JP5508084B2 - 銀めっき皮膜用変色防止膜を含む物品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀めっき皮膜用の変色防止膜及びその形成方法に関する。
銀めっきは、独特の色調を有するものであり、装身具、食器、喫煙具、バッヂ、メタル等の装飾品全般に活用されている。その他、洋食器に銀めっきを施すことによって、微生物が殺菌され、衛生上好ましいことなども知られている。
更に、銀めっき皮膜の有する優れた電気伝導性、低接触抵抗、ハンダ付け性などの特性を利用して、各種スイッチ、接点、端子、コネクタ、リードフレーム等に形成する皮膜として、電気・電子部品にも広く利用されている。
一方、近年、エネルギー消費量の低減への対応として、発光ダイオード(LED)の普及が急速に広がっており、従来の信号機、パチンコ設備などにおける利用に加えて、民政用ライティング(照明器具)としての実用化が進められている。LEDの照明器具としての用途において、LEDの光を効率よく照射するために、それぞれのLEDに反射板(リフレクター)が設けられている。この用途においても、銀めっき皮膜が適したものとされており、特に、高輝度銀めっきは、短波長可視光域の光線の反射率が優れており、反射板部分に銀めっき処理を施したLED用リードフレームの製造が進められている。
このように、銀めっきは、その優れた特性を利用して各種の用途に用いられているが、その使用時に、短波長可視光域の光照射に伴うオゾン発生により皮膜表面に酸化銀薄膜が形成されて反射率が低下するという問題点がある。更に、銀めっき皮膜の欠点として、大気中の硫黄含有物質と反応して硫化銀薄膜が形成され、褐色に変色することが挙げられる。
銀めっき皮膜の変色防止方法としては、脂肪族有機化合物等を主成分とする有機系変色防止剤により変色防止処理を施す方法や、金やパラジウム等の薄膜を形成する方法などが検討されている(下記特許文献1参照)。
しかしながら、有機系の保護膜は、LED使用時に発生する紫外線や熱による分解によって劣化するという問題点があり、金やパラジウムの薄膜を形成する方法では、反射率の低下が生じるという問題点がある。
特開2006−351568号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、銀めっき皮膜に対して変色防止作用を有する耐久性に優れた保護皮膜を形成する方法を提供することである。特に、LEDの反射板の銀めっき皮膜に対して、反射率の低下が少なく、しかも硫黄含有物質の存在する雰囲気下においても変色が生じ難く、銀めっき皮膜の高い反射率を長期間維持することが可能な保護皮膜の形成方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、銀めっき皮膜の保護皮膜として、特定の酸化物膜を形成する場合に、銀めっき皮膜の有する高い反射率をほとんど低下させることなく、銀めっき皮膜の変質を防止することが可能となり、更に、硫化物が存在する雰囲気下においても、長期間変色を抑制して、高い反射率を維持できることを見出した。特に、酸化亜鉛膜及び酸化アルミニウム膜は、透明性及び耐変色性に優れていることに加えて、水溶液から析出させる方法によって比較的簡単な作業工程によって効率良く変色防止膜を形成できるものであり、LED用リードフレームの反射板部分に形成された銀めっき皮膜の保護皮膜として優れたものであることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、下記の銀めっき皮膜の変色防止膜及びその形成方法を提供するものである。
1.銀めっき皮膜上に形成された、酸化亜鉛膜、酸化アルミニウム膜、酸化セリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ケイ素膜、酸化スズ膜、及び酸化インジウム膜からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物膜からなる、銀めっき皮膜の変色防止膜。
2.銀めっき皮膜が、LED用リードフレームの反射板部分に形成されたものである上記項1に記載の銀めっき皮膜の変色防止膜。
3.酸化物膜が、酸化亜鉛膜及び酸化アルミニウム膜からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1又は2に記載の銀めっき皮膜の変色防止膜。
4.銀めっき皮膜上に、上記項1〜3のいずれかに記載の変色防止膜が形成された物品。
5.銀めっき皮膜が形成された物品を被処理物として、該銀めっき皮膜上に、気相法、ゾルゲル法又は水溶液からの電解析出反応を利用する方法によって、酸化亜鉛膜、酸化アルミニウム膜、酸化セリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ケイ素膜、酸化スズ膜、及び酸化インジウム膜からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物膜を形成することを特徴とする、銀めっき皮膜の変色防止膜の形成方法。
6.酸化物膜が酸化亜鉛膜であり、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法、亜鉛化合物を含有する水溶液中で高電流密度で電解する方法、又は電気めっき法で亜鉛膜を形成した後高温で酸化する方法によって、銀めっき皮膜上に該酸化亜鉛膜を形成することを特徴とする、上記項5に記載の銀めっき皮膜の変色防止膜の形成方法。
7.酸化亜鉛膜が酸化アルミニウム膜であり、アルミニウムイオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法、又はアルミニウム化合物を含有する水溶液中で高電流密度で電解する方法によって、銀めっき皮膜上に該酸化アルミニウム膜を形成することを特徴とする、上記項5に記載の銀めっき皮膜の変色防止膜の形成方法。
以下、本発明の銀めっき皮膜用変色防止膜およびその形成方法について具体的に説明する。
銀めっき皮膜用変色防止膜
本発明の銀めっき皮膜用変色防止膜は、酸化亜鉛膜(ZnO)、酸化アルミニウム膜(Al2O3)、酸化セリウム膜(CeO2)、酸化ジルコニウム膜(ZrO2)、酸化ケイ素膜(SiO2)、酸化スズ膜(SnO2)、及び酸化インジウム膜(In2O3)からなる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物膜からなるものである。
これらの変色防止膜を銀めっき皮膜上に形成することによって、銀めっき皮膜の変色を効果的に防止することができる。特に、硫黄含有化合物が存在する雰囲気下や高温雰囲気下においても、銀めっき皮膜の変色を長期間抑制できる。更に、本発明の銀めっき皮膜の変色防止膜は、透明性に優れたものであり、LEDの反射板の保護皮膜とする場合にも、銀めっき皮膜の有する優れた反射性能をほとんど低下させることがない。更に、本発明の変色防止膜は、耐久性に優れたものであり、銀めっき皮膜に対する保護性能を長期間維持できる。
上記した変色防止膜の形成方法については特に限定はなく、スパッタリング法やCVD法などの気相法や、ゾルゲル法などの化学反応を利用する方法等公知の方法を適用できる。
特に、酸化亜鉛膜及び酸化アルミニウム膜については、上記した気相法やゾルゲル法の他に、水溶液からの電解析出反応を利用する方法によって容易に形成することができる。
このような方法によれば、大規模な設備や煩雑な浴管理を要することなく、生産性よく目的とする酸化物膜を形成できる。
本発明の変色防止膜の内で、酸化亜鉛膜は、銀めっき皮膜に対して優れた変色防止作用を有することに加えて、電気伝導性と熱伝導性を有するものである。このため、電気伝導性や熱伝導性が要求される部位、例えばLED用リードフレームの反射板部分の銀めっき皮膜の変色防止膜として有効に利用することができる。
また、酸化アルミニウム膜については、硫黄含有物質と反応しても硫化物を形成しないために、硫化物などの硫黄含有物質が存在する雰囲気下においても、特に銀めっき皮膜の変色が生じ難い点で、非常に優れた性能を有するものである。
銀めっき皮膜上に形成する酸化物膜の厚さについては、特に限定的ではないが、通常3nm程度以上とすればよい。特に、酸化亜鉛膜については5nm程度以上であることが好ましく、酸化アルミニウム皮膜については、10nm程度以上であることが好ましい。膜厚の上限についても特に限定的ではなく、使用する目的に応じて適宜決めればよいが、例えば、LED反射板の保護皮膜とする場合には、反射率の低下を防ぐ観点から、300nm程度以下であることが好ましい。
本発明の変色防止膜を適用する対象となる銀めっき皮膜の種類については、特に限定はなく、電解めっき法又は無電解めっき法で形成される各種の銀めっき皮膜に対して、本発明の変色防止膜を利用できる。電解めっき法に用いる銀めっき浴としては、例えば、シアン化物浴、ノーシアン浴(ヨウ化物浴、三メタリン酸塩浴、チオ硫酸塩浴、スクシンイミド浴)等の他、高速部分めっき浴等を挙げることができる。また、無電解めっき法に用いるめっき浴としては、置換析出型又は自己触媒型の公知の無電解銀めっき浴を使用できる。
銀めっきの対象となる被処理物の種類についても特に限定はなく、装飾的用途の物品として、装身具、食器、喫煙具、バッヂ、メタル、楽器等を挙げることができる。更に、銀めっき皮膜の有する優れた電気特性、ハンダ付け性などの性能を利用して、各種スイッチ、接点、端子、コネクタ、リードフレーム等の電気・電子部品を処理対象物とすることができる。また、短波長可視光域の光の反射率が特に良好であるという銀めっき皮膜の特性を利用して、LED用リードフレームの反射板部分を被処理物とすることもできる。特に、LEDの反射板部分を被処理物とする場合には、本発明の変色防止膜を用いることによって、該反射板に形成された銀めっき皮膜の反射率をほとんど低下させることなく、硫化物や酸化物の形成による銀めっき皮膜の変色を長期間抑制することが可能となる。
変色防止膜の形成方法
本発明の銀めっき皮膜用変色防止膜の形成方法の好適な例として、酸化亜鉛膜及び酸化アルミニウム膜について、水溶液からの電解法析出反応を利用する方法を具体的に説明する。
1.酸化亜鉛膜の形成方法:
(i)亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液中での電解法:
この方法は、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法である。例えば、亜鉛イオンを0.1〜1000mmol/L程度と硝酸イオンを0.1〜10000mmol/L程度含有する水溶液を電解液として、銀めっき皮膜が形成された被処理物を陰極として電解すればよい。
亜鉛イオン源となる化合物としては、水溶性亜鉛塩を用いればよく、その具体例として、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、炭酸亜鉛等を挙げることができる。
硝酸イオン源としては、硝酸、水溶性硝酸塩等を用いることができ、硝酸塩の具体例として、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸尿素等を挙げることができる。
亜鉛イオン源となる化合物及び硝酸イオン源となる化合物は、それぞれ、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。また、亜鉛イオン及び硝酸イオンの両方のイオン源として、硝酸亜鉛を単独で用いても良い。
電解液のpHは1〜7程度とすることが好ましく、浴温は20〜90℃程度、陰極電流密度は1〜20000mA/dm程度とすることが好ましい。陽極材料としては、通常の電気亜鉛めっきで用いられているものと同様の可溶性陽極や通常の電気めっき法で用いられている不溶性陽極等を用いることができる。電解時には電解液を撹拌してもよく、無撹拌でもよいが、特に無撹拌とすることが好ましい。
上記電解液には、更に、水溶性増粘剤を添加することができる。水溶性増粘剤を添加することによって、酸化亜鉛膜の析出を促進することができる。水溶性増粘剤としては、分子量1000〜20000程度のポリエチレングリコール、グリセリンなどを用いることができる。水溶性増粘剤の添加量については、特に限定的ではないが、ポリエチレンングリコールについては、10〜10000mg/L程度とすることが好ましく、グリセリンについては、1〜1000mmol/L程度とすることが好ましい。
(ii)亜鉛化合物含有水溶液中での高電流密度電解法:
この方法は、水溶液亜鉛化合物を含有する水溶液中で高電流密度で陰極電解する方法である。例えば、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の水溶性亜鉛化合物を10〜1000mmol/L程度含有する水溶液を電解液として、銀めっき皮膜が形成された被処理物を陰極として電解すればよい。この方法では、該電解液中に、更に、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属導電性塩を0.1〜10000mmol/l程度存在させても良い。
更に、上記した亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様に、水溶性増粘剤を添加することによって、酸化亜鉛膜の析出を促進することができる。水溶液増粘剤の種類、添加量などについては、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様とすればよい。
電解液のpHは1〜7程度とすることが好ましく、浴温は20〜90℃程度、陰極電流密度は1〜50A/dm程度とすることが好ましい。具体的に適切な電流密度は、水溶性亜鉛化合物の濃度によって異なるが、通常、上記した条件の範囲内において、水溶液亜鉛化合物の濃度が高い場合には、高電流密度とすることが好ましい。水溶液亜鉛化合物の濃度が低い場合には、上記した電流密度の範囲内において、低い電流密度での電解によっても酸化亜鉛膜を形成することができる。
陽極材料としては、通常の電気亜鉛めっきで用いられているものと同様の可溶性陽極や通常の電気めっき法で用いられている不溶性陽極等を用いることができる。電解時には電解液を撹拌してもよく、無撹拌でもよいが、特に無撹拌とすることが好ましい。
(iii)電析亜鉛膜の高温酸化法
この方法は、電気めっき法で亜鉛膜を形成した後、高温で酸化して酸化亜鉛膜を形成する方法である。亜鉛膜を形成するための電気めっき法については特に限定はなく、シアン化物浴、ジンケート浴などのアルカリ浴、塩化亜鉛浴、硫酸亜鉛浴などの酸性浴等の公知の亜鉛めっき浴を用いて公知の方法に従えばよい。
形成された電析亜鉛膜を酸化する方法については特に限定的ではないが、例えば、空気中において、100〜400℃程度で1〜120分程度加熱すればよい。
上記した方法の内で、特に、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液中で陰極電解する方法によれば、比較的簡単な方法によって、平滑性に優れた酸化亜鉛膜を形成することができる。
2. 酸化アルミニウム膜の形成方法:
(i)アルミニウムイオン及び硝酸イオンを含む水溶液中での電解法:
この方法は、アルミニウムイオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法である。例えば、アルミニウムイオンを0.1〜1000mmol/L程度と硝酸イオンを0.1〜10000mmol/L程度含有する水溶液を電解液として、銀めっき皮膜が形成された被処理物を陰極として電解すればよい。
アルミニウムイオン源となる化合物としては、水溶性アルミニウム塩を用いればよく、その具体例として、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等を挙げることができる。
硝酸イオン源としては、硝酸、水溶性硝酸塩等を用いることができ、硝酸塩の具体例として、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸尿素等を挙げることができる。
アルミニウムイオン源となる化合物及び硝酸イオン源となる化合物は、それぞれ、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。また、アルミニウムイオン及び硝酸イオンの両方のイオン源として、硝酸アルミニウムを単独で用いても良い。
電解液のpHは1〜7程度とすることが好ましく、浴温は20〜90℃程度、陰極電流密度は1〜20000mA/dm程度とすることが好ましい。陽極材料としては、通常の電気めっき法で用いられている不溶性陽極等を用いることができる。電解時には電解液を撹拌してもよく、無撹拌でもよいが、特に無撹拌とすることが好ましい。
上記電解液には、更に、上記した亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様に、水溶性増粘剤を添加することによって、酸化アルミニウム膜の析出を促進することができる。水溶液増粘剤の種類、添加量などについては、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様とすればよい。
(ii)アルミニウム化合物含有水溶液の高電流密度電解法:
この方法は、水溶液アルミニウム化合物を含有する水溶液中で高電流密度で陰極電解する方法である。例えば、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム化合物を10〜1000mmol/L程度含有する水溶液を電解液として、銀めっき皮膜が形成された被処理物を陰極として電解すればよい。この方法では、該電解液中に、更に、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属導電性塩を0.1〜10000mmol/l程度存在させても良い。
更に、上記した亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様に、水溶性増粘剤を添加することによって、酸化アルミニウム膜の析出を促進することができる。水溶液増粘剤の種類、添加量などについては、亜鉛イオン及び硝酸イオンを含む水溶液と同様とすればよい。
電解液のpHは1〜7程度とすることが好ましく、浴温は20〜90℃程度、陰極電流密度は1〜50A/dm程度とすることが好ましい。具体的に適切な電流密度は、水溶性アルミニウム化合物の濃度によって異なるが、通常、上記した条件の範囲内において、水溶液アルミニウム化合物の濃度が高い場合には、高電流密度とすることが好ましい。水溶液アルミニウム化合物の濃度が低い場合には、上記した電流密度の範囲内において、低い電流密度での電解によっても酸化アルミニウム膜を形成することができる。
陽極材料としては、通常の電気めっき法で用いられている不溶性陽極等を用いることができる。電解時には電解液を撹拌してもよく、無撹拌でもよいが、特に無撹拌とすることが好ましい。
上記した方法の内で、特に、アルミニウムイオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法によれば、比較的簡単な方法によって、平滑性に優れた酸化アルミニウム膜を形成することができる。
3.部分的変色防止方法:
本発明の変色防止膜の形成方法において、例えば、LED用リードフレームの反射板部分に選択的に銀めっき皮膜と変色防止膜を形成する場合には、例えば、スパージャーマスク等の部分めっき用マスクを用い、更に、変色防止膜の形成方法として、水溶液からの電解法を採用することによって、簡単な処理方法で、被処理物の特定部分に選択的に銀めっき皮膜と変色防止膜を形成することが可能となる。この方法によれば、非常に効率良く、部分的に選択的に変色防止膜を形成できる。
本発明の銀めっき用変色防止膜によれば、銀めっき皮膜の変色を効果的に防止することができる。特に、硫黄含有化合物が存在する雰囲気下や高温雰囲気下においても、銀めっき皮膜の変色を長期間抑制できる。更に、本発明の銀めっき皮膜の変色防止膜は、透明性に優れたものであり、LEDの反射板の保護皮膜とする場合に、銀めっき皮膜の有する優れた反射性能をほとんど低下させることがない。更に、本発明の変色防止膜は、耐久性に優れたものであり、銀めっき皮膜に対する保護性能を長期間維持できる。
特に、変色防止膜の形成方法として、水溶液からの電解方法を採用する場合には、大規模な設備や煩雑な浴管理を要することなく、生産性よく目的とする酸化亜鉛膜又は酸化アルミニウム膜を形成できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
被処理物として、大きさ0.2×30.0×33.0mm、めっき面積約0.2dmの銅板を用い、シアン化ナトリウム30g/L、水酸化ナトリウム30g/L及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム10g/Lを含む電解脱脂液中で、陽極材料として鉄板を用いて陰極電解洗浄を行った。その後、シアン化銀カリウム40g/L、遊離シアン化カリウム30g/L及び炭酸カリウム30g/Lを含む銀めっき浴を用い、陽極材料としてチタン白金メッシュを用いて、浴温30℃、陰極電流密度4000mA/dmの条件で銀めっき皮膜を形成した。形成された銀めっき皮膜の厚さは約3μmであった。
次いで、硝酸亜鉛6mmol/L及び硝酸ナトリウム60mmol/Lを溶解した水溶液を酸化亜鉛膜形成用の電解液として用い、陽極材料としてチタン白金メッシュを用いて、pH5、浴温50℃、陰極電流密度400mA/dmの条件で陰極電解を行い、銀めっき皮膜上に酸化亜鉛膜を形成した。酸化亜鉛膜の膜厚は、電解時間を変化させることによって、約5nm、約30nm、約60nmの3種類とした。尚、酸化亜鉛膜の膜厚は、原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。
上記した方法で酸化亜鉛膜を形成した試料について、空気中で200℃で1時間加熱した後、0.3%硫化アンモニウム水溶液に25℃で5分間浸漬することによって硫化物による変色試験を行った。この試験は、高温雰囲気下におかれる酸化物膜の変色防止性能を評価するものである。
変色試験前後の試料について、分光光度計を用い、標準板としてラブスフェア社の標準白色板スペクトラロンSRS−99を使用して、780nmと400nmの波長における全反射率を測定した。
また、比較試料として、上記した方法で銀めっき皮膜を形成した試料(未処理試料)、上記した方法で銀めっき皮膜を形成した後、市販の有機系変色防止剤(商標名:New Dain Silver、大和化成(株)製)を用いて、変色防止処理を施した試料(有機系変色防止処理試料)、及び上記した方法で銀めっき皮膜を形成した後、市販の金ストライクめっき浴を用いて、厚さ3〜5nmの金めっき皮膜を形成した試料(金フラッシュ処理試料)についても、同様にして、硫化物による変色試験を行い、試験前後の全反射率を測定した。結果を下記表1及び表2に示す。
Figure 0005508084
Figure 0005508084
以上の結果から明らかなように、銀めっき表面に酸化亜鉛膜を5nm以上形成した試料は、波長780nmでの反射率は、加熱後の硫化変色試験後においても、変色試験前の銀めっき皮膜の反射率に対して90%以上という高い値を維持しており、優れた耐熱性と耐変色性を有するものであった。更に、波長400nmという短波長域の可視光についても、加熱後の硫化変色試験後において、変色試験前の銀めっき皮膜の反射率に対してほぼ70%程度の反射率を維持しており、硫化物による変色が生じ難いものであることが確認できた。
実施例2
実施例1と同一の方法で銀めっき皮膜を形成した後、硝酸アルミニウム6mmol/L及び硝酸ナトリウム60mmol/Lを溶解した水溶液を酸化アルミニウム膜形成用の電解液として用い、陽極材料としてチタン白金メッシュを用いて、pH3.5、浴温50℃、陰極電流密度400mA/dmの条件で陰極電解を行い、銀めっき皮膜上に酸化アルミニウム膜を形成した。酸化アルミニウム膜の膜厚は、電解時間を変化させることによって、約20nm、約60nm、約120nmの3種類とした。
上記した方法で酸化アルミニウム膜を形成した試料について、実施例1と同じ方法で硫化物による変色試験を行い、変色試験前後の試料について全反射率を測定した。結果を下記表3及び表4に示す。
Figure 0005508084
Figure 0005508084
以上の結果から明らかなように、銀めっき表面に酸化アルミニウム膜を20nm以上形成した試料は、波長780nmの光の反射率は、加熱後の硫化変色試験後においても、変色試験前の銀めっき皮膜の反射率に対して90%以上という高い値を維持しており、優れた耐熱性と耐変色性を有するものであった。更に、波長400nmという低波長域可視光域の光についても、加熱後の硫化変色試験後において、変色試験前の銀めっき皮膜の反射率に対して80%以上の反射率を維持しており、硫化物による変色が特に生じ難いものであった。

Claims (2)

  1. 反射板部分を有するLED用リードフレームと、前記反射板部分に形成された銀めっき皮膜と、陰極電解法によって前記銀めっき皮膜上に形成された膜厚が5〜300nmの酸化亜鉛膜からなる変色防止膜と、を含むことを特徴とする物品。
  2. 亜鉛イオン及び硝酸イオンを含有する水溶液中で陰極電解する方法、又は亜鉛化合物を含有する水溶液中で1〜50A/dmの電流密度で電解する方法によって、前記銀めっき皮膜上に膜厚が5〜300nmの前記酸化亜鉛膜を形成すること、を特徴とする請求項1に記載の物品の製造方法。
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