本発明の一実施形態にかかる光ケーブルコネクタ1を図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態にかかる光ケーブルコネクタ1の分解斜視図であり、図2は、光ケーブルコネクタ1の断面図である。なお、これらの図には、光ケーブルコネクタ1に組み付けられる光ケーブル90を併せて示している。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、先端側とは光ケーブルコネクタ1の嵌合側をいい、後端側とはその反対側をいうものとする。また、単に軸線方向とは、コネクタの嵌合方向、すなわち図2における左右方向をいい、上下方向とは、図2における上下方向をいうものとする。
本実施形態にかかる光ケーブルコネクタ1は、雌型コネクタ(本発明における第一のコネクタに相当する)4と、この雌型コネクタ4と嵌合する雄型コネクタ(本発明における第二のコネクタに相当する)5とからなる。
この両コネクタに装着される光ケーブル90は、光信号を伝達する光ファイバ92(本実施形態では、送信用・受信用の各一つずつの光ファイバ92を備える)と、ケーブルの強度を確保する(ケーブルの折れ曲がり等による光ファイバ92の断線を防止する)ためのテンションメンバ94とが、シース96によって覆われてなる。光ケーブルコネクタ1に接続される光ケーブル90は、その先端から所定長さ光ファイバ92が露出しており、両コネクタの嵌合により、それぞれのコネクタに装着された光ケーブル90の光ファイバ92が光学的に接続された状態となる。
以下、光ケーブルコネクタ1を構成する雌型コネクタ4および雄型コネクタ5の構成について詳細に説明する。
雌型コネクタ4は、光ケーブル90が有する光ファイバ92を保持するフェルール10と、このフェルール10を先端側に付勢する付勢部材であるコイルばね20と、光ケーブル90を固定するためのケーブル固定部材30と、これらフェルール10、コイルばね20、ケーブル固定部材30を収容する雌側コネクタハウジング40(本発明における第一のコネクタハウジングに相当する)とを備える。
まず、フェルール10の詳細について説明する。なお、雌側コネクタ4に配設されるフェルール10と、雄側コネクタ5に配設されるフェルール10とは、全く同一の形状を有する。つまり、フェルール10は、両コネクタに共用されるものである。なお、両者を区別するため、以下の説明において、雌型コネクタ4に配設されるフェルール10を雌側フェルール101と称し、雄型コネクタ5に配設されるフェルール10を雄側フェルール102と称することもある(雌側フェルール101が本発明における第一のフェルールに相当し、雄側フェルール102が本発明における第二のフェルールに相当する)。図3(a)はフェルール10を上方から見た平面図であり、図3(b)はフェルール10を後端側から見た平面図である。図4および図5は、フェルール10の外観斜視図である。なお、図4は、雌側フェルール101にコイルばね20が係止された状態を示し、図5は、雄側フェルール102にガイドピン60が固定された状態を示す。
フェルール10は、合成樹脂材料により一体成形された部材であり、本実施形態では、相対的に幅細の本体部11と、相対的に幅太の基端部12とからなる。フェルール10には、先端面11aから後端面12aにかけて貫通した二つのファイバ保持孔13が形成されている。この二つのファイバ保持孔13のそれぞれには、光ケーブル90の送信用・受信用、各一つの光ファイバ92が固定されている。具体的には、ファイバ保持孔13のそれぞれに光ファイバ92が挿通された後、フェルール10の側面(上面)に形成された接着剤注入口11bから接着剤が流し込まれて、光ファイバ92がフェルール10に固着される。このように光ファイバ92が固着された後、雌側フェルール101の先端面11aには、雄型コネクタ5に収容される雄側フェルール102の先端面11aとの密着を高め、接続損失の増加を抑えるため、鏡面処理が施される。
また、フェルール10の後端には、コイルばね20を係止するばね係止部が形成されている。かかるばね係止部は、フェルール10の後端面12aに形成された凹部121である。凹部121は、円の上下の一部が切り欠かれるとともに、円の左右の一部が矩形に突出したような断面形状を有する(図3(b)参照)。凹部121は、内周の少なくとも一部(本実施形態では断面円形の部分121b)が、付勢部材であるコイルばね20の外形と略同一の大きさに形成されている。具体的には、図4に示すように、一旦凹部121にコイルばね20を嵌め込むと、後端面12aを下にしても、コイルばね20がフェルール10から離れることがない状態(軽い圧入状態)となるような大きさに形成されている。
さらに、フェルール10には、先端面11aから後端面12aにかけて貫通した二つの貫通孔14が、二つのファイバ保持孔13よりも外側に形成されている。雄側フェルール102の貫通孔14には、ガイドピン60が固定されている(図5参照)。両コネクタが嵌合すると、雄側フェルール102に固定されたガイドピン60が、雌側フェルール101の貫通孔14に係合する。つまり、雌側フェルール101の貫通孔14は、ガイドピン60が係合する係合孔として機能し、雄側フェルール102の貫通孔14は、ガイドピン60を固定するための固定孔として機能する。
本実施形態では、図3に示すように、雌側フェルール102に形成された二つの貫通孔14は、その後端側の開口端縁が、ばね係止部である凹部121の底面121aに位置する。つまり、凹部121と貫通孔14は、軸線方向で重なるように(図3(b)に示すように軸線方向から見ると両者が重なっている状態をいう)形成されている。
コイルばね20は、雌型コネクタ4に装着される光ケーブル90の先端から所定長さ露出した光ファイバ92に挿通されている。具体的には、光ケーブル90のシース96の端末部分にケーブル固定部材30を固定した後、二本の光ファイバ92にコイルばね20が挿通される。その後、光ファイバ92の先端が雌側フェルール101に固定されるため、コイルばね20は、ケーブル固定部材30と雌側フェルール101の間に位置する。図2および図4に示すように、コイルばね20は、雌側フェルール101に形成された凹部121の底面121aに当接した状態で配設されている。
ケーブル固定部材30は、プレス加工により成形されてなる金属製の部材である。図6は、このケーブル固定部材30を光ケーブル90に固定した状態を示した外観斜視図である。図6に示すように、ケーブル固定部材30は、固定部31およびバレル部32を有する。
固定部31は、後述する雌側コネクタハウジング40の固定部材収容部412に収容される部分であり、バレル部32より先端側に形成されている。その断面(軸線方向と直交する平面で切断した断面)は略U字状に形成され、上から見ると先端にかけて徐々に幅が大きくなるテーパ形状を一部に有する。そして、この固定部31の先端には、固定部材収容部412の内底面に形成された圧入孔412aに圧入される圧入部311が形成されている。
バレル部32は、固定部31と同様に断面略U字状に形成され、その大きさは固定部31より小さい。このバレル部32がシース96の端末部分にかしめられることにより、ケーブル固定部材30は光ケーブル90に固定される。このケーブル固定部材30のかしめ方法は、特に限定されるものではない。本実施形態では、図6に示すように、バレル部32を内側に屈曲させ、バレル部32の先端をシース96の中央に食い込ませてかしめる構成が採用されている。
次に、これらフェルール10、コイルばね20、およびケーブル固定部材30が収容される、雌型コネクタ4の雌側コネクタハウジング40の構成について説明する。雌側コネクタハウジング40は、第一のハウジング部材41と、第一のハウジング部材41の上部に被着される第二のハウジング部材42と、第一のハウジング部材41および第二のハウジング部材42の先端側に装着される第三のハウジング部材43とを有する。
図7は、第一のハウジング部材41の外観斜視図である。第一のハウジング部材41には、コイルばね20が収容されるコイルばね収容部411、ケーブル固定部材30が固定される固定部材収容部412が所定の大きさに形成されている。図8は、これらの収容部にコイルばね20およびケーブル固定部材30が収容された状態を示したものである。図1、図7、および図8から分かるように、これら収容部は、外側に向かって(上方向に向かって)開口している。
第一のハウジング部材41の先端側に形成されたコイルばね収容部411は、コイルばね20が嵌るような略半円筒状であって、コイルばね20が簡単に飛び出ることの無いような深さ(例えば、コイルばね20の径の2/3以上の深さ)に形成されている。図7に示すように、コイルばね収容部411の軸線方向先端側は開口(以下、コイルばね収容部411の軸線方向先端側開口と称する)しており、軸線方向後端側には、コイルばね20の後端側端面が当接する支持面411aが形成されている。コイルばね収容部441に収容されたコイルばね20は、コイルばね収容部411の軸線方向先端側開口より突出している。
固定部材収容部412は、ケーブル固定部材30の固定部31が装着可能な形状に形成されている。つまり、固定部材収容部412を上から見ると、一部が先端にかけて徐々に幅が大きくなるテーパ形状となっている。固定部材収容部412の軸線方向後端側は開口(以下、固定部材収容部412の軸線方向後端側開口と称する)しており、光ケーブル90が挿通可能である。また、固定部材収容部412の内底面には、軸線方向に細長い二つの圧入孔412a(図1には一の圧入孔412aのみが図示される。もう一方の圧入孔412aは図示される圧入孔412aと対象な位置関係にある)が形成されている。この圧入孔412aにケーブル固定部材30の圧入部311を圧入することにより、ケーブル固定部材40が固定部材収容部412に固定、すなわち光ケーブル90が第一のハウジング部材41に固定される。
また、第一のハウジング部材41の先端には、二つの規制突起413が、ハウジングの中心線に関して対称となる位置関係で先端側に突出して形成されている。両規制突起413の間には、コイルばね収容部411の軸線方向先端側開口より突出したコイルばね20が位置する。したがって、両規制突起413の間隔は、コイルばね20の直径よりも大きい。ただし、図8から分かるように、その間隔は、フェルール10の基端部12の幅よりも小さい。つまり、フェルール10の後端側への移動が、規制突起413によって制限されている(規制突起413の存在により、フェルール10は、規制突起413と当接する位置までしか後端側へ移動することができない)。これにより、フェルール10が必要以上に後端側へ移動し、コイルばね20が大きく縮んでしまうことが防止される。つまり、コイルばね20が大きく縮むことによる、付勢力(ばねの寿命)の低下が抑制される。なお、かかる規制突起413は、第二のハウジング部材42に形成された第二の嵌合突起422と対となる、第一の嵌合突起413としても作用する。
第二のハウジング部材42は、第一のハウジング部材41の上部に被着されることにより、第一のハウジング部材41に形成されたコイルばね収容部411および固定部材収容部412の開口(以下、単に開口と称するときは上方向に向く開口を指すものとする。すなわち、コイルばね収容部411の軸線方向先端側開口、および、固定部材収容部412の軸線方向後端側開口を除く)を覆う。この第二のハウジング部材42により、各収容部に収容されるコイルばね20およびケーブル固定部材30(光ケーブル90)の脱落が防止される。
かかる第二のハウジング部材42は、次のように第一のハウジング部材41に取り付けられている。図1、図7、および図8に示すように、第一のハウジング部材41の後端寄り位置には、一つの係止突起414が形成されている(これらの図には一つの係止突起414のみ図示される。残り一つは図示される係止突起414と対向する位置関係にある)。一方、図1に示すように、第二のハウジング部材42の後端寄り位置には、二つの係止孔421が形成されている(図1には一つの係止孔421のみ図示される。残り一つは図示される係止孔421と対向する位置関係にある)。この第二のハウジング部材42の係止孔421に、第一のハウジング部材41の係止突起414を係止させることにより、第二のハウジング部材42が、第一のハウジング部材41に被着される。
本実施形態において、係止突起414および係止孔421が、それぞれ第一のハウジング部材41および第二のハウジング部材42の後端寄り位置に形成されているのは、ケーブル固定部材30の保持力を高めるためである。すなわち、ケーブル固定部材30が収容される側に両ハウジングの係合部を構成することによって、より強固にケーブル固定部材30がハウジング内で保持されることになるため、引張等に対する光ケーブル90の抜脱防止性能に優れたコネクタとすることができる。
また、第二のハウジング部材42の先端には、第二の嵌合突起422が先端側に突出して形成されている。第二の嵌合突起422は、第一のハウジング部材41に形成された二つの第一の嵌合突起(規制突起)413と対向するように形成されている。
第三のハウジング部材43は、第一のハウジング部材41および第二のハウジング部材42の先端側に取り付けられ、雄型コネクタ5との嵌合部を構成する。図9(a)は、第三のハウジング部材43を先端側から見た平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示すA−A線断面図である。また、図10は、第三のハウジング部材43を後端側から見た斜視図である(なお、説明のため図10では第三のハウジング部材43の下面を上に向けて示している)。第三のハウジング部材43は、断面方形で筒状のフード部(外壁)431と、この外壁の内側に形成された、同じく断面方形で筒状のフェルール収容部432とを備える。
フード部431は、フェルール収容部432に収容される雌側フェルール101の先端面11aを保護する。具体的には、相手方コネクタである雄型コネクタ5と嵌合される際、雄型コネクタ5がどのような角度から差し込まれようとも(斜めに差し込まれても)、雄型コネクタ5が雌側フェルール101の先端面11aと当接することがない(雄型コネクタ5によって雌側フェルール101の先端面11aが傷つくことがない)形状に形成されている。
フェルール収容部432は、雌側フェルール101の周囲、具体的には、雌側フェルール101の本体部11を囲んで雌側フェルール101を保持する。ただし、フェルール収容部432と、雌側フェルール101の本体部11との間には、コイルばね20によって付勢される雌側フェルール101が、軸線方向に自在に進退動作可能となるクリアランスは確保されている。
かかる第三のハウジング部材43は、次のように第一のハウジング部材41および第二のハウジング部材42に取り付けられている。第三のハウジング部材43には、その後端から突出した二つの軸のそれぞれの先端に組付用突起433が形成されている。また、第三のハウジング部材43の後端には、第一の嵌合穴434および第二の嵌合穴435が形成されている。一方、第一のハウジング部材41の両側面には、組付用孔415が形成されている(図1、図7、および図8には一つの組付用孔415のみ図示される。残り一つは図示される組付用孔415と対向する位置関係にある)。第三のハウジング部材43は、その組付用突起433を第一のハウジング部材41の組付用孔415に係止させるとともに、第一の嵌合穴434に第一のハウジング部材41に形成された第一の嵌合突起413を、第二の嵌合穴435に第二のハウジング部材42に形成された第二の嵌合突起422を嵌合させることにより、第一のハウジング部材41および第二のハウジング部材42に取り付けられている。
次に、雄型コネクタ5の構成について説明する。雄型コネクタ5は、光ケーブル90が有する光ファイバ92を保持するフェルール10(雄側フェルール102)と、光ケーブル90を固定するためのケーブル固定部材30と、フェルール10に固定されるガイドピン60と、これらフェルール10、ケーブル固定部材30、ガイドピン60を収容する雄側コネクタハウジング50(本発明における第二のコネクタハウジングに相当する)を備える。このうち、フェルール10およびケーブル固定部材30の構成については、雌型コネクタ4に配設されているものと同一である。また、光ケーブル90に対するケーブル固定部材30の装着(かしめ)方法も同一である。そのため説明を省略する。
なお、本実施形態では、雄型コネクタ5には、雄側フェルール102を先端側に付勢するコイルばね20は配設されていない。本実施形態では、上述したコイルばね20による雌側フェルール101に対する付勢力により、雌側フェルール101と雄側フェルール102の突き合わせの圧力が確保されている。
図5に示すように、ガイドピン60は、雄側フェルール102の貫通孔14に固定されている。なお、その固定方法はどのようなものであってもよい。貫通孔14に固定されるガイドピン60は、雄側フェルール102を軸線方向(コネクタの嵌合方向)に貫く。ガイドピン60における、雄側フェルール102の先端面11aから突出した係合部601は、コネクタが嵌合すると、雌側フェルール101の貫通孔14と係合する。一方、雄側フェルール102の後端面12aから突出した部分には、係止溝602が形成されている。係止溝602は、後述するように雄側コネクタハウジング50(ハウジング本体51)に形成された係止部513に引っ掛けられる。
雄側フェルール102などが収容される雄型コネクタ5の雄側コネクタハウジング50は、ハウジング本体51と、ハウジングカバー52とを有する。ハウジング本体51は、先端から所定長さ(フード部514となる部分)の位置から後端にかけて切り欠かれた構造となっている。
図1に示すように、雄型コネクタ5のハウジング本体51には、切り欠かれた部分に沿って、ケーブル固定部材30が固定される固定部材収容部511、フェルール10が収容されるフェルール収容部512が所定の大きさに形成されている。これらの収容部は、外側に向かって(軸線方向と直交する方向に向かって)開口している。
後端側に位置する固定部材収容部511は、ケーブル固定部材30の固定部31が装着可能な形状に形成されている。つまり、その形状は、雌型コネクタ4の雌側コネクタハウジング40に形成された固定部材収容部412と同一である。よって、説明は省略する。
先端側に形成されたフェルール収容部512は、フェルール10が軸線方向に移動可能となる形状に形成されており、フェルール10における本体部11の両側面および下端面を囲繞してフェルール10を保持する。
かかるフェルール収容部512の後端側には、ガイドピン60を係止する係止部513が形成されている。図2に示すように、係止部513は、幅狭部513aが形成された側方視鍵穴形状を有している。係止部513の幅狭部513aには、ガイドピン60の係止溝602が係合される。これにより、ガイドピン60の先端方向への移動が規制される。つまり、かかる構成により、ガイドピン60が先端方向へ引っ張られたとき、雄側フェルール102からガイドピン60が抜脱してしまうことが防止されている。
ハウジング本体51の先端側には、断面略矩形状のフード部514が形成されている。かかるフード部514の構成および作用は、雌型コネクタ4の雌側コネクタハウジング40に形成されたフード部431と同様である。
ハウジングカバー52は、ハウジング本体51の切り欠かれた部分に取り付けられることで、ハウジング本体51に形成された上記二つの収容部の開口を覆う。つまり、このハウジングカバー52により、各収容部に収容されたケーブル固定部材30(光ケーブル92)およびフェルール10の脱落が防止される。ハウジングカバー52のハウジング本体51に対する取り付け方法は、特に限定されるものではない。本実施形態では、ハウジングカバー52に設けられた四つの係止孔521(図1には二つの係止孔521のみ図示される。残り二つは図示される係止孔521のそれぞれと対向する位置関係にある)のそれぞれを、ハウジング本体51に設けられた四つの係止突起515に係止させる(図1には二つの係止突起515のみ図示される。残り二つは図示される係止突起515のそれぞれと対向する位置関係にある)ことによって取り付けられる。
以上のような構成を有する光ケーブルコネクタ1の雌型コネクタ4と雄型コネクタ5は、次のように嵌合する。図2および図10に示すように、雌型コネクタ4の第三のハウジング部材43の下面には、コネクタ嵌合用孔436が形成されている。一方、図2に示すように、雄型コネクタ5のハウジング本体51の下面には、コネクタ嵌合用突起516が形成されている。雄型コネクタ5を雌型コネクタ4の内側に入り込むように挿入し、コネクタ嵌合用突起516をコネクタ嵌合用孔436に係止させると、両コネクタが嵌合し光ファイバ92が光学的に接続された状態となる。
以上、詳細に説明した本発明の一実施形態にかかる光ケーブルコネクタ1は、次のような基本的構成を有する。光ケーブルコネクタ1では、雌側フェルール101を先端側に付勢するコイルばね20が雌型コネクタ4に、雄側フェルール102を貫くガイドピン60が雄型コネクタ5に設けられている。換言すると、コイルばね20は雄型コネクタ5には設けられておらず、ガイドピン60は雌型コネクタ4には設けられていない。また、全くの同一形状である雌側フェルール101および雄側フェルール102には、コイルばね20が係止される凹部121と、ガイドピン60が固定される貫通孔14が形成されている。このような基本的構成を有する本実施形態にかかる光ケーブルコネクタ1によれば、次のような作用効果が奏される。
光ケーブルコネクタ1において、フェルール102を先端側に付勢するコイルばね20は、雌側フェルール102に形成された凹部121の底面121aに当接させて配設されているため、その凹部121の深さ分、軸線方向(コネクタの嵌合方向)におけるコネクタの大きさが小さくなる。さらに、フェルール10に形成される貫通孔14の後端側の開口端縁は、凹部121の底面121aに位置するように形成されている。つまり、ガイドピン60(貫通孔14)とコイルばね20がコネクタの嵌合方向で重なるように配設されているため、フェルール10の幅方向の大きさが小さくなる。その結果、幅方向におけるコネクタの大きさが小さくなる。
なお、かかる作用効果は、雌型コネクタ4と雄型コネクタ5の両方にコイルばね20が設けられる場合には得られない。コイルばね20と雄側フェルール102を貫くガイドピン60が干渉するため、貫通孔14の後端側の開口端縁を凹部121の底面121aに位置させることができないからである。
また、雄側フェルール102の後端側から突出したガイドピン60は、雄側コネクタ5の雄側コネクタハウジング50(ハウジング本体51)に係止されている。したがって、嵌合状態にあるコネクタを引き離す際に、先端側に引っ張られるガイドピン60が雄側フェルール102から抜け落ちてしまうことが防止される。
また、フェルール10(雌側フェルール101)に形成された凹部121は、その内周の少なくとも一部(本実施形態では断面円形の部分121b)が、コイルばね20の外形と略同一に設定されている。これにより、一旦凹部121にコイルばね20を嵌め込むと、フェルール10の後端面12aを下にしても、コイルばね20がフェルール10から離れることがない。したがって、光ケーブルコネクタ1を組み立てる際、光ファイバ92に挿通させたコイルばね20をフェルール10の後端に係止させておく(留めておく)ことができるため、組立が容易になる。特に、雌側フェルール101の先端面11aを鏡面処理する際には、コイルばね20が邪魔にならず、作業性が向上する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施形態では、雌型コネクタ4にフェルール10を先端側に付勢するコイルばね20が設けられ、雄型コネクタ5にガイドピン60が設けられた構成であることを説明したが、コイルばね20が雄型コネクタ5に、ガイドピン60が雌型コネクタ4に設けられた構成としてもよい。つまり、一方のコネクタコイルばね20を、他方のコネクタにガイドピン60が設けられた構成であれば、本発明の技術的思想は適用可能である。