JP5505530B1 - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この発明に係る回転電機は、接合端子20の穴部22の内周又は外周の少なくとも何れか一方に、突合せ部23におけるろう材24の外部への流出を阻止し得る溝部22a,22b,22c,22d,22eを設けることにより、接合端子と口出導線とのヒュージングに際して接合端子にクラックが入るという問題点を解消するものである。
【選択図】 図3
Description
このような交流発電機は、固定子側には固定子コアに3相の固定子コイルが巻挿され、固定子コイルは口出導線を有しており、口出導線の端末には、金属製の接合端子が取付けられて、ブラケットに設けられた3相全波整流器に接続固定されている。
固定子コイルには、例えばポリアミドイミド電線など、高耐熱性の絶縁被膜を有する銅線が使用され、口出導線は、この銅線が固定子コイルから延長して設けられ、接合端子は銅系の金属により形成されている。この接合端子と口出導線との接合は例えば特許文献1の如く、なされていた。
接合端子の突合せ部に装着されたろう材の流出を阻止して接合端子の信頼性を向上し得る回転電機を提供することを目的とする。
上記接合端子は、金属の材料を丸めて突合せし、その突合せ部にろう材を介して、ろう付にて切れ目のない管状の穴部を設け、その穴部に挿入された上記導線と、上記接合端子とをヒュージングにより接合してなるものにおいて、
上記接合端子の上記穴部の内周又は外周の少なくとも何れか一方に、上記ろう材における上記突合せ部からの流出を阻止し得る溝部を設けたものである。
接合端子の穴部の内周又は外周の少なくとも何れか一方に、突合せ部におけるろう材の外部への流出を阻止し得る溝部を設けることにより、突合せ部に充填されたろう材がろう付け時に突合せ部から流出したとしても、その流出したろう材は溝部に充填されて、その溝部を乗り越えて更に外部へ流出する恐れはなくなるので、その流出したろう材が接合端子の穴部の内周または外周に所定以上の範囲に亘り付着することがなくなり、また、流出したろう材が接合端子の穴部から導出した端子部の根元付近のねじれ部まで到達しないため、接合端子と導線とのヒュージングに際しても何ら機械的強度が弱い部分は硬くならず、変形がしにくくなるという事もなくなり、「液体金属脆化現象」が発生しなくなり、従ってクラックが入るという問題点を解消できる。
図1は本発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の全体構成を示す断面図、図2は本発明の実施の形態1に係る交流発電機の固定子の構成を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態1による口出導線と接合端子の接合工程を示す断面図、図4は本発明の実施の形態1による接合端子を示す斜視図、図5は本発明の実施の形態1による接合端子を示す平面図、図6は本発明の実施の形態1による口出導線を接続した接合端子を示す平面図である。
なお、各図中、同一符号は同一部分を示す。
2はリヤブラケット、3はフロントブラケット1とリヤブラケット2との間に挟持され、固定子コア4と固定子コイル5とよりなる固定子、6は回転子で、両端がフロントブラケット1とリヤブラケット2とに支承された回転軸7と、この回転軸7に取付けられた回転子コア8および9と、両回転子コア8と9との間に巻回された界磁コイル10と、両回転子コア8と9との背面に設けられたファン11および12と、回転軸7に設けられ、界磁コイル10に電流を供給するスリップリング13とにより構成されている。上記ファン11,12には各々複数枚のブレードが設けられている。14は回転軸7に設けられたプーリである。
従って、従来のように、接合端子20,21のろう付の際に、突合せ部23の内周から染み出たりん銅ろう24が、接合端子20,21の穴部22の内周または、機械的強度の弱い、接合端子20,21の根元付近のねじれ部Aに流れ出て、その部分が硬くなり変形しにくくなってしまい、抵抗加圧溶接時にスズメッキまたは、りん銅ろうの熔融金属による「液体金属脆化現象」が発生し、クラックが入ってしまうという、問題点を解消し得るものである。
図7は、本発明の実施の形態2による口出導線を接続した接合端子を示す断面図である。
図7において、22bは、接合端子20の穴部22の外周に設けられた断面が四角形状の溝部で、突合せ部23を挟んで等間隔に2ヶ所形成されている。
この実施の形態2のものでは、接合端子20の外周における突合せ部23から流出するりん銅ろうが、溝部22bに充填することで、それ以上、りん銅ろう24の流出が阻止できるので、接合端子20の外周からの流出したりん銅ろう24が、接合端子20,21の穴部22の外周に所定以上の範囲に亘りりん銅ろう24の流出を阻止し得ると共に、りん銅ろう24は、接合端子20の根元付近のねじれ部Aまで到達しないため、従来のような接合端子20と口出導線19a〜19cとのヒュージングに際しても、何ら接合端子20の機械的強度が弱い根元付近のねじれ部Aは硬くならず、変形がしにくくなるという事もなくし得、「液体金属脆化現象」が発生しなくなり、従って、クラック発生の問題点を解消できる。また、接合端子20の突合せ部23から流出したりん銅ろう24は、溝部22bに充填されるので、従来と比較して、接合端子20の穴部22の外周に付着するりん銅ろう24の軸方向厚みは小さくなり、しかも、付着範囲も狭くなる。従って、従来の如く、接合端子20の穴部22の外周と冷却ファン12のブレードとの軸方向隙間に塩水等が浸入しても、軸方向隙間が大で、しかもその範囲が大きくなるので、接合端子(+電位)と冷却ファン12のブレード(−電位)間のリーク電流は流れなくなり、接合端子20の電気化科学的腐蝕の促進は防止でき、接合端子20の信頼性を向上できる。
また、冷却ファン12のブレードの軸方向端面にリング状の側板を設けるタイプのものに適用すれば、接合端子20の穴部22の外周と対向する部分が増えるので、より効果が大きいものとなる。
図8は、本発明の実施の形態3による口出導線を接続した接合端子を示す断面図である。
図8において、接合端子20の穴部22の内周および外周に断面が四角形状の溝部22a,22bを設けたもので、各溝部22aと22bは、各々突合せ部23を挟んで等間隔に2ヶ所形成されている。
この実施の形態3のものでは、接合端子20の穴部22の内周及び外周に断面が四角形状の溝部22a,22bを設けているので、接合端子20の突合せ部23の内外周から流出するりん銅ろう24は、各々その近傍に設けられた溝部22a,22bに充填されるので、その溝部22a,22bを乗り越えて流出する事を阻止できる。
従って、上記実施の形態1および2よりも確実に、接合端子20における穴部22の内周および外周に所定以上の範囲に亘りりん銅ろう24が付着すること、並びに、接合端子20における根元付近のねじれ部Aにりん銅ろう24が到達するのを、各々、阻止できるので、クラック発生防止を確実にし得、また接合端子20の電気化学的腐蝕の促進を防止でき、信頼性の向上が図れる。
図9は、本発明の実施の形態4による口出導線を接続した接合端子を示す断面図である。
図9において、22cは、接合端子20の穴部22の内周に設けられ、断面が台形状の溝部で、この溝部22cは突合せ部23を挟んで等間隔に2ヶ所形成されており、突合せ部23から流出するりん銅ろう24が充填され、溝部22cを乗り越えて流出することがない様に、突合せ部23からの距離および溝部22cの容積が設定されている。
この実施の形態4のものでは、上記の実施の形態1と同様に、接合端子20の突合せ部23から流出するりん銅ろう24を溝部22cに充填することにより、その溝部22cを乗り越えて穴部22の内周に所定以上の範囲に亘りりん銅ろう24が付着すること、並びに、接合端子20における根元付近のねじれ部Aにりん銅ろう24が到達するのを、各々、阻止し得るので、クラック発生を防止できる。
図10は、本発明の実施の形態5による口出導線を接続した接合端子を示す断面図である。
図10において、22dは、接合端子20の穴部22の内周に設けられ、断面が三角形状の溝部で、この溝部22dは、突合せ部23を挟んで等間隔に2ヶ所形成されており、突合せ部23から流出するりん銅ろう24が充填され、溝部22dを乗り越えて流出することがない様に突合せ部23からの距離および溝部22dの容積が設定されている。
この実施の形態5のものでは、上記実施の形態1と同様に、接合端子20の突合せ部23から流出する、りん銅ろう24を溝部22dに充填することにより、その溝部22dを乗り越えて穴部22の内周に所定以上の範囲に亘りりん銅ろう24が付着すること、並びに、接合端子20における根元付近のねじれ部Aにりん銅ろう24が到達するのを、各々、阻止し得るので、クラック発生を防止できる。
図11は、本発明の実施の形態6による口出導線を接続した接合端子を示す断面図である。
図11において、22eは、接続端子20の穴部22の内周に設けられ、断面が半円形状の溝部で、この溝部22eは、突合せ部23を挟んで等間隔に2ヶ所形成されており、突合せ部23から流出するりん銅ろう24が充填され、溝部22eを乗り越えて流出することがない様に、突合せ部23からの距離および溝部22eの容積が設定されている。
この実施の形態6のものでも、上記の実施の形態1と同様な作用効果を奏することが可能である。
2 リヤブラケット
3 固定子
5 固定子コイル
6 回転子
7 回転軸
10 界磁コイル
11,12 ファン
13 スリップリング
16 ブラシホルダ
17 整流器
18 レギュレータ
19a,19b,19c,19d 口出導線
20,21 接合端子
22 穴部
22a,22b,22c,22d,22e 溝部
23 突合せ部
24 りん銅ろう
25 電極
26 凹部
A 根元付近のねじれ部
Claims (9)
- 絶縁被覆された導線と、この導線と接合される接合端子とを備え、
上記接合端子は、金属の板材を丸めて突合せし、その突合せ部にろう材を介して、ろう付にて切れ目のない管状の穴部を設け、この穴部に挿入された上記導線と、上記接合端子とをヒュージングにより接合してなるものにおいて、
上記接合端子の上記穴部の内周又は外周の少なくとも何れか一方に、上記ろう材における上記突合せ部からの流出を阻止し得る溝部を設けたことを特徴とする回転電機。 - 上記溝部は、上記接合端子の突合せ部を挟んで、上記穴部の内周にて2箇所設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 上記接合端子の突合せ部を接合するろう材は、りん銅ろうであることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
- 上記導線は、上記接合端子の穴部内に一列に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の回転電機。
- 上記溝部は、断面矩形状に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の回転電機。
- 上記溝部は、断面半円形状に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の回転電機。
- 上記外周に設けられた溝部は、上記穴部の内周に設けられる溝部より、断面積が大に形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の回転電機。
- 上記内周に設けられた溝部は、上記接合端子の突合せ部を挟んで回転方向側のみに設けられていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の回転電機。
- 上記外周に設けられた溝部は、軸方向に隙間を介して冷却ファンのブレードと対向されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の回転電機。
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