JP5504441B2 - ミトコンドリア融合促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、大豆胚芽由来のミトコンドリア融合促進剤及びその用途に関し、より詳細には大豆胚芽蛋白質分解物からなるミトコンドリア融合促進剤及び抗肥満剤及び筋増強剤としての用途に関する。
従来、大豆胚芽は、食品、飼料原料として利用されてきた。例えば大豆胚芽に溶剤処理及び熱処理を加えた高栄養価かつ低アレルギーで風味の良い大豆胚芽蛋白組成物(特許文献1)、大豆胚芽蛋白質のメタボリックシンドロームの予防及び改善作用(特許文献2)が知られている。しかし、これらを分解して得られる産物に関する記述は無い。
また、大豆胚芽を酵素分解させて得られる栄養素の高い胚芽加工品や健康補助食品の製造方法(特許文献3及び4)が知られている。これらの発明は、ポリペプチドとイソフラボンとサポニンのアグリコン体を同時に得ることを特徴とする。これらの文献は大豆胚芽の分解産物が健康に良いとされるものの、その効果は明確でない。
抗肥満剤をスクリーニングする方法として、分化した脂肪細胞を、被検物質の存在下に培養した後、細胞内のミトコンドリアの形態を観察し、分化した脂肪細胞中の断片化及び/又は凝集したミトコンドリアにチューブ状のネットワークを形成させるとき、前記被検物質が抗肥満剤であると評価する方法がある(特許文献5)。この細胞を直接観察する方法は、薬剤のスクリーニングに適する。食品に由来する蛋白質は、摂取後腸管内及び上皮細胞内でアミノ酸に分解して吸収されることが一般的に知られている。この分解産物がそのまま吸収されて細胞に影響を及ぼすとは考えられない。したがって、蛋白質分解産物の細胞への作用を直接確認しようとする試みはいままでなされていなかった。
特開2006−217900号公報 特許第3944864号公報 特開2005−176610号公報 特開2007−44009号公報 特開2007−228855号公報
本発明は、大豆胚芽を特定の方法で加工することにより抗肥満剤などとして有用なミトコンドリア融合促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、大豆中に微量しか存在しない胚芽を30重量%以上含有するように分画することで得られる大豆胚芽部分をさらに分解して得られる蛋白質分解物によれば、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、大豆胚芽が30重量%以上含まれる大豆原料の蛋白質分解物を有効成分として含むミトコンドリア融合促進剤を提供する。前記蛋白質分解物は、分子量3,000以下の画分を含むことが好ましい。より好ましくは、前記蛋白質分解物は、分子量3,000以下のものからなる。前記蛋白質分解物は、前記大豆原料を蛋白質分解酵素によって分解されたものであることが好ましい。
前記ミトコンドリア融合促進剤は、抗肥満剤や内臓脂肪蓄積予防剤として有用である。
本発明は、また、前記ミトコンドリア融合促進剤を含有する機能性食品や飼料もまた提供する。
ミトコンドリアの膜表面にはH−ATP合成酵素(F1,F0)が存在し、この働きを抑制することでミトコンドリア同士が融合してチューブ状になる。前駆脂肪細胞3T3−L1を脂肪細胞へ分化誘導するためには、ミトコンドリアが断片化及び/又は凝集した状態で存在することが重要である。本発明のミトコンドリア融合促進剤の主成分である大豆胚芽蛋白質分解物は、脂肪細胞のミトコンドリアの融合を活性化することにより、前駆脂肪細胞3T3−L1の肥満細胞への成熟を阻止する。
本発明のミトコンドリア融合促進剤は、ミトコンドリア融合促進作用を有する医薬、機能性食品及び飼料添加物としての用途が期待される。具体的には、本発明のミトコンドリア融合促進剤を抗肥満剤や内臓脂肪蓄積予防剤として用いれば、人の肥満症や体組成を改善し、健康を増進する。また、本発明のミトコンドリア融合促進剤を筋増強剤として用いれば、筋量の増加作用を有するので、スポーツマンのための筋力の増強を支援する。また、本発明のミトコンドリア融合促進剤を畜産動物の飼料に配合すると、肉質量の増加効果、及び脂質の過剰蓄積の予防効果を持つ飼料が得られる。
以下に、本発明のミトコンドリア融合促進剤並びにこれを用いた抗肥満剤及び筋増強剤(これらを、以下、単にミトコンドリア融合促進剤という)を詳細に説明する。
本発明のミトコンドリア融合促進剤の原料となる、胚芽分を一定以上含む大豆原料を大豆から分離する方法は、特に制限されない。例えば、大豆を破砕して半割れ状態とし、篩(例えば8〜18メッシュ)でふるうことにより、大豆胚芽分の高められた大豆原料を得る。本発明にとって、胚芽分の高められた大豆原料は、胚芽そのものとして30重量%以上、大豆胚芽由来の蛋白質として11.4重量%以上含有することが必要である。より好ましくは、胚芽そのものとして60重量%以上、大豆胚芽由来の蛋白質として22.8重量%以上含有する。大豆胚芽の含有率が30重量%より少ないと、そして大豆胚芽由来の蛋白質として11.4重量%より少ないと、目的の効果が得られない。
上記のようにして胚芽分の高められた大豆原料を、さらに常法により脱脂する、蛋白質を濃縮又は分離する、熱処理するなどの手段をとることも可能である。具体的には、脱脂としてヘキサン抽出、濃縮としてアルコール抽出、分離として塩析、など電点沈殿、pH調整による沈殿やろ過などを利用した方法が挙げられる。
こうして得られた大豆原料中の大豆胚芽蛋白質をさらに分解することにより、大豆胚芽蛋白質分解物を得る。蛋白質の分解方法は、酸分解、アルカリ分解、酵素分解、発酵などあらゆる方法を取ることができる。ただし、単純な加熱のような熱分解は、焦げが発生するため好ましくない。したがって、酸分解、酵素分解、発酵などが良好な風味を得る点で好ましい。
酸による分解では、塩酸、硫酸など、食品用途に使用できる酸であれば適用可能である。
酵素による分解では、蛋白質を分解できる酵素を使用する。プロテアーゼ、ペプチダーゼなどの蛋白質分解酵素が適しており、具体的にはAspergillus oryzae、Aspergillus melleus、Rhizopus oryzae、Bacillus stearothermophilis、Bacillus subtilis、Carica papaya L、及び動物由来の酵素が例示される。味噌、しょうゆ、調味液を製造するための麹菌や、ヨーグルト製造のための乳酸菌による発酵などでも、菌の持つ酵素により大豆胚芽の蛋白質は分解され、大豆胚芽の分解物を得ることが可能である。
大豆胚芽の分解条件としては、蛋白質分解物中に分子量3,000以下、より好ましくは1,000以下の画分を多く占めることが、ミトコンドリアの融合活性を促進する点で好ましい。特に好ましくは、使用する大豆胚芽蛋白質分解物は、蛋白質の分子量が3,000以下、より好ましくは1,000以下の画分からなる。
酵素や菌による分解では、大豆胚芽原料の水溶性窒素指数(NSI)を50以下とした後、反応させるのが望ましい。蛋白質の水溶窒素指数を下げる方法は、加熱、蒸煮などの蛋白質変性方法をとり得る。
本発明のミトコンドリア融合促進剤は、有効成分としての前記大豆胚芽蛋白質分解物を単独に用いることができる。さらに、医薬、機能性食品、飼料などの最終製品の形態に応じて、適宜、助剤を配合し、調理し、また加工することができる。本発明に含有される大豆胚芽蛋白質分解物の含有量は、組成物の摂取量によって変わってくるが、通常、0.0001〜100重量%でよく、好ましくは0.001%〜90重量%、より好ましくは0.01〜70重量%、さらに好ましくは1〜50重量%の範囲である。大豆胚芽蛋白質分解物の含有量が0.0001重量%以下であると、抗肥満効果などを得るのに必要な量を摂取できない場合がある。
本発明のミトコンドリア融合促進剤には、必須成分の大豆胚芽蛋白質分解物や適宜の抗肥満作用物質などのほかに、薬理学上使用可能な担体、賦形剤、助剤などを、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。具体的には、乳糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、白糖、精製白糖、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、パラチノース、還元パラチノース、粉末還元麦芽糖、水アメ、カルメロース、デキストリン、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、バレイショデンプン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、アミノ酸、カオリン、無水ケイ酸、ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、脂肪酸又はその塩、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、アルコール、植物油、オリーブ油、ダイズ油、トウモロコシ油、脂肪油、油脂、粘性パラフィン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの担体又は賦形剤;結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、マクロゴールなどの結合剤;コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、マクロゴール、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤;潤滑剤;結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントなどの崩壊剤;大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールなどの界面活性剤;乳化剤;リン酸ナトリウムなどの溶解補助剤;吸収促進剤;塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸などのpH調整剤;天然樹脂などの光沢剤;安定化剤;酸化防止剤;保存剤;湿潤剤;着色剤;芳香剤;無痛化剤などが挙げられる。
本発明のミトコンドリア融合促進剤は、医薬、サプリメント、機能性食品又は健康食品として使用するために、水剤、ドリンク、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態に加工される。
本発明のミトコンドリア融合促進剤は、パン、米飯、スープ、惣菜、菓子、キャンディなどの一般加工食品の製造時に原料に直接添加されてもよい。
本発明のミトコンドリア融合促進剤を医薬として使用する場合の摂取方法は、特に限定されない。例えば、経口摂取、経皮投与、輸液、注射(筋肉内、腹腔内、皮下又は静脈)などである。好ましくは、投与の負担が少ない点で、水剤、ドリンク、錠剤又はカプセル剤の経口摂取である。
本発明のミトコンドリア融合促進剤の医薬としての用量用法は、患者の症状、体重、投与間隔、投与方法、ならびに他の臨床的作用を左右する種々の因子を考慮して決定され得る。肥満予防の目的で使用する場合には、成人男性一日あたりの摂取量として、通常、1mg〜10gでよく、10mg〜500mgが好ましい。治療目的で使用する場合は、500mg〜10gで使用可能である。
本発明のミトコンドリア融合促進剤をサプリメント、機能性食品、健康食品又は一般の食品に用いる場合には、成人男性一日あたりの摂取量として、1mg〜10gが好ましく、10mg〜1gがさらに好ましい。
本発明のミトコンドリア融合促進剤を家畜動物、愛玩動物などの動物へ摂取する医薬や機能性食品として用いる場合、その投与方法には、注射などの非経口摂取、機能性食品や配合飼料の形態での経口摂取がある。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の主旨はもとよりこれに限定されるものではない。
〔調製例1〕(濃縮大豆胚芽蛋白質の調製)
大豆を機械的に割砕し、篩にかけて大豆胚芽を80重量%含有する大豆原料を得た。これを搾油工程における常法で行われるヘキサン抽出を行った後、さらに70%含水エタノールを加えて70℃、30分間攪拌した。その後、ろ過して、残渣を回収した。残渣を100℃の減圧下で40分間、熱処理し、濃縮大豆胚芽蛋白質画分を得た。
この方法で得られた濃縮大豆胚芽蛋白質は、全て水溶性窒素指数(NSI)が50以下であった。全窒素分析の結果、総蛋白質含量は62重量%であった。イソフラボン含量、サポニン含量は共にアグリコン体換算で0.6%以下であった。これは、通常の大豆胚芽と比較して5分の1以下である。また、丸大豆よりも低い含量であった。したがって、濃縮大豆胚芽蛋白質は、多量に食べても苦味が無いほか、これらの上記微量成分の過剰摂取を防ぐことができる。
〔調製例2〕(脱脂大豆胚芽蛋白質の調製)
大豆を機械的に割砕し、篩にかけて大豆胚芽を48重量%含有する大豆原料を得た。これを搾油工程における常法で行われるヘキサン抽出により脱脂し、大豆胚芽蛋白質画分を得た。また、脱脂後の熱の掛け方により、NSIが50よりも高いものと、50以下のものとの2種類を得た。この方法で得られた大豆胚芽蛋白質の全窒素分析を行ったところ、総蛋白質含量は43重量%であった。イソフラボン含量、サポニン含量は共にアグリコン体換算で0.9%以上であった。
〔調製例3〕(低胚芽率濃縮大豆胚芽蛋白の調製)
出発の大豆胚芽部分を約5重量%以下含有する大豆原料から、調製例1と同様のヘキサン抽出及び含水アルコール抽出により、低胚芽率濃縮大豆胚芽蛋白を得た。
〔実施例1〜7、比較例1及び2〕
1.濃縮大豆胚芽蛋白質分解物の調製
上記調製例1で得た濃縮大豆胚芽蛋白質を0.5g採取後、10mL PBSに懸濁し、1.5mL エッペンドルフチューブに1mLずつ分注したサンプルを得た。
次に、酵素処理として、以下に示す酵素1〜3をそれぞれ上記サンプル1mLに対し10μLずつ加えた。これを、アルミブロックにて50℃、96時間反応を行った後、95℃、20分で酵素を失活させた。
酵素1:主にGln、Ser、Thr、Metのカルボキシル側を加水分解するAspergillus oryzae由来の蛋白質分解酵素(商品名;ウマミザイム)100mg/mlPBS
酵素2:主にGln、Ser、Met、Sysのカルボキシル側を加水分解するAspergillus oryzae由来の蛋白質分解酵素(商品名:プロテアーゼM)100mg/mlPBS
酵素3:主にArg、Ala、Lys、Phe、Leuのカルボキシル側を加水分解するRhizopus oryzae由来の蛋白質分解酵素(商品名:ペプチダーゼR)100mg/mlPBS
また、酵素1〜3に代えてPBSを上記サンプル1mLに対し10μL加えた対照を用意した(比較例2)。
上記酵素処理後のサンプルを、4℃、15,000rpm、20分の遠心処理にかけてから、上清を回収した。また分子量分画を行う際には、Centricon−3を用いて、RA−2ローターにて8,000rpm、4℃、60分x2、30分x1の遠心処理を行った。Centricon−3の限外濾過膜の上層に残った画分を分子量3,000より上の画分として、下層を分子量3,000以下画分としてそれぞれ回収し、これらの液量が同じになるように、PBSを添加して調整した。得られた各画分は、蛋白専用シリンジフィルター(millipore/SLGP 033 RS/33mm)でろ過後、それぞれ、エッペンドルフチューブに入れて4℃にて保存した。
2.ミトコンドリア融合活性の測定
上記酵素処理又は未処理サンプルのミトコンドリア融合活性の測定を、特許文献5に記載の方法に準じて、以下の手順で行った。10% Fetal bovine serum、グルコース、カナマイシン及びビオチンを含むDulbecco‘s Modified Eagle Mediumからなる基礎培地中で、未分化の3T3−L1前駆脂肪細胞(preadipocytes)をコンフルエントになるまで培養した。これを3T3−L1 preadipocytes(Day 0)としてミトコンドリア形態観察に供した。
3T3−L1 preadipocytes(Day 0)の上清を除去した培養培地に、希釈した酵素処理サンプルを添加した。48時間培養後、ミトコンドリアを染色して蛍光顕微鏡によりミトコンドリア融合活性を観察した。
融合したミトコンドリアのサイズを以下の係数:
サイズ:係数
顆粒状:−1
1−3μmのチューブ :1
3−5μmのチューブ: 2
5μm以上のチューブ:3
5μm以上かつ高密度:5
でカウントした。融合の度合いを細胞数に占める割合でスコア化した。コントロール(PBS)のミトコンドリアの状態を1として、添加物の効果を数値化した。表1に、大豆胚芽の酵素処理によるミトコンドリア融合活性を示す。
3.細胞内脂肪滴量の測定
上記酵素処理サンプル及び酵素未処理サンプルの細胞内脂肪滴量の測定を以下の手順で実施した。3T3−L1 preadipocytes(Day 0)を基礎培地に0.25mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン、1μMデキサメタゾン、及び2μMインシュリンを含む分化誘導培地中で約2日間培養し、さらに2μMインシュリンを含む分化誘導培地中で約14日間培養して脂肪細胞に分化させ、3T3−L1 adipocytes(Day 16)を作製した。
3T3−L1 adipocytes(Day 16)の上清を除去し、分化維持培地にて希釈した酵素処理サンプルを添加した。48時間培養後、蛍光顕微鏡により細胞内脂肪滴を観察した。
細胞内脂肪滴量を、以下の基準:
サイズ:係数
直径2μm未満:1
直径2〜5μm:2
直径5μm以上:3
でカウントした。コントロール(PBS)の脂肪滴量を1として、添加物の効果を数値化した。
表1に、濃縮大豆胚芽蛋白質の酵素処理による細胞内脂肪滴蓄積量の変化を示す。
表1において、融合活性の数値が大きいほど、ミトコンドリアの融合がより進んでいる。大豆胚芽を60重量%以上含有する大豆原料を用いた場合、全ての酵素処理においてミトコンドリア融合促進作用がみられた。その活性は、特に酵素1による分解処理において顕著であった。
表1において活性の高かった酵素1及び酵素2のサンプルについて、さらに分子量3,000による分画を行った各画分の、ミトコンドリア融合活性と細胞内脂肪滴蓄積量の変化を示す。
表2において、融合活性の数値が大きいほど、ミトコンドリアの融合がより進んでいる。分子量分画を行った場合、全ての酵素処理においてミトコンドリア融合促進作用がみられた。その活性は、特に分子量3,000以下の画分、及び、酵素1による分解処理において顕著であった。
また、細胞内脂肪滴蓄積量変化の数値が小さいほど、細胞内への脂肪の蓄積がより抑制されている。大豆胚芽を60重量%以上含有する大豆原料から得られた濃縮大豆胚芽蛋白質の蛋白質分解物は、全ての酵素処理において細胞内脂肪滴蓄積抑制効果がみられた。その活性は、特に分子量3,000以下の画分において顕著であった。
〔実施例8〜10、比較例3及び4、並びに13〜15
1.脱脂大豆胚芽蛋白質分解物の調製
実施例1、4及び5において、濃縮大豆胚芽蛋白質を調製例2で得た脱脂大豆胚芽に替えた以外は前記実施例と同様の操作を行って、脱脂大豆胚芽蛋白質分解物を得た。また、酵素1に代えてPBSを上記サンプル1mLに対し10μL加えた対照を用意した(比較例3及び4)。
2.ミトコンドリア融合活性及び細胞内脂肪滴量の測定
上記サンプルのミトコンドリア融合活性及び細胞内脂肪滴量の測定を、実施例1と同じ手順で行った。結果を表3に示す。
表3の結果から、大豆胚芽分が48重量%の大豆原料から得られた脱脂大豆胚芽蛋白質分解物においても、ミトコンドリア融合活性及び脂肪蓄積抑制の効果が確認された。分解の原料となる大豆胚芽のNSIが低い場合に効果が強く、NSIは50以下がより好ましかった。
〔比較例5〜12〕
1.低胚芽率濃縮大豆蛋白質分解物の調製
実施例1〜7において、濃縮大豆胚芽蛋白質を調製例3で得た低胚芽率大豆胚芽に替えた以外は前記実施例と同様の操作を行って、低胚芽率濃縮大豆胚芽蛋白質分解物を得た。また、酵素1〜3に代えてPBSを上記サンプル1mLに対し10μL加えた対照を用意した(比較例5)。
2.ミトコンドリア融合活性及び細胞内脂肪滴量の測定
上記サンプルのミトコンドリア融合活性及び細胞内脂肪滴量の測定を、実施例1と同じ手順で行った。結果を表4及び5に示す。
表4の結果から、大豆胚芽分が5重量%以下の大豆原料から得られた低胚芽率濃縮大豆胚芽の蛋白質分解物では、ミトコンドリア融合活性及び脂肪蓄積抑制の効果が見られないことが確認された。
表5の結果から、大豆胚芽分が5重量%以下の大豆原料から得られた低胚芽率濃縮大豆胚芽の蛋白質分解物では、分子量3,000の分画を行ってもミトコンドリア融合活性及び脂肪蓄積抑制の効果が見られないことが確認された。
以上の結果をまとめると、大豆胚芽分を30重量%以上含有する大豆原料を分解処理した大豆胚芽蛋白質分解物において、ミトコンドリア融合活性が上昇した。また、細胞内脂肪滴蓄積抑制効果を確認した。これらの効果は、大豆胚芽分解物の内でも分子量3,000以下の画分に特に効果が顕著であり、特に酵素1での処理に効果が高かった。また、分解処理前のNSIは50以下であることが望ましかった。サポニン、イソフラボンについては効果がなく、大豆胚芽のミトコンドリア融合促進活性には影響しないと考えられた。これらの結果は、大豆胚芽蛋白質分解物に抗肥満作用及び内臓細胞脂肪蓄積抑制作用があることが示唆される。
〔実施例14〕(マウスへの投与試験)
1.濃縮大豆胚芽蛋白質分解物の調製
大豆を機械的に割砕し、篩にかけて大豆胚芽分を80重量%含有する大豆原料を得た。これを搾油工程における常法で行われるヘキサン抽出を行った後、さらに70%含水エタノールを加えて70℃、30分間攪拌した。その後、ろ過して、残渣を回収した。残渣を100℃の減圧下で40分間、熱処理し、濃縮大豆胚芽蛋白質画分を得た。この濃縮大豆胚芽蛋白質を酵素1のPBS溶液に懸濁し、50℃、96時間反応を行った。95℃、20分で酵素を失活させた後、これの不溶物を除去した。水道水で希釈して、大豆胚芽分解物の2重量%溶液(以下、大豆胚芽分解物混入水という)を調製した。
2.実験動物の準備
実験動物としてC57BL/6JJcl株マウス(4週齢)を日本クレアから購入し、1週間飼育した後、実験に使用した。マウスは、以下の4群(各群5匹)、
SD群:通常食を与え、通常水を飲水させる群
SD+DP群:通常食を与え、大豆胚芽分解物混入水を飲水させる群
HF群:高脂肪食を与え、通常水を飲水させる群
HF+DP群:高脂肪食を与え、大豆胚芽分解物混入水を飲水させる群
を用意した。
3.投与試験方法
上記大豆胚芽分解物2重量%の希釈水を、各群マウス5匹に自由飲水させた。1週間後、体重と内臓脂肪量を測定した。マウスへの投与試験結果を表6に示す。
SD群及びHF群を対照とし、さらに大豆胚芽分解物(+DP)を投与した群の体重及び内臓脂肪量への影響を調べた。SD+DP群及びHF+DP群のいずれの群でも、濃縮大豆胚芽分解物混入水の投与により、摂食量に対する脂肪量の増加を有意に抑えた。そして、SD+DP群及びHF+DP群が摂食量と増体重を増し、脂肪量を減少させていることから、SD+DP群及びHF+DP群に筋量を増加する作用が確認された。

Claims (6)

  1. 大豆胚芽が30重量%以上占め、水溶性窒素指数が50以下の大豆原料を蛋白質分解酵素によって分解した蛋白質分解物を有効成分として含むミトコンドリア融合促進剤。
  2. 前記蛋白質分解物は、分子量3,000以下の画分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のミトコンドリア融合促進剤。
  3. 前記蛋白質分解物は、分子量3,000以下の画分からなることを特徴とする、請求項1に記載のミトコンドリア融合促進剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合促進剤を用いた抗肥満剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合促進剤を用いた筋増強剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合促進剤を用いた体重増加剤。
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