JP2010054679A - 光ケーブルコネクタおよびそれに用いられる多芯型フェルール - Google Patents

光ケーブルコネクタおよびそれに用いられる多芯型フェルール Download PDF

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昭弘 永渕
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Abstract

【課題】多芯型光ケーブルが有する複数の光ファイバのそれぞれを確実に対応したファイバ挿通孔へ挿通させると共に、光ファイバを挿通させる作業性を向上させる。
【解決手段】多芯型光ケーブル901,902の各光ファイバ911,921の端末部分がそれぞれ挿通固定される多芯型フェルール14をコネクタハウジング12,22内に備えた光ケーブルコネクタ1において、前記多芯型フェルール14には、前記各光ファイバ911,921が挿通される複数のファイバ挿通孔141が前記光ファイバ911,921が挿入される入口から先端までそれぞれが隔壁141bにより仕切られた状態で形成されると共に、該ファイバ挿通孔内には、前記光ファイバ911,921を所定の位置に案内するため先細テーパ状のガイド部141aが形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、光ケーブルが有する光信号を伝達する光ファイバ同士を光学的に接続する光ケーブルコネクタに関し、特に多芯型光ケーブルの各光ファイバが多芯型フェルールを介して装着される光ケーブルコネクタの構造、およびこのような光ケーブルコネクタに用いられる多芯型フェルールに関するものである。
一般的に光ファイバを用いた光ケーブル(光ファイバケーブルともいう。)は、多量の情報の高速通信が可能であることから、家庭用、産業用の情報通信に広く利用されている。また、例えば自動車には、各種電装品(例えば、カーナビゲーションシステム等)が装備されているが、それらの電装品の光通信にも多用されている。このような情報通信システムにおいて、光ファイバの端末同士は、光ケーブルコネクタ(光コネクタまたは光ファイバコネクタともいう。)を介して光学的に接続(光信号を伝達可能に接続)されるが、その光ケーブルコネクタ内において、光ファイバの位置ずれなどを防止するため、光ファイバの端末部分をフェルールにより固定させた状態でコネクタハウジング内に装着する技術は既に知られている。
例えば特許文献1には、従来型のフェルールの構成が示されており、このフェルールを備えた光ケーブルコネクタの断面図を図9に示して説明すると、この光ケーブルコネクタ80は、オス型コネクタ81およびメス型コネクタ82が共にコネクタハウジング811,821内に多芯型フェルール84を備え、このフェルールに光ケーブル901,902の光ファイバ911,921の端末部分が固定されている。なお、各フェルール84は、コイルばね86によりそれぞれ相手方コネクタ(81または82)に向けて付勢されている。そして、オス型コネクタ81とメス型コネクタ82との嵌合により、鏡面処理された多芯型フェルール84の端面同士が突き合わされることで、光ファイバ911,921は光学的に接続される。
図10は、この光ケーブルコネクタ80が備える多芯型フェルール84の断面を拡大して示した図である。多芯型フェルール84は、多芯型光ケーブル901,902が有する各光ファイバ911,921のそれぞれに対応したファイバ挿通孔84aが形成された多芯型フェルールである。各ファイバ挿通孔84aは、光ファイバ911,921が挿入される一つの大きな入口部84bからそれぞれが分岐するようにして形成されている。
特開2003−315627号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような多芯型フェルールは、複数の光ファイバ(多芯型光ケーブル)が挿入される入口部が一つであり、各ファイバ挿通孔の入口がフェルールの奥まった位置にあるので、各光ファイバを対応したファイバ挿通孔に挿通させることが困難である。つまり、組立時において、作業者は入口部からファイバ挿通孔を覗きながら挿入しなければならないため、一の光ファイバを誤って別のファイバ挿通孔に挿入してしまうことによる不良が発生する恐れがある。さらに、光ファイバおよび入口部から分岐するように形成されたファイバ挿通孔は非常に小さいため、作業性が非常に悪く、コスト増加の要因となる。そして、このような作業環境下では、極めて小径で機械的強度が低い光ファイバが屈曲してしまい、断線してしまうなどの不良が発生するおそれもある。
本発明が解決しようとする課題は、複数のファイバ挿通孔が形成された多芯型フェルールに対し、多芯型光ケーブルが有する複数の光ファイバのそれぞれを対応したファイバ挿通孔へ確実に挿通することができ、かつ光ファイバを挿通する作業性を向上させると共に、光ファイバをファイバ挿通孔に挿通する際における光ファイバの断線などの不良の発生を防止する光ケーブルコネクタ、およびそれに用いられる多芯型フェルールを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る光ケーブルコネクタは、多芯型光ケーブルの各光ファイバの端末部分がそれぞれ挿通固定される多芯型フェルールをコネクタハウジング内に備え、前記多芯型フェルールには、前記光ケーブルの各光ファイバが挿通される複数のファイバ挿通孔が前記光ファイバが挿入される入口から先端までそれぞれが隔壁により仕切られた状態で形成されると共に、該各ファイバ挿通孔内には、前記光ファイバを所定の位置に案内するため基端側から先端側に向けて漸次小径となる先細テーパ状のガイド部が形成されていることを要旨とするものである。
この場合、前記多芯型フェルールの外周面には、前記各ファイバ挿通孔に連通する接着剤注入口が形成され、該接着剤注入口を介して注入された接着剤により前記各光ファイバが前記各ファイバ挿通孔内に固着されるようにするとよい。
また、前記光ケーブルコネクタは、一方の多芯型光ケーブルが装着される第一のコネクタハウジングと、他方の多芯型光ケーブルが装着される第二のコネクタハウジングとから構成され、前記多芯型フェルールは、前記第一のコネクタハウジングと第二のコネクタハウジングのいずれか一方に装着されているか、あるいは両方に装着されていることが好ましい。
また、本発明は、多芯型光ケーブルの各光ファイバの端末部分がそれぞれ挿通固定される多芯型フェルールにおいて、前記光ケーブルの各光ファイバが挿通される複数のファイバ挿通孔が前記光ファイバが挿入される入口から先端までそれぞれが隔壁により仕切られた状態で形成されると共に、該各ファイバ挿通孔内には、前記光ファイバを所定の位置に案内するため基端側から先端側に向けて漸次小径となる先細テーパ状のガイド部が形成されていることを要旨とするものである。
この場合にも、前記各ファイバ挿通孔に挿通された光ファイバを前記各ファイバ挿通孔内に固着させるための接着剤を注入する接着剤注入口が前記各ファイバ挿通孔と連通して形成されているのがよい。
本発明に係る光ケーブルコネクタによれば、多芯型フェルールに形成された複数のファイバ挿通孔が、各光ファイバが挿通される入口から先端までが隔壁に仕切られており、この各ファイバ挿通孔に光ケーブルの各光ファイバを挿通すればよいため、各光ファイバを挿通すべきファイバ挿通孔との対応関係を誤ることがなくなり、光ファイバの誤挿入による不良の発生が大幅に低減される。また、従来型の光ケーブルコネクタのように、入口部からファイバ挿通孔を覗きながら挿入するという作業を行う必要がなくなり、かつ漸次小径となるテーパ状のガイド部によって光ファイバが所定の位置に案内される構成であるため、組み付け作業性が向上する。さらに、各ファイバ挿通孔の入口が多芯型フェルールの端面に位置しており、その入口もガイド部を設けることによって大きく形成することができるため、光ファイバ挿入時における光ファイバの屈曲による断線が発生するおそれが低減され、品質の向上につながる。
また、コネクタハウジングに装着される多芯型フェルールの外周面に形成される接着剤注入口から接着剤を注入することにより、各光ファイバはそれぞれ各ファイバ挿通孔内に固着される。すなわち、光ケーブルの各光ファイバを一度に多芯型フェルールの各光ファイバ挿通孔内に固着させることができ、組み付け作業性にも優れる。
さらに、一方の光ファイバが装着される第一のコネクタと、他方の光ファイバが装着される第二のコネクタの一方に上記構成を有する多芯型フェルールが装着されてもよいし、両方のコネクタに装着されていてもよいが、いずれの場合も各光ファイバを誤って別のファイバ挿通孔に挿通してしまうことによる不良が回避され、また、光ファイバ挿入時における光ファイバの屈曲による断線が発生するおそれが低減されるため、第一のコネクタと第二のコネクタの嵌合による光ファイバによる光信号の送受信について、高い信頼性を確保することができる。
また、本発明に係る多芯型フェルールによれば、各光ファイバを挿通すべきファイバ挿通孔との対応関係を誤ることがなくなり、光ファイバの誤挿入による不良の発生が大幅に低減され、かつ組み付け作業性が大幅に向上する。さらに、光ファイバ挿入時における光ファイバの屈曲による断線が発生するおそれが低減され、光ケーブルコネクタとしての品質面での大幅な向上につながるという利点がある。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1から図3は、本発明の一実施形態に係る光ケーブルコネクタ1の構成を示したものである。ここで、図1(a)は本発明における第一のコネクタ(この実施形態ではオス型コネクタ10)と第二のコネクタ(この実施形態ではメス型コネクタ20)の嵌合状態を示した縦断面図、図1(b)は嵌合状態が解除された状態を示した縦断面図である。また、図2はこの光ケーブルコネクタ1の横断面図であり、図3はこの光ケーブルコネクタ1を分解して示した外観斜視図である。
これらの図面に示されるように、本実施形態に係る光ケーブルコネクタ1は、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とを備え、オス型コネクタ10、メス型コネクタ20には、それぞれ光ケーブル901,902が装着されている。
図4は、この光ケーブル901,902を拡大して示した外観斜視図である。光ケーブル901,902は、この実施形態では光信号を伝達する送信用と受信用の二本の光ファイバ911,921を有する二芯型のものであり、ガラス系材料または合成樹脂系材料からなるものが知られている。なお、光ファイバ911,921は、表面に塗布された着色剤などにより、送信用と受信用の区別が可能となっている。この光ファイバ911と光ファイバ921は、上記オス型コネクタ10とメス型コネクタ20の嵌合により光学的に接続される。そして、これらの光ファイバケーブル901,902では、断面中央部分にこの二本の光ファイバ911,921が配設され、その周囲が合成樹脂製のシース材913,923によって被覆されてなる。図4に示されるように、光ケーブル901,902の断面形状は、例えば断面略矩形状に形成されており、光ケーブル901,902における光ファイバ911,921の左右両側寄り部位には、光ケーブル901,902の機械的強度を高める二本のテンションメンバ(抗張力線)912,922が光ファイバ911,921の芯線方向に配設されている。このテンションメンバ912,922を構成する部材としては、例えばケブラ(登録商標)などの高強度の繊維を束にしたものが挙げられる。
オス型コネクタ10は、コネクタハウジング12と、コネクタハウジング12に装着される多芯型フェルール14(以下、単にフェルールと称す。)と、このフェルール14をメス型コネクタ20側に付勢する付勢部材たるコイルばね16とを備える。
コネクタハウジング12は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの合成樹脂材料により略筒状に一体成形されたものであり、その内部には、上記光ケーブル901が収容される断面矩形の光ケーブル収容孔121が形成されている。また、光ケーブル収容孔121の先端側に連通して、断面円形のコイルばね収容孔121aが形成されており、このコイルばね収容孔121a内にコイルばね16が配設される。さらに、このコイルばね収容孔121aの先端側に連通して、フェルール14が収容されるフェルール収容孔122が形成されている。フェルール収容孔122は、フェルール14が収容される断面円形のフェルール収容部122aと、断面矩形のストッパ収容部122bとからなる。図1に示されるように、このストッパ収容部122b内には、コイルばね16によって先端側に付勢されたフェルール14の脱落を防止するストッパ125が形成されている。
一方、上記フェルール14も、合成樹脂材料により略円柱形状に一体成形されたものであるが、フェルール14は、その一方の端面が、メス型コネクタ20との突き合わせ面X1となることから、フェルール14そのものの変形による光ファイバの接続損失の増大を防止するため、比較的硬質の材料から形成されている。この材料としては、PBT、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)にガラスを含有することで硬度を高めたものなどが好適に用いられる。
このフェルール14の外観斜視図を図5に、側面図および断面図を図6に示す。ここで、図5(a)はフェルール14を先端側から見た外観斜視図であり、図5(b)はフェルール14を後端側から見た外観斜視図である。また、図6(a)はフェルール14の上面図、図6(b)はフェルール14の横断面図、図6(c)はフェルール14の縦断面図である。この図5および図6を参照してフェルール14の構成について詳細に説明する。
フェルール14の内部には、その軸線方向に沿って、受信用、送信用の光ファイバ911のそれぞれが挿通される二つのファイバ挿通孔141が形成されている。ファイバ挿通孔141は、光ファイバ911が挿入される際における作業性を考慮した形状に形成されている。具体的には、ファイバ挿通孔141は、光ファイバ911を挿入する際の入口側(図6における右側)が光ファイバ911の径より大きく形成されている。これにより、微小径の光ファイバ911をファイバ挿通孔141に無理なく挿入することができる。そして、ファイバ挿通孔141には、その途中位置から先端側にかけて漸次小径となる先細テーパ状に形成されたガイド部141aが設けられている。このガイド部141aの先端は、光ファイバ911の径と略同径に形成されて、入口から挿入された光ファイバ911は、ガイド部141aによって突き合わせ面X1における所定の位置に案内される。さらに、ファイバ挿通孔141は、入口から先端までが隔壁141bによって仕切られ、それぞれが独立して形成されている。
また、フェルール14の外周面には、二つのファイバ挿通孔141のそれぞれと連通した接着剤注入口142が形成されている。ファイバ挿通孔141に光ファイバ911が挿通された後、この接着剤注入口142から接着剤が流し込まれて、光ファイバ911は、フェルール14に固着される。このように光ファイバ911が固着された後、フェルール14の突き合わせ面X1には、後述するメス型コネクタ20の突き合わせ面X2との密着を高め、光ファイバ911と光ファイバ921の接続損失の増加を抑えるため、鏡面処理が施される。
さらに、フェルール14の外周面には、その軸線方向にキー143が形成されている。一方、図7(図1(a)におけるA−A線断面図)に示されるように、コネクタハウジング12のフェルール収容孔122の内周面には、キー溝122cが形成されている。フェルール14は、キー143がキー溝122cに係合された状態でコネクタハウジング12に装着される。これにより、コネクタハウジング12内におけるフェルール14の周方向への回転が規制される。なお、フェルール14の外観形状は、必ずしも円柱形状である必要はなく、光ファイバ911,921が挿通される所定の形状のファイバ挿通孔141を形成することができれば、例えば、四角柱形状や楕円柱形状のようなものであってもよい。この場合、回り止め用に形成された上記キー143やキー溝122cに相当する構成は不要である。
加えて、フェルール14の先端側端面(突き合わせ面X1)には、位置決めピン144aおよび位置決め孔144bが一つずつ設けられている。オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とが嵌合すると、オス型コネクタ10に装着されたフェルール14の位置決めピン144aは、メス型コネクタ20に装着されたフェルール14の位置決め孔144bに係合し、オス型コネクタ10に装着されたフェルール14の位置決め孔144bは、メス型コネクタ20に装着されたフェルール14の突き合わせ面X2に設けられた位置決めピン144aに係合する。これにより、オス型コネクタ10に固定された光ファイバ911と、メス型コネクタ20に固定された光ファイバ921の芯ずれが防止され、光ファイバ911と光ファイバ921の接続損失の増大が抑制される。
また、フェルール14の外周面には、略矩形状の係合凹部145が形成されている。そして、図1に示されるように、フェルール14がフェルール収容孔122に装着されると、フェルール収容孔122内に設けられた上記ストッパ125の係合部125aが係合凹部145に係合され、先端側に付勢されたフェルール14の脱落が防止される。ここで、係合凹部145は、フェルール14の軸線方向に所定の長さを有しているため、フェルール14は、この長さ分軸線方向に摺動することが可能となる。つまり、図1(b)に示されるように、オス型コネクタ10からメス型コネクタ20を取り外した状態では、コイルばね16によって付勢されたフェルール14は、ストッパ125の係合部125aが係合凹部145の後端側の側壁に引っ掛かる位置まで前進する。そして、図1(a)に示されるように、オス型コネクタ10にメス型コネクタ20が嵌合されると、フェルール14は、メス型コネクタ10によりコネクタハウジング12と先端側端面が一致する位置まで押し込まれて位置することとなる。
コイルばね16は、コネクタハウジング12に形成された前述のコイルばね収容孔121aに配設され、フェルール14をメス型コネクタ20側に向けて付勢するもので、断面矩形状の孔である光ケーブル収容孔121と断面円形状の孔であるコイルばね収容孔121aの境界に形成された段差と、フェルール14の後端面との間に圧縮された状態で配設されている。
このように構成されるオス型コネクタ10と嵌合するメス型コネクタ20は、オス型コネクタ10と同様に、例えばPBTなどから一体成形されるコネクタハウジング22と、コネクタハウジング22に装着されるフェルール14と、このフェルール14を先端側に付勢するコイルばね16とを備える。このメス型コネクタ20は、コネクタハウジング22の形状のみオス型コネクタ10と異なり、コネクタハウジング22に装着されるフェルール14およびコイルばね16の構成は同一である。また、メス型コネクタ20のコネクタハウジング22に形成される光ケーブル収容孔、コイルばね収容孔、フェルール収容孔の構成も、オス型コネクタ10の構成と同一である。よって、これら同一の構成については、その説明を省略する。
以下、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20のコネクタハウジングの形状について説明すると共に、両者の嵌合について説明する。図1および図3に示されるように、オス型コネクタ10のコネクタハウジング12の上部には、その先端側から後端側にかけて、弾性変形可能な係止片124が先端側を基端として片持ち状に形成されている。この係止片124は、その略中央に係止凹部124aが形成され、先端に係止解除部124bが形成されている。
一方、図1に示されるように、メス型コネクタ20には、オス型コネクタ10が入り込む嵌合部201の内側から突出した係止凸部201a(本発明における係止部に相当する。)が形成されている。
このような形状のメス型コネクタ20の嵌合部201にオス型コネクタ10が挿入されると、オス型コネクタ10の係止片124は、嵌合部201の内側に潜り込むように変形する。そして、オス型コネクタ10の突き合わせ面X1とメス型コネクタ20の突き合わせ面X2とが当接する位置で、オス型コネクタ10の係止片124の弾性変形が解除され、係止片124の係止凹部124aに、メス型コネクタ20の係止凸部201aが係止される。これにより、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とが嵌合し、光ファイバ911と光ファイバ921とが光学的に接続される。このオス型コネクタ10とメス型コネクタ20との嵌合は、係止片124の係止解除部124bを押し下げることにより、係止凹部124aと係止凸部201aの係止を解いた状態で、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とを引き離すことによって解除することができる。
なお、図3および図7に示されるように、オス型コネクタ10の外周面には、係合突起17が形成されており、メス型コネクタ20の嵌合部201の内周面には、係合溝27が形成されている。オス型コネクタ10とメス型コネクタ20との嵌合により、係合突起17が係合溝27に係合するため、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20とのがたつきが防止される。
さらに、本実施形態に係る光ケーブルコネクタ1は、接続された光ケーブル901,902の抜脱を防止するため、オス型コネクタ10のコネクタハウジング12に形成されたスリット部123、およびメス型コネクタ20のコネクタハウジング22に形成されたスリット部223のそれぞれにケーブル保持部材301が装着されている。このケーブル保持部材301による光ケーブル901,902の保持構造について、図8(図1(a)におけるB−B線断面図)を参照して説明する。なお、ケーブル保持部材301による光ケーブル901の保持構造と光ケーブル902の保持構造は同一であるため、以下、オス型コネクタ10に装着される光ケーブル901の保持構造について説明し、メス型コネクタ20に装着される光ケーブル902の保持構造については説明を省略する。
図8に示されるように、ケーブル保持部材301は、側面形状が略U字型に形成された金属部材でである。なお、ケーブル保持部材301を構成する金属としては、例えば銅やステンレスなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。このケーブル保持部材301は、両先端部に二股状の挟着部32を有する。挟着部32は、側面形状が略V字状に形成され、基端側から先端側に向かってその間隔が次第に大きくなるように形成されている。また、挟着部32同士の間隔は、光ケーブル901が有するテンションメンバ912同士の間隔と略同一である。
このような形状のケーブル保持部材301は、前述したように、オス型コネクタ10のコネクタハウジング12に形成されたスリット部123から装着される。具体的には、ケーブル保持部材301をスリット部123から押し込むことにより、ケーブル保持部材301は、尖鋭な形状に形成された先端部分により光ケーブル901のシース材を突き破りながら進入する。そして、テンションメンバ912と挟着部32とが当接する位置まで押し込むことで、側面形状が略V字形状に形成された各挟着部32の間に各テンションメンバ912が入り込む。このようにして、テンションメンバ912は、ケーブル保持部材301によって直接挟圧保持される。
また、コネクタハウジング12のケーブル保持部材301が装着されるスリット部123の入口付近には、一旦装着されたケーブル保持部材301の脱落を防止する脱落防止部123aが一体的に設けられている。この脱落防止部123aの構成は特に限定されるものではない。好適な例としては、図8に示されるように、スリット部123の入口付近に突起を設けた構成が挙げられる。この場合、スリット部123が押し広げられながらケーブル保持部材301が装着され、装着完了後、押し広げられたスリット部123が元に戻ることによって、ケーブル保持部材301の脱落がその突起により防止される。
このように本実施形態に係る光ケーブルコネクタ1には、光ケーブル901,902が有するテンションメンバ912,922が、ケーブル保持部材301によって直接挟圧保持される構成であるため、例えば、単に光ケーブル901,902のシース材913,923を押さえつけるようなケーブル保持部材と比較し、光ケーブル901,902の抜脱防止性能に優れる。
次に、このような構成に係る光ケーブルコネクタ1に対する光ケーブル901,902の組み付け手順について、一部上記説明と重複するが簡単に説明する。
まず、光ケーブル901は、その一端から所定長さシース材913を剥離すると共にテンションメンバ912を切断し、所定長さの光ファイバ911を剥き出しにする。この状態で光ケーブル901をコネクタハウジング12、コイルばね16に挿通する。次いで、剥き出しになった光ファイバ911を、フェルール14のファイバ挿通孔141に挿通する。この際、前述のように、ファイバ挿通孔141は、入口部分が大きく、ガイド部141aが形成されているため、微小径の光ファイバ911を容易に挿通することができる。光ファイバ911の挿通後、接着剤注入口142から接着剤を流し込み、フェルール14に光ファイバ911を固着させる。前述のように、接着剤注入口142は、各ファイバ挿通孔141と連通しているため、一度に各光ファイバ911をフェルール14に固着させることができる。次いで、余分な光ファイバ911を切断し、フェルール14の突き合わせ面X1に鏡面処理を施す。鏡面処理後、フェルール14に位置決めピン144aを圧入などにより立設する。この後、コイルばね16をコイルばね収容孔121aに収容すると共に、フェルール14の係合凹部145にストッパ125の係合部125aを係合させて、フェルール14をコネクタハウジング12のフェルール収容孔122に装着する。最後に、光ケーブル901の抜脱防止のためのケーブル保持部材301をスリット部123から装着し、光ケーブル901のオス型コネクタ10への組み付けが完了する。
なお、光ケーブル902のメス型コネクタ20への組み付け方法は、上記光ケーブル901のオス型コネクタ10への組み付け方法と同様である。
このように構成される本実施形態に係る光ケーブルコネクタ1によれば、次のような作用効果が奏される。すなわち、フェルール14に形成された光ケーブル901,902が有する各光ファイバ911,921が挿通される複数のファイバ挿通孔141は、各光ファイバ911,921が挿通される入口から先端までが隔壁141bによってに仕切られ、それぞれが独立した状態にあるため、各光ファイバ911,921を挿通すべきファイバ挿通孔141との対応関係を誤ることがなくなり、光ファイバ911,921の誤挿入による不良の発生が大幅に低減される。また、テーパ状のガイド部141aによって光ファイバ911,921が所定の位置に案内される構成であるため、組み付け作業性が大幅に向上する。さらに、各ファイバ挿通孔141の入口がフェルール14の端面に位置しており、その入口もガイド部141aを設けることによって大きく形成することができるため、光ファイバ911,921挿入時における光ファイバ911,921の屈曲による断線が発生するおそれが低減され、品質の向上につながる。
また、フェルール14の外周面には、各ファイバ挿通孔141に連通する接着剤注入口142が形成されているので、一つの接着剤注入口142から接着剤を注入することにより、各ファイバ挿通孔141に挿通された各光ファイバ911,921を一度にフェルール14に固着させることができ、組み付け作業性に優れる。
さらに、光ケーブルコネクタ1は、一方の光ファイバ911が装着されるオス型コネクタ10(第一のコネクタ)と、他方の光ファイバ921が装着されるメス型コネクタ20(第二のコネクタ)とからなり、その双方に上記形状を有するフェルール14が装着された構成であるため、オス型コネクタ10とメス型コネクタ20との嵌合による光信号の送受信について、高い信頼性を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本実施形態では、光ケーブルコネクタ1に接続される光ケーブル901,902は、それぞれ送信用と受信用の二本の光ファイバ911,921を有する二芯型の光ケーブルであることを説明したが、三本以上の光ファイバを有する多芯型の光ケーブルにも本発明の技術的思想は適用可能である。
本発明の一実施形態に係る光ケーブルコネクタの縦断面図であり、(a)はオス型コネクタ(第一のコネクタ)とメス型コネクタ(第二のコネクタ)との嵌合状態を示し、(b)はオス型コネクタとメス型コネクタとの嵌合状態が解除された状態を示した図である。 図1に示した光ケーブルコネクタの横断面図である。 図1に示した光ケーブルコネクタの分解斜視図である。 この光ケーブルコネクタに用いられる光ケーブルの端末部分を拡大して示した図である。 図5(a)はフェルールを先端側から見た外観斜視図であり、図5(b)はフェルールを後端側から見た外観斜視図である。 図6(a)はフェルールの上面図、図6(b)は横断面図、図6(c)は縦断面図である。 図1に示した光ケーブルコネクタのA−A線断面図である。 図3に示した光ケーブルのテンションメンバの保持構造を示したもので、図1におけるB−B線断面図である。 従来一般的に知られている多芯型フェルールが用いられた光ケーブルコネクタの断面図である。 図9に示した多芯型フェルールの断面図である。
符号の説明
1 光ケーブルコネクタ
10 オス型コネクタ(第一のコネクタ)
12 コネクタハウジング
14 フェルール
141 ファイバ挿通孔
141a ガイド部
141b 隔壁
142 接着剤注入口
20 メス型コネクタ(第二のコネクタ)
901,902 光ケーブル
911,921 光ファイバ

Claims (5)

  1. 多芯型光ケーブルの各光ファイバの端末部分がそれぞれ挿通固定される多芯型フェルールをコネクタハウジング内に備えた光ケーブルコネクタにおいて、前記多芯型フェルールには、前記光ケーブルの各光ファイバが挿通される複数のファイバ挿通孔が前記光ファイバが挿入される入口から先端までそれぞれが隔壁により仕切られた状態で形成されると共に、該各ファイバ挿通孔内には、前記光ファイバを所定の位置に案内するため基端側から先端側に向けて漸次小径となる先細テーパ状のガイド部が形成されていることを特徴とする光ケーブルコネクタ。
  2. 前記多芯型フェルールの外周面には、前記各ファイバ挿通孔に連通する接着剤注入口が形成され、該接着剤注入口を介して注入された接着剤により前記各光ファイバが前記各ファイバ挿通孔内に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブルコネクタ。
  3. 前記光ケーブルコネクタは、一方の多芯型光ケーブルが装着される第一のコネクタハウジングと、他方の多芯型光ケーブルが装着される第二のコネクタハウジングとから構成され、前記多芯型フェルールは、前記第一のコネクタハウジングと第二のコネクタハウジングのいずれか一方または両方に装着されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の光ケーブルコネクタ。
  4. 多芯型光ケーブルの各光ファイバの端末部分がそれぞれ挿通固定される多芯型フェルールにおいて、前記光ケーブルの各光ファイバが挿通される複数のファイバ挿通孔が前記光ファイバが挿入される入口から先端までそれぞれが隔壁により仕切られた状態で形成されると共に、該各ファイバ挿通孔内には、前記光ファイバを所定の位置に案内するため基端側から先端側に向けて漸次小径となる先細テーパ状のガイド部が形成されていることを特徴とする多芯型フェルール。
  5. 前記各ファイバ挿通孔に挿通された光ファイバを前記各ファイバ挿通孔内に固着させるための接着剤を注入する接着剤注入口が前記各ファイバ挿通孔と連通して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の多芯型フェルール。
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