JP5510294B2 - 回転角調整機構とそれを備えた電気機器 - Google Patents
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Description
(1)垂直角度の調整困難
車載カメラのうち特に後方撮像カメラにおいては撮像画面の一番下部に車のバンパーが位置することが望まれるが、カメラが車外にあるのに対し、カメラ映像を映しだすモニタは一般的に運転席近傍に設けられており、モニタ映像を見ながらの調整は事実上不可能である。よって調整用のモニタ及びカメラ用電源を別途カメラ近傍に設置し、それと仮接続し調整を行った後、運転席近傍のモニタに接続し直すことになるが、調整専用の設備を用意しなければならないため非常に手間がかかる。
またこれを解決するために、車種毎のカメラ取付位置を予め規定することで、最適な回転角が一義的に決まるため、角度測定治具等を用い回転角の調整を行う方法があるが、専用の治具を用意し使用する手間がかかり、その使用方法、角度の読み取り誤差などを起因とし最適な角度にならない問題がある。
カメラ本体を横からネジ止めにて角度調整する方法であるため、回転方向への固定力が弱く、長期間に渡る振動や、例えばトランクを開け閉めする際にカメラを意図せず応力を加えてしまった場合等、カメラの垂直方向にネジを中心に回転してしまい、最適な撮像範囲から逸脱してしまう問題がある。
しかし、この方法では回転角の設定を細かくしたい場合は、それだけ歯車状アタッチメントの歯数が多くせざるを得ず、これに伴い回転応力に対する耐性が弱くなってしまう欠点が残る。さらに、カメラ本体20ないしアタッチメント19が樹脂材の場合には耐性の劣化は顕著である。
前記(1)、(2)および上記の問題は車載カメラの垂直角調整に限らず、回転角調整と固定が必要な電気機器に共通して言える問題点である。
なお、固定側部材11が1部品で被調整部材12を挟みこむ形状からなるように構成したのはあくまで一例であり、2部材によって被調整側部材12を挟み込むような構成も考えられ、適宜選択、設計が可能なものである。
なお、図1においては、後述する理由により、固定側歯車嵌合溝16として16aと16bの2つを形成してあるが、これは一例であり、1つのみを形成する場合であってもよい。以降の実施例において、単に固定側歯車嵌合溝16と表現する場合には、16aと16bを包含した概念として用いるものとする。
また、図1においては、被調整側歯車嵌合溝17の一部が開口した状態で形成してあるが、これは全体としての省スペース化という本発明の目的とは異なる視点から行っているものであり、被調整側歯車嵌合溝17は、被調整側歯車15が全周にわたって完全に嵌合するように形成する場合も含まれる。
なお、図2においては、a=90°毎に歯を形成した固定側歯車14の例として正方形を採用しているが、多角形も歯車の一種であり、本発明において歯車という場合には、多角形形状とすることも含まれるものとする。ただし、1つあたりの角度が小さくなればなるほど多角形は円形に近づくため、回転応力に対して弱くなるおそれがあり、そのような場合には、凹凸によって形成した歯車を採用する方が回転応力に対して強くなるため望ましい。
具体的な例として、固定側部材11を向かって左側に置き、被調整側部材12を右側に置いて側面から観察した場合を基準として、図2に示したa=90°、b=40°で構成した歯車状アタッチメント13を用いた場合について説明する。40°刻みの被調整側歯車15を被調整側部材12の被調整側歯車嵌合溝17に対して反時計回りに2刻み分回転させて嵌め込み(この操作でカメラ本体は時計回りに80°回転)、更に固定側歯車14を固定側部材11の固定側歯車嵌合溝16に対して反時計回りに1角分(1刻み分)だけ回転させて嵌め込む(この操作でカメラ本体は反時計回りに90°回転)と、最終的に、被調整側部材12は上記操作前の状態と比較し10°だけ反時計回りに回転し固定されるということとなる。
図3は、a=90°、b=40°で構成した歯車状アタッチメント13を用いた場合において、調整角度0°〜350°を得るための最小のn1及びn2の組合せを表したものである。この図3からも分かるように、x=10°を最小単位として、10°の整数倍の調整角を得ることが可能となっている。
このような関係性を踏まえた上で、a、bの角度がある程度大きくて歯車の歯数を少なくして回転応力に強い構成とすることができ、かつ、調整する角度の最小角x°が小さいことが理想的なa、bの組合せということになる。例えば、a=45°、b=40°の場合には最小角x=5°となり、比較的歯数の少ない構成において5°単位で角度調整可能となるので、好ましい組合せといえる。
ところで、この固定側歯車嵌合溝16aと固定側歯車嵌合溝16bとでは、溝の形成角度が互いに45°異ならせてある。これにより、固定側歯車嵌合溝16aを用いた場合に得られる調整角度は10°、20°、・・・、350°であるのに対して、固定側歯車嵌合溝16bを用いた場合に得られる調整角度は5°、15°、・・・、355°となる。すなわち、a=90°、b=40°で構成した歯車状アタッチメント13の最小調整角度は10°であるが、固定側歯車嵌合溝16aと固定側歯車嵌合溝16bとの設置位置を45°ずらすことによって、10°の半分の5°単位の調整を固定側歯車嵌合溝16bに嵌め込むことで実現することが出来る(45°であることに意味はなく、結果として10°の倍数に現れない5°ずれた角度調整が可能となることに意味がある)。
これを一般化すると、歯車状アタッチメント13を構成するa°、b°の角度によって定まる最小角x°の半分の角度だけ互いに角度の相違した2つの固定側歯車嵌合溝16aと固定側歯車嵌合溝16bとを設けることによって、最小角の半分の角度x°/2を最小調整単位として角度調整が出来るようになるということである。(2つの固定側歯車嵌合溝16aと固定側歯車嵌合溝16bとにおいて、x°/2の奇数倍の角度だけ互いに角度を相違させた場合も同様である。)
上記をさらに拡張すると、角度の相違した固定側歯車嵌合溝はm個(mは正の偶数)またはn個(nは正の奇数)設けてもよい。この場合、個数m個の場合はx°/mの奇数倍、個数nの場合はx°/nの偶数倍の角度だけ互いに角度を相違させて設けることで、x°/mまたはx°/nを新たな最小調整単位として角度調整ができるようになる。
さらに具体的には、例えば、図2の歯車状アタッチメント13上の1点に何らかの目印を設けておき、かつ、固定側歯車嵌合溝16及び被調整側歯車嵌合溝17には歯車の嵌合位置に反時計回り(反対側は時計回り)に番号を付しておき、調整角度ごとに「固定側歯車嵌合溝16に対しては目印が○番の溝に位置するように嵌合し、被調整側歯車嵌合溝17に対しては目印が△番の溝に位置するように嵌合する」といった案内を記載しておくなどのマニュアルが考えられる。
具体的なマニュアルの一例としては、例えば、図5に示すものが挙げられる。固定側歯車14(内歯)の取付け位置を4通りで表し、被調整側歯車15(外歯)の取付け位置を9通りで表して、これらの組合せで0°〜350°まで10°毎の36通りの角度調整について、図5のように図で示すようなマニュアルがユーザにとって使い易いものといえる。
また、図2においては、固定側歯車14は正方形で形成しており、また、固定側歯車嵌合溝16は固定側歯車14が嵌まる溝が3連結された構成となっているため、正方形の歯車の歯数を省略することは許されないが、固定側歯車14についても正多角形ではなく歯車として形成し、固定側歯車嵌合溝16も同歯車の歯数に対応した凹部が全周にわたって形成されたものを1つだけ設ける構成である場合には、回転応力に対する耐性が条件を満たす限りにおいて、固定側歯車14の歯数は少なく構成することが可能である。
Claims (4)
- 回転軸を有する被調整側部材と、該被調整側部材の回転軸を固定するための固定側部材とからなり、該固定側部材に対する前記被調整側部材の回転角度を調整する回転角調整機構において、前記固定側部材と前記被調整側部材との間に、角度a°毎に等間隔に歯を形成した固定側歯車と角度b°毎に等間隔に歯を形成した被調整側歯車とを中心軸を同一として回転軸方向に重ね合わせて形成した歯車状アタッチメントを設け、前記固定側部材には、前記固定側歯車がa°毎に嵌合可能な固定側歯車嵌合溝を形成し、前記被調整側部材の回転軸部分には、前記被調整側歯車がb°毎に嵌合可能な被調整側歯車嵌合溝を形成したことを特徴とする回転角調整機構。
- 前記固定側歯車は360°/a°=整数となるようにa°を設定して形成し、前記調整側歯車は360°/b°=整数となるようにb°を設定して形成し、これらに対応させて、360°/a°通りに嵌合可能な前記固定側歯車嵌合溝、及び、360°/b°通りに嵌合可能な前記被調整側歯車嵌合溝を形成してなる回転角調整機構であって、a°、b°の無次元数a、bの最大公約数xを最小調整角x°として調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の回転角調整機構。
- 最小調整角をx°とした場合に、x°/m(mは正の偶数)の奇数倍、またはx°/n(nは正の奇数)の偶数倍の角度だけ互いに角度を相違させたm個またはn個の前記固定側歯車嵌合溝を前記固定側部材に設けたことを特徴とする請求項2記載の回転角調整機構。
- 請求項1乃至3の何れかに記載された回転角調整機構を備えた電気機器。
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