JP5506951B2 - 多軸磁気レンズを有するマルチ荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

多軸磁気レンズを有するマルチ荷電粒子ビーム装置 Download PDF

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Description

本発明は、多軸磁気界浸対物レンズに関する。本発明は、特に、高い空間分解能と、半導体ウエハとマスクの欠陥検査において高スループットを得るための多軸荷電粒子装置に関する。
IC製造における半導体ウエハとマスクの欠陥検査は、歩留まり強化に大きな影響を与える製造プロセスとして認められている。ウエハ欠陥検査ツールから得られた情報は、修復のために欠陥ダイにフラグを立てたり、ウエハ処理のパラメータを改善したりするのに用いられ得る。半導体製造工場における欠陥検査に用いられるものとして、主に2種類の検査ツールがある。即ち、光学的検査ツールと、電子ビーム検査ツールである。光の波長は電子ビームの波長よりも非常に長いため、光学的検査ツールの空間分解能は、根本的に大きな波の回折ぼけ(回折点)により制約を受ける。ウエハ及びマスク上のパターンの限界寸法が微細になることが要求されればされる程、光学的検査ツールは役に立たなくなる。しかしながら、スループット又は電子ビーム検査ツールの検査速度と呼ばれているものは、根本的に電子相互作用又はクーロン効果により制約を受ける。ウエハの全面検査又はマスクの全面検査が必要になるにつれて、そのスループットを増加させることが重要な問題になってきている。有望な解決策として、ウエハを同時に検査するために複数の電子ビームを用いることが何年も前に提案された。
ICパターン露光システムのスループット改善のために、いくつかの平行な電子ビームの焦点を別々に合わせる多軸磁気レンズを用いた最初の特許が、1973年にマエカワ(Maekawa)他に与えられた。その装置は、1つの共通な励磁コイル44と、1つのヨーク43と、対応する荷電粒子ビームを通過させる複数の貫通穴1、2及び3を有する2つの磁気導体板41及び42とを有する装置であり、米国特許3,715,580号で提案され、図1Aに図示されている。上側及び下側の磁気導体板41及び42内に配列された対をなした穴の間に、10のようなサブレンズが形成され、サブレンズ20及び30も同様に形成されている。2つの磁気導体板41及び42は、これらのサブレンズ10、20及び30の磁極片である。この多軸磁気レンズにおいて、磁気レンズの磁場は、図1Bに示されるように、分布パターンと強度において基本的に互いに異なっている。
従来の一軸磁気レンズと比較して、この多軸磁気レンズの1つの主たる問題は、それぞれのサブレンズの磁気分布が、軸対称から回転対称及び/又はn重対称(図1B)へと悪化することである。その結果、軸対称場又は粒子ビームの焦点を合わせる円形レンズ場と呼ばれているものに加えて、双極子場や四極子場のような、多くの不要な非軸対称横軸場成分や、磁場のフーリエ分析において高次高調波と呼ばれているものが現れる。双極子場は、荷電粒子ビームを偏向させ、付加的な横軸移動、付加的な傾斜、及び付加的な収差を伴ってビームを結像面に入射させてしまう。四極子場は、ビームに非点収差を付加してしまう。各々の高次高調波の影響を補正するためには、少なくとも1つの同じタイプの場を生成する追加的要素を、電子光学系に加えることが必要とされる。
多軸磁気レンズの他の主な問題は、中心のサブレンズ20の円形レンズ場が、周辺のサブレンズ10及び30の円形レンズ場と少し異なっていることである。この問題は、中央のサブレンズ20と周辺のサブレンズ10及び30をそれぞれ通過する荷電粒子ビーム1、2及び3が、同時に結像面にフォーカスされない(焦点が合わされない)ということをもたらす。
マエカワの踏み跡を追った多くの科学者は、これらの2つの問題を解決する多くの方法を試みた。例えば、Lo他の米国特許6,750,455号は、各サブレンズの局所的な構造の対称性を改善するため、複数のダミーホール(疑似穴)を用いることにより、双極子場自体を減少させている。ハラグチ(Haraguchi)他の米国特許6,777,694号は、各サブレンズ穴の中に偏向器群を挿入することにより、双極子場の影響を補正している。ハラグチ他の米国特許6,703,624号は、磁束漏洩を抑制するために、各サブレンズ内における2つの磁極片の直径や、2つの磁極片間の隙間の寸法(ギャップサイズ)を変化させることにより、総てのサブレンズ間の円形レンズ場の差をゼロにしている。ハラグチ他の米国特許6,703,624号及びFrosien他の米国特許7,253,417号は、補助円形コイルや静電レンズを各サブレンズ内に挿入することにより、円形レンズ場の差を補正している。
これら以前の方法は、磁気導体板を広くし、多軸磁気レンズ系を分厚くするか、多軸磁気レンズ系を複雑にするかのいずれかであった。Chen他は、より良い解決策を提案するために、「多軸磁気レンズ」と題する米国特許出願No.12/636,007を2009年12月に出願した。その主たる目的は、図1A中のサブレンズ30を例にとることにより図2Aに示される。サブレンズ30において、2つの磁気リング32及び33がそれぞれ上側と下側の磁性板41及び42内の穴に挿入され、32及び33はそれぞれ上側と下側の磁極片と呼ばれる。上側磁極片32の下端の一部は下側磁極片33の上端の内部に延びている。上側磁極片32及び下側磁極片33の両方とも、高い透磁率を有する磁性材料から作られており、対応する穴の内側の側壁には接触していない。空間的ギャップ34及び35は、真空空間であるか、非磁性材料で満たされるかのいずれかである。光学軸31に沿った空間磁場は、上側磁極片32と下側磁極片33との間の空間ギャップを通って生成される。図2Aにおいて、非軸対称横軸場成分は上側磁極片32及び下側磁極片33の内部の領域で殆どゼロになり、上側磁極片32及び下側磁極片33の外側においては、2つの磁気チューブ36及び37により、図1における例よりも非常に低いレベルに減少する。一例として、双極子場減少が図2Bに示されている。総てのサブレンズ間での円形レンズ場の差は、非磁性ギャップ(34及び35)サイズを適切に選択することにより、除去され得る。この出願においては、Chen他も、図2Cに示されるように、多軸磁気対物レンズを提供し、各サブレンズは上側と下側の磁極片の間の軸方向の磁気回路ギャップ内に制限された磁場を生成する。
それにもかかわらず、よく知られているように、この種のレンズは、半径方向ギャップを有する磁気レンズ(半径方向の磁気回路ギャップを有する)と比較して、空間分解能を損なうより大きな収差を発生させるが、システムオーバーヒートの問題を低減させる小さなコイル励磁(コイル巻数とコイル電流の積)を要求する。加えて、試料60と下側磁性板42との間の個々の磁気チューブの総てを置き換えるために、複数の円形の貫通穴を有する磁性板50が使用され得る。
本発明は、高空間分解能及び高スループットで試料を並行して検査する複数の荷電粒子ビームを用いる装置を提供するため、Chenの多軸磁気レンズの主な原理を採用し、更に界浸対物レンズとしてその性能を改善するであろう。
本発明の目的は、多軸磁気レンズ及びLVSEM(low-voltage scanning electron microscope、低電圧走査型電子顕微鏡)技術を用いた装置を提供することであり、その装置は、試料を並行して検査するために複数の低エネルギー荷電粒子ビームを用いる装置である。本装置において、低コイル励磁を要求する多軸磁気界浸対物レンズ(multi-axis magnetic immersion objective lens)を構成し、それを電子減速と重ね合わせることにより、多軸電磁複合対物レンズが低収差と試料への低ダメージを生み出すべく形成される。よって、本発明は、上述の以前の従来技術よりも高空間分解能と高スループットを提供することができ、特に、半導体歩留まり管理(semiconductor yield management)におけるウエハ又はマスクの欠陥検査に利益をもたらすことができる。以下の説明は、複数の電子ビームを用いることに焦点を当てるが、しかしながら、本発明は、はるかに広範囲の適用性を有することが認識されるであろう。
従って、多軸磁気界浸対物レンズの第1実施形態は、複数の磁気サブレンズと、試料を載置するための磁気ステージとを含むことにより提供される。図2Cに示されたChen他の従来の実施形態とは異なり、複数の円形開口(circular opening)を有する磁気遮蔽板(magnetic shielding plate)が上側磁性板(41)と上側磁性板(41)上の磁気遮蔽チューブ(16、26、36)との間に挿入され、上側磁気遮蔽板と呼ばれる。第2に、各磁気サブレンズ内の上側及び下側磁極片が半径方向磁気回路ギャップを形成するように形成される。この構成に適合させるために、本発明においては、上側及び下側磁極片はそれぞれ内側及び外側磁極片に名前が変更される。各磁気サブレンズにおける半径方向磁気回路ギャップを通じて、より強い界浸磁場(immersion magnetic field)が試料の表面上に与えられ、これにより低収差で電子ビームの焦点を合わせることができる。磁気試料ステージは、各サブレンズの磁場を高め、そのピークを試料上に接近させて移動させる。このデザインの第1の機能は、各電子ビームの焦点を合わせるために必要とされる共通コイル励磁を減少させることである。従って、より短い作動距離(working distance)を用いるときでさえ、熱冷却は必ずしも必要ではなく、これにより、付加的に系(又はシステム、system)の複雑さと不安定さを増加させることを回避することができる。より短い作動距離は、基本的な収差(球面収差及び色収差)だけではなく、試料前の残留非軸対称横軸磁場(residual non-axisymmetric transverse magnetic fields)による付加的な収差も減少させることができる。このデザインの第2の機能は、試料上の磁場界浸(magnetic field immersion)を増加させることである。界浸が強くなる程、収差が小さくなることがよく知られている。
上述の多軸磁気界浸対物レンズを基にして、第2には、多軸静電界浸対物レンズ(multi-axis electrostatic immersion objective lens)が各電子ビームの減速のため減速場(retarding field)を生成するために追加される。多軸静電界浸対物レンズは、接地電位に設定された内側磁極片の総てと、負電位Vsに設定された試料と、Vs以上の電位に設定された平面電極板とにより構成される。平面電極板は、試料と内側磁極片との間の軸方向ギャップ内に配置され、複数の円形オリフィス(又は円形開口部、circular orifices)又は円形貫通穴(又は円形貫通孔、through round holes)を有し、各々の穴は内側磁極片に揃えて配置される。多軸静電界浸対物レンズは、実際には複数の静電サブレンズを含み、各々は内側磁極片、平面電極及び試料によって形成され、それゆえ多軸磁気界浸対物レンズ内の磁気サブレンズと重なり合う。各々の電磁サブレンズにより生成される減速場は、クーロン効果と結像収差を同時に減少させる効果的な方法を提供できる。試料に衝突する直前に、所望の低ランディングエネルギーまで減速されることにより、電子ビームは、強いクーロン効果を受けるのを回避するため、電子光学系の残りの部分をより高いエネルギーで通過できる。減速場は、少なくとも1つの負の電磁レンズ場を含む。負の電磁レンズ(発散レンズ)により生成された負の収差は、電磁サブレンズにより生成された正の収差の殆どを補正できる。上述の多軸磁気界浸対物レンズと多軸静電界浸対物レンズとの組み合わせは、多軸電磁複合界浸対物レンズ(multi-axis electromagnetic compound immersion objective lens)と呼ばれ、対応して互いに重なり合った磁気サブレンズと静電レンズのペア(又は組又は対)は電磁複合界浸対物サブレンズと呼ばれる。
上述の多軸電磁複合界浸対物レンズを基に、第3に、複数の偏向走査・補正ユニットは、試料表面上で複数の電子ビームを走査(又はスキャン、scan)し、残留非軸対称横軸場成分の影響を補正する。各内側磁極片の内部には、1つの偏向走査・補正ユニットがあり、偏向走査・補正ユニットは内側磁極片の上端及び下端に各々配置された2つの多極子レンズを含む。これらの2つの多極子レンズの各々は、同時に走査偏向器、静的偏向器及び静的非点収差補正装置として動作できる。一方では、2つの走査偏向器は、軸外収差をより小さくするレンズ場に近接した偏向(又はスイング偏向と呼ばれる)走査を実現するため、ともに偏向走査ユニットとして動作する。他方では、2つの静的偏光器と2つの静的非点収差補正装置は、内側磁極片の二端における残留磁気双極子場及び四極子場の影響を打ち消すための補正ユニットとして動作する。
それ故、本発明は試料を並行して検査する複数の電子ビームを用いる電子装置として構成するため、上述の多軸電磁複合レンズと複数の偏向走査・補正ユニットとの組み合わせを使用する。個々の電子銃は、各々の電磁複合界浸対物サブレンズの頂点上に配置され、個々の電子ビームを生成する。個々の静電集束レンズは、電子銃から来る電子ビームの焦点を合わせるために各々の電子銃の下方に配置される。個々のアパーチャ(開口部)は、集束レンズから来る電子ビームの電流を制限するために各々の集束レンズの下方に配置される。円形貫通穴を有する検出器は、各々のビーム制限アパーチャの下方に配置される。検出器の貫通円形穴を通過した電子ビームは、次に偏向走査・補正ユニット及び電磁複合界浸対物サブレンズに入る。電磁複合界浸対物サブレンズは、試料表面上で低電圧のプローブスポットとなるように電子ビームをフォーカスするとともに減速し、偏向走査・補正ユニットに含められる偏向・走査ユニットがこれを走査する。二次電子が試料表面上のプローブスポットの照射位置から放出され、次いで電磁複合界浸対物サブレンズ及び偏向走査・補正ユニットを通過し、最後にそれらの殆どが検出器に入射する。各々の電子銃から各々の磁気サブレンズの頂上端までの空間は、4つの独立した磁気チューブにより磁気的にシールドされる。底部から頂部まで数えると、第1のチューブは、磁気サブレンズの頂上端から検出器までの空間をシールドするため、多軸磁気界浸対物レンズの上側の遮蔽板上に積み重ねられる。第2のチューブは、ビーム制限アパーチャから銃とカラムを分離する真空ゲートバルブまでの空間をシールドするため、軸方向空間ギャップを有する第1のチューブより上方に配置される。第3のチューブは、銃から真空ゲートバルブまでの空間をシールドするための軸方向空間ギャップを有する第2のチューブよりも上方に配置される。空間ギャップは、真空ゲートバルブを導入するめにデザインされている。第4のチューブは、内側から第3のチューブの上端と重なるように配置され、特に銃の先端を完全に覆うようにデザインされている。銃の先端付近の領域における残留双極子場により生じた小さな電子軌道の逸脱は、次の系で試料上の大きな照射位置のずれにまで拡大されるであろう。隣接する磁気チューブ間の空間ギャップの総てにおいて非軸対称横軸磁場を除去するため、磁気チューブの総てが、装置の頂上の上にある広い共通磁気チューブ及び広い磁気遮蔽板に覆われる。
多軸電磁界浸対物レンズにおける平面電極板は、各内側磁極片に揃えて配置された複数の開口部か又は貫通穴を有する大きな1枚の板であるか、各内側磁極片に揃えて各々配置された複数の中央穴を有する複数の小さな個々の板を有しているかのいずれかとされ得る。
前の説明によれば、本発明は多軸磁気界浸対物レンズを提供し、それは対をなす複数の円形貫通穴を有する一対の平行な磁気導体板と、それぞれ対をなす複数の第1半径方向ギャップを有する複数の円形貫通穴の内部に、円形貫通穴に揃えて配置された対をなす複数の磁気リングと、複数の磁気リングに磁束を供給する磁気導体板の対の間にある共通励磁コイルとを有する。平行な磁気導体板は、上板及び下板を有し、それぞれが対をなした円形貫通穴に対して、上板の上側円形貫通穴は、対応する下板の下側円形貫通穴に揃えて配置されている。一対の磁気導体板における各々の磁気リングの対についてそれぞれ、上側磁気リングは、第2半径方向ギャップを有する対応下側磁気リングに揃えて配置されるとともに、対応下側磁気リングの内部を通って下側に延びている。各々対をなす第1半径方向ギャップは、上側円形貫通穴の内側の側壁と上側磁気リングの外側の側壁との間の第1上側半径方向ギャップと、下側円形貫通穴の内側の側壁と下側磁気リングの外側の側壁との間の第1下側半径方向ギャップを有する。複数の磁気サブレンズモジュールは、それ故、複数の荷電粒子ビームの焦点をそれぞれ合わせるために形成され、上側磁気リングは内側磁極片として機能し、対応する下側磁気リングは外側磁極片として機能する。
第1及び第2半径方向ギャップはそれぞれ、真空であるか非磁性材料で満たされるかのいずれかとされ得る。各サブレンズモジュールに関して、第1上側及び下側半径方向ギャップの大きさは、第2半径方向ギャップの大きさよりも小さい。各サブレンズモジュールに関して、第1上側及び下側半径方向ギャップは等しい寸法を有してもよく、等しくない寸法を有してもよい。
試料は1組の平行な磁気導体板の下方に配置され得る。多軸磁気界浸対物レンズは、更に試料の下方に配置された試料をその上に保持するための磁気ステージを有してもよく、磁気ステージは、試料に対して強い磁場界浸を生成するため、各サブレンズの内側及び外側磁極片と磁気的に連結する。内側及び外側磁極片の各対の下端は、試料の表面まで等しい距離を有する。
多軸磁気界浸対物レンズは、一対の平行な磁気導体板より上方に配置された上側磁気遮蔽板と、一対の平行な磁気導体板より下方に配置された下側磁気遮蔽板とを更に有する。上側及び下側磁気遮蔽板は、複数の円形貫通穴にそれぞれ揃えて配置された複数の円形開口を更に有する。各内側磁極片の上端は、上方に向かって上側半径方向ギャップを有する上側磁気遮蔽板内の各円形開口まで延びており、上側磁気遮蔽板の上面の位置か又は該上面の位置より下方で止まる。上側磁気遮蔽板内の各円形開口は逆さまのザグリの形状を有してもよい。各内側磁極片の上端は、上方に向かって、その内壁に接触することなく、各逆さまのザグリの下側部分の内側まで延びており、逆さまのザグリの上側部分の内径以上の内径を有する。内側及び外側磁極片の各対の下端は、下方に向かって、第1下側半径方向ギャップを有する下側磁気遮蔽板内の各円形開口の内側まで延び、下側磁気遮蔽板の底面の位置か又は該底面の位置よりも上方で止まる。各磁気サブレンズモジュールは、内側磁極片の下端と試料表面との間の第1の作動距離と、外側磁極片の底面端と試料表面との間の第2の作動距離とを有する。第1の作動距離は、第2の作動距離よりも短くすることができる。
複数のサブレンズモジュールに関して、第2半径方向ギャップは互いに等しくなくてもよいし、互いに同一であってもよい。複数の第1半径方向ギャップは、各第1半径方向ギャップから、対応する平行な磁気導体板の対の幾何学的中心軸までの距離とともに増加するサイズを有してよい。複数の円形貫通穴に関して、平行な磁気導体板の対の中心部上に配置された穴は、平行な磁気導体板の対の周辺部上に配置された穴よりも小さい内径を有してもよい。複数の内側及び外側磁極片に関して、平行な磁気導体板の対の中心部上に配置された磁極片は、平行な磁気導体板の対の周辺部上に配置された磁極片よりも大きな外径を有してもよい。複数の第1半径方向ギャップは、各第1半径方向ギャップから、対応する平行な磁気導体板のペアの幾何学的中心までの距離にかかわらず、等しいサイズを有してよい。磁気リングの各ペアに関して、上側磁気リングは、円筒状の形状又は対応する下側磁気リングの内側に狭い下端を有する漏斗状の形状を有する。
本発明はまた、多軸電磁複合界浸対物レンズを提供し、それは、多軸磁気界浸対物レンズと、一対の平行な磁気導体板よりも上方に配置された上側磁気遮蔽板と、一対の平行な磁気導体板よりも下方に配置された下側磁気遮蔽板と、下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された試料と、試料の上方かつ下側磁気遮蔽板よりも下方に配置され、複数の円形オリフィスを有する平面電極とを有する。複数の静電サブレンズモジュールは、それ故、複数の磁気サブレンズモジュールにそれぞれ揃えて配置されて形成され、各静電サブレンズモジュールは内側磁極片と、平面電極と、試料とを、第1電極、第2電極及び第3電極としてそれぞれ有する。平面電極は、複数の独立したセグメント(部分又は断片)に分割されることができ、各セグメントは平面電極内の複数の円形オリフィスの1つを含む。上側及び下側磁気遮蔽板は、複数の円形貫通穴にそれぞれ揃えて配置された複数の円形開口を有する。複数の円形オリフィスは、下側磁気遮蔽板内の複数の開口に各々揃えて配置される。
各第1及び第2半径方向ギャップは、真空であるか、又は非磁性材料で満たされることができる。各磁気サブレンズに関して、第1上側及び下側半径方向ギャップのサイズは、第2半径方向ギャップのサイズよりも小さくすることができる。各磁気サブレンズモジュールに関し、第1上側及び下側半径方向ギャップは等しいサイズを有してもよい。多軸電磁複合界浸対物レンズは、試料の下方に配置され、試料をその上に保持する磁気ステージを有し、磁気ステージは、試料に対して強い磁場界浸を生成するために各磁気サブレンズの内側及び外側磁極片と磁気的に連結している。
上側遮蔽板内の各円形開口は、逆さまのザグリの形状を有してもよい。各内側磁極片の頂上端は上方に向かって、その内壁に接触することなく各逆さまのザグリの下側部分の内部まで延び、逆さまのザグリの上側部分の内径以上の大きさの内径を有する。内側及び外側磁極片の各ペアの底面端は下方に向かって、下側半径方向ギャップを有する下側磁気遮蔽板内の各円形開口の内部まで延び、下側磁気遮蔽板の底面の位置又は該底面の位置より上方で止まる。
各磁気サブレンズモジュールは、内側磁極片の下端と試料表面との間の第1の作動距離と、外側磁極片の下端と試料表面との間の第2の作動距離とを有する。第1の作動距離は、第2の作動距離よりも短い。
複数の磁気サブレンズモジュールに関して、第2半径方向ギャップは互いに同一とされ得る。複数の第1半径方向ギャップは、各第1半径方向ギャップから、対応する一対の平行な磁気導体板の幾何学的中心軸までの距離とともに増加するサイズを有してよい。複数の円形貫通穴に関して、一対の平行な磁気導体板の中心部上に配置された穴は、一対の平行な磁気導体板の周辺部上に配置された穴よりも小さな内径を有してもよい。複数の内側及び外側極片に関して、一対の平行な磁気導体板の中心部に配置された磁極片は、一対の平行な磁気導体板の周辺部上に配置された磁極片の外径よりも大きな外径を有する。各対の磁気リングに関し、上側磁気リングは、円筒形状又は対応する下側磁気リング内部に狭い下端を有する漏斗形状を有する。
本発明は、更に多軸荷電粒子装置を提供し、それは多軸電磁複合界浸対物レンズと、各々が多軸電磁複合界浸対物レンズ内の複数の磁気サブレンズモジュールの内部に配置された複数の偏向走査・補正ユニットと、多軸電磁複合界浸対物レンズ上に配置された複数のサブカラムとを有する。
多軸電磁複合界浸対物レンズは、多軸磁気界浸対物レンズと、一対の平行な磁気導体板より上方に配置された上側磁気遮蔽板と、一対の平行な磁気導体板より下方に配置された下側磁気遮蔽板と、下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された試料と、試料よりも上方かつ複数の円形オリフィスを有する下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された複数の平面電極とを有する。上側及び下側磁気遮蔽板は、複数の円形貫通穴に各々揃えて配置された複数の円形開口を有する。複数の円形オリフィスは、下側磁気遮蔽板内の複数の開口に各々揃えて配置される。複数の静電サブレンズモジュールは、それ故、複数の磁気サブレンズモジュールに各々揃えて配置されて形成され、各静電サブレンズモジュールは、内側磁極片と、複数の平面電極のうちの1つの平面電極と、試料とを、第1電極、第2電極及び第3電極としてそれぞれ有する。
複数の偏向走査・補正ユニットの各々は、内側磁極片の上端に、内側磁極片に揃えて配置され、双極子場のみ、又は双極子場及び四極子場も生成する上側静電多極子レンズと、内側磁極片の下端に、内側磁極片に揃えて配置され、双極子場のみ、又は双極子場及び四極子場を生成する下側静電多極子レンズとを有する。偏向走査ユニットは、それ故、試料上で複数の荷電粒子ビームのうちの1つを走査するように形成され、補正ユニットは、多軸電磁複合界浸対物レンズにより生成された双極子場及び四極子場の影響を補正するように形成される。
複数のサブカラムの各々は、荷電粒子ビームを生成する荷電粒子源と、荷電粒子源より下方にあり、荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、集束レンズより下方にあり、荷電粒子ビームを制限するビーム制限アパーチャと、ビーム制限アパーチャよりも下方にあり、試料から放出された荷電粒子ビーム信号を集める検出器と、検出器と上側磁気遮蔽板との間の第1の空間を囲み、上側磁気遮蔽板に揃えて配置され、上側磁気遮蔽板の最上面に積層された第1の磁気遮蔽チューブと、集束レンズとビーム制限アパーチャの間の第2の空間を囲む第2の磁気遮蔽チューブと、荷電粒子源と集束レンズとを囲む第3の磁気遮蔽チューブと、第3の磁気遮蔽チューブ内部の荷電粒子源を囲む第4の磁気遮蔽チューブとを有し、複数のサブカラムは磁気遮蔽筐体に囲まれる。多軸荷電粒子装置の複数のサブカラムの各々は、更に検出器とビーム制限アパーチャとの間に第5の磁気遮蔽チューブを備えてもよい。
一対の平行な磁気導体板と、複数の磁気リングと、上側磁気遮蔽板と、下側磁気遮蔽板と、第1の磁気遮蔽チューブと、第2の磁気遮蔽チューブと、第3の磁気遮蔽チューブと、第4の磁気遮蔽チューブと、磁気遮蔽筐体は、接地電位に設定される。各荷電粒子源は、負電位の電子源である。試料と磁気ステージは、各電子源の電位よりも高い負電位に設定される。各平面電極は、試料の電位以上の電位に設定される。一方で、複数の平面電極は同電位に設定され、複数の平面電極の円形オリフィスの総てを含む1つの広い平面電極に統一され得る。他方で、複数の平面電極は異なる電位に設定され得る。
第1及び第2半径方向ギャップは各々真空であるか、非磁性材料で満たされるかのいずれかとされ得る。各磁気サブレンズに関して、第1上側及び下側半径方向ギャップのサイズは、第2半径方向ギャップのサイズよりも小さくされ得る。各磁気サブレンズモジュールに関し、第1上側及び下側半径方向ギャップは等しいサイズを有する。多軸荷電粒子装置は、試料の下方に配置され、その上に試料を保持するための磁気ステージを更に有し、磁気ステージは試料に対して強い界浸磁場を生成するために各磁気サブレンズの内側及び外側磁極片と磁気的に連結してよい。
上側磁気遮蔽板内の各円形開口は、逆さまのザグリの形状を有してよい。各内側磁極片の上端は上方に向かって、その内壁に接触することなく各逆さまのザグリの下側部分の内部まで延び、逆さまのザグリの上側部分の内径以上の内径を有する。内側及び外側磁極片の各ペアの下端は下方に向かって、下側半径方向ギャップを有する下側磁気遮蔽板内の各円形開口の内部まで延び、下側磁気遮蔽板の底面の位置又は該底面の位置よりも上方で止まる。各磁気サブレンズモジュールは内側磁極片の下端と試料表面との間の第1の作動距離と、外側磁極片の下端と試料表面との間の第2の作動距離とを有する。第1の作動距離は第2の作動距離よりも短い。複数の磁気サブレンズモジュールに関し、第2半径方向ギャップは互いに同一とされ得る。
複数の磁気サブレンズモジュールに関し、一対の平行な磁気導体板の中央部上に配置されたサブレンズモジュールの第1上側及び下側半径方向ギャップは、一対の平行磁気導体板の周辺部上に配置された第1上側及び下側半径方向ギャップよりも小さなサイズを有してよい。複数の円形貫通穴に関し、一対の平行な磁気導体板の中央部上に配置された穴は、一対の平行な磁気導体板の周辺部上に配置されたものよりも小さな内径を有してよい。複数の内側及び外側磁極片に関し、一対の平行な磁気導体板の中央部上に配置された磁極片は、一対の平行磁気導体板の周辺部上に配置された磁極片よりも大きな外径を有してよい。磁気リングの各対に関し、上側磁気リングは、円筒形状又は狭い下端部が対応する下側磁気リングの内側にある漏斗形状を有する。
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明により容易に理解されるであろう。また、添付図面において、参照番号等が構造的要素等を指定する。
従来の多軸磁気レンズの略図である。 図1Aにおける磁力線の略図である。 改善された多軸磁気レンズにおけるサブレンズの略図である。 図1A及び図2A中のサブレンズの軸上双極子場分布の略図である。 磁気対物レンズとしての図2Aの例の略図である。 本発明の第1形式の実施形態に従った多軸磁気界浸対物レンズ中の変形サブレンズの第1例の略図である。 本発明の第1形式の実施形態に従った多軸磁気界浸対物レンズ中の変形サブレンズの第2例の略図である。 本発明の第1形式の実施形態に従った多軸磁気界浸対物レンズ中の変形サブレンズの第3例の略図である。 本発明の第2形式の実施形態に従った多軸電磁複合界浸対物レンズ中のサブレンズの略図である。 本発明の第3の実施形態に従った多軸電磁複合界浸対物レンズ中のサブレンズ及び偏向走査・補正ユニットの略図である。 本発明の他の実施形態に従った多軸電磁複合界浸対物レンズ中の異なる寸法を有する3つのサブレンズの第1の上面概略図である。 本発明の他の実施形態に従った多軸電磁複合界浸対物レンズ中の異なる寸法を有する3つのサブレンズの第1の上面概略図である。 本発明の一実施形態に従った多軸荷電粒子装置の略図である。 本発明の他の実施形態に従った多軸荷電粒子装置の略図である。
本発明の具体的な実施形態が詳細に参照されるであろう。これらの実施形態の例は添付図面において図示される。本発明はこれらの具体的な実施形態と関連付けられて詳述されるが、本発明をこれらの実施形態に限定する意図ではないことが理解されるであろう。一方、添付のクレームにより定められた本発明と同様の趣旨と範囲内に包含されるであろう代替物、変更物及び同等物は、権利範囲に含まれると意図される。以下の記述において、多数の具体的な詳細は、本発明の全体を通した理解を提供するために説明される。他の例において、よく知られたプロセス動作は、本発明をいたずらに曖昧にしないようにするため、詳述されていない。
本発明において、円形貫通穴(through round holes)、円形開口(circular openings)、又は円形オリフィス(circular orifices)に関連する総ての用語は、1枚の板を通じて貫通された円形開口又は円形穴を意味する。特に、円形貫通穴は常に磁気導体板内の穴について言及し、円形開口は常に磁気遮蔽板内の穴について言及し、そして円形オリフィスは常に電極板内の穴について言及する場合がある。更に、半径方向ギャップが2つの円形部材の間にある場合において、半径方向ギャップの用語は2つの円形部材が同心であることを意味する。
本発明は多軸磁気レンズ及びLVSEM(low-voltage scanning electron microscope、低電圧走査型電子顕微鏡)技術を用いた装置を提供し、その装置は試料を並行して検査するために複数の低エネルギー荷電粒子ビームを用いる。本装置において、低コイル励磁を要求する多軸磁気界浸対物レンズを構成し、それを荷電粒子減速と重ね合わせることにより、多軸電磁複合界浸対物レンズが低収差と試料上の低照射ダメージをもたらすべく形成される。多軸荷電粒子装置はまた、本発明において、多軸電磁界浸対物レンズを用いることにより提供される。それ故、本発明は、上述の以前の特許よりも高い空間分解能と高いスループットを提供することができ、特に、半導体収益(歩留まり)管理におけるウエハ又はマスク欠陥検査に利益をもたらすことができる。以下の詳述は、複数の電子ビーム、つまり一種の荷電粒子を用いることに焦点を合わせる。しかしながら、本発明は、はるかに広範囲の適用性を有することが認識されるであろう。例えば、イオンビームのような電子以外の荷電粒子がFIB(Focused Ion Beam、集束イオンビーム)に適用され得る一方、複数の電子ビームは、電子ビーム(E-beam)検査ツール、又は電子ビーム(E-beam)リソグラフィに適用されることができる。
本発明で提供される多軸磁気レンズは、対(ペア)をなす複数の円形貫通穴を有する一対(一組)の平行磁気導体板と、それぞれが対をなす複数の第1半径方向ギャップを有する複数の円形貫通穴の内部に、円形貫通穴に揃えて配置された対をなす複数の磁気リングと、複数の磁気リングに磁束を供給するための一対の磁気導体板の間の共通励磁コイルとを有する。対をなす複数の貫通円形穴とは、一対の磁気導体板の板内にある一方の円形貫通穴が、一対の磁気導体板の他方の板内の他方の円形貫通穴に一致するであろうことを意味する。対をなす複数の磁気リングは、一対の磁気導体板の一方の板内にある一方の円形貫通穴内の磁気リングと、一対の磁気導体板の他方の板内にある他方の円形貫通穴内の他方の磁気リングを意味する。
一対の磁気導体板は、上板及び下板を有し、各々の対をなす円形貫通穴に関して、上板内の上側円形貫通穴は、下板内の対応する下側円形貫通穴に揃えて配置されている。
一対の磁気導体板内の各対の磁気リングに関して、上側磁気リングは、対応する第2半径方向ギャップを有する下側磁気リングに揃えて配置されるとともに、該下側磁気リングの内部を貫いて下側に延びている。各対をなす第1半径方向ギャップは、上側円形貫通穴の内側側壁と上側磁気リングの外側側壁の間の第1上側半径方向ギャップと、下側円形貫通穴の内側側壁と下側磁気リングの外側側壁の間の第1下側半径方向ギャップとを有する。各サブレンズモジュールに関して、第1上側及び下側半径方向ギャップのサイズは、第2半径方向ギャップのサイズよりも小さい。第1上側及び下側半径方向ギャップは、等しいサイズを有することも等しくないサイズを有することもできる。第1半径方向ギャップ及び第2半径方向ギャップは真空であるか又は非磁性材料で満たすことができる。複数のサブレンズモジュールに関して、第2半径方向ギャップは互いに同等でなくてもよく、又は互いに同一であってもよい。
複数の磁気サブレンズモジュールは、それ故、複数の荷電粒子ビームの焦点をそれぞれ合わせるように形成され、各サブレンズモジュールに関し、上側磁気リングは内側磁極片として機能し、対応する下側磁気リングは外側磁極片として機能する。内側磁極片は、円筒形状又は対応する外側磁極片の内部に狭い下端部を有する漏斗形状を有してもよい。
多軸磁気レンズは、共通励磁コイルを囲み、一対の磁気導体板に接続するヨークを更に含む。
多軸磁気レンズは、試料をその上に保持する磁気ステージを更に有し、磁気ステージは下板の下方に設けられる。磁気ステージは、試料に対して強い磁場界浸を生成するために各サブレンズモジュールの内側磁極片及び外側磁極片と磁気的に連結するであろう。
多軸磁気レンズは、上板の上方の上側磁気遮蔽板と、下板の下方の下側磁気遮蔽板とを更に含む。上側磁気遮蔽板及び下側磁気遮蔽板の各々は、複数の円形貫通穴に揃えてそれぞれ配置された複数の円形開口を有する。各サブレンズモジュールに関し、内側磁極片の上端は上方に向かって、第1上側半径方向ギャップを有する上側磁気遮蔽板内の円形開口の内部にまで延び、上側遮蔽板の最上面の位置又は該最上面の位置より下方で止まる。上側磁気遮蔽板内の各円形開口は、逆さまのザグリを有し、内側磁極片の上端は、上方に向かって、逆さまのザグリの内側側壁に接触することなく各逆さまのザグリの下側部分の内部まで延び、内側磁極片の内径は逆さまのザグリの上側部分以上の広さを有する。各サブレンズモジュールに関し、内側磁極片及び外側磁極片の下端は下方に向かって、第1半径方向ギャップを有する下側磁気遮蔽板内の円形開口の内部まで延び、下側遮蔽板の底面の位置又は該底面の位置より上方で止まる。
第1の作動距離は、内側磁極片の下端と試料表面との間で定められ、第2の作動距離は外側磁極片と試料表面との間で定められる。第1の作動距離及び第2の作動距離は、互いに等しくすることもできるし、互いに等しくしないことも可能である。好ましい実施形態においては、第1の作動距離は第2の作動距離よりも短い。
複数のサブレンズモジュールに関し、複数の第1ギャップは各第1半径方向ギャップから、対応する一対の磁気導体板の幾何学的中心軸までの距離の増加とともに増加するサイズを有することができ、一対の平行磁気導体板中心部上に配置された円形貫通穴は、一対の平行磁気導体板の周辺部上の位置にある円形貫通穴よりも小さい内径を有する。
以下に、図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施形態を詳述する。総ての考察は、1つの電子ビームに対する1つのサブレンズの構造に基づいてなされるが、しかしながら、本発明は複数のサブレンズに適用でき、はるかに広範囲の適用性を有することが認識されるであろう。サブレンズの数は任意に増加させることができるが、多軸磁気対物レンズの幾何学的構造の非対称性の増加が最小限となるように新しいサブレンズを配置することが好ましい。
図3Aにおける多軸磁気界浸レンズは、1つの励磁コイル44と、2つの磁性板41及び42と、それぞれ2つの磁性板41及び42内で対をなす複数の磁気リング(311及び312)とを有する。明確に説明するために、300−Mと名付けられた1つのサブレンズのみが示されている。2つの磁性板41及び42は、上板41及び下板42を有し、複数の対をなす円形貫通穴を各々有する。一例として、対をなした円形貫通穴に対し、図3Aで示されるように、上板41内の上側円形貫通穴が下板42内の対応する下側貫通穴に揃えて配置されている。図3Aにおける上側円形貫通穴の寸法は、下側円形貫通穴の寸法よりも小さいけれども、上側及び下側円形貫通穴は双方同じであってもよい。好ましい実施形態においては、下側円形貫通孔は上側円形貫通穴と比較して、より大きな寸法を有する。
対をなす複数の磁気リングは、複数の円形貫通穴にそれぞれ閉じ込められて(又は収容されて又は囲まれて)いる。各対をなす磁気リングに関して、2つの磁気リング311及び312は、上側リング311と対応する下側リング312を有し、各々上側円形貫通穴と下側円形貫通穴に閉じ込められ、各々第1上側半径方向ギャップG1と第1下側半径方向ギャップG2を有する。上側磁気リング311と下側磁気リング312の両方とも、高い透磁率を有し、図3Aに示されるように、1つの実施形態においては円筒形状である。サブレンズモジュールはそれ故、励磁コイル44と、2つの磁性板41及び42と、上側及び下側円形貫通穴と、2つの磁気リング311及び312とにより形成され、上側磁気リング311は内側磁極片として機能し、下側磁気リング312は外側磁極片として機能する。励磁コイル44は、内側磁極片311及び外側磁極片312に磁束を供給する。
図3Aを再び参照すると、多軸磁気界浸対物レンズは、コイルヨーク43と、2つの磁気遮蔽板50及び51とを更に含む。コイルヨーク43及び2つの磁性板41及び42は、コイル44を、側面、上面及び底面からそれぞれ覆う。2つの磁気遮蔽板50及び51は、選択的にそれぞれ、非磁性ギャップを有して上側磁性板41上に配置されるか、非磁性ギャップを有して下側磁性板42の下方に配置される。試料ステージ61は、下側磁気遮蔽板50の下方に配置される。2つの板50及び51の各々には、電子ビーム通過用の複数の円形開口がある。これら4つの板41、42、50及び51内の各円形貫通穴又は円形開口は、各々が残りの3つの板内の3つの穴又は開口に揃えて配置される。
内側磁極片311は、上側及び下側磁性板41及び42内の穴に揃えて配置され、これを通って延びる。また、内側磁極片311の上端は、図3Aに示されるように、上側磁気遮蔽板51の下側部分の内部に、上向きに延びており、下端は、下側磁気遮蔽板50の下側にある円形開口の内部に、下向きに延びている。外側磁極片312は、内側磁極片311の外側から下側磁性板42内の貫通穴を通り、内側磁極片311に揃えて配置される。外側磁極片312の下端は、下側磁気遮蔽板50内の円形開口内部に更に延びる。磁極片311及び312は、総ての穴の内壁に接触せず、空間ギャップは真空であるか非磁性材料で満たされるかのいずれかである。
内側磁極片311と試料60の表面との間の軸方向空間ギャップGWの長さは、外側磁極片312と試料60の表面との間の距離に等しい。コイル44が電流により励磁された場合には、磁気円形レンズ場が内側及び外側磁極片311及び312の各対の間の半径方向磁気回路ギャップG3を通って供給される。それ故、内側及び外側磁極片311及び312の各対は半径方向ギャップ磁気サブレンズを形成し、図3Aでは1つのサブレンズしか示されていないが、本発明においては複数のサブレンズが形成され得ると言える。従来のように、内側磁極片311と試料60との間の軸方向ギャップGWの長さが磁気サブレンズの作動距離と呼ばれる。そのようなサブレンズは複数あり、その総てが共通コイル44により励磁される。
1つの磁気サブレンズは、電子ビームを集束し、検査用の試料表面60上にプローブスポットを形成させるのに用いられるだろう。内側磁極片311と外側磁極片312との間の半径方向ギャップG3のために、磁気サブレンズは試料表面上に非常に強い磁場界浸(magnetic field immersion)を供給することができ、それ故、プローブスポットは小さな収差を有する(小さな収差しか有さない)。
図3Aを再び参照すると、多軸磁気界浸対物レンズは、更に磁気試料ステージ61を含む。従来使っていた非磁性試料ステージと比較して、磁気試料ステージを用いることにより、各サブレンズの磁気円形レンズ場を更に高め、各サブレンズの磁場ピークを試料近傍に移動させることができる。結果として、第1に、各電子ビームの焦点を合わせるのに要求される共通コイル励磁が減少し、これにより、半径方向ギャップ(を有する)磁気レンズがより大きなコイル励磁を必要とするという従来の問題を解決する。従って、電気抵抗による(排気)熱を除去するための余分な冷却装置は、大きなコイル励磁を通常必要とする短い作動距離を用いるときでさえ、必ずしも必要ではない。このデザインは、系(システム)が更に複雑さと不安定性を増すのを回避する。第2に、短い作動距離が、コイル励磁をあまり増加させることなく利用可能である。短い作動距離を用いることは、サブレンズの焦点距離を減少させ、試料前の残留非軸対称横軸磁場(residual non-axisymmetric transverse magnetic field)の作動範囲を短くする。結果として、それは基本的な軸対称収差(球面及び色収差)と、付加的な非軸対称収差を同時に減少させる。第3に、試料上の磁場界浸は、磁場ピークが試料に接近するため増加する。界浸が強くなる程、収差が小さくなることがよく知られている。
図3Bを参照すると、多軸磁気界浸対物レンズの別の実施形態が与えられている。本実施形態においては、試料60の表面と内側磁極片311の下端との間の距離G4が、試料60の表面と外側磁極片312の下端との間の距離G5よりも短い。この構成において、内側磁極片311により供給される磁場は試料60上の磁場界浸を更に高めることができる。
図3Cを参照すると、多軸磁気界浸対物レンズの他の実施形態が更に与えられている。本実施形態においては、内側磁極片311は、内側磁極片311と外側磁極片312との間の磁気結合を減少させる漏斗状の外形(又は輪郭)を有し、内側磁極片311と外側磁極片312の下端に配置された半径方向磁気回路ギャップG3を通って、より大きな磁束を漏出させる。これにより、本実施形態は、前の2つの実施形態よりも小さなコイル励磁しか必要としない。
図3Dは、本発明による多軸磁気界浸対物レンズの好ましい実施形態の構造を示している。この構造を明確に説明するために、300−Mと称される1つのサブレンズのみが示されている。磁気リング311及び312は、又は各々内側磁極片311及び外側磁極片312と呼ばれるが、半径方向ギャップG1及びG2をそれぞれ有する上側及び下側磁性板41及び42中の穴を通って延びている。G1及びG2内部の空間は、真空とされ得るか又は非磁性材料で満たされ得る。半径方向ギャップG1及びG2の厚さ(又は大きさ)は、非軸対称横軸場成分の残留及びコイル励磁の大きさを考慮しつつ選択される。ギャップが薄く(小さく)なるほど、非軸対称横軸場成分は強くなるであろう。ギャップが厚く(大きく)なるほど、より高いコイル44の励磁が要求されるであろう。内側磁極片311の下端は、外側磁極片312の内部に延びる。内側磁極片311及び外側磁極片312の下端は下側磁気遮蔽板50内の穴の内部に延び、半径方向磁気回路ギャップG3を形成し、それは真空であるか非磁性材料で満たされるかのいずれかとされ得る。内側磁極片311の上端は、上側遮蔽板51内の逆さまのザグリ形状穴の下側部分の内側に延び、その穴の上側部分の内径D2とほぼ等しい内径D1を有する。試料60は、磁気ステージ61上に載置される。試料60と内側磁極片311との間の軸方向ギャップG4は、サブレンズ300−Mの作動距離と呼ばれる。試料60と外側磁極片312との間の軸方向ギャップG5及び軸方向ギャップG4の双方とも、試料60と下側磁気遮蔽板50との間の軸方向ギャップG6よりも長い。軸方向ギャップG4及びG5は、必ずしも同じ長さを有する必要は無い。その長さは、磁気回路ギャップG3の要求方向に依存する。G4がG5よりも少し短いとき、ギャップG3は光学軸から離れる方向を向き、より深い磁場界浸が与えられる。共通コイル44は、ギャップG3を通じて円形磁気レンズ場を供給し、磁気ステージ61は、円形磁気レンズ場を更に強くし、そのピークを更に試料60の表面に接近させる。従って、試料60は、強い磁場に浸漬され得る。この界浸磁場は、サブレンズ300−Mの収差を大幅に減少させる。磁気ステージ61による磁場の強化は、電子ビームの焦点を合わせるために要求されるコイル励磁を減少させ、従って共通コイルの冷却要求を取り除く。結果として、系の複雑さと不安定性の増加を回避する。磁気ステージ61のデザインは、短い作動距離G4を用いることを可能とする。なぜなら、普通、短い作動距離は、より多くの熱を発生させるであろう高いコイル励磁を必要とするからである。短い作動距離は、基本的な収差(球面及び色収差)を減少できるだけでなく、試料前の残留非軸対称横軸磁場による付加的な収差をも減少させることができる。多軸磁気界浸対物レンズは、非軸対称構造を有するが、その中にある各サブレンズは、サブレンズ光学軸について軸対称である。
本実施形態において、磁気遮蔽板51は、内側磁極片311から磁場をシールド(遮蔽)するために、より小さい内径D2を有する逆さまのザグリを備える。更に、磁気遮蔽板51の部分からサブレンズ外部に漏出する磁束をシールドするため、チューブ331が磁気遮蔽板51上に積層される。
試料上の低照射ダメージを実現するため、電子ビームは低エネルギーで試料表面に照射しなければならない。電子ビームのエネルギーが低くなるほど、クーロン効果が強くなるであろうことは、よく知られている。クーロン効果を可能な限り低減させるため、リターディングと呼ばれる電子減速が用いられる。電子ビームは、最初は高い運動エネルギーまで加速され、次に試料に衝突する直前に所望の最終的な低ランディングエネルギーまで減速される。これは、多軸静電界浸対物レンズを上述の多軸磁気界浸対物レンズと組み合わせることにより実現される。多軸静電界浸対物レンズは、複数の静電サブレンズを含む。各静電サブレンズは、通過する電子ビームを減速する静電減速場を与えるように、多軸磁気界浸対物レンズ中の各磁気サブレンズと重なり合う。
静電サブレンズは、磁気サブレンズの内側磁極片と、試料と、試料と内側磁極片との間に配置された平面電極とにより形成される。平面電極は、内側磁極片に揃えて配置された1つの円形オリフィス又は円形貫通穴を有する個々の板であってもよいし、若しくは複数の円形オリフィス又は円形貫通穴を有し、各穴が各内側磁極片に揃えて配置された単体の板であってもよい。静電サブレンズにおいて、内側磁極片は接地電位に設定され、試料は負電位Vsに設定され、平面電極板はVs以上の電位Veに設定される。各静電サブレンズにより生成される減速場は、クーロン効果及び結像収差を同時に減少させる効果的な方法を提供する。例えば、試料電位Vsよりもずっと低い負電位Vcでカソードから発射された後、電子はより高いエネルギー|e・Vc|まで直ちに加速されることができ、次の系を通るときにこのエネルギーを維持し、そして最終的に、減速場により試料に衝突する直前に所望の低ランディングエネルギー|e・(Vs−Vc)|まで減速される。電子エネルギーが高くなるにつれて、クーロン効果は弱くなることは、よく知られている。
減速場は、少なくとも負極性の静電レンズ場を含む。負の静電レンズ(発散レンズ)により生成された負の収差は、磁気サブレンズにより生成された正の収差の殆どを補正できる。多軸磁気界浸対物レンズと多軸静電界浸対物レンズの組み合わせは、多軸電磁複合界浸対物レンズと呼ばれ、互いに重なり合っている一対の磁気サブレンズと静電サブレンズの組み合わせは、電磁複合界浸対物サブレンズと呼ばれる。
そして、本発明は、多軸電磁複合界浸対物レンズを供給し、それは多軸磁気界浸対物レンズと、一対の平行磁気導体板より下方に配置された下側磁気遮蔽板と、下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された試料と、試料よりも上方かつ下側磁気遮蔽板よりも下方にある複数の円形オリフィスを有する平面電極と、を有する。複数の静電サブレンズモジュールは、それ故、複数の磁気サブレンズモジュールに揃えて各々配置され、各静電サブレンズモジュールは、内側磁極片と、平面電極と、試料とを第1電極、第2電極、及び第3電極としてそれぞれ含む。平面電極は、複数の独立したセグメントに分割されることができ、各セグメントは、平面電極内で複数の円形オリフィスの1つを含む。上側及び下側磁気遮蔽板は、複数の円形貫通穴に各々揃えて配置された複数の円形開口を有する。複数の円形オリフィスは、下側磁気遮蔽板中の複数の開口にそれぞれ揃えて配置される。
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態が詳述される。総ての説明は、1つの電子ビームに対して1つのサブレンズを有する構造に基づいてなされるが、しかしながら、本発明は、複数のサブレンズにも適用することができ、はるかに広範囲の適用性を有すると認識されるであろう。サブレンズの数は、任意に増加させることができるが、多軸磁気対物レンズの幾何学的構造の非対称性の増加が最小限となるように新たなサブレンズを配置することが好ましい。
図4は、本発明による多軸電磁複合界浸対物レンズの実施形態の構造を示す。これを明確に説明するため、300−MEと称されるサブレンズのみが示されている。円形オリフィス又は円形貫通孔を有する平面電極70は、試料60、下側遮蔽板50及び内側磁極片311の間に挿入され、オリフィスの内径又は穴は、内側磁極片311の内径と等しいか、又は少し異なっている。磁気ステージ61を除き、磁気素子(41、42、50、51、311、312、331)の総ては、接地電位に設定される。試料60及び磁気ステージ61は、負電位Vsに設定され、平面電極70は、電位Vs以上に設定される。このように、減速電場は試料60の前から生成され、電子ビームは試料に衝突する直前に減速され得る。リターディング方法は、クーロン効果を増加させることなく試料上への照射ダメージを減少させる。減速場(減速電場)は、少なくとも1つの負の静電レンズ場を含む。負の静電レンズ(発散レンズ)から生成される負の収差は、純粋な磁気サブレンズ300−Mにより生成された正の収差の殆どを補正できる。それ故、電磁複合サブレンズ300−MEの収差係数は、純粋な磁気サブレンズ300−Mの収差係数の10〜20%まで減少される。
試料上を複数の電子ビームで並行して走査することを実現するために、複数の偏向走査ユニットが、上述の多軸電磁複合界浸対物レンズに追加されることができる。各偏向走査ユニットは、各電磁複合界浸対物サブレンズにおける内側磁極片の内部に挿入される。各偏向走査ユニットは、内側磁極片の上端及び下端にそれぞれ配置された2つの偏向器を有する。両方とも、より小さい軸外収差しか生じないレンズ場に近接した偏向(又はスイング偏向と呼ばれる)走査を実現するために、グループとして動作する。その上、内側磁極片の二端における残留磁気双極子場の効果が明らかに試料上に照射する電子ビームの質を低下させた場合には、これら2つの偏向器は、その効果を相殺するように使用され得る。更に、内側磁極片の二端における残留磁気四極子場の効果が明らかに試料上に照射する電子ビームの質を低下させた場合には、これら2つの偏向器は、偏向器及び非点収差補正装置として同時に動作できるように、多極子構造を有して構成され得、これら2つの非点収差補正装置はその効果を相殺するように使用され得る。上述のこれら2つの場合において、偏向走査ユニットは一般的に偏向走査・補正ユニットに名前を変更され得る。
図5は、本発明による複数の偏向走査ユニットを有する多軸電磁複合界浸対物レンズの実施形態の構造を示している。明確に説明するために、1つのサブレンズ300−ME−Dのみが示されている。一対の静電偏向器321及び322は、内側磁極片311の穴の内部に挿入される。第1の偏向器(No. 1 deflector)321は、内側磁極片311の上端近く配置され、第2の偏向器(No. 2 deflector)322は、内側磁極片311の下端付近に配置される。2つの偏向器321及び322は、試料60の表面上で300−MEを通った電子ビームを走査する偏向器走査ユニットとして、ともに作動する。第2の偏向器322により生成される偏向器場は、サブレンズ300−MEの円形磁気レンズ場に非常に近いので、偏向器走査ユニットはより小さな軸外収差しか発生させない。これにより、試料60を検査するときに、広い視野を用いることが可能となる。また、2つの偏光器321及び322も、内側磁極片311の2つの端において、残留磁気双極子場の影響を直接的に補正するために使用され得る。偏向器321及び322も、双極子レンズと同様に、四極子レンズとして動作できる多極子構造を有するように設計されることができる。この場合、321及び322も、内側磁極片311の2つの端部において残留磁気四極子場の影響を直接補正するために使用され得る。残留磁気双極子場及び/又は四極子場が存在する場合に補正が行われるので、補正効果は非常に効果的であろう。
図6A及び図6Bは、異なる第1半径方向ギャップが、異なるサブレンズモジュール間で変化してもよいことを図示している。総ての第1半径方向ギャップは同一とされ得るが、しかしながら、好ましい実施形態において、中央のサブレンズにおける半径方向ギャップは、周辺のサブレンズモジュール内の他の半径方向ギャップよりも短いであろう。この目的を達成するために、1つの方法は、上板41内の中央の円形貫通孔10−2が、図6Aに示されるように、近隣の円形貫通穴10−1及び10−3と比較して直接縮小されることである。中央の磁気リング311−2は、その他の周辺の磁気リング311−1及び311−3と比較して、同じ寸法を有することに気付かされる。他の方法は、図6Bに示されるように、周辺の磁気リング311−4及び311−6が同じ寸法を保つ一方で、中央の磁気リング311−5が、他の周辺の磁気リング311−1及び311−3と比較して拡大されることである。総ての円形貫通穴10−4、10−5及び10−6は、図6Bの上板41において総て同一であることに気付かされる。しかしながら、中央の円形貫通穴を縮小すると同時に中央の磁気リングを拡大し、そして周辺の円形貫通穴を磁気リングと同様に一定に保つ別の方法がなお存在する。
更に、複数の電子ビームを用いて試料を並列に検査する装置は、多軸電磁複合界浸対物レンズと、上述の複数のレンズ場に近接した偏向走査ユニットとを用いることにより構成される。多軸電磁界浸対物レンズ中の各々の電磁複合界浸対物サブレンズは、レンズ場に近接した偏向走査ユニットと組み合わされ、その組み合わせはフォーカス・走査サブユニットと呼ばれる。
各フォーカス・走査サブユニットの最上領域上に、最上部から最下部まで、独立した電子銃と、独立した集束レンズと、ビーム制限アパーチャと、検出器がある。電子ビームは、電子銃により生成され、集束レンズにより弱くフォーカスされる。ビーム制限アパーチャは、広い極角を有する電子を遮ることにより電子ビームの電流(又は流れ)を制限する。検出器は、中央の円形貫通穴を有し、その結果電子ビームが通過して次のフォーカス・走査サブユニットに入ることができる。フォーカス・走査サブユニットは、試料表面上に低電圧のプローブスポットとなるように電子ビームの焦点を合わせ、電子ビームを走査する。二次電子が試料表面上のプローブスポットの照射位置から放出され、次にフォーカス・走査サブユニットを通過し、最終的にその殆どが検出器に入射する。
各電子ビームの経路中における非軸対称横軸磁場をできるだけ減少させるため、各電子銃から各磁気サブレンズの最上部までの空間が4つの独立した磁気チューブにより磁気的に遮蔽される。最下部から最上部まで数えると、第1のチューブは、サブレンズの頂点から検出器までの空間を遮蔽するために、多軸磁気対物レンズの上側磁気遮蔽板上に積み重ねられている。第2のチューブは、ビーム制限アパーチャから銃とカラムを分離する真空ゲートバルブまでの空間を遮蔽するため、軸方向の空間ギャップを有して第1のチューブより上方に配置されている。空間ギャップは、日常の保守整備を行う際に、検出器及びビーム制限アパーチャの設置及び置き換えが可能なようにデザインされている。第3のチューブは、銃から真空ゲートバルブなでの空間を遮蔽するために、軸方向の空間ギャップを有して第2のチューブよりも上方に配置されている。空間ギャップは、真空ゲートバルブを設置するようにデザインされている。第4のチューブは、内部から第3のチューブの上端を覆うように配置されており、特に銃の先端を完全に覆うようにデザインされている。銃の先端付近の領域で残留双極子場により生成された電子軌道の小さなずれは、次の系により、試料表面上の大きな照射位置ずれにまで拡大されるであろう。隣接した磁気チューブ間の空間ギャップの総てにおいて非軸対称横軸磁場を除去するため、磁気チューブの総ては、広い共通の磁気チューブと、装置の上面上にある広い磁気遮蔽板によって覆われる。
本発明は、このように多軸荷電粒子装置を提供し、その多軸荷電粒子装置は、多軸電磁複合界浸対物レンズと、多軸電磁複合界浸対物レンズ内の複数の磁気サブレンズモジュールの内部にそれぞれ配置された複数の偏向走査・補正ユニットと、多軸電磁複合界浸対物レンズ上に配置された複数のサブレンズとを含む。
多軸電磁複合界浸対物レンズは、多軸磁気界浸対物レンズと、一対の平行磁気導体板より上方に配置された上側磁気遮蔽板と、一対の平行磁気導体板より下方に配置された下側磁気遮蔽板と、下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された試料と、試料よりも上方、かつ下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された、複数の開口オリフィスを有する複数の平面電極とを含む。上側及び下側磁気遮蔽板は、複数の円形貫通穴にそれぞれ揃えて配置された複数の円形開口を有し、複数の円形オリフィスは、下側磁気遮蔽板中の複数の開口に揃えてそれぞれ配置され、複数の静電サブレンズモジュールは、よって複数の磁気サブレンズモジュールに揃えて各々形成され、各静電サブレンズモジュールは、内側磁極片と、複数の平面電極のうち一つの平面電極と、試料とを、第1の電極、第2の電極及び第3の電極としてそれぞれ有する。
複数の偏向走査・補正ユニットの各々は、内側磁極片に揃えて、内側磁極片の上端に配置され、双極子場のみ、又は四極子場とともに双極子場を生成する上側静電多極子レンズと、内側磁極片に揃えて、内側磁極片の下端に配置され、双極子場のみ、又は四極子場とともに双極子場を生成する下側静電多極子レンズとを有する。従って、偏向走査ユニットは、試料上の複数の荷電粒子ビームの1つを走査させるように形成され、補正ユニットは、多軸電磁複合界浸対物レンズにより生成された双極子場及び四極子場の影響を補正するように形成される。
複数のサブカラムの各々は、荷電粒子ビームを生成する荷電粒子源と、荷電粒子源よりも下方にあり、荷電粒子ビームを集束する集束レンズと、集束レンズよりも下方にあるビーム制限アパーチャと、ビーム制限アパーチャよりも下方にあり、試料から放出された荷電粒子信号を集める検出器と、検出器と上側磁気遮蔽板との間の第1の空間を囲み、上側磁気遮蔽板に揃えて配置され、上側磁気遮蔽板の最上面に積層された第1の磁気遮蔽チューブと、集束レンズとビーム制限アパーチャとの間の第2の空間を囲む第2の磁気遮蔽チューブと、荷電粒子源と集束レンズとを囲む第3の磁気遮蔽チューブと、第3の磁気遮蔽チューブの内部の荷電粒子源を囲む第4の磁気遮蔽チューブとを有し、複数のサブカラムは磁気遮蔽筐体に囲まれている。多軸荷電粒子装置の複数のサブカラムの各々は、検出器とビーム制限アパーチャとの間に第5の磁気チューブを更に有してもよい。
一対の平行磁気導体板、複数の磁気リング、上側磁気遮蔽板、下側磁気遮蔽板、第1の磁気遮蔽チューブ、第2の磁気遮蔽チューブ、第3の磁気遮蔽チューブ、第4の磁気遮蔽チューブ及び磁気遮蔽筐体は、接地電位に設定されている。
各荷電粒子源は、負電位の電子源である。試料及び磁気ステージは、各電子源の電位よりも高い負電位に設定されている。各平面電極は、試料の電位以上に設定されている。一方では、複数の平面電極は同電位に設定され、複数の平面電極の開口オリフィスの総てを含む広い1枚の電極に統合され得る。他方では、複数の平面電極は異なる電位に設定され得る。
以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施形態を詳述する。総ての説明は、3つの電子ビームに対して3つのサブレンズが設けられた構造に基づくが、しかしながら、本発明は3つのサブレンズよりも多い場合にも適用され得、はるかに広範囲の適用性を有することが認識されるであろう。サブレンズの数は自由に増加されるが、多軸磁気対物レンズの幾何学的構造の非対称性の増加が最小限となるように新たなサブレンズを配置することが好ましい。
図7は、本発明による試料を並列に検査するために複数の電子ビームを用いる装置の実施形態を示している。その装置は、複数の偏向走査ユニットと組み合わされた多軸電磁複合界浸対物レンズに基づく。それを明確に説明するために、3つのビームを有する場合のみが例として示されている。3つの電子ビーム1〜3は、それぞれ3つの独立したカソードから発射される。ビーム3が、その構造を説明するために例として挙げられる。カソード381が負電位Vcに設定され、アノード382がVcよりも高い特定の電位に設定されたときに、電子ビーム3が発射される。ガンアパーチャ383は接地電位に設定され、試料検査用の最大プローブ電流よりも少しだけ大きくなるように電子ビーム3の電流を削減する。静電集束レンズ371は、ビーム3を弱くフォーカスし、ビーム制限アパーチャ351を通過するビーム3の電流を制御する。ビーム3は検出器341の中央の穴を通過し、そしてサブレンズ300−ME−Dに入る。
試料60及び磁気試料ステージ61は、カソード381の電位Vcよりも高い負電位Vsに設定される。Vsは、ビーム3のランディングエネルギー|e・(Vs−Vc)|が5keV未満(<5keV)のような低エネルギーに確実になるように設定される。平面電極70は、Vs以上の電位Veに設定される。電位差(Ve−Vs)は、試料60の表面全体上の静電場が、試料の安全のために許される値よりも弱く規制するように設定される。サブレンズ300−ME−Dは、試料60の表面上へビーム3をフォーカスし、走査させ、減速させる。試料60の表面上のビーム3のスポットは、プローブスポットと呼ばれる。二次電子は、試料表面上のプローブスポット3の照射場所から放出され、サブレンズ300−ME−Dを通過し、最終的にそれらの殆どが検出器341に入射する。
カソード381から遮蔽板51へのビーム3の経路内における非軸対称横軸磁場を減少させるため、4つの磁気チューブ331−1〜331−4が経路に沿って配置される。第1のチューブ331−1は、上側遮蔽板51上に積み重ねられる。第1のチューブ331−1と第2のチューブ331−2との間の空間は、日常の予防的保守プロセスの間、検出器341及びビーム制限アパーチャ351を設置して置き換えるためにデザインされている。第2のチューブ331−2と第3のチューブ331−3との間の空間は、ゲートバルブ361を設置するためにデザインされている。第4のチューブ331−4は特に、カソード381を完全に覆うようにデザインされている。電子銃付近の領域で残留双極子場により生成された小さな電子軌道のずれは、次のカラムにより拡大され、最終的には試料60の表面上のプローブスポットの大きさと位置に対して、もっと大きな追加的な収差を付加してしまう。磁気チューブ331−1〜331−4間の空間ギャップ内の非軸対称横軸磁場を除去するため、磁気チューブの総てはより広い磁気チューブ52と最上部磁気板53により覆われる。
多軸静電対物レンズ内の平面電極板は、内側磁極片に揃えて配置された複数の貫通穴を有する1枚の広い板であるか、内側磁極片に揃えて配置された中央穴を有する複数の小さな独立した板を有するいずれかとすることができる。
図8は、本発明による試料を並行して検査する複数の電子ビームを用いる装置の他の実施形態を示す。図7における実施形態と異なり、広い平面電極70が3つの小さな平面電極70−100、70−200及び70−300に置き換えられている。これら3枚の電極の電位、Ve−100、Ve−200及びVe−300は、3つのサブレンズ間の微妙なフォーカスパワーの相違を補正するため、独立に調整され得る。
本発明において、第1に、多軸磁気界浸対物レンズが提供され、それは試料表面及び磁気試料ステージと対向する半径方向磁気回路ギャップを有する複数の磁気サブレンズを有する。このデザインは、各サブレンズが低収差で荷電粒子ビームの焦点を合わせるだけでなく、コイル熱冷却を必要としないように共通コイル励磁を大幅に減少させる。熱冷却ユニットを用いることは、対物レンズの複雑さと不安定性を更に増加させるであろう。第2に、多軸電磁複合界浸対物レンズが提供され、当該多軸電磁複合界浸レンズは、上述の多軸磁気界浸対物レンズと、複数の静電サブレンズを含む多軸静電界浸対物レンズとを含む。各静電サブレンズは、試料を低照射ダメージと高分解能で検査することを同時に実現可能とする減速場を生成する。第3に、上述の多軸電磁複合界浸対物レンズの内部に配置された複数の偏向走査・補正ユニットが提供される。各ユニットは、試料表面上で焦点が合わされた粒子ビームを低軸外収差で走査するため、2つの偏光器及び2つの非点収差補正装置として同時に動作し、磁気サブレンズにおける残留非軸対称横軸場成分の影響を補正する。最終的に、試料を並行して検査する複数の荷電粒子ビームを用いた装置が提供され、その装置は、上述の多軸電磁複合界浸対物レンズ及び複数の偏向走査・補正ユニットと、複数の独立した荷電粒子源と、各荷電粒子源から多軸電磁複合界浸対物レンズの上端までの空間中の非軸対称横軸磁場を完全に除去する複数の磁気遮蔽ユニットとを用いる。上述の利点の総てを含めて、装置は、その結果として、試料検査時の高空間分解能と高スループットを提供することができ、これにより半導体歩留まり管理におけるウエハ又はマスク欠陥検査に特に利益をもたらすことができる。
本発明は、示された実施形態に従って詳述されてきたが、実施形態に対する変形があり得、これらの変形が本発明の趣旨及び範囲内にあることは、当業者が容易に認識するであろう。従って、添付のクレームされた発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの変更がなされてよい。

Claims (12)

  1. 多軸磁気界浸対物レンズであって、
    対をなした複数の円形貫通穴を備えた上板及び下板を有し、各々の前記円形貫通穴について、前記上板内の上側円形貫通穴が前記下板内の対応する下側円形貫通穴に揃えて配置された一対の平行磁気導体板と、
    前記複数の円形貫通穴に揃えて、前記円形貫通穴の内部に、各々対をなす複数の第1半径方向ギャップを有して配置された対をなす複数の磁気リングであって、前記一対の平行磁気導体板内の磁気リングの各対の各々について、上側磁気リングが、対応する下側磁気リングに揃えて第2半径方向ギャップを有して配置されるとともに、該対応する下側磁気リングの内部を通って下方に延び、各対をなす前記第1半径方向ギャップは、前記上側円形貫通穴の内側の側壁と前記上側磁気リングの外側の側壁との間の第1上側半径方向ギャップと、前記下側円形貫通穴の内側の側壁と前記下側磁気リングの外側の側壁との間の第1下側半径方向ギャップとを有し、
    それにより複数の荷電粒子ビームの焦点を合わせる複数の磁気サブレンズモジュールを形成し、各磁気サブレンズモジュールについて、前記上側磁気リングが内側磁極片として機能するとともに、前記対応する下側磁気リングが外側磁極片として機能する複数の磁気リングと、
    前記複数の磁気サブレンズモジュールに対して磁束を供給する前記一対の平行磁気導体板間に配置された共通励磁コイルと、を有する多軸磁気界浸対物レンズ。
  2. 多軸電磁複合界浸対物レンズであって、
    請求項1に記載された多軸磁気界浸対物レンズと、
    前記一対の平行磁気導体板よりも上方に配置され、前記複数の円形貫通穴にそれぞれ揃えて配置された複数の円形開口を有する上側磁気遮蔽板と、
    前記一対の平行磁気導体板よりも下方に配置され、前記複数の円形貫通穴にそれぞれ揃えて配置された複数の円形開口を有する下側磁気遮蔽板と、
    該下側磁気遮蔽板よりも下方に配置された試料と、
    該試料よりも上方かつ前記下側磁気遮蔽板よりも下方に配置され、前記下側磁気遮蔽板内の前記複数の円形開口に揃えて配置された複数の開口オリフィスを有する平面電極とを有し、
    それにより前記複数の磁気サブレンズモジュールに揃えてそれぞれ配置された複数の静電サブレンズモジュールを形成し、各静電サブレンズモジュールは、前記内側磁極片と、前記平面電極と、前記試料とを第1の電極、第2の電極及び第3の電極として含む多軸電磁複合界浸対物レンズ。
  3. 前記第1及び第2半径方向ギャップは各々、真空であるか又は非磁性材料で満たされ、
    各サブレンズモジュールについて、前記第1上側及び下側半径方向ギャップの寸法は、前記第2半径方向ギャップよりも小さく、前記第1上側及び下側半径方向ギャップは同じ寸法を有する請求項1に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  4. 前記第1及び第2半径方向ギャップは各々、真空であるか又は非磁性材料で満たされ、
    各サブレンズモジュールについて、前記第1上側及び下側半径方向ギャップの寸法は、前記第2半径方向ギャップの寸法よりも小さく、前記第1上側及び下側半径方向ギャップは同じ寸法を有する請求項2に記載の多軸電磁複合界浸対物レンズ。
  5. 前記一対の平行磁気導体板よりも上方に配置された上側磁気遮蔽板と、
    前記一対の平行磁気導体板よりも下方に配置された下側磁気遮蔽板とを更に有し、
    前記上側及び下側磁気遮蔽板はそれぞれ前記複数の円形貫通穴に揃えて配置された複数の円形開口を有し、
    前記上側磁気遮蔽板内の各円形開口は逆さまのザグリの形状を有し、
    前記内側磁極片の各々の上端は上方に向かって、前記逆さまのザグリの内壁に接触することなく各逆さまのザグリの下側部分まで延びるとともに、前記逆さまのザグリの上側部分の内径以上の内径を有し、
    試料が前記下側磁気遮蔽よりも下方に配置され、
    前記内側及び外側磁極片の各対の下端は下方に向かって、前記第1下側半径方向ギャップを有する前記下側磁気遮蔽板内の各円形開口の内部まで延び、前記下側磁気遮蔽板の底面の位置か又は該底面の位置より上方で止まる請求項3に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  6. 前記各磁気サブレンズモジュールは、前記内側磁極片の下端と前記試料の表面との間の第1の作動距離と、前記外側磁極片の下端と前記試料の前記表面との間の第2の作動距離を有し、
    前記第1の作動距離は、前記第2の作動距離よりも短く、前記多軸磁気界浸対物レンズは、前記試料をその上に保持するために前記試料の下方に配置された磁気ステージを更に有し、
    該磁気ステージは、前記試料に対して強い磁場界浸を生成するために各サブレンズの前記内側及び外側磁極片と磁気的に連結している請求項5に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  7. 前記複数の磁気サブレンズモジュールについて、前記第2半径方向ギャップは互いに等しくない請求項3に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  8. 前記複数の磁気サブレンズモジュールについて、前記第2半径方向ギャップは互いに同一であり、
    前記複数の第1半径方向ギャップは、各第1半径方向ギャップから前記一対の平行磁気導体板の対応する幾何学的中心軸までの距離とともに増加する寸法を有し、
    前記複数の円形貫通穴について、前記一対の平行磁気導体板の中心部に配置された前記円形貫通穴は、前記一対の平行磁気導体板の周辺部に配置された前記円形貫通穴よりも小さい内径を有し、
    前記複数の内側及び外側磁極片について、前記一対の平行磁気導体板の中心部に配置された磁極片は、前記一対の平行磁気導体板の周辺部に配置された磁極片よりも大きな外径を有する請求項3に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  9. 前記複数の第1半径方向ギャップは、等しい寸法を有する請求項8に記載の多軸磁気界浸対物レンズ。
  10. 前記各一対の内側及び外側磁極片の下端は下方に向かって、前記下側半径方向ギャップを有する前記下側磁気遮蔽板中の各円形開口の内部まで延び、前記下側磁気遮蔽板の底面の位置又は該底面の位置より上方で止まり、
    前記各磁気サブレンズモジュールは、前記内側磁極片の下端と前記試料の表面との間の第1の作動距離と、前記外側磁極片の下端と前記試料の前記表面との間の第2の作動距離とを有し、
    前記第1の作動距離は前記第2の作動距離よりも短く、
    前記複数の磁気サブレンズモジュールについて、前記第2半径方向ギャップは互いに同一であり、
    前記複数の第1半径方向ギャップは、各第1半径方向ギャップから前記一対の平行磁気導体板の対応する幾何学的中心軸までの距離に伴い増加する寸法を有し、
    前記複数の円形貫通穴について、前記一対の平行磁気導体板の中心部上に配置された前記円形貫通穴は、前記一対の平行磁気導体板の周辺部上に配置された前記円形貫通穴よりも小さい内径を有する請求項4に記載の多軸電磁複合界浸対物レンズ。
  11. 前記磁気リングの各対について、前記上側磁気リングは、円筒形状又は前記対応する下側磁気リングの内部に狭い下端部を有する漏斗形状を有する請求項4に記載の多軸電磁複合界浸対物レンズ。
  12. 前記平面電極は、複数の独立したセグメントに分割され、各セグメントは前記平面電極内の前記複数の円形オリフィスの1つを含む請求項4に記載の多軸電磁複合界浸対物レンズ。
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