JP5507751B1 - 超音波検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】追従ゲート方式において、Fゲートを安定して得ることを課題とする。
【解決手段】超音波検査における被検体からの反射エコーのデータである波形データを取得する取得部113と、処理対象となっている波形データにおいて、基準波を検出するための補間トリガポイントを、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定するトリガポイント設定処理部115と、設定された補間トリガポイントを基に、処理対象となっている波形データに続くデータに対してFゲートを設定し、該Fゲート内における検出波の有無を判定するFゲート処理部116と、検出波の有無に関する情報を表示するディスプレイを有することを特徴とする
【選択図】図2

Description

本発明は、超音波を用いた追従ゲート方式による超音波検査装置の技術に関する。
超音波検査は、被検体に対して超音波を入射し、被検体中の異なる材料の界面や亀裂による空間等によって超音波が反射されることを利用し、その反射エコーの強度や、反射エコー検出までの時間を計測することによって行われる。超音波検査の映像は被検体上の平面の各位置で超音波検査を繰り返し行うことで得られた波形データを、その位置に基づいて表示することで得られる。このようにすることで、被検体内部の界面の状態や亀裂の位置等の可視化が可能となる。
一般的な超音波検査装置は、被検体内部の界面等、測定対象の任意の深さに位置する断面についての映像を得る方法としてゲート制御を行う。
ゲート制御は、超音波検査毎に基準タイミングから、定められているゲート遅延時間だけ遅れたタイミングで所定のゲート幅の検出ゲートを設定し、この検出ゲート内の反射エコーで、目標物の有無を検出するものである。つまり、ゲート制御において、超音波検査装置は、ある基準エコーから、予め定められている所定時間後に検出ゲート(一般にFゲートと称される)を設定する。そして、超音波検査装置は、設定されたFゲート中において、検査画像のためのデータを抽出する。
このゲート制御の方法には、一般に固定ゲート方式と追従ゲート方式がある。
この2つの方式の違いは、基準エコーをどの波にするかというものである。
固定ゲート方式は、ゲート開始の基準タイミングを送信エコーの基準とするものである。つまり、固定ゲート方式は、基準エコーをプローブから発信される送信エコーとするものである。ここで、プローブとは、送信エコーを被検体に向けて発信し、かつ、被検体からの反射エコーを受信するものである。
固定ゲート方式は、前記したように送信エコーをFゲート設定のための基準エコーとするものである。従って、被検体の状態がどのような状態であっても基準エコーが変わることはない。これにより、固定ゲート方式は、目標となっている検査断面がプローブから常に一定の位置にある場合に有効であるが、被検体が傾いて設置されている場合等では、目標とする測定断面が検出ゲートから外れてしまう。このような場合、固定ゲート方式では、ゲート幅が広く設定されることにより、被検体が傾いて設置されている場合でも目標の測定断面を取得できるようにしている。しかしながら、このようにすると、本来取得すべき部分以外の反射エコーも取得されてしまうため、鮮明な映像が得られにくくなってしまう。
一方、追従ゲート方式は、反射エコー取得のためのゲートではなく、被検体に属する基準面にゲートを設け、そのゲート内で検出したエコーを基準タイミングとするものである。つまり、追従ゲート方式は、被検体由来の反射エコーの中から基準エコーを設定するものである。追従ゲート方式では、一般的に、被検体表面からの反射エコーを基準エコーとすることが多い。これは、送信エコーの後、最初の反射エコーが被検体表面に由来するエコーであるので、基準エコーと特定しやすいことによる。
そして、追従ゲートにおいて、超音波検査装置は、基準面から定められた位置に、定められたゲート幅の検出ゲートを設け、この検出ゲート内において、目標物の有無の検出を行うものである。つまり、基準エコーを被検体表面に由来するエコーとした場合、超音波検査装置は基準エコーから、予め定められた所定時間後にFゲート(検出ゲート)を設定する。そして、超音波検査装置は設定されたFゲート内において、目標物の有無の検出を行う。
追従ゲートでは、前記したように被検体由来のエコーをFゲート設定のための基準エコーとするものである。従って、被検体の状態に応じて基準エコーも変化する。
例えば、基準エコーを被検体表面に由来するエコーとした場合、被検体が傾いて設置されていれば、基準エコーも被検体の傾きに応じて得られることになる。これにより、追従ゲート方式によれば、被検体の設置状態によらずに、被検体表面から一定の深さのところにある測定断面を取得することが可能となる。このように、追従ゲート方式は、被検体に属する基準面を基に検出ゲートを設定するため、被検体が傾いて設置されている場合でも、検出ゲート幅を変えずに目標とする検査断面に関する情報を取得することが可能となる。
追従ゲート方式は、積層構造物のある断面のみを映像化したい場合等に有効である。
そして、追従ゲート方式では、基準エコーを検出するために、基準エコーを検出するためのゲート(一般にSゲートと称される)を設定する。Sゲートは、被検体の設置状態に応じて設定される。例えば、基準エコーを被検体表面に由来するエコーとした場合、プローブから被検体表面までの距離を基にSゲートを設定する。ここで、Sゲートは、被検体が傾いて設置されていること等を考慮して、所定の時間幅を有するゲートとして設定される。
このとき、超音波検査装置には、所定のしきい値としてのトリガレベル(一般にSトリガレベルと称される)が設定されている。Sゲート内でエコーがSトリガレベルを超えると、超音波検査装置は基準エコーを検知したと判定する。エコーがSトリガレベルを超えた時刻はSトリガポイントと称される。そして、超音波検査装置は、Sトリガポイントから、予め設定されている所定時間後にFゲートを設定する。Fゲートは、検査したい範囲に応じた幅を有している。
このような追従ゲート方式を用いた技術として、特許文献1及び特許文献2に記載の技術がある。
特許文献1に記載の技術は、焦点合わせ操作のとき、表面波同期ゲートモードを使用する。そして、特許文献1に記載の技術は、被検体を測定する時点で主同期モードとして、計測された時間値と焦点位置に対応して設定された表面波同期ゲートモードにおける所定の遅延時間値との和を主同期ゲートモードの所定時間遅延とする。
また、特許文献2に記載の技術は、超音波反射面の測定中に、直前のビーム路程の測定値等が次の測定位置におけるビーム路程の推定値とされ、ゲート遅延時間がこの推定値に合わせて変更されるものである。
特開平5−26858号公報 特開平7−113790号公報
しかしながら、追従ゲート方式において、被検体表面の粗さ等が原因で基準エコーが安定して得られない場合がある。つまり、被検体表面の粗さ等が原因で、十分な大きさのエコーを得ることができず、Sゲート内のエコーがSトリガレベルに達しないことがある。このような場合、基準エコーを得ることができないため、基準エコーを基に設定されるFゲート(検出ゲート)が不定となってしまうという課題がある。
特許文献1及び特許文献2に記載の技術でも、このような課題は考慮されていない。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、追従ゲート方式において、Fゲートを安定して得ることを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、トリガポイントを検出できなかった場合、他の波形データを基に、処理対象となっている波形データにおけるトリガポイントを設定することを特徴とする。
本発明によれば、追従ゲート方式において、Fゲートを安定して得ることができる。
本実施形態に係る超音波検査システムの構成例を示す図である。 本実施形態に係る検査装置の構成例を示す図である。 被検体の例を示す図である。 比較例に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。 比較例に係る検査装置による検査画像の例を示す図である。 第1実施形態に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。 第1実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。 第1実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。 第2実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。 第2実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 第3,4実施形態に係る被検体の例を示す図である。 第3実施形態に係る超音波検査方法の概要を示す図である。 第3実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。 第3実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る超音波検査方法の概要を示す図である。 第4実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。 第4実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである(その1)。 第4実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである(その2)。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明において、「トリガポイント」は前記した「Sトリガポイント」であるものとする。
《システム構成》
図1は、本実施形態に係る超音波検査システムの構成例を示す図である。
超音波検査システム20は、水中に設置された被検体2に対して超音波信号を入射するプローブ1が備え付けられている。そして、プローブ1には、プリアンプ3が接続され、プリアンプ3にはパルサ発生器4と、レシーバ5が接続されている。そして、レシーバ5にはA/D(Analog/Digital)変換器6が接続され、A/D変換器6には、制御装置7が接続されている。
また、制御装置7には、ディスプレイ(表示部)9を備えたデータ処理装置8が接続されている。さらに、制御装置7には、3軸スキャナ10が接続され、プローブ1の動作を制御している。
パルサ発生器4は、プローブ1に対し、繰り返しパルス電圧を印加する。そして、プローブ1においてパルス電圧は超音波信号に変換される。
続いて、変換された超音波信号は、プローブ1先端の音響レンズによって収束され、水中に設置された被検体2へ入射される。
被検体2の表面や、内部の欠陥や、界面で反射した超音波信号は、再びプローブ1で受信される。そして、プローブ1は受信した超音波信号を電気信号に変換しプリアンプ3へ出力する。プリアンプ3とレシーバ5とを介して変換された電気信号は増幅され、A/D変換器6へ出力される。A/D変換器6は、増幅されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換する。
変換された電気信号は、A/D変換器6や、制御装置7内に設置されている検査装置100(図2)によって、被検体2内部の構造や、欠陥等の検査目標からの反射エコーが処理される。そして、検査目標からの反射エコーのピーク値がデータ処理装置8に出力される。また、デジタル化された波形信号自体がデータ処理装置8に入力されてもよい。
なお、ピーク値の検出は、予め指定されている測定ピッチで実行される。データ処理装置8は、被検体2内部の欠陥の探傷映像として映像を構成し、ディスプレイ9に表示する。
一方、前記したようにプローブ1は3軸スキャナ10に取り付けられており、制御装置7によって方形走査が可能となっている。
《検査装置構成》
図2は、本実施形態に係る検査装置の構成例を示す図である。
検査装置(超音波検査装置)100は、メモリ110、演算装置120、記憶装置130を有している。なお、検査装置100は、図1のA/D変換器6又は制御装置7に搭載されることが望ましい。具体的には、後記する同時処理方式ではA/D変換器6に検査装置100が搭載され、一括処理方式では制御装置7に検査装置100が搭載されることが望ましい。
検査装置100が制御装置7に搭載される場合、メモリ110には、記憶装置130に格納されているプログラムが展開され、演算装置120によって展開されたプログラムが実行されている。これにより、メモリ110において、処理部111、及び、処理部111を構成する取得部112、判定部113、Sゲート処理部114、トリガポイント設定処理部115、Fゲート処理部116が具現化されている。ここで、波形データとは、プローブ1(図1)が受信した反射エコーのエコー強度を時系列データとしたものである。
なお、検査装置100がA/D変換器6に搭載される場合、基板に構成されたディジタル回路によって、処理部111、及び、処理部111を構成する各部112〜116が実現される。なお、基板に構成されたディジタル回路によって、各部111〜116が実現される場合、記憶装置130はレジスタ等で構成されることになる。
取得部112は、検査装置100がA/D変換器6に搭載されている場合にはレシーバ5から、検査装置100が制御装置7に搭載されている場合にはA/D変換器6から波形データを取得する。つまり、取得部112は超音波検査における被検体からの反射エコーのデータである波形データを取得する。
判定部113は、各種判定を行う。
Sゲート処理部114は、波形データに対して、Sゲート処理を行う。Sゲート処理については後記する。なお、第3,4実施形態では、Sゲート処理部114はS1ゲート処理及びS2ゲート処理を行う。S1ゲート処理及びS2ゲート処理については後記する。つまり、Sゲート処理部114は、取得された前記波形データに対して、トリガポイントを検出するためのSゲート処理を行う。
トリガポイント設定処理部115は、Sゲート処理部114によるSゲート処理(S1ゲート処理、S2ゲート処理)でトリガポイントを検出できなかった場合に、他の波形データを用いてトリガポイントを補間する。つまり、トリガポイント設定処理部115は、処理対象となっている波形データにおいて、基準波を検出するためのトリガポイント(補間トリガポイント)を、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定する。
Fゲート処理部116は、Fゲート処理を行う。Fゲート処理において、Fゲート処理部116は、設定されたトリガポイントから、予め設定されている所定時間後に、目標とする波形を検出するためのFゲートを設定する。そして、Fゲート処理部116は、目標とする波形を検出することで、映像化するデータ(検査画像のデータ)の抽出処理を行う。
《比較例》
まず、一般的な追従ゲート方式の超音波検査方法の課題を説明するため、一般的に行われている追従ゲート方式を本願発明における実施形態に対する比較例とし、この比較例について説明する。
(被検体)
図3は、被検体の例を示す図である。
ここで、被検体2は、水平面に対して斜めに配置されている。また、被検体2は、内部に内部界面S1及び内部構造S2を有している。つまり、被検体2は異物300によって斜めに配置されている。
超音波信号は、被検体2における、符号P1〜P8の各測定点に入射されるものとする。
内部構造は、測定点P1,P3,P5,P7において存在している。また、測定点P2,P5,P7では、被検体2表面に反射エコーを弱める不均質部301が存在している。
ここで、内部構造S2の有無を検出することが検査目標であるものとする。
図4は、比較例に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。図3を適宜参照しつつ、図4で比較例に係る超音波検査方法を説明する。
図4では、測定点P1〜P8においてプローブ1で検知された反射エコーの波形が時系列で示されている。
ここで、F1は被検体2表面における反射エコーであり、F2は内部界面S1における反射エコーであり、F3は内部構造S2における反射エコーであり、F4は被検体2底面における反射エコーである。そして、図4において、符号TPはトリガポイントを示している。また、符号SGはSゲートであり、符号FGはFゲートである。Sゲート、Fゲートについては、前記しているので、ここでの説明を省略する。なお、図4において、各反射エコーF1〜F4が測定点P1〜P8にかけて徐々に後ろに移動しているのは、被検体2が斜めに設置されていることによる。
図4に示すように、測定点P2,P5,P7では、被検体2表面の不均質部301のせいで、反射エコーが小さくなってしまい、超音波検査システムは、トリガポイントTPを検出できない。従って、超音波検査システムは、Fゲートを設定することができない(破線で示す)。
その結果、測定点P2,P5,P7では内部構造S2における反射エコーの有無を判定することができない。つまり、測定点P2,P5,P7において、データ抜けが生じてしまう。
図5は、比較例に係る検査装置による検査画像の例を示す図である。ここで、図5(a)は図3に示す被検体2に対し、図4に示す処理による検査画像であり、図5(b)は図3に示す被検体2から得られるべき検査画像である。
図5において、内部構造物が検知されたところは「白」で示し、内部構造物が検知されなかったところは「黒」で示し、データ抜けが生じたところ(すなわり、内部構造物S2の有無が不明なところ)をドットで示す。
図5(a)に示すように、測定点P2,P5,P7でデータ抜けが生じてしまっていることが分かる。
《第1実施形態》
次に、図6〜図8を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態は同時処理方式に適用されることが望ましいが、一括処理方式に適用されてもよい。
ここで、同時処理方式は、検査装置100が波形データを取得しつつ、順次ゲート処理を行うものである。これに対して、一括処理方式は、検査装置100が一旦すべての測定点から得られる波形データを取得した後、取得した波形データに対してゲート処理を行うものである。
なお、第1〜第4実施形態における検査装置100の構成は、いずれも図2に示す構成と同様であるので、第1〜第4実施形態において、検査装置100の構成についての説明を省略する。
(処理概要)
図6は、第1実施形態に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。
図6は、図3に示す被検体2に対して、第1実施形態に係る超音波検査処理を行った例を示す。
なお、図6において、図4と同様の構成に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
検査装置100は図4においてトリガポイントを検出できなかった測定点P2,P5,P7において、前の測定点P1,P4,P6におけるトリガポイントTP(黒丸で示す)を測定点P2,P5,P7における補間トリガポイント(処理対象となっている波形データのトリガポイント)TPS(白丸で示す)として設定する。
前の測定点P1,P4,P6におけるトリガポイントTPを測定点P2,P5,P7における補間トリガポイントTPSとして設定するとは、前の測定点P1,P4,P6におけるトリガポイントTPの時刻を、測定点P2,P5,P7における補間トリガポイントTPSの時刻とすることである。
具体的には、検査装置100は、測定点P1のトリガポイントTP1を測定点P2の補間トリガポイントTPS2として設定する。同様に、検査装置100は、測定点P4のトリガポイントTP4を、測定点P5の補間トリガポイントTPS5として設定し、測定点P6のトリガポイントTP6を測定点P7の補間トリガポイントTPS7として設定する。
このようにすることで、図4に示す手法では、トリガポイントTPを取得することができなかった測定点P2,P5,P7でも補間トリガポイントTPSを設定することができる。この結果、検査装置100は、図4ではFゲートFGを設定することができなかった測定点P2,P5,P7でもFゲートFGを設定することができる。
図7は、第1実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。
図6に示す処理を行った結果、被検体2表面の不均質部301のため、比較例における技術では図5(a)に示すようにデータ抜けが生じてしまう測定点P2,P5,P7において、図7に示すように内部構造物の有無に関する情報を検査画像として正確に表示することができる。
(フローチャート)
図8は、第1実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
まず、判定部113は、取得部112が、波形データを取得したか否かを判定する(S101)。
ステップS101の結果、波形データが取得されていない場合(S101→No)、処理部111はステップS101へ処理を戻し、波形データの取得を待機する。
ステップS101の結果、波形データが取得されている場合(S101→Yes)、Sゲート処理部114が、取得した波形に対しSゲート処理を行う(S102)。Sゲート処理では、設定されたSゲート内において、Sトリガレベルを超える反射エコーが検出されるか否かをSゲート処理部114が判定するものである。
そして、判定部113は、Sゲート処理の結果、トリガポイントを検出できたか否かを判定する(S103)。
ステップS103の結果、トリガポイントを検出できた場合(S103→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、検出したトリガポイントを保持値として記憶装置130に上書き保存することで、保持値を更新する(S104)。そして、処理部111は、ステップS108へ処理を進める。
ステップS103の結果、トリガポイントを検出できなかった場合、判定部113は、記憶装置130に保持値があるか否かを判定する(S105)。
ステップS105の結果、保持値がない場合(S105→No)、処理部111はステップS109へ処理を進める。
ステップS105の結果、保持値がある場合(S105→Yes)、トリガポイント設定処理部115は記憶装置130から保持値を取得し(S106)、該保持値を処理対象となっている波形データの補間トリガポイントとして設定する(S107)。
そして、Fゲート処理部116が、ステップS103で検出されたトリガポイント、又はステップS107で保持値を用いて設定された補間トリガポイントを用いて、処理対象となっている波形データに対してFゲート処理を行う(S108)。Fゲート処理では、前記したように、Fゲート処理部116が、トリガポイント又は補間トリガポイントから、予め設定されている所定時間後にFゲートを設定する。そして、Fゲート処理部116が、設定されたFゲート内において、目標とする波形を検出することで映像化するデータ(検査画像のデータ)の抽出処理を行う。
次に、処理部111は、すべての測定点について、ステップS101〜S108の処理を完了したか否かを判定する(S109)。
ステップS109の結果、すべての測定点について、ステップS101〜S108の処理が完了していない場合(S109→No)、処理部111は、ステップS101へ処理を戻し、次の測定点について処理を行う。
ステップS109の結果、すべての測定点について、ステップS101〜S108の処理が完了している場合(S109→Yes)、処理部111は処理を終了する。
なお、図6に示す処理では、1つ前のトリガポイントを補間トリガポイントとしているが、いくつ前のトリガポイントを補間トリガポイントとしてもよい。つまり、ステップS106で取得される保持値は、Sゲート処理によって検出された直近のトリガポイントの時刻値となる。
以上の処理によって、検査装置100は、処理対象となっている波形データにおいて、基準波を検出するためのトリガポイント(補間トリガポイント)を、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定する。このようにすることで、検査装置100は、被検体2表面の粗さ等が原因で十分な大きさの基準エコーを得ることができない場合でも、補間トリガポイントを設定することができる。これにより、検査装置100は、追従ゲート方式において、Fゲートを安定して得ることができる。
さらに、検査装置100は、判定部113によって、トリガポイントが取得されていないと判定された場合、処理対象となっている波形データのトリガポイント(補間トリガポイント)を、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定する。このようにすることで、検査装置100は、効率的に補間トリガポイントを設定することができる。
また、検査装置100は、処理対象となっている波形データの前に取得された波形データのトリガポイントを、処理対象となっている波形データのトリガポイント(補間トリガポイント)とする。このようにすることで、同時処理方式によるトリガポイントの補間が可能となる。
そして、Sゲート処理部114、判定部113及びトリガポイント設定処理部115のそれぞれは、取得部113が取得した波形データを、取得順に処理する。つまり、検査装置100は、同時処理方式でトリガポイントの補間を行う。このようにすることで、超音波検査を行いながらトリガポイントの補間が可能となるので、作業の効率性を向上させることができる。
《第2実施形態》
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、一括処理方式に適用することが望ましい。
図9は、第2実施形態に係る超音波検査方法の処理の概要を示す図である。
なお、図9に示す処理は、図3に示す被検体に対して、第2実施形態に係る超音波検査処理を行った例である。
また、図9において、図4と同様の構成に対しては、同一の符号を付して説明を省略する。
検査装置100は図4においてトリガポイントを検出できなかった測定点P2,P5,P7において、前後の測定点におけるトリガポイントTPから、補間値を算出し、この補間値を測定点P2,P5,P7における補間トリガポイントTPSとして設定する。
具体的には、検査装置100は、測定点P1、P3のトリガポイントTP1,TP3の時刻の平均値を測定点P2の補間トリガポイントTPS2の時刻として設定する。同様に、検査装置100は、測定点P4,P6のトリガポイントTP4,TP6の時刻の平均値を測定点P5の補間トリガポイントTPS5の時刻として設定する。また、検査装置100は、測定点P6,P8のトリガポイントTP6,TP8の時刻の平均値を測定点P7の補間トリガポイントTPS7の時刻として設定する。
このようにすることで、図4に示す手法では、トリガポイントTPを取得することができなかった測定点P2,P5,P7でも補間トリガポイントTPSを設定することができる。この結果、検査装置100は、図4ではFゲートFGを設定することができなかった測定点P2,P5,P7でもFゲートFGを設定することができる。
加えて、補間されたFゲートFGの位置が第1実施形態における技術よりも被検体2の傾きを反映した位置に設定可能となる。
図10は、第2実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。
図9に示す処理を行った結果、被検体2表面の不均質部301のため、比較例における技術では図5(a)に示すようにデータ抜けが生じてしまう測定点P2,P5,P7において、図10に示すように内部構造物S2の有無に関する情報を検査画像として正確に表示することができる。
(フローチャート)
図11は、第2実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
まず、判定部113は、取得部112によって、波形データが取得されたか否かを判定する(S201)。
ステップS201の結果、波形データが取得されていない場合(S201→No)、処理部111はステップS201へ処理を戻し、波形データの取得を待機する。
ステップS201の結果、波形データが取得されている場合(S201→Yes)、判定部113は、すべての測定点について、波形データの取得が完了したか否かを判定する(S202)。
ステップS202の結果、すべての測定点についての波形データの取得が完了していない場合(S202→No)、処理部111はステップS201へ処理を戻し、次の測定点における波形データを取得する。
ステップS202の結果、すべての測定点についての波形データの取得が完了している場合(S202→Yes)、Sゲート処理部114が、波形データを1つ選択し、Sゲート処理を行う(S203)。
続いて、判定部113は、すべての測定点について、Sゲート処理を完了したか否かを判定する(S204)。
ステップS204の結果、すべての測定点について、Sゲート処理を完了していない場合(S204→No)、処理部111はステップS203へ処理を戻す。
ステップS204の結果、すべての測定点について、Sゲート処理を完了している場合(S204→Yes)、判定部113は、最初の波形データについてトリガポイントを検出できたか否かを判定する(S205)。
ステップS205の結果、トリガポイントを検出できた場合(S205→Yes)、処理部111はステップS209へ処理を進める。
ステップS205の結果、トリガポイントを検出できなかった場合(S205→No)、判定部113は、処理対象となっている波形データについて補間可能であるか否かを判定する(S206)。補間可能であるか否かは、補間値の算出が可能か否かである。具体的には、判定部113は、処理対象となっている波形データの前後に、Sゲート処理によって検出されたトリガポイントがあるか否かを判定する。
ステップS206の結果、補間不可能な場合(S206→No)、処理部111はステップS210へ処理を進める。
ステップS206の結果、補間可能である場合(S206→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、処理対象となっている波形データの前後の波形データからトリガポイントの補間値を算出する(S207)。補間値の算出方法は、前後のトリガポイントの平均値等である。
続いて、トリガポイント設定処理部115は、算出した補間値を処理対象となっている波形データの補間トリガポイントとして設定する(S208)
そして、Fゲート処理部116が、ステップS205で検出したトリガポイント、又はステップS208で設定された補間トリガポイントを基に、Fゲート処理を行う(S209)。Fゲート処理については、前記しているので、ここでは説明を省略する。
次に、処理部111は、すべての測定点についてステップS205〜S209の処理を完了したか否かを判定する(S210)。
ステップS210の結果、すべての測定点についてステップS205〜S209の処理が完了していない場合(S210→No)、処理部111はステップS205へ処理を戻し、次の測定点の波形データについて処理を行う。
ステップS209の結果、すべての測定点について、ステップS205〜S209の処理が完了している場合(S210→Yes)、処理部111は処理を完了する。
なお、第2実施形態において、トリガポイント設定処理部115は、処理対象となっている前後の波形データのトリガポイントの平均を補間トリガポイントTPSとしているが、補間値の算出方法はこれに限らない。例えば、トリガポイントを検出できなかった測定点+1の数で、検出されたトリガポイント間を分割し、その分割点を補間値としてもよい。例えば、3箇所の連続した測定点P22〜P24(不図示)においてトリガポイントが検出されず、測定点P21、P25(不図示)においてトリガポイントが検出された場合、トリガポイント設定処理部115は以下の処理を行うようにしてもよい。つまり、トリガポイント設定処理部115は、測定点P21で検出されたトリガポイントの時刻と、測定点P25で検出されたトリガポイントの時刻との間を4分割し、それぞれの分割点を測定点P22〜P24それぞれにおける補間トリガポイントの時刻として設定してもよい。
このように、トリガポイントを検出された測定点の間を分割し、その分割点を補間トリガポイントとする場合、以下のような処理が行われてもよい。つまり、図11のステップS207において、トリガポイント設定処理部115は、前後いくつの測定点においてトリガポイントが検出されていないかを算出してもよい。そして、トリガポイント設定処理部115は、トリガポイントが検出されていない測定点+1の数で、トリガポイントが検出されている時刻間を分割することで補間値を算出してもよい。
あるいは、トリガポイントを検出された測定点の間を分割し、その分割点を補間トリガポイントとする場合、以下のような処理が行われてもよい。つまり、トリガポイント設定処理部115は、図11のステップS205で「No」と判定した場合、「No」と判定された数をカウントする。そして、トリガポイント設定処理部115はステップS205で「Yes」が判定されると、トリガポイントが検出された時刻間をステップS205で「No」と判定された数+1で分割する。続いて、トリガポイント設定処理部115はそれぞれの分割点をトリガポイントが検出されなかった測定点における補間トリガポイントの時刻としてもよい。この場合、トリガポイント設定処理部115は、S1ゲートの処理をすべての測定点について行った後、S2ゲートの処理を行うようにしてもよい。
また、関数等を用いて、それぞれの補完値を設定してもよい。
以上の処理によれば、検査装置100は、処理対象となっている波形データの前後に取得された波形データのトリガポイントの値から、該トリガポイントの補間値を算出する。そして、検査装置100は、該算出された補間値を処理対象となっている波形データのトリガポイント(補間トリガポイント)とする。このようにすることで、検査装置100は、実際のトリガポイントに近い値(時刻)に補完したトリガポイントを設定することができる。
《第3実施形態》
次に、図12〜図15を参照して、本願発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態及び後記する第4実施形態では、Sゲートが2つ存在する場合について説明する。なお、第3実施形態は、同時処理方式に適用するのが好ましいが、一括処理方式に適用してもよい。
(被検体)
図12は、第3,4実施形態に係る被検体の例を示す図である。図12において、図3と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、被検体2は、図3と同様、水平面に対して斜めに配置されている。
内部構造S2は、測定点P1,P3,P5,P7において存在している。また、測定点P2,P5,P7において、被検体2表面に不均質部301が存在している。さらに、測定点P4,P7では、内部界面S1でも不均質部301が存在している。
(処理概要)
図13は、第3実施形態に係る超音波検査方法の概要を示す図である。
なお、図13において、図4、図6と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここでは、検査装置100がS1ゲートSGaの検出を行い、そのS1ゲートSGaのSゲート位置を基に、S2ゲートSGbを検出する。そして、検査装置100はS2ゲートSGbに基づいてFゲート位置にFゲートFGを設定する。
ここで、一般的な追従ゲート方式では、測定点P2では被検体2表面の不均質部301のため、S1ゲートSGaが検出されず、測定点P4では内部界面S1における不均質部301のため、S2ゲートSGbが検出されないことになってしまう。また、一般的な追従ゲート方式では、測定点P5では被検体2表面の不均質部301のため、S1ゲートSGaが検出されておらず、測定点P7では被検体2表面及び内部界面S1における不均質部301のため、S1ゲートSGa、S2ゲートSGbのそれぞれが検出されないことになってしまう。
そこで、検査装置100は、測定点P1におけるS1ゲートSGaのトリガポイントTP11を測定点P2におけるS1ゲートSGaの補間トリガポイントTPS21としている。同様に、検査装置100は、測定点P3におけるS2ゲートSGbのトリガポイントTP32を測定点P4におけるS2ゲートSGbの補間トリガポイントTPS42としている。また、検査装置100は、測定点P4におけるS1ゲートSGaのトリガポイントTP41を測定点P5におけるS1ゲートSGaの補間トリガポイントTPS51としている。さらに、検査装置100は、測定点P6におけるS1ゲートSGa及びS2ゲートSGbのトリガポイントTP61,TP62を、それぞれ測定点P7におけるS1ゲートSGa及びS2ゲートSGbの補間トリガポイントTPS71,TPS72としている。
このようにすることで、検査装置100は、S1ゲートSGaが検出できない測定点P2,P5,P7及びS2ゲートSGbが検出できない測定点P4,P7においてもFゲートFGを確定することができる。
図14は、第3実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。
図13に示す処理を行った結果、被検体2表面や、内部界面S1における不均質部301のため、データ抜けが生じてしまう測定点P2,P4,P5,P7において、図14に示すように内部構造物の有無に関する情報を検査画像として正確に表示することができる。
(フローチャート)
図15は、第3実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
まず、判定部113は、取得部112によって、波形データが取得されたか否かを判定する(S301)。
ステップS301の結果、波形データが取得されていない場合(S301→No)、処理部111はステップS301へ処理を戻し、波形データの取得を待機する。
ステップS301の結果、波形データが取得されている場合(S301→Yes)、Sゲート処理部114が、取得した波形に対しS1ゲート処理を行う(S302)。S1ゲート処理では、設定されたS1ゲート内において、S1トリガレベルを超える反射エコーが検出されるか否かをSゲート処理部114が判定するものである。
そして、判定部113は、S1ゲート処理の結果、S1ゲートにおけるトリガポイントを検出できたか否かを判定する(S303)。
ステップS303の結果、S1ゲートにおけるトリガポイントを検出できた場合(S303→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、検出したトリガポイントを保持値として記憶装置130に上書き保存する。このようにすることで、トリガポイント設定処理部115はS1ゲートにおけるトリガポイントの保持値(S1保持値)を更新する(S304)。そして、処理部111は、ステップS308へ処理を進める。
ステップS303の結果、トリガポイントを検出できなかった場合(S303→No)、トリガポイント設定処理部115は、記憶装置130にS1保持値があるか否かを判定する(S305)。
ステップS305の結果、S1保持値がない場合(S305→No)、処理部111はステップS315へ処理を進める。
ステップS305の結果、S1保持値が保持されている場合(S305→Yes)、トリガポイント設定処理部115は記憶装置130からS1保持値を取得し(S306)、該S1保持値を処理対象となっている波形データのS1ゲートにおける補間トリガポイントとして設定する(S307)。
ステップS304又はステップS307の後、Sゲート処理部114が、ステップS303で取得されたトリガポイント、又はステップS307でS1保持値を用いて設定された補間トリガポイントを用いて、取得した波形に対しS2ゲート処理を行う(S308)。S2ゲート処理では、S1ゲートにおけるトリガポイント又は補間トリガポイントを基に設定されたS2ゲート内において、S2トリガレベルを超える反射エコーが検出されるか否かをSゲート処理部114が判定する。
そして、判定部113は、S2ゲート処理の結果、S2ゲートにおけるトリガポイントを検出できたか否かを判定する(S309)。
ステップS309の結果、トリガポイントを検出できた場合(S309→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、取得したS2ゲートにおけるトリガポイントをトリガポイントの保持値(S2保持値)として記憶装置130に上書き保存する。このようにすることで、トリガポイント設定処理部115はS2保持値を更新する(S310)。そして、処理部111は、ステップS314へ処理を進める。
ステップS309の結果、トリガポイントを取得できなかった場合、トリガポイント設定処理部115は、記憶装置130にS2保持値があるか否かを判定する(S311)。
ステップS311の結果、S2保持値がない場合(S311→No)、処理部111はステップS315へ処理を進める。
ステップS311の結果、S2保持値がある場合(S311→Yes)、トリガポイント設定処理部115は記憶装置130からS2保持値を取得し(S312)、該S2保持値を処理対象となっている波形データのS2ゲートにおける補間トリガポイントとして設定する(S313)。
そして、Fゲート処理部116が、ステップS309で取得されたS2ゲートにおけるトリガポイント、又はステップS313でS2保持値を用いて設定された補間トリガポイントを用いて、処理対象となっている波形データに対してFゲート処理を行う(S314)。Fゲート処理については、前記しているので、ここでは説明を省略する。
次に、処理部111は、すべての測定点について、ステップS301〜S314の処理を完了したか否かを判定する(S315)。
ステップS315の結果、すべての測定点について、ステップS301〜S314の処理が完了していない場合(S315→No)、処理部111は、ステップS301へ処理を戻し、次の測定点について処理を行う。
ステップS315の結果、すべての測定点について、ステップS301〜S314の処理が完了している場合(S315→Yes)、処理部111は処理を終了する。
以上の処理によれば、検査装置100においてSゲート処理部114は、取得された波形データの少なくとも2箇所に対して、トリガポイントを検出するためのSゲート処理を行う。そして、トリガポイント設定処理部115は、判定部によって、トリガポイントが取得されなかった箇所が検出された場合、処理対象となっている波形データにおいて、トリガポイントが検出されなかった箇所のトリガポイント(補間トリガポイント)を、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定する。このように、Sゲートを複数とすることによって、検査装置100は、Fゲートの設定を第1実施形態より確実に行うことができる。
また、検査装置100は、処理対象となっている波形データの前に取得された波形データのトリガポイントを、処理対象となっている波形データのトリガポイント(補間トリガポイント)とする。このようにすることで、同時処理方式によるトリガポイントの補間が可能となる。
そして、検査装置100は、Sゲート処理部114、判定部113及びトリガポイント設定処理部115のそれぞれは、取得部113が取得した波形データを、取得順に処理する。つまり、検査装置100は、同時処理方式でトリガポイントの補間を行う。このようにすることで、超音波検査を行いながらトリガポイントの補間が可能となるので、作業の効率性を向上させることができる。
《第4実施形態》
次に、図16〜図19を参照して、本願発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態は、一括処理方式に適用するのが好ましい、
(処理概要)
図16は、第4実施形態に係る超音波検査方法の概要を示す図である。
なお、使用される被検体2は、第3実施形態の図12に示される被検体2と同様のものとするため、ここでは説明を省略する。
また、図16において、図4、図9と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここでは、第3実施形態の図13と同様に、検査装置100がS1ゲートSGaの検出を行い、そのS1ゲートSGaのSゲート位置を基に、S2ゲートSGbを検出する。そして、検査装置100はS2ゲートSGbに基づいて、Fゲート位置にFゲートFGを設定する。
ここで、一般的な追従ゲート方式では、測定点P2では被検体2表面の不均質部301のため、S1ゲートSGaが検出されず、測定点P4では界面S2における不均質部301のため、S2ゲートSGbが検出されないことになってしまう。また、一般的な追従ゲート方式では、測定点P5では被検体2表面の不均質部301のため、S1ゲートSGaが検出されておらず、測定点P7では被検体2表面及び内部界面S1における不均質部301のため、S1ゲートSGa、S2ゲートSGbのそれぞれが検出されないことになってしまう。
そこで、検査装置100は、測定点P1及び測定点P3におけるS1ゲートSGaのトリガポイントTP11,TP31から、測定点P2におけるS1ゲートSGaの補間トリガポイントTPS21を補間している。同様に、検査装置100は、測定点P3及び測定点P5におけるS2ゲートSGbのトリガポイントTP32,TP52から、測定点P4におけるS2ゲートSGbの補間トリガポイントTPS42を補間している。また、検査装置100は、測定点P4及び測定点P6におけるS1ゲートSGaのトリガポイントTP41,TP61から、測定点P5におけるS1ゲートSGaの補間トリガポイントTPS51を補間している。さらに、検査装置100は、測定点P6及び測定点P8におけるS1ゲートSGaのトリガポイントTP61,TP81から、測定点P7におけるS1ゲートSGa及びS2ゲートSGbの補間トリガポイントTPSを補間している。さらに、検査装置100は、測定点P6及び測定点P8におけるS2ゲートSGbそれぞれのトリガポイントTP62,TP82から、測定点P7におけるS2ゲートSGbの補間トリガポイントTPS72を補間している。
補間値の算出方法は、第2実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
このようにすることで、検査装置100は、S1ゲートSGaが検出できない測定点P2,P5,P7及びS2ゲートSGbが検出できない測定点P4,P7においてもFゲートFGを確定することができる。
図17は、第4実施形態による超音波検査方法を用いた結果、得られる検査画像の例を示す図である。
図16に示す処理を行った結果、被検体2表面や、内部界面S1における不均質部301のため、データ抜けが生じてしまう測定点P2,P4,P5,P7において、図17に示すように内部構造物の有無に関する情報を検査画像として正確に表示することができる。
(フローチャート)
図18及び図19は、第4実施形態に係る超音波検査方法の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
まず、判定部113は、取得部112によって、波形データが取得されたか否かを判定する(図18のS401)。
ステップS401の結果、波形データが取得されていない場合(S401→No)、処理部111はステップS401へ処理を戻し、波形データの取得を待機する。
ステップS401の結果、波形データが取得されている場合(S401→Yes)、判定部113は、すべての測定点について、波形データの取得が完了したか否かを判定する(S402)。
ステップS402の結果、すべての測定点についての波形データの取得が完了していない場合(S402→No)、処理部111はステップS401へ処理を戻し、次の測定点における波形データを取得する。
ステップS402の結果、すべての測定点についての波形データの取得が完了している場合(S402→Yes)、Sゲート処理部114が、波形データを1つ選択し、S1ゲートを検出するためのS1ゲート処理を行う(S403)。
続いて、判定部113は、すべての測定点について、S1ゲート処理を完了したか否かを判定する(S404)。
ステップS404の結果、すべての測定点について、S1ゲート処理を完了していない場合(S404→No)、処理部111はステップS404へ処理を戻す。
ステップS404の結果、すべての測定点について、S1ゲート処理を完了している場合(S404→Yes)、判定部113は、S1ゲート位置における波形データについてトリガポイントを検出できたか否かを判定する(S405)。
ステップS405の結果、トリガポイントを検出できた場合(S405→Yes)、処理部111はステップS409へ処理を進める。
ステップS405の結果、トリガポイントを検出できなかった場合(S405→No)、判定部113は、処理対象となっている波形データについてS1ゲートにおけるトリガポイントを補間可能であるか否かを判定する(S406)。補間可能であるか否かは、補間値の算出が可能か否かである。具体的には、判定部113は、処理対象となっている波形データの前後に、S1ゲート処理によって取得させたトリガポイントがあるか否かを判定する。
ステップS406の結果、補間不可能な場合(S406→No)、処理部111はステップS410へ処理を進める。
ステップS406の結果、補間可能である場合(S406→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、処理対象となっている波形データの前後の波形データからS1ゲートにおけるトリガポイントの補間値であるS1補間値を算出する(S407)。
続いて、トリガポイント設定処理部115は、算出したS1補間値を処理対象となっている波形データのS1ゲートにおける補間トリガポイントとして設定する(S408)
そして、Sゲート処理部114が、ステップS405で検出したトリガポイント、又はステップS408で設定された補間トリガポイントを記憶装置130に保持する(S409)。
次に、判定部113は、すべての測定点についてステップS405〜S409の処理を完了したか否かを判定する(S410)。
ステップS410の結果、すべての測定点についてステップS405〜S409の処理を完了していない場合(S410→No)、処理部111はステップS405へ処理を戻す。
ステップS410の結果、すべての測定点についてステップS405〜S409の処理を完了している場合(S410→Yes)、Sゲート処理部114が、波形データを1つ選択し、S2ゲートを検出するためのS2ゲート処理を行う(図19のS411)。
続いて、判定部113は、すべての測定点について、S2ゲート処理を完了したか否かを判定する(S412)。
ステップS412の結果、すべての測定点について、S2ゲート処理を完了していない場合(S412→No)、処理部111はステップS411へ処理を戻す。
ステップS412の結果、すべての測定点について、S2ゲート処理を完了している場合(S412→Yes)、判定部113は、S2ゲート位置における波形データについてトリガポイントを検出できたか否かを判定する(S413)。
ステップS413の結果、トリガポイントを検出できた場合(S413→Yes)、処理部111はステップS416へ処理を進める。
ステップS413の結果、トリガポイントを検出できなかった場合(S413→No)、判定部113は、処理対象となっている波形データについてS2ゲートにおけるトリガポイントを補間可能であるか否かを判定する(S414)。補間可能であるか否かは、補間値の算出が可能か否かである。具体的には、判定部113は、処理対象となっている波形データの前後に、S2ゲート処理によって取得させたトリガポイントがあるか否かを判定する。
ステップS414の結果、補間不可能な場合(S414→No)、処理部111はステップS417へ処理を進める。
ステップS414の結果、補間可能である場合(S414→Yes)、トリガポイント設定処理部115が、処理対象となっている波形データの前後の波形データからS2ゲートにおけるトリガポイントの補間値であるS2補間値を算出する(S415)。
続いて、トリガポイント設定処理部115は、算出したS2補間値を処理対象となっている波形データの補間トリガポイントとして設定する(S416)
そして、Fゲート処理部116が、ステップS413で検出したトリガポイント、又はステップS416で設定された補間トリガポイントを基に、Fゲート処理を行う(S417)。Fゲート処理については、前記しているので、ここでは説明を省略する。
次に、判定部113は、すべての測定点についてステップS413〜S417の処理を完了したか否かを判定する(S418)。
ステップS418の結果、すべての測定点についてステップS413〜S417の処理が完了していない場合(S418→No)、処理部111はステップS413へ処理を戻し、次の測定点の波形データについて処理を行う。
ステップS418の結果、すべての測定点について、ステップS413〜S417の処理が完了している場合(S418→Yes)、処理部111は処理を完了する。
なお、第4実施形態において、トリガポイント設定処理部115は、処理対象となっている前後の波形データのトリガポイントの平均を補間トリガポイントTPSとしているが、補間値の算出方法はこれに限らない。例えば、トリガポイントを検出できなかった測定点+1の数で、検出されたトリガポイント間を分割し、その分割点を補間値としてもよい。例えば、3箇所の連続した測定点P22〜P24(不図示)においてトリガポイントが検出されず、測定点P21、P25(不図示)においてトリガポイントが検出された場合を考える。このとき、トリガポイント設定処理部115は、測定点P21で検出されたトリガポイントの時刻と、測定点P25で検出されたトリガポイントの時刻との間を4分割し、それぞれの分割点を測定点P22〜P24それぞれにおける補間トリガポイントの時刻として設定してもよい。
このように、トリガポイントを検出された測定点の間を分割し、その分割点を補間トリガポイントとする場合、以下のような処理が行われてもよい。つまり、図18のステップS407や、図19のステップS415において、トリガポイント設定処理部115は、前後いくつの測定点においてトリガポイントが検出されていないかを算出してもよい。そして、トリガポイント設定処理部115は、トリガポイントが検出されていない測定点+1の数で、トリガポイントが検出されている時刻間を分割することで補間値を算出してもよい。
あるいは、トリガポイントを検出された測定点の間を分割し、その分割点を補間トリガポイントとする場合、以下のような処理が行われてもよい。つまり、トリガポイント設定処理部115は、図18のステップS405で「No」と判定した場合、「No」と判定された数をカウントする。そして、トリガポイント設定処理部115はステップS405で「Yes」が判定されると、トリガポイントが検出された時刻間をステップS405で「No」と判定された数+1で分割する。続いて、トリガポイント設定処理部115はそれぞれの分割点をトリガポイントが検出されなかった測定点における補間トリガポイントの時刻としてもよい。そして、トリガポイント設定処理部115は、S2ゲートにおける処理でも同様の処理を行ってもよい。この場合、トリガポイント設定処理部115は、S1ゲートの処理をすべての測定点について行った後、S2ゲートの処理を行うようにしてもよい。
また、関数等を用いて、それぞれの補完値を設定してもよい。
また、第4実施形態によれば、検査装置100は、取得された波形データの少なくとも2箇所に対して、トリガポイントを検出するためのSゲート処理を行う。そして、トリガポイント設定処理部115は、判定部によって、トリガポイントが取得されなかった箇所が検出された場合、処理対象となっている波形データにおいて、トリガポイントが検出されなかった箇所のトリガポイント(補間トリガポイント)を、他の波形データから取得されたトリガポイントを基に設定する。このようにすることで、Fゲートの設定を第2実施形態より確実にすることができる。
また検査装置100は、処理対象となっている波形データの前後に取得された波形データのトリガポイントの値から、該トリガポイントの補間値を算出し、該算出された補間値を処理対象となっている波形データのトリガポイント(補間トリガポイント)とする。このようにすることで、検査装置100は、実際のトリガポイントに近い値(時刻)に補完したトリガポイントを設定することができる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、メモリ110、各部111〜116、演算装置120、記憶装置130等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図2に示すように、前記した各構成、機能、メモリ110、各部111〜116、演算装置120、記憶装置130等は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1 プローブ
2 被検体
3 プリアンプ
4 パルサ発生器
5 レシーバ
6 A/D変換器
7 制御装置
8 データ処理装置
9 ディスプレイ(表示部)
20 超音波検査システム
100 検査装置(超音波検査装置)
111 処理部
112 取得部
113 判定部
114 Sゲート処理部
115 トリガポイント設定処理部
116 Fゲート処理部
300 異物
301 不均質部
FG Fゲート
SG Sゲート
SGa S1ゲート
SGb S2ゲート
TP,TP1,TP3,TP4,TP6,TP8,TP11,TP31,TP41,TP61,TP81,TP32,TP52,TP62,Tp82 トリガポイント
TPS,TPS2,TPS5,TPS7,TPS21,TPS51,TPS71,TPS42,TPS72 補間トリガポイント

Claims (9)

  1. 超音波検査における被検体からの反射エコーのデータである波形データを取得する取得部と、
    取得された前記波形データに対して、基準エコーを検出するために設定されるSゲート中において、前記波形データの値が、予め設定されているしきい値を超えた時刻である、トリガポイントを検出するためのSゲート処理を行うSゲート処理部と、
    前記Sゲート処理の結果、前記トリガポイントが検出されたか否かを判定する判定部と、
    前記判定部によって、前記トリガポイントが検出されていないと判定された場合、処理対象となっている波形データにおいて、前記トリガポイントを、他の波形データにおいて検出されたトリガポイントを基に設定するトリガポイント設定処理部と、
    前記設定されたトリガポイントを基に、目標とする波形を検出するためのFゲートを設定するFゲート処理部と、
    を有することを特徴とする超音波検査装置。
  2. 前記トリガポイント設定処理部は、
    前記処理対象となっている波形データの前に取得された波形データのトリガポイントを、前記処理対象となっている波形データのトリガポイントとする
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
  3. 前記Sゲート処理部、前記判定部及び前記トリガポイント設定処理部のそれぞれは、前記取得部が取得した波形データを、取得順に処理する
    ことを特徴とする請求項に記載の超音波検査装置。
  4. 前記トリガポイント設定処理部は、前記処理対象となっている波形データの前後取得された波形データのトリガポイントの値から、該トリガポイントの補間値を算出し、該算出された補間値を前記処理対象となっている波形データのトリガポイントとする
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
  5. 前記Sゲート処理部は、
    取得された前記波形データの少なくとも2箇所に対して、前記Sゲート処理を行
    前記判定部は、
    それぞれの前記Sゲート処理の結果、前記トリガポイントが検出されたか否かを判定し、
    前記トリガポイント設定処理部は、前記波形データのうちで、前記トリガポイントの検出対象となっている箇所のうち、前記トリガポイントが検出されなかった箇所がある場合、処理対象となっている前記波形データにおいて、前記トリガポイントが検出されなかった箇所のトリガポイントを、他の波形データから検出されたトリガポイントを基に設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
  6. 前記トリガポイント設定処理部は、
    前記処理対象となっている波形データの前に取得された波形データのトリガポイントを、前記処理対象となっている波形データのトリガポイントとする
    ことを特徴とする請求項に記載の超音波検査装置。
  7. 前記Sゲート処理部、前記判定部及び前記トリガポイント設定処理部のそれぞれは、前記取得部が取得した波形データを、取得順に処理する
    ことを特徴とする請求項に記載の超音波検査装置。
  8. 前記トリガポイント設定処理部は、前記処理対象となっている波形データの前後取得された波形データのトリガポイントの値から、該トリガポイントの補間値を算出し、該算出された補間値を前記処理対象となっている波形データのトリガポイントとする
    ことを特徴とする請求項に記載の超音波検査装置。
  9. 超音波検査における被検体からの反射エコーのデータである波形データを取得する取得部と、
    取得された前記波形データに対して、基準エコーを検出するために設定されるSゲート中において、前記波形データの値が、予め設定されているしきい値を超えた時刻である、トリガポイントを検出するためのSゲート処理を行うSゲート処理部と、
    前記Sゲート処理の結果、前記トリガポイントが検出されたか否かを判定する判定部と、
    前記判定部によって、前記トリガポイントが検出されていないと判定された場合、処理対象となっている波形データにおいて、前記トリガポイントを、他の波形データにおいて検出されたトリガポイントを基に設定するトリガポイント設定処理部と、
    前記設定されたトリガポイントを基に、目標とする波形を検出するためのFゲートを設定するFゲート処理部と、
    前記検出波の有無に関する情報を表示する表示部と、
    を有することを特徴とする超音波検査装置。
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