させる必要がある。
一方、暖房の場合、本願方法において、居住室内から鉄道車両の車外へ熱が逃げる部位は、上述した空間を形成できない窓の部分であるのに対し、従来方法において、居住室内から鉄道車両の車外へ熱が逃げる部位は、窓の部分に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位から逃げる熱の分を暖房するためには、強い対流を発生させる必要がある。
以上より、従来方法では、強い対流を発生させる(対流の風速や風量を大きくする)必要があり、また、その対流の温度と目標温度との温度差が大きい(冷たい又は暖かい)ため、乗客にドラフト感による不快感を与えやすい。これに対し、本願方法(本発明の鉄道車両)によれば、従来方法と比較して、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができるので、乗客に与えるドラフト感を抑制することができる。同時に、本願方法によれば、対流の温度と目標温度との温度差を小さくできるので、仮に対流が乗客に直接当たったとしても、その部分が冷えたりほてったりすることを抑制することができる。その結果、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、本願方法(本発明の鉄道車両)によれば、上述したように、対流手段の寄与を小さくして、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができる。その結果、ダクト部材の断面積を小さくすることができるので、材料コストの削減と軽量化とを図ることができるという効果がある。また、送風のための出力を抑えることができるので、送風により発生する居住室内の騒音を低減することができ、その分、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明の鉄道車両によれば、第1吹出口の開口は、漏出口から漏出された調和空気により温度が調整される内装パネルの表面に沿う方向を臨む向きに構成されるので、第1吹出口から吹き出された調和空気が内装パネルの表面に沿って流通することで、かかる内装パネルの表面の温度を調整して、放射による空調効果を高めることができるという効果がある。
例えば、冷房の場合、内装パネルの裏面(空間側の面)は、その内装パネルの裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで冷却されている一方、内装パネルの表面(居住室側の面)は、居住室内の空気から移動した熱と、乗客などからの放射による熱とを受けることで、裏面よりも高い温度とされている。この場合、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、内装パネルの表面を冷却することができる。その結果、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、内装パネルの裏面(空間側の面)は、その内装パネルの裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで暖められている一方、内装パネルの表面(居住室側の面)は、居住室内の空気へ熱が移動すると共に、乗客などへの熱の放射により、裏面よりも低い温度とされている。この場合、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、内装パネルの表面を暖めることができる。その結果、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、内装パネルと水密パネルとの間の空間に調和空気を流通させ、放射による冷房を行う場合、内装パネルの表面(居住室側の面)における温度が居住室内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面に結露水が発生するという問題点がある。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を内装パネルの表面から除去することができるという効果がある。
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、居住室を区画する区画壁が、その区画された居住室の一方の居住室に面する第1区画パネルと他方に面する第2区画パネルとを備え、第1区画パネルと第2区画パネルとが所定間隔を隔てて対向して配設される構成であるので、これら第1区画パネルと第2区画パネルとの対向面間に、漏出口から漏出された調和空気を流通させることで、調和空気が第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面(互いに対向する側の面)に沿って流通し、これら第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室側の面)側の熱が移動されることで、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の温度が低下される。これにより、居住室内に第1区画パネル及び第2区画パネルの冷たい面が面するので、乗客の皮膚の熱は、放射により第1区画パネル又は第2区画パネルの表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室側の面)側へ熱が移動されることで、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の温度が上昇される。これにより、居住室に第1区画パネル及び第2区画パネルの暖かい面が面するので、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本発明の鉄道車両によれば、冷房の場合には居住室を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には居住室を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネルの面積に加え、区画壁の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができるという効果がある。
これにより、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
請求項3記載の鉄道車両によれば、請求項1又は2に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、内装パネルの表面から突設される荷棚を備えると共に、その荷棚は、空間またはダクト部材に連通される連通通路を内部に備える構成であるので、空間またはダクト部材から供給された調和空気を連通通路に流通させることで、荷棚の表面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
よって、冷房の場合には居住室を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には居住室を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネルの面積に加え、荷棚の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができるという効果がある。
特に、荷棚は、乗客が着座する座席および窓に対面して位置する部材であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓を通しての太陽からの放射熱を荷棚によって効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓を通して居住室内から車外へ逃げようとする熱を荷棚によって効率良く暖めることができる。即ち、乗客や窓を通しての放射熱を相殺する空調効果を確実に発揮させることができるという効果がある。
このように、本発明の鉄道車両によれば、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
また、空間またはダクト部材から供給された調和空気を居住室へ吹き出す第2吹出口を連通通路が備え、第2吹出口から居住室へ吹き出される調和空気が荷棚の下面に当たるように、第2吹出口の開口が構成されているので、第2吹出口から吹き出された調和空気が荷棚の下面に沿って流通することで、かかる荷棚の下面の温度を調整して、放射による空調効果を高めることができるという効果がある。
例えば、冷房の場合、荷棚の下面は、居住室内の空気から移動した熱と、乗客や窓を通しての太陽からの放射による熱とを受けて、調和空気よりも温度が高くなっている。この場合、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることで、かかる下面を冷却して、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、荷棚の下面は、居住室内の空気へ熱が移動すると共に、窓を通して車外へ熱が奪われるため、調和空気よりも温度が低くなっている。この場合、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることで、かかる下面を暖めて、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、荷棚の内部に形成された連通通路に調和空気を流通させ、放射による冷房を行う場合、荷棚の下面における温度が居住室内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面に結露水が発生するという問題点がある。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を荷棚の下面から除去することができるという効果がある。
請求項4記載の鉄道車両によれば、請求項3に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、断熱機能を有する断熱材を、荷棚の荷台面となる上面側に配設する構成であるので、荷棚の連通通路に調和空気を流通させて、放射による空調効果を得る場合であっても、断熱材によって荷台面側の断熱性を増すことで、荷台面に載置した荷物が、冷房時に冷やされて結露することや暖房時に暖められることを回避することができるという効果がある。
また、このように、荷棚の上面側に断熱材を配設して荷台面側の断熱性を増すことで、荷棚の下面側において、放射による空調効果を積極的に高めることができる。即ち、荷棚の下面側は、乗客が着座する座席および窓に対面する側であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓を通しての太陽からの放射熱を効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓を通して居住室内から車外へ逃げようとする熱を効率良く暖めることができるので、乗客や窓を通しての放射熱を相殺する空調効果をより一層確実に発揮させることができるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1吹出口または第2吹出口に配設されると共に金属製の多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を備える構成であるので、空調効率が損なわれることを抑制しつつ、車外から居住室内への騒音の遮音性を高めることができるという効果がある。
即ち、第1吹出口または第2吹出口が居住室に開口されていると、これら第1吹出口または第2吹出口が車外や空調装置から伝わる騒音の居住室内への侵入経路となるところ、多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を配設することで、その吸音作用により騒音を吸音して、居住室への騒音の侵入を抑制することができる。この場合、吸音部材は多孔質体または繊維体から構成されているので、第1吹出口または第2吹出口から吹き出す調和空気の流通が遮られることを回避することができると共に、かかる吸音部材が伝熱性の優れる金属製であるので、内装パネル、第1区画パネル又は第2区画パネルの温度を調整する(冷やす又は暖める)作用を得ることができ、その結果、空調効率が損なわれることを抑制することができる。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、空間内に配設される板状のリブ部材を内装パネルに接続する構成であるので、かかるリブ部材がフィンの役割を発揮することで、空間内(内層パネルの裏面)を流通する調和空気と内装パネルとの熱交換作用を高めることができるという効果がある。この場合、リブ部材は、空間を流通する調和空気の流通方向と平行に配設されているので、調和空気をスムーズに流通させて、風切り音の発生を抑制することができるという効果がある。また、調和空気をスムーズに流通させることができるので、送風抵抗の増加による送風手段(空調装置の一部)の大型化を抑制することができるという効果がある。
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、空間内に配設される板状のリブ部材を内装パネルに接続する構成であるので、かかるリブ部材がフィンの役割を発揮することで、空間内(内層パネルの裏面)を流通する調和空気と内装パネルとの熱交換作用を高めることができるという効果がある。この場合、リブ部材は、空間を流通する調和空気の流通方向と直交する向きに配設されているので、調和空気の流通を妨げて、かかる調和空気を空間内でムラ無く循環させることができる。その結果、内装パネルの裏面の全域を調和空気の温度へ近づけることができるので、内装パネルを利用した放射による空調効果を効率的に発揮することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、鉄道車両100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における鉄道車両100の断面図である。
鉄道車両100は、乗客を輸送する輸送機械であり、図1に示すように、レールの上を転動する車輪が軸支される台車Rと、その台車Rに支持され乗客が収容される構体として構成される車体Bとを備えている。車体Bは、居住室E1と、空調装置1と、内装パネル2と、水密パネル3と、断熱材4と、ダクト部材5と、区画壁6,7とを備えている。
居住室E1は、図1に示すように、車体B内に形成される内部空間であり、天井面、側面および床面が後述する内装パネル2によって取り囲まれている。また、居住室E1には、後述する区画壁6,7が配設され、その内部空間が、客室E12と、乗降ドアが設置され乗降時の踊り場として使用されるデッキE13と、身支度を整えるために使用される洗面トイレ室E14とに区画されている。
なお、客室E12は、図1に示すように、乗客が着席するための複数の座席E2と、後述する内装パネル2(側面パネル22)から突出され手荷物が載置される荷棚E3と、その荷棚E3の下側(図1下側)であって座席E2の横側(図1紙面奥側)に位置し、内装パネル2(側面パネル22)に形成された開口部に配設される複数の窓E4とを備えている。
空調装置1は、後述するダクト部材5を介して居住室E1へ調和空気を供給すると共に(図2参照)居住室E1から調和空気を回収するための装置であり、図1に示すように、居住室E1の下方(一対の台車Rの間)に配設されている。
なお、空調装置1は、車体Bに対して台車Rと同じ側(図1下側)に配設されているので、その空調装置1の騒音は、台車Rの騒音と同じ車体Bの下側から発生される。そのため、車体Bの下側を遮音する1の遮音材によって、台車Rからの騒音と、空調装置1からの騒音とを遮音することができる。即ち、遮音材を共用することができる。
よって、空調装置1を台車Rと異なる場所(例えば、車体Bの屋根側)に取り付ける場合と比較して、遮音材の配設個所を少なくすることができるので、その分、後述する断熱材4を配設することができる。従って、車体Bの形状を変更する(大型化させる)ことなく、且つ、居住室E1の容積を減らすことなく、鉄道車両100の断熱性能を確保することができる。
なお、本発明のように、内装パネル2の内部に空間Sを形成して調和空気を流通させる構成では、その空間Sおよびその空間S内に配設される断熱材の分、居住室E1の容積が減少するため、上述のように、遮音材の配設箇所を少なくできることが特に有効となる。
内装パネル2は、図1に示すように、居住室E1の内壁を形成する部材であり、金属材料(例えば、アルミニウム、マグネシウムなど)から構成されている。このように、内装パネル2を金属材料から構成することで、熱伝導を良好とすることができるので、空間Sを流通する調和空気の熱を居住室E1へ効率的伝えることができる。但し、内装パネル2を例えば樹脂材料から構成しても良い。なお、内装パネル2の表側(居住室E1側)の面には、塗料による塗装または化粧シールの貼付がなされている。
内装パネル2は、窓E4の外周部分に配設される部位が、窓E4の外周部分以外の部位より熱伝導率の高い金属材料から構成されており、高い熱の吸収、発散性を有する。よって、窓E4を通過して車外から侵入する熱や居住室E1から逃げる熱に対し、内装パネル2の放射による冷房または暖房の効果を効果的に発揮することができる。
ここで、内装パネル2は、荷棚E3の上方に配設され居住室E1の天井面を形成する天井パネル21と、その天井パネル21に対向して配設され居住室E1の床面を形成する床面パネル23と、これら天井パネル21及び床面パネル23を互いに連結すると共に座席E2の両側、前方および後方に配設される4面の側面パネル22とを備えている。なお、内装パネル2の詳細構成は、図2を参照して後述する。
水密パネル3は、図1に示すように、車体Bの外壁を構成する部材であり、内装パネル2の外側であって内装パネル2全体を囲うように配設されている。なお、水密パネル3と内装パネル2とは、所定間隔を隔てた状態で対向して配設されている。また、水密パネル3は、降雨に対して水密を保つ構造とされており、これにより、居住室E1の水密が保たれている。
断熱材4は、断熱機能を有する材料から構成される部材であり、図1に示すように、水密パネル3の内側(内装パネル2側)の全面に密着した状態で配設されている。
断熱材4は、その厚みが、上述した水密パネル3と内装パネル2との間の対向間隔よりも薄くされているので、断絶材4と内装パネル2との間には、所定の空間が形成されており、この空間が空間Sとされている。なお、空間Sには、後述するダクト部材5が配設されており、ダクト部材5と断熱材4及び内装パネル2との間には、調和空気が循環するのに十分な隙間が形成されている。
このように、本実施形態の鉄道車両100によれば、水密パネル3の内側(内装パネル2側)の面に断熱材が配設されるので、居住室E1の断熱効果(即ち、内壁パネル2及び水密パネル3を介して居住室E1と車外との間で行われる熱の移動を抑制する効果)を確保することができる。また、水密パネル3が車外の冷気により冷やされた状態で空間S内を暖かい調和空気が流通する場合でも、断熱材4により温度差を緩和して、水密パネル3の内側(断熱材の表面)に結露が生じることを防止することができる。
ダクト部材5は、空調装置1から供給された調和空気を居住室E1、空間S及び区画壁6,7の内部に送出すると共に、居住室E1内の調和空気を空調装置1へ送出するための部材であり、調和空気が流通可能な内部空間を有する筒状に構成されている。なお、ダクト部材5の詳細構成は、図2を参照して後述する。
区画壁6,7は、居住室E1を客室E12、デッキE13及び洗面トイレ室E14の3室に区画するための部材である。即ち、図1に示すように、居住室E1は、一(図1右側)の側面パネル22と区画壁6との間に客室E12が、区画壁6と区画壁7との間にデッキE13が、区画壁7と他(図1左側)の側面パネル22との間に洗面トイレ室E14が、それぞれ形成されている。
また、区画壁6は、図1に示すように、客室E12に面する客室区画パネル6aと、デッキE13に面するデッキ区画パネル6bと備えており、これら客室区画パネル6aとデッキ区画パネル6bとが所定間隔を隔てて対向して配設されている。同様に、区画壁7は、図1に示すように、デッキE13に面するデッキ区画パネル7aと、洗面トイレ室E14に面する洗面区画パネル7bと備えており、これらデッキ区画パネル7aとデッキ区画パネル7bとが所定間隔を隔てて対向して配設されている。
なお、客室区画パネル6aとデッキ区画パネル6bとの間に形成される空間、及び、デッキ区画パネル7aと洗面区画パネル7bとの間に形成される空間は、内装パネル2と水密パネル3との間に形成される空間Sにそれぞれ連通されている。
このように、本実施の形態における鉄道車両100によれば、居住室E1の内壁を形成する内装パネル2と、その内装パネル2の外側に配設される水密パネル3とを備え、それら内装パネル2と水密パネル3との間に空間Sを形成すると共に、水密パネル3の内面に断熱材4を配設する構成であるので、これら内装パネル2と水密パネル3との間の空間Sに調和空気を流通させることで、調和空気が内装パネル2の裏面(空間S側の面)に沿って流通し、かかる内装パネル2の裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、内装パネル2の裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室E1側の面)側の熱が移動されることで、内装パネル2の表面の温度が低下される。これにより、居住室E1が内装パネル2の冷たい面で取り囲まれるので、乗客の皮膚の熱は、放射により内装パネル2の表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、内装パネル2の裏面(空間S側の面)が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室E1側の面)側へ熱が移動されることで、内装パネル2の表面の温度が上昇される。これにより、居住室E1が内装パネル2の暖かい面で取り囲まれるので、内装パネル2の表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本実施の形態における鉄道車両100によれば、放射による空調を行うことができ、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室E1内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態における鉄道車両100によれば、図1に示すように、居住室E1を区画する区画壁6,7が、その区画された客室E12に面する客室区画パネル6aとデッキE13に面するデッキ区画パネル6bとを備え、客室区画パネル6aとデッキ区画パネル6bとが所定間隔を隔てて対向して配設される構成であるので、これら客室区画パネル6aとデッキ区画パネル6bとの対向面間(空間)に調和空気を流通させることで、調和空気が客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの裏面(互いに対向する側の面)に沿って流通し、これら客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室E1側の面)側の熱が移動されることで、客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの表面の温度が低下される。これにより、居住室E1内に客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの冷たい面が面するので、乗客の皮膚の熱は、放射により客室区画パネル6a又はデッキ区画パネル6bの表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、客室区画パネル6a又はデッキ区画パネル6bの裏面が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室E1側の面)側へ熱が移動されることで、客室区画パネル6a又はデッキ区画パネル6bの表面の温度が上昇される。これにより、居住室E1に客室区画パネル6a又はデッキ区画パネル6bの暖かい面が面するので、客室区画パネル6a又はデッキ区画パネル6bの表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本実施の形態における鉄道車両100によれば、冷房の場合には居住室E1を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には居住室E1を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネル2の面積に加え、区画壁6の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができる。
これにより、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室E1内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、客室E12及びデッキE13において、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
また、同様に、本実施の形態における鉄道車両100によれば、区画壁7が、デッキE13に面するデッキ区画パネル7aと洗面トイレ室E14に面する洗面区画パネル7bとを備え、デッキ区画パネル7aと洗面区画パネル7bとが所定間隔を隔てて対向して配設される構成であるので、これらデッキ区画パネル7aと洗面区画パネル7bとの対向面間に調和空気を流通させることで、客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bの場合と同様に、放射による空調の効果を高めることができる。これにより、デッキE13及び洗面トイレ室E14において、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
次いで、図2を参照して、内装パネル2及びダクト部材5の詳細構成について説明する。図2は、図1のII−II線における鉄道車両100の断面図である。なお、図1は、図2のI−I線における鉄道車両100の断面図に対応する。
上述したように、ダクト部材5は、調和空気が流通する筒状の部材であり、図2に示すように、空調装置1から供給された調和空気を客室E12へ案内(送出)するための供給ダクト51と、客室E12の調和空気を空調装置1へ回収するための回収ダクト52とを備えている。
供給ダクト51は、図2に示すように、一端側(図2下側)が水密パネル3及び断熱材4を貫通しつつ空調装置1に接続され、その接続部から、空間S内を、床面パネル23、側面パネル22及び天井21の裏面に沿って延設されることで、他端側(図2上側)が天井パネル21の幅方向(図2左右方向)略中央に達している。この供給ダクト51は、天井漏出口53と、側面漏出口54と、天井供給口55と、荷棚供給口56とを主に備えている。
天井漏出口53は、空調装置1から供給され供給ダクト51を流通されてきた調和空気を、天井パネル21の裏面側の空間Sに供給するための開口であり、供給ダクト51の他端に形成されている。天井漏出口53は、その開口が、天井パネル21の裏面(水密パネル3側、図2上側面)であって、その天井パネル21の幅方向(鉄道車両100の左右方向、図2左右方向)略中央部(即ち、座席E2間の通路に対応する天井部分)を臨む向きに構成されている。
側面漏出口54は、図2に示すように、空調装置1から供給され供給ダクト51を流通されてきた調和空気を、側面パネル22の裏面側の空間Sに供給するための開口であり、供給ダクト51の中途に開口形成されている。側面漏出口54は、その開口が、側面パネル22の裏面(水密パネル3側、図2右側面または左側面)であって、その側面パネル22の高さ方向(図2上下方向)最下部(本実施の形態では、床面パネル23の表面よりも上方であって、座席E2の着座面よりも下方)を臨む向きに構成されている。
なお、本実施の形態の鉄道車両100では、後述するように、天井漏出口53及び側面漏出口54から空間Sに調和空気を流通(漏出)させることで、内装パネル2(天井パネル21、側面パネル22及び床面パネル23)の温度を調整して、放射による客室E12の空調(冷房または暖房)を行う。
天井供給口55は、図2に示すように、空調装置1から供給され供給ダクト51を流通されてきた調和空気を、客室E12に供給(送出)するための開口であり、供給ダクト51の中途から分岐して形成されると共に、その分岐先端は、後述する天井パネル21の天井吹出口21aに接続されている。
なお、天井供給口55は、客室E12内に突き出した部分が、天井パネル21の表面(図2下側面)に沿って延設されている。よって、天井吹出口21aは、その開口が、天井パネル21の表面に沿う方向(図2左右方向)を臨む向きに構成されるので、天井吹出口21aから吹き出した調和空気は、天井パネル21の表面に沿って流通される。
荷棚供給口56は、図2に示すように、空調装置1から供給され供給ダクト51を流通されてきた調和空気を、天井供給口55と同様に、客室E12に供給(送出)するための開口であり、後述する連通通路E33に接続されている(図3参照)。
なお、本実施の形態の鉄道車両100は、後述するように、天井供給口55及び側面供給口56から客室E12に調和空気を流通(送出)することで、対流による客室E12の空調(冷房または暖房)を行うと共に、内装パネル2(天井パネル21、側面パネル22及び床面パネル23)の温度を調整して、放射による客室E12の空調(冷房または暖房)を行う。
回収ダクト52は、図2に示すように、床面パネル23に開口される排出口57を備え、この排出口57を介して一端側(図2上側)が客室E12に連通されると共に、他端側(図2下側)が水密パネル3及び断熱材4を貫通しつつ空調装置1に接続される。客室E12内の空気は、排出口57から回収ダクト52へ流入され、回収ダクト57を流通した後、空調装置1に回収される。
内装パネル2は、上述したように、天井パネル21と、側面パネル22と、床面パネル23とを備えている。天井パネル21は、図2に示すように、上述した天井供給口55が接続される開口である天井吹出口21aを備えている。
天井吹出口21aの開口方向は、上述したように、天井パネル21の表面(客室E12側の面、図2下側面)に沿う方向(図2左右方向)に開口されている。そのため、天井供給口55から、天井吹出口21aを介して、客室E12に供給される調和空気は、天井パネル21の表面に沿って流通されるので、天井パネル21の表面の温度を効率的に調整して、放射による空調効果を高めることができる。
例えば、冷房の場合、天井パネル21の裏面(空間S側の面、図2上側面)は、その天井パネル21の裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで冷却されている一方、天井パネル21の表面(客室E12側の面、図2下側面)は、客室E12内の空気から移動した熱と、乗客などからの放射による熱とを受けることで、裏面よりも高い温度とされている。
この場合、本実施の形態における鉄道車両100によれば、上述したように、天井吹出口21aから吹き出された調和空気を天井パネル21の表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、天井パネル21の表面を冷却することができる。その結果、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、天井パネル21の裏面(空間S側の面、図2上側面)は、その天井パネル21の裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで暖められている一方、天井パネル21の表面(客室E12側の面、図2下側面)は、客室E12内の空気へ熱が移動すると共に、乗客などへの熱の放射により、裏面よりも低い温度とされている。
この場合、本実施の形態における鉄道車両100によれば、上述したように、天井吹出口21aから吹き出された調和空気を天井パネル21の表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、天井パネル21の表面を暖めることができる。その結果、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、空間Sに調和空気を流通(漏出)させ、放射による冷房を行う場合、天井パネル21の表面(客室E12側の面、図2下側面)における温度が客室E12内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面に結露水が発生するという不具合がある。
これに対し本実施の形態における鉄道車両100によれば、上述したように、天井吹出口21aから吹き出された調和空気を天井パネル21の表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を天井パネル21の表面から除去することができる。
側面パネル22は、図2に示すように、荷棚上方吹出口22aと、荷棚下方吹出口22bとを備えている。荷棚上方吹出口22aは、側面パネル22に形成され客室E12と空間Sとを連通させる通路であり、荷棚E3よりも上側(天井パネル21側、図2上側)に配設されている。
なお、荷棚上方吹出口22aは、図2に示すように、側面パネル22の表面(客室E12側の面)に沿って延設されている。よって、荷棚上方吹出口22aは、その開口が、側面パネル22の表面に沿う方向(図2上下方向)であって天井パネル21を臨む向きに構成されるので、荷棚上方吹出口22aから吹き出した調和空気は、側面パネル22の表面に沿って流通されると共に、その後、天井パネル21に到達し、天井パネル21の表面(客室E12側の面)に沿って流通される。
例えば、荷棚上方吹出口22aが下側(荷棚E3側)に開口されている場合には、調和空気の流れが荷棚E3によって遮られるので、側面パネル22の表面(客室E12側の面)の温度を効率良く調整することが困難であるという不具合がある。
これに対し本実施の形態では、荷棚上方吹出口22aの開口が、上述したように、天井パネル21側(図2上側)を臨む方向に開口されているので、荷棚上方吹出口22aから客室E12に供給された調和空気は、側面パネル22の表面(客室E12側の面)に沿って天井パネル21に向かって流通される。
そのため、側面パネル22の表面の温度を効率的に調整して、放射による空調効果を高めることができる。また、荷棚上方吹出口22aから吹き出された調和空気は、上述したように、側面パネル22の表面に沿って流れた後、天井パネル21の表面を流通するので、天井パネル21の表面の温度も調整することができ、その分、放射による空調効果を高めることができる。
荷棚下方吹出口22bは、図2に示すように、側面パネル22に形成され客室E12と空間Sとを連通させる通路であり、荷棚E3よりも下側(床面パネル23側、図2下側)に配設されている。
なお、荷棚下方吹出口22bは、図2に示すように、側面パネル22の表面(客室E12側の面)に沿って延設されている。よって、荷棚下方吹出口22bは、その開口が、側面パネル22の表面に沿う方向(図2上下方向)であって床面パネル23を臨む向きに構成されるので、荷棚下方吹出口22bから吹き出した調和空気は、側面パネル22の表面に沿って流通されると共に、その後、床面パネル23に到達し、床面パネル23の表面(客室E12側の面)に沿って流通される。
よって、荷棚下方吹出口22bから客室E12に供給された調和空気は、上述した荷棚上方吹出口22aの場合と同様に、荷棚E3によって遮られることなく、側面パネル22の表面(客室E12側の面)に沿って床面パネル23に向かって流通される。
そのため、側面パネル22の表面の温度を効率的に調整して、放射による空調効果を高めることができる。また、荷棚下方吹出口22bから吹き出された調和空気は、上述したように、側面パネル22の表面に沿って流れた後、床面パネル23の表面を流通するので、床面パネル23の表面の温度も調整することができ、その分、放射による空調効果を高めることができる。
床面パネル23は、図2に示すように、床面吹出口23aと、排出口23bとを備える。床面吹出口23a及び排出口23bは、床面パネル23に形成され開口であり、床面吹出口23aは、客室E12と空間Sとを連通させる一方、排出口23bは、上述した排出口57に接続されており、客室E12と回収ダクト52とを連通させる。
よって、図2に示すように、供給ダクト51の天井漏出口53又は側面漏出口54から調和空気が空間Sに供給(漏出)されると、その調和空気の一部は、空間Sを流通した後、床面吹出口23aから客室E12内へ供給(送出)される。一方、客室E12内の空気は、排出口23bから、排出口57を介して、回収ダクト52へ流入され、回収ダクト57を流通した後、空調装置1に回収される。
ここで、天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a及び荷棚下方吹出口22bには、金属製の多孔質体または繊維体(スチールウールなど)から構成される吸音部材9が挿入されており、空調効率が損なわれることを抑制しつつ、車外から客室E12内への騒音の遮音性を高めるように構成されている。
即ち、天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a及び荷棚下方吹出口22bが客室E12に開口されていると、これ天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a及び荷棚下方吹出口22bが車外や空調装置1から伝わる騒音の居客室E12内への侵入経路となるところ、かかる侵入経路中に多孔質体または繊維体から構成される吸音部材9を配設することで、その吸音部材9の吸音作用により騒音を吸音して、客室E12への騒音の侵入を抑制することができる。
この場合、吸音部材9は多孔質体または繊維体から構成されているので、天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a及び荷棚下方吹出口22bから吹き出す調和空気の流通が遮られることを回避することができると共に、かかる吸音部材9が伝熱性の優れる金属製であるので、内装パネル2及び区画壁6,7の表面の温度を調整する(冷やす又は暖める)作用を得ることができ、その結果、空調効率が損なわれることを抑制することができる。
特に、後述する第2吹出口E34及び荷棚下方吹出口22bの開口面積が吸音部材9により遮蔽される面積割合は、荷棚上方吹出口22aの開口面積が吸音部材9により遮蔽される面積割合より小さく設定されている。よって、座席E2に着座した乗客へ届く騒音を低減しつつ、空調効率を確保することができる。
なお、本実施の形態における鉄道車両100によれば、上述したように、空間S又はダクト部材5を流通した調和空気を客室E12へ吹き出す天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a、荷棚下方吹出口22b及び床面吹出口23aと、客室E12内へ吹き出された調和空気を客室E12の外へ排出する排出口23bとを備えているので、調和空気の対流を利用して、客室E12内の空気の換気を行えると共に、熱交換効率の向上を図ることができる。
また、本実施の形態における鉄道車両100によれば、空調装置1から供給された調和空気を、空間Sへ漏出させる天井漏出口53及び側面漏出口54をダクト部材5が備える構成であるので、空間S(内装パネル2とダクト部材5との間の空間)を、天井漏出口53及び側面漏出口54から漏出された調和空気により、空調空間とすることができる。
その結果、かかる空調空間によって、内装パネル2の裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができるので、その裏面の温度が内装パネル2の表面(客室E12側)へ伝わることで、上述した放射による空調(冷房または暖房)効果を得ることができる。
ここで、空間Sにダクト部材5を配設する場合には、空間S内の温度とダクト部材5の表面との温度差が大きくなるため、ダクト部材5の表面に結露が発生するという問題点があった。従来技術では、この結露を解消するために、ダクト部材5の表面に断熱材を配設することが必要であり、材料コスト・作業コストが嵩むという不具合があった。
これに対し、本実施の形態における鉄道車両100によれば、空間Sへダクト部材5内の調和空気を漏出させる天井漏出口53及び側面漏出口54を備える構成であるので、空間Sとダクト部材5の表面との間の温度差を小さくして、ダクト部材5の表面への結露の発生を抑制することができる。
その結果、ダクト部材5の表面に断熱材を配設することを不要として、材料コスト・作業コストの削減を図ることができ、その分、鉄道車両100全体としての製品コストの削減を図ることができる。
また、従来技術では、空間Sに結露水が発生すると、この結露水を除去することが困難であるという不具合があった。これに対し、本実施の形態における鉄道車両100によれば、例えば、長期の運転休止後に空調装置の運転を再開した直後など、一時的に結露水が発生した場合であっても、かかる結露水を、空間S内へ漏出された調和空気により速やかに乾燥させることができる。
ここで、乗客が感じる温熱感覚には、気温の寄与以外に、上述したように、放射の寄与がある。鉄道車両100の居住室E12の空調を行う手段として、本実施の形態における鉄道車両100のように、対流により空調を行う手段(以下、「対流手段」と称す。)と、放射により空調を行う手段(以下、「放射手段」と称す。)との両者を併用する方法を第1実施方法とし、対流手段のみ使用する方法を従来方法とすると、居住室内の乗客が同じ涼しさ又は暖かさを感じるためには、従来方法では、第1実施方法よりも、居住室内の目標温度とその居住室へ供給する調和空気の温度との温度差を、より大きな温度差に設定しなければならない。
例えば、冷房の場合、第1実施方法では、鉄道車両100の車外から伝導によって各パネルを透過して居住室E12内へ侵入する熱を、内装パネル2の裏面(即ち、内装パネル2と水密パネル3との間の空間S)を流通する調和空気(冷風)により除去することができる。
その結果、対流手段は、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱の分を負担する必要がない。これに対し、従来方法では、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室E12内へ侵入する熱の冷却も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、第1実施方法における調和空気の温度よりも低い温度とする必要がある。
同様に、暖房の場合には、第1実施方法では、居住室E12内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両100の車外へ逃げる熱を、内装パネル2の裏面(即ち、内装パネルと2水密パネル3との間の空間S)を流通する調和空気(温風)により除去することができる。その結果、対流手段は、居住室E12内から伝導によって各パネルを透過して車外へ逃げる熱の分を負担する必要がない。
これに対し、従来方法では、居住室内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両100の車外へ逃げる熱の分の暖房も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、第1実施方法における調和空気の温度よりも高い温度とする必要がある。
また、冷房の場合、第1実施方法における客室E12内の発熱部位は、乗客と窓E4を通じて日光が当たる部位であるので、これらの部位を対流手段により冷却すれば足りるところ、従来方法における居住室内の発熱部位は、乗客と窓E4を通じて日光が当たる部位に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位をそれぞれ対流手段により冷却するためには、強い対流を発生させる必要がある。
一方、暖房の場合、第1実施方法において、居住室E12内から鉄道車両100の車外へ熱が逃げる部位は、上述した空間Sを形成できない窓E4の部分であるのに対し、従来方法において、居住室内から鉄道車両の車外へ熱が逃げる部位は、窓E4の部分に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位から逃げる熱の分を暖房するためには、強い対流を発生させる必要がある。
以上より、従来方法では、強い対流を発生させる(対流の風速や風量を大きくする)必要があり、また、その対流の温度と目標温度との温度差が大きい(冷たい又は暖かい)ため、乗客にドラフト感による不快感を与えやすい。
これに対し、第1実施方法(本実施の形態における鉄道車両100)によれば、従来方法と比較して、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができるので、乗客に与えるドラフト感を抑制することができる。同時に、第1実施方法によれば、対流の温度と目標温度との温度差を小さくできるので、仮に対流が乗客に直接当たったとしても、その部分が冷えたりほてったりすることを抑制することができる。その結果、乗客の快適性の向上を図ることができる。
更に、第1実施方法(本実施の形態における鉄道車両100)によれば、上述したように、対流手段の寄与を小さくして、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができる。その結果、ダクト部材5の断面積を小さくすることができるので、材料コストの削減と軽量化とを図ることができる。また、送風のための出力を抑えることができるので、送風により発生する居住室内の騒音を低減することができ、その分、乗客の快適性の向上を図ることができる。
次いで、図3を参照して、荷棚E3の詳細構成について説明する。図3は、図2の一部を拡大して示した鉄道車両100の拡大断面図である。荷棚E3は、その上面(図3上側面)に荷物などが載置される部位であり、図3に示すように、座席E2より天井パネル21側となる位置において、側面パネル22から突出された中空板状の部材として構成されている。この荷棚E3は、荷台面E31と、荷台下面E32と、中空部S1と、連通通路E33と、第2吹出口E34とを備えている。
荷台面E31は、荷物が載置される部位であり、図3に示すように、荷棚E3の上面を構成すると共に、断熱機能を有する断熱材から構成されている。荷台下面E32は、荷台面E31と対向して配設される部位であり、荷棚E3の下面を構成すると共に、金属材料から構成されている。また、荷台下面E32は、第2吹出口E34から離間するに従って天井パネル21側(図3上側)へ向けて徐々に近接する形状(座席E2へ向けて凸の円弧状)に構成されている。
中空部S1は、図3に示すように、調和空気の流通経路を形成するための空間であり、荷棚E3の内部に形成される空間として、荷台面E31と荷台下面E32と側面パネル22とにより区画されている。
連通通路E33は、図3に示すように、空調装置1から供給され供給ダクト51を流通されてきた調和空気を、中空部S1へ供給(送出)するための通路であり、供給ダクト51の中途から分岐され、側面パネル22を貫通して中空部S1内に挿入されている。中空部S1内に挿入された部位(連結通路E33)は、中空部S1内を、荷台面E31と荷台下面E32との連結部(図3右側)へ向けて直線状に延設されている。
なお、連通通路E33は、図3に示すように、荷台面E31の裏面側(図3下側面)に沿って配設され、荷台下面E32の裏面側(図3上側面)との間に所定の間隔を隔てて配設されている。
また、連通通路E33の延設方向(図3右側)先端の開口は、荷台下面E32を臨む向きに構成されている。そのため、連通通路E33の開口から吹き出した調和空気は、荷台下面E32の裏面に沿って流通され、その後、側面パネル22に到達し、後述する第2吹出口E34へ向けて流通される。なお、連通通路E33の延設方向先端の開口が、請求項3記載の第2吹出口に該当する。
第2吹出口E34は、図3に示すように、側面パネル22に形成され中空部S1と客室E12との間を連通させる通路であり、荷台下面E32の表面(客室E12側の面、図3下側面)に沿って延設されている。よって、第2吹出口E34は、その開口が、荷台下面E32の表面に沿う方向(図3左右方向)を臨む向きに構成されるので、第2吹出口E34から吹き出した調和空気は、荷台下面E34の表面に沿って流通される。
なお、第2吹出口E34は、側面パネル22(窓E4)の正面視において、上述した天井吹出口21a、荷棚上方吹出口22a及び荷棚下方吹出口22bを結ぶ仮想直線(図1のII−II線)上に配設されている(図1参照)。また、これら各吹出口21a,22a,22bは、仮想直線が窓E4と窓E4との隣接間に位置するように配設されている(図1参照)。これにより、座席E2に着座する乗客に調和空気が直接当たることを抑制することができる。
上述したように、本実施の形態の鉄道車両100によれば、荷台面E31は、荷棚供給口56を介して調和空気が供給される連通通路E33を備え、その連通通路E33から中空部S1内に調和空気を流通させることができるので、荷台下面E32の裏面(中空部S1側の面)における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。その結果、荷台下面E32の表面(客室E12側の面)における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
よって、冷房の場合には客室E12を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には客室E12を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネル2の面積に加え、荷台下面E32の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができる。
特に、荷台下面E32は、乗客が着座する座席E2および窓E4に対面して位置する部材であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓E4を通しての太陽からの放射熱を荷台下面E32によって効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓E4を通して客室E12内から車外へ逃げようとする熱を荷台下面E32によって効率良く暖めることができる。即ち、乗客や窓E4を通しての放射熱を相殺する空調効果を確実に発揮させることができる。
このように、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、客室E12内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
また、上述したように、荷棚E3の荷台面となる荷台面E31が断熱機能を有する断熱材から構成されるので、荷棚E3の連通通路E33に調和空気を流通させて、放射による空調効果を得る場合であっても、断熱材によって荷台面E31側の断熱性を増すことで、荷台面E31に載置した荷物が、冷房時に冷やされて結露することや暖房時に暖められることを回避することができる。
また、このように、荷台面E31を断熱材にて構成して荷台面E31側の断熱性を増すことで、その分、荷棚E3の下面側(座席E2側、図3下側)において、放射による空調効果を積極的に高めることができる。即ち、荷棚E3の下面側は、乗客が着座する座席E2および窓E4に対面する側であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓E4を通しての太陽からの放射熱を効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓E4を通して客室E12内から車外へ逃げようとする熱を効率良く暖めることができるので、乗客や窓E4を通しての放射熱を相殺する空調効果をより一層確実に発揮させることができる。
また、本実施の形態では、上述したように、荷棚E3の中空部S1内に調和空気を供給することで、荷台下面E32の温度を裏面側から調整するだけでなく、第2吹出口E34から供給される調和空気を荷台下面E32の表面に沿って流通させることができるので、荷台下面E32の表面の温度の調整を効率的に行うことができる。
即ち、例えば、冷房の場合、荷台下面E32は、客室E12内の空気から移動した熱と、乗客や窓E4を通しての太陽からの放射による熱とを受けて、調和空気よりも温度が高くなっている。この場合、上述したように、第2吹出口E34から吹き出された調和空気を荷台下面E32に沿って流通させることで、かかる荷台下面E32を、裏面側(中空部S1側)からのみ冷却する場合と比較して、より効率的に冷却することができ、その分、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、荷台下面E32は、客室E12内の空気へ熱が移動すると共に、窓E4を通して車外へ熱が奪われるため、調和空気よりも温度が低くなっている。この場合も、上述したように、荷台下面E32から吹き出された調和空気を荷台下面E32に沿って流通させることで、かかる荷台下面E32を効率的に暖めて、その分、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、荷棚E3の内部に形成された連通通路E33に調和空気を流通させ、放射による冷房を行う場合、荷台下面E32における温度が客室E12内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面(客室E12側の面)に結露水が発生するという不具合がある。
これに対し、本実施の形態における鉄道車両100によれば、上述したように、第2吹出口E34から吹き出された調和空気を荷台下面E32の表面(客室E12側の面)に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を荷棚E3の下面(荷台下面E32)から除去することができる。
また、本実施の形態における鉄道車両100によれば、荷台下面E32は、上述したように、第2吹出口E34から離間するに従って天井パネル21側(図3上側)へ向けて徐々に近接する形状(座席E2へ向けて凸の円弧状)に構成されている。よって、第2吹出口E34から調和空気が客室E12へ供給されると、その調和空気は、荷台下面E32に沿って流通することで、天井パネル21側へ向けて流通される。
即ち、調和空気が座席E2側あるいは座席E2間の通路側へ流通されないので、客室E12内の温度と温度差の大きな調和空気(即ち、第2吹出口E34から吹き出された調和空気)が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
また、上述したように、荷台下面E32の形状が座席E2へ向けて凸の円弧状に構成されているので、荷台下面E32を平坦に構成した場合と比較して、放射による熱の移動を広範囲に行うことができる。例えば、荷台下面E32を床面パネル23と平行な平坦面として構成した場合には、その平坦面に対面する座席E2に対しての熱の移動が主に行われる。
これに対し、荷台下面E32の形状を座席E2へ向けて凸の円弧状に構成することで、荷台下面E32を、座席E2のみでなく、座席E2間の通路に対しても対面させることができるので、上述の平坦面とした場合と比較して、より広範囲に放射による熱の移動を行うことができる。その結果、座席E2近傍のみが温度調整されて客室E12内に温度分布のムラが発生することを抑制して、客室E12全体の温度調整をより均一に行うことができる。
次いで、図4を参照して、居住室E1を区画する区画壁6の構成について説明する。図4は、図1のIV−IV線における鉄道車両100の断面図である。なお、図4では、調和空気の流通方向が矢印を用いて模式的に図示されている。
ここで、図1は、図4のI−I線における鉄道車両100の断面図に対応する。但し、図1では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、リブ部材10の図示が省略されている。
区画壁6は、上述したように、客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bを備えており、これら客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bが所定間隔を隔てつつ対向して配設されている(図1参照)。客室区画パネル6aは、客室E12に面するパネルであり、図4に示すように、リブ部材10を備えている。
リブ部材10は、区画壁6内を流通する調和空気と区画壁6との熱交換作用を高めるためにフィンの役割を果たす板状の部材であり、図4に示すように、客室区画パネル6aの裏面側(図4紙面手前側)から立設されている。リブ部材10は、縦リブ部材11と、横リブ部材12とを備える。
縦リブ部材11は、図4に示す、天井パネル21と床面パネル23とを結ぶ方向(図4上下方向)に沿って延設される板状の部材であり、互いに平行を保ちつつ複数が等間隔で並設されている。また、横リブ部材12は、一対の側面パネル22を結ぶ方向(即ち、縦リブ部材11と直交する方向、図4左右方向)に沿って延設される板状の部材であり、縦リブ部材11と天井パネル21との間、及び、縦リブ部材11と床面パネル12との間において、互いに平行を保ちつつ複数が等間隔で並設されている。
なお、縦リブ部材11及び横リブ部材12は、客室区画パネル6aの裏面からの立設高さ(図4紙面垂直方向寸法)がそれぞれ同じ高さに設定されている。また、その立設高さは、縦リブ部材11及び横リブ部材12の立設先端とデッキ区画パネル6b(図1参照)の裏面との間に、調和空気が流通されるのに十分な隙間が形成される高さに設定されている。
よって、図4に示すように、天井パネル21側から調和空気が供給されると、その調和空気は、横リブ部材12によって流通が妨げられることで、横方向(図4左右方向)に拡散されつつ、各横リブ部材12を乗り越えて、縦リブ部材11へ向けて流下される。そして、各縦リブ部材11によって案内されつつ流下した後、再度、横リブ部材12によって横方向に拡散されつつ、床面パネル23へ向けて流下される。
これにより、区画壁6の内部空間に供給された調和空気を、その内部空間の全体にムラ無く循環させることができる。その結果、区画壁6の温度を全域にわたって調和空気の温度へ近づけることができるので、客室区画パネル6a及びデッキ区画パネル6bを利用した放射による空調効果を効率的に発揮することができる。
この場合、縦リブ部材11は、天井パネル21と床面パネル23とを結ぶ方向(図4上下方向)に沿って延設されることで、その延設方向が、天井パネル21側から床面パネル23側へ流通する調和空気の流通方向と平行とされているので、調和空気をスムーズに流通させて、風切り音の発生を抑制することができる。また、調和空気をスムーズに流通させることができるので、送風抵抗の増加による送風手段(空調装置1の一部)の大型化を抑制することができる。
なお、本実施の形態における鉄道車両100では、区画壁7も、区画壁6と同様に、リブ部材10(縦リブ部材11及び横リブ部材12)を備えている(図示せず)。この区画壁7におけるリブ部材10は、上述した区画壁6と同様に構成されているので、その説明は省略する。
また、図4に示すように、側面パネル22の裏面側(空間S側)にも、リブ部材10(縦リブ部材11及び横リブ部材12)が配設されている。この側面パネル22に接続される横リブ部材12は、縦リブ部材11よりも上側(天井パネル21側)の横リブ部材11が、荷棚下方吹出口22b(図3参照)より上側(天井パネル21側)で且つ荷棚上方吹出口22a(図3参照)よりも下側(床面パネル23側)に接続されている。
ここで、側面パネル22の調和空気の流通について、図3に戻って説明する。図3に示すように、天井漏出口53から空間Sに漏出した調和空気は、天井パネル21の裏面(空間S側の面)に沿って流通し、側面パネル22の裏面側において、空間Sを流下する。そして、この流下した調和空気は、横リブ部材12に当たり流通が遮られることによって、流通方向が変更され、荷棚上方吹出口22aへ向けて流通される。
また、図3に示すように、側面漏出口54から空間Sに漏出した調和空気の内、側面パネル22の裏面(空間S側の面)に沿って上昇する調和空気は、横リブ部材12に当たり流通が遮られることによって、流通方向が変更され、荷棚下方吹出口22bへ向けて流通される。
この場合、側面漏出口54に対面する位置およびその近傍には、横リブ部材12(縦リブ部材11よりも床面パネル23側に位置する横リブ部材12)が配設されているので(図4参照)、側面漏出口54から空間Sに漏出され、側面パネル22の裏面(空間S側の面)に沿って上昇する調和空気を、かかる横リブ部材12によって、上述したように、横方向に拡散させることができる。
よって、側面漏出口54から荷棚下方吹出口22bへ向けて流通(上昇)する調和空気を、空間Sの全体にムラ無く循環させることができる。その結果、側面パネル22の温度をその全域にわたって調和空気の温度へ近づけることができるので、側面パネル22を利用した放射による空調効果を効率的に発揮することができる。
なお、側面パネル22は、図3に示すように、側面漏出口54から荷棚下方吹出口22bまでの領域(即ち、荷棚E3よりも床面パネル23側の領域)は、座席E2に対面する領域であるので、この領域を全域にわたってムラ無く調和空気の温度に近づけることは、乗客に対する空調効果として、特に有効となる。
次いで、図5(a)を参照して、第2実施の形態について説明する。図5(a)は、第2実施の形態における鉄道車両200の部分拡大断面図であり、図3に対応する。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施の形態では、荷棚供給口56に連通通路E33を接続することで、荷棚供給口56を介してダクト部材5から供給された調和空気を客室E12へ流通される場合を説明したが、第2実施の形態では、空間Sに連通通路E233の一端側を接続して、空間Sから供給された調和空気が客室E12に流通されるように構成されている。
よって、連通通路E233には、ダクト部材205から漏出され、空間Sを循環した後の調和空気、即ち、側面パネル22などとの間で熱の移動が行われ客室E12の空気の温度に近づいた調和空気が流通される。そのため、連通通路E233から送出された調和空気が客室E12に流通され、乗客に直接当たった場合であっても、乗客が冷えたりほてったりすることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
なお、連通通路E233の延設方向先端(空間Sと反対側、図5(a)右側)の開口が、請求項3記載の第2吹出口に該当する。
次いで、図5(b)を参照して、第3実施の形態について説明する。図5(b)は、第3実施の形態における鉄道車両300の部分拡大断面図であり、図3に対応する。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施の形態では、荷棚E3の内部空間である中空部S1と客室E12とを第2吹出口E34を介して接続することで、荷棚供給口56から中空部S1に供給された調和空気が第2吹出口E34から客室E12へ流通される場合を説明したが、第3実施の形態では、第2吹出口E34を省略して側面パネル222を構成すると共に中空部S1を空間Sに接続することで、荷棚供給口56から中空部S1に供給された調和空気が空間Sに流通され荷棚下方吹出口22b又は床面吹出口23aなどから客室E12へ流通されるように構成されている。
よって、中空部S1に供給された調和空気によって、荷台下面E32の温度を調和温度に近づけて、放射による空調効果を確保しつつ、荷台下面E32の下面に沿って流通される調和空気(即ち、第2吹出口E34から吹き出される調和空気(図3参照))を省略することで、吹き出された調和空気が乗客に直接当たり、ドラフト感を与えることを抑制することができる。
次いで、図5(c)を参照して、第4実施の形態について説明する。図5(c)は、第4実施の形態における鉄道車両400の部分拡大断面図であり、図3に対応する。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施の形態では、荷棚供給口56を介してダクト部材5から中空部S1に供給された調和空気が第2吹出口E34から客室E12へ流通される場合を説明したが、第4実施の形態では、空間Sに連通通路E233の一端側を接続して、空間Sから供給された調和空気が中空部S1に流通されると共に、第2吹出口E34を省略して側面パネル222を構成することで、中空部S1に供給された調和空気を空間Sに流通させるように構成されている。
よって、上述した第3実施の形態の場合と同様に、客室E12へ吹き出された調和空気が乗客に直接当たることを抑制して、乗客のドラフト感を抑制することができる。
更に、中空部S1には、ダクト部材205から漏出され、空間Sを循環した後の調和空気、即ち、側面パネル22などとの間で熱の移動が行われ客室E12の空気の温度に近づいた調和空気が流通されるので、荷台下面E32と客室E12の空気との温度差を小さくすることができる。その結果、荷台下面E32の下面に結露が発生することを抑制することができる。
このように、第4実施の形態における鉄道車両400では、第2吹出口E34(図3参照)を省略することで、乗客にドラフト感を与えることを抑制する。しかし、この場合には、荷台下面E32の下面に発生した結露を除去することができない。そこで、空間Sを循環した後の調和空気を中空部S1に流通させることで、荷台下面E32の下面に結露が発生することを抑制することができる。
次いで、図6を参照して、第5実施の形態について説明する。図6は、第5実施の形態における鉄道車両500の部分拡大断面図であり、図1の一部を部分的に拡大して示した図に対応する。なお、上述した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施の形態では、荷棚下方吹出口22b及び第2吹出口E34が窓E4と窓E4との隣接間に位置する場合を説明したが(図1参照)、第5実施の形態では、荷棚下方吹出口522b及び第2吹出口E534が窓E4の上側(天井パネル21側)に配設されている。
荷棚下方吹出口522b及び第2吹出口E534は、図6に示すように、窓E4の上側(天井パネル21側)であって、鉄道車両500の上下方向(図6上下方向)において、窓E4全体に対して重なり合う幅寸法(図6左右方向寸法)を有して構成されている。
よって、荷棚下方吹出口522bから送出される調和空気を、窓E4の表面全体に沿って流通させることができ、その分、窓E4を通しての放射熱を相殺する空調効果を発揮させることができる。同様に、荷棚下方吹出口522bから送出された調和空気により荷台下面E32全体を温度調整して、窓E4を通しての放射熱を相殺する空調効果を効率的に発揮させることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、断熱材4が水密パネル3の内側(内装パネル2側)の全面に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、水密パネル3の内側の一部への配設を省略しても良い。
上記各実施の形態では、説明を省略したが、内装パネル2の表面にエンボス加工を施しても良い。これにより、表面積の増大を図り、放熱性(放熱効率)を向上させることができる。
上記各実施の形態では、空調装置1から送出される調和空気の少なくとも一部を客室E12へ供給する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、客室E12へ供給しない構成としても良い。即ち、空調装置1から送出される調和空気を空間Sに供給し、その空間Sに供給された調和空気を、客室E12へ供給することなく、空調装置1へ戻すか、鉄道車両100の外部へ排出するようにしても良い。
上記各実施の形態では、ダクト部材5から空間Sに漏出された調和空気を客室E12へ流通させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、空調装置1に戻すか、鉄道車両100の外部に排出するように構成しても良い。
上記各実施の形態では、空調装置1を車体Bの下側に配設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、空調装置1を車体Bの上側に配設することは当然可能である。
上記各実施の形態では、縦リブ部材11の立設高さと横リブ部材12の立設高さとが同じ高さに構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、異なる高さとすることは当然可能である。この場合、縦リブ部材11の立設高さを、横リブ部材12の立設高さよりも高くする(横リブ部材12の立設高さを、縦リブ部材11の立設高さよりも低くする)ことが好ましい。これにより、横リブ部材12による調和空気の拡散効果(調和空気の流通を妨げて、横方向へ拡散させることで、ムラ無く循環させる効果)を確保すると共に風切り音の発生や送風抵抗の増大を抑制しつつ、縦リブ部材11の表面積を確保して、熱交換効率の向上を図ることができる。
<手段>
この目的を達成するために、技術的思想1の鉄道車両は、調和空気を供給する空調装置を備えるものであり、居住室の内壁を形成する内装パネルと、その内装パネルの外側に配設され前記居住室の水密を保つ水密パネルと、その水密パネルの内面に配設され断熱機能を有する断熱材と、前記内装パネルと水密パネルとの間に形成された空間内に配設されると共に前記空調装置から調和空気が供給される筒状のダクト部材と、を備え、前記ダクト部材は、前記空調装置から供給された調和空気を前記空間へ漏出させる漏出口を備えている。
技術的思想2の鉄道車両は、技術的思想1記載の鉄道車両において、前記内装パネルは、前記空間またはダクト部材を流通した調和空気を前記居住室へ吹き出す第1吹出口と、その第1吹出口から吹き出された調和空気を前記居住室の外へ排出する排出口とを備えている。
技術的思想3の鉄道車両は、技術的思想2記載の鉄道車両において、前記第1吹出口から前記居住室へ吹き出される調和空気が前記内装パネルの表面に当たるように、前記第1吹出口の開口が構成されている。
技術的思想4の鉄道車両は、技術的思想1から3のいずれかに記載の鉄道車両において、前記内装パネルの表面から突設され上面が荷台面となる荷棚を備え、前記荷棚は、その荷棚の内部に形成され前記空間またはダクト部材に連通される連通通路を備え、前記空間またはダクト部材から供給された調和空気が前記連通通路を流通するように構成されている。
技術的思想5の鉄道車両は、技術的思想4記載の鉄道車両において、前記荷棚の前記荷台面となる上面側に配設され断熱機能を有する断熱材を備えている。
技術的思想6の鉄道車両は、技術的思想5記載の鉄道車両において、前記連通通路は、前記空間またはダクト部材から供給された調和空気を前記居住室へ吹き出す第2吹出口を備え、その第2吹出口から前記居住室へ吹き出される調和空気が前記荷棚の下面に当たるように、前記第2吹出口の開口が構成されている。
技術的思想7の鉄道車両は、技術的思想1から6のいずれかに記載の鉄道車両において、前記居住室を区画する区画壁を備え、前記区画壁は、前記区画された居住室の一方の居住室に面する第1区画パネルと、前記区画された居住室の他方に面する第2区画パネルとを備え、前記第1区画パネルと第2区画パネルとが所定間隔を隔てて対向して配設されると共に、前記空調装置から供給された調和空気が前記第1区画パネルと第2区画パネルとの対向面間を流通するように構成されている。
技術的思想8の鉄道車両は、技術的思想2又は6に記載の鉄道車両において、前記第1吹出口または前記第2吹出口に配設されると共に金属製の多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を備えている。
技術的思想9の鉄道車両は、技術的思想1から8のいずれかに記載の鉄道車両において、前記空間内に配設される板状のリブ部材を備え、そのリブ部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と平行に配設されている。
技術的思想10の鉄道車両は、技術的思想1から8のいずれかに記載の鉄道車両において、前記空間内に配設される板状の仕切り部材を備え、その仕切り部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と直交する向きに配設されている。
<効果>
技術的思想1記載の鉄道車両によれば、居住室の内壁を形成する内装パネルと、その内装パネルの外側に配設される水密パネルとを備え、それら内装パネルと水密パネルとの間に空間を形成すると共に、水密パネルの内面に断熱材を配設する構成であるので、これら内装パネルと水密パネルとの間の空間に調和空気を流通させることで、調和空気が内装パネルの裏面(空間側の面)に沿って流通し、かかる内装パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、内装パネルの裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室側の面)側の熱が移動されることで、内装パネルの表面の温度が低下される。これにより、居住室が内装パネルの冷たい面で取り囲まれるので、乗客の皮膚の熱は、放射により内装パネルの表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、内装パネルの裏面が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室側の面)側へ熱が移動されることで、内装パネルの表面の温度が上昇される。これにより、居住室が内装パネルの暖かい面で取り囲まれるので、内装パネルの表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本発明の鉄道車両によれば、放射による空調を行うことができ、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明の鉄道車両によれば、空調装置から供給された調和空気を、内装パネルと水密パネルとの間の空間へ漏出させる漏出口をダクト部材が備える構成であるので、内装パネルと水密パネルとの間の空間(内装パネルとダクト部材との間の空間)を、漏出口から漏出された調和空気により、空調空間とすることができる。その結果、かかる空調空間によって、内装パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができ、上述した放射による空調(冷房または暖房)効果を得ることができるという効果がある。
ここで、内装パネルと水密パネルとの間の空間にダクト部材を配設する場合には、空間内の温度とダクト部材の表面との温度差が大きくなるため、ダクト部材の表面に結露が発生するという問題点があった。従来技術では、この結露を解消するために、ダクト部材の表面に断熱材を配設することが必要であり、材料コスト・作業コストが嵩むという問題点があった。
これに対し、本発明の鉄道車両によれば、空間へダクト部材内の調和空気を漏出させる漏出口を備える構成であるので、空間とダクト部材の表面との間の温度差を小さくして、ダクト部材の表面への結露の発生を抑制することができる。その結果、ダクト部材の表面に断熱材を配設することを不要として、材料コスト・作業コストの削減を図ることができ、その分、鉄道車両全体としての製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
また、従来技術では、内装パネルと水密パネルとの間の空間に結露水が発生すると、この結露水を除去することが困難であるという問題点があった。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、例えば、長期の運転休止後に空調装置の運転を再開した直後など、一時的に結露水が発生した場合であっても、かかる結露水を、空間内へ漏出された調和空気により速やかに乾燥させることができるという効果がある。
ここで、乗客が感じる温熱感覚には、気温の寄与以外に、上述したように、放射の寄与がある。鉄道車両の居住室の空調を行う手段として、本発明の鉄道車両のように、対流により空調を行う手段(以下、「対流手段」と称す。)と、放射により空調を行う手段(以下、「放射手段」と称す。)との両者を併用する方法を本願方法とし、対流手段のみ使用する方法を従来方法とすると、居住室内の乗客が同じ涼しさ又は暖かさを感じるためには、従来方法では、本願方法よりも、居住室内の目標温度とその居住室へ供給する調和空気の温度との温度差を、より大きな温度差に設定しなければならない。
例えば、冷房の場合、本願方法では、鉄道車両の車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱を、内装パネルの裏面(即ち、内装パネルと水密パネルとの間の空間)を流通する調和空気(冷風)により除去することができる。その結果、対流手段は、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱の分を負担する必要がない。これに対し、従来方法では、車外から伝導によって各パネルを透過して居住室内へ侵入する熱の冷却も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、本願方法における調和空気の温度よりも低い温度とする必要がある。
同様に、暖房の場合には、本願方法では、居住室内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両の車外へ逃げる熱を、内装パネルの裏面(即ち、内装パネルと水密パネルとの間の空間)を流通する調和空気(温風)により除去することができる。その結果、対流手段は、居住室内から伝導によって各パネルを透過して車外へ逃げる熱の分を負担する必要がない。これに対し、従来方法では、居住室内から伝導によって各パネルを透過して鉄道車両の車外へ逃げる熱の分の暖房も、対流手段が負担する。そのため、居住室内の目標温度が同じであれば、従来方法における調和空気を、本願方法における調和空気の温度よりも高い温度とする必要がある。
また、冷房の場合、本願方法における居住室内の発熱部位は、乗客と窓を通じて日光が当たる部位であるので、これらの部位を対流手段により冷却すれば足りるところ、従来方法における居住室内の発熱部位は、乗客と窓を通じて日光が当たる部位に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位をそれぞれ対流手段により冷却するためには、強い対流を発生させる必要がある。
一方、暖房の場合、本願方法において、居住室内から鉄道車両の車外へ熱が逃げる部位は、上述した空間を形成できない窓の部分であるのに対し、従来方法において、居住室内から鉄道車両の車外へ熱が逃げる部位は、窓の部分に加え、天井面、側壁面および床面となるため、これらの各部位から逃げる熱の分を暖房するためには、強い対流を発生させる必要がある。
以上より、従来方法では、強い対流を発生させる(対流の風速や風量を大きくする)必要があり、また、その対流の温度と目標温度との温度差が大きい(冷たい又は暖かい)ため、乗客にドラフト感による不快感を与えやすい。これに対し、本願方法(本発明の鉄道車両)によれば、従来方法と比較して、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができるので、乗客に与えるドラフト感を抑制することができる。同時に、本願方法によれば、対流の温度と目標温度との温度差を小さくできるので、仮に対流が乗客に直接当たったとしても、その部分が冷えたりほてったりすることを抑制することができる。その結果、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、本願方法(本発明の鉄道車両)によれば、上述したように、対流手段の寄与を小さくして、対流を弱く(対流の風速や風量を小さく)することができる。その結果、ダクト部材の断面積を小さくすることができるので、材料コストの削減と軽量化とを図ることができるという効果がある。また、送風のための出力を抑えることができるので、送風により発生する居住室内の騒音を低減することができ、その分、乗客の快適性の向上を図ることができるという効果がある。
技術的思想2記載の鉄道車両によれば、技術的思想1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、内装パネルと水密パネルとの間の空間またはダクト部材を流通した調和空気を居住室へ吹き出す第1吹出口と、その第1吹出口から吹き出された調和空気を居住室の外へ排出する排出口とを備えているので、調和空気の対流を利用して、居住室内の空気の換気を行えると共に、熱交換効率の向上を図ることができるという効果がある。
技術的思想3記載の鉄道車両によれば、技術的思想2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1吹出口から居住室へ吹き出される調和空気が内装パネルの表面に当たるように、第1吹出口の開口が構成されているので、第1吹出口から吹き出された調和空気が内装パネルの表面に沿って流通することで、かかる内装パネルの表面の温度を調整して、放射による空調効果を高めることができるという効果がある。
例えば、冷房の場合、内装パネルの裏面(空間側の面)は、その内装パネルの裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで冷却されている一方、内装パネルの表面(居住室側の面)は、居住室内の空気から移動した熱と、乗客などからの放射による熱とを受けることで、裏面よりも高い温度とされている。この場合、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、内装パネルの表面を冷却することができる。その結果、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、内装パネルの裏面(空間側の面)は、その内装パネルの裏面側を流通する調和空気によって、流通空気の温度とほぼ一致する温度まで暖められている一方、内装パネルの表面(居住室側の面)は、居住室内の空気へ熱が移動すると共に、乗客などへの熱の放射により、裏面よりも低い温度とされている。この場合、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気の流通によって、内装パネルの表面を暖めることができる。その結果、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、内装パネルと水密パネルとの間の空間に調和空気を流通させ、放射による冷房を行う場合、内装パネルの表面(居住室側の面)における温度が居住室内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面に結露水が発生するという問題点がある。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第1吹出口から吹き出された調和空気を内装パネルの表面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を内装パネルの表面から除去することができるという効果がある。
技術的思想4記載の鉄道車両によれば、技術的思想1から3のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、内装パネルの表面から突設される荷棚を備えると共に、その荷棚は、空間またはダクト部材に連通される連通通路を内部に備える構成であるので、空間またはダクト部材から供給された調和空気を連通通路に流通させることで、荷棚の表面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
よって、冷房の場合には居住室を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には居住室を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネルの面積に加え、荷棚の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができるという効果がある。
特に、荷棚は、乗客が着座する座席および窓に対面して位置する部材であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓を通しての太陽からの放射熱を荷棚によって効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓を通して居住室内から車外へ逃げようとする熱を荷棚によって効率良く暖めることができる。即ち、乗客や窓を通しての放射熱を相殺する空調効果を確実に発揮させることができるという効果がある。
このように、本発明の鉄道車両によれば、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
技術的思想5記載の鉄道車両によれば、技術的思想4記載の鉄道車両の奏する効果に加え、断熱機能を有する断熱材を、荷棚の荷台面となる上面側に配設する構成であるので、荷棚の連通通路に調和空気を流通させて、放射による空調効果を得る場合であっても、断熱材によって荷台面側の断熱性を増すことで、荷台面に載置した荷物が、冷房時に冷やされて結露することや暖房時に暖められることを回避することができるという効果がある。
また、このように、荷棚の上面側に断熱材を配設して荷台面側の断熱性を増すことで、荷棚の下面側において、放射による空調効果を積極的に高めることができる。即ち、荷棚の下面側は、乗客が着座する座席および窓に対面する側であるため、冷房の場合には、乗客からの放射熱や窓を通しての太陽からの放射熱を効率良く受けることができる一方、暖房の場合には、窓を通して居住室内から車外へ逃げようとする熱を効率良く暖めることができるので、乗客や窓を通しての放射熱を相殺する空調効果をより一層確実に発揮させることができるという効果がある。
技術的思想6記載の鉄道車両によれば、技術的思想5記載の鉄道車両の奏する効果に加え、空間またはダクト部材から供給された調和空気を居住室へ吹き出す第2吹出口を連通通路が備え、第2吹出口から居住室へ吹き出される調和空気が荷棚の下面に当たるように、第2吹出口の開口が構成されているので、第2吹出口から吹き出された調和空気が荷棚の下面に沿って流通することで、かかる荷棚の下面の温度を調整して、放射による空調効果を高めることができるという効果がある。
例えば、冷房の場合、荷棚の下面は、居住室内の空気から移動した熱と、乗客や窓を通しての太陽からの放射による熱とを受けて、調和空気よりも温度が高くなっている。この場合、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることで、かかる下面を冷却して、放射による冷房効果を高めることができる。
同様に、暖房の場合、荷棚の下面は、居住室内の空気へ熱が移動すると共に、窓を通して車外へ熱が奪われるため、調和空気よりも温度が低くなっている。この場合、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることで、かかる下面を暖めて、放射による暖房効果を高めることができる。
ここで、荷棚の内部に形成された連通通路に調和空気を流通させ、放射による冷房を行う場合、荷棚の下面における温度が居住室内の空気の露点温度よりも低くなると、その表面に結露水が発生するという問題点がある。これに対し、本発明の鉄道車両によれば、上述したように、第2吹出口から吹き出された調和空気を荷棚の下面に沿って流通させることができるので、かかる調和空気によって結露水を気化させて、結露水を荷棚の下面から除去することができるという効果がある。
技術的思想7記載の鉄道車両によれば、技術的思想1から6のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、居住室を区画する区画壁が、その区画された居住室の一方の居住室に面する第1区画パネルと他方に面する第2区画パネルとを備え、第1区画パネルと第2区画パネルとが所定間隔を隔てて対向して配設される構成であるので、これら第1区画パネルと第2区画パネルとの対向面間に調和空気を流通させることで、調和空気が第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面(互いに対向する側の面)に沿って流通し、これら第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面における温度を調和空気の温度へ近づけることができる。
例えば、冷房の場合には、第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面が調和空気により冷やされ、かかる裏面側へ表面(居住室側の面)側の熱が移動されることで、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の温度が低下される。これにより、居住室内に第1区画パネル及び第2区画パネルの冷たい面が面するので、乗客の皮膚の熱は、放射により第1区画パネル又は第2区画パネルの表面へ移動され、その結果、冷房の効果を得ることができる。
一方、暖房の場合には、第1区画パネル及び第2区画パネルの裏面が調和空気により暖められ、かかる裏面側から表面(居住室側の面)側へ熱が移動されることで、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の温度が上昇される。これにより、居住室に第1区画パネル及び第2区画パネルの暖かい面が面するので、第1区画パネル及び第2区画パネルの表面の熱が、放射により乗客の皮膚へ移動され、その結果、暖房の効果を得ることができる。
このように、本発明の鉄道車両によれば、冷房の場合には居住室を取り囲む冷たい面の総面積を、また、暖房の場合には居住室を取り囲む暖かい面の総面積を、内装パネルの面積に加え、区画壁の面積分だけ増やすことができるので、その分、放射による空調の効果を高めることができるという効果がある。
これにより、放射による空調を効率的に行って、その分、空気の流れ(対流)による空調の寄与を小さくすることができるので、居住室内の温度と温度差の大きな調和空気が乗客に直接当たることを抑制することができる。その結果、乗客が冷えたりほてったりすることや、乗客にドラフト感を与えることが抑制されるので、乗客の快適性の向上を図ることができる。
技術的思想8記載の鉄道車両によれば、技術的思想2又は6に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1吹出口または第2吹出口に配設されると共に金属製の多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を備える構成であるので、空調効率が損なわれることを抑制しつつ、車外から居住室内への騒音の遮音性を高めることができるという効果がある。
即ち、第1吹出口または第2吹出口が居住室に開口されていると、これら第1吹出口または第2吹出口が車外や空調装置から伝わる騒音の居住室内への侵入経路となるところ、多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を配設することで、その吸音作用により騒音を吸音して、居住室への騒音の侵入を抑制することができる。この場合、吸音部材は多孔質体または繊維体から構成されているので、第1吹出口または第2吹出口から吹き出す調和空気の流通が遮られることを回避することができると共に、かかる吸音部材が伝熱性の優れる金属製であるので、内装パネル、第1区画パネル又は第2区画パネルの温度を調整する(冷やす又は暖める)作用を得ることができ、その結果、空調効率が損なわれることを抑制することができる。
技術的思想9記載の鉄道車両によれば、技術的思想1から8のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、空間内に配設される板状のリブ部材を内装パネルに接続する構成であるので、かかるリブ部材がフィンの役割を発揮することで、空間内(内層パネルの裏面)を流通する調和空気と内装パネルとの熱交換作用を高めることができるという効果がある。この場合、リブ部材は、空間を流通する調和空気の流通方向と平行に配設されているので、調和空気をスムーズに流通させて、風切り音の発生を抑制することができるという効果がある。また、調和空気をスムーズに流通させることができるので、送風抵抗の増加による送風手段(空調装置の一部)の大型化を抑制することができるという効果がある。
技術的思想10記載の鉄道車両によれば、技術的思想1から8のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、空間内に配設される板状のリブ部材を内装パネルに接続する構成であるので、かかるリブ部材がフィンの役割を発揮することで、空間内(内層パネルの裏面)を流通する調和空気と内装パネルとの熱交換作用を高めることができるという効果がある。この場合、リブ部材は、空間を流通する調和空気の流通方向と直交する向きに配設されているので、調和空気の流通を妨げて、かかる調和空気を空間内でムラ無く循環させることができる。その結果、内装パネルの裏面の全域を調和空気の温度へ近づけることができるので、内装パネルを利用した放射による空調効果を効率的に発揮することができるという効果がある。
本発明の第1実施の形態における鉄道車両の断面図である。 図1のII−II線における鉄道車両の断面図である。 図2の一部を拡大して示した鉄道車両の拡大断面図である。 図1のIV−IV線における鉄道車両の断面図である。 (a)は、第2実施の形態における鉄道車両の部分拡大断面図であり、(b)は、第3実施の形態における鉄道車両の部分拡大断面図であり、(c)は、第4実施の形態における鉄道車両の部分拡大断面図である。 第5実施の形態における鉄道車両の部分拡大断面図である。
100,200,300,400,500 鉄道車両
1 空調装置
E1 居住室
E12 客室(居住室の一部)
E13 デッキ(居住室の一部)
E14 洗面トイレ室(居住室の一部)
2 内装パネル
21 天井パネ
21a 天井吹出
22,222 側面パネル(内装パネルの一部)
22a 荷棚上方吹出口(第1吹出口)
22b 荷棚下方吹出口(第1吹出口)
23 床面パネル(内装パネルの一部)
23a 床面吹出
23b 排出口
3 水密パネル
4 断熱材
5,205 ダクト部材
53 天井漏出口(漏出口)
54 側面漏出口(漏出口)
57 排出口
6,7 区画壁
6a 客室区画パネル(第1区画パネルまたは第2区画パネル)
6b デッキ区画パネル(第2区画パネルまたは第1区画パネル)
7a デッキ区画パネル(第1区画パネルまたは第2区画パネル)
7b 洗面区画パネル(第2区画パネルまたは第1区画パネル)
9 吸音部材
10 リブ部材
11 縦リブ部材(リブ部材の一部)
12 横リブ部材(リブ部材の一部)
E3 荷棚
E31 荷台面
E33,E233 連通通路
S 空間
S1 中空部(荷棚の内部に形成された空間)

Claims (7)

  1. 調和空気を供給する空調装置を備えた鉄道車両において、
    居住室の内壁を形成し金属材で構成される内装パネルと、
    その内装パネルの外側に配設され前記居住室の水密を保つ水密パネルと、
    その水密パネルの内面に配設され断熱機能を有する断熱材と、
    前記内装パネルと水密パネルとの間に形成された空間内に配設されると共に前記空調装置から調和空気が供給される筒状のダクト部材と、を備え、
    前記ダクト部材は、前記空間内で前記内装パネルの裏面に沿って延設されると共に前記空調装置から供給された調和空気を前記居住室内へ案内する供給ダクトと、その供給ダクトに開口すると共に前記供給ダクトから供給された調和空気を前記空間へ漏出させる漏出口と、を備え、前記漏出口から漏出し前記空間を流通する調和空気により前記内装パネルの温度が調整され、
    前記内装パネルは、前記漏出口から漏出し前記空間を流通した調和空気を前記居住室へ吹き出す第1吹出口と、その第1吹出口から吹き出された調和空気を前記居住室の外へ排出する排出口とを備え
    前記第1吹出口の開口は、前記漏出口から漏出された調和空気により温度が調整される前記内装パネルの表面に沿う方向を臨む向きに構成され、
    前記第1吹出口から吹き出した調和空気を前記内装パネルの表面に沿って流通させることで前記内装パネルの表面の温度と前記内装パネルの裏面の温度との均一化を図ることを特徴とする鉄道車両。
  2. 前記居住室を区画する区画壁を備え、
    前記区画壁は、前記区画された居住室の一方の居住室に面する第1区画パネルと、前記区画された居住室の他方に面する第2区画パネルとを備え、
    前記第1区画パネルと第2区画パネルとが所定間隔を隔てて対向して配設されると共に、前記漏出口から漏出された調和空気が前記第1区画パネルと第2区画パネルとの対向面間を流通するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
  3. 前記内装パネルの表面から突設され上面が荷台面となる荷棚を備え、
    前記荷棚は、その荷棚の内部に形成され前記空間またはダクト部材に連通されると共に前記空間または前記ダクト部材から供給された調和空気が流通するように構成される連通通路と、その連通通路を流通した調和空気を前記居住室へ吹き出す第2吹出口とを備え、
    その第2吹出口から前記居住室へ吹き出される調和空気が前記荷棚の下面に当たるように、前記第2吹出口の開口が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両。
  4. 前記荷棚の荷台面となる上面側に配設され断熱機能を有する断熱材を備えていることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両。
  5. 前記第1吹出口または前記第2吹出口に配設されると共に金属製の多孔質体または繊維体から構成される吸音部材を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鉄道車両。
  6. 前記空間内に配設される板状のリブ部材を備え、
    そのリブ部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と平行に配設されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両。
  7. 前記空間内に配設される板状の仕切り部材を備え、
    その仕切り部材は、前記内装パネルに接続されると共に、前記空間を流通する調和空気の流通方向と直交する向きに配設されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両。
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