JP5507419B2 - 中空樹脂成形体の成形方法 - Google Patents
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Description
このような1次成形においては、中空樹脂成形体を二つ割の半中空樹脂成形体あるいは分割体として成形し、次の2次成形において、その半中空樹脂成形体同士を突き合わせて加熱あるいは溶着して中空樹脂成形体を製造することができる。
また、このような1次成形、2次成形を順次実行する射出成形の製造法によれば、複雑な形状にも対処でき、均一な肉厚の中空樹脂成形体を得ることができる。
また、特許文献2(特開平7−16945号公報)には、接合部を加圧溶着する中空体製品の成形方法が記載されている。この1次成形においては、まず、移動金型と可動金型とを使用して第1、2半中空体を接合部を有するように一体的に成形する。次の2次成形においては、可動金型を固定金型に対してスライド移動させる。こうして半中空体の一方の半中空体を他方の半中空体に、それぞれの接合部が対向するように重ねる。この重ねられた第1、2半中空体の接合部の内面側を加熱して、接合部を加圧溶着するようにしている。
すなわち、接合部形成用キャビティへの樹脂の射出圧力、その停止タイミング、温度など、接合部形成用キャビティへの樹脂充填時の圧力や温度を適正に制御できない場合には、所望の接合部が得られず接合不良の要因となることがあった。
フランジ部分が障害となって充填不良を起こしやすく、しかも、キャビティ内における溶融樹脂の流動状態の判定が容易でないために生産効率性が悪くなるという問題点があった。
また、特許文献2に記載の発明では、第1、2半中空体の接合部の内面側に埋められた電熱コイル、抵抗ヒータ等の電気発熱体で加熱するので、このための制御機構や装置構成が複雑化してコストアップに繋がるという問題点もあった。
こうして、ダイスライドインジェクション(DSI)方式などを含む可動分割式金型に温度センサと圧力センサを複数設置して接合部形成用キャビティ内の溶融樹脂の状態を可視化することで、射出成形機を制御して安定した量産化技術を確立することができる。
すなわち、半中空樹脂成形体の接合不良による歩留まり低下を防止して、生産効率性やコスト性に優れた中空樹脂成形体の成形方法を提供できる。
この接合においては、溶融樹脂が射出される接合部形成用キャビティの複数の射出ゲート付近に圧力センサを取り付け、射出ゲートから射出される溶融樹脂が最終的に合流する接合部形成用キャビティ内の樹脂最終合流点に温度センサを取り付ける。
溶融樹脂が最終的に合流する接合部形成用キャビティ内の樹脂最終合流点は、溶融樹脂の合流点が複数ある場合は、最後に溶融樹脂が合流する位置であり、射出ゲートからの距離が最も遠方となる位置が該当する。
こうして、温度センサからのセンサ信号に基づいて、樹脂最終合流点への樹脂充填を検知するとともに、圧力センサにより充填圧力を監視して、樹脂充填の補圧状態を制御するようにしている。
すなわち、半中空樹脂成形体の接合の際に接合部形成用キャビティに射出される溶融樹脂の流動状態を把握することによって、半中空樹脂成形体の接合状況を可視化して適正に管理することができる。
このようにして、可動分割式金型を用いた射出成形における成形不良による歩留まり低下を防止して、生産効率性やコスト性に優れた中空樹脂成形体の成形方法を提供することができる。
可動分割式金型は一組の金型からなり、その一方の金型には樹脂分割体の一方を成形するための雄型と雌型とが設けられ、他方の金型には樹脂分割体の他方を成形するための雌型と雄型とが設けられている。
この一組の金型を使用して一対の半中空樹脂成形体を成形し、そして、これらの半中空樹脂成形体の接合予定面を突き合わせて接合部形成用キャビティを形成し、このキャビティに溶融樹脂を射出して接合して一体化した中空樹脂成形体を得るようになっている。
すなわち、射出された溶融樹脂が合流する接合部形成用キャビティ内の樹脂最終合流点付近の肉厚部は、樹脂の流れが止まる最終位置になり、また最終固化部であり、この部分が固化したことは、接合工程が完了したことを意味する。
また、圧力センサは、温度センサによって充填完了を感知して、その後の製品を安定させる為の補圧の状態を監視でき、補圧不良をその場で発見することができる。
特に、水晶圧電式センサは、温度変化の激しい接合部形成用キャビティ内の樹脂圧力を精密に測定できるので好ましい。水晶圧電式センサは、水晶に圧力を加えることによって、この圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる圧電効果を利用したもので、電荷の変化を測定することによって結晶に付加された圧力や力を測定するセンサデバイスであり、熱変化による測定誤差が少なく耐久性に優れ、低圧から高圧まで広範囲の圧力測定が可能である。
このように、接合部形成用キャビティ内の圧力の監視は、接合部の品質と直接関係があり、射出成形工程の最適化やモニタリングなどに適用して、この測定結果を品質保証用のデータとして利用することもできる。
温度センサは、圧力センサとともに射出成形機を制御する制御装置に接続され、射出成形を制御する制御プログラムを介して、射出成形の自動化処理や不良品の検出などのコスト削減に寄与するようにしている。
温度センサとしては、サーミスタや熱電対などのセンサデバイスが適用でき、温度センサ内部には小型で応答性に優れた熱電対が埋め込まれている。
これによって、樹脂材とプレート部材とからなる中空樹脂成形体を一体成形による量産化が可能になるとともに、煩雑な組み立て工程を省略してコストダウンを図ることができる。
これによって、可動分割式金型を用いた量産システムのさらなる効率化を達成することができる。
これによって、流動特性や接合強度に優れた接合用樹脂材を選択して用いることによって、射出機の金型構造が複雑化して2次射出圧力が変動しても結合部の強度を適正に保持するとともに、射出圧の過剰により接合部から溶融樹脂が中空体製品の内部に漏れるのを効果的に防止できる。
このような可動分割式金型に温度センサと圧力センサにより、接合部形成用キャビティ内の溶融樹脂の状態を可視化することで、安定した量産システムを構築することができるとともに、生産効率性とコスト性に優れた中空樹脂成形体の成形方法を提供できる。
以下、本発明の中空樹脂成形体の成形方法について、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。
なお、図1には、接合部を形成するため用いた射出ゲート、温度センサ、圧力センサが取り付けられたままの状態を示している。
図2は、実施例1の中空樹脂成形体の成形方法が適用される射出成形装置の説明図である。
固定金型11の移動金型12に対向する面側には、下部の半中空樹脂成形体Aを形成するためのモールド部11aが形成されている。
一方、移動金型12の固定金型11に対向する面側には、上部の半中空樹脂成形体Bを形成するためのスライドモールド部12aが左右方向にスライド可能に配置されている。
なお、固定金型11には、固定金型と移動金型間で形成される上下一対の本体部用キャビティ11b、12bと、接合部形成用キャビティ15とにそれぞれ溶融樹脂を射出するための射出ノズル13、14が配置されている。
図3(a)に示すように、まず、固定金型11と移動金型12とを、図示しない型締装置を介して型締して、両金型間に形成される本体部用キャビティ11b、12bに、射出ノズル13から所定温度に加熱された熱可塑性樹脂(溶融樹脂)を、図示しない加熱シリンダ内のスクリュ回転により圧入した後、冷却して硬化させる。
つぎに、移動金型12のモールド部12aを、スライド機構16を介して、図の右方向にスライド移動させて、本体部用キャビティ12bが本体部用キャビティ11bの上方に位置付ける。
つぎに、半中空樹脂成形体A、Bが、接合部Dを介して接合された中空樹脂成形体Cを、図示しないエジェクタピンを介して金型の接合部形成用キャビティ部分から排出する。
こうした一連の射出成形工程(図3(a)〜図3(d))によって、中空樹脂成形体Cが安定して量産されるようになっている。
図5は接合部形成用キャビティ内における樹脂流動の状態を検知する方法の模式的説明図であり、(a)は接合部用キャビティを見える状態で示した平面図、(b)は(a)のY−Y断面図である。なお、図5は、説明を容易にするため2本の射出ゲート19を示しているが、3本以上の射出ゲートを有していてもよい。
以下、図4、図5を参照しつつ、射出成形装置10の接合部形成用キャビティ15への樹脂充填操作を説明する。
図示するように、溶融樹脂が合流する樹脂最終合流点の肉厚部に圧力センサ18を設置して金型内樹脂の固化状態を監視することができる。
すなわち、樹脂最終合流点の肉厚部は樹脂の流れが止まる最終位置になり、また最終固化部であるので、この部分が固化を検知することにより、接合部形成用キャビティ内において樹脂がしたことを確認し、半中空樹脂成形体A、Bの接合工程を完了する。
図7において、射出開始直後:A、充填中:B、充填完了:Cを示し、A、Bにおいては温度センサ17での温度上昇は検知されず、充填完了時におけるCでは、温度センサ17での測定温度が図示するように急激に上昇することで、接合部形成用キャビティ内で溶融樹脂が到達したことを検知することができる。
さらに、温度センサ17で、充填完了C後に製品を安定させるための補圧の状態を監視でき、補圧不良をその場で発見することもできる。
従来、自動で接合した内部不良の発見は困難であったが、上記のように最適成形条件を監視して、成形不良をその場で発見することによって、安定した量産を実現することができる。
したがって、以下の説明において、実施例1と同様の構成のものは同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
実施例2では、図8に示すように、開放された固定金型11が保持する半中空樹脂成形体Aの接合面上に、仕切り材となる略円板状や矩形板状などのプレート部材Pが、ロボットアーム20によって挿入される。
つぎに、ロボットアーム20を待避させ、移動金型12の半中空樹脂成形体Bを、スライド機構を介して、図の左方向にスライド移動させる。
以上のようにして、位置付けられた移動金型12と固定金型11とを、図示しない型締装置を用いて再度型締して、半中空樹脂成形体A、Bの接合部に形成された接合部形成用キャビティ15に固定金型11に配置された射出ノズル14から接合用樹脂を圧入してプレート部材Pの挿入された中空樹脂成形体Cを成形する。これによって、半中空樹脂成形体A、B間に、仕切り材としてのプレート部材Pを配置することができる。
また、プレート部材としてIC基板などを適用することによって、ホットメルトモールディング材により封止される電子部品(例えば、樹脂封止されたICデバイス)などへの適用も可能である。
さらに、プレート部材は半中空樹脂成形体A、Bを完全に仕切るものではなく、一部に貫通孔が形成されていてもよい。
また、接着性を有するリング状の接着部材を半中空樹脂成形体Aの周縁(接合部)に配置して、半中空樹脂成形体A、Bの接合部形成用キャビティ15に接合用樹脂を圧入する工程を省略することもできる。
このようなプレート挿入工程が付加されることによって、固定金型と移動金型とからなる可動分割式金型を用いた量産システムのさらなる効率化を図ることができる。
前記射出ゲートから射出される溶融樹脂が合流する前記接合部形成用キャビティ内の樹脂最終合流点に温度センサを取り付け、前記温度センサからのセンサ信号に基づいて前記樹脂最終合流点への樹脂充填を検知するとともに、前記圧力センサにより充填圧力を監視して樹脂充填の補圧状態を制御するので、半中空樹脂成形体の接合の際にキャビテイに射出される溶融樹脂の流動状態を可視化して把握することができ、成形不良による歩留まり低下や金型の劣化を防止して、生産効率性やコスト性に優れた中空樹脂成形体の安定した量産方法を実現でき、産業上の利用可能性が極めて高い。
11 固定金型
11a モールド部
11b 本体部用キャビティ
12 移動金型
12a スライドモールド部
12b 本体部用キャビティ
13、14 射出ノズル
15 接合部形成用キャビティ
16 スライド機構
17 温度センサ
18 圧力センサ
19 射出ゲート
20 ロボットアーム
A、B 半中空樹脂成形体
C 中空樹脂成形体
D 接合部
P プレート部材
Claims (4)
- 移動金型及び固定金型との間で成形された一対の半中空樹脂成形体のそれぞれの接合面を対向して突き合わせて形成される接合部形成用キャビティに溶融樹脂を充填して硬化させ、
前記半中空樹脂成形体間に接合部を形成させる中空樹脂成形体の成形方法であって、
前記接合部形成用キャビティに溶融樹脂が射出される射出ゲート付近に圧力センサを取り付けるとともに、
前記射出ゲートから射出される溶融樹脂が前記接合部形成用キャビティ内で最終的に合流する樹脂最終合流点に温度センサを取り付け、
前記圧力センサにより充填圧力を検知して樹脂充填の補圧状態を制御するとともに、
前記温度センサからのセンサ信号に基づいて前記樹脂最終合流点への樹脂充填を検知することを特徴とする中空樹脂成形体の成形方法。 - 前記半中空樹脂成形体にはプレート部材が予め介挿配置され、前記接合部形成用キャビティへの樹脂充填により前記一対の半中空樹脂成形体間に前記プレート部材を固定配置して、前記プレート部材により内部が仕切られた中空樹脂成形体を形成させることを特徴とする請求項1記載の中空樹脂成形体の成形方法。
- 前記可動分割式金型がその内部にそれぞれ射出成形された半中空樹脂成形体を保持したまま離間移動可能な可動モールドであって、開放された前記可動モールドが保持する一方の半中空樹脂成形体の開放された接合面に前記プレート部材をロボットアームを介して配置するプレート挿入工程が含まれることを特徴とする請求項2記載の中空成形体の成形方法。
- 前記可動分割式金型の接合部形成用キャビティに充填される溶融樹脂が、前記一対の半中空樹脂成形体を形成する本体樹脂材とは異なる種類の接合用樹脂材であることを特徴とする請求項1〜3の内いずれか1項に記載の中空樹脂成形体の成形方法。
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