JP5502781B2 - 木造建築の面構造とその構築方法 - Google Patents
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Description
かかる工法によって形成された面構造は、それを構成する各部材が組み上がった後にあっても個々独立しており、面構造一体としての強度が与えられていないと言う問題があった。
また、閉鎖面の他の例として、両縦枠材の切欠部を左右の側縁とする上下一対の出入口に嵌まる一対の閉じ板、並びにそれらに挟まれて閉じ板の一方又は双方に定着された滑り板からなる閉鎖面も挙げられ、これは、平行に隣接配置された一対の縦枠材の長さが許す限り上下に複数設けても良く、更に、先に示した滑り板を横枠材に定着する閉鎖面と併用しても良い。また、締結部材は、ボルト、鉄芯、ワイヤ等、滑り板等を一体化できる部材であれば良い。
アリ加工は、開口側に比べて奥側(底側)が広がっている形状であるため、滑り板の抜けに対して強い耐力を有する加工であると共に、縦枠材間の寸法保持の点でも高い強度を有する加工法である。当該工法によって得られる強度により、滑り板の反りが生じ始めてもアリ継ぎが成された両側方より引き止められるため、反りを排した見栄えよい面構造を得ることが可能となる。
更に、締結部材により各部材を一体化することによって、前記種々の強度がより一層高まり、見栄え維持の面でもその効能を高めることとなる。
木造建築における躯体骨組みのいずれを横枠材1や縦枠材2に設定するかによって、面構造及びその構成要素の用途(壁、床、天井等)やそれらに求められる性質が異なってくる。
これらの例は、躯体骨組みとして平行に隣接配置した梁1a及び敷居1b(一対の横枠材)、これらと直角に組み合わせて平行に隣接配置した一対の柱(縦枠材)2a,2b、両柱2a,2bの間を封じる複数の羽目板(滑り板)3、当該羽目板3をアリ溝4から脱出不能に各々定位置に閉じ込む閉じ板8、並びに羽目板3を梁1a若しくは敷居1b、又は閉じ板8に定着する締結部材9で構成される。
一方、両柱2a,2bの間を封じる各羽目板3は、各々の両側部に両柱2a,2bの滑り溝4と継ぎ合わさるアリホゾ(滑りホゾ)6備えると共に、各々の縦寸法全域を共通位置で貫通する通し孔7を備える。
当該滑りホゾ6と滑り溝4との継ぎ合いが緊密になる程、滑り溝4における滑りホゾ6の滑りが困難となるので、必要に応じて、前記出入口Zを適宜散設する構成とすることもできる。
尚、羽目板3の滑りホゾ6,6を滞りなく両柱2a,2bの滑り溝4,4に導入する点では、上記いずれの寸法にあっても、羽目板3が緊密に嵌まる寸法より僅かに大きくすることが望ましい。
これらの座金11並びに梁1a及び敷居1bは、両柱2a,2bの間を封じる羽目板3の通し孔7の延長線上に各々支持孔12及び貫通孔13を備える。座金11の支持孔12、梁1a又は敷居1bの貫通孔13、並びに羽目板3の通し孔7に締結部材9として各々ボルト9aを連通し、出入口Zから梁1aの側に導入した複数の羽目板3を梁1aの側に寄せてナット9bで締め付けることによりそれらを一体化させると共に、出入口Zから敷居1bの側に導入した複数の羽目板3を敷居1bの側に寄せてナット9bで締め付けることによりそれらを一体化させる。この結果、出入口Zの上下に構成された閉鎖面A,Bが、両柱2a,2bとのホゾ継ぎと相俟って高い強度により保形されることとなる。
尚、閉じ板8は、羽目板3そのもの、又は羽目板3と略同形態でもよいし、上下かまち等として機能する例えば肉厚な異なる形態としても良い。
図6は、滑り板3としてログ材を用いログハウスの壁を構成した例である。
3 滑り板,4 アリ溝,5 切欠部,6 アリホゾ,7 通し孔,
8 閉じ板,
9 締結部材,9a ボルト,9b ナット,
10 補強金具,11 座金,12 支持孔,13 貫通孔,
14 断熱材,15 内装材,16 外壁材,
A,B 閉鎖面,
X 組みホゾ,Y 組み溝,Z 出入口,
Claims (2)
- 躯体骨組みとして平行に隣接配置した一対の横枠材(1a,1b)、及び当該横枠材(1a,1b)と組み合って平行に隣接配置した一対の縦枠材(2a,2b)、並びに当該縦枠材(2a,2b)の間を封じる複数の滑り板(3)、及び当該滑り板(3)を各々定位置に閉じ込む閉じ板(8)からなり、
両縦枠材(2a,2b)は、相対向する面に滑り板(3)の両側部を保持するアリ溝(4)を備えると共に、両縦枠材(2a,2b)の中間部に滑り板(3)の両側部をアリ溝(4)に導く切欠部(5)を備え、各滑り板(3)は、各々の両側部に両縦枠材(2a,2b)のアリ溝(4,4)と継ぎ合わさるアリホゾ(6,6)を備えると共に、各々の縦寸法を共通位置で貫通する通し孔(7)を備え、閉じ板(8)は、その両端部が両縦枠材(2a,2b)の切欠部(5)に嵌まって滑り板(3)を移動及び脱出不能とし、横枠材(1)と閉じ板(8)に挟まれた滑り板(3)は、前記通し孔(7)に挿通した締結部材(9)で横枠材(1)又は閉じ板(8)に締着することを特徴とする木造建築の面構造。 - 躯体骨組みとして平行に隣接配置した一対の横枠材(1a,1b)、及び当該横枠材(1a,1b)と組み合って平行に隣接配置した一対の縦枠材(2a,2b)、並びに当該縦枠材(2a,2b)の間を封じる複数の滑り板(3)、及び当該滑り板(3)を閉じ込む閉じ板(8)からなり、
両縦枠材(2a,2b)は、相対向する面に滑り板(3)の両側部を保持するアリ溝(4)を備えると共に、両縦枠材(2a,2b)の中間部に滑り板(3)の両側部をアリ溝(4)に導く切欠部(5)を備え、各滑り板(3)は、各々の両側部に両縦枠材(2a,2b)のアリ溝(4,4)と継ぎ合わさるアリホゾ(6,6)を備えると共に、各々の縦寸法を共通位置で貫通する通し孔(7)を備え、閉じ板(8)は、その両端部が両縦枠材(2a,2b)の切欠部(5)に嵌まって滑り板(3)を移動及び脱出不能とし、横枠材(1)と閉じ板(8)に挟まれた滑り板(3)は、前記通し孔(7)に挿通した締結部材(9)で横枠材(1)又は閉じ板(8)に締着する木造建築の面構造の構築方法であって、
両縦枠材(2a,2b)のアリ溝(4)へ滑り板(3)のアリホゾ(6,6)を切欠部(5)から導入し両縦枠材(2a,2b)に滑り板(3)を装着する継ぎ入れ工程と、両縦枠材(2a,2b)に継ぎ入れた複数の滑り板(3)を締結部材(9)で横枠材(1)又は閉じ板(8)に定着する締結工程と、両縦枠材の切欠部(5)に閉じ板の両端部を嵌め入れて固定し締結部材(9)で締結した滑り板を脱出不能とする閉じ込み工程を経ることを特徴とする木造建築の面構造の構築方法。
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