JP5503112B2 - 外壁用外装材 - Google Patents

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本発明は、外装材、特に、自然木から形成された外装材に関する。
従来、建物の外装材として、自然木を薄板状に形成した外装材が知られている。一般に、自然木を薄板状に形成した外装材のうち、自然木の表皮に近い側を木表(きおもて)と称し、自然木の中心に近い側を木裏(きうら)と称している。木表と木裏を有する外装材には、乾燥などに伴い、自然木の年輪の向きに応じた湾曲が発生することがある。具体的には、木表と木裏を有する外装材は、木表側が凹になり、木裏側が凸になるように湾曲する。
図6は、従来の外壁構造を示す断面図であり、(a)は変形前、(b)は変形後の状態を示している。なお、図5に示す外壁のつなぎ方は、一般に「相じゃくり」と呼ばれている(特許文献1参照)。
図6(a)に示すように、従来の外装材100は、一方の縁部101の木表側100aに切欠部102を有するとともに、他方の縁部103の木裏側100bに切欠部104を有している。
そして、従来の外壁構造150を構築する際は、まず、下地材200に木裏側100bを向けた状態で、当該下地材200に一つ目の外装材100を取り付ける。次に、一つ目の外装材100の一方の縁部101に二つ目の外装材100の他方の縁部103を重ねるようにして、二つ目の外装材100を取り付ける。これを順次繰り返すことにより、「相じゃくり」の外壁構造150が完成する。
なお、従来の外壁構造150は、図6(b)に示すように、経年変化によって、屋外側(木表側100a)が凹となるように湾曲することとなる。
特開2000−110321号公報(図1)
従来の外壁構造150においては、外装材100の湾曲を押さえることは困難であるとの考えから、すべての外装材100について、木表側100aを外側に向けて設置することにより、外装材100の湾曲の方向を一致させて見栄えの向上を図っていた。
しかしながら、外装材100の縁部の湾曲によって隣り合う外装材100同士の目地に開きが生じ、雨水などがしみ込み易くなるという問題がある。また、近年、従来よりもフラットな仕上がりへの要望が高まっている。
また、従来の外壁構造150では、図6(a)、(b)に示すように、外装材100の幅方向の中央部を釘301で固定するほかに、外装材100の湾曲を抑えるために、一方の縁部101も釘302で固定することがあった。
しかしながら、外装材100の幅方向の2箇所を釘301,302で固定すると、外装材100の変形が拘束されて内部応力が高まり、外装材100にひび割れが発生することがあった。また、幅方向の2箇所に釘を打つ必要があるため、施工の手間と費用の増加を招いていた。
また、従来の外壁構造150では、目地と目地との間隔を一定にするために、すべての外装材100を同一の寸法に形成する必要があった。そのため、一本の自然木から製材できる本数に限界があり、材料費の増加を招いていた。
本発明は、これらの事情に鑑みて創案されたものであり、湾曲を抑制することができる外壁用外装材を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ひび割れを抑制するとともに、施工が容易な外壁用外装材を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、目地間隔を一定にしながら、従来よりも生産効率のよい外壁用外装材を提供することを第3の目的とする。
本発明に係る外壁用外装材は、下地材に木裏側を向けて互いに間隔を隔てて並列に設置され、長手方向に沿った両縁部の木表側に一対の切欠部を有する複数の第1外装材と、前記下地材に木表側を向けて前記第1外装材の間に設置され、長手方向に沿った両縁部の木表側に一対の切欠部を有する複数の第2外装材と、を備え、前記第1外装材の切欠部に前記第2外装材の縁部が配置され、前記第2外装材の切欠部に前記第1外装材の縁部が配置され、前記第1外装材及び前記第2外装材は、長手方向を上下方向に向けて配列され、前記第1外装材の縁部と前記第2外装材の縁部とが重なり合うに上下方向に連続する水抜き用の空間となる凹溝が形成されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、第1外装材は、下地材に木裏側を向けて設置されているので、木表側が凹となるように、すなわち、両縁部が下地材から浮き上がるように変形しようとする。また、第2外装材は、下地材に木表側を向けて設置されているので、両縁部が下地材に近づく方向に変形しようとする。そして、第1外装材同士の間に第2外装材が設置されており、かつ、第1外装材の切欠部に第2外装材の縁部が配置され、第2外装材の切欠部に第1外装材の縁部が配置されるので、下地材から浮き上がろうとする第1外装材の両縁部に、下地材に近づこうとする第2外装材の両縁部が当接し、外壁用外装材全体の変形が抑制されることとなる。さらに、前記第1外装材及び前記第2外装材は、長手方向を上下方向に向けて配列され、前記第1外装材の縁部と前記第2外装材の縁部とが重なり合うに上下方向に連続する水抜き用の空間となる凹溝が形成されているので、目地に進入した雨水などを凹溝に導いて排出することができる。
また、前記第2外装材の縁部の屋内側の面に前記凹溝が形成されているのが好ましい。
このようにすれば、目地に進入した雨水などを凹溝に導いて排出することができる。
また、前記第1外装材の両縁部の間の木表側の面、並びに、前記第2外装材の木裏側の面には、ラフソーン仕上げが施されるとともに耐水性塗料が塗布されているのが好ましい。
このようにすれば、前記第1外装材の両縁部の間の木表側の面、並びに、前記第2外装材の木裏側の面には、ラフソーン仕上げが施されるとともに耐水性塗料が塗布されているので、外壁の表面がざらついた状態に仕上がって塗料がしみ込みやすくなり、仕上がり面が平滑になるプレーナー仕上げにした場合と比べて耐久性が向上する。
本発明によれば、湾曲を抑制することが可能な外壁用外装材を提供することができる。
また、本発明によれば、ひび割れを抑制するとともに、施工が容易な外壁用外装材を提供することができる。
また、本発明によれば、目地間隔を一定にしながら、従来よりも生産効率のよい外壁用外装材を提供することができる。
本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る外装材を用いた外壁構造の斜視図である。
図1に示すように、外壁構造1は、互いに所定間隔を隔てて立設された複数のたて材2と、このたて材2の屋外側に取り付けられた合板3と、この合板3の屋外側に互いに上下に間隔を隔てて取り付けられた複数の胴縁4と、この胴縁4の屋外側に並列に設置された複数の外装材5と、を含んで構成されている。
ちなみに、図1においては図示を省略するが、合板3と胴縁4の間、及び、胴縁4と外装材5の間には、例えば不織布などからなる防水紙6,7がそれぞれ設置されている(図2の破線を参照)。これらのたて材2、合板3、胴縁4、及び防水紙6,7によって、外壁構造1の下地材8(壁下地)が構成されている。なお、下地材8の構造は、これに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る外装材5は、自然木を薄板状に製材して形成された長尺部材であり、2種類の部材、すなわち、第1外装材10と、第2外装材20とを備えている。第1外装材10及び第2外装材20は、その長手方向を上下方向に向けて、交互に並列に設置されている。第1外装材10及び第2外装材20は、略同じ厚さ寸法に形成されている。
図2は、図1のA−A断面図である。
図2に示すように、第1外装材10は、木裏10bを下地材8側に向けて(木表10aを屋外側に向けて)、互いに所定間隔を隔てて並列に、下地材8に取り付けられている。第1外装材10は、本体部11と、この本体部11の幅方向両側に位置する縁部12,12と、から構成されている。縁部12は、第1外装材10の長手方向の全域に亘って形成されている。両縁部12の木表10a側には、一対の切欠部13,13が形成されている。これにより、両縁部12は、本体部11よりも厚さ寸法が小さく形成されている。なお、両縁部12の木裏10b側の面は、本体部11の木裏10b側の面と面一になっている。第1外装材10は、幅方向の略中央部の一箇所において、一本の釘31によって下地材8に固定されている。
第2外装材20は、木表20aを下地材8側に向けて(木裏20bを屋外側に向けて)、第1外装材10同士の間に設置されている。第2外装材20は、本体部21と、この本体部21の幅方向両側に位置する縁部22,22と、から構成されている。縁部22は、第2外装材20の長手方向の全域に亘って形成されている。両縁部22の木表20a側には一対の切欠部23,23が形成されている。これにより、両縁部22は、本体部21よりも厚さ寸法が小さく形成されている。なお、両縁部22の木裏20b側の面は、本体部21の木裏20b側の面と面一になっている。第2外装材20は、幅方向の略中央部の一箇所において、一本の釘32によって下地材8に固定されている。
第1外装材10の本体部11の木表10a側の幅寸法L1(すなわち、一対の切欠部13を除いた第1外装材10の木表10a側の幅寸法L1)は、第2外装材20の木裏20b側の幅寸法L2に略等しく形成されている。これにより、屋外側から外壁構造1を見たときに、各外装材5の幅、すなわち、目地40の間隔が一定に見えることとなる(図1参照)。これらの幅寸法L1,L2は、特に限定されるものではないが、例えば100mm乃至140mm程度に設定することができる。
ちなみに、第1外装材10の本体部11の木表10a側の面、並びに、第2外装材20の木裏20b側の面は、いわゆるラフソーン仕上げ(鋸目仕上げ、粗目仕上げともいう)を施して、オイルステインなどの耐水性塗料を塗布するのが好ましい。ラフソーン仕上げにすると、表面がざらついた状態に仕上がるので、塗料がしみ込みやすく、仕上がり面が平滑になるプレーナー仕上げにした場合と比べて耐久性が向上するからである。なお、それ以外の面は、プレーナー仕上げとするのが好ましい。密着性が向上し、雨水などが浸入しにくくなるからである。
第1外装材10の木裏10b側の幅寸法L3は、第2外装材20の木裏20b側の幅寸法L2よりも大きく形成されている。
また、本実施形態では、第1外装材10の縁部12の厚さ寸法は、本体部11の厚さ寸法の約1/2に形成されている。同じく、第2外装材20の縁部22の厚さ寸法は、本体部21の厚さ寸法の約1/2に形成されている。また、第1外装材10の縁部12の幅寸法は、第2外装材20の縁部22の幅寸法の略2倍に形成されている。これにより、第1外装材10の本体部11と第2外装材20の縁部22の間に凹溝状の目地40が形成されることとなる。
第1外装材10及び第2外装材20の厚さ寸法は、特に限定されるものではないが、例えば21mm乃至24mm程度に設定することができる。また、第1外装材10の縁部12の幅寸法は、特に限定されるものではないが、15mm乃至30mm程度に設定することができる。また、第2外装材20の縁部22の幅寸法は、特に限定されるものではないが、例えば、第1外装材10の縁部12の幅寸法の1/2程度から第1外装材10の縁部12の幅寸法と同程度の長さ寸法までの間で適宜設定することができる。第2外装材20の縁部22の幅寸法によって、目地40の幅を調整することができる。
第1外装材10及び第2外装材20を下地材8に取り付けた状態において、第1外装材10の切欠部13には、隣り合う第2外装材20の縁部22が配置されており、第2外装材20の切欠部13には、隣り合う第1外装材10の縁部12が配置されている。そのため、第1外装材10の縁部12と第2外装材20の縁部22とが重なり合っている。また、第1外装材10の木表10a側の面と第2外装材20の木裏20b側の面とが、互いに面一になっている。
次に、本実施形態に係る外装材の作用効果について、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る外装材の変形状態を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る外装材5は、木表と木裏を有しているので、経時変化に伴う部材の乾燥などにより、図3に示す状態となるように、変形しようとする。
すなわち、第1外装材10は、木裏10bを下地材8側に向けて(木表10aを屋外側に向けて)、下地材8に取り付けられているので、縁部12が下地材8から浮き上がる方向に変形しようとする。このとき、第1外装材10の本体部11は、その中央部において釘31によって下地材8に固定されている。
一方、第2外装材20は、木表20aを下地材8側に向けて、下地材8に取り付けられているので、縁部22が下地材8に近づくように変形しようとする。このとき、第2外装材20の本体部21は、その中央部において釘32によって下地材8に固定されている。なお、図3においては、変形状態を分かりやすく説明するために、第2外装材20の本体部21が下地材8から浮き上がったように模式的に描いている。
このように、第1外装材10の縁部12の屋外側に、第2外装材20の縁部22が当接しているので、第1外装材10の縁部12の浮き上がりが、第2外装材20の縁部22によって抑えられ、ひいては外装材5の湾曲が抑制されることとなる。また、第1外装材10の縁部12と第2外装材20の縁部22とが、互いに押し付けあう方向に変形しようとするので、第1外装材10と第2外装材20の隙間に雨水などが入り込みにくい。
また、第1外装材10及び第2外装材20は、幅方向の中央部において、一本の釘31,32によって、下地材8に固定されているので、幅方向に乾燥収縮するときに下地材8に拘束されず、内部応力が発生しにくい。そのため、ひび割れの発生を抑制することができる。
また、第1外装材10の本体部11の木表10a側の幅寸法L1(すなわち、一対の切欠部13を除いた第1外装材10の木表10a側の幅寸法L1)が、第2外装材20の木裏20b側の幅寸法L2に略等しく形成されているので、目地40の間隔を一定にすることができる。
また、このような構造にすると、第1外装材10よりも第2外装材20の幅寸法が小さくなるので、自然木のうち、従来は幅が足りなくて捨てざるを得なかった部分(廃材)を有効利用することができる。すなわち、目地間隔を一定にしながら、一本の自然木から製材できる外装材の本数を増加させることができる。
図4は、自然木に対する外装材の割り付け図であり、(a)は比較例に係る外装材の割り付け図、(b)は本実施形態に係る外装材の割り付け図である。
比較例に係る従来の外装材(図6参照)では、図4(a)に示すように、一本の自然木N(例えば直径24cm程度)から、同一寸法の外装材100を4つ製材することができるが、多くの部分が廃材となってしまう。
これに対して、本実施形態に係る外装材5では、図4(b)に示すように、一本の自然木Nから、同一寸法の第1外装材10と、同一寸法の第2外装材20を、それぞれ4つずつ製材することができる。これにより、比較例に係る従来の外装材に比べて、廃材となる部分を25〜30%程度低減することができる。したがって、従来廃棄されていた部分を有効利用して原材料費を軽減するとともに、環境負荷を低減することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
図5(a)は、変形例に係る外装材の断面図であり、(b)は(a)に破線で示すB部の拡大図である。
本実施形態では、第1外装材10の縁部12よりも、第2外装材20の縁部22を短くしたが、これに限られるものではなく、例えば、図5(a)に示すように、両者の長さを等しくしてもよい。このように、本発明によれば、縁部の長さを変更することにより、外装材5の湾曲を抑制しながら、外装材5のデザインを容易に変更することができる。
また、図5(b)に示すように、縁部22の下地材8側の面に水抜き用の凹溝25を形成してもよい。このようにすれば、目地40に進入した雨水などを凹溝25に導いて排出することができる。なお、かかる凹溝25を、図1乃至図3に示す本実施形態に適用してもよいことはいうまでもない。
また、本実施形態では、外装材5の長手方向を上下方向に向けて並列に設置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外装材5の長手方向を水平方向に向けて並列に設置してもよい。
また、本実施形態では、固定部材として、釘31,32を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば木ネジやタッピングネジなどの他の固定部材を用いてもよい。
また、本実施形態では、下地材8の一部として合板3を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、合板3の上にプラスターボード(石膏ボードともいう)を取り付けてもよいし、合板3及びプラスターボードに替えて無機質エンジニアリングパネルを設置してもよい。このようにすれば、外壁構造1の防火性能、耐火性能を向上させることができる。
本実施形態に係る外装材を用いた外壁構造の斜視図である。 図1のA−A断面図である。 本実施形態に係る外装材の変形状態を模式的に示した断面図である。 自然木に対する外装材の割り付け図であり、(a)は比較例に係る外装材の割り付け図、(b)は本実施形態に係る外装材の割り付け図である。 (a)は、変形例に係る外装材の断面図であり、(b)は(a)に破線で示すB部の拡大図である。 従来の外壁構造を示す断面図であり、(a)は変形前、(b)は変形後の状態を示している。
符号の説明
1 外壁構造
5 外装材
10 第1外装材
10a 木表
10b 木裏
11 本体部
12 縁部
13 切欠部
20 第2外装材
20a 木表
20b 木裏
21 本体部
22 縁部
23 切欠部
8 下地材
40 目地

Claims (3)

  1. 下地材に木裏側を向けて互いに間隔を隔てて並列に設置され、長手方向に沿った両縁部の木表側に一対の切欠部を有する複数の第1外装材と、
    前記下地材に木表側を向けて前記第1外装材の間に設置され、長手方向に沿った両縁部の木表側に一対の切欠部を有する複数の第2外装材と、を備え、
    前記第1外装材の切欠部に前記第2外装材の縁部が配置され、前記第2外装材の切欠部に前記第1外装材の縁部が配置され、
    前記第1外装材及び前記第2外装材は、長手方向を上下方向に向けて配列され、
    前記第1外装材の縁部と前記第2外装材の縁部とが重なり合うに上下方向に連続する水抜き用の空間となる凹溝が形成されていることを特徴とする外壁用外装材。
  2. 前記第2外装材の縁部の屋内側の面に前記凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁用外装材。
  3. 前記第1外装材の両縁部の間の木表側の面、並びに、前記第2外装材の木裏側の面には、ラフソーン仕上げが施されるとともに耐水性塗料が塗布されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外壁用外装材。
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