以下、本発明の実施形態を、携帯電話システムに適用した場合を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1は、携帯電話システムの全体概念図である。この図において、便宜的に示す2台の携帯電話機A、Bは、それぞれ最寄りの基地局3、3を経由して交換機4から有線・無線通信網(一般公衆電話通信網と移動体通信網)5に接続することができ、この有線・無線通信網5を介して他の携帯電話機や一般加入電話機(図示省略)との間で音声通信を行ったり、あるいは、必要に応じて有線・無線通信網5を経由してインターネット6に接続し、この携帯電話システムの管理装置7をはじめとする各種のWebサイトにアクセスしてデータ通信(コンテンツの閲覧やファイルのダウンロード等)を行ったりすることができるものである。
このように、2台の携帯電話機A、Bは音声通信とデータ通信が可能なものであり、とりわけ音声通信の場合に、図示の通信インフラ(携帯電話システムに係るインフラ)を利用していずれか一方から他方を呼び出して相互に通話することが可能なものであるが、ここでは、説明の都合上、左側の携帯電話機Aを「呼び出し先」、右側の携帯電話機Bを「呼び出し元」とすることにする。つまり、図示の2台の携帯電話機A、Bは、右側の携帯電話機Bから左側の携帯電話機Aを呼び出して相互に通話できるものとする。
ただし、呼び出し元の携帯電話機Bの使用者は、呼び出し先の携帯電話機Aに割り当てられた固有の端末識別情報(以下、電話番号)を承知しない(知らない)ものとする。
呼び出し先の携帯電話機Aの電話番号は事前に管理装置7に登録されている。詳細には、この管理装置7には、呼び出し先の携帯電話機Aの電話番号と、その電話番号に対応する特定情報とが紐付けされた状態で登録されている。
今、呼び出し先の携帯電話機Aの使用者(ユーザ)が自分の代替連絡先(本来の電話番号に代わる連絡先:上記の特定情報)を見知らぬ相手に知らせる場合、たとえば、通信販売等で商取引する際や、インターネット掲示板で知り合った相手に知らせる場合は、管理装置7に登録されている自分の特定情報を相手(ここでは呼び出し元の携帯電話機Bの使用者)に知らせる。このようにすれば、本来の電話番号を相手に知らせる必要がなくなるので、個人情報を保護できる。
呼び出し元の携帯電話機Bの使用者は、この特定情報を用いて管理装置7に問い合わせを行い、当該特定情報に対応する電話番号が登録されていた場合に管理装置7から折り返し通知された電話番号を用いて携帯電話機Aを呼び出す。
さて、一般に携帯電話機は液晶パネル等の表示装置を備えており、通常は相手の電話機を呼び出す際にその表示部に通話相手の電話番号を表示する仕掛けになっている。このため、管理装置7から通知された電話番号を使用して携帯電話機Aを呼び出す際に、一時的にせよ電話番号が暴露されてしまうので、このままでは個人情報の保護を図れない。そこで、本実施形態においては、管理装置7から通知された電話番号を使用して相手側(携帯電話機B)を呼び出す場合に限り、電話番号を表示しない仕組み(つまり、呼び出し元の携帯電話機Bの使用者に見せない仕組み)にしている。このような仕組みはソフトウェア的手法で実現可能であり、本実施形態では後述の「メインフロー(携帯電話機B)」(図8参照)にその仕組みを実装している。
図2は、携帯電話機A、Bに共通の外観図である。この図において、携帯電話機A、Bは、特にそれに限定されないが、たとえば、その機器本体(装置本体)を構成する複数の筐体の連結状態に応じて複数のスタイル(見た目の形)に変更可能な2軸ヒンジタイプであり、操作部筐体8と表示部筐体9とは、折り畳み開閉自在及び回動自在にヒンジ部10を介して連結されている。ヒンジ部10には操作部筐体8と表示部筐体9とを折り畳み開閉するための開閉用ヒンジ軸が設けられているほか、この開閉用ヒンジ軸と略直交して、一方の筐体を他方の筐体に対して回動するための回動用ヒンジ軸とが設けられている。
操作部筐体8の内面には、操作部11が配置され、また、表示部筐体9の内面には、表示部12が配置されているほか、操作部筐体8の内面側には、通話用マイク13が配置され、表示部筐体9の内面には、通話用スピーカ14が配置されている。
図3は、携帯電話機A、Bの基本的な構成要素を示したブロック図である。(a)は呼び出し先の携帯電話機A、(b)は呼び出し元の携帯電話機Bである。なお、(b)において、(a)と共通するブロックについては図示を略している。
この図において、中央制御部15は、充電可能な二次電池(図示省略:以下、単に「電池」という。)を備えた電池部16からの電力供給によって動作し、記憶部17内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機A、Bの全体動作を制御する不図示の中央演算処理装置(コンピュータ)やメモリ(図示省略)などを有している。記憶部17には、プログラム記憶部M1や各種情報一時記憶部M2が設けられているほか、携帯電話機Aにあっては、自機情報記憶部M3が設けられ、また、携帯電話機Bにあっては、他機情報記憶部M3が設けられている。“自機”とは自分自身(携帯電話機A)のことを指し、“他機”とは自分以外の他の通信端末(携帯電話機Bを除く他の電話機:たとえば、携帯電話機A)のことを指す。
プログラム記憶部M1は、図6〜図10に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどを格納するほか、それらのプログラムや各種のアプリケーションなどの動作に必要な情報などを格納する。また、各種情報一時記憶部M2は、フラグ情報、タイマ情報、画面情報など、携帯電話機A、Bが動作するために必要な各種の情報を一時的に記憶するワーク領域である。なお、自機情報記憶部M3や他機情報記憶部M3については後で詳しく説明する。
無線通信部18は、図示しない無線部やベースバンド部、多重分離部などを備え、最寄りの基地局3との間で音声通信やデータ通信を行うもので、音声通信を行う場合はベースバンド部から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部19を介して通話用スピーカ14から音声を出力したり、通話用マイク13から入力された音声データを音声信号処理部19から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部を経由してアンテナから送信したりするほか、データ通信を行う場合は、ベースバンド部から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、その受信データを中央制御部15に出力する。
表示部12は、液晶パネル等の高精細な平面表示デバイスで構成されており、この携帯電話機A、Bで実現可能な各種機能に関する情報表示、たとえば、携帯電話機能に関する音声通信やデータ通信に係る様々な情報を必要に応じて表示する。なお、この表示部12は、タッチパネル付きのものであってもよい。
操作部11は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部15は、この操作部11からの入力操作信号に応じた処理を実行する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)20は、現在日時を特定するための時計部を構成するもので、中央制御部15は、このRTC20から現在日時を取得する。報知部21は、サウンドスピーカ21a、LED(発光ダイオード)21b、振動モータ21cを備え、着信時に駆動されて音や光または振動で着信報知を行うほか、アラーム報知時などでも駆動される。
撮像部22は、本実施形態に必須の構成要素ではないが、CCDやCMOS等の二次元撮像デバイスを含み、この携帯電話機A、Bがカメラの撮影モードで動作しているときに、撮影構図の確認及び修正用の動画像(スルー画像またはライブビュー画像)を中央制御部15経由で表示部12に出力し、さらに、操作部11の特定キー(シャッタキー)が押下げ操作されたときに、中央制御部15からの指令に応答して高精細の画像を撮像して、その画像信号を中央制御部15に出力し、この中央制御部15の制御の下、当該画像信号を圧縮符号化して記憶部17の所要領域(不図示の撮影済み画像記憶領域)に記憶保存する。
図4は、管理装置7の基本的な構成要素を示したブロック図である。この図において、管理装置7は、通信部31、表示部32、操作部33、RTC34、中央制御部35、記憶部36及び電源部37などを備える。通信部31はインターネット6を経由したデータ通信を行うためのインターフェースであり、その通信プロトコルはパケット通信(正確にはインターネット標準のTCP/IP)である。パケット通信とは、通信対象のデータをいくつかの塊(ブロック)に小分けして、各々のブロックにあて先(IPアドレス)を付けて通信路(ここではインターネット6)に送り出すというものであり、通信路の共有方法として世界標準の地位を確立している代表的手法の一つである。
このパケット通信を用いることにより、インターネット6に接続するための回線38を複数のユーザで共有でき、経費削減を図ることができる。なお、必要な帯域(通信速度)を確保できない場合は回線数を増やす(二つないしはそれ以上に増やす)こともあるが、これは、あくまでも帯域の確保が狙いであって、ユーザの接続数とは直接関係しない。パケット通信にあっては、帯域が許す限り一つの回線38で複数のユーザ接続に対応できるからである。
したがって、本実施形態の管理装置7にあっては、一つの回線38あたりm接続に対処できるから、回線契約に要する経費(運用コスト)を大幅に抑えることができる。ここで、mは1以上の整数であり、mの上限は単純計算で、回線38の帯域幅を1接続あたりの必要帯域で割った値で与えられる。たとえば、回線38に帯域幅100Mbpsの光ファイバーを用いた場合で計算してみると、1接続あたりの必要帯域が便宜的に100Kbpsの場合、100Mbps÷100Kbps=1000となり、mは1000もの大きな値になる。このことは、一つの回線38あたり1000もの同時並行的な接続に対処できることを意味するから、1回線で1接続を行うもの(たとえば、冒頭の従来技術のもの)に比べ、運用経費の面で格段の優位性を持つことは明らかである。
表示部32は、この管理装置7の動作状態や各種入出力情報をモニターするための、たとえば、液晶ディスプレイ等の出力装置であり、また、操作部33は、この管理装置7に対して各種の指令や入力情報を与えるための、たとえば、キーボード等の入力装置である。さらに、RTC34は、現在日時を特定するための時計部を構成するものである。中央制御部35は、このRTC34から現在日時を取得すると共に、記憶部36のプログラム記憶部M11や各種情報一時記憶部M12及び特定情報記憶部M13から必要なプログラムと情報を読み込み、それらのプログラムや情報に基づいて、この管理装置7の全体動作を統括制御し、電源部37は、この管理装置7の各部の動作に必要な電源を生成出力する。
かかる構成を有する管理装置7は、汎用コンピュータシステムによって構築することができる。「汎用コンピュータシステム」とは、入出力部、演算部及び記憶部の三大要素を備えたコンピュータシステム(パーソナルコンピュータやオフィスコンピュータまたはサーバコンピュータなど様々な呼び名があるが、そのような名称に限定されない。)のことを指す。コンピュータシステムは、記憶部に保存された基本プログラム(OSともいう。)と任意の応用プログラムとを演算部で実行することにより、当該OSで提供される各種基本機能と応用プログラムによって提供される応用機能とを機能的に実現することができる。管理装置7における表示部32や操作部33及び通信部31は、汎用コンピュータシステムの入出力部に相当し、同様に、管理装置7における中央制御部35は汎用コンピュータシステムの演算部に相当し、さらに、管理装置7における記憶部36は汎用コンピュータシステムの記憶部に相当する。
管理装置7は、基本的に1台のコンピュータシステムで構築することができるが、これに限らない。たとえば、複数のコンピュータシステムを組み合わせて構築することも可能である。この場合、各々のコンピュータシステムの設置場所は任意である。地球の裏側等の遠隔地にあってもかまわない。インターネット6やその他のネットワークを介して相互に連係できるようになっていればよい。
次に、管理装置7の特定情報記憶部M13、携帯電話機Aの自機情報記憶部M3及び携帯電話機Bの他機情報記憶部M3について説明する。
図5は、管理装置7の特定情報記憶部M13、携帯電話機Aの自機情報記憶部M3及び携帯電話機Bの他機情報記憶部M3を説明するための図である。
まず、(a)に示すように、管理装置7の特定情報記憶部M13は、電話番号フィールド41と特定情報フィールド42とを有するレコードを複数備えたテーブル構造をなしており、さらに、特定情報フィールド42は、複数のサブフィールド(ここでは特定情報1、特定情報2、特定情報3、・・・・)43〜45に区分けされている。
電話番号フィールド41には携帯電話機A(呼び出し先の携帯電話機)の電話番号が登録されており、同一レコードの特定情報フィールド42にはその電話番号に紐付け(関連付け)された特定情報(電話番号を特定するための情報。特定情報1、2、3、・・・・)が登録されている。たとえば、一番上のレコードの電話番号フィールド41には携帯電話機A(呼び出し先の携帯電話機)の電話番号として「090111**」が登録されており、同一レコードの特定情報フィールド42にはその電話番号に紐付け(関連付け)された特定情報1として「1AAAA」が、特定情報2として「2AAAA」が、特定情報3として「3AAAA」が登録されている。
なお、電話番号の「**」は、実在する電話番号を特定しないための便宜的表記である。また、特定情報1、2、3の「1AAA」、「2AAA」及び「3AAA」は単なる例に過ぎない。特定情報記憶部M13において重複しないもの(数列や文字列またはそれらの混在記号列)であればよい。たとえば、乱数等を用いて発生させた不規則な数列や文字列またはそれらの混在記号列であってもよいし、電話番号に基づいて特定のアルゴリズム(計算方法)で発生させた数列や文字列またはそれらの混在記号列であってもよい(この場合、複雑なアルゴリズムを用いることによって、使用者が特定情報から電話番号を推測できないようにする必要がある)。ただし、実用上は、覚えやすいものとするのが好ましく、たとえば、電話番号の登録者(つまり、携帯電話機Aの使用者)に自分の好きな文字列等を適宜に入力させるようにしてもよい。この場合、入力された文字列が、特定情報記憶部M13にすでに登録済みであるか否かを調べ、登録済みであればその旨を告知して再入力を促すようにすればよい。
次に、(b)に示すように、携帯電話機Aの自機情報記憶部M3は、ユーザ情報としてのユーザ名を格納するためのユーザ名フィールド46と、端末識別情報としての電話番号を格納するための電話番号フィールド47と、前記端末識別情報に対応する一意の情報(特定情報)を格納するための特定情報フィールド48とを有する一つのレコードからなるテーブル構造をなしており、さらに、特定情報フィールド48は、複数のサブフィールド(ここでは特定情報1、特定情報2、特定情報3、・・・・)49〜51に区分けされている。特定情報を複数設定できるようにしたのは、それぞれを用途別やグループ別に細かく使い分けられるようにするためである。このようにすると、たとえば、特定情報1を通販用途、特定情報2を掲示板用途、・・・・等に区別して使用することができるようになり、不要になった場合は各用途(やグループ)ごとにまとめて一括削除でき、特定情報の管理が容易になる。
各フィールドの格納情報は、必要に応じ、インターネット6を経由して管理装置7の特定情報記憶部M13に転記登録されるようになっており、ここでは、管理装置7の特定情報記憶部M13一番上のレコードと同一の情報が格納されている。すなわち、自機情報記憶部M3の電話番号フィールド46には携帯電話機A(呼び出し先の携帯電話機)の電話番号として「090111**」が登録されており、同様に、自機情報記憶部M3の特定情報フィールド48には、特定情報1として「1AAAA」が、特定情報2として「2AAAA」が、特定情報3として「3AAAA」が登録されている。
次に、(c)に示すように、携帯電話機Bの他機情報記憶部M3は、ユーザ名フィールド52と電話番号フィールド53と特定情報フィールド54とを有する一つないしは複数のレコードからなるテーブル構造をなしており、ユーザ名フィールド52と特定情報フィールド54には、呼び出し先の携帯電話機Aの使用者から通知されたユーザ名と特定情報が登録され、さらに、電話番号フィールド53には、管理装置7から通知された電話番号が登録されている。
たとえば、図示の例では、一番上のレコードに「佐藤○○」というユーザ名とそのユーザ名に対応した「090222**」という電話番号及び「3BBBB」という特定情報が登録されており、また、上から二番目のレコードに「鈴木○○」というユーザ名とそのユーザ名に対応した「1CCCC」という特定情報が登録されており、さらに、上から三番目のレコードに「田中○○」というユーザ名とそのユーザ名に対応した「090111**」という電話番号及び「1AAAA」という特定情報が登録されている。
ユーザ名と特定情報は、呼び出し先の携帯電話機Aの使用者から通知されたものであるが、電話番号は、携帯電話機Bからの問い合わせに応答して管理装置7から通知されたものである。たとえば、上から二番目のレコードの「鈴木○○」の電話番号が未記入になっているが、これは、このユーザ名(「鈴木○○」)について、まだ、管理装置7に問い合わせを行っていないか、もしくは、管理装置7の特定情報記憶部M13からすでに削除された古いデータであることを示している。
次に、本実施形態における携帯電話機A、Bと管理装置7の動作概要を図6〜図10に示すフローチャートを参照して説明する。これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードに従った動作が演算装置(携帯電話機A、Bにあっては中央制御部15、管理装置7にあっては中央制御部35)において逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述と同様のプログラムコードに従った動作を逐次実行する態様であてもよい。すなわち、記録媒体のほかに、ネットワークなどの伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行するようにしてもよい。
〔管理装置7の動作〕
図6は、管理装置7で実行されるフローチャート(以下、メインフローともいう。)を示す図である。先ず、管理装置7の中央制御部35は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップS1でYES)、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行したのち、各種のイベント判定(ステップS2〜ステップS6)を行う。
第一のイベント判定は、ステップS2における登録要求受信の判定である。登録要求受信とは、インターネット6を経由して任意の通信端末(ここでは携帯電話機A)から適宜に行われる「電話番号」と「特定情報」の特定情報記憶部M13への登録を要求する登録要求信号の受信イベントのことである。この登録要求受信を受けたとき、管理装置7の中央制御部35は、登録要求信号と同時に受け取った「電話番号」と「特定情報」とを紐付けて特定情報記憶部M13に登録保存(記憶)(ステップS7)して、再び、ステップS2に戻る。
第二のイベント判定は、ステップS3における削除要求受信の判定である。削除要求受信とは、インターネット6を経由して任意の通信端末(ここでは携帯電話機A)から適宜に行われる、すでに登録済みの「電話番号」と「特定情報」を特定情報記憶部M13から削除することを要求する削除要求信号の受信イベントのことである。この削除要求受信を受けたとき、管理装置7の中央制御部35は、該当する「電話番号」と「特定情報」とを特定情報記憶部M13から削除(ステップS8)して、再び、ステップS2に戻る。
第三のイベント判定は、ステップS4における取得要求受信の判定である。取得要求受信とは、インターネット6を経由して任意の通信端末(ここでは携帯電話機B)から適宜に行われる電話番号の取得を要求する取得要求信号の受信イベントのことである。この取得要求受信を受けると、管理装置7の中央制御部35は、取得要求信号と同時に受け取った「特定情報」を手がかりにして特定情報記憶部M13に該当する「電話番号」が登録されているか否かを判定する。すなわち、受け取った「特定情報」が特定情報記憶部M13に登録されているかを判定し(ステップS9)、登録されている場合は、その「特定情報」に紐付けられている「電話番号」を読み出し(ステップS10)、インターネット6経由で要求元(ここでは携帯電話機B)に送信(ステップS11)して再び、ステップS2に戻るが、登録されていない場合は、要求元(ここでは携帯電話機B)に対して、該当する特定情報が登録されていない旨を示す通知(以下、応答不可通知という。)をインターネット6経由で送信(ステップS12)して再び、ステップS2に戻る。
第四及び第五のイベント判定は、それぞれステップS5における電源オフ操作の判定とステップS6におけるその他の操作の判定である。電源オフ操作とは、保守要員等によって定期または不定期に行われる管理装置7の電源シャットダウン操作のことであり、正確にはOSや応用プログラムの停止と電源部37の動作の停止を行う一連の処理手順(ステップS13)を起動する契機となる操作のことをいう。また、その他の操作とは、たとえば、管理装置7の初期設定や各種保守管理に関する様々な処理(ステップS14)を起動するための操作のことをいう。
このように、管理装置7で実行される図6のメインフローでは、管理装置7の電源がオンになっている間、第一から第五までのイベントを継続的に繰り返して判定する。ここで、第四と第五のイベントは管理装置7の保守に関するものであるから、保守計画等に従い時々(定期的または不定期に)しか実行されないが、それ以外のイベント、すなわち、第一から第三までのイベントは、この管理装置7を利用する多数のユーザ(ここでは簡単化のために携帯電話機A、Bの使用者)の意図的操作に従って何時でも発生する。
たとえば、登録要求に係る第一のイベントは、携帯電話機Aの使用者が希望したときであって、且つ、当該使用者によって携帯電話機Aが所定の手順で操作(後述する)されたときに発生する。同様に、削除要求に係る第二のイベントも、携帯電話機Aの使用者が希望したときであって、且つ、当該使用者により、携帯電話機Aで所定の操作(後述する)が行われたときに発生する。さらに、取得要求に係る第三のイベントは、携帯電話機Bの使用者が希望したときであって、且つ、当該使用者により、携帯電話機Bで所定の操作(後述する)が行われたときに発生する。
次に、携帯電話機A、Bにおける上記の“所定の操作”について説明する。
〔携帯電話機Aの動作〕
図7は、携帯電話機Aで実行されるフローチャート(以下、メインフローともいう。)を示す図である。先ず、携帯電話機Aの中央制御部15は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップS21でYES)、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行したのち、基地局3との間で通信を行って位置登録をしたりする待受処理、ならびに、表示部12に待受画像等を表示するための待受画像表示処理を行う(ステップS22)。
次いで、ユーザ(携帯電話機Aの使用者)による操作や電話着信の有無判定(ステップS23〜ステップS29)を行う。すなわち、まず、ユーザによる各種設定操作の有無を判定し(ステップS23)、各種設定操作が行われた場合には、その設定操作に対応した設定処理を実行(ステップS30)した後、再び、ステップS23に戻る。
ここで、各種設定操作には、自機情報記憶部M3に登録するためのユーザ名の設定操作が含まれる。すなわち、図5の自機情報記憶部M3のユーザ名フィールド46にはすでに「田中○○」が登録されているが、この登録情報(田中○○)は、ステップS30において携帯電話機Aの使用者によって入力設定されたものであり、要するに、この登録情報(田中○○)は、携帯電話機Aの使用者を表す名前またはニックネーム等の任意情報である。
次いで、ステップS23で設定操作が行われなかった場合は、特定情報登録操作の有無を判定する(ステップS24)。そして、登録操作が判定された場合は、特定情報の設定操作を行い(ステップS31)、その特定情報を自機情報記憶部M3に登録(記憶)(ステップS32)するとともに、自機情報記憶部M3に登録されている情報(電話番号及び特定情報)と登録要求信号とをインターネット6経由で管理装置7に送信(ステップS33)した後、再び、ステップS23に戻る。
次いで、ステップS24で登録操作が行われなかった場合は、特定情報送信操作の有無を判定する(ステップS25)。そして、送信操作が判定された場合は、どの特定情報を送信するかを指定する操作を行い(ステップS34)、指定した「特定情報」とそれに対応した「ユーザ名」とを自機情報記憶部M3から読み出し、その読み出した情報を、一時的に連絡先を知らせたい相手、たとえば、通信販売等で商取引する相手やインターネット掲示板で知り合った相手の携帯電話機(ここでは携帯電話機B)をあて先にして、有線・無線通信網6を介し送信(ステップS35)した後、再び、ステップS23に戻る。
ここで、ステップS34における“どの特定情報を送信するかを指定する操作”とは、自機情報記憶部M3に複数の特定情報1、2、3、・・・・が登録されている場合に、それらの特定情報1、2、3、・・・・のうちのいずれか一つを送信のために指定する操作のことをいう。したがって、当然ながら自機情報記憶部M3に一つの特定情報(たとえば、特定情報1)しか登録されていない場合は、ステップS34で、その特定情報1が(送信のために)指定されることになる。
なお、ステップS34で、有線・無線通信網6を介して「特定情報」と「ユーザ名」を送信するようにしたが、別の通信手段で送信するようにしてもよい。たとえば、携帯電話機Aと携帯電話機Bのそれぞれに赤外線通信部を設け、その赤外線通信部を使用した赤外線通信で「特定情報」と「ユーザ名」をやりとりするようにしてもよい。すなわち、「特定情報」と「ユーザ名」をやりとりするのは、有線、無線を問わず、また、基地局などの中継器の有無を問わず、任意の通信手段でよい。基地局などの中継器を介さない通信手段を使用することによって、たとえば、一時的なビジネス上の付き合いで会った人に対して、自らの携帯電話機の特定情報を相手の携帯電話機に直接送信することができる。
次いで、ステップS35で送信操作が行われなかった場合は、電話の着信判定を行い(ステップS26)、電話着信であれば、通話処理を実行(ステップS36)した後、再び、ステップS23に戻る。
次いで、ステップS26で電話着信が判定されなかった場合は、特定情報削除操作の有無を判定する(ステップS27)。そして、削除操作が判定された場合は、どの特定情報を削除するかを指定する操作を行い(ステップS37)、指定した「特定情報」を自機情報記憶部M3から削除(ステップS38)すると共に、「電話番号」と指定した「特定情報」およびその特定情報の削除を要求する削除要求信号をインターネット6経由で管理装置7に送信(ステップS39)した後、再び、ステップS23に戻る。
ここで、ステップS37における“どの特定情報を削除するかを指定する操作”とは、自機情報記憶部M3に複数の特定情報1、2、3、・・・・が登録されている場合に、それらの特定情報1、2、3、・・・・のうちのいずれか一つを削除のために指定する操作のことをいう。したがって、当然ながら自機情報記憶部M3に一つの特定情報(たとえば、特定情報1)しか登録されていない場合は、ステップS37で、その特定情報1が(削除のために)指定されることになる。
次いで、ステップS27で特定情報削除が判定されなかった場合は、携帯電話機Aの電源オフ操作を判定(ステップS28)し、電源オフ操作であれば、電源オフ処理(ステップS40)を実行した後、メインフローを終了する。また、電源オフ操作でなければ、その他の操作を判定(ステップS29)し、その他の操作であれば、その他の処理を実行(ステップS41)した後、再び、ステップS23に戻り、その他の操作でない場合も、再び、ステップS23に戻る。
このように、携帯電話機Aで実行される図7のメインフローでは、自分(携帯電話機Aの使用者)の名前やニックネーム等を「ユーザ名」として任意に設定でき、さらに、そのユーザ名に対応する一つないしは複数の「特定情報」を任意に設定でき、且つ、それらを自機情報記憶部M3に登録できると共に、インターネット6を介して管理装置7に送信し、管理装置7に対して特定情報記憶部M13への登録を要求することができる。
また、自機情報記憶部M3に登録されている一つないしは複数の「特定情報」のいずれかを指定して、任意の相手(ここでは携帯電話機B)に送信することができることに加え、さらに、不要になった特定情報については、その都度、自機情報記憶部M3から削除でき、且つ、管理装置7に対して当該特定情報の特定情報記憶部M13からの削除を要求することができる。
〔携帯電話機Bの動作〕
図8は、携帯電話機Bで実行されるフローチャート(以下、メインフローともいう。)を示す図である。先ず、携帯電話機Bの中央制御部15は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップS51でYES)、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行したのち、基地局3との間で通信を行って位置登録をしたりする待受処理、ならびに、表示部12に待受画像等を表示するための待受画像表示処理を行う(ステップS52)。
次いで、ユーザによる操作や電話着信の有無判定(ステップS53〜ステップS58)を行う。すなわち、まず、ユーザによる各種設定操作の有無を判定し(ステップS53)、各種設定操作が行われた場合には、その設定操作に対応した設定処理を実行(ステップS59)した後、再び、ステップS53に戻る。
ここで、各種設定操作には、他機情報記憶部M3に登録するためのユーザ名(他機、たとえば、携帯電話機Aの使用者のユーザ名)の設定操作が含まれる。すなわち、図5の他機情報記憶部M3のユーザ名フィールド52にはすでに「佐藤○○」、「鈴木○○」、「田中○○」などのユーザ名が登録されているが、これらの登録情報(佐藤○○、鈴木○○、田中○○)は、ステップS59において携帯電話機Bの使用者によって入力設定されたものであり、要するに、この登録情報(佐藤○○、鈴木○○、田中○○)は、携帯電話機Bの使用者の通話相手(または通話の可能性がある相手)を表す名前またはニックネーム等の任意情報である。
なお、これらのユーザ名は、先に説明した携帯電話機Aのメインフロー(図7参照)のステップS35を実行した際に、その携帯電話機Aから携帯電話機Bへと通知される仕組みになっているため、ことさら、この携帯電話機Bで入力設定する必然性はない。ステップS59でユーザ名を入力設定できるようにしているのは、携帯電話機Bの使用者がわかりやすいユーザ名に書き直すことができるようにするためである。したがって、携帯電話機Aから通知されたユーザ名そのままでかまわなければ、ステップS59における「ユーザ名の入力設定」は実行されない。
次いで、ステップS53で設定操作が行われなかった場合は、任意の相手(ここでは携帯電話機A)からの特定情報の受信を判定する(ステップS54)。そして、特定情報の受信が判定された場合は、後述の「発信処理A」(図9参照)を実行(ステップS60)した後、再び、ステップS53に戻る。
次いで、ステップS54で特定情報の受信が判定されなかった場合は、ユーザ名の一覧表示操作の有無を判定する(ステップS55)。そして、一覧表示操作が行われた場合は、後述の「発信処理B」(図10参照)を実行(ステップS61)した後、再び、ステップS53に戻る。
次いで、ステップS55で一覧表示操作が行われなかった場合は、電話の着信判定を行い(ステップS56)、電話着信であれば、通話処理を実行(ステップS62)した後、再び、ステップS53に戻る。
次いで、ステップS56で電話着信が判定されなかった場合は、携帯電話機Bの電源オフ操作を判定(ステップS57)し、電源オフ操作であれば、電源オフ処理(ステップS63)を実行した後、メインフローを終了する。また、電源オフ操作でなければ、その他の操作を判定(ステップS58)し、その他の操作であれば、その他の処理を実行(ステップS64)した後、再び、ステップS53に戻り、その他の操作でない場合も、再び、ステップS53に戻る。
〔発信処理A/携帯電話機Bの動作〕
図9は、携帯電話機Bで実行される発信処理A(図8のステップS60参照)のフローチャートを示す図である。この発信処理Aでは、まず、先のステップS54で受信した「特定情報」と「ユーザ名」を他機情報記憶部M3に記憶(ステップS71)すると共に、それらの情報を受信して記憶した旨を示す適当なメッセージを表示部12に表示して、携帯電話機Bの使用者に告知する(ステップS72)。
図11(a)は、告知メッセージの一例を示す図である。この図において、表示部12には、任意の相手から送信された「特定情報」及び「ユーザ名」の受信と、それらの受信情報の他機情報記憶部M3への記憶を示す適当なメッセージ、たとえば、“田中○○さんの情報を受信しました”などというメッセージを含む告知領域55が設定されている。
ここで、告知領域55に表示するメッセージは、上記の“任意の相手”、すなわち、「特定情報」と「ユーザ名」を送信した相手を、携帯電話機Bの利用者がとりあえず識別できる程度の簡単な内容に留めおかれている。たとえば、図示の例では“田中○○さんの情報を受信しました”となっているが、このうち、上記の“任意の相手”を表す情報はユーザ名の“田中○○”しかない。したがって、この例では、携帯電話機Bの使用者は“特定の相手”のユーザ名(“田中○○”)しか知りえず、「特定情報」を知ることができない。
再び、図9に戻り、ステップS72で告知領域55へのメッセージ表示を行うと、次に、管理装置7に対して「特定情報」に対応した「電話番号」の取得を要求する取得要求信号を送信し(ステップS73)、管理装置7からの応答受信を判定する(ステップS74、ステップS75)。具体的には、管理装置7から電話番号を受信したか否かを判定(ステップS74)し、電話番号を受信しない場合は管理装置7から応答不可通知を受信したかを判定(ステップS75)し、これらの判定をいずれかが受信されるまでステップS74とステップS75のループ繰り返す。なお、まれにではあるが、通信障害等のトラブルによって管理装置7から何の応答も返されない場合がありえるため、ループ中に応答の待ち時間判定ステップを入れておき、待ち時間が過ぎても何の応答も返されなかった場合にトラブルが発生したと判断してループを抜け、発信処理Aを終了するようにしておくことが望ましい。
管理装置7から電話番号が返された場合は、その電話番号を他機情報記憶部M3に記憶(ステップS76)すると共に、その電話番号を使用して相手の電話機(たとえば、携帯電話機A)を呼び出すための発信処理を実行(ステップS77)する。そして、発信処理と並行して表示部12への発信情報の表示処理(ステップS78)を行い、呼び出し相手の着信応答に対応して通話処理(ステップS79)を行った後、発信処理Aを抜けて図8のメインフローに戻る。
図11(b)は、発信情報の表示処理における表示例を示す図である。この図において、表示部12には、任意の相手を呼び出し中である旨を示す適当なメッセージ、たとえば、“田中○○さんに発信中です”などというメッセージを含む告知領域56が設定されている。
ここで、告知領域56に表示するメッセージは、携帯電話機Bの利用者がとりあえず呼び出し相手を識別できる程度の簡単な内容に留めおかれている。たとえば、図示の例では“田中○○さんに発信中です”となっている。重要な点は、メッセージ中に、少なくとも呼び出し相手の「電話番号」が含まれていないことにある。その理由は、「電話番号」は呼び出し相手の個人情報であって、携帯電話機Bの使用者に不必要に知られたくない情報だからである。
一般的に携帯電話機は電話の発信時に呼び出し相手の電話番号を表示する仕組みになっている。一部の加入電話機もそのような仕組みになっている(小さなディスプレイに呼び出し相手の電話番号を表示するようになっている。)。このような仕組みは、親しい間柄であればなんらの不都合も招かないが、たとえば、通信販売等で商取引する際や、インターネット掲示板で知り合った相手と連絡を交わす際に問題を生じることがある。一時的な付き合いの相手に個人情報である「電話番号」を知られてしまうと、事後に、迷惑電話等のトラブルに発展する可能性を否定できないからである。
このようなトラブルを回避するために、本実施形態では、発信処理A(及び後述の発信処理B)を実行しているときに限り、携帯電話機本来の仕組みである電話番号の表示機能を無効にし、図11(b)のような表示態様(つまり、ユーザ名のみの表示)を行うようにしている。このようにすることにより、一時的な付き合いの相手に対して、個人情報である「電話番号」を知られないようにすることができ、事後のトラブル発展を確実に回避することができる。
一方、管理装置7から応答不可通知が返された場合は、この応答不可通知によって、すでに管理装置7の特定情報記憶部M13から該当する特定情報が削除されていることが示されているので、この場合は、他機情報記憶部M3から該当する特定情報を削除すると共に、該当する電話番号宛の発信ができない旨を示すメッセージを表示部12に表示(ステップS80)した後、発信処理Aを抜けて図8のメインフローに戻る。
図11(c)は、発信不可メッセージの表示例を示す図である。この図において、表示部12には、該当する電話番号宛の発信ができない旨を示す適当なメッセージ、たとえば、“現在、この回線は使われていません”などというメッセージを含む告知領域57が設定されている。
ここで、告知領域57に表示するメッセージは、相手への発信ができないことを示す内容であればよく、図示の例に限定されない。たとえば、“田中○○さんに発信できません”であってもよく、あるいは、“田中○○さんへの発信情報が削除されています”などであってもよい。要は、今後、特定情報の再送信を受けない限り、田中○○さんへ連絡が一切できない(極端に言えば縁が切れた)ことを示す内容になっていればよい。
〔発信処理B/携帯電話機Bの動作〕
図10は、携帯電話機Bで実行される発信処理B(図8のステップS61参照)のフローチャートを示す図である。この発信処理Bでは、まず、他機情報記憶部M3に記憶されているすべての「ユーザ名」を表示部12に一覧表示する(ステップS81)。
図11(d)は、一覧表示の例を示す図である。この図において、表示部12には、適当なタイトル(たとえば“■■ユーザ一覧■■”)領域58と、他機情報記憶部M3の各レコードにリンクされたリストボックス領域59と、リストボックス領域59の選択列(図の反転列)を上移動させるためのアップボタン領域60と、リストボックス領域59の選択列を下移動させるためのダウンボタン領域61と、リストボックス領域59の選択列に対応した他機情報記憶部M3のレコードから「電話番号」を読み出して、その「電話番号」に発信するための発信ボタン領域62とが設定されている。
ここで、この一覧表示の例においても、前記の発信時の告知領域56(図11(b)参照)と同様に、その表示情報に「電話番号」が含まれていないことがポイントである。同じく、「電話番号」は呼び出し相手の個人情報であって、携帯電話機Bの使用者に不必要に知られたくない情報だからである。
再び、図10に戻り、ステップS81で一覧表の表示を行うと、次に、携帯電話機Bの使用者による発信ボタン領域62へのタッチ操作に応答して、現在のリストボックス領域59の選択列のユーザ名に対応した「電話番号」を他機情報記憶部M3から読み出すための処理を実行し(ステップS82)、次いで、その「電話番号」が他機情報記憶部M3から読み出されたか否か、言い換えれば、その「電話番号」が他機情報記憶部M3に登録されていたか否かを判定する(ステップS83)。
そして、登録されていた場合は、その電話番号を使用して相手の電話機(たとえば、携帯電話機A)を呼び出すための発信処理を実行(ステップS88)すると共に、その発信処理と並行して表示部12への発信情報の表示処理(ステップS89)を行い、呼び出し相手の着信応答に対応して通話処理(ステップS909)を行った後、発信処理Bを抜けて図8のメインフローに戻る。
ここで、ステップS89の発信時表示処理においても、先の発信処理AのステップS78の発信時表示処理と同様の表示(図11(b)参照)を行う。すなわち、表示部12に、電話番号を含まないメッセージ(任意の相手を呼び出し中である旨を示す適当なメッセージ)を表示する。したがって、この発信処理Bにおいても、個人情報である「電話番号」を、携帯電話機Bの使用者に知られないようにすることができ、事後のトラブル発展を確実に回避することができる。
一方、ステップS83の判定結果がNOの場合、すなわち、現在のリストボックス領域59の選択列のユーザ名に対応した「電話番号」が他機情報記憶部M3に記憶されていない場合は、次に、リストボックス領域59の選択列のユーザ名に対応した「特定情報」を他機情報記憶部M3から読み出し、管理装置7に対して、その「特定情報」に対応した「電話番号」の取得を要求する取得要求信号を送信し(ステップS84)、管理装置7からの応答受信を判定する(ステップS85、ステップS86)。
具体的には、管理装置7から電話番号を受信したか否かを判定(ステップS85)し、電話番号を受信しない場合は管理装置7から応答不可通知を受信したかを判定(ステップS86)し、これらの判定をいずれかが受信されるまでステップS85とステップS86のループ繰り返す。なお、このループにおいても、先の発信処理Aのループと同様の対策を講じておくことが望ましい。つまり、まれにではあるが、通信障害等のトラブルによって管理装置7から何の応答も返されない場合がありえるため、ループ中に応答の待ち時間判定ステップを入れておき、待ち時間が過ぎても何の応答も返されなかった場合にトラブルが発生したと判断してループを抜け、発信処理Bを終了するようにしておくことが望ましい。
管理装置7から電話番号が返された場合は、その電話番号を他機情報記憶部M3に記憶(ステップS87)すると共に、その電話番号を使用して相手の電話機(たとえば、携帯電話機A)を呼び出すための発信処理を実行(ステップS88)する。そして、発信処理と並行して表示部12への発信情報の表示処理(ステップS89)を行い、呼び出し相手の着信応答に対応して通話処理(ステップS90)を行った後、発信処理Bを抜けて図8のメインフローに戻る。
一方、管理装置7から応答不可通知が返された場合は、この応答不可通知によって、すでに管理装置7の特定情報記憶部M13から該当する特定情報が削除されていることが示されているので、この場合は、他機情報記憶部M3から該当する特定情報を削除すると共に、該当する電話番号宛の発信ができない旨を示すメッセージ(図11(c)参照)を表示部12に表示(ステップS91)した後、発信処理Bを抜けて図8のメインフローに戻る。
このように、携帯電話機Bで実行される図8のメインフローと図9の発信処理A及び図10の発信処理Bでは、任意の相手(ここでは携帯電話機A)から適宜に特定情報が送信された際に、その特定情報を他機情報記憶部M3に登録でき、且つ、その登録情報に対応した電話番号を管理装置7から取得し、その電話番号を他機情報記憶部M3に登録できると共に、その電話番号を用いて上記任意の相手の電話機(ここでは携帯電話機A)を呼び出すことができる。したがって、携帯電話機Bの使用者と携帯電話機Aの使用者との間で通話をすることができる。
上記のとおり、管理装置7から取得した電話番号は、携帯電話機Bの他機情報記憶部7に登録され、且つ、発信にも使用されるが、いずれの場合も携帯電話機Bの使用者の目に触れない仕組みになっている。つまり、携帯電話機Bの他機情報記憶部7への登録をバックグランドで密かに行うようにしていると共に、発信の際にも、電話機が本来備えている発信番号表示機能を無効にして、電話番号を表示しないようにしている。このため、相手側(ここでは携帯電話機Aの使用者)にとっての個人情報である電話番号を、携帯電話機Bの使用者に知られないようにすることができ、個人情報の保護を図ることができる。
また、携帯電話機Bの他機情報記憶部M3に複数のユーザ名を記憶できるようになっており、必要に応じ、それら複数のユーザ名を一覧表示してその中の一つを選択し、選択したユーザ名に対応した電話番号を用いて発信することもできるが、このような一覧表示と発信の際にも、前記と同様に電話番号を携帯電話機Bの使用者の目に触れさせない仕組みにしてなっているので、同じく個人情報の保護を図ることができる。
図12は、本実施形態に係る通信システムのデータの流れを示す模式図である。以上の説明からも明らかなとおり、本実施形態に係る通信システムの主要な構成要素の第一は、端末識別情報(電話番号)を用いて相互に通話可能な個別通信方式の通信端末(実施形態では携帯電話機A、B)であり、第二はインターネット6などのネットワークを介して上記の通信端末(携帯電話機A、B)から適宜にアクセスが可能な管理装置7である。
これらの構成要素の連携動作により、次に説明する「登録」や「削除」、「通知」、「問い合わせ」、及び、「通話」といった諸々のサービスを提供することができる。
図中に示す左側の人物は携帯電話機Aの使用者(便宜的に田中氏とする。)であり、右側の人物は携帯電話機Bの使用者(同じくX氏とする。)である。今、田中氏は、インターネット掲示板で知り合ったX氏に自分の連絡先を知らせたいと思っているが、X氏の情報が不明なため一抹の不安を覚えている。そこで、本実施形態に係るサービスを利用して不安を解消することにした。つまり、電話番号をX氏に直接知らせる代わりに、田中氏の携帯電話機AからX氏の携帯電話機Bに自分の特定情報を通知することにした。特定情報の通知を受けた(X氏の)携帯電話機Bは、その特定情報を用いて携帯電話機Bから管理装置7に田中氏の電話番号の問い合わせを行い、管理装置7から返送された電話番号を用いて田中氏の携帯電話機Aを呼び出す。その間、X氏の携帯電話機Bには田中氏の電話番号は一切表示されない。このようにして、田中氏は、自分の個人情報(電話番号)を保護しつつも、当初の目標(インターネット掲示板で知り合ったX氏と連絡を取る)を達成することができる。
また、その後の成り行きからX氏との連絡を絶ちたくなった場合は、田中氏の携帯電話機Aから管理装置7にアクセスして、該当する特定情報(X氏に知らせてあったもの)を削除すればよい。X氏の携帯電話機Bから管理装置7に問い合わせを行っても、管理装置7からは電話番号の代わりに応答不可通知しか返されないので、X氏の携帯電話機Bから田中氏の携帯電話機Aを呼び出せない。しかも、X氏の携帯電話機Bはこの応答不可通知を受けて田中氏の電話番号を削除するので、X氏の携帯電話機Bに田中氏に関する情報が残されることはなく、今後のトラブルに発展する心配もない。
サービスの内容を具体的に説明する。
まず、「登録」は、自分の電話機(携帯電話機A)の電話番号と、その電話番号に対応する一つまたはいくつかの特定情報とを管理装置7に送って登録を要求するサービスである(01)。管理装置7は、この要求に応答して特定情報記憶部M13に電話番号と特定情報を紐付けして登録する(02)。この「登録」に関するサービスは、図6のメインフローのステップS7と、図7のメインフローのステップS30、ステップS31、ステップS32及びステップS33とによって実現される。
次に、「削除」は、不必要になった特定情報の削除を管理装置7に要求するサービスであり(03)、管理装置7は、この要求に応答して特定情報記憶部M13から該当する特定情報を削除する(04)。不必要になった特定情報とは、以前、ある相手に知らせてあったものの、何らかの事情で当該相手との連絡を絶ちたい状況に立ち至った特定情報のことをいう。
管理装置7の特定情報記憶部M1から対象となる特定情報(不必要になった特定情報)を削除しておけば、この管理装置7から電話番号の通知が行われなくなるので、上記相手からの発呼(電話番号を用いた呼び出し)は一切行われず、したがって、希望通り、当該相手との連絡手段を絶つことができるうえ、さらに、当該相手は電話番号を知らないので、たとえば、迷惑電話等のトラブルに発展するおそれもない。
この「削除」に関するサービスは、図6のメインフローのステップS8と、図7のメインフローのステップS37、ステップS38及びステップS39とによって実現される。
次に、「通知」は、任意の相手に対して、自分の電話番号に代わる代替情報としての特定情報を相手の電話機(携帯電話機B)に知らせるサービスである(05)。通知した特定情報は、上記の「削除」のとおり、いつでも好きなときに削除することができる。
この特定情報を通知された電話機(携帯電話機B)は、他機情報記憶部M3に登録する(06)と共に、その特定情報を用いて管理装置7に対して、当該特定情報に紐付けられた電話番号の問い合わせを行う(07)。
管理装置7は、その問い合わせに応答して、該当する電話番号が特定情報記憶部M13に登録されているか検索し(08)、登録されていれば、その電話番号を読み出して問い合わせ元(携帯電話機B)に返送する一方、登録されていなければ、応答不可通知を問い合わせ元(携帯電話機B)に送信する(09)。
問い合わせ元の携帯電話機Bは電話番号を受けた場合にその電話番号を他機情報記憶部M3に登録する(10)とともに、その電話番号を用いて通知元の電話機(携帯電話機A)を発呼して通話し(11)、あるいは、応答不可通知を受けた場合には、その旨を携帯電話機Bの使用者に告知する。
これらの「通知」や「問い合わせ」及び「通話」などに関するサービスは、図6のメインフローのステップS10〜ステップS12と、図8のメインフローのステップS60(発信処理A:図9参照)及びステップS61(発信処理B:図10参照)とによって実現される。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、任意の相手に対し、自分の個人情報である電話番号の代替情報としての「特定情報」を通知しておくだけで、当該相手からの電話連絡を支障なく受けることができる。また、この場合において、当該相手の電話機(携帯電話機B)では電話番号が表示されない仕組みになっているので、あまり親しくない相手に自分の電話番号が知られるおそれはなく、個人情報の保護を図ることができる。したがって、「個人情報の保護を図りつつ通話相手を自由に選ぶことができる通信システムを提供する」という冒頭で説明した本件発明の目的を達成することができる。
加えて、当該相手との連絡を絶ちたい状況に立ち至った場合には、可及的速やかに管理装置7に対して該当する特定情報の削除を要求すればよく、削除後は、管理装置7から相手への電話番号の通知がなされなくなるので、相手からの電話連絡を確実に絶つことができ、迷惑電話等のトラブルを心配することもない。
さらに、本実施形態の管理装置7は、インターネット6を介して特定情報等の登録や削除ならびに電話番号の通知といった各種サービスを提供するので、サービスの同時並行的な利用者数に係わらず、回線38の数を少なくすることができ、運用コストの削減を図ることができる。
なお、上記の実施形態は、実現可能な構成の一例を示したものに過ぎず、本件発明の技術思想上の外縁をこの実施形態から把握してはならない。本件発明は、上記実施形態はもちろんのこと、その変形例や発展例も包含する。たとえば、以下のようなものであってもよい。
実施形態では、特定情報の入力設定を携帯電話機Aで行い(図7のステップS31)、それを管理装置7に送って、そのまま管理装置7の特定情報記憶部M13に登録している(図6のステップS7)が、たとえば、管理装置7に送られてきた特定情報を管理装置7で検査するように改良してもよい。すなわち、管理装置7に送られてきた特定情報と、特定情報記憶部M13にすでに登録済みの特定情報とを照合して、登録済みの特定情報の中に同じ特定情報が含まれていた場合には、別の特定情報を設定しなおして登録要求を再行すべき旨を携帯電話機Aに通知するようにしてもよい。このようにすれば、管理装置7の特定情報記憶部M13に、重複した特定情報が登録される心配がなくなり、間違った電話番号が携帯電話機Bに通知される、といった不都合を回避することができ、システムの信頼性向上を図ることができる。
また、重複した特定情報の登録を回避する観点からは別の方法も考えられる。つまり、実施形態のように、携帯電話機Aで任意の特定情報を入力設定するのではなく、たとえば、管理装置7でいくつかの特定情報の候補を提示し、その中から携帯電話機Aの利用者に選ばせるようにしてもよい。もちろん、候補となるいくつかの特定情報は、特定情報記憶部M13にすでに登録済みの特定情報と重複しないものでなければならない。
また、特定情報に有効期限や有効回数を設けるようにしてもよい。そして、有効期限や有効回数が過ぎた場合は、その特定情報を使用不可にするとともに、その特定情報を自動的に削除するようにしてもよい。さらに、その有効期限や有効回数を携帯電話機Aから任意に設定できるようにしてもよい。
また、ユーザ名は名前やニックネーム以外のものであってもよい。要は、ユーザを識別できる任意の情報であればよい。
また、実施形態では、携帯電話機Aと携帯電話機Bの役割を分けているが、これは説明の便宜である。実用上は双方の機能(携帯電話機Aの機能と携帯電話機Bの機能)を持ち合わせたものとすべきである。つまり、携帯電話機Aは携帯電話機Bとしても機能し、また、携帯電話機Bは携帯電話機Aとしても機能するようにすべきである。
また、実施形態では、携帯電話機を例にしているが、これに限らない。個別通信方式の通信端末であればよく、一般加入電話機や無線通信機、または、そのような通信機能を搭載したパーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤーなど、任意の端末装置であってもよい。
また、実施形態では、個別呼び出しのための端末識別情報として電話番号を例にしているが、要は各々の端末を識別できる情報であればよく、たとえば、メールアドレスやIPアドレス、MACアドレスなどであってもよい。
また、実施形態では、携帯電話機Aと携帯電話機Bの通信を音声通話にしているが、これに限らない。たとえば、メール通信やデータ通信など、個別通信方式の任意の通信でよい。なお、メール通信の場合には、実施形態の「呼び出し」は「メール送信」に相当し、「呼び出し先」は「メール送信先」、「呼び出し元」は「メール送信元」にそれぞれ相当する。
また、実施形態では、特定情報を「1AAAA」のような5桁の文字列としたが、これはあくまでも説明の便宜例を示しているに過ぎない。一意な情報、つまり、管理装置7の特定情報記憶部M13に重複登録されていない情報であればよく、たとえば、数列や文字列または記号列もしくはそれらの混在列であってもよい。
また、携帯電話機A、Bを折り畳みタイプとしたが、ストレートタイプやスライドタイプ、スピントップタイプなど任意の筐体構造を有するものであってもよい。
また、携帯電話機A、Bの記憶部17や管理装置7の記憶部36は、それらの内蔵固定型であるとしたが、これに限らず、たとえば、メモリカードや着脱式ハードディスクのように取り外し可能なものであってもよいし、あるいは、外付けハードディスクなどのように任意の外部記憶装置であってもよい。また、携帯電話機A、Bの表示部12や管理装置7の表示部32も内蔵型としたが、外部モニタなど、任意の外部表示装置であってもよい。
また、管理装置7へのアクセスを地域限定としてもよい。たとえば、携帯電話機が所定の商店街やビル街または地下街などの特定地域に位置しているときに限り、管理装置7へのアクセス(つまり電話番号の問い合わせ)を許容するようにしてもよい。
また、特定情報に優先順位を付けてもよい。たとえば、特定情報1の優先度を最高とし、特定情報2、3、・・・・になるに従って優先度を下げるようにし、管理装置7への問い合わせの輻輳が生じた場合には、その輻輳度合いに応じて管理装置7へのアクセス制限レベルを変更するようにしてもよい。このようにすれば、地震などの災害発生時における輻輳の回避を図ることができる。
また、管理装置7にアクセスできるユーザを携帯電話機Aのアドレス帳に登録されている人に限定してもよい。この場合のアクセス制限は、管理装置7で行うようにしてもよい。