JP7149579B2 - 樹脂成型品の成型良否判定方法 - Google Patents
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Description
このような製造方法の場合、二次樹脂充填路から樹脂成型品の中空部内へ樹脂漏れが発生することがあるが、この場合、完成した樹脂成型品が不良品であっても、外観からはわかりにくいことが問題となる。
そこで、このような中空成型品の成型良否の判定方法としては下記特許文献1が挙げられる。
しかし、この場合、最も二次樹脂の温度や圧力が低下すると予想される二次樹脂の下流側の状態が検知できず、二次樹脂充填路の全域に良好な状態で二次樹脂が行き渡っているといえるか判定し難い。
なお、一部の図では、他図に付している符号の一部を省略している。
本実施形態における樹脂成型品の成型良否判定方法は、予め成型された複数の一次成型部品10,20同士を、成型型内で型締めした状態で一次成型部品10,20の接合部13,23に設けられた二次成型用樹脂通路となる二次樹脂充填路7に二次成型用の溶融樹脂である二次樹脂4を充填し一体に接合して形成された樹脂成型品1の成型良否を判定することができる。
具体的には、二次樹脂4を注入する注入ゲート3の下流側の端部に設けられた検査対象部30において、前記二次樹脂4の温度及び前記二次樹脂4にかかる圧力のうち、少なくともいずれか一方を測定部S1,S2によって測定し、その測定値が、所定の条件でない場合、樹脂成型品1を不良品と判定する。以下、詳述する。
本実施形態では、成型良否の判定対象となる樹脂成型品1として、管状体をなす樹脂成型品を成型する場合を例に説明する。樹脂成型品1は、一次成型部品であり中空部2(図2(b)参照)を区画する第1半管状部10と第2半管状部20とが二次樹脂4によって接合されて形成されている。
また、第1半管状部10及び第2半管状部20の周方向の縁部を構成する内側溝壁には、互いに係合して位置ずれや二次樹脂4の中空部2内への漏れを抑制する係合溝10a及び係合突部20aが設けられている。係合溝10aは、第2半管状部20の周方向の縁部に向けて開口し軸方向に延びるように形成され、係合突部20aは、第1半管状部10の周方向の縁部に向けて突出し軸方向に延びるように形成されている。
フランジ部15は、図1及び図2(a),(b)に示すように、径方向に突出する鍔状とされている。図例では、このフランジ部15を、厚さ方向に見て楕円形状とした例を示しているが、真円状や多角形状等としてもよい。また、このフランジ部15の厚さ寸法は、互いに同厚さとされた第1半管本体部11,第2半管本体部21及び屈曲部12,22の厚さ寸法よりも大とされている。
注入ゲート3,3は、第1半管状部10及び第2半管状部20の長手方向における両端部1a,1a(図1参照:図例ではフランジ部15の縁部)に設けられているが、注入ゲート3の設置位置は特に図例に限定されない。例えば第1半管状部10及び第2半管状部20の長手方向における両端部1a,1aのいずれか一方でもよいし、第1半管状部10及び第2半管状部20の長手方向における中央位置であってもよい。また図例では注入ゲート3が2ヵ所設けられた例を示しているが、2ヵ所以上でもよく、樹脂成型品1の大きさ、形状等によって適宜設定される。
注入ゲート3,3を図1に示すように第1半管状部10及び第2半管状部20の長手方向両端部1a,1aに設けた場合、これら注入ゲート3,3から二次樹脂4を注入し充填すれば、注入ゲート3と接続された第2の二次樹脂充填路19を通じ二次樹脂充填路7の全域に二次樹脂4を行き渡らせることができ、効率がよい。
なお、図1及び図2(a)では説明のため、離型後の検査対象部30に測定部S1,S2が設けられているように示しているが、実際は成型型100内等に測定部S1,S2が設けられるので、離型後の樹脂成型品1の一部として測定部S1,S2が残存するものではない。また測定部S1,S2の測定情報等を表示するモニター33にかえて、判定部32bで不良品発生と判定した場合、ランプを点灯させたり、警報音を鳴動させるような警報部であってもよい。
次に上述のような樹脂成型品1において、二次成型の製造過程の中に樹脂成型品の成型良否を判定する判定方法について説明する。
予め成型された第1半管状部10及び第2半管状部20同士を、第1成型型101及び第2成型型102のそれぞれに配置し、型締めした状態で第1半管状部10及び第2半管状部20の接合部13,23に設けられた二次樹脂充填路7に二次樹脂4を充填し一体に接合する。この二次樹脂4の充填開始に伴い、モニター33を通じて二次樹脂4の温度及び二次樹脂4にかかる圧力のうち、少なくともいずれか一方を測定部S1,S2によって測定する。そして、測定部S1,S2で測定された測定値が、所定の条件であるか否かを判定部32bで判定し、樹脂成型品1を成型良否判定する。測定部S1,S2では、温度のみを測定してもよいし、圧力のみを測定してもよく、さらには温度と圧力の両方を測定して両方の測定値から成型良否の判定を行うようにしてもよい。
<温度>
検査対象部30の測定部S1,S2において、二次樹脂4の温度を測定する場合、所定の条件としては、測定された最も高い温度が所定の温度帯内と判定部32bが判断した場合、良品と判定し、測定された最も高い温度が所定の温度帯外と判定部32bが判断した場合、不良品と判定する。図4には、3パターンの二次樹脂4の温度変化をグラフにしたものである。正常時の温度変化を実線、異常時の温度変化を点線及び一点鎖線で示している。
所定の管理温度帯の具体的な数値は、二次樹脂4の材料特性によって異なり、二次樹脂4の温度帯が管理温度帯内であれば、二次樹脂4の溶着性に問題がないと判断できる温度帯が設定される。この温度設定は制御装置32で行う。
検査対象部30の測定部S1,S2において、二次樹脂4の圧力を測定する場合、所定の条件としては、二次樹脂4を二次樹脂充填路7に充填した後、保圧状態における圧力の低下速度が、所定の管理範囲内と判定部32bが判断した場合、良品と判定し、二次樹脂4を二次樹脂充填路7に充填した後、保圧状態における圧力の低下速度が、所定の管理範囲外と判定部32bが判断した場合、不良品と判定する。図5には、正常時と異常時の2パターンの二次樹脂4の圧力変化をグラフにしたものである。正常時の圧力変化を実線、異常時の圧力変化を点線で示している。
所定時間と所定の管理値(圧力)の具体的な数値は、二次樹脂4の材料特性によって異なるため、上述の条件に限定されるものではない。
図5では、注入ゲート3から収入された二次樹脂4が、二次樹脂充填路7、連結部31を通じて検査対象部30に行き渡る射出工程の後、保圧工程に入ってから所定時間の間に一旦上昇した圧力値が急激に低下しないかで判定する例を示している。ここに示すように正常時の場合は、射出工程を経て、保圧工程に入った後、急激に低下することはなく、保圧工程後、緩やかに低下していく。一方、異常時の場合は、射出工程を経て、保圧工程に入った後、急激に低下している。正常に二次樹脂4が二次樹脂充填路7に充填され、保圧されれば、このような圧力の急激な低下は生じ得ない。
2 中空部
4 二次樹脂
7 二次樹脂充填路
10 第1半管状部
20 第2半管状部
13,23 接合部
15 フランジ部
19 第2の二次樹脂充填通路
Claims (3)
- 予め成型された複数の一次成型部品同士を、成型型内で型締めした状態で前記一次成型部品の接合部に設けられた二次樹脂充填路に二次樹脂を充填し一体に接合して形成された樹脂成型品の成型良否を判定する樹脂成型品の成型良否判定方法であって、
前記樹脂成型品には、前記成型型から取り出した後、除去される検査対象部が、除去のための切断部とされる連結部とともに含まれており、
前記成形型内において、前記二次樹脂充填路へ前記二次樹脂を注入する注入ゲートの下流側の端部には、前記二次樹脂充填路から側方へ外れて突出し、前記二次樹脂充填路に連通した検査対象部用キャビティが連結部用キャビティを介して設けられており、該検査対象部用キャビティの底部には、前記二次樹脂の温度及び前記二次樹脂にかかる圧力のうち、少なくともいずれか一方を測定する測定部が露出するように配されており、
前記測定部によって、前記二次樹脂の温度及び前記二次樹脂にかかる圧力のうち、少なくともいずれか一方を測定し、測定された測定値が、所定の条件でない場合、前記樹脂成型品を不良品と判定することを特徴とする樹脂成型品の成型良否判定方法。 - 請求項1において、
前記測定値は前記二次樹脂の温度であって、前記所定の条件は、測定された最も高い前記温度が所定の温度帯内であることを特徴とする樹脂成型品の成型良否判定方法。 - 請求項1において、
前記測定値が圧力であって、所定の圧力条件は、前記二次樹脂を前記二次樹脂充填路に充填した後、保圧状態における圧力の低下速度が、所定の管理範囲内であることを特徴とする樹脂成型品の成型良否判定方法。
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