JP5504657B2 - 二次電池の総容量推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばリチウムイオン電池などのように複数の充放電が可能二次電池の総容量推定装置に関する。
従来の二次電池の総容量(満充電容量)の推定装置としては、総容量を検出すべき二次電池の開路電圧−充電率特性を予め測定しておき、充電または放電の開始前および終了後に開路電圧を測定することで、上記開路電圧−充電率特性を用いて充電率の変化分を求め、この充電率の変化分と充放電中に供給された電気量から総容量を推定するという構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された二次電池の総容量推定装置では、充放電中に供給された電気量を充放電電流計測値の積算で求めるにあたり、電流センサ計測値に誤差(ゼロ点オフセットや計測器出力の非線形性など)がある場合は電気量に計測誤差が蓄積するため、図5(e)に示す従来技術1(黒丸で表す)のように、総容量推定値が時間の経過とともに真値から乖離するという問題がある。
また、特許文献1に開示された二次電池の総容量推定装置では、充電率の変化分を求める際に、充放電率の開路電圧を必要とするため、充放電中には総容量を推定することができないという問題がある。
さらに、特許文献1に開示された二次電池の総容量推定装置では、実際には総容量推定値Capは下式(1)に示すように充放電電流の積算値を充電率の変化分で割った値とし
て計算されるが、この式(1)では分母あるいは分子がゼロに近い値の場合には電流の計測誤差や充電率の推定誤差、両者間の位相差などの影響を受けやすくなり精度よく総容量を演算できないという問題点がある。これは高精度に推定するためには、充電率がある程度変化して、式(1)の分母・分子が値を持ってから総容量を推定する必要があることを意味する。しかし、これは同時に長時間の電流積算による電気量計算が必要であり、上述したように電流計測誤差の蓄積により推定精度の悪化につながる。
Figure 0005504657
この他の二次電池の総容量推定装置としては、充放電中に測定した電流I(t)と、充電率推定値SOCの時間微分値との比から下式(2)に基づいて総容量を推定するいう構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、上記した特許文献1に開示された二次電池の総容量推定装置の問題点でもある、充放電中には総容量を推定することができないという問題点を解決する。
Figure 0005504657
しかし、特許文献2に開示された二次電池の総容量推定装置では、充放電中であっても上記式(2)に基づいて総容量を推定することが可能であるが、式(2)の右辺分子に相当する充放電電流がゼロに近い場合には、式(2)の右辺分母に相当する充電率の時間変化率も小さくなるため、電流の計測誤差や充電率の推定誤差や、それらの間の位相差の影響で総容量推定値が安定して求まらないという問題点がある。
特開2001−231179号公報 特開2006−292492号公報
そこで、本発明は上述の問題点に着目して創案されたものであって、その目的とするところは、充放電中であっても総容量を推定することが可能であり、電流の大きさに拘わらず、総容量を安定して推定することが可能な二次電池の総容量推定装置を提供することにある。
本発明の特徴は、二次電池の充放電電流Iと開路電圧Vから端子電圧Vへの伝達特性をモデル化し(式3)、さらに開路電圧を電流の積分に可変パラメータhを乗じた値としてモデル化する(式4)ことを用い、
Figure 0005504657
Figure 0005504657
(ただし、sはラプラス演算子であり、G1(s)およびG2(s)は任意のプロパーな伝達関数、hは未知パラメータ)
モデル化した伝達関数の各係数と可変パラメータhを逐次同定するパラメータ同定器と、充電率あるいは開路電圧を状態量として逐次推定する状態推定器から構成される二次電池の総容量推定装置であって、充電率推定値SOC(あるいは,開路電圧推定値V0)における充電率SOCに対する開路電圧V0の傾き(勾配、微分値)と、パラメータ推定値との比から総容量(満充電容量ともいう)を推定することを要旨とする。
ここで、逐次同定したパラメータと状態を用いて総容量を演算するため、充放電中であっても総容量を推定することが可能である。しかも、一般に充電率はゼロにはならず、(式5)におけるパラメータhも正の値を持つものであるため、電流の大きさにかかわらず、総容量を安定して推定することが可能となる。
また、開路電圧または充電率を状態量として、電流を積算することなく求め、これを用いて総容量を推定するため、電流計測値に定常的なオフセット誤差が存在する場合であっても総容量推定値が時間の経過とともにドリフトすることなく、高精度に精度することができる。
上記二次電池の総容量推定装置においては、パラメータ推定値の位相と開路電圧または充電率推定値の位相を一致させる位相補償器を設置する構成としてもよい。
パラメータ同定器から出力されるパラメータ推定値の位相と、状態推定器から出力される開路電圧または充電率の位相を一致させることができるため、総容量の推定精度が向上する。
また、上記二次電池の総容量推定装置においては、パラメータ同定器における同定誤差(パラメータ同定器内部の電池モデルの出力と実電池の出力との差分)が予め設定した範囲内であると判断された場合にのみ総容量を演算し、その演算した値を用いて総容量推定値を更新するようにしてもよい。
このようにすることにより、起動直後や電池のパラメータ急変時において、パラメータ同定器がパラメータを正確に推定できていない間は総容量を推定しないため、総容量の誤推定を回避することができる。
さらに、上記二次電池の総容量推定装置においては、充電率に対する開路電圧の2階微分値(つまり,傾きの変化率)が所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定するようにしてもよい(図2のハッチングを付した領域参照)。
パラメータ同定器の設計においては一般に同定するパラメータの変化率はゼロであるという近似を用いるため、パラメータの変化率がゼロに近いほど同定精度は向上する。一方、パラメータhは開路電圧−充電率特性の傾きに相当し、一般に充電率領域によってその変化率が異なる。従って、開路電圧−充電率特性の傾きの変化率(つまりパラメータhの変化率)がほぼゼロに等しいと見なせる領域にあるときのみ総容量を演算することで、精度の高いパラメータ同定が可能となり、その結果として高精度な総容量推定が可能となる。
また、上記二次電池の総容量推定装置においては、充電率に対する開路電圧の傾き(勾配、1階微分値)が所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定するようにしてもよい(図2参照)。
このようにすることにより、予め計測した開路電圧−充電率特性の傾きはパラメータhに相当するため、これが小さい領域では、総容量演算式における分母と分子がともに小さくなり、推定精度が悪化するのを回避することができる。
さらに、上記二次電池の総容量推定装置においては、総容量推定値にローパスフィルタを施したあとの値を総容量推定値の確定値とする構成とし、さらにそのローパスフィルタの時定数は可変とし、電池の容量劣化が急速に進行することが予想される運転条件を検出したら、その時定数を短くするように設定するようにしてもよい。
このようにすることにより、総容量の劣化速度は通常時は非常にゆっくりとしたものであるから、ローパスフィルタ処理を施すことによってその周波数成分だけを取り出すことができる。ローパスフィルタの時定数を電池の運転条件に応じて可変とすることで、電池の劣化が急激に進行するような運転条件で推定速度を速めることができる。
また、この場合、電池交換を検出してから所定時間はローパスフィルタの時定数を短く設定することが好ましい。これにより、電池交換による総容量の急激な変化に対して、総容量推定値の応答速度を速めることができる。
本発明の実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置の概略構成図である。 開路電圧と充電率の関係を示す図である。 総容量推定値演算のブロック図である。 本発明の実施の形態に二次電池の総容量推定装置で行う総容量推定値演算のフローチャートである。 シミュレーションにより従来技術の問題点と本発明の効果を確認する図である。
以下、本発明の実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置について図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置の構成図である。本実施の形態は、二次電池(以下、単に「電池」とも言う)でモータ等の負荷を駆動したり、モータの回生やエンジンを動力源としてオルタネータで発電した電力で二次電池を充電したりするシステムに、二次電池の総容量推定装置を取り付けた例である。本システムは、二次電池10と、モータ等の負荷20と、二次電池の充電率などの内部状態を推定する電子制御ユニット30とを備える。電子制御ユニット30は、プログラムを演算するCPUやプログラムや演算結果を記憶するROMやRAMから構成されるマイコンと電子回路等で構成される。また、本システムは、二次電池10への充放電電流(単に「電流」ともいう)を検出する電流計40と、電池の端子電圧(単に「電圧」ともいう)を検出する電圧計50とを備え、各々は電子制御ユニット30に接続されている。
図3は、電子制御ユニット3で実施される総容量推定演算を行う構成を示すブロック図である。図3に示すように、二次電池に充放電される電流を定期的に検出する充放電電流検出手段100と、二次電池の端子電圧を定期的に検出する端子電圧検出手段101と、計測した充放電電流I(k)と端子電圧V(k)に対してフィルタ演算を行うフィルタ演算手段102と、フィルタ演算手段102の出力を用いて、電池の内部状態を表すパラメータを同定するパラメータ同定手段103と、フィルタ演算手段102の出力と、パラメータ同定手段103により演算された電池パラメータ推定値とを用いて開路電圧V0(k)または充電率SOC(k)を状態量として推定する状態推定手段104と、パラメータ同定手段103により同定されたパラメータと、状態推定手段104により推定された状態量を用いて総容量を推定する総容量推定手段105から構成される。
二次電池の充放電電流Iと端子電圧Vと開路電圧Vの関係を任意の伝達関数G(s)およびG(s)を用いてモデル化する。
Figure 0005504657
ここでは一実施例として伝達関数G(s)およびG(s)をそれぞれ下式(6)および式(7)のように定義して説明するが、本発明においては伝達関数G(s)およG(s)の選び方はこれに限定されない。
Figure 0005504657
Figure 0005504657
ただしsはラプラス演算子であり、T1、T2は未知パラメータとする。開路電圧V0は、電流Iに可変な効率hを乗じたものをある初期状態から積分したものと考え、下式(8)で記述する。
Figure 0005504657
上記式(5)に式(6)〜(8)を代入すれば下式(9)となる。
Figure 0005504657
上記式(9)の両辺に安定なローパスフィルタGLPF(s)を乗じて整理すれば下式(
10)になる。
Figure 0005504657
ここで,充放電電流検出手段100で検出した電流Iや端子電圧検出手段101で検出した端子電圧Vに、ローパスフィルタやバンドパスフィルタを施した値を下式(11)のように定義し、これをフィルタ演算手段102において演算する。
Figure 0005504657
なお、本実施の形態においては,安定なローパスフィルタGLPF(s)の一例として、
下式(12)とするが、その選び方はこれに限定されない。
Figure 0005504657
なお、pはフィルタの時定数である。また、前処理フィルタ演算手段102においては、実際には上記式(12)および下式(13)をタスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて演算する。
式(11)を用いて式(10)を書き直し、V(t)に関して整理すれば、下式(13)になる。
Figure 0005504657
上記式(13)は、計測可能な値(I(t)、I(t)、I(t)、V(t)、V(t))と未知パラメータ(T、T、K、h)の積和式になっているので、一般的な適応デジタルフィルタの標準形(下式(14))と一致する。
Figure 0005504657
ただし、y、w、θは、以下の式(15)の通りである。
Figure 0005504657
したがって、フィルタ演算手段102の出力信号(I(t)、I(t)、I(t)、V(t)、V(t))を適応デジタルフィルタ演算に用いることで、二次電池の伝達特性を表すパラメータK、T、T、hから構成される未知パラメータベクトルθを一括推定することができる。
本実施例では、単純な「最小二乗法による適応フィルタ」の論理的な欠点(一度推定値が収束すると、その後パラメータが変化しても再度正確な推定ができないこと)を改善した「両限トレースゲイン方式」を用いる。上記式(14)を前提に適応デジタルフィルタにより未知パラメータベクトルθを推定するためのアルゴリズムは下式(16)〜(20)となる。ただし、k時点の電池パラメータ推定値をθ^(t)とする。
Figure 0005504657
Figure 0005504657
Figure 0005504657
Figure 0005504657
Figure 0005504657
上記式(16)〜(20)においては、下式(21)が適用される。
Figure 0005504657
またtrace{Q(k)}は行列Q(k)のトレース(対角要素の和)を意味する。また、λ、λ、γ、γは設計パラメータであり、0<λ、0<λ<∞とする。λは適応デジタルフィルタの推定速度を設定する定数(調整ゲイン)であり、値を大きくすることにより推定速度は速くなるが、その反面ノイズの影響を受けやすくなる。γおよびγはそれぞれ行列Q(k)のトレースの上下限を規定するパラメータであり、0<γ<γとなるように設定する。また、P(0)は十分大きな値、θ^(0)は非ゼロな十分小さな値を初期値とする。
以上がパラメータ同定手段103において行われる適応デジタルフィルタを用いた電池パラメータ同定方法の一実施の形態である。
次に、図3に示す状態量推定手段104での開路電圧の推定方法に関して説明する。上記式(5)に上記式(6)と上記式(7)を代入し、開路電圧Vに関して整理すると下式(22)になる。
Figure 0005504657
開路電圧Vの変化は穏やかであると考え、この両辺に上記式(22)のローパスフィルタGLPF(s)を乗じた値を開路電圧推定値Vとして下式(23)で推定する。
Figure 0005504657
上記式23に上記式(11)を代入すると下式(24)となる。
Figure 0005504657
したがって、上記式(24)にパラメータ同定手段で推定した電池パラメータ推定値(T、T、K)とフィルタ演算手段102の出力(I(k)、I(k)、V1(k)、V(k))を代入することで開路電圧推定値Vが演算できる。
なお,上記の様にして開路電圧を推定する定式化は一例であり、本発明においては、この手法に限定されない。上記式(24)で推定された開路電圧から充電率を推定するためには、予め測定した開路電圧−充電率特性を用いて開路電圧から変換すればよい。以上が状態量推定手段104での開路電圧および充電率の推定方法の一実施の形態である。
次に、図3に示す総容量推定手段105において行われる、総容量推定手法に関して説明する。
上記式(8)を時間領域で書き直し、両辺を総容量Capで割ると下式(25)となる。
Figure 0005504657
上記式(25)の右辺において、総容量に対する電流の積算値の比は充電率に相当することから、下式(26)であることを用いると下式(27)となる。
Figure 0005504657
Figure 0005504657
これを総容量Capに関して整理すると、総容量は充電率SOCに対する開路電圧V0の傾きと、パラメータ推定値とを用いて下式(28)で推定することができる。なお、これは数学的に等価な下式(29)であってもよい。
Figure 0005504657
Figure 0005504657
ここで、上記式(23)から明らかなように、本実施の形態においてはパラメータ推定値の位相に対して、開路電圧推定値V^の位相と充電率推定値SOCの位相がローパスフィルタGLPF(s)の分だけ遅れている。そこで、両者の位相を合わせるため、GLPF(s)の特性を持つ位相補償器でパラメータ推定の位相を遅らせる(下式(30))。なお,実際にはGLPF(s)をタスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて演算する。
Figure 0005504657
ただし、GLPF(s)特性は上記式(12)で表される。
従って、総容量推定手段105においては、予め取得した開路電圧−充電率特性に基づいて、その傾きに関する特性を予め記憶しておき、これに基づいて状態推定手段104で推定された開路電圧推定値V^0あるいは充電率推定値SOCにおける傾きを算出する。そして、この傾きと位相補償器(上記式(30))の出とを用いて下式(31)あるいは式(32)で総容量を推定する。
Figure 0005504657
Figure 0005504657
以上で説明した充電率推定方法を、図1に示す電子制御ユニット30で行う処理を示す図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4の処理は一定周期T毎(例えば100ms)に実施される。以下の説明においては、I(k)は今回の実行周期での電流Iの値、I(k−1)は1回前の演算周期での電流値とし、電流以外の値に関しても同様に表記する。
図4に示すように、まず電流計からの信号に基づいて充放電電流I(k)を、電圧計からの信号に基づいて二次電池の端子電圧V(k)をそれぞれ計測する(ステップS1)。
上記ステップS1で計測した電流値I(k)および電圧値V(k)に対して、連続時関系での特性が上記式(11)および上記式(12)であるフィルタ処理をタスティン近似などにより離散時間系で表記し、I(k)、I(k)、I(k)、V(k)、V(k)、V(k)を算出する(ステップS2)。
次に、ステップS2で演算したI(k)、I(k)、I(k)、V(k)、V(k)、V(k)を用いて,上記式(16)〜(20)により表される適応デジタルフィルタを用いてパラメータベクトルθ^(k)を演算する(ステップS3)。
その後、上記ステップS3で同定した電池モデルのパラメータ(T^、K^・T^、K^)と、上記ステップS2で演算したフィルタ出力値(I(k)、I(k)、V(k)、V(k))を用いて上記式(23)から開路電圧推定値V^(k)を演算する(ステップS4)。
そして、予め計測した当該電池の開路電圧−充電率特性の傾きを記憶したマップを用いて、上記ステップS4で演算した開路電圧推定値V^(k)における充電率SOCに対する開路電圧Vの傾きを算出する(ステップS5)。
次に、上記ステップS3で同定した電池モデルのパラメータに対して、連続時関系での特性が上記式(12)で表される上記式30のフィルタ処理をタスティン近似などにより離散時間系で表記し、位相補償を行う(ステップS6)。
そして、上記ステップS3で行ったパラメータ同定処理における推定誤差e(k)(上記式(17)参照)が予め設定した所定時間継続して所定の範囲内にあるかどうかを判定する。推定誤差e(k)が予め設定した範囲内にあると判断された場合には後述するステップS8へ進むが、範囲内にないと判断された場合には、総容量推定値を演算せず前回の演算結果のままとし、総容量推定処理を終了する(ステップS7)。
次に、ステップS8では予め計測した開路電圧Vと充電率SOCとの関係を用いて、ステップS4で計算した開路電圧推定値V(k)から充電率推定値を求め、これが予め設定した領域の範囲内であるかを判定する。判断結果が真であればステップS9へ進むが
、偽であれば、総容量推定値を演算せず前回の演算結果のままとし、総容量推定処理を終了する。
上記ステップS3で計算したパラメータ推定値と、ステップS5で計算した充電率SOCに対する開路電圧Vの傾きを用いて、上記式(28)あるいは式(29)で総容量を推定する(ステップS9)。
ステップS9で計算した総容量推定値Capに対してローパスフィルタ処理を施す(ステップS10)。なお、このローパスフィルタは例えば連続系での伝達特性が下式(33)で表されるものとする。
Figure 0005504657
ここで、時定数tは、電池の運転状態に応じて予め設定した条件で変更する。具体的にはノミナル設定値に対して充放電電流の絶対値が所定値以上となる大電流出力時や、電池温度が所定値以上の時に、予め設定した割合で予め設定した所定時間小さくする。また、例えばシステムの起動時に電池毎に一意に設定されたシリアル番号を読み出すなどの手法により、電池交換を検出した場合には、時定数tを予め設定した割合で予め設定した所定時間小さくする。
図5に電池モデルを用いたシミュレーションにより本発明の効果を検証した結果を示す。本シミュレーションにおいては、二次電池の特性を上記式9で示される形式と仮定した。また、充放電電流計測値と端子電圧計測値に観測ノイズと量子化誤差を設定し、さらに電流には+3[A]の計測オフセットを設定した。なお、図5においては、上段から充放電電流、端子電圧、充電率推定値と真値、パラメータhの推定値と真値、総容量推定値と真値であり、パラメータと充電率のグラフにおいては、真値を実線で推定値を鎖線で示し、総容量のグラフにおいては従来技術2による推定値を点線で、本発明による推定値を鎖線で示した。従来技術1では実際には充放電中に総容量を計算することはできないが、各時刻で電流を遮断して開路電圧を計測したと仮定した場合に計算される総容量推定値を図5中に●印で記入した。
図5において、従来技術1による総容量推定値は、時間の経過とともに推定値がドリフトして行く。また、従来技術2による総容量推定値は時間の経過とともにドリフトしていくことはないものの、シミュレーション条件として設定した+3[A]の電流計測オフセットの影響を受けて、真値に対して平均的に大きく推定されてしまう。また、推定式(上記式(2))の分母および分子がゼロとなる場合があるため総容量推定値が激しく振動し、安定して総容量を推定できていない。
一方,本発明によれば電流の計測オフセットによりパラメータの推定精度が若干悪くなるものの,総容量推定値は時間が経過してもドリフトすることなく,安定して高精度に推定することが可能である。
以上、本実施の形態について説明したが、本実施の形態では、モデル化した伝達関数の各係数と可変パラメータhを逐次同定するパラメータ同定器と、充電率あるいは開路電圧を状態量として逐次推定する状態推定器から構成され、充電率推定値SOC(あるいは,開路電圧推定値V0)における充電率SOCに対する開路電圧V0の傾き(勾配、微分値)と、パラメータ推定値との比から総容量(満充電容量ともいう)を推定するができる。
ここで、逐次同定したパラメータと状態を用いて総容量を演算するため、充放電中であっても総容量を推定することが可能である。しかも、一般に充電率はゼロにはならず、上記式(5)におけるパラメータhも正の値を持つものであるため、電流の大きさにかかわらず、総容量を安定して推定することが可能となる。
また、開路電圧または充電率を状態量として、電流を積算することなく求め、これを用いて総容量を推定するため、電流計測値に定常的なオフセット誤差が存在する場合であっても総容量推定値が時間の経過とともにドリフトすることなく、高精度に精度することができる。
さらに、パラメータ推定値の位相と開路電圧または充電率推定値の位相を一致させる位相補償器を設置する構成としてもよく、パラメータ同定器から出力されるパラメータ推定値の位相と、状態推定器から出力される開路電圧または充電率の位相を一致させることができるため、総容量の推定精度が向上する。
また、本実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置においては、パラメータ同定器における同定誤差(パラメータ同定器内部の電池モデルの出力と実電池の出力との差分)が予め設定した範囲内であると判断された場合にのみ総容量を演算し、その演算した値を用いて総容量推定値を更新するようにしてもよい。この場合、起動直後や電池のパラメータ急変時において、パラメータ同定器がパラメータを正確に推定できていない間は総容量を推定しないため、総容量の誤推定を回避することができる。
さらに、本実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置においては、充電率に対する開路電圧の2階微分値(つまり,傾きの変化率)が所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定するようにしてもよい(図2参照)。
パラメータ同定器の設計においては一般に同定するパラメータの変化率はゼロであるという近似を用いるため、パラメータの変化率がゼロに近いほど同定精度は向上する。一方、パラメータhは開路電圧−充電率特性の傾きに相当し、一般に充電率領域によってその変化率が異なる。従って、開路電圧−充電率特性の傾きの変化率(つまりパラメータhの変化率)がほぼゼロに等しいと見なせる領域にあるときのみ総容量を演算することで、精度の高いパラメータ同定が可能となり、その結果として高精度な総容量推定が可能となる。
また、本実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置においては、充電率に対する開路電圧の傾き(勾配、1階微分値)が所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定するようにしてもよい。この場合、予め計測した開路電圧−充電率特性の傾きはパラメータhに相当するため、これが小さい領域では、総容量演算式における分母と分子がともに小さくなり、推定精度が悪化するのを回避することができる。
さらに、本実施の形態に係る二次電池の総容量推定装置においては、総容量推定値にローパスフィルタを施したあとの値を総容量推定値の確定値とする構成とし、さらにそのローパスフィルタの時定数は可変とし、電池の容量劣化が急速に進行することが予想される運転条件を検出したら、その時定数を短くするように設定するようにしてもよい。この場合、総容量の劣化速度は通常時は非常にゆっくりとしたものであるから、ローパスフィルタ処理を施すことによってその周波数成分だけを取り出すことができる。ローパスフィル
タの時定数を電池の運転条件に応じて可変とすることで、電池の劣化が急激に進行するような運転条件で推定速度を速めることができる。
また、電池交換を検出してから所定時間はローパスフィルタの時定数を短く設定することが好ましい。これにより、電池交換による総容量の急激な変化に対して、総容量推定値の応答速度を速めることができる。
本発明は、二次電池が用いられる乗り物などの製造業において利用することができる。
10…二次電池
20…負荷
30…電子制御ユニット
40…電流計
50…電圧計
100…充放電電流検出手段
101…端子電圧検出手段
102…フィルタ演算手段
103…パラメータ同定手段
104…状態推定手段
105…総容量推定手段

Claims (7)

  1. 二次電池の充放電電流Iと開路電圧V0から端子電圧Vへの伝達特性を下式(A)のようにモデル化し、さらに開路電圧を電流の積分に可変パラメータhを乗じた値として下式(B)のようにモデル化すると共に、モデル化した伝達関数の各係数と可変パラメータhを逐次同定するパラメータ同定器と、充電率あるいは開路電圧を状態量として逐次推定する状態推定器から構成され、
    Figure 0005504657
    Figure 0005504657
    (ただし、sはラプラス演算子であり、G1(s)およびG2(s)は任意のプロパーな伝達関数、hは未知パラメータ)充電率推定値OC、あるいは、開路電圧推定値V0における充電率SOCに対する開路電圧V0の傾きと、パラメータ推定値との比から総容量を推定することを特徴とする二次電池の総容量推定装置。
  2. 前記パラメータ推定値の位相と前記開路電圧または前記充電率推定値の位相を一致させる位相補償器を設置することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の総容量推定装置。
  3. 前記パラメータ同定器における同定誤差が予め設定した範囲内であると判断された場合にのみ総容量を演算し、その演算した値を用いて総容量推定値を更新することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の総容量推定装置。
  4. 充電率に対する前記開路電圧の2階微分値が所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の総容量推定装置。
  5. 充電率に対する開路電圧の傾きが所定の範囲内となることが予めわかっている充電率領域でのみ、総容量を推定することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の総容量推定装置。
  6. 前記総容量推定値にローパスフィルタを施したあとの値を総容量推定値の確定値とするように設定し、さらにその前記ローパスフィルタの時定数は可変となし、電池の容量劣化が急速に進行することが予想される運転条件を検出した場合に、その時定数を短くすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の二次電池の総容量推定装置。
  7. 電池交換を検出してから所定時間は前記ローパスフィルタの時定数を短く設定することを特徴とする請求項6に記載の二次電池の総容量推定装置。
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