JP5509930B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を制御する車両制御装置に関し、特に、諸元が異なる車両間においても適応可能な車両制御装置に関する。
トラック、ダンプ等の大型車両においては、積載量により車両の総重量が大きく変化するため、運転者の要求を満たすように、車両の状態に応じて変速や制動を制御する車両制御装置が搭載されている。例えば、特許文献1では、車両の速度、走行路面の勾配及び車両の総重量がどのように変化しても、運転者の減速に対する要求を常に満たすことができるように、車速、路面勾配、車両の総重量を検出し、予め記憶された要求減速度を満たすように排気ブレーキ、自動変速機の作動モードを制御する車両用制動制御装置が開示されている。
特開2001−233196号公報
特許文献1に記載の車両用制動制御装置では、要求減速度の演算に用いる諸元(制御定数など)が異なる車両間においては、車種ごとに制御コンピュータを生産する必要があり、コストアップとなる。特に、大型車両は、積載可能重量が多様であるため、車種によってデフ比にバリエーションがあり、異なるデフ比の車両ごとに制御コンピュータを生産するとなるとコストアップとなる。
本発明の主な課題は、諸元が異なる車両間においても適応可能な車両制御装置を提供することである。
本発明の一視点においては、車両制御装置において、変速機の出力軸の回転数を検出する出力軸回転数センサからの出力軸回転数と、差動装置から車輪に回転動力を伝達する車軸の回転数に基づいて車速を検出する車速センサからの車軸回転数とを用いて、前記出力軸と前記差動装置との間のギヤ比となるデフ比を演算し、演算されたデフ比演算値に基づいて、記憶しておくデフ比を補正し、ブレーキペダルセンサからのブレーキ信号、前記出力軸回転数センサの出力軸回転数、前記変速機の変速定常状態を示すフラグ、及び、前記車速センサからの車速を時間で微分した加速度演算値が、予め設定されたデフ比の補正の許可条件を満たすか否かを判定し、前記許可条件を満たしたときに、前記デフ比演算値に基づいて前記デフ比の補正値を演算処理し、前記演算処理では、所定時間連続して取得されたデフ比演算値及び時間を積算し、前記デフ比演算値の積算値、及び、前記時間の積算値に基づいて平均化処理することで前記デフ比の平均化補正値を計算し、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正し、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正した後、演算されたデフ比演算値に基づいて、所定時間ごとに、前記車輪の半径の経時変化に伴うデフ比の経時変化を推定した経時変化補正値を演算し、前記出力軸回転数センサの出力軸回転数が所定回転数で所定時間継続し、かつ、記憶されているデフ比と前記経時変化補正値との差が所定範囲である条件を満たすか否かを判定し、前記条件を満たした場合にイグニッションスイッチがOFFになったときに、記憶しておくデフ比を前記経時変化補正値に補正することを特徴とする。
本発明の前記車両制御装置において、前記平均化補正値、及び、車両を制動制御するための制動制御信号が、予め設定されたデフ比の平均化補正値の反映条件を満たすか否かを判定し、前記反映条件を満たしたときに、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正することが好ましい。
本発明の前記車両制御装置において、前記経時変化補正値、及び、車両を制動制御するための制動制御信号が、予め設定されたデフ比の経時変化補正値の反映条件を満たすか否かを判定し、前記反映条件を満たしたときに、記憶しておくデフ比を前記経時変化補正値に補正することが好ましい。
本発明によれば、デフ比のバリエーションごとに、制御定数を適合させる必要がなく、開発コストの削減及び開発期間を短縮させることができる。また、車両制御装置の共通化により製造コストを低減させることができる。さらに、演算処理の許可条件と平均化補正処理や経時変化補正処理とによって、デフ比の精度を向上させることができる。
本発明の実施例1に係る車両制御装置を含む車両の構成を模式的に示した図である。 本発明の実施例1に係る車両制御装置におけるデフ比の平均化補正処理を模式的に示したフローチャートである。 本発明の実施例1に係る車両制御装置におけるデフ比の経時変化補正処理を模式的に示したフローチャートである。
本発明の実施形態に係る車両制御装置(図1の20)では、変速機(図1の3)の出力軸(図1の4)の回転数を検出する出力軸回転数センサ(図1の12)からの出力軸回転数と、差動装置(図1の5)から車輪(図1の8)に回転動力を伝達する車軸(図1の6又は7)の回転数に基づいて車速を検出する車速センサ(図1の11)からの車軸回転数とを用いて、前記出力軸と前記差動装置との間のギヤ比となるデフ比(図1の4aと5aとのギヤ比)を演算し、演算されたデフ比演算値に基づいて、記憶しておくデフ比を補正し、ブレーキペダルセンサからのブレーキ信号、前記出力軸回転数センサの出力軸回転数、前記変速機の変速定常状態を示すフラグ、及び、前記車速センサからの車速を時間で微分した加速度演算値が、予め設定されたデフ比の補正の許可条件を満たすか否かを判定し、前記許可条件を満たしたときに、前記デフ比演算値に基づいて前記デフ比の補正値を演算処理し、前記演算処理では、所定時間連続して取得されたデフ比演算値及び時間を積算し、前記デフ比演算値の積算値、及び、前記時間の積算値に基づいて平均化処理することで前記デフ比の平均化補正値を計算し、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正し、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正した後、演算されたデフ比演算値に基づいて、所定時間ごとに、前記車輪の半径の経時変化に伴うデフ比の経時変化を推定した経時変化補正値を演算し、前記出力軸回転数センサの出力軸回転数が所定回転数で所定時間継続し、かつ、記憶されているデフ比と前記経時変化補正値との差が所定範囲である条件を満たすか否かを判定し、前記条件を満たした場合にイグニッションスイッチがOFFになったときに、記憶しておくデフ比を前記経時変化補正値に補正する
本発明の実施例1に係る車両制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係る車両制御装置を含む車両の構成を模式的に示した図である。
図1の車両は、車両制御装置(電子制御装置20に相当)により車両に係る動力、変速、制動等を制御する機能を有する車両である。車両は、主な構成部として、エンジン1と、クランクシャフト2と、自動変速機3と、出力軸4と、差動装置5と、車軸6、7と、タイヤ8、9と、ブレーキ10と、車速センサ11と、出力軸回転数センサ12と、ブレーキペダルセンサ13と、イグニッションスイッチ14と、電子制御装置20と、を有する。なお、図1では、エンジン1を動力源とする車両としているが、これに限るものではなく、エンジン及びモータを動力源とするハイブリッド車両や、モータのみを動力源とする車両(電気自動車)としてもよい。
エンジン1は、例えば、燃料(例えば、ガソリン、軽油などの炭化水素系)の燃焼により、クランクシャフト2から回転動力を出力する内燃機関である。クランクシャフト2の回転動力は、自動変速機3に伝達される。エンジン1は、各種センサ(エンジン回転センサ等)、アクチュエータ(インジェクタ、スロットルバルブを駆動するアクチュエータ等)を有し、電子制御装置20に通信可能に接続されており、電子制御装置20によって制御される。
自動変速機3は、エンジン1のクランクシャフト2から出力された回転動力を変速して、変速された回転動力を出力軸4から出力する機構である。自動変速機3は、例えば、エンジン1のクランクシャフト2から出力された回転動力が、トルクコンバータ(図示せず)を介して遊星歯車機構(複数の遊星歯車機構が組み合わさったもの)に入力され、当該遊星歯車機構で変速されて出力軸4から出力される。自動変速機3は、遊星歯車機構における所定の回転要素間を断接可能に係合させるクラッチや、所定の回転要素の回転を止めるブレーキを有し、当該クラッチや当該ブレーキを油圧操作する油圧回路を有し、当該油圧回路においてソレノイドを有する。自動変速機3は、電子制御装置20に通信可能に接続されており、電子制御装置20によって制御される。出力軸4は、差動装置5のリングギヤ5aに対して、回転動力を減速して伝達するためのベベルギヤ4aを有する。ベベルギヤ4aは、リングギヤ5aと噛み合う。ベベルギヤ4aとリングギヤ5aとのギヤ比は、デフ比(ディファレンシャルギヤ比、最終減速比)である。
差動装置5は、出力軸4からの回転動力を車軸6、7に回転差をつけて振り分けて伝達することが可能な差動歯車である。差動装置5は、リングギヤ5aと、ケース5bと、サイドギヤ5c、5dと、ピニオンギヤ5e、5fと、を有する。リングギヤ5aは、出力軸4のベベルギヤ4aと噛み合っており、リングギヤ5aと直結している。リングギヤ5aは、出力軸4の回転動力を減速し、ケース5bとともに回転する。ケース5bは、サイドギヤ5c、5d及びピニオンギヤ5e、5fを収容し、車軸6、7を回転可能に支持する。サイドギヤ5cは、車軸6に繋がっている。サイドギヤ5dは、車軸7に繋がっている。サイドギヤ5c、5dの回転軸は、リングギヤ5aの回転軸と同一軸上に配されている。ピニオンギヤ5e、5fは、サイドギヤ5c及びサイドギヤ5dの両方と噛み合い、ケース5bに回転可能に支持されている。ピニオンギヤ5e、5fの回転軸は、サイドギヤ5c、5dの回転軸と直角となるように配されている。サイドギヤ5cの回転動力は、車軸6を介してタイヤ8(車輪)に伝達される。サイドギヤ5dの回転動力は、車軸7を介してタイヤ9(車輪)に伝達される。サイドギヤ5c、5dの回転は、車軸6、7に回転差がない限り、リングギヤ5aの回転と一致する。
ブレーキ10は、走行する車両を制動(減速、停止)する装置である。ブレーキ10には、例えば、ドラムブレーキ、ディスクブレーキ、排気ブレーキ、リターダなどを用いることができる。ブレーキ10は、電子制御装置20に通信可能に接続されており、電子制御装置20によって制御される。
車速センサ11は、車軸(図1の6又は7)の回転数を検出することにより車両の速度を検出するセンサである。
出力軸回転数センサ12は、出力軸4の回転数を検出するセンサである。
ブレーキペダルセンサ13は、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するセンサである。
イグニッションスイッチ14は、エンジン1の始動又は停止を選択するためのスイッチである。
電子制御装置20は、エンジン1、自動変速機3、ブレーキ10の動作を制御するコンピュータである。電子制御装置20は、エンジン1、自動変速機3、及びブレーキ10における各種アクチュエータ(図示せず;例えば、ソレノイド)、各種センサ11〜13、各種スイッチ14等と通信可能に接続されている。電子制御装置20は、各種センサ11〜13、スイッチ14等からの信号に応じて、所定のプログラム(データベース、マップ、定数等を含む)に基づいて制御処理を行う。電子制御装置20は、諸元が異なる車両間においても適応可能となるように、デフ比を学習補正する機能を有する。電子制御装置20は、学習補正されたデフ比を、書き換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)を用いて記憶する。電子制御装置20は、必要に応じて、学習補正されたデフ比を用いて制御処理を行う。なお、電子制御装置20におけるデフ比の学習補正に関する詳細な説明は、後述する。
次に、本発明の実施例1に係る車両制御装置の動作について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施例1に係る車両制御装置におけるデフ比の平均化補正処理を模式的に示したフローチャートである。図3は、本発明の実施例1に係る車両制御装置におけるデフ比の経時変化補正処理を模式的に示したフローチャートである。
デフ比の平均化補正処理について説明する。デフ比の平均化補正処理は、演算されたデフ比を平均化して補正する処理である。
図2を参照すると、まず、電子制御装置(図1の20)は、予め記憶された第1の演算式を用いて、出力軸回転数センサ(図1の12)で検出された出力軸回転数[No]と、車速センサ(図1の11;SP1)で検出された車速(図1の車軸6、7の回転数[Nsp1]でも可)と、に基づいて、デフ比演算値[dif_sp1]の演算を開始する(ステップA1)。なお、未補正時のデフ比の初期値は、例えば、[dif_ini]=4.575のように所定値に設定されている。
ここで、第1の演算式は、以下のようにして求められる。例えば、国産4輪車の磁石式車速センサのJIS(Japanese Industrial Standards;日本工業規格)を利用する場合、車速センサ[SP1]によって検出される車軸(図1の6、7)に係る車軸回転数[Nsp1]が車速「60km/h」で「637rpm」になるので、車速センサ[SP1]で検出される実車速は、[数式1]のようになる。
[数式1]
実車速=Nsp1×60/637
一方、出力軸回転数[No]を利用して求められる実車速は、タイヤ(図1の8、9)に係るタイヤ半径を[tire]とし、演算で求めるデフ比(デフ比演算値)を[dif_sp1]とすると、[数式2]のようになる。
[数式2]
実車速=Nsp1×60/637=No×tire/dif_sp1×2×3.14×60/1000
[数式1]と[数式2]は、等しいので、タイヤ半径を[tire]=0.301の固定値とし、[dif_sp1]について整理すると、下記[第1の演算式]が得られる。なお、車速センサの規格をJIS以外の規格を採用する場合は、当該規格に合わせて第1の演算式を設定することになる。
[第1の演算式]
dif_sp1=1.213×No/Nsp1
ステップA1の後、電子制御装置(図1の20)は、車両がデフ比の補正を実施するのに適した条件になっているか否かを判断するべく、補正の許可条件を満たすか否かを判定する(ステップA2)。許可条件を満たす場合(ステップA2のYES)、ステップA3に進む。許可条件を満たさない場合(ステップA2のNO)、ステップA2に戻る。
ここで、補正の許可条件を満たすか否かの判定は、[1]ブレーキペダルセンサ(図1の13)のブレーキ信号、[2]出力軸回転数センサ(図1の12)の出力軸回転数[No](車速情報でも可)、[3]電子制御装置(図1の20)における変速定常状態を示すフラグ、[4]車速を時間で微分した加速度演算値[dxsofx]を用いて、予め設定された下記(1)〜(4)の条件が全て成立するか否かを判定することにより行われる。
[補正の許可条件]
(1)ブレーキ信号OFF
(2)No≧2000rpm
(3)変速中以外(所定時間内にフラグの変化がないこと)
(4)-0.1≦dxsofx<0.1 (m/s2
なお、上記(1)のブレーキ信号OFFの条件では、ブレーキペダルセンサ(図1の13)の信号だけでなく、エンジンブレーキ、変速機の減速、回生ブレーキ(モータジェネレータを有する場合)等に係る制動制御信号がOFFであることを条件に加えることができる。
許可条件を満たす場合(ステップA2のYES)、電子制御装置(図1の20)は、時間[time]及びデフ比演算値[dif_sp1]の積算処理を開始する(ステップA3)。なお、デフ比演算値の積算値を「Σdif_sp1」とし、時間の積算値を「Σtime」とする。
ステップA3の後、電子制御装置(図1の20)は、ステップA3の積算処理を開始してから、予め設定された所定時間(例えば、7秒)を経過したか否かを判定する(ステップA4)。所定時間を経過した場合(ステップA4のYES)、ステップA3の積算処理を停止して、ステップA5に進む。所定時間を経過していない場合(ステップA4のNO)、ステップA3の積算処理を継続したまま、ステップA4に戻る。
所定時間を経過した場合(ステップA4のYES)、電子制御装置(図1の20)は、ステップA2の補正の許可条件における(1)〜(4)の条件の全てが、予め設定された所定時間(例えば、7秒)連続して成立していたか否かを判定する(ステップA5)。成立していた場合(ステップA5のYES)、ステップA6に進む。成立していない場合(ステップA5のNO)、ステップA9に進む。
補正の許可条件における(1)〜(4)の条件の全てが所定時間連続して成立していた場合(ステップA5のYES)、電子制御装置(図1の20)は、デフ比演算値の積算値「Σdif_sp1」、時間の積算値を「Σtime」を用いて平均化処理を行うことにより、デフ比平均化補正値[dif_quick]を計算する(ステップA6)。なお、平均化処理では、下記[数式3]を用いてデフ比平均化補正値[dif_quick]を計算する。
[数式3]
dif_quick=Σdif_sp1/Σtime
ステップA6の後、電子制御装置(図1の20)は、イレギュラーなデフ比平均化補正値を排除するべく、デフ比平均化補正値の反映条件を満たすか否かを判定する(ステップA7)。反映条件を満たす場合(ステップA7のYES)、ステップA8に進む。反映条件を満たさない場合(ステップA7のNO)、ステップA9に進む。
ここで、デフ比平均化補正値の反映条件を満たすか否かの判定は、[5]ステップA6で計算したデフ比平均化補正値[dif_quick]、[6]電子制御装置(図1の20)におけるエンジンブレーキ、変速機の減速、回生ブレーキ(モータジェネレータを有する場合)等により車両を制動制御するための制動制御信号を用いて、予め設定された下記(5)、(6)の条件が全て成立するか否かを判定することにより行われる。
[デフ比平均化補正値の反映条件]
(5)4≦dif_quick<6
(6)制動力制御中でないこと(制動制御信号が全てOFF)
反映条件を満たす場合(ステップA7のYES)、電子制御装置(図1の20)は、記憶するデフ比[dif]を、ステップA6で計算したデフ比平均化補正値[dif_quick]に変更(更新、書き換え)して記憶し(ステップA8)、その後、デフ比の平均化補正処理を終了する。
ステップA2の補正の許可条件が所定時間連続して成立していない場合(ステップA5のNO)、又は、デフ比平均化補正値の反映条件を満たさない場合(ステップA7のNO)、電子制御装置(図1の20)は、積算値をリセットし(ステップA9)、その後、ステップA1に戻る。
次に、デフ比の経時変化補正処理について説明する。デフ比の経時変化補正処理は、タイヤ(図1の8、9)の摩耗、空気圧等の変化によるタイヤ半径の経時変化を反映するために、デフ比が経時変化したものと推定して行う補正処理である。なお、タイヤ半径の経時変化の影響が微小である場合には、デフ比の経時変化補正処理を行わないようにすることもできる。デフ比の経時変化補正処理を行う場合には、以下のような処理が行われる。
図3を参照すると、まず、電子制御装置(図1の20)は、デフ比の平均化補正処理(図2参照)が完了したか否かを判定する(ステップB1)。デフ比の平均化補正処理が完了した場合(ステップB1のYES)、ステップB2に進む。デフ比の平均化補正処理が完了していない場合(ステップB1のNO)、ステップB1に戻る。
デフ比の平均化補正処理が完了した場合(ステップB1のYES)、電子制御装置(図1の20)は、デフ比経時変化補正値[dif_slow(n)]の演算を開始する(ステップB2)。ここで、デフ比経時変化補正値[dif_slow(n)]の演算は、所定時間ごとに下記[第2の演算式]を用いて行われる。
[第2の演算式]
dif_slow(n)=dif_quick(n)/100+dif_slow(n-1)×99/100
ただし、
dif_quick(n)=Σdif_sp1/Σtime
dif_slow(0)=dif(記憶値)
dif_slow(n-1):dif_slow(n)の1回前のデフ比経時変化補正値
n:n回目の演算
Σdif_sp1:デフ比演算値[dif_sp1]の積算値
Σtime:時間[time]の積算値
ステップB2の後、電子制御装置(図1の20)は、タイヤ半径が経時変化するような条件に達しているか否かを確認するべく、出力軸回転数センサ(図1の12)の出力軸回転数[No]が所定回転数(例えば、2000rpm)以上で所定時間(例えば、0.5時間)以上継続しているか否かを判定する(ステップB3)。なお、ステップB3では、ステップB2のデフ比経時変化補正値の演算を継続している。出力軸回転数[No]が所定回転数以上で所定時間以上継続している場合(ステップB3のYES)、ステップB4に進む。出力軸回転数[No]が所定回転数以上で所定時間以上継続していない場合(ステップB3のNO)、ステップB3に戻る。ただし、ステップB3のNOを繰り返している間にステップB3のYESになることなくイグニッションスイッチ(図1の14)がOFFになった場合は、デフ比経時変化補正値[dif_slow(n)]の演算を終了し、デフ比の補正を行うことなく、デフ比の経時変化補正処理を終了することになる。
出力軸回転数[No]が所定回転数以上で所定時間以上継続している場合(ステップB3のYES)、電子制御装置(図1の20)は、出力軸回転数センサ(図1の12)の出力軸回転数[No]が所定回転数(例えば、2000rpm)未満になったか否かを判定する(ステップB4)。なお、ステップB4では、ステップB2のデフ比経時変化補正値の演算を継続している。出力軸回転数[No]が所定回転数未満となった場合(ステップB4のYES)、ステップB5に進む。出力軸回転数[No]が所定回転数未満となっていない場合(ステップB4のNO)、ステップB4に戻る。
出力軸回転数[No]が所定回転数未満となった場合(ステップB4のYES)、電子制御装置(図1の20)は、ステップB2のデフ比経時変化補正値[dif_slow(n)]の演算を終了する(ステップB5)。
ステップB5の後、電子制御装置(図1の20)は、イレギュラーなタイヤ半径の経時変化による補正を排除するべく、記憶されているデフ比[dif]と、演算終了時のデフ比経時変化補正値[dif_slow(n)]との差[dif−dif_slow(n)]が所定の数値範囲(例えば−0.1以上0.1未満の範囲)にあるか否かを判定する(ステップB6)。差[dif−dif_slow(n)]が所定の数値範囲にある場合(ステップB6のYES)、ステップB7に進む。差[dif−dif_slow(n)]が所定の数値範囲にない場合(ステップB6のNO)、デフ比の補正を行うことなく、デフ比の経時変化補正処理を終了する。
差[dif−dif_slow(n)]が所定の数値範囲にある場合(ステップB6のYES)、電子制御装置(図1の20)は、イレギュラーなデフ比経時変化補正値を排除するべく、デフ比経時変化補正値の反映条件を満たすか否かを判定する(ステップB7)。反映条件を満たす場合(ステップB7のYES)、ステップB8に進む。反映条件を満たさない場合(ステップB7のNO)、デフ比の補正を行うことなく、デフ比の経時変化補正処理を終了する。
ここで、デフ比経時変化補正値の反映条件を満たすか否かの判定は、[7]ステップB5の演算終了時のデフ比経時変化補正値[dif_ slow(n)]、[8]電子制御装置(図1の20)におけるエンジンブレーキ、変速機の減速、回生ブレーキ(モータジェネレータを有する場合)等により車両を制動制御するための制動制御信号を用いて、予め設定された下記(7)、(8)の条件が全て成立するか否かを判定することにより行われる。
[デフ比経時変化補正値の反映条件]
(7)4≦dif_quick<6
(8)制動力制御中でないこと(制動制御信号が全てOFF)
反映条件を満たす場合(ステップB8のYES)、電子制御装置(図1の20)は、イグニッションスイッチ(図1の14)がOFFになったか否かを判定する(ステップB8)。イグニッションスイッチがOFFになった場合(ステップB8のYES)、ステップB9に進む。イグニッションスイッチがOFFになっていない場合(ステップB8のNO)、ステップB8に戻る。
イグニッションスイッチがOFFになった場合(ステップB8のYES)、電子制御装置(図1の20)は、記憶するデフ比[dif]を、ステップB5の演算終了時のデフ比経時変化補正値[dif_ slow(n)]に変更(更新、書き換え)して記憶し(ステップB9)、その後、デフ比の経時変化補正処理を終了する。
実施例1によれば、デフ比が異なる車両ごとに、制御定数を適合させたプログラムを作成する必要がなく、開発コストの削減及び開発期間を短縮させることができる。また、制御コンピュータの共通化により製造コストを低減させることができる。また、演算処理の許可条件と平均化処理によって、デフ比をより精度の高い値に補正することができる。さらに、デフ比の補正により、タイヤ半径の経時変化に対応した補正も可能となる。
1 エンジン
2 クランクシャフト
3 自動変速機(変速機)
4 出力軸
4a ベベルギヤ
5 差動装置
5a リングギヤ
5b ケース
5c、5d サイドギヤ
5e、5f ピニオンギヤ
6、7 車軸
8、9 タイヤ(車輪)
10 ブレーキ
11 車速センサ
12 出力軸回転数センサ
13 ブレーキペダルセンサ
14 イグニッションスイッチ
20 電子制御装置(車両制御装置)

Claims (3)

  1. 変速機の出力軸の回転数を検出する出力軸回転数センサからの出力軸回転数と、差動装置から車輪に回転動力を伝達する車軸の回転数に基づいて車速を検出する車速センサからの車軸回転数とを用いて、前記出力軸と前記差動装置との間のギヤ比となるデフ比を演算し、演算されたデフ比演算値に基づいて、記憶しておくデフ比を補正し、
    ブレーキペダルセンサからのブレーキ信号、前記出力軸回転数センサの出力軸回転数、前記変速機の変速定常状態を示すフラグ、及び、前記車速センサからの車速を時間で微分した加速度演算値が、予め設定されたデフ比の補正の許可条件を満たすか否かを判定し、前記許可条件を満たしたときに、前記デフ比演算値に基づいて前記デフ比の補正値を演算処理し、
    前記演算処理では、所定時間連続して取得されたデフ比演算値及び時間を積算し、前記デフ比演算値の積算値、及び、前記時間の積算値に基づいて平均化処理することで前記デフ比の平均化補正値を計算し、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正し、
    記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正した後、演算されたデフ比演算値に基づいて、所定時間ごとに、前記車輪の半径の経時変化に伴うデフ比の経時変化を推定した経時変化補正値を演算し、
    前記出力軸回転数センサの出力軸回転数が所定回転数で所定時間継続し、かつ、記憶されているデフ比と前記経時変化補正値との差が所定範囲である条件を満たすか否かを判定し、前記条件を満たした場合にイグニッションスイッチがOFFになったときに、記憶しておくデフ比を前記経時変化補正値に補正することを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記平均化補正値、及び、車両を制動制御するための制動制御信号が、予め設定されたデフ比の平均化補正値の反映条件を満たすか否かを判定し、前記反映条件を満たしたときに、記憶しておくデフ比を前記平均化補正値に補正することを特徴とする請求項記載の車両制御装置。
  3. 前記経時変化補正値、及び、車両を制動制御するための制動制御信号が、予め設定されたデフ比の経時変化補正値の反映条件を満たすか否かを判定し、前記反映条件を満たしたときに、記憶しておくデフ比を前記経時変化補正値に補正することを特徴とする請求項1又は2記載の車両制御装置。
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